JP2939454B2 - トナー粒子及び該トナー粒子を含有するシアントナー - Google Patents

トナー粒子及び該トナー粒子を含有するシアントナー

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カラー電子写真用
のトナー粒子及び該トナー粒子を含有して成る電子写真
用のシアントナーに関する。
【0002】
【従来の技術】カラー電子写真用トナーとして、結着樹
脂中に各種の染料や顔料を分散させたトナーが広く使用
されている。これらのカラートナーの内、電子写真用シ
アントナーとしては、鮮明な青色を呈するフタロシアニ
ン系有機顔料を用いたものが、主として使用されてい
る。
【0003】しかしながら、トナー粒子には顔料本来の
色相を阻害するような荷電制御剤を含有したり、係るト
ナー粒子にさらに流動性向上剤、研磨剤等の各種の添加
剤を加えトナーとして使用するため、その画像は、明る
さと鮮やかさにおいて、十分満足するものには至ってい
ないのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、明るさと鮮
やかさにおいて優れ、良好な帯電性を有するトナー粒子
及びシアントナーを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
した結果、シアントナーを用いて形成した画像の明るさ
と鮮やかさは、シアントナー中に含まれる銅フタロシア
ニン顔料中のα型結晶を減少せしめれば良いことを見出
し、本発明に至ったものである。即ち、第1の発明は、
α型結晶の含有率が7%以下である銅フタロシアニン顔
料と少なくとも結着樹脂と含有することを特徴とするト
ナー粒子である。
【0006】第2の発明は、荷電制御剤を含有すること
を特徴とする第1の発明記載のトナー粒子である。
【0007】第3の発明は、荷電制御剤が、サリチル酸
のクロム錯体又は塩、及びアルキルサリチル酸のクロム
錯体又は塩から成る群より選ばれる少なくとも1種であ
ることを特徴とする第2の発明記載のトナー粒子であ
る。
【0008】第4の発明は、結着樹脂100重量部に対
し、銅フタロシアニン顔料を1〜10重量部含有するこ
とを特徴とする第1の発明ないし第3の発明いずれか記
載のトナー粒子である。
【0009】第5の発明は、結着樹脂100重量部に対
し、荷電制御剤を0.1〜10重量部含有することを特
徴とする第1の発明ないし第4の発明いずれか記載のト
ナー粒子である。
【0010】第6の発明は、第1の発明ないし第5の発
明いずれか記載のトナー粒子と少なくとも1種の外添剤
とを含有することを特徴とするシアントナーである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明おいては、上記したように
銅フタロシアニン顔料中のα型結晶を減らすことが重要
である。即ち、銅フタロシアニン顔料には、色相が緑味
青であるβ型結晶と、色相が赤味青であるα型結晶とが
混晶していることが一般的であり、α型結晶の含有率が
少ないほどより鮮明な青色を呈し、α型結晶を全く含有
しないことが望ましく、α型結晶を7%より多く含有す
ると、得られる画像はの色相は、濁りのあるくすんだ青
となってしまう。
【0012】β型銅フタロシアニンは、一般にまず、フ
タル酸、尿素、銅化合物、触媒を有機溶剤の存在下、加
熱反応し、生成したスラリーから溶媒を加熱減圧蒸留し
た後、洗浄、濾過、乾燥してβ型の粗製銅フタロシアニ
ンが得られるが、係るβ型の粗製銅フタロシアニンは、
粒子が大きいのでこのままでは「顔料」としては使用で
きないため、続く顔料化工程を経て微細化したβ型銅フ
タロシアニン顔料とする必要がある。
【0013】一般的なβ型銅フタロシアニンの顔料化工
程は、まず、ドライミリング法により、粗製銅フタロシ
アニンを乾式粉砕するが、この時β型の一部がα型に結
晶転移し、α型を20〜30%程度含有することとな
る。係るα型とβ型の混晶物に有機溶剤を加え加熱攪拌
すると、凝集がほぐれながら粒子が成長(整粒)しつ
つ、α型がβ型に結晶転移する。次いで、濾過、洗浄、
乾燥を経て、β型銅フタロシアニン顔料を得ることがで
きる。係る方法において、有機溶剤中で加熱攪拌する時
間を変えることによって、α型がβ型に結晶転移する割
合を変えることができる。例えば、より長時間加熱攪拌
することによって、より多くのα型がβ型に結晶転移す
る。
【0014】α型を20〜30%程度含有するα型とβ
型との混晶物中のα型をβ型に結晶転移せしめる別の方
法としては、ソルベントソルトミリング法が挙げられ
る。ソルベントソルトミリング法は、α型とβ型との混
晶物を水溶性の無機塩とジエチレングリコール等の水溶
性の有機溶剤と共に混練し、混練後水溶性の無機塩及び
水溶性の有機溶剤を水洗、濾過することによって除去し
た後乾燥する方法であり、混練時の温度や時間を変える
ことによってα型からβ型への結晶転移の割合を変える
ことができる。
【0015】α型結晶の含有率は、顔料サンプルをX線
回折測定し、α型の特徴を示す2θ=15.6°、1
6.6°及びβ型の特徴を示す2θ=18.1°、1
8.4°の回折角のピーク面積をそれぞれSα/Sβと
した時、Sα/(Sα+Sβ)×100から求める。
【0016】本発明に係るトナー粒子は、上記のα型結
晶の含有率が7%以下である銅フタロシアニン顔料と少
なくとも結着樹脂と含有するものであり、荷電制御剤も
含有することが好ましい。
【0017】本発明において使用される結着樹脂として
は、従来電子写真用トナー結着樹脂として知られるスチ
レン−アクリル系、ポリエステル系等各種の材料樹脂が
挙げられる。また、いずれの樹脂もその製造方法等は特
に制約されるものではない。これらの結着樹脂100重
量部に対して、上記のα型結晶の含有率が7%以下であ
る銅フタロシアニン顔料を1〜10重量部含有せしめる
ことが好ましい。顔料の含有量が1重量部未満であると
十分な着色力が得れ難くなり、一方10重量部を超える
と、多湿環境において、トナーの帯電性が低下し、カブ
リ等の画像欠陥を生じ易くなる。
【0018】本発明において使用される荷電制御剤とし
ては、サリチル酸のクロム錯体又は塩、あるいはアルキ
ルサリチル酸のクロム錯体又は塩等が挙げられ、その使
用量は結着樹脂100重量部に対して、0.1重量部〜
10重量部であることが好ましい。
【0019】本発明に係るトナー粒子には、必要に応じ
て、さらに低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチ
レン、ワックス等のオフセット防止剤などの公知の他の
成分を添加することができる。
【0020】本発明において、トナー粒子の製造方法は
特に制約されるものではない。トナー粒子を製造するた
めには、例えば、上記顔料と結着樹脂とを所望の割合で
混合し、ニーダー、エクストルーダー等により溶融・混
練し、冷却した後、ジェットミル等の手段で粉砕し、得
られた粉砕物を風力式分級機で分級することにより得る
ことができる。
【0021】本発明のシアントナーには、上記のトナー
粒子に、必要により、シランカップリング剤等で疎水化
処理したシリカや酸化チタン等の流動性向上剤を外添剤
といして添加したものである。
【0022】上記のようにして得られる本発明の電子写
真用シアントナーは、一成分系現像剤として用いても、
或いはキャリアと混合して二成分系現像剤として用いて
もよい。
【0023】
【実施例】以下に実施例及び比較例をもって本発明を詳
細に説明する。但し、これによって本発明の実施の態様
がなんら限定されるものではない。
【0024】顔料製造例1 フタルイミド:180g、塩化第一銅:29.1g、尿
素:170g、モリブデン酸アンモニウム:0.09
g、溶媒としてter-アミルベンゼン:310gをオート
クレーブ中に仕込み、170〜240℃、2.5kg/
cm2 で3.5時間反応せしめた後、生成したスラリー
から溶媒を減圧下に留去した。得られた残留物に120
0gの水を加え60℃で2時間攪拌した後、熱水で洗浄
し、濾過、洗浄、乾燥し170gのβ型粗製銅フタロシ
アニンを得た。
【0025】得られたβ型粗製銅フタロシアニンをアト
ライターで15分間乾式粉砕し、α型結晶の含有率が2
4%の乾式粉砕物を得た。この乾式粉砕物100重量部
と、粉砕した塩化ナトリウム500重量部、ジエチレン
グリコール25重量部を1000容量部の双腕型ニーダ
ーに仕込み、100〜110℃でジエチレングリコール
を追加しながら、4時間混練りした。ジエチレングリコ
ールの総使用量は80重量部であった。湿式摩砕後、7
0℃の1%硫酸水溶液1300重量部に取り出し、1時
間保温攪拌後、濾過、水洗、乾燥し、α型結晶の含有率
が0%である、β型銅フタロシアニン顔料1を得た。
【0026】顔料製造例2 湿式摩砕時間を3時間とすること以外、顔料製造例1と
同様にしてα型結晶の含有率が5%である、α型及びβ
型結晶からなる銅フタロシアニン顔料2を得た。
【0027】顔料製造例3 湿式摩砕時間を2時間とすること以外、顔料製造例1と
同様にしてα型結晶の含有率が7%である、α型及びβ
型結晶からなる銅フタロシアニン顔料3を得た。
【0028】顔料製造例4 湿式摩砕時間を1時間とすること以外、顔料製造例1と
同様にしてα型結晶の含有率が12%である、α型及び
β型結晶からなる銅フタロシアニン顔料4を得た。
【0029】顔料製造例5 顔料製造例1において得られたβ型粗製銅フタロシアニ
ン100gをボールミルで100℃×20時間乾式粉砕
した後、エタノール/水=80/20の混合溶媒を加
え、50℃×4時間処理し、濾過、水洗、乾燥し、α型
結晶を7%含有する銅フタロシアニン顔料5を得た。
【0030】 実施例1 ポリエステル樹脂 100重量部 (Tg:55℃、Mn3,000、Mw:25,000) 銅フタロシアニン顔料1 2重量部 荷電制御剤(ボントロンE−81;オリエント化学工業社製) 2重量部 上記の各処方量をヘンシエルミキサーにより予備混合を
行い、二軸押出し機で溶融混練し、冷却後ハンマーミル
を用いて粗粉砕し、次いでジェットミルで微粉砕した
後、風力分級機で分級して平均粒径9.5μmのトナー
粒子を得た。上記トナー粒子100重量部に流動性向上
剤として平均粒径0.05μmの疎水性酸化チタン微粉
末を0.4重量部を添加し、ヘンシエルミキサーで混合
してシアントナーを得た。上記シアントナーを用いて市
販のフルカラー複写機(CLC350;キャノン社製)
にて画像評価を行ったところ、濃色及び淡色いずれにお
いても彩度が高く鮮明なシアン画像が得られた。
【0031】実施例2〜4、比較例1 顔料を銅フタロシアニン顔料2(実施例2)、銅フタロ
シアニン顔料3(実施例3)、銅フタロシアニン顔料5
(実施例5)、銅フタロシアニン顔料4(比較例1)と
した以外は、実施例1と同様にしてシアントナーを得
た。同様に評価したところ、実施例2〜4のシアントナ
ーの場合は濃色及び淡色いずれにおいても彩度が高く鮮
明なシアン画像が得られた。比較例1のシアントナーの
場合は彩度が低く濁りのあるシアン画像となった。
【0032】
【発明の効果】上述したように、銅フタロシアニン顔料
中のα型の含有率を低下することによって明るさと鮮や
かさにおいて優れた、高精彩な複写画像を得ることがで
きるようになる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G03G 9/08

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 α型結晶の含有率が7%以下である銅フ
    タロシアニン顔料と少なくとも結着樹脂と含有すること
    を特徴とするトナー粒子。
  2. 【請求項2】 荷電制御剤を含有することを特徴とする
    請求項1記載のトナー粒子。
  3. 【請求項3】 荷電制御剤が、サリチル酸のクロム錯体
    又は塩、及びアルキルサリチル酸のクロム錯体又は塩か
    ら成る群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴
    とする請求項2記載のトナー粒子。
  4. 【請求項4】 結着樹脂100重量部に対し、銅フタロ
    シアニン顔料を1〜10重量部含有することを特徴とす
    る請求項1ないし3いずれか記載のトナー粒子。
  5. 【請求項5】 結着樹脂100重量部に対し、荷電制御
    剤を0.1〜10重量部含有することを特徴とする請求
    項1ないし4いずれか記載のトナー粒子。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5いずれか記載のトナー
    粒子と少なくとも1種の外添剤とを含有することを特徴
    とするシアントナー。
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JP7135616B2 (ja) * 2018-09-07 2022-09-13 コニカミノルタ株式会社 静電荷像現像用トナー

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