JP2945293B2 - 建具枠体に対するパネル保持装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、引戸や折戸や回転戸な
どの開閉される建具に、押し縁を用いてガラス板などの
パネルを保持する装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】図６は、建具に押し縁を用いてパネルを
保持する従来の装置を用いた建具の裏面図であり、図７
は図６のＺ−Ｚ線断面図である。

【０００３】従来のパネル保持装置においては、図６、
図７に例示するように、上枠１、左右の縦枠２，３及び
下枠４を矩形に枠組みした建具枠体ＦにパネルＰを嵌合
し、そのパネルの外周縁に予め装着したグレチャン（グ
ージングチャンネル）Ｇの一方側の溝に、建具枠体Ｆの
内周面の一側に形成してある側壁５の先端屈曲辺を嵌合
するとともに、建具枠体Ｆの内周面のほぼ中央と他側に
形成してある一対の係止突起６，７に、ほぼ乃字形に形
成してある押し縁８の両端部８ｂ，８ｃを係合し、各押
し縁の前記側壁５の先端屈曲辺に対向する先端屈曲辺８
ａを前記グレチャンＧの他方側の溝に嵌合して、押し縁
８を建具枠体Ｆに固定し、かつ、パネルＰを一側の側壁
５と押し縁８との間に挟持固定していた。図７におい
て、Ｓは、パネルの横方向の移動を阻止するセットピー
スであり、側壁５と係止突起６の間に、縦枠２，３の長
手方向に間隔をもって配置されている。建具枠体の下枠
４における側壁と係止突起の間にも同様のセットピース
が配置されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上述のように、従来
は、パネルＰに対するグレチャンＧの装着と、パネルＰ
の建具枠体Ｆに対する嵌合維持、押し縁６の押入固定の
３種類の作業を必要するから、建具の組立て完成に長大
な時間を要し、押し縁装着時に押し縁８の先端屈曲辺を
グレチャンの溝に嵌合することが円滑に行うこと、及
び、グレチャンの露出部分が蛇行しないように体裁良く
押し縁に係止させることが困難であった。

【０００５】さらに、従来のパネル保持装置を用いた建
具は、パネル破損時に新しいパネルに取換える際に、建
具枠体を分解しなければ押し縁を取外すことができない
ため、パネルの取換えが容易にできないという問題点が
あった。

【０００６】本発明は、上記の点に鑑み、押し縁を用い
てパネルを保持するパネル保持装置において、パネルの
保持固定に要する時間の短縮が可能であり、かつ、パネ
ル破損時には、建具枠体の分解を要することなく、押し
縁のみを取外して、迅速にパネルの取換えを行うことが
できるようにすることを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、建具枠体の内周にパネルの周縁と押し縁
を嵌合して、そのパネルとを押し縁を前記建具枠体に固
定された状態に保持する装置において、建具枠体の内周
の内外両端部に側壁を設けて嵌合溝を形成し、その嵌合
溝にパネルの周縁を嵌合するとともに一方の側壁に押し
寄せ、パネルと嵌合溝の他方の側壁との間に、パネル側
の面に棒状に連続するクッション材を予め固着した押し
縁を建具枠体の各辺に沿って押入し、前記クッション材
をパネルに押圧してそのパネルを固定してなることを特
徴としている。

【０００８】押し縁は、これを、矩形の建具枠体の上枠
の嵌合溝に嵌合され、かつ長手方向両端部が建具枠体の
両縦枠の嵌合溝に嵌合される上部押し縁と、両縦枠の嵌
合溝に嵌合され、上端部が上部押し縁の両端部の下面に
当接され、かつ下端部が建具枠体の下枠の嵌合溝の両端
部に嵌合される縦押し縁と、下枠の嵌合溝に嵌合され、
かつ両端部が縦押し縁の下端部の対向面に当接される下
押し縁とから構成し、下押し縁の長手方向両端部の上部
にストッパをその下押し縁の長手方向に摺動に取付け、
そのストッパを縦押し縁方向に移動して、その先端部を
縦押し縁に形成してある孔に挿入して、押し縁相互の分
離を防止する構成とすることが望ましい。

【０００９】

【作用】矩形に枠組みされている建具枠体の内周の嵌合
溝は矩形に連続している。嵌合溝は所要の幅を有するた
め、パネルを建具枠体に対して斜めにして、その周縁を
嵌合溝に嵌合して、一方の側壁に押し当てることができ
る。その後、建具枠体の上枠、両縦枠、及び下枠の各辺
に対応して、パネルの周縁と他方の側壁との間に押し縁
を押入する。押し縁に予め固着されているクッション材
がパネルを押圧して固定する。

【００１０】押し縁が、矩形の建具枠体の上枠の嵌合溝
に嵌合され、かつ長手方向両端部が建具枠体の両縦枠の
嵌合溝に嵌合される上部押し縁と、両縦枠の嵌合溝に嵌
合され、上端部が上部押し縁の両端部の下面に当接さ
れ、かつ下端部が建具枠体の下枠の嵌合溝の両端部に嵌
合される縦押し縁と、下枠の嵌合溝に嵌合され、かつ両
端部が縦押し縁の下端部の対向面に当接される下押し縁
とから構成されている場合は、上押し縁、左右の縦押し
縁、そして、下押し縁の順序で嵌合、当接して、矩形に
連続する状態で各枠の嵌合溝に嵌合することができ、下
押し縁の長手方向両端部の上部にストッパをその下押し
縁の長手方向に摺動に取付け、そのストッパを縦押し縁
方向に移動して、その先端部を縦押し縁に形成してある
孔に挿入することにより、押し縁は建具の開閉時の振動
などにより分離しないように相互に連結される。

【００１１】

【実施例】次に、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図１は、本発明によるパネル保持装置を備えた建
具の正面図、図２は同建具の横断面図、図３は図２のＸ
−Ｘ線断面図、図４は本発明のパネル保持装置を用いて
パネルを装着する場合の工程を説明する工程図、図５は
図１の建具の中の押し縁のみを取り出して示す断面図で
ある。

【００１２】本発明においては、建具枠体Ａを構成する
上枠１、左右の縦枠２，３及び下枠４は、いずれも、建
具枠体の内周側における内外両端部に側壁１１，１２、
２１，２２、３１，３２、４１，４２が形成されて、建
具枠体の中心方向に開口する嵌合溝１３，２３，３３，
４３が形成されている。全ての嵌合溝は、その中に後述
されるパネルＰの周縁と、押し縁８とを嵌合し得るだけ
の幅を有する。

【００１３】従って、建具枠体Ａを既知の技術を用いて
矩形に枠組みした後に、図４（ａ）に示すように、パネ
ルＰを建具枠体Ｆに対してやや斜めにした状態で、一方
の縦辺を先に一方の縦枠２の嵌合溝２３に挿入するとと
もに、図４（ｂ）に示すように、上辺を上枠１の嵌合溝
１３に挿入してパネルＰを建具枠体Ｆの平面と平行状態
にし、若干、反対側の縦枠３及び下枠４方向に移動して
位置調整することにより、図４（ｃ）に示すように、パ
ネルＰを建具枠体Ｆの中心に位置させ、また、パネルＰ
の周縁を一方の側壁１２，２２，３２，４２に押し寄せ
て、パネルＰを建具枠体Ｆに仮固定する。

【００１４】この場合、パネルＰの周縁と各枠１〜４の
嵌合溝１３，２３，３３，４３の底面との間には、合成
ゴム又は軟質合成樹脂材料で成形された短尺又は長尺の
クッション材Ｃａが介在されている。クッション材Ｃａ
は、予め嵌合溝の底面に接着などにより配置しておいて
も良いし、予めパネルＰの周縁に接着などにより固着し
ておいても良いし、パネルＰを建具枠体Ｆの嵌合溝に嵌
合した後に、押入しても良い。

【００１５】いずれにしても、建具枠体Ｆに対するパネ
ルＰの装着作業が簡単になる方法が用いられる。そし
て、パネルの装着後に、そのパネルの周縁と嵌合溝の他
方の側壁２１，２２，３２，４２との間に、押し縁８を
押入する。

【００１６】押し縁８は、建具枠体Ｆを構成する上枠
１、両縦枠２，３及び下枠４のそれぞれに対応する上押
し縁８１と、縦押し縁８２，８３と、下押し縁８４とか
らなり、いずれも断面形状がほぼコ字形の同一の形材よ
り作られている。そして、開口面を建具枠体Ｆの嵌合溝
の底面に向けた状態で、嵌合溝に挿入される。

【００１７】各押し縁は、パネル側の側壁にパネル方向
に突出するクッション材Ｃｂが、例えば、接着剤により
接着して、又は押し縁に成形された溝に嵌着して、固着
されている。

【００１８】各押し縁８は、これを各枠１〜４の嵌合溝
１３，２３，３３，４３に押入して、パネルＰの周縁を
各枠の一方の側壁１１，２１，３１，４１との間に挟持
して固定するためのものである。この条件を充足するこ
とができるならば、押し縁相互の長さ関係、連結構造
は、とくに制限されない。

【００１９】図示の実施例では、いずれの押し縁も、両
端部が直角に切断されている。そして、上押し縁８１
は、長手方向両端部が左右の縦枠２，３の嵌合溝２３，
３３の底部に当接される程度の長さを有し、また、両縦
押し縁８２，８３は、長手方向一端部が上枠１の嵌合溝
１３に嵌合された上押し縁８１の下面に当接し、他端部
が下枠４の嵌合溝４３の底面に当接する長さを有し、下
押し縁８４は、長手方向両端部が縦枠２，３の嵌合溝２
３，３３に嵌合された縦押し縁８２，８３の下端部の対
向面に当接する長さに設定されている。

【００２０】そして、押し縁の装着後の相互分離を防止
するため、上押し縁８１を最先に装着し、次いで、両縦
押し縁８２，８３を装着し、最後に、下押し縁８４を装
着する構造としている。

【００２１】しかし、図示の実施例は、建具の開閉時の
振動などにより下押し縁８４が外れると、他の押し縁８
２，８３，８１が逐次外れ出るおそれがあるので、これ
を防止するため、外れ止め具９が、下押し縁８４の両端
部に取付けられている。

【００２２】外れ止め具９は、図５に示すように、短冊
状のスライダ９１を下押し縁８４の両端部付近の上部に
摺動に取り付け、そのスライダ９１は、これに接続した
摘み９２を下押し縁８４の上面に設けた長孔から上方に
突出させ、また、両縦押し縁８２，８３の下端部付近
に、スライダ９１の先端に対向する位置に係止孔を形成
して、下押し縁８４を装着した後に、摘み９２を介して
スライダ９１を縦枠２又は３方向に移動すると、スライ
ダの先端が縦押し縁８２，８３の係止孔に嵌合すること
により、下押し縁８４の外れ止めがなされている。

【００２３】上記のように、このパネル保持装置を用い
た建具は、風圧が加わらない室内に建て付けて用いられ
る。例えば、パネルＰの一方の面及び一方の側壁１１，
１２，１３，１４が浴室側に面し、パネルの他方の面、
押し縁８及び他方の側壁１２，２２，３２，４２が更衣
室に面する状態で、建て付けられる。従って、パネルＰ
には、浴室の掛け水やシャワー水がかかるだけである
で、パネルと建具枠体との間に特殊なシールを具備する
必要はなく、押し縁８に固着されるクッション材Ｃｂ
は、硬質塩化ビニル樹脂などのプラスチック製品で良
い。また、パネルの周縁に装着されるクッション材Ｃａ
は、スポンジなどで良い。

【００２４】そして、パネルの破損又は装飾変更などの
ためにパネルの取換えをしたい場合は、摘み９２の後退
動作により各押し縁８の連結状態を解除し、押し縁を取
外すだけで、建具枠体Ｆの分解を要することなく、容易
にパネルの装着又は交換を行うことができ、建具のメン
テナンスが簡単になる。

【００２５】

【発明の効果】上述のように、この発明によれば、内外
の側壁により嵌合溝が形成され、その嵌合溝にパネルを
嵌合した後、予めパネル側面にクッション材を固着した
押し縁を前記嵌合溝に押入してパネルを側壁との間に挟
持固定するようにしたので、矩形に枠組みした建具枠体
に対するパネルの保持が簡単な作業で行うことができる
ようになった。

【００２６】また、押し縁を上下及び左右の押し縁で構
成し、上押し縁を先に装着し、次いで左右の縦押し縁を
装着し、最後に下押し縁を装着して外れ止め具により固
定するようにした場合は、押し縁の装着が円滑にでき、
しかも、パネルの破損時に、建具枠体の分解を要するこ
となく、容易にパネルの取替えを行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によるパネル保持装置を備えた建具の正
面図である。

【図２】図２のＸ−Ｘ線断面図である。

【図３】図２のＹ−Ｙ線断面図である。

【図４】本発明のパネル保持装置を用いてパネルを装着
する場合の工程を説明する工程図である。

【図５】図１の建具の中の押し縁のみを取り出して示す
断面図である。

【図６】建具に押し縁を用いてパネルを保持する従来の
装置を用いた建具の裏面図である。

【図７】図６のＸ−Ｘ線断面図である。

【符号の説明】

Ｆ 建具枠体 １ 上枠 ２，３ 縦枠 ４ 下枠 １１，２１，３１，４１ 一方の側壁 １２，２２，３２，４２ 他方の側壁 １３，２３，３３，３４ 嵌合溝 Ｐ パネル ８ 押し縁 Ｃａ，Ｃｂ クッション材

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】建具枠体の内周にパネルの周縁と押し縁を
   嵌合して、そのパネルとを押し縁を前記建具枠体に固定
   された状態に保持する装置において、 前記建具枠体の内周の内外両端部に側壁を設けて嵌合溝
   を形成し、その嵌合溝に前記パネルの周縁を嵌合すると
   ともに一方の側壁に押し寄せ、前記パネルと前記嵌合溝
   の他方の側壁との間に、パネル側の面に棒状に連続する
   クッション材を予め固着した押し縁を前記建具枠体の各
   辺に沿って押入し、前記クッション材を前記パネルに押
   圧してそのパネルを固定してなることを特徴とする矩形
   枠体に対するパネル保持装置。
2. 【請求項２】押し縁は、矩形の建具枠体の上枠の嵌合溝
   に嵌合され、かつ長手方向両端部が前記建具枠体の両縦
   枠の嵌合溝に嵌合される上部押し縁と、前記両縦枠の嵌
   合溝に嵌合され、上端部が前記上部押し縁の両端部の下
   面に当接され、かつ下端部が前記建具枠体の下枠の嵌合
   溝の両端部に嵌合される縦押し縁と、前記下枠の嵌合溝
   に嵌合され、かつ両端部が前記縦押し縁の下端部の対向
   面に当接される下押し縁とからなり、 前記下押し縁の長手方向両端部の上部にストッパがその
   下押し縁の長手方向に摺動に取付けられ、そのストッパ
   を前記縦押し縁方向に移動して、その先端部を前記縦押
   し縁に形成してある孔に挿入して、押し縁相互の分離を
   防止していることを特徴とする請求項１記載のパネル保
   持装置。