JP2940851B2 - 印刷用塗被紙 - Google Patents

印刷用塗被紙

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JP2940851B2 JP6186908A JP18690894A JP2940851B2 JP 2940851 B2 JP2940851 B2 JP 2940851B2 JP 6186908 A JP6186908 A JP 6186908A JP 18690894 A JP18690894 A JP 18690894A JP 2940851 B2 JP2940851 B2 JP 2940851B2
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    • D21PAPER-MAKING; PRODUCTION OF CELLULOSE
    • D21HPULP COMPOSITIONS; PREPARATION THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASSES D21C OR D21D; IMPREGNATING OR COATING OF PAPER; TREATMENT OF FINISHED PAPER NOT COVERED BY CLASS B31 OR SUBCLASS D21G; PAPER NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
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    • D21H19/42Coatings with pigments characterised by the pigments at least partly organic

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、印刷適性の優れた高光
沢塗被紙の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】顔料とそのバインダーからなる塗被層を
有するコート紙は高級印刷用紙として用いられており、
インク吸収性や塗被層強度等の印刷適性の外に塗被層表
面の光沢が重要な要素である。ところで、光沢度を高め
るために塗被層表面を加圧して平滑化すれば、必然的に
塗被層の空隙が潰れインク吸収能力が低下する。また、
光沢度を高めるために顔料のバインダーとして使用され
る重合体ラテックスなどの水溶性あるいは水分散性高分
子物質を多量に使用すると、塗被層強度と光沢は向上す
るもののやはり塗被層の空隙が減少してインク吸収能力
が低下するなど、光沢と印刷適性は相反する部分があ
る。このようにコート紙においては、光沢と印刷適性の
程よいバランスが得られるように、顔料や接着剤の種類
及び配合、塗料の塗布量や平滑処理の程度などが決定さ
れているが、印刷適性のよい高光沢紙を得るにはさらに
別の技術が必要とされている。印刷用塗被紙の光沢度は
一般に、微塗工紙、コート紙、アート紙、スーパーアー
ト紙、キャストコート紙の順で高くなり、本発明でいう
高光沢とはスーパーアート紙と同等か、あるいはそれ以
上の光沢度を指し、従って高光沢紙とはスーパーアート
紙以上の光沢度を有する印刷用塗被紙の意味で用いる。
【0003】高光沢紙の製造に関しては従来より、キャ
ストコーターによる方法がある。この方法は、顔料及び
バインダーよりなる湿潤塗被層を鏡面仕上げのキャスト
ドラムに圧接して加熱乾燥する方法で、一般のアート
紙、コート紙あるいは微塗工紙の製造速度より数段遅い
という問題点がある。
【0004】また、キャストドラムによらず、加熱カレ
ンダーを利用する方法が知られている。例えば、特開昭
56−68188号公報、特公昭64−10638号公
報、特公昭64−11758号公報には、顔料と重合体
ラテックスあるいは水溶性高分子樹脂とを混合塗布乾燥
した塗工層を加熱カレンダー処理する方法が開示されて
いる。これらは、支持体上にガラス転移温度が5℃ある
いは38℃以上の重合体ラテックスを塗布し、ついで、
この塗布層を、塗布層の温度が、使用するラテックスの
ガラス転移温度より高い温度になるように加熱温度を設
定した加熱カレンダーで処理する。この方法は簡便な方
法であり、生産性も良く、通常のコート紙の製造には適
しているが、光沢という点では不十分であり、キャスト
塗被紙はもちろんスーパーアート紙以上とすることはで
きず、キャスト塗被紙に匹敵する光沢を得ることはでき
ない。
【0005】更に、別の方法として、特開昭59−22
683号公報に開示された方法がある。この方法はシー
ト単体あるいは顔料塗工層を有するシート上に最低造膜
温度の異なる2種以上の重合体ラテックスを併用して塗
布乾燥し、必要に応じてカレンダーで平滑化する技術で
あって、最低造膜温度の異なるラテックスを併用して乾
燥することにより塗被紙表面に微細なクラックが生じ
て、光沢を損なうことなく良好なインク吸収性が得られ
るというものである。この技術に於て、重要な点は塗被
紙表面に微細なクラックを生ぜしめることであり、その
ためには乾燥条件に細心の注意が必要である。即ち、低
い最低造膜温度のラテックスは完全に溶融するが、高い
最低造膜温度のラテックスは部分的に溶融するような乾
燥条件を設定する必要がある。しかし、周知の通り乾燥
条件は一般に多数の要因によって変動し易いものであ
り、この技術の工業的適用を考えた場合、製造工程全体
にわたり乾燥条件を常に、均一に、かつ一定に保つこと
は事実上不可能である。そのため一定の安定した品質を
保持することがきわめて難しい。
【0006】
【発明が解決すべき課題】上記状態に鑑み、本発明は、
印刷適性が実用上十分であって、高光沢を有する印刷用
塗被紙と、一定の品質を容易かつ安価に製造することが
できる印刷用塗被紙の製造方法の提供を課題とした。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、先に、特
願平1−307888(特開平3−167396号公
報)において、印刷用塗被紙を、支持体上に顔料塗工層
を設けた基材の、顔料塗工層上に、二次転移温度が80
℃以上の熱可塑性重合体ラテックスからなる表面層を設
け、この表面層を二次転移温度以下の温度でカレンダー
処理したものとすることにより、上記課題が解決される
ことを提案した。その後、研究を進めた結果、きわめて
小さな粒径の熱可塑性重合体ラテックスを用いた場合
は、必ずしもカレンダー処理なしでも、上記課題が解決
することを見い出した。
【0008】すなわち、本発明は、支持体の少なくとも
一面に顔料含有層を有する印刷用塗被紙において、その
顔料含有層上に平均粒径が100nm以下、二次転移温
度が80℃以上の熱可塑性重合体ラテックス粒子と、平
均粒径100nm以上のプラスチックピグメントとの混
合物を含有し、前記熱可塑性重合体ラテックス粒子が混
合物の40重量%以上である表面層を設け、その表面層
がカレンダー処理されていないことを特徴とする印刷用
塗被紙に関する。
【0009】一般に印刷用基材としては、紙、合成紙、
プラスティックフィルム、不織布等が使用され、中でも
紙が最も一般的である。紙は、アート紙、コート紙、微
塗工紙、コート白ボール等の顔料塗工紙と、上質紙、中
質紙、新聞紙、片艶紙、特グラビヤ紙等の非塗工紙があ
る。
【0010】本発明において、高光沢と印刷適性を両立
させるため用いる基材は、上記印刷用基材のうち、支持
体の上に顔料含有層を設けた基材でなければならない。
支持体は、その上に顔料含有層層が設けられるものであ
れば特に制限はないが、中質紙や上質紙などの非塗工紙
が適当である。非塗工紙の上に顔料含有層を設ける方法
は、通常の顔料塗工紙の製造法で十分達せられるが、望
まれる品質に応じて、塗料中の顔料、バインダーの種
類、あるいは顔料とバインダーの量比を適宜変更して使
用する。顔料塗工紙は塗被層の塗工量が片面2〜40g
/m程度の片面または両面塗被紙である。顔料塗工
後、この顔料塗工層上に熱可塑性重合体ラテックスを上
塗りして表面層とするが、上塗り前に顔料塗工層をスー
パーカレンダーやグロスカレンダー等によって平滑化処
理を行なっても差し支えない。
【0011】顔料含有層を設けることなく、非塗工紙上
に直接熱可塑性重合体ラテックス含有層を設けた場合
は、印刷適性は確保されるものの、期待されるような高
い光沢度は得られない。
【0012】また、支持体として合成紙やプラスティッ
クフィルムを使用し、顔料含有層を設けることなく、直
接支持体上に熱可塑性重合体ラテックスを設けた場合、
光沢度は望ましい値が得られるものの、インクの乾燥性
が不十分で印刷適性がないものとなり不適当である。
【0013】本発明において使用する熱可塑性重合体ラ
テックスは、熱可塑性を示す重合体あるいは共重合体の
エマルジョンであって、二次転移温度が80℃以上であ
り、かつ、平均粒径が100nm以下のものである(以
下、熱可塑性を示す重合体あるいは共重合体からなるエ
マルジョンを、単に重合体ラテックスとして称する)。
コア−シェル形のラテックスの場合は、シェル部分の二
次転移温度が80℃以上のものでなければならない。8
0℃以上の二次転移温度になるものであれば重合体ラテ
ックスを構成する単量体の種類や製造方法は問わない。
好ましく使用される単量体としては、スチレン及びその
誘導体、塩化ビニリデン、アクリル酸またはメタクリル
酸エステルを例示することができる。
【0014】重合体ラテックスの二次転移温度の上限は
特に限定するものではなく、主として重合体ラテックス
の製造に使用する単量体の種類や可塑剤などの添加剤で
決まり、通常上限としては約130℃である。
【0015】二次転移温度が80℃以下の重合体ラテッ
クスを使用すると、カレンダー処理時カレンダーロール
ヘの付着が生じる、得られた塗被紙の光沢度が不十分で
ある、表面層の剥離強度が弱くなり印刷適性が無いなど
の問題を生じ、本発明の目的を達成することができな
い。
【0016】一般に紙塗工分野で使用されているラテッ
クスの粒径は、塗料用などの他の用途のものより概して
小さく、平均粒径で200nm〜1000nm程度のも
のが多いが、本発明の重合体ラテックスは更に小さい平
均粒径100nm未満のものである。平均粒径100n
m未満のものを使用することにより特別な平滑化処理を
しなくとも、グロスカレンダーやスーパーカレンダーに
より平滑化処理した一般コート紙なみの高い光沢を得る
ことができるが、本発明の重合体ラテックスの塗布層を
平滑化処理すると、きわめて高い光沢度の印刷用紙を得
ることができる
【0017】 本発明の重合体ラテックスに適当量の滑剤
を配合することは好ましい方法である。滑剤は、一般的
にはプラスチックの成形加工に使用されているものの
内、外部滑剤として使用されるものが本発明には適して
いる。外部滑剤としては、増補プラスチックおよびゴム
用添加剤実用便覧(平成元年7月0日 株式会社化学工
業社発行)の第945頁以下に記載されているものが使
用されるが、本発明の目的のためには、ステアリン酸と
その誘導体、オレイン酸とその誘導体あるいはポリエチ
レンワックスエマルジョンから選ばれた1種あるいはこ
れらを併用したものが好適である。滑剤の配合量は、滑
剤と本発明の重合体ラテックスの種類、平滑化処理の条
件や程度、他の添加剤の量と種類などにより決まるもの
であるが、本発明においては、本発明の重合体ラテック
ス粒子を含む表面層塗料の5〜40重量%程度を用いる
のが適当であり、より好ましくは、10〜25重量%で
ある。
【0018】本発明の重合体ラテックスはプラスチック
ピグメントを混合して顔料塗工層の上に塗布するが、本
発明の目的を損なわない範囲で、上記滑剤の外天然あ
るいは合成樹脂バインダー、流動調節剤や消泡剤、着色
剤、無機白色顔料などを適宜組み合わせ混合し、表面層
用塗料としてもよい。
【0019】本発明でいうプラスチックピグメントは、
ポリスチレンを主体とする平均粒径100nm以上の合
成高分子粒子であって、それ自身では実質的なバインダ
ー力をまったく持たないものと、幾分かバインダー力を
有するものがある。前者の例としては、ローム&ハース
社製の中空型プラスチックピグメントのローペイクOP
84があり、後者の例としては、日本ゼオン社製のNi
polLX407BPがある。本発明の重合体ラテック
スと併用してこれらのプラスチックピグメントを使用す
る場合は、本発明の重合体ラテックスに対し、60重量
未満、望ましくは20〜40重量%である。プラスチ
ックピグメントの使用により、光沢度や表面強度を調整
することができる。すなわち、本発明は、支持体の少な
くとも一面に顔料含有層を有する印刷用塗被紙におい
て、その顔料含有層上に平均粒径が100nm以下、二
次転移温度が80℃以上の熱可塑性重合体ラテックス粒
と、平均粒径100nm以上のプラスチックピグメン
トとの混合物を含有し、前記熱可塑性重合体ラテックス
粒子が混合物の40重量%以上である表面層を設け、
の表面層がカレンダー処理されていないことを特徴とす
る印刷用塗被紙に関する。
【0020】本発明においては、いわゆるバインダーは
基本的には使用しない。しかし、塗被層の表面強度を調
節するために、少量の一般塗工用天然あるいは合成樹脂
バインダーを使用することもあるが、その使用量は、表
面の粘着性が生じない程度にするべきである。塗料の流
動性調節剤、消泡剤、着色剤、無機白色顔料などの添加
剤の種類は、一般の紙に使用されるものであり、その使
用量は光沢度の発現、あるいは表面強度を損なわない程
度にする必要がある。
【0021】このようにして得られた表面層用塗料を、
顔料塗工層の上に塗布して表面層とする。塗布量は所望
の性質が得られるように適宜調節することができるが、
塗布量があまり多くなると、コストが高くなるだけでな
く、インク吸収性が低下しインクセットが不十分となる
とともに、表面層の強度が低下するなどの好ましくない
傾向が出現するので、あまり多量に塗布することは得策
でなく、通常片面0.1g/m以上、好ましくは0.
3〜3g/m程度の塗布量で十分である。
【0022】表面層用塗料の塗工は、通常紙塗工の分野
で使用されるブレードコーター、ロールコーター、エア
ナイフコーター、バーコーター、グラビヤコーター、フ
レキソコーター等で行なうことができる。塗工後の乾燥
も、本発明の重合体ラテックスを使用する場合、何等特
別な条件設定は不要であり、通常のコート紙の製造に用
いられる乾燥条件で最適な表面層とすることができる。
例えば、150℃程度の熱風で乾燥を行う場合であって
も、表面層の温度はせいぜい80℃であり、本発明の重
合体ラテックスの二次転移温度が80℃以上であれば、
ラテックスが溶融して皮膜を形成するようなことはな
い。
【0023】
【作用】本発明の印刷用塗被紙が、印刷適性が実用上十
分であり、かつ高光沢である理由は明かではないが、本
発明によって得られた塗被紙の表面光沢層の電子顕微鏡
での観察から次のように推測される。
【0024】本発明の印刷用塗被紙の表面層の電子顕微
鏡写真を図1に示す。図1から明かな如く、表面層は重
合体ラテックスが溶融して連続した均一皮膜でなく、数
十ナノメータの重合体ラテックス粒子が互いに緻密に配
列した構造となっている。これは、本発明の重合体ラテ
ックスの二次転移温度が80℃以上と高いため、通常の
乾燥条件下では互いに溶融することなく重合体粒子の形
状を保持し、その後必要に応じて行なうカレンダー処理
も、表面層の温度が重合体ラテックスの二次転移点より
低い温度で行う限り、ラテックスの粒子は互いに溶融し
て連続皮膜とならずに、粒子形状を残したまま定着して
いることを示している。そのため、重合体ラテックスの
粒子間隙が多数存在し、印刷インクはこの空隙間に保持
されるとともに、粒子間の毛細管を通過して下部の顔料
塗工層に達し吸収されるものと考えられる。
【0025】また、従来の理論によれば、図1のように
互いに溶融せず粒子形状を保持したままのラテックスは
膜としての強度は全く無いはずであるが、本発明の表面
光沢層は実用に十分な表面強度を有している。その理由
は現在のところ全く不明であるが、二次転移点温度が8
0℃以上という本発明の重合体ラテックスはカレンダー
処理時においてもある程度の硬さを有していると考えら
れ、このようなラテックスを顔料塗工層上に塗布した後
カレンダー処理すると、おそらく緻密性や弾性等の顔料
塗工層の物性と、硬度、粒径、塗布量等で決まる重合体
ラテックスの物性及びラテックス相互の化学的親和力の
効果によるものと考えられる。
【0026】また、高光沢を得るにはできるだけ均一な
連続面を必要とする従来の常識的見方からして、本発明
の重合体ラテックス塗被層表面が、粒子形状を保ったま
まであるにもかかわらず高光沢が得られたことは、全く
予想に反し、驚きであった。おそらく、重合体ラテック
スの粒径が小さいことや、重合体ラテックスが顔料塗工
層の凹部を主に埋めていると思われることが関係して、
全体として表面層が光学的に平滑化されたものと推測さ
れる。
【0027】しかし、後に述べる比較例1の印刷用塗被
紙の表面層の状態も図1と同様に、重合体ラテックスは
粒子形状を保持したままであることからすると、本発明
の効果を現す作用機構に別の要因が関係していることが
強く推測されるが、それが何であるかは不明である。
【0028】さらに、印刷用塗被紙の製造において、乾
燥条件は通常のコート紙の製造条件と変わらないから、
生産性を全く損なうことが無く一定の品質を得ることが
できる。
【0029】
【実施例】以下に、実施例をあげて本発明を具体的に説
明するが、本発明は実施例によって何ら制限されるもの
ではない。尚、実施例中に示される部および%は、特に
断りのない限り全て重量部および重量%を意味する。
【0030】[重合体ラテックスの製造] (製造例1)攪拌機、温度計、冷却器、滴下ロート、窒
素ガス導入管のついた四ツ口フラスコに水300部とド
デシルベンゼンスルホン酸ソーダ9部、ポリオキシエチ
レンフェノールエーテル(エチレンオキシド付加10モ
ル)4部を仕込み混合した中に、スチレン80部、α−
メチルスチレン10部、メタクリル酸メチル100部、
メタクリル酸10部のモノマー混合物の内60部を仕込
み、窒素置換しながら昇温し60℃として、20%過硫
酸アンモニウム水溶液7.2部と20%無水重亜硫酸ソ
ーダ水溶液4.8部を加え60分重合した。次に20%
過硫酸アンモニウム水溶液10部を加えた後、モノマー
混合物の残り140部を1時間かけて滴下した。90℃
で4時間保ち重合を終了し、二次 転移温度107℃、
平均粒径75nm、固形分39%のエチレン性単量体共
重合ラテックス(A)を得た。
【0031】(製造例2)攪拌機、温度計、冷却器、窒
素ガス導入管のついた四ツ口フラスコに水310部とハ
イテノールN−08(第一工業製薬(株)製ポリオキシ
エチレンノニルフェノールエーテルの硫酸エステル塩)
5.6部、およびスチレン48部、メタクリル酸メチル
19部、メタクリル酸エチル8部、ジビニルベンゼン
2.5部、メタクリル酸2.5部を仕込み、窒素置換し
ながら70℃まで昇温し16%過硫酸カリウム水溶液5
部を加え85℃で4時間保ち重合を終了し、二次転移温
度85℃,平均粒径75nmで固形分21.2%のエチ
レン性単量体共重合ラテックス(B)を得た。
【0032】(製造例3)製造例1のモノマーをスチレ
ン88部、メタクリル酸メチル38部、メタクリル酸n
−ブチル70部、メタクリル酸4部と変更する以外は製
造例1と同じ操作を行い、二次転移温度68℃、平均粒
径70nmで固形分39%の共重合ラテックス(C)を
得た。
【0033】[基材(顔料塗工紙)の製造]1級カオリ
ン70部、微粒重質炭酸カルシウム30部、スチレン−
ブタジエン共重合体ラテックス13部(固形分)、35
%澱粉液5部(固形分)よりなる固形分64%のコート
紙用塗被液を調整した。得られた塗被液を坪量127g
/mの上質コート原紙に片面の乾燥重量が14g/m
となるように塗工速度500m/分のブレードコータ
で塗工、乾燥して、顔料塗工層を有する水分5.5%の
上塗り用基材(顔料塗工紙)を得た。
【0034】<実施例1、比較例1>二次転移温度10
7℃、平均粒径75nmの共重合体ラテックス(A)7
0部(固形分)、プラスチックピグメント(ローム&ハ
ース製ローペイクOP84)30部(固形分)を水で希
釈し、固形分30%の表面層塗工用塗被液を調整した。
得られた塗被液を前記基紙(顔料塗工紙)に片面の乾燥
重量が1.6g/m2となるように塗工速度500m/
分のブレードコータで塗工、乾燥して、水分6.5%の
印刷用塗被紙を得た。比較例1は実施例1で用いた表面
層塗工用塗被液を、共重合体ラテックス(A)30部、
プラスチックピグメント(ローム&ハース製ローペイク
OP84)70部(固形分)とした以外は実施例1と同
様の方法で製造した。
【0035】<比較例>比較例は、実施例1で用い
た基紙である顔料塗工紙をそのまま印刷用塗被紙とした
ものである。
【0036】
【0037】
【0038】<比較例>二次転移温度107℃、平均
粒径75nmの共重合体ラテックス(A)90部(固形
分)、ポリエチレンワックスエマルジョン5部(固形
分)とステアリン酸カルシウム5部(固形分)とを混合
した滑剤を添加し、固形分30%の表面層塗工用塗被液
を調整した。得られた塗被液を前記基紙(顔料塗工紙)
に片面の乾燥重量が1.6g/m2となるように塗工速
度500m/分のブレードコータで塗工、乾燥して、水
分6.5%の表面層を有する塗工紙を得た。この塗工紙
を共重合体ラテックスの二次転移温度より高い120℃
のチルドロールと耐熱ゴムロールよりなるグロスカレン
ダーを用い、塗工面を金属ロールに当て、ニップ圧10
0kg/cmにて、2ニップ通紙して印刷用塗被紙を得
た。
【0039】
【0040】<比較例>二次転移温度85℃、平均粒
径67nmの共重合体ラテックス(B)80部(固形
分)、ポリエチレンワックスエマルジョン10部(固形
分)とステアリン酸カルシウム10部(固形分)とを混
合した滑剤を添加し、固形分20%の表面層塗工用塗被
液を調整した。得られた塗被液を前記基紙(顔料塗工
紙)に片面の乾燥重量が1.2g/m2となるように塗
工速度500m/分のブレードコータで塗工、乾燥し
て、水分6.5%の表面層を有する塗工紙を得た。この
塗工紙をチルドロールと耐熱ゴムロールよりなるグロス
カレンダーを用い、塗工面を金属ロールに当て、チルド
ロール温度を共重合体の二次転移温度より高い120℃
とし、ニップ圧100kg/cmにて2ニップ通紙して
印刷用塗被紙を得た。
【0041】<比較例5、6>二次転移温度68℃、平
均粒径70nmの共重合体ラテックス(C)90部(固
形分)、ポリエチレンワックスエマルジョン5部(固形
分)とステアリン酸カルシウム5部(固形分)とを混合
した滑剤を添加し、固形分30%の表面層塗工用塗被液
を調整した。得られた塗被液を前記基紙(顔料塗工紙)
に片面の乾燥重量が1.4g/m2となるように塗工速
度500m/分のブレードコータで塗工、乾燥して、水
分6.5%の表面層を有する塗工紙を得た。この塗工紙
をチルドロールとコットンロールよりなるスーパーカレ
ンダーを用い、塗工面を金属ロールに当てて、ニップ圧
180kg/cmにて、2ニップ通紙して印刷用塗被紙
とした。チルドロールの温度を二次転移温度より低い6
5℃に調整したものを比較例、二次転移温度より高い
95℃に調整したものを比較例とした。
【0042】<比較例>二次転移温度85℃、平均粒
径67nmの共重合体ラテックス(B)80部(固形
分)、ポリエチレンワックスエマルジョン10部(固形
分)とステアリン酸カルシウム10部(固形分)とを混
合した滑剤を添加し、固形分20%の表面層塗工用塗被
液を調整した。得られた塗被液を坪量127g/m2の
上質紙の上に片面の乾燥重量が2.6g/m2となるよ
うに塗工速度500m/分のブレードコータで塗工、乾
燥して、水分6.5%の表面層を有する塗工紙を得た。
この塗工紙をチルドロールとコットンロールよりなるス
ーパーカレンダーを用い、塗工面を金属ロールに当て
て、チルドロール温度を82℃、ニップ圧180kg/
cmにて、2ニップ通紙して印刷用塗被紙とした。
【0043】実施例、比較例に使用した共重合体ラテッ
クス及びカレンダー処理時の金属ロールの表面ロール温
度などを表に示す。また、このようにして得られた塗
被紙の品質評価試験結果を表に示す。表の横欄に記
載した評価項目と試験方法は以下の通りである。
【0044】*白紙光沢度:村上式グロスメターを使用
し、60°反射方式にて測定した。光沢度試験で通常使
用される75°反射では、高光沢度になると差がつきに
くくなるので60°で評価した。白紙光沢度の標準とし
て、一般コート紙(CT:日本製紙(株)製 NPiコ
ート)、スーパーアート紙(SA:神崎製紙(株)製S
A金藤)及びキャストコート紙(CC:神崎製紙(株)
製 ミラーコートプラチナ)の、60°と75°での反
射率測定値を示す。本発明は一般コート紙以上の光沢を
有するものである。 *印刷光沢度:RI−II型印刷試験機を用いて印刷を
行い、村上式グロスメターで75°反射方式にて測定し
た。 *インキセット:インキのセットの速さを、RI−II
型印刷試験機を用いて印刷を行い、印刷後の印刷面に白
紙を押し当てて、白紙へのインキ転移を目視評価した。
評価基準は白紙へのインキ転移がない場合を○、インキ
転移が一部生じた場合を△、インキ転移が著しく生じた
場合を×とした。 *ドライピック:印刷用塗被紙表面の剥離強度を示す試
験であり、RI−II型印刷試験機によりタックの高い
インキタックNo.20のインキを使用して印刷を行
い、ピッキングの生じた程度を目視評価した。ピッキン
グなしを○、ピッキングが一部生じた場合を△、ピッキ
ングが著しく生じた場合が×である。 *グラビヤ印刷適性:グラビヤ印刷試験機(熊谷理機社
製)を用い、図版に網点グラビヤを使用して印刷し、発
生したミスドットの数の全網点数に占める割合(%)で
示した。
【0045】
【表1】
【表2】
【0046】表1からより明らかなように、本願発明
の印刷用塗被紙はカレンダー処理がない場合でもコート
紙並の光沢度を示し、また、インキのセット、ドライピ
ックなどの印刷適性もきわめて優れている。
【0047】これに対し、比較例のものは、光沢度が
十分あるいは印刷適性を示す指標のいずれかが悪く、
発明の目的を達成していないことがわかる。
【0048】
【発明の効果】本発明にしたがって、基材に顔料塗工層
を設け、その顔料塗工層の上に80℃以上の二次転移温
度を有する重合体ラテックスを塗布乾燥して表面層とす
ることにより平滑処理を行うことなくコート紙並の光沢
が得られ、また、インク吸収性、表面強度などの印刷適
性も優れた塗工紙を生産できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の印刷用塗被紙の表面電子顕微鏡写真
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 若井 千鶴 東京都北区王子5丁目21番1号 日本製 紙株式会社 中央研究所内 (56)参考文献 特開 平3−167396(JP,A) 特開 平4−272297(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体の少なくとも一面に顔料含有層を
    有し、その顔料含有層上に平均粒径が100nm以下、
    二次転移温度が80℃以上の熱可塑性重合体ラテックス
    粒子と、平均粒径100nm以上のプラスチックピグメ
    ントとの混合物を含有し、前記熱可塑性重合体ラテック
    ス粒子が混合物の40重量%以上である表面層を設け、
    その表面層がカレンダー処理されていないことを特徴と
    する印刷用塗被紙。
  2. 【請求項2】 表面層の塗布量が0.3〜4g/m2で
    あることを特徴とする請求項1の記載の印刷用塗被紙。
  3. 【請求項3】 表面層が、表面層重量の5〜40%の滑
    剤を含有する請求項1または2記載の印刷用塗被紙。
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