JP2941154B2 - 方向性けい素鋼板の適正製造条件の判定方法 - Google Patents

方向性けい素鋼板の適正製造条件の判定方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、変圧器等に使用される
方向性けい素鋼板に係わり、特に、方向性けい素鋼板製
造過程中における適正製造条件の判定方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、省エネルギー技術が着目され、電
力ロスの低減を目的とし、変圧器の損失を低減する努力
がなされている。このためトランスその他の電気機器の
鉄心として利用される方向性けい素鋼板の鉄損(W
17/50 の値で代表される)の低減の要求は高くなってい
る。
【0003】そのためには、(110)[001] 方位の二次再
結晶粒を安定して得ることと、最終製品の鋼板中に存在
する不純物や折出物をできるだけ減少させることが必要
である。方位の良い二次再結晶粒を得るためには、最終
仕上げ焼鈍前の脱炭焼鈍工程が重要であることが特開昭
54−160514号公報、特開昭59−35624 号公報、特開昭59
−185725号公報、特開昭60−121222号公報、特開昭61−
48529 号公報、特開平2−274817号公報などで指摘され
ている。
【0004】そのなかでも特開昭59−35624 号公報には
脱炭焼鈍時に鋼板表面に生成する酸化物層すなわち内部
酸化層の性質が磁気特性に大きな影響を与えることが指
摘されている。従って、脱炭焼鈍時に生成する内部酸化
層を制御することが重要であるが、最終仕上げ焼鈍後の
最終製品の磁気特性あるいは被膜特性により脱炭焼鈍条
件の良否を判定したのでは、最終仕上げ焼鈍のように脱
炭焼鈍以降の工程に1〜3週間の日時を要する場合、脱
炭焼鈍条件の変動に起因する最終製品の磁気特性あるい
は被膜の不良を見いだすまでに1〜3週間以上の日時を
要するので、その間脱炭焼鈍条件が不適のままで通板さ
れる量は膨大なもので、多額の損失に結び付くことも有
り得る。そのため、工程途中での迅速な材質チェック方
法の確立が以前から強く要望されていた。
【0005】脱炭焼鈍板の材質チェックの方法として
は、特開昭59−185725号公報に開示されているように内
部酸化層の酸素量を化学分析する方法があるが、分析に
はある程度の時間が必要なため迅速なチェックができな
い。また、この方法では板厚方向の質の変化がわから
ず、酸素量に差異がなくても、製品特性が全く異なるこ
とがある。
【0006】内部酸化層の板厚方向変化を知るには電子
顕微鏡による断面観察などの手段もあるが、これは微小
領域の情報であり、定量評価もできず、試料採取から観
察までの工数もかかることから製品の途中工程で定常的
に実施することは実際的でない。また、特開昭54−1615
19号公報では脱炭焼鈍処理された鋼板より試料を切り出
し、これを水溶液系腐食液中に浸漬し、同時に浸漬して
ある比較対極との間に生ずる電極電位あるいは電流を測
定して、脱炭焼鈍処理条件を判定する方法が開示されて
いるが、この方法では同一条件で処理した試料でも、結
果の再現性に問題があった。
【0007】その理由としては、比較対極を腐食液中
に浸漬するため同時に侵されること、腐食液中での試
料極と比較対極での反応は全く個別に進行し、互いに関
連がないこと、腐食液中での試料極の反応速度あるい
は反応形態などは全く制御されていないので、腐食液の
時間による劣化や腐食反応の発熱により液温の変動によ
って反応速度が無秩序に変動すること、などが挙げられ
る。
【0008】また、方向性けい素鋼板は、仕上げ焼鈍
後、鋼板表面の未反応のマグネシアを除去するため水洗
された後、酸洗が行われる。鋼板はその後、表面酸化物
(通常はフォルステライト[Mg2SlO4] である)被膜上に
りん酸塩系絶縁被膜をコーティングした後、製品として
出荷される。その鉄損値も年を追って改善され、最近で
は板厚0.23mmの製品でW17/50 値が0.85W/kgの低鉄損
のものが得られている。
【0009】りん酸塩系絶縁被膜により、鋼板には張力
が付与され、従って磁区が細分化し、鉄損は改善される
ことが知られている。従来、張力効果を向上させるため
にりん酸塩系絶縁被膜の組成・焼付け条件等の検討が多
くなされてきている。しかし、絶縁被膜とフォルステラ
イト被膜の密着性という観点にたち、フォルステライト
被膜表面の緻密性が絶縁被膜の張力付与効果に及ぼす影
響を検討した例はほとんどない。
【0010】また、フォルステ被膜表面の緻密性を簡便
にかつ定量的に評価する方法も従来はなかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、方向
性けい素鋼板の製造過程に関し、例えば、脱炭焼鈍後や
最終焼鈍後等の特定時期において、その製造条件が最終
特性に照らし合わせて、適正か否かを迅速に、かつ再現
性良く判定することのできる方法を提供することであ
る。
【0012】特に、脱炭焼鈍条件が電磁特性やフォルス
テライト被膜表面の緻密性に及ぼす影響に関し、その条
件が適正か否かを簡便かつ定量的に評価する方法を提供
するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、方向性けい素
鋼板の製造過程の特定の時期において、該鋼板より試料
を切出し、その片面を電解質溶液に接触させ試料極と
し、該電解質溶液内で試料極から一定の距離にある対極
との間に定電流を流し、その際に生じる電圧の経時変化
によって、該特定時期での製造条件の適正を判定するこ
とを特徴とする方向性けい素鋼板の適正製造条件の判定
方法であり、特定の時期は特に限定されるものでない
が、脱炭焼鈍後の時期や最終焼鈍後の時期等に有利に適
用することができる。
【0014】
【作用】本発明者らは、上記課題を達成するためについ
て鋭意検討を行った結果、以下の方法を発明するにいた
った。測定法の概略を図1(a)に示す。試料の非測定
面は電気導通状態にして用いる方が良い。そして、定面
積が電解質溶液に接するように試料をセッティングす
る。電解質溶液にはNaCl水溶液などを用いればよい。測
定は例えば試料を+極とし、−極をPtなどの対極として
定電流を流して行い、一定時間経過後の電圧値によって
表面の評価を行うことができる。定電流電源および電圧
測定にはガルバノスタットなどを、参照電極には銀−塩
化銀電極などを用いればよい。
【0015】次に、この測定に用いることができる装置
一式を図1(b)に示す。測定によって得られる電圧変
化の信号はレコーダー等に入力して変化曲線を描かせれ
ばよい。また、パソコン等に入力してデータを処理して
もよい。まず、本発明者らは、脱炭焼鈍工程で生成する
内部酸化層の性質を簡便に把握し、脱炭焼鈍処理条件の
変動を迅速にチェックする方法について鋭意検討を行っ
た。
【0016】測定法の概略は図1(a)に示すとおりで
ある。試料の非測定面は電気導通状態にして用いる方が
良い。そして、内部酸化層面の一定面積が電解質溶液に
接するように試料をセッティングする。電解質溶液には
NaCl水溶液などを用いればよい。測定は試料極と例えば
Ptなどの対極間に定電流を流して行い、その際に生ずる
電圧変化のプロファイルによって内部酸化層の評価を行
うことができる。定電流電源および電圧測定にはガルバ
ノスタットなどを、参照電極には銀一塩化銀電極などを
用いればよい。
【0017】得られる電圧変化曲線は内部酸化層が表面
から板厚方向に壊れていく過程を示している。実際、電
解質溶液の濃度および定電流値を高くすると、測定終了
後の測定面は地鉄が露出した状態になる。また、電解質
溶液の濃度および定電流値を低くすると、測定終了後の
測定面は内部酸化層の表層部のみが除去された状態にな
る。電解質溶液の濃度あるいは定電流値を適当に変える
ことによって、任意の深さまでの内部酸化層の性質を知
ることができる。また、測定面積は試料が電解質溶液に
接する面積を変えることで自由に変化させ得るので、微
少な領域から大きな領域の情報まで任意に得ることがで
きる。なお、測定に要する時間は数分であるので、結果
は迅速に得ることができる。
【0018】測定条件 0.5wt%NaCl水溶液、75mA定電
流(以下、条件Aとする)の場合に得られる電圧変化曲
線の模式図を図2に示す。脱炭焼鈍処理条件によってI
〜IV領域の幅が変化するので、あらかじめ脱炭焼鈍処理
条件を変化させた場合について、各領域幅の変化を調査
しておくことにより、脱炭焼鈍処理条件の変動因子を把
握することができる。
【0019】実際、表1に示す化学組成を有するけい素
鋼塊を熱間圧延した後、1回の中間焼鈍をはさんで0.22
mm厚まで冷間圧延し、雰囲気露点60℃の湿潤水素気流中
840℃で実質 120秒の脱炭焼鈍を施した試料について条
件Aでの測定結果を図3(a)に示す。この時測定終了
後の測定面は地鉄が露出する状態であった。この測定を
隣接する同一試料片で10回行って各領域幅について調べ
た結果を表2に示す。これから測定の再現性は非常に良
いことがわかる。
【0020】また、同一試片を測定条件 0.1wt%NaCl水
溶液、15mA定電流(以下、条件Bとする)で測定した
結果を図3(b)に示す。領域I、IIの幅が条件Aでの
結果より広がっていて、しかも領域III 、IVはみられな
い。この時の測定終了後の測定面は内部酸化層の表層部
のみが除去された状態であった。従って条件Bにより内
部酸化層の表層部の情報が詳しくわかる。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】また、表3に示す化学組成を有するけい素
鋼塊を熱間圧延し、1回の中間焼鈍をはさんで0.22mm厚
まで冷間圧延した後、以下の(a)〜(c)の3グルー
プに分けて3種の脱炭焼鈍を行った。 (a)雰囲気露点50℃、水素雰囲気、 840℃× 120秒 (b)雰囲気露点60℃、水素雰囲気、 840℃× 120秒 (c)雰囲気露点70℃、水素雰囲気、 840℃× 120秒 その後、これらの鋼板の界面に主として MgOからなる焼
鈍分離剤を塗布して仕上げ焼鈍を行い、一方向性電磁鋼
板を得た。その時の平均の磁気特性および脱炭焼鈍した
試料片について図1(a)、(b)に示した方法及び測
定装置一式で測定した結果(条件A)を表4に示す。脱
炭処理条件によって電圧変化曲線の各領域幅が変化する
ことがわかる。
【0024】
【表3】
【0025】
【表4】
【0026】比較例として特開昭54−161519号公報に開
示された手法による測定例を図4に示すが、測定の再現
性が乏しく、かつ試料(a)、(b)、(c)の判別も
困難である。次に、本発明者らは、最終焼鈍後のフォル
ステライト被膜表面の緻密性を測定し、磁気特性に及ぼ
す影響を検討した。
【0027】一定時間経過後の電圧値はフォルステライ
ト被膜表面の緻密性を示している。この時、測定は被膜
を壊さないような条件で行うことが必要である。即ち、
電解質溶液の濃度および定電流値を必要以上に高くする
と被膜が壊れてしまうので、緻密性の評価にならない。
また、測定面積は試料が電解質溶液に接する面積を変え
ることで自由に変化させ得るので、微少な領域から大き
な領域の情報まで任意に得ることができる。なお、測定
に要する時間は数分であるので、結果は迅速に得ること
ができる。
【0028】測定条件 0.1wt%NaCl水溶液、3mA定電
流の場合に得られる電圧変化曲線の模式図を図5に示
す。フォルステライト被膜には地鉄に達する細かい孔が
あるので電流が流れる。例えば、緻密性評価の指標とし
ては、電圧変化の程度がほぼ一定に落ち着く通電開始2
分後の電圧値(VFA)を採用することができる。最終仕
上げ焼鈍後の鋼板(FA板)の場合、表面にはフォルステ
ライト被膜が存在するので、地鉄が全面に露出している
場合に比べて、一定電流が流れるための電圧は高くな
る。従ってこの測定電圧が高いと言うことは、FA板表面
の被膜の緻密性が高いことを意味する。すなわち、電圧
値VFAが低いほど被膜表面の空孔度は高いと考えられ
る。
【0029】一方、特開昭58−144429号公報によれば、
「FA板において、SあるいはSeは地鉄とフォルステラ
イト被膜の界面に存在し、酸洗によってS、Seを一定量
以下に除去することができる。」と報告されている。従
って、一定条件の酸洗によって被膜から失われるSある
いはSeの減少率も、FA板表面の被膜の緻密性と関係
し、被膜の空孔度が高いほどSあるいはSeの減少率は大
きいと思われる。実際、素材鋼塊の代表的成分が表5で
ある各種FA板(0.22mm板厚)について、りん酸濃度2
%、温度25℃、時間30秒の条件でりん酸酸洗(P−Pic
k)を行い、P−Pick前後でのSe分析値の減少率と電圧
値VFAとの対応を調べると図6のようになり、高い相関
性が得られた。この結果は、被膜の緻密性評価の指標と
して電圧値V FAが有効であることを裏付けると言える。
【0030】
【表5】
【0031】次に、代表的な成分が表6である0.22mm板
厚の最終仕上げ焼鈍板のVFA値と、絶縁被膜コーティン
グ後の鉄損(W17/50 値)の向上代〔(FA板の鉄損)−
(コーティング板の鉄損)〕との関係を図7に示す。こ
の結果から、張力コーティングによる鉄損の向上は、フ
ォルステライト被膜の緻密性が高いほど大きいわけでは
なく、ある程度被膜表面に微細な空孔が多く存在するほ
うが鉄損の向上が大きいことが新たにわかった。その理
由としては、コーティングがしっかり被膜−地鉄界面に
入り込んで張力効果がより働くようになるからと考えら
れる。また、図7からVFA値が 0.9〜1.2 (V)である
ように製造条件を制御すれば、張力コーティングによる
鉄損の向上代を最も大きくできることがわかる。
【0032】
【表6】
【0033】また、代表的な成分が表7である0.22mm板
厚の最終仕上げ焼鈍板のVFA値と、絶縁被膜コーティン
グ後の鉄損(W17/50 値)の向上代〔(FA板の鉄損)
−(コーティング板の鉄損)〕との関係を図8に示す。
この結果から、インヒビター成分にAlを含む場合はVFA
値が 1.0〜1.4 (V)であるように製造条件を制御すれ
ば、張力コーティングによる鉄損の向上代を最も大きく
できることがわかる。
【0034】
【表7】
【0035】また、表8に示す化学組成を有するけい素
鋼塊を熱間圧延し、1回の中間焼鈍をはさんで0.22mm厚
まで冷間圧延した後、以下の(a)(b)の2グループ
に分けて2種の脱炭焼鈍を行った。 (a)雰囲気露点60℃、水素雰囲気、 840℃× 120秒 (b)雰囲気露点60℃、水素雰囲気、 840℃×90秒+ 8
70℃×30秒 その後、これらの鋼板の表面に主として MgOからなる焼
鈍分離剤を塗布して仕上げ焼鈍を行い、一方向性電磁鋼
板を得た。各試料のVFA(n=10)は表9のようにな
り、脱炭焼鈍の条件を(a)から(b)に変更すること
で、VFA値を最適範囲である 0.9〜1.2 (V)の範囲に
することができることがわかった。
【0036】
【表8】
【0037】
【表9】
【0038】
【実施例】
実施例1 0.22mm板厚の脱炭焼鈍前の方向性けい素鋼板20コイルを
2分割し、一方を脱炭焼鈍時、露点・水素雰囲気濃度・
昇温速度・均熱温度・コイル通板速度等の焼鈍条件を変
更し、本発明の手法によって内部酸化層の性状が一定に
なるように20コイルの脱炭条件を制御した。
【0039】一方、分別残存コイル20コイルは、従来方
法である特開昭54−161519号公報に開示された手法によ
って脱炭焼鈍条件を制御し、内部酸化層の性状が一定に
なるように処理した。脱炭焼鈍後のコイルは通常の製造
方法に従い、 MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、
コイル状に巻取って最終仕上げ焼鈍を行った後、張力コ
ーティングを鋼板表面に付与した。これらの磁気特性の
測定結果を表10に示す。本発明の手法により脱炭焼鈍条
件を制御することによって得られる製品の磁気特性のば
らつきは少なくなり、平均の特性も向上した。
【0040】
【表10】
【0041】実施例2 代表的成分が表11である0.22mm板厚の脱炭焼鈍前の方向
性けい素鋼板20コイルを2分割し、一方をVFA値を 0.9
〜1.2 (V)の範囲に制御する目的で、脱炭焼鈍時、露
点・水素雰囲気濃度・昇温速度・均熱温度・コイル通板
速度等の焼鈍条件を変更し、特に焼鈍後半の均熱温度が
従来より高くなるようにした。
【0042】一方、分別残存コイル20コイルは、従来の
条件によって脱炭焼鈍を実施した。脱炭焼鈍後のコイル
は通常の製造方法に従い、 MgOを主成分とする焼鈍分離
剤を塗布し、コイル状に巻取って最終仕上げ焼鈍を行っ
た後、張力コーティングを鋼板表面に付与した。最終仕
上げ焼鈍板を一部採取し、測定したVFA値の結果を表12
に示す。脱炭焼鈍条件を変更することで、VFA値を 0.9
〜1.2 (V)の範囲に制御できていることがわかる。ま
た、磁気特性の結果を表13に示す。本発明の手法で得ら
れるVFA値を、一定範囲に制御することで得られる製品
の磁気特性は向上し、ばらつきも少なくなった。
【0043】
【表11】
【0044】
【表12】
【0045】
【表13】
【0046】
【発明の効果】本発明により、方向性けい素鋼板の製造
過程の特定の時期、例えば、脱炭焼鈍後、あるいは最終
焼鈍後に鋼板より試料を切り出し、その片面を電解質溶
液に接触させ試料極とし、該電解質溶液内で試料極から
一定距離にある対極との間に定電流を流し、その際に生
じる電圧の経時変化によって、脱炭焼鈍処理条件時の内
部酸化層の性状が一定になるように脱炭条件を制御する
ことによって、あるいはフォルステライト被膜の緻密性
を制御することによって得られる製品の磁気特性のばら
つきは少なくなり、平均の特性も向上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の測定方法及び装置の概略図。
【図2】本発明法で測定した電圧変化曲線の模式図。
【図3】本発明法で測定した電圧変化曲線の模式図。
【図4】従来法による起電力の変化を示すグラフ。
【図5】本発明法で測定した電圧変化曲線の模式図。
【図6】本発明の測定法によって得られた電磁鋼板の最
終仕上げ焼鈍板のフォルステライト被膜の緻密性を示す
電圧値VFAと、りん酸酸洗(濃度2%、温度25℃、時間
30秒)前後でのSeの減少率との対応を示すグラフ。
【図7】VFA値と絶縁被膜コーティング後の鉄損(W
17/50 値)の向上代〔(FA板の鉄損)−(コーティン
グ板の鉄損)〕との関係を示すグラフ。
【図8】VFA値と絶縁被膜コーティング後の鉄損(W
17/50 値)の向上代〔(FA板の鉄損)−(コーティン
グ板の鉄損)〕との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1 参照電極用コード 2 定電流通電用及び電位差測定用コード 3 電圧変化入出力用コード
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹内 文彦 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社 技術研究本部内 (56)参考文献 特開 昭59−204751(JP,A) 特開 昭54−161519(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 27/416 G01N 33/20 C21D 3/04 C21D 9/46

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 方向性けい素鋼板の製造過程の特定の時
    期において、該鋼板より試料を切出し、その片面を電解
    質溶液に接触させ試料極とし、該電解質溶液内で試料極
    から一定の距離にある対極との間に定電流を流し、その
    際に生じる電圧の経時変化によって、該特定時期での製
    造条件の適正を判定することを特徴とする方向性けい素
    鋼板の適正製造条件の判定方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の特定の時期が、脱炭焼鈍
    後であることを特徴とする方向性けい素鋼板の適正製造
    条件の判定方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の特定の時期が、最終焼鈍
    後であることを特徴とする方向性けい素鋼板の適正製造
    条件の判定方法。
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