JP2935601B2 - 移植機における苗タンク構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、移植機に設けた左右往
復動する苗タンク構造に係るものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、多条植田植機等の移植機におい
ては、植付部に設けたプランタケースの上方に、苗が載
置される苗タンクをスライドピースにより左右往復動自
在に支持して、苗タンクからエプロン上に送り出された
マット苗等をプランタケースに設けた苗植付杆が掻取っ
て田面に植付けるようにしたものが知られている。とこ
ろが、この種の移植機では、植付条数に対応してマット
苗等を苗タンクに載置するため、苗タンクが左右に幅広
なものになり、このような苗タンクを、プランタケース
の上方にスライドピースで支持すると、プランタケース
の側方に張出した苗タンクの両端部が苗を載置したとき
に湾曲し、エプロンに当ったりして円滑な左右往復動に
支障を及ぼすことがある。 そこで、この幅広な苗タンク
を円滑に左右往復動させるため、従来は、苗タンクの下
端側を支持するスライドピースを、プランタケースの両
側方に大きく張出して設けている。このため、スライド
ピースを支持する角パイプ等からなる横長の支持部材が
別に必要となるので、苗タンクの支持構造が複雑とな
り、重量も増大して機体の重量バランスが悪くなるとい
う問題があった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の如き
実情に鑑み創作されたものであって、幅広な苗タンクで
あっても、苗タンクの下側レールを支持するスライドピ
ースを、殊更プランタケースの側方に張出すことなく、
機体内側に設けることができて、苗タンクの取付構造を
簡単軽量にすることができる移植機における苗タンク構
造を提供することを目的としたものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明が講じた技術的手段は、プランタケースの上
方に苗タンクを、苗タンクの上下レールがスライドする
スライドピースを介して左右往復動自在に支持し、苗タ
ンクの下端に臨んで配設されたエプロン上に送り出され
る苗を、プランタケースに設けた苗植付杆が掻取って圃
場に植付けるようにした移植機において、上記苗タンク
の下側レールに設けたスライド片を、プランタケースに
設けたスライドピースでスライド自在に支持して苗タン
クを左右に往復動させると共に、上記下側レールの左右
両端近傍位置には、苗タンクが左右往復動するときに、
エプロンの立上り部に沿ってスライドするガイドピース
を設けたことを特徴とするものである。

【０００５】

【作用】したがって本発明によれば、プランタケースの
上方にスライドピースを介して支持された苗タンクは、
上下レールがスライドして左右に往復動し、苗タンクの
下端に臨んで配設されたエプロン上に苗を送り出す。送
り出された苗は、プランタケースに設けた苗植付杆が掻
取って圃場に植付ける。そして左右往復動する苗タンク
は、下側レールに設けたスライド片を、プランタケース
に設けたスライドピースでスライド自在に支持したもの
でありながら、苗タンクが左右往復動する ときには、下
側レールの左右両端近傍位置に設けたガイドピースが、
エプロンの立上り部に沿ってスライドするので、幅広な
苗タンクであっても、プランタケースの側方に張出した
苗タンクの両端部が湾曲することはなく、円滑に左右往
復動する。このため、スライドピースを殊更プランタケ
ースの側方に張出すことなく、その内側に設けることが
できて、苗タンクの取付構造を簡単軽量にすることがで
きる。

【０００６】

【実施例】次に本発明の実施例を移植機として例示した
乗用田植機の図面に基いて詳述する。１は走行機体であ
って、前輪２および後輪３を備えた機体フレーム４にエ
ンジン５が搭載され、その後方には運転席６が配設され
ている。７は走行ハンドル、８はミッションケースであ
って、該ミッションケース８から後輪を駆動するＰＴＯ
ドライブ軸９および作業機ＰＴＯ軸１０が機体後方に向
けて延設されている。１１は走行機体１の後部に設けた
平行リンク機構であって、該平行リンク機構１１を介し
て装着された植付部１２が、油圧シリンダ１３の伸縮作
動により昇降可能となっている。１４は上記植付部１２
に設けたプランタケースであって、該プランタケース１
４の後端側に植付作動する植付爪１５を備えた苗植付杆
１６が装着されている。また、プランタケース１４の上
方には幅広の苗タンク１７が前高後低状に支持されてお
り、下方にはセンタフロート１８、サイドフロート１９
が上下動自在に配設されている。上記苗タンク１７の上
面は、植付条数に対応した苗のせ台に区画形成されてい
て、それぞれにマット苗等が載置できるようになってい
る。２０は左右方向のエプロンであって、上記苗タンク
１７の下端部に臨んで配設されており、該エプロン２０
上に送り出された苗を、前記苗植付杆１６が掻き取って
田面に植付ける。２１はゴムベルト等からなる苗縦送り
装置、２２は苗おさえである。上記苗タンク１７は、上
部側に設けた上側レール２３と、下端部に設けた下側レ
ール２４とが、スライドピースによって支持されてい
て、図示しない横送り機構により、左右往復動自在とな
っている。

【０００７】そして、本発明では、下側レール２４の支
持構造が次のように構成されている。 すなわち、プ
ランタケース１４の前端側上部にスライドピース取付ブ
ラケット２５がボルト２６を介して固定されており、該
スライドピース取付ブラケット2 5 の段部２５ａが形成
された表面に、スライドピース２７が密接状に冠着され
ている。また苗タンク１７の裏面側下端に設けた前記下
側レール２４には、スライドピース２７の上面に沿って
突出するスライド片２８が突成されている。２９はスラ
イドピース２７の上方から、スライドピース２７を貫通
する取付ボルト３０を介してスライドピース取付ブラケ
ット２５に着脱自在に装着される苗タンク取付ピースで
あって、該苗タンク取付ピース２９をスライドピース２
７上に固定すれば、該苗タンク取付ピース２９の突出部
３１と、スライドピース２７との対向間に、前記下側レ
ール２４のスライド片２８をスライド自在に支持するよ
うになっている。３２はスライド片２８がスライドピー
ス２７の段部に係止する係止縁部、２５bは スライドピ
ース取付ブラケット２５の位置決めガイドである。

【０００８】３３は、エプロン２０の調節ボルトであっ
て、該調節ボルト３３は、スライドピース取付ブラケッ
ト２５に設けた上下方向の長孔３４を貫通し、その先端
部が、苗タンク１７の裏面側に向けてエプロン２０に形
成された立上り部３５に取付固定されている。一方、調
節ボルト３３の基端部が、リンク機構３６を介して植付
本数調整レバー３７に連動連結されていて、該植付本数
調整レバー３７の操作により、エプロン２０と苗タンク
１７の下端との間隔が拡縮して、苗植付杆１６による苗
植付本数を調整できるようになっている。そして、下側
レール２４の下端部には凹部３８が形成されていて、下
側レール２４の左右両端近傍位置には、エプロン２０の
立上り部３５に沿ってスライドするガイドピース３９が
上記凹部３８に設けられている。

【０００９】上記の如き構成において、植付作業を行う
に当り、植付部１２を下降させて圃場を走行すれば、左
右往復動する苗タンク１７からエプロン２０上に送り出
された苗を、苗植付杆１６が掻取って田面に植付ける。
そして苗タンク１７は、下側レール２４のスライド片２
８が、スライドピース２７と苗タンク取付ピース２９と
の対向間に支持されて左右に往復動するが、このとき本
発明では、特に下側レール２４の左右両端近傍位置に設
けたガイドピース３９が、苗タンク１７の裏面側に向け
て形成されたエプロン２０の立上り部３５に沿ってスラ
イドするので、幅広な苗タンクであっても、プランタケ
ース１４の側方に張出した苗タンク１７の両端部が湾曲
することはなく、常に安定した状態で左右往復動する。
したがって、下側レール２４を支持するスライドピース
２７は、殊更、プランタケース１４の側方に張出す必要
はなく、機体内側のプランタケース１４前端側に設ける
のみでよいから、従来のような横長のスライドピース支
持部材を別に設けることなく、苗タンク１７の取付構造
を簡単軽量にすることができる。そのうえ、苗タンク１
７の組立て時には、スライド片２８をスライドピース２
７の上面に位置させてから、苗タンク取付ピース２９を
固定するのみで、苗タンク１７を組付けることができる
ので、組立操作が簡単なうえ、取付精度の向上を図るこ
とができる。なお、上記ガイドピース３９を、下側レー
ル２４の中央部に増設してもよいことは勿論である。

【００１０】

【発明の効果】これを要するに本発明は、プランタケー
スの上方に苗タンクを、苗タンクの上下レールがスライ
ドするスライドピースを介して左右往復同自在に支持
し、苗タンクの下端に臨んで配設されたエプロン上に送
り出される苗を、プランタケースに設けた苗植付杆が掻
取って圃場に植付けるようにした移植機において、上記
苗タンクの下側レールに設けたスライド片を、プランタ
ケースに設けたスライドピースでスライド自在に支持し
て苗タンクを左右に往復動させると共に、上記下側レー
ルの左右両端近傍位置には、苗タンクが左右往復動する
ときに、エプロンの立上り部に沿ってスライドするガイ
ドピースを設けたから、幅広の苗タンクが、下側レール
に設けたスライド片を、プランタケースに設けたスライ
ドピースで支持されて左右往復動するものでありなが
ら、左右往復動するときには、下側レールの左右両端近
傍位置に設けたガイドピースが、エプロンの立上り部に
沿ってスライドするので、幅広な苗タンクであっても、
プランタケースの側方に張出した苗タンクの両端部が湾
曲するようなことはなく、常に安定した状態で左右往復
動させることができる。したがって、苗タンクを支持す
るスライドピースを、殊更、プランタケースの側方に張
出すことなく、機体内側に設けることができるので、苗
タンクの取付構造が簡単軽量になって機体の重量バラン
スの向上を図ることができるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】移植機の全体側面図である。

【図２】要部の拡大側面図である。

【図３】図２のＡ方向矢視図である。

【図４】プランタケースの側面図である。

【図５】図４のＢ方向矢視図である。

【図６】苗タンクの背面図である。

【符号の説明】

１４ プランタケース １７ 苗タンク ２０ エプロン ２４ 下側レール２７ スライドピース ２８ スライド片 ３５ 立上り部 ３９ ガイドピース

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 プランタケースの上方に苗タンクを、苗
   タンクの上下レールがスライドするスライドピースを介
   して左右往復動自在に支持し、苗タンクの下端に臨んで
   配設されたエプロン上に送り出される苗を、プランタケ
   ースに設けた苗植付杆が掻取って圃場に植付けるように
   した移植機において、上記苗タンクの下側レールに設け
   たスライド片を、プランタケースに設けたスライドピー
   スでスライド自在に支持して苗タンクを左右に往復動さ
   せると共に、上記下側レールの左右両端近傍位置には、
   苗タンクが左右往復動するときに、エプロンの立上り部
   に沿ってスライドするガイドピースを設けたことを特徴
   とする移植機における苗タンク構造。