JP3976258B2 - 普通紙タイプのインクジェット記録媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、普通紙タイプのインクジェット記録媒体に関し、特に印字濃度が高いにもかかわらずブリーディングもフェザーリングも発生しない、インクジェット記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式の記録媒体は、風合いが、いわゆる上質紙・PPC用紙に似ている普通紙タイプのものと、インク受理層を有することが明らかである塗工紙タイプのものに大別される。このうち、普通紙タイプのインクジェット記録媒体は、インク受理層を有しないか、または、有したとしてもごくわずかであるため、電子写真記録方式や鉛筆、ペン等の一般筆記にも適する上、コスト的にも安価である。
【0003】
ところで、一般に、インクジェット記録媒体は次のような性能を備えていることが必要とされている。
▲1▼:インク吸収性が良く、記録媒体表面に付着したインク滴が速やかに紙層内部に浸透し、見かけ上乾いた状態となり、記録装置や他の媒体、或いは手などの接触による汚染を生じないこと。
▲2▼:インク滴が記録媒体の内部あるいは表面に必要以上に拡散浸透して、インク滴により記録されるドットが大きくなりすぎたり、歪んだ形状にならないこと。
【0004】
上記▲1▼及び▲2▼の性能が満たされない場合には、高画質の印字物を得ることができない。例えば第一の性能が満たされない場合は、前記汚染が発生するだけでなく、多色印刷における異なる色の境界部分に、滲み(ブリーディング)が発生する。また、第二の性能が満たされない場合には、印字濃度が低下する上インクが紙表面の繊維に沿って吸収される結果、ひげ状の滲み(フェザーリング)が発生する。
【0005】
一般に、塗工紙タイプのインクジェット記録媒体の場合は、基材シート上に多孔質のインク受理層を設けているため、比較的容易に、前記した第一及び第二の両性能を共に達成することができる。これに対し、普通紙タイプのインクジェット記録媒体はインク受理層を有しないか、または、有したとしてもごくわずかであるため、上記両性能を同時に達成することが難しい。
【0006】
しかしながら近年、普通紙タイプのインクジェット記録媒体の用途は広がりつつあり、普通紙タイプに対しても、塗工紙タイプに匹敵する高画質の印字を可能とすることが求められるようになってきた。このような要求に対し、普通紙タイプのインクジェット記録媒体において、セルロースパルプを主成分とする原紙に、スチレンアクリル系のサイズ剤と水溶性高分子を含んだ溶液を塗布・乾燥することにより、フェザーリング及び印字ベタ部の濃度むらを少なくしたインクジェット記録媒体が提案されている(特開平8−216505号公報)。また、特開平2−188287号公報には、微粒子無水シリカ及びカチオン性ポリマーを混合した塗料を塗布または含浸させてなるインクジェット記録シートが開示されている。
【0007】
しかしながら、これらのインクジェット記録媒体においても、前述した第一の性能と第二の性能の両方を同時に満足し、ブリーディングとフェザーリングの問題を同時に解決すると共に、印字濃度を高くするということはできなかった。
また、一般にインクジェット記録媒体のサイズ度を上げると、記録媒体上のインク滴は大きく広がることはないので、フェザーリングは小さくなるがインク吸収が遅くなり、ブリーディングは大きくなる。逆に、インクジェット記録媒体のサイズ度を下げると、インク吸収は早くなりブリーディングは小さくなるが、記録媒体の横方向への吸収も大きくなるので、フェザーリングが大きくなる。すなわち、フェザーリングとブリーディングは相反する特性であり、インクジェット記録用紙のサイズ度を調整するだけでは両者を満足させることはできない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者等は、前記した第一及び第二の両性能を満足させた普通紙対応のインクジェット記録媒体について鋭意検討した結果、エマルジョンを製造する際に使用する界面活性剤の量を充分少なくして得られた合成エマルジョンを用いることによって、インク受理層中に含有されることになる界面活性剤の量を十分に少なくすることが出来、これにより良好な結果を得ることができることを見いだし、本発明に到達した。
従って、本発明の目的は、印字濃度が高い上、ブリーディングとフェザーリングを共に発生しない、普通紙タイプのインクジェット記録媒体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記の目的は、原紙の少なくとも一方の面に、水溶性高分子、サイズ剤、および、最低造膜温度が50℃以上である合成樹脂エマルジョンを主剤とする塗工液を塗布又は含浸させたインクジェット記録媒体であって、(合成樹脂エマルジョンに含まれる界面活性剤の重量%)×(塗工液中における合成樹脂エマルジョン含有重量%)から計算される、前記塗工液中における合成樹脂エマルジョン由来の界面活性剤の含有量が300ppm以下であると共に、前記合成樹脂エマルジョンが重合性モノマー100重量部に対して1.5重量部以下の界面活性剤を用いて製造されたエマルジョンであることを特徴とする、普通紙タイプのインクジェット記録媒体によって達成された。これにより、より高い印字濃度を実現することの出来る記録媒体を得ることが出来る。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる原紙とは、木材セルロース繊維を原料とする未塗工の紙であり、この紙は抄紙用パルプを主体として構成される。抄紙用パルプとしてはLBKP、NBKP等の化学パルプや、GP、TMP等の機械パルプ及び古紙パルプが挙げられるが、本発明は特にこれらに限定されるものではなく、また、必要に応じてこれらを併用して用いることができる。尚、未塗工の紙とは、表面に顔料を含有する塗工層を有しない紙を意味する。
【0011】
本発明においては、原紙中に内添する填料やサイズ剤、紙力増強剤等の各種内添薬品についても特に限定されず、公知の填料及び各種内添薬品の中から適宜選択して使用することが出来る。また、必要に応じて消泡剤、pH調整剤、色相を調整するための染料や有色顔料、視覚的白さを向上させるための蛍光染料等を内添することも出来る。
【0012】
本発明の塗工液に用いる水溶性高分子は、水に溶解可能で、被膜形成性のある公知の樹脂の中から適宜選択することが出来る。具体的にはデンプン、酸化デンプン、リン酸エステル化デンプン、カチオン化デンプン、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、カゼインなどを挙げる事が出来る。本発明においては、印字濃度が高くなるという観点から、ポリビニルアルコール、またはその変性物を用いることが好ましい。
【0013】
本発明の合成樹脂エマルジョンは、水性の溶媒中に合成樹脂の微粒子が分散した液体であり、通常、合成樹脂の微粒子が互いにくっついて塊にならないように、界面活性剤や保護コロイドなどが配合される。また、合成樹脂エマルジョンの製造方法としては、一般的に乳化重合、懸濁重合、分散重合など挙げることが出来るが、これらの中でも、界面活性剤(乳化剤)を用いた乳化重合法は粒子径などの制御が容易であるので、安定的に合成樹脂エマルジョンを製造するのに適している。しかしながら、乳化重合した合成樹脂エマルジョンから界面活性剤を取り除くことは困難であるので、本発明においては、特に、原料仕込み時に界面活性剤の使用量を充分少なくする必要がある。
尚、乳化重合法には乳化剤を使用しないソープフリータイプの方法があるが、最終的な製品の安定化を図るために、この場合でも界面活性剤を添加することが一般的である。
【0014】
本発明で用いられる合成樹脂エマルジョンは、その製造時において使用される界面活性剤の量が、重合モノマー100重量部に対して1.5重量部以下であることが必要であり、特に1.0重量部以下であることが好ましい。また、合成樹脂エマルジョンの組成及びその調製方法は、合成樹脂エマルジョン製造時、塗工液中、あるいは基紙のパルプ繊維表面において凝集が発生しない限り、特に制限されるものではない。尚、合成樹脂エマルジョンは、後述するごとく、インク受理層にインク吸収性を助長する空隙をもたらすという効果を生じる。
【0015】
下記に、本発明で使用する合成樹脂エマルジョンの製造に使用することの出来る重合性モノマー、界面活性剤(乳化剤)、及び開始剤の例を挙げる。
重合性モノマーとしては、脂肪族共役ジオレフィン系モノマー、シアン化ビニル系モノマー、モノオレフィン系芳香族モノマー、エチレン系不飽和カルボン酸アルキルエステルモノマー、オレフィン系不飽和カルボン酸モノマーなどの重合モノマーを挙げる事が出来、本発明においては、これらを単独で用いることも2種類以上を組み合わせて用いることも出来る。これらの重合性モノマーの具体例としては、例えばブタジエン、イソプレン、2−クロロブタジエン、アクリルニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ジメチルスチレン、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、マレイン酸アルキルモノエステル、フマール酸、フマール酸アルキルモノエステル、イタコン酸、イタコン酸アルキルモノエステル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシアクリルアミド、酢酸ビニルなどが挙げられる。
【0016】
本発明で用いる、合成樹脂エマルジョンの製造に使用される界面活性剤は、公知の物の中から適宜選択することが出来る。このような界面活性剤の具体例としては、アルキルスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルアリルスルホネート、アルキルサルフェート、アルキルナフタレンスルホネート、アルキルサクスネートスルホネート、ジフェニルエーテルアルキルスルホネートなどのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪族エステルなどのノニオン性界面活性剤、モノアルキルアンモニウムクロライド、ジアルキルアンモニウムクロライド、エチレンオキシド付加アンモニウムクロライドなどのカチオン性界面活性剤などが挙げられ、これらは単独または2種類以上併用することもできる。ノニオン性の界面活性剤は環境ホルモンとして影響する可能性があり、カチオン性の界面活性剤は毒性への対応が必要になる可能性があるため、アニオン性の界面活性剤を使用することが好ましい。アニオン性の界面活性剤の中でも、ラウリル硫酸ナトリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウムは、ほとんどのモノマーと適合するため本発明において広く利用することが出来る。
【0017】
重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム塩、過硫酸ナトリウム塩、過硫酸アンモニウム塩、過酸化水素、ジイソブチルベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、キュメントハイドロパーオキサイドなどの酸化剤を少なくとも1種利用できる他、これらの酸化剤と亜硫酸ソーダ、重亜硫酸ソーダ、チオ硫酸ソーダなどを併用して用いることも可能である。
【0018】
本発明のインクジェット記録媒体は、上記の主剤を含有する塗工液を、片面あたり固形分で0.5〜5.0g/mとなるよう塗布されたものであることが好ましい。この範囲の塗布量であれば、普通紙の風合いに近い記録媒体を得ることができる。塗布量が0.5g/mより小さいと紙表面にインクを保持することができず、解像度が下がったり、印字濃度が低下する傾向がある。一方、塗布量が5.0g/mより大きいと普通紙の風合いが得られないだけでなく、インク吸収能力が過剰になり、印字濃度が低下する傾向がある。
【0019】
本発明においては、塗工液に公知のサイズ剤を添加する。本発明で使用するサイズ剤は、例えば、スチレン−アクリル系サイズ剤、アクリルオレフィン系サイズ剤、マレイン酸系サイズ剤、シリコーン系撥水剤、フッ素系撥水剤など、公知のものの中から適宜選択して用いることが出来る。
本発明においては、サイズ剤の添加量及び種類を選択することによりステキヒトサイズ度を調整する。特に(ステキヒトサイズ度(秒)/(坪量(g/m))×1000の値が1〜10となるように調整することが好ましい。
【0020】
上記の値が1より小さいと、インクの浸透速度が大きくなる為、インクが原紙内部まで浸透して印字濃度が低下する場合がある。又、記録媒体表面のインクの広がりが大きくなり、繊維に沿ってインクが拡散しフェザーリングが大きくなる場合も生じる。一方、10を超えるとインクの浸透速度が遅くなり、表面にインク滴が長く留まる傾向が強い。従って、多色記録の場合に記録媒体表面で異なる色のインク滴が混ざり合い、ブリーディングが大きくなる場合がある。本発明のインクジェット記録媒体において、ステキヒトサイズ度(秒)/(記録媒体の坪量(g/m))の値の特に好ましい値は、3〜8である。この範囲であれば、フェザーリングとブリーディングのバランスがとれる上印字濃度が高く、高品質の印字物を得ることが出来る。本発明においては、サイズ度を、サイズ剤の添加量及び/又は種類により調整することが出来る。
【0021】
塗工液には、染料、保水剤、耐水化剤、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、潤滑剤、防腐剤、界面活性剤、導電剤など、一般に使用されている添加剤が含有されていてもよい。また、上記塗工液中には、インクの吸収に係わる顔料(具体的には、微粉末シリカ、アルミナ等多孔質の顔料及びコロイダルシリカ、アルミナゾル)を含有させないことが好ましい。このような顔料を塗工液中に添加すると、インクが顔料に吸収されるので印字濃度が低下する。
【0022】
本発明における水溶性高分子と合成樹脂エマルジョンの配合比率は、水溶性高分子100重量部に対して合成樹脂エマルジョンが5重量部以上であることが好ましく、更に10〜100重量部であることが好ましい。水溶性高分子100重量部に対して合成樹脂エマルジョンの配合量が5重量部以下であるとフェザーリングが発生しやすくなる。また、配合比が100重量部より多いと、断裁時に粉落ちが発生する懸念がある。
【0023】
塗工液中の合成樹脂エマルジョン由来の界面活性剤は300ppm以下であることが必要であるが、特に250ppm以下であることが好ましい。塗工液中の界面活性剤の量を少なくすることによって、印字濃度をより高くした時の、フェザーリングとブリーディングのバランスを取ることが出来る。
【0024】
本発明においては、合成樹脂エマルジョンの粒子径が特に制限されることはないが、100nm以上であることが望ましい。合成樹脂エマルジョンの粒子径が100nmより小さいと、その合成樹脂エマルジョンを安定状態にするために界面活性剤の使用量を多くしなくてはならなくなるので、これによって塗工液に添加するサイズ剤の効果が失われるからである。
なお、本発明における合成樹脂エマルジョンの役割は、水溶性高分子の皮膜を不連続にし、これによって見かけ上の空隙を生成させることであると考えられる。従って、インクジェット記録媒体の通常の製造時に合成樹脂の皮膜を形成しないように、合成樹脂エマルジョンの最低造膜温度を50℃以上とすることが必要であるが、70℃以上とすることが特に好ましい。
【0025】
本発明のインクジェット記録媒体は、上記した塗工液を原紙に含浸させた後乾燥する方法、あるいは原紙表面に塗布した後に乾燥する方法等の、公知の含浸方法や塗布方法によって製造することができる。含浸方法としては、例えば含浸式サイズプレス装置を用いることができ、塗布方法としては、各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、ゲートロールコーター等の公知の塗布装置を用いることができる。
【0026】
乾燥方法としては、例えば蒸気加熱ヒーター、ガスヒーター、赤外線ヒーター、電気ヒーター、熱風加熱ヒーター、マイクロウェーブ、シリンダードライヤー等の通常の加熱手段を用いた方法が行われ、乾燥後は必要に応じて、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等の仕上げ工程によって平滑性を付与することが可能である。その他、本発明においては、一般的な紙加工手段を適宜用いることが可能である。
【0027】
このようにすることにより、フェザーリングとブリーディングの両者を解決することができ、かつ印字濃度が高い良好なインクジェット記録媒体を得られる。この理由は定かではないが、サイズ剤を配合しインクの横方向の広がりを抑える一方で、水溶性高分子自体が持つ膨潤性に加え、合成樹脂エマルジョンにより形成された水溶性高分子皮膜の空隙の効果から、記録媒体へのインク浸透速度が向上する為に、記録媒体に打ち込まれたインク滴が横方向に広がらず、記録媒体中に適度に浸透することが可能となったと考えられる。但し、合成樹脂エマルジョンの製造に使用される界面活性剤の添加量が多いとサイズ剤の効果が失われるため、フェザーリングおよび印字濃度が低下が生じる。
【0028】
【発明の効果】
本発明のインクジェット記録媒体は、フェザーリングとブリーディングが少ない上印字濃度の高い記録画像を得ることのできる、多色記録に適したインクジェット記録媒体である。また、普通紙の風合いを保っているため、電子写真記録や鉛筆等による一般筆記にも用いることができる。
【0029】
【実施例】
以下、本発明を実施例によってさらに詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお実施例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り固形分の「重量部」及び「重量%」とする。
【0030】
(合成樹脂エマルジョンAの製造)
窒素置換した攪拌機付きオートクレーブ中に脱イオン水75部、ラウリル硫酸ナトリウム0.05部及び過硫酸カリウム0.6部を仕込み、70℃に昇温した。一方、別の窒素置換した攪拌機付きオートクレーブ中に、脱イオン水45部、ラウリル硫酸ナトリウム0.5部、ターシャルメルカプタン0.5部、および重合性モノマー(ブタジエン10部、スチレン65部、メチルメタクリレート20部、メタクリル酸2部、イタコン酸1部、及びアクリルアミド2部)合計100部を乳化分散し、70℃に昇温させた。この乳化液を先の水溶液中にゆっくりと連続させて仕込み、更に70℃に維持したままで重合させ、重合率が98%を超えたところで冷却し、反応を停止させた。次いで、25%の苛性ソーダ水溶液を用いてpHを8に調整し、スチームストリッピングを行って未反応体を除去した。過剰の水をエバポレーターを用いて真空除去し、固形分を48%に調整して合成樹脂エマルジョンAを得た。
【0031】
(合成樹脂エマルジョンBの製造)
窒素置換した攪拌機付きオートクレーブ中に、脱イオン水75部、ラウリル硫酸ナトリウム0.05部及び過硫酸カリウム0.6部を仕込み、70℃に昇温した。一方、別の窒素置換した攪拌機付きオートクレーブ中に、脱イオン水45部、ラウリル硫酸ナトリウム1.0部、ターシャルメルカプタン0.5部、および重合性モノマー(ブタジエン10部、スチレン65部、メチルメクリレート20部、メタクリル酸2部、イタコン酸1部、及びアクリルアミド2部)合計100部を乳化分散し、70℃に昇温させた。この乳化液を先の水溶液中にゆっくりと連続させて仕込み、更に70℃に維持したままで重合させ、重合率が98%を超えたところで冷却し、反応を停止させた。次いで、25%の苛性ソーダ水溶液を用いてpHを8に調整し、スチームストリッピングを行って未反応体を除去した。過剰の水をエバポレーターを用いて真空除去し、固形分を48%に調整して合成樹脂エマルジョンBを得た。
【0032】
(合成エマルジョンCの製造)
窒素置換した攪拌機付きオートクレーブ中に、脱イオン水75部、ラウリル硫酸ナトリウム0.05部及び過硫酸カリウム0.6部を仕込み、70℃に昇温した。一方、別の窒素置換した攪拌機付きオートクレーブ中に、脱イオン水45部、ラウリル硫酸ナトリウム1.4部、ターシャルメルカプタン0.5部、および重合性モノマー(ブタジエン10部、スチレン65部、メチルメクリレート20部、メタクリル酸2部、イタコン酸1部、及びアクリルアミド2部)合計100部を乳化分散し、70℃に昇温させた。この乳化液を先の水溶液中にゆっくりと連続させて仕込み、更に70℃に維持したままで重合させ、重合率が98%を超えたところで冷却し、反応を停止させた。次いで、25%苛性ソーダ水溶液にてpHを8に調整し、スチームストリッピングを行って未反応体を除去した。過剰の水をエバポレーターを用いて真空除去し、固形分を48%に調整して合成樹脂エマルジョンCを得た。
【0033】
(合成樹脂エマルジョンDの製造)
窒素置換した攪拌機付きオートクレーブ中に、脱イオン水75部、ラウリル硫酸ナトリウム0.05部及び過硫酸カリウム0.6部を仕込み、70℃に昇温した。一方、別の窒素置換した攪拌機付きオートクレーブ中に、脱イオン水45部、ラウリル硫酸ナトリウム2.0部、ターシャルメルカプタン0.5部、および重合性モノマー(ブタジエン10部、スチレン65部、メチルメクリレート20部、メタクリル酸2部、イタコン酸1部、及びアクリルアミド2部)合計100部を乳化分散し、70℃に昇温させた。この乳化液を先の水溶液中にゆっくりと連続させて仕込み、更に70℃に維持したままで重合させ、重合率が98%を超えたところで冷却し、反応を停止した。次いで、25%苛性ソーダ水溶液を用いてpHを8に調整し、スチームストリッピングを行って未反応体を除去した。過剰の水をエバポレーターを用いて真空除去し、固形分を48%に調整して、合成樹脂エマルジョンDを得た。
【0034】
(原紙の作製)
広葉樹漂白クラフトパルプ(濾水度350mlcsf)からなるパルプスラリー100部に対して、填料として炭酸カルシウム8部、内添サイズ剤(サイズパインSA−862:荒川化学社製の商品名)0.05部及びカチオンデンプン0.5部を添加し、ツインワイヤー型の抄紙機で抄造乾燥した後、マシンカレンダー仕上げをして、坪量72g/mの原紙を作製した。
【0035】
実施例1.
上記の如く作製した原紙に、PVA(PVA117、クラレ製)3%、合成樹脂エマルジョンA2.0%、サイズ剤(ポリマロンKB、荒川化学製)0.25%を、それぞれ固形分で含有する塗工液を、乾燥固形分で2.5g/mとなるようにサイズプレス装置を用いて含浸塗工し、乾燥して実施例1のインクジェット記録媒体を作製した。なお、この塗工液中の合成樹脂エマルジョンに由来する界面活性剤の量は110ppmであった。
【0036】
実施例2.
前記原紙に、PVA(PVA117、クラレ製)3%、合成樹脂エマルジョンA2.0%及びサイズ剤(ポリマロンKB、荒川化学製)0.25%を、それぞれ固形分で含有する塗工液を、乾燥固形分で0.9g/mとなるようにサイズプレス装置を用いて含浸塗工し、乾燥して実施例2のインクジェット記録媒体を作製した。
【0037】
実施例3.
前記原紙に、PVA(PVA117、クラレ製)3%、合成樹脂エマルジョンA2.0%及びサイズ剤(ポリマロンKB、荒川化学製)0.25%を、それぞれ固形分で含有する塗工液を、乾燥固形分で4.3g/mとなるようにサイズプレス装置を用いて含浸塗工し、乾燥して実施例3のインクジェット記録媒体を作製した。
【0038】
実施例4.
前記原紙に、PVA(PVA117、クラレ製)3%、合成樹脂エマルジョンB2.0%及びサイズ剤(ポリマロンKB、荒川化学製)0.25%を、それぞれ固形分で含有する塗工液を、乾燥固形分で2.5g/mとなるようにサイズプレス装置を用いて含浸塗工し、乾燥して実施例4のインクジェット記録媒体を作製した。なお、この塗工液中の合成樹脂エマルジョンに由来する面活性剤の量は210ppmであった。
【0039】
実施例5.
前記原紙に、PVA(PVA117、クラレ製)3%、合成樹脂エマルジョンC2.0%及びサイズ剤(ポリマロンKB、荒川化学製)0.25%を、それぞれ固形分で含有する塗工液を、乾燥固形分で2.5g/mとなるようにサイズプレス装置を用いて含浸塗工し、乾燥して実施例5のインクジェット記録媒体を作製した。なお、この塗工液中の合成樹脂エマルジョンに由来する界面活性剤の量は280ppmであった。
【0040】
実施例6.
前記原紙に、PVA(PVA117、クラレ製)3%、合成樹脂エマルジョンC0.5%及びサイズ剤(ポリマロンKB、荒川化学製)0.25%を、それぞれ固形分で含有する塗工液を、乾燥固形分で2.5g/mとなるようにサイズプレス装置を用いて含浸塗工し、乾燥して実施例6のインクジェット記録媒体を作製した。なお、この塗工液中の合成樹脂エマルジョンに由来する界面活性剤の量は70ppmであった。
【0041】
比較例4
前記原紙に、PVA(PVA117、クラレ製)3%、合成樹脂エマルジョンA8.0%及びサイズ剤(ポリマロンKB、荒川化学製)0.25%を、それぞれ固形分で含有する塗工液を、乾燥固形分で2.5g/mとなるようにサイズプレス装置を用いて含浸塗工し、乾燥して比較例4のインクジェット記録媒体を作製した。なお、この塗工液中の合成樹脂エマルジョンに由来する界面活性剤の量は430ppmであった。
【0042】
比較例5
前記原紙に、PVA(PVA117、クラレ製)3%、合成樹脂エマルジョンB4.0%及びサイズ剤(ポリマロンKB、荒川化学製)0.25%を、それぞれ固形分で含有する塗工液を、乾燥固形分で2.5g/mとなるようにサイズプレス装置を用いて含浸塗工し、乾燥して比較例5のインクジェット記録媒体を作製した。なお、この塗工液中の合成樹脂エマルジョンに由来する面活性剤の量は410ppmであった。
【0043】
比較例1.
前記原紙に、PVA(PVA117、クラレ製)3%、合成樹脂エマルジョンD2.0%及びサイズ剤(ポリマロンKB、荒川化学製)0.30%を、それぞれ固形分で含有する塗工液を、乾燥固形分で2.5g/mとなるようにサイズプレス装置を用いて含浸塗工し、乾燥して比較例1のインクジェット記録媒体を作製した。なお、この塗工液中の合成樹脂エマルジョンに由来する界面活性剤の量は400ppmであった。
【0044】
比較例2.
前記原紙に、PVA(PVA117、クラレ製)3%、サイズ剤(ポリマロンKB、荒川化学製)0.25%を、それぞれ固形分で含有する塗工液を、乾燥固形分で2.5g/mとなるようにサイズプレス装置を用いて含浸塗工し、乾燥して比較例2のインクジェット記録媒体を作製した。
【0045】
比較例3.
実施例1で使用した原紙そのものを、比較例3のインクジェット記録媒体とした。
実施例及び比較例で得られたインクジェット記録媒体の構成及びステキヒトサイズ度は、表1に示した通りである。尚、ステキヒトサイズ度はJIS−P8122に準じて測定した。
【0046】
【表1】
Figure 0003976258
実施例及び比較例で得られたインクジェット記録媒体について、下記の様に、印字濃度、フェザーリング及びブリーディングの評価をした結果は表2に示した通りである。
【0047】
(印字濃度)
プリンター(BJ−F210、キヤノン製の商品名)でべた印字(黒)し、24時間後にその印字濃度をマクベス濃度計(RD918)で測定した。
【0048】
(フェザーリング)
プリンター(BJ−F210、キヤノン製の商品名)で黒色の細線を印字記録し、目視によって判定した。◎は、フェザーリングが少ない上線の太りが極めて少なく良好;○は、フェザーリング及び線の太りがわずかに見られるが実用上問題ない範囲で良好;△は、フェザーリング及び線の太りが有り実用上問題あり;×は、フェザーリング及び線の太りも大きく、不良であることを示す。
【0049】
(ブリーディング)
プリンター(BJ−F210、キヤノン製の商品名)で黄色べた部の中に黒色の長方形を記録し、目視によって判定した。◎は、境界部の滲みが少なく良好;○は、境界部の滲みがわずかに見られるが実用上問題ない範囲で良好;△は、境界部の滲みが実用上問題あり;×は、境界部の滲みが大きく不良であることを示す。
【0050】
【表2】
表2:評価結果
Figure 0003976258
表2の結果は、本発明の有効性を実証するものである。

Claims (3)

  1. 原紙の少なくとも一方の面に、水溶性高分子、サイズ剤、および、最低造膜温度が50℃以上である合成樹脂エマルジョンを主剤とする塗工液を塗布又は含浸させたインクジェット記録媒体であって、(合成樹脂エマルジョンに含まれる界面活性剤の重量%)×(塗工液中における合成樹脂エマルジョン含有重量%)から計算される、前記塗工液中における合成樹脂エマルジョン由来の界面活性剤の含有量が300ppm以下であると共に、前記合成樹脂エマルジョンが重合性モノマー100重量部に対して1.5重量部以下の界面活性剤を用いて製造されたエマルジョンであることを特徴とする、普通紙タイプのインクジェット記録媒体。
  2. 前記水溶性高分子がポリビニルアルコールである、請求項1に記載された普通紙タイプのインクジェット記録媒体。
  3. 前記塗工液の塗布量が固形分で0.5〜5.0g/m である、請求項1又は2に記載された普通紙タイプのインクジェット記録媒体。
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