JP2944959B2 - 大電流携帯スイッチ装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、大電流で制御する
機器等に用いられる大電流携帯スイッチ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の大電流携帯スイッチ装置
としては、本出願人提案の実開平７−３２８３３号があ
る。ここで提案されている大電流携帯スイッチ装置は、
プリント基板上に設けた複数の接点部を、弾性板側に形
成したボタン部の金属接点板で直接短絡する構成であ
り、小型、軽量化に適した構造となっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、プリント基
板上に設けた複数の接点部を、弾性板側に形成したボタ
ン部の金属接点板で直接短絡する構造の場合、電流容量
が大きくなると、接点部の劣化により接点寿命が短くな
り、また接点部のオン、オフの信頼性が低下するきらい
があった。

【０００４】本発明は、上記の点に鑑み、市販のマイク
ロスイッチを内蔵することで、電流容量を確保でき、信
頼性が高く、構造が簡単で、安価な大電流携帯スイッチ
装置を提供することを目的とする。

【０００５】本発明のその他の目的や新規な特徴は後述
の実施の形態において明らかにする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の大電流携帯スイッチ装置は、収納凹部を設
けたケース本体と、基板及び該基板に複数個配設された
マイクロスイッチからなり、前記収納凹部の底部に配置
されるスイッチユニットと、前記収納凹部の開口を塞ぐ
如く配置されて前記ケース本体と共に前記スイッチユニ
ットを支持する中蓋と、前記収納凹部内に引き込まれて
前記スイッチユニットに接続される多芯ケーブルと、前
記中蓋上に配設され、前記複数個のマイクロスイッチを
それぞれ作動させるための複数の押しボタン部を一体に
有する弾性部材と、前記ケース本体の前記収納凹部を形
成した前面側に前記弾性部材を挟んで固着されるケース
上蓋とを備え、前記押しボタン部は前記中蓋を貫通する
操作子を一体に有していて、押圧時に当該操作子を介し
て前記マイクロスイッチを作動させる構成としている。

【０００７】前記大電流携帯スイッチ装置において、前
記収納凹部の底部に、前記基板に係合して位置決めする
第１の位置決め凸部を形成してもよい。

【０００８】また、前記中蓋に、前記マイクロスイッチ
に係合して位置決めする第２の位置決め凸部を形成して
もよい。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係る大電流携帯ス
イッチ装置の実施の形態を図面に従って説明する。

【００１０】図１乃至図７において、大電流携帯スイッ
チ装置は、樹脂ケース１と、プリント基板１１及び該基
板に複数個配設されたマイクロスイッチ１２からなるス
イッチユニット１０と、前記マイクロスイッチ１２に対
応した個数の押しボタン部２１を一体に形成したゴム等
の弾性部材２０と、樹脂ケース１内に引き込まれる多芯
ケーブル３０とを有しており、前記樹脂ケース１の前面
（上面）に弾性部材２０の押しボタン部２１がそれぞれ
突出している。

【００１１】前記樹脂ケース１はケース本体２、中蓋
３、ケース上蓋４及びケーブル押さえ蓋５を取り付け一
体化したものである。

【００１２】前記ケース本体２の前面（上面）は、ケー
ブル押さえ蓋５を取り付けるケーブル固定端部４０を除
き、一段低くなった段差面４１となっており、該段差面
４１に四隅を切り欠いた略長方形状の収納凹部４２が形
成されている。前記ケース本体２の前面には、図２及び
図４に示すように段差面４１の外周縁に沿って略コ字状
にリブ４３が一体に形成されている。この段差面４１は
前記押しボタン部２１を一体に形成した弾性部材２０を
載置するものであり、前記リブ４３は前記弾性部材２０
の位置ずれを防止するとともに、弾性部材２０と段差面
４１との対接面から水が侵入するのを防止するためのも
のである。また、段差面４１上には収納凹部１１の開口
を連続して取り囲む防水用凸条４４が一体に突設されて
いる。すなわち、防水用凸条４４は収納凹部４２の開口
縁の僅かに外側を連続して取り囲んでいる。さらに、段
差面４１の四隅及び中間位置には弾性部材２０及びケー
ス上蓋４を止めるための螺子穴４５が設けられている。

【００１３】前記スイッチユニット１０は、細長い長方
形のプリント基板１１上に、複数個（図示の場合３個）
のマイクロスイッチ１２を長手方向に配置し、固定した
ものであり、各マイクロスイッチ１２の作動片１３は上
向き配置（弾性部材２０に対向する配置）となってい
る。そのプリント基板１１には、マイクロスイッチ１２
と多芯ケーブル３０とを接続するための所要の導体パタ
ーン（図示せず）が形成されている。

【００１４】前記ケース本体２の収納凹部４２の底部に
は、プリント基板１１を所定高さに支持するとともに基
板１１の短手幅方向と係合して位置決めする第１の位置
決め凸部４６が形成されており、またプリント基板１１
をその他の位置で所定高さに支持する台座部４７，４８
が形成されている。さらに、マイクロスイッチ１２の基
板１１を貫通した各端子１４の下端と嵌合する位置決め
穴４９が前記収納凹部４２の底部に形成されている。ま
た、収納凹部４２の開口に前記中蓋３を嵌合したときに
中蓋３の上面が前記段差面４１と一致する高さとなるよ
うに、図２及び図４の如く前記中蓋３を支える中蓋支持
部５０が前記収納凹部４２の内側に形成されている。ま
た、図２及び図４の如く多芯ケーブル３０の引き込み側
の収納凹部４２の内側に前記中蓋支持部５０とともに多
芯ケーブル３０を挟持して抜けを防止するケーブル挟持
部５１が収納凹部４２の底部から一体に立上がって形成
されている。

【００１５】前記弾性部材２０は前記スイッチユニット
１０を構成する複数個のマイクロスイッチ１２をそれぞ
れ作動させるための複数の押しボタン部２１を一体に有
し、各押しボタン部２１はマイクロスイッチ１２の作動
片１３を押し下げてマイクロスイッチ１２のオン又はオ
フ動作を行わせる操作子２２を一体に有している。な
お、図７のように、押しボタン部２１の操作子２２の周
囲（内側凹部２３内）には圧縮ばね２４が配設され、該
押しボタン部２１の突出状態への復帰を確実にしてい
る。

【００１６】図５及び図６に示すように前記中蓋３は、
前記収納凹部４２の開口に嵌合する形状であり、前記弾
性部材２０の操作子２２を貫通させる透孔５５を有する
とともに、前記中蓋３の内側面（背面）には、図２及び
図６のように前記マイクロスイッチ１２の本体部分の角
にそれぞれ係合して位置決めする第２の位置決め凸部と
しての位置決め爪５６が各マイクロスイッチ１２に対応
して形成されている。

【００１７】前記ケース上蓋４は前記弾性部材２０を挟
んだ状態にて前記ケース本体２の前面（上面）に被せ
て、図３の如く四隅及び中間部を螺子７０で固定するこ
とによりケース本体２と一体化されるようになってい
る。すなわち、該ケース上蓋４の四隅及び中間位置には
螺子用穴が形成され、これらの螺子用穴に挿通した螺子
７０を図４に示すケース本体２の螺子穴４５に螺合する
ことでケース上蓋４をケース本体２に固定できる。ま
た、ケース上蓋４の前面（上面）には略長円状のリブ７
３が突設されている。該リブ７３で囲まれた長円状凹部
７４の底面には複数の透孔７５が形成されている。該透
孔７５はそれらから弾性部材２０の押しボタン部２１を
それぞれ突出させるためのものである。

【００１８】前記ケース本体２には、その上端面から収
納凹部４２内に貫通するケーブル挿通穴６０が設けられ
ており、該ケーブル挿通穴６０は中間位置からケース本
体２の上端面にかけてテーパー状に穴径が広がってい
る。また、ケース本体２上端面のケーブル挿通穴６０の
両側には一対の螺子穴６１が設けられている。

【００１９】前記ケーブル押さえ蓋５は、ケース本体２
のケーブル挿通穴６０と連通するケーブル挿通穴６４を
有し、ケース本体２の上端部分であるケーブル固定端部
４０に嵌合して一対の螺子６３で固定することによりケ
ース本体２と一体化されるようになっている。すなわ
ち、ケーブル押さえ蓋５上端面のケーブル挿通穴６４の
両側には、ケース本体２側の螺子穴６１と一致する一対
の螺子用穴６５が設けられており、螺子６３を螺子用穴
６５に挿通して螺子穴６１に螺合することでケーブル押
さえ蓋５をケース本体２に固定できる。

【００２０】なお、樹脂ケース１を構成するケース本体
２、中蓋３、ケース上蓋４、及びケーブル押さえ蓋５は
それぞれ樹脂成型品である。また、ケース本体２の背面
には永久磁石９０が固着されている。これは、磁力で大
電流携帯スイッチ装置を相手側機器に一時的に吸着保持
させることができるようにするためである。

【００２１】この実施の形態に係る大電流携帯スイッチ
装置の組立は以下の手順で行うことができる。

【００２２】まず、多芯ケーブル３０の各芯線（被覆導
線）と、スイッチユニット１０のプリント基板１１の導
体パターンとをはんだ付け等で接続し、マイクロスイッ
チ１２による所要のスイッチ回路を形成しておく。そし
て、ケース本体２のケーブル挿通穴６０に多芯ケーブル
３０を挿通するとともに、その多芯ケーブル３０をケー
ス本体２側の中蓋支持部５０とケーブル挟持部５１間に
挟み込み、さらにスイッチユニット１０をケース本体２
の収納凹部４２内に収納してプリント基板１１をケース
本体２側の第１の位置決め凸部４６に嵌合させるととも
に台座部４７，４８上に載置する。その後、図２の如く
中蓋３を収納凹部４２の開口に嵌合し、中蓋３の内側の
第２の位置決め凸部としての位置決め爪５６を前記マイ
クロスイッチ１２の本体部分の角にそれぞれ係合させ、
ケース本体２の第１の位置決め凸部４６と中蓋３側の位
置決め爪５６とでスイッチユニット１０を幅方向（短手
方向）に位置ずれしないように支持する。また、マイク
ロスイッチ１２の各端子１４の下端が収納凹部４２底部
に形成した位置決め穴４９に嵌合することで、スイッチ
ユニット１０の長手方向の位置ずれも防止される。

【００２３】前記中蓋３は、収納凹部４２の開口に嵌め
られたときに、ケース本体２側の段差面４１と同一高さ
面となるように中蓋支持部５０によって支持される。こ
の中蓋３外面及び段差面４１上に、図７の如く圧縮ばね
２４を内蔵させた弾性部材２０を載置し、その上に重ね
てケース上蓋４を載置し、ケース上蓋４で弾性部材２０
をケース本体２との間に挟んだ状態で、ケース上蓋４側
の螺子用穴に挿通した螺子７０をケース本体２側螺子穴
４５に螺合することでケース上蓋４をケース本体２に固
定する。このとき、弾性部材２０が有する押しボタン部
２１の操作子２２は中蓋３の透孔５５を貫通してマイク
ロスイッチ１２の作動片１３を押し下げ可能な位置とな
り、各押しボタン部２１はケース上蓋４の透孔７５から
それぞれ突出する。

【００２４】その後、多芯ケーブル３０の外側に筒状ケ
ーブル封止部材８０を装着し、さらに、ケーブル押さえ
蓋５のケーブル挿通穴６４に多芯ケーブル３０及び封止
部材８０を挿通し、ケーブル押さえ蓋５の螺子用穴６５
に螺子６３を挿通してケース本体２側の螺子穴６１に螺
合することでケーブル押さえ蓋５をケース本体２に固定
する。その際、ケーブル封止部材８０は、基部８０ａが
前記ケース本体２及びケーブル押さえ蓋５を一体化した
際に形成されたケーブル挿通穴６０及びケーブル挿通穴
６４からなる空洞に嵌合する形状に形成されているた
め、多芯ケーブル３０の引き込み部分を水密封止するこ
とができる。

【００２５】この実施の形態の大電流携帯スイッチ装置
において、弾性部材２０の押しボタン部２１を押圧すれ
ば、それと一体の操作子２２がマイクロスイッチ１２の
作動片１３を押し下げ、マイクロスイッチ１２を作動さ
せる（スイッチ・オン、スイッチ・オフ又は切り換え動
作を行わせる）。押しボタン部２１の押圧を解除すれ
ば、弾性部材２０自らの弾性及び圧縮ばね２４の作用で
押しボタン部２１は元の突出状態に復帰し、操作子２２
によるマイクロスイッチ１２の作動片１３の押し下げは
解除される。

【００２６】この実施の形態によれば、次の通りの効果
を得ることができる。

【００２７】(1) スイッチユニット１０がプリント基
板１１に複数のマイクロスイッチ１２を取り付けた構造
であり、スイッチユニット１０をケース本体２及び中蓋
３の第１及び第２の位置決め凸部で支持するため、スイ
ッチユニット１０の固定に螺子止め等が不要であり、全
体的に簡単な構造となっている。

【００２８】(2) 市販のマイクロスイッチ１２を利用
でき、十分な電流容量を確保できるとともに、動作の信
頼性を高くすることができる。

【００２９】(3) ゴム等の弾性部材２０に押しボタン
部２１を一体に形成するとともに、押しボタン部２１の
内側に圧縮ばね２４を内蔵しておくことで、押しボタン
部２１の押圧解除時の突出状態への復帰を確実に行うこ
とができ、スイッチ操作を確実にすることができる。

【００３０】(4) 多芯ケーブル３０の抜け防止のクラ
ンプを、ケース本体側収納凹部４２の底部に一体に形成
した中蓋支持部５０とケーブル挟持部５１とで多芯ケー
ブル３０を挟持することで簡単に実施できる。

【００３１】(5) ケース本体２の段差面４１に形成し
た防水用凸条４４が弾性部材２０に圧接することで、段
差面４１と弾性部材２０間の防水を図ることができ、ま
た多芯ケーブル３０の引き込み部分に装着したケーブル
封止部材８０の基部が前記ケース本体２及びケーブル押
さえ蓋５を一体化した際に形成されたケーブル挿通穴６
０及びケーブル挿通穴６４に密着して嵌合するため、多
芯ケーブル３０の引き込み部分の防水を図ることができ
る。

【００３２】なお、上記実施の形態では、樹脂ケース１
に３つのマイクロスイッチ１２を持つスイッチユニット
１０を設けた構成としたが、弾性部材２０の押しボタン
部の個数、多芯ケーブル３０の被覆導線の本数、ケース
上蓋４の透孔の個数及び樹脂ケース１全体の大きさ等を
変更することにより、マイクロスイッチ１２の個数を２
つあるいは４つ以上に変更可能である。また、ケース上
蓋４の透孔を長円形として複数個の押しボタン部を１個
の透孔から突出させてもよい。

【００３３】以上本発明の実施の形態について説明して
きたが、本発明はこれに限定されることなく請求項の記
載の範囲内において各種の変形、変更が可能なことは当
業者には自明であろう。

【００３４】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
市販のマイクロスイッチを内蔵することで、電流容量を
確保でき、信頼性が高く、構造が簡単で、安価な大電流
携帯スイッチ装置を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る大電流携帯スイッチ装置の実施の
形態の側断面図である。

【図２】図１のII−II断面図である。

【図３】実施の形態の正面図である。

【図４】実施の形態において弾性部材及びケース上蓋を
外した状態の正面図である。

【図５】実施の形態において用いる中蓋を示す正面図で
ある。

【図６】同底面図である。

【図７】実施の形態における弾性部材の押しボタン部の
周辺構造を示す部分断面図である。

【符号の説明】

１ 樹脂ケース ２ ケース本体 ３ 中蓋 ４ ケース上蓋 ５ ケーブル押さえ蓋 １０ スイッチユニット １１ プリント基板 １２ マイクロスイッチ ２０ 弾性部材 ２１ 押しボタン部 ２２ 操作子 ２４ 圧縮ばね ３０ 多芯ケーブル ４１ 段差面 ４２ 収納凹部 ４４ 防水用凸条 ４６ 第１の位置決め凸部 ４７，４８ 台座部 ５６ 位置決め爪 ８０ ケーブル封止部材

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) H01H 13/00 - 13/76

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 収納凹部を設けたケース本体と、 基板及び該基板に複数個配設されたマイクロスイッチか
   らなり、前記収納凹部の底部に配置されるスイッチユニ
   ットと、 前記収納凹部の開口を塞ぐ如く配置されて前記ケース本
   体と共に前記スイッチユニットを支持する中蓋と、 前記収納凹部内に引き込まれて前記スイッチユニットに
   接続される多芯ケーブルと、 前記中蓋上に配設され、前記複数個のマイクロスイッチ
   をそれぞれ作動させるための複数の押しボタン部を一体
   に有する弾性部材と、 前記ケース本体の前記収納凹部を形成した前面側に前記
   弾性部材を挟んで固着されるケース上蓋とを備え、 前記押しボタン部は前記中蓋を貫通する操作子を一体に
   有していて、押圧時に当該操作子を介して前記マイクロ
   スイッチを作動させることを特徴とする大電流携帯スイ
   ッチ装置。
2. 【請求項２】 前記収納凹部の底部には、前記基板に係
   合して位置決めする第１の位置決め凸部が形成されてい
   る請求項１記載の大電流携帯スイッチ装置。
3. 【請求項３】 前記中蓋には、前記マイクロスイッチに
   係合して位置決めする第２の位置決め凸部が形成されて
   いる請求項１又は２記載の大電流携帯スイッチ装置。