JP2943955B2 - 押出プレスにおけるシャー装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はダイスより押出される製
品からディスカード（または押粕）を切離す押出プレス
におけるシャー装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の押出プレスにおけるシャー装置
は，押出プレスの押出プラテンに支持フレームを介して
組付けられ，押出材の押出方向に直交する方向に摺動し
て押出材端部のディスカードを切断するシャー本体と，
このシャー本体を摺動させる油圧シリンダとから構成さ
れている。

【０００３】シャー本体はボックス形状のガイドにガイ
ドされ，油圧シリンダの作動によって押出プレスの押出
口を横切って摺動するようになっている。シャー本体の
先端部にはシャー刃が取付けられてシャー本体に一体化
されており，シャー本体の前方への摺動によって押出材
からディスカードを切断するようになっている。シャー
本体の切刃組付部と反対側には，シャー刃に対し相対摺
動可能なノッカーが組付けられている。このノッカーは
シャー本体内に内蔵された空気圧シリンダまたは油圧シ
リンダ（以下シリンダという）と一体になったロッドに
連結されておりシリンダによってこのノッカーがシャー
刃に沿って摺動するようになっている。すなわち，ノッ
カーはシャー本体の摺動後所定のタイミングで作動する
シリンダによって作動し，シャー刃の先端部より突出し
てシャー刃によって切断されたディスカードを突き払う
ようになっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら，前記し
たシャー装置では，ディスカードの切断作業の際にシャ
ー刃にディスカードが粘着することがあり，これによっ
てシャーの動きが止まり，そのメインテナンスに時間が
かかるという問題があった。さらに，押出製品の生産性
向上のためにディスカードの肉厚が薄くなるまで押圧す
るとシャー刃でディスカードを切断し，続いてノッカー
でシャー刃に粘着したディスカードを払い落とそうとし
てもディスカードがノッカーの側方にずれるため空振り
し，本来のノッカーの役目を果すことができないといっ
た問題があった。

【０００５】

【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために本発明では、ダイスより押出される製品からデ
ィスカードを切離す押出プレスにおけるシャー装置にお
いて、前記シャー装置のシャー本体の略中心部にシャー
本体の軸線方向に沿って横断面が欠円状を有した凹部を
配し、前記ディスカードを押出方向と交叉方向から押し
て前記シャー刃に粘着したディスカードを分離するノッ
カー本体の一部が前記シャー本体の凹部に隣接して前後
摺動自在に設けるとともに、シャー刃の内面には冷却ガ
ス流通を設け、さらに外面に冷却ガスを前記シャー刃に
向かって吹付け可能な冷却手段を設けた構成にする。

【０００６】

【作用】かかる本発明の押出プレスのシャー装置におい
ては，シャー装置のシャー本体の内部ならびに外部を常
時，冷却ガスを流して冷却しておく。一方，ディスカー
ドと製品との切断作業については，押出ステムを前進さ
せて押出が終了した後，コンテナを後退させてディスカ
ードをコンテナの後面から突出させ，続いてシャー装置
のシャー本体を押出方向と交叉方向から鉛直方向に移動
させシャー本体でディスカードを切断すると同時にノッ
カー装置によってディスカードを突き払う。シャー本体
を冷却したため，ノッカー装置によってシャー刃に付着
したディスカードを容易に敲き落とせる。

【０００７】

【実施例】以下図１ないし図９の図面を参照して実施例
について説明する。図１は押出プレス装置の要部平面
図，図２は押出プレスのシャー装置を示す要部縦断面
図，図３は図２のＩＩＩ−ＩＩＩ線に沿う正面図，図４
は図３のＩＶ−ＩＶ線に沿う横断面図，図５は図２のＶ
−Ｖ線に沿う横断面図，図６は図５のＶＩ−ＶＩ線に沿
う要部縦断面図，図７は図６のＶＩＩ−ＶＩＩ線に沿う
断面図，図８は図６のＶＩＩＩ−ＶＩＩＩ線に沿う正面
図，図９はビレットの押出状態を示す断面図である。

【０００８】図示しないマシンベース上の一端側にエン
ドプラテン１２が固設され，他端側にシリンダ取付ブロ
ック１４が設置され，該シリンダ取付ブロック１４に押
出シリンダ１６が固設されている。エンドプラテン１２
は，押出シリンダ１６に対面する側の下部が突出してダ
イス支持部２０となっており，該ダイス支持部２０上に
はダイスライド２２がマシン幅方向にスライド自在に設
置されている。このダイスライド２２にダイス２４が保
持されている。

【０００９】ダイスライド２２は，エンドプラテン１２
の側方に設けられたシリンダ２５によりマシン幅方向に
移動される。そして，エンドプラテン１２の背面（押出
シリンダ１６側の面）に位置された押出運転位置と，エ
ンドプラテン１２の背面から抜け出されたダイス交換位
置との間を往復可能とされている。エンドプラテン１２
の押出シリンダ１６と対面する側の上部にはブラケット
２６が固設されており，該ブラケット２６にシャー装置
２８が設けられている。該シャー装置２８は，後述する
ダイス２４のディスカード８４と製品部８６とを切断す
るためのものであり，シャーシリンダ３０により上下方
向にストロークされるシャー刃４８ａを有したシャー本
体４８を備えている。

【００１０】前記エンドプラテン１２とシリンダ取付ブ
ロック１４とはコラム３４により連結されている。該コ
ラム３４のエンドプラテン１２側の部分にはコンテナガ
イド（図示略）が設けられており，該コンテナガイドに
沿って押出方向に移動自在にコンテナ３８が設置されて
いる。該コンテナ３８を押出方向またはそれと反対方向
に移動させるためにコンテナシリンダ４０がエンドプラ
テン１２に設けられている。コンテナシリンダ４０のピ
ストンロッド４２の先端がコンテナホルダ３８Ａに連結
されており，コンテナシリンダ４０のピストンロッド４
２を前進および後退させることにより，コンテナホルダ
３８Ａを図７の左右方向に移動させることができる。な
お，コンテナホルダ３８Ａに装着されているコンテナ３
８はビレット装填孔４４を有しており，該ビレット装填
孔４４内にはコンテナスリーブ４６が装着されている。

【００１１】コンテナ３８の押出シリンダ１６側にはビ
レットローダ５２が設けられている。ビレットローダ５
２は駆動装置（図示略）によってステム進退域から退避
可能とされている。前記押出シリンダ１６はラム５８を
備えており，該ラム５８の先端にヘッドプレート５６お
よび取付部材５４を介してステム６０が取付けられてい
る。シリンダ１６の上側には図示しないオイルリザーバ
タンクが設けられており，該オイルリザーバタンクと押
出シリンダ１６の後端の作動油導入口とはプレフィルバ
ルブ６６にて接続されている。このプレフィルバルブ６
６にはバタフラィバルブが設置されている。図示しない
導入口には，該導入口を開閉するための弁が設置されて
いる。この弁はシリンダ７２により開閉作動される。押
出シリンダ１６の側方にはサイドシリンダ７６，７８が
設けられており，それらのピストンロッド８０，８２は
前記ヘッドプレート５６に固着されている。

【００１２】次に本発明のシャー装置２８について詳述
する。エンドプラテン１２の上側に前記したブラケット
２６を介してシャーガイドフレーム９０が固設してあ
り，該シャーガイドフレーム９０の上部にはシャーシリ
ンダ３０が配設してある。該シャーシリンダ３０はその
ピストンロッド３０ａの先端に該シャーガイドフレーム
９０とシャーガイド９１に沿って鉛直上下方向にストロ
ーク可能なシャースライド９２が固設されている。該シ
ャースライド９２の中央部分下側にシャー刃４８ａを有
したシャー本体４８が取付けられている。シャー本体４
８の略中心部にシャー本体４８の軸方向に沿って横断面
が欠円状を有した凹部４８ｂに刻設されており，ノッカ
ー本体１０５はシャー本体４８の前記凹部４８ｂに隣接
して配され，シャー本体４８に沿って前後摺動可能とさ
れている。

【００１３】一方，該シャースライド９２の軸方向には
穿設孔１０１が挿通されノッカー装置１００が設けられ
ている。ノッカー装置１００はノッカーシリンダ１０２
およびノッカー本体１０５から構成されている。穿設孔
１０１のないシャースライド９２の上端部分にはノッカ
ーシリンダ１０２が固定されている。ノッカーシリンダ
１０２のピストンロッド１０３の下端に横断面が円形形
状を有したノッカー本体１０５が固着されている。図５
に示すようにシャー本体４８の凹部４８ｂにノッカー本
体１０５の一部が摺動自在に隣接された状態で組込まれ
るため，ディスカード８４の肉厚が薄くともシャー本体
４８に粘着したディスカード８４を確実に払い落とすこ
とができるようになっている。

【００１４】さらに，本発明ではシャー刃４８ａでディ
スカード８４と製品８６を切離す切断作業を繰返し行な
っていると，シャー本体４８が切断作用によって昇温す
るため，この昇温を防止する冷却装置１１０を配備した
構成になっている。すなわち，シャー本体４８の昇温を
防止するために，シャー本体４８の内部を穿設するとと
もに，シャー本体４８の外部に設けたノズル１３０から
同時に，例えば３〜５ｋｇ／ｃｍ^２Ｇの冷却ガスを流通
または吹付けてシャー本体４８を降温させるようになっ
ている。図示しない冷却ガス源から例えば直径８〜１０
ｍｍの冷却用銅管（または鋼管）１２０がブラケット２
６に取付けられたケーブルベアホース１２１内のフレキ
シブルホース１２２を介して冷却用銅管１２３に接続さ
れている。銅管１２３はシャースライド９２の両端近傍
を凹部１２５状に刻設し，それぞれ配設されている。こ
の銅管１２３の先端部はシャースライド９２の先端近傍
でＴ状の２方に分岐される。

【００１５】分岐された一方の配管１２４ａはシャー本
体４８内に穿設された冷却孔１２６に連通されており，
水平方向に穿設された冷却孔１２７を介して大気に開放
されている。他方の配管１２４ｂはシャースライド９２
に刻設された凹部１２５を通ってシャースライド９２の
下端部に開放されており，その配管１２４ｂの端部には
冷却ガスの吹出ノズル１３０が配設され，吹出ノズル１
３０の先端部から吹出した冷却ガスをシャー本体４８に
吹付けるようになっている。

【００１６】このように構成された押出プレスの動作に
ついて説明する。まず，前サイクルの押出中に，次サイ
クル用のビレット８５をビレットローダ５２で受けて上
昇している。そして，押出シリンダ１６のラム５８を前
進させて押出ステム６０を前進させ，ビレット８５をコ
ンテナ３８のビレット装填孔４４内に装填する。

【００１７】このラム５８の前進時には弁が開放され，
ラム５８はサイドシリンダ７６，７８により前進され
る。ラム５８の前進に伴って，オイルリザーバタンクか
ら多量の作動油がプレフィルバルブ６６を経て押出シリ
ンダ１６内に流入する。次に，ビレットローダ５２をコ
ンテナ３８と押出シリンダ１６との間の位置から退避さ
せる。なお，コンテナ３８は予めコンテナシリンダによ
りダイス２４と密着（接触）するように移動されてい
る。このようにビレット８５の装填が終了した後，ラム
５８をさらに前進させ，コンテナ３８とラム５８を一時
的に後退させてダイス２４面を開き，バープサイクルを
行なった後，コンテナ３８を再度前進させてダイス２４
と密着させる。次に押出ステム６０を前進させてビレッ
ト８５をダミーブロック８７を介して強力に押圧してダ
イス２４から製品８６を押出す。

【００１８】ビレット８５が限度量まで押出された段階
で押出ステム６０の前進を停止する。その後，コンテナ
３８を若干後退させ，図１に示すビレット８５の残余で
あるディスカード８４がコンテナ３８から突出した状態
とし押出ステム６０は押出シリンダ１６側へ後退する。
なお，この際，ディスカード８４の前端面とダイス２４
の後端面とがシャー本体４８の刃先の鉛直下方に位置す
るようになっている。しかる後，シャーシリンダ３０を
作動させ，シャー本体４８を下降させ，ディスカード８
４と製品８６とを切断，分離する。こうした切断動作を
繰返し行なっているとシャー本体４８は次第に昇温す
る。昇温によってシャー本体４８にディスカード８４が
粘着することを防止するため，図示しないガス供給機を
駆動させ冷却ガスを冷却用銅管１２０→フレキシブルホ
ース１２２→冷却用銅管１２３を介してシャー本体４８
と吹出ノズル１３０の両方に同時に分給される。シャー
本体４８側へ供給された冷却ガスは冷却孔１２６→１２
７を介して大気に放出される。

【００１９】一方，吹出ノズル１３０側へ供給された冷
却ガスはノズル１３０の先端部からシャー本体４８の外
面に吹付けられる。このように，昇温したシャー本体４
８は内・外面から冷却ガスを流通および吹付けによって
降温しディスカード８４がシャー本体４８に粘着するこ
とを防止する。仮にディスカード８４がシャー本体４８
に粘着してもノッカーシリンダ１０２を作動させること
によりノッカー本体１０５を鉛直下方に移動させ，ディ
スカード８４をシャー本体４８から容易に敲き落とすこ
とができる。なお，このディスカード８４と製品８６と
の切断を行なう場合にも，ディスカード８４の下方に適
宜の受け部材を配置しておき，ディスカード８４を受け
止めるようにする。

【００２０】本実施例において、押出プレスのシャー装
置を直接押出プレスについて述べたが、間接押出プレス
についても同様の効果が得られる。また、冷却装置１１
０への冷却ガスの流通はシャー本体４８の昇温途中に限
定するものでなく、昇温前から流通させてもよい。さら
に、シャー刃４８ａに刻設した凹部４８ｂは欠円形に限
定するものでなく別の形状のものでもよい。

【００２１】

【発明の効果】以上説明したことからも明らかなよう
に、本発明では、ダイスより押出される製品からディス
カードを切離す押出プレスにおけるシャー装置におい
て、前記シャー装置のシャー本体の略中心部にシャー本
体の軸線方向に沿って横断面が欠円状を有した凹部を配
し、前記ディスカードを押出方向と交叉方向から押して
前記シャー刃に粘着したディスカードを分離するノッカ
ー本体の一部が前記シャー本体の凹部に隣接して前後摺
動自在に設けるとともに、シャー刃の内面には冷却ガス
流通を設け、さらに外面に冷却ガスを前記シャー刃に向
かって吹付け可能な冷却手段を設けたことにより、シャ
ー本体へのディスカードの粘着が確実に防止されるため
メインテナンスが容易となり、押出プレス装置の稼働効
率の向上が図れる。また、ディスカードの肉厚が薄くな
るまで押圧できるため、押出製品の生産性が大幅にアッ
プする。

【図面の簡単な説明】

【図１】押出プレス装置の要部平面図である。

【図２】押出プレスのシャー装置を示す要部縦断面図で
ある。

【図３】図２のＩＩＩ−ＩＩＩ線に沿う正面図である。

【図４】図３のＩＶ−ＩＶ線に沿う横断面図である。

【図５】図２のＶ−Ｖ線に沿う横断面図である。

【図６】図５のＶＩ−ＶＩ線に沿う要部縦断面図であ
る。

【図７】図６のＶＩＩ−ＶＩＩ線に沿う断面図である。

【図８】図６のＶＩＩＩ−ＶＩＩＩ線に沿う正面図であ
る。

【図９】ビレットの押出状態を示す断面図である。

【符号の説明】

１２ エンドプラテン １６ 押出シリンダ ２４ ダイス ２６ ブラケット ２８ シャー装置 ３０ シャーシリンダ ３８ コンテナ ３８Ａ コンテナホルダ ４６ コンテナスリーブ ４８ シャー本体 ４８ａ シャー刃 ４８ｂ 凹部 ６０ 押出ステム ８４ ディスカード ８５ ビレット ８６ 製品 ９０ シャーガイドフレーム ９１ シャーガイド ９２ シャースライド １００ ノッカー装置 １０２ ノッカーシリンダ １０５ ノッカー本体 １１０ 冷却装置 １２０，１２３，１２６，１２７ 冷却孔 １２５ 凹部 １３０ 吹出ノズル

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ダイスより押出される製品からディスカ
   ードを切離す押出プレスにおけるシャー装置において、
   前記シャー装置のシャー本体の略中心部にシャー本体の
   軸線方向に沿って横断面が欠円状を有した凹部を配し、
   前記ディスカードを押出方向と交叉方向から押して前記
   シャー刃に粘着したディスカードを分離するノッカー本
   体の一部が前記シャー本体の凹部に隣接して前後摺動自
   在に設けるとともに、シャー刃の内面には冷却ガス流通
   を設け、さらに外面に冷却ガスを前記シャー刃に向かっ
   て吹付け可能な冷却手段を設けたことを特徴とする押出
   プレスにおけるシャー装置。