JP2943213B2 - 芳香族ポリアミド - Google Patents

芳香族ポリアミド

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【発明の詳細な説明】 本発明は、高い耐熱性と機械的強度とを有する新規な
構造を持った芳香族ポリアミドに関するものである。
本発明は、下式の反復単位I、IIおよびIIIから選択
される少なくとも二種類の反復単位の下式の反復単位IV
とから実質的に構成され、 (上式中、nは、0〜3の整数、Xは、スルホニル基、
カルボニル基、アルケニル基、酸素原子、硫黄原子、エ
ステル結合および直接結合を示す。)反復単位I+II+
IIIは反復単位IVと実質的に等モルであり、反復単位I
及び/又はIIは反復単位I+II+IIIに対して5〜100モ
ル%で存在することを特徴とする新規な芳香族ポリアミ
ドに関する。
本発明の芳香族ポリアミドを形成している反復単位I
は、3,3′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジカルボン
酸、そのジカルボン酸エステル、ジカルボン酸ハロゲン
化物などから誘導されたものである。
本発明の芳香族ポリアミドを形成している反復単位II
は、3,4′−ジメチルビフェニル−4,3′−ジカルボン
酸、そのジカルボン酸エステル、ジカルボン酸ハロゲン
化物などから誘導されたものである。
上記3,3′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジカルボン
酸および3,4′−ジメチルビフェニル−4,3′−ジカルボ
ン酸は、例えばオルトトルイル酸アルキルの酸化カップ
リング反応によって合成することができる(特願昭63−
267202号および特願平1−211334号)。
本発明の芳香族ポリアミドを形成している反復単位II
Iは、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、4、4′−
ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4′
−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4′−ジカル
ボン酸、ジフェニルケトン−4,4′−ジカルボン酸、2,
2′−ジフェニルプロパン−4,4′−ジカルボン酸、これ
らの酸エステル、酸ハロゲン化物などから誘導されたも
のである。このうちテレフタル酸、この酸エステル、酸
ハロゲン化物などから誘導されたものが最も好ましい。
反復単位IIIとして上記の酸あるいはその誘導体を単
独、又は混合して用いることができる。
本発明の芳香族ポリアミドを形成している反復単位IV
は、例えばパラフェニレンジアミン、メタフェニレンジ
アミン、オルソトリジン、4,4′−ジフェルジアミン、
ジフェニルエーテル−4,4′−ジアミン、ジフェニルス
ルホン−4,4′−ジアミン、ジフェニルケトン−4,4′−
ジアミン、2,2′−ジフェニルプロパン−4,4′−ジアミ
ン、ビス[(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホ
ン、ビス(アミノフェノキシ)ベンゼンなどから誘導さ
れたものである。このうちパラフェニレンジアミンから
誘導されたものが最も好ましい。反復単位IVとして上記
のジアミン化合物を単独、又は混合して用いることがで
きる。
上記反復単位III、IVにおいて、ベンゼン環の水素の
少なくとも一つが、メチル基、エチル基、プロピル基な
どの低級アルキル基、メトキシ基、エトキシ基などのア
ルコキシ基、塩基、臭素などのハロゲン原子などの置換
基で置換されていてもよい。
本発明の芳香族ポリアミドは、実質的に反復単位I、
IIおよびIIIから選択される少なくとも二種類の反復単
位と反復単位IVとから構成されるものであり、反復単位
I+II+IIIとIVとは実質的に等モル量で存在し、且つ
反復単位I+IIとIIIとのモル比が5/95〜100/0である。
前記の反復単位I、II及びIIIの少なくとも一つが他
のジカルボキシ反復単位によって僅かに置換されていて
もよい。他のジカルボキシ反復単位の具体例としては、
ナフタリン−1,5−ジカルボン酸、ナフタリン−1,4−ジ
カルボン酸、ナフタリン−2,6−ジカルボン酸、ナフタ
リン−2,7−ジカルボン酸などから誘導されるようなジ
カルボキシ単位を挙げることができる。これらの置換反
復単位の置換割合は、反復単位I+II+IIIに対して10
モル%以下であることが好ましい。
本発明の芳香族ポリアミドの製造法には特に制限はな
く、公知の共重縮合反応によって製造することができ
る。例えば、溶融重合法、溶液重合法、界面重合法など
を挙げることができる。
溶液重合法においては、有機溶媒中で前記ジカルボン
酸成分とジアミン成分とを反応させることにより製造さ
れる。有機溶媒の具体例としては、N,N−ジメチルホル
ムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチル
プロピオンアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、N,N,
N,N−テトラメチル尿素、N−メチルカプロラクタム等
のアミド類;N−メチル−2−ピロリドン、1,5−ジメチ
ル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン等
のピロリドン類の一種以上の単独もしくは混合溶媒、前
記ピロリドン類とジメチルスルホキシド、テトラヒドロ
フラン、トリメチルクロルシラン、トリエチルクロルシ
ラン、ジメチルジクロルシラン等との混合溶媒を挙げる
ことができる。
上述したアセトアミドあるいはN−メチル−2−ピロ
リドン等の塩基性窒素含有化合物は、優れた反応媒体で
あると共に上記ジアミンとジカルボン酸ハライドとの共
重縮合により副生するハロゲン化水素を捕捉して、共重
縮合を促進する酸結合剤としても作用する。勿論、反応
媒体として、クロロホルム、メチルエチルケトン、テト
ラメチレンスルホン等の塩基性窒素を含有しない極性有
機溶媒を使用する場合には、トリエチルアミン、ピリジ
ン、ジメチルアニリン等の第3級アミン類や炭酸ナトリ
ウム、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウ
ム等の無機アルカリ剤を酸結合剤として存在させるのが
好ましい。
有機溶媒中には、溶解助剤として塩化リチウム、塩化
カルシウム等を含有させておいてもよい。これらの無機
塩化物を用いることによって、ポリアミドの重合度を高
めることができる。
高分子量のポリアミドを製造する場合には、後述する
実施例に示す通り、反応系中に存在する不純物の量や水
分の量をできるだけ少なくするように、精製された反応
体および溶媒を使用し且つ水分を含有しない不活性雰囲
気、例えば乾燥された窒素気流中で共重縮合反応を行う
ことが望ましい。
共重縮合は反応の初期においてはできるだけ低い温
度、例えば50℃以下の温度で行うのがよく、また一般的
には前記ジアミンを適当な有機溶媒に溶解させた溶液を
冷却下に保ち、この溶液に前記ジカルボン酸の反応性誘
導体を添加して共重縮合を行うことができる。前記ジカ
ルボン酸の反応性誘導体は同時にまたは別々にジアミン
と反応させることができる。共重縮合はバッチ式でも、
連続式でも実施できる。
本発明の新規な芳香族ポリアミドは、フィルム、繊
維、シート等に成形させるのに必要な高分子量、即ち9
9.8%の濃硫酸中、0.5g/dlの濃度且つ30℃の温度で測定
した対数粘度(ηinh)が少なくとも0.5dl/g以上の範囲
にあることが望ましい。ここで対数粘度(ηinh)と
は、下記式で定義される測定値である。
ηinh=In(ηreL)/C 式中、Cは重合体溶液の濃度(重合体g/溶媒100ml)
であり、且つηreLは相対粘度、即ち毛細管粘度計で測
定した重合体溶液および溶媒の流動時間の比である。
本発明の芳香族ポリアミドは、種々の溶媒、例えば前
記した有機溶媒のほか濃硫酸や発煙硫酸に容易に溶解す
るので、この溶液を用いて種々の成形品、例えばフィル
ム、繊維、シート等に成形することができる。例えば、
フィルムの成形にはそれ自体周知のキャスティング法を
使用することができ、また、繊維の成形にはそれ自体周
知の乾式紡糸あるいは湿式紡糸技術を用いることができ
る。
また、本発明による芳香族ポリアミドは、上述した溶
液の形で各種基質への保護被覆を設けるための塗料とし
て、あるいは金属基体に対する接着剤等としての利用に
も供し得る。
本発明の芳香族ポリアミドには、それ自体公知の処方
に従い周知の配合剤、例えば酸化防止剤、熱安定剤、紫
外線吸収剤、着色剤、充填剤、難熱剤、艶消剤等を配合
してもよい。
〔実施例〕
以下に本発明の実施例を説明する。
(測定方法) 本発明における実施例で示されている熱分解開始温度
は、DuPont990 TGA装置を用い、試料を窒素中、10℃/
分で昇温し、重量の経時変化を観測した。
実施例1 管状電気炉中、窒素気流下200℃にてCaCl2を10時間加
熱処理し、CaH2で乾燥後蒸留したN−メチルピロリドン
に溶解して4%の溶液を調製した。
窒素雰囲気下で、パラフェニレンジアミン0.860g(7.
95mM)を前記CaCl2のN−メチルピロリドン溶液45mlに
溶解した。この溶液を氷冷し、3,3′−ジメチルビフェ
ニル−4,4′−ジカルボン酸ジクロライド2.450g(7.98m
M)を添加して8時間氷冷下に撹拌を続けた。
重合溶液を水・メタノール(250ml/250ml)混合溶液
に移し、得られた固体をホモミキサーで粉砕し、濾過、
水洗、アセトン洗浄の後に乾燥した。生成したポリアミ
ドは2.67g(収率98%)で、ポリマーの元素分析値は、
C:76.12%、H;5.45%、N;8.25%であり、C22H18N2O2
らの計算値、C;77.17%、H;5.30%、N;8.18%とよく一
致した。
ポリマーの対数粘度は0.93、熱分解開始温度は458℃
であった。
実施例2 4,4′−ジアミノジフェニルエーテル2.073g(10.35m
M)をCaCl2含有N−メチルピロリドン溶液60mlに溶か
し、3,3′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジカルボン酸
ジクロライド3.189g(10.38mM)を用いた以外は実施例
1と同様にポリアミドを製造した。生成したポリアミド
は4.362g(収率97%)で、ポリマーの元素分析値は、C;
76.08%、H;5.26%、N;6.42%であり、C28H22N2O3から
の計算値、C;77.40%、H;5.10%、N;6.45%とよく一致
した。
ポリマーの対数粘度は0.91、熱分解開始温度は453℃
であった。
実施例3 パラフェニレンジアミン0.759g(7.02mM)のCaCl2
有N−メチルピロリドン溶液、3,3′−ジメチルビフェ
ニル−4,4′−ジカルボン酸ジクロライド1.08g(3.5m
M)と3,4′−ジメチルビフェニル−4,3′−ジカルボン
酸ジクロライド1.08g(3.51mM)を用いた以外は実施例
1と同様にポリアミドを製造した。生成したポリアミド
は2.356g(収率98%)で、ポリマーの元素分析値は、C;
76.33%、H;5.40%、N;8.25%であり、C22H18N2O2から
の計算値、C;77.17%、H;5.30%、N;8.18%とよく一致
した。
ポリマーの対数粘度は1.05、熱分解開始温度は415℃
であった。
実施例4 パラフェニレンジアミン0.892g(8.24mM)のCaCl2
有N−メチルピロリドン溶液、3,3′−ジメチルビフェ
ニル−4,4′−ジカルボン酸ジクロライド1.268g(4.1m
M)とテレフタ酸ジクロライド0.836g(4.0mM)を用いた
以外は実施例1と同様にポリアミドを製造した。生成し
たポリアミドは2.328g(収率99%)で、ポリマーの元素
分析値は、C;73.47%、H;5.02%、N;9.36%であり、C18
H14N2O2からの計算値、C;74.47%、H;4.86%、N;9.65%
とよく一致した。
ポリマーの対数粘度は1.02、熱分解開始温度は500℃
であった。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下式の反復単位I、IIおよびIIIから選択
    される少なくとも二種類の反復単位と下式の反復単位IV とから実質的に構成され、反復単位I+II+IIIは反復
    単位IVと実質的に等モルであり、反復単位I及び/又は
    IIは反復単位I+II+IIIに対して5〜100モル%で存在
    することを特徴とする芳香族ポリアミド。
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