JPH0714809U - 移植機における苗載台の支持構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 走行機体に左右方向の筒状体を固定し、該筒
状体に嵌入した摺動自在のスライドバーに苗載台を取付
けて、左右往復動自在とした移植機において、左右往復
動する上記苗載台に左右方向のガタが発生しないように
して、精度の良い移植作業を行うことができるようにす
る。 【構成】 摺動するスライドバー２１に摺動抵抗を加え
る抵抗体２３を設けると共に、上記スライドバー２１の
摺動抵抗を変更可能とした。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、田植機等の移植機における苗載台の支持構造に係るものである。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、多条植田植機等の移植機においては、機体の後部に左右往復動自在の 苗載台を設けて、苗載台から送り出される苗を植付作動するプランタで単位植付 株ごとに掻取って圃場に植付けるようにしている。 このような移植機における苗載台の支持構造としては、走行機体に左右方向の 筒状体を固定し、該筒状体に嵌入した摺動自在のスライドバーに苗載台を取付け て、スクリュー軸に連動するリンク機構で苗載台を左右往復駆動させるようにし たものが知られている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、左右方向の筒状体に嵌入したスライドバーは、前後および上下方向 にはガタの無い状態で支持されるが、左右方向には筒状体に沿って自由に摺動す るので、苗載台を左右往復駆動させるためのリンク機構等にガタがあると、スラ イドバーが不用意に摺動して苗載台にも左右方向の無駄なガタが発生し、このた めプランタで苗を掻取る際に床土のみだれ等を生じて植付精度が低下するという 問題があった。 本考案は、上記のような問題点を解消すべく創案されたものであって、筒状体 に嵌入したスライドバーに苗載台を取付けたものであっても、左右往復動する苗 載台に、無駄なガタが発生するのを確実に防止して植付精度の向上を図ることが できる移植機における苗載台の支持構造を提供することを目的としたものである 。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

上記の課題を解決するため、本考案が講じた技術的手段は、走行機体に左右方 向の筒状体を固定し、該筒状体に嵌入した摺動自在のスライドバーに苗載台を取 付けて、左右往復動自在とした移植機において、上記摺動するスライドバーに摺 動抵抗を加える抵抗体を設けると共に、上記スライドバーの摺動抵抗を変更可能 としたことを特徴とするものである。

【０００５】

【作用】

したがって本考案によれば、スライドバーに取付けた苗載台は、スライドバー が走行機体に固定した左右方向の筒状体に摺動自在に嵌入されているので、前後 方向および上下方向にガタの少ない状態に支持されて左右往復動する。そして摺 動するスライドバーには抵抗体が摺動抵抗を加えており、しかもこの摺動抵抗は 変更可能なので、スライドバーが不用意に摺動しない適切な摺動抵抗に調整して おけば、苗載台を左右往復駆動するリンク機構等にガタがあっても、苗載台には 左右方向にも無駄なガタが発生することはなく、安定した状態で円滑に左右往復 動する。

【０００６】

【実施例】

次に本考案の実施例を添付した図面に基いて詳細に説明する。まず図５におい て、１は移植機として例示した歩行型田植機の走行機体であって、エンジン部２ を搭載した機体フレーム３の下部にフロート４が設けられ、その両側にはチェン ケース５に支持された左右の走行車輪６が配置されている。７はエンジン部２を 覆うボンネットである。 上記フロート４はその後部が連結部材８を介して上下搖動自在に枢支され、か つ、その前部側が機体フレーム３に対して上下接近離間自在となっている。また 走行車輪６を支持したチェンケース５は、その基端部がミッションケース９から 突出した回転軸１０の外周に上下搖動自在に枢支されていて、チェンケース５内 に設けたチェン伝動機構により、回転軸１０からの動力が走行車輪６に伝達され る。 １１は油圧シリンダ１２等からなる油圧制御機構であって、田面を滑走するフ ロート４の上下動およびローリングを感知して左右の走行車輪６を同時に、ある いは互に反対方向に上下動させて機体姿勢を水平制御するものである。 １３は機体フレーム３の後端から後方上方に向けて延設された操作ハンドルで あって、該操作ハンドル１３の前面には、前低後高状の苗載台１４が左右往復動 自在に支持されている。１５は上記苗載台１４の下端に臨んで設けた苗受板、１ ６はその下方に設けた植付作動するプランタであって、該プランタ１６が苗受板 １５上に送り出された苗を単位植付株ごとに掻取って圃場に植付ける。

【０００７】 そして上記苗載台１４を左右往復動自在に支持する支持構造は、次のように構 成されている。すなわち、１７は走行機体１に設けた左右方向の筒状体であって 、該筒状体１７は、図１〜図２に示すように、その後面側に、取付プレート１８ ａ，１８ｂ，１８ｃが溶着されており、該取付プレート１８ａ，１８ｂ，１８ｃ を機体フレーム３に装着された支持フレーム１９に、ボルト等で固定することに より、筒状体１７が支持フレーム１９で支持された苗受板１５の直上部に位置し ている。上記苗受板１５は苗の掻取量調節時には、取付プレート１８ａ，１８ｂ ，１８ｃ上を摺動するものである。２０は苗載台１４の下端側後面に設けた下レ ールである。 上記筒状体１７の中空部にはスライドバー２１が摺動自在に嵌入されていて、 該スライドバー２１の筒状体１７から突出した両端部を、苗載台１４の左右両側 に設けたブラケット２２にそれぞれ固定することにより、苗載台１４が筒状体１ ７に沿って左右往復動自在となっている。そして上記筒状体１７には、スライド バー２１に摺動抵抗を加える抵抗体２３が設けられている。すなわち、筒状体１ ７の左右方向略中央部には、抵抗体としての螺子杆２４が筒状体１７の内方に向 けて螺入されており、該螺子杆２４の先端がスライドバー２１を押圧して摺動抵 抗を加え、スライドバー２１が不用意に摺動するのを防止している。そして上記 摺動抵抗は螺子杆２４の締付力を調節することによって変更可能となっている。 なお上記筒状体１７は、その外周面を前記下レール２０の上面板２０ａ下面と 前面板２０ｂ後面とに当接させて、下レール２０の位置決めとして利用できるよ うになっている。２５は苗載台１４の上部側に設けた上レール、２６は上レール ２５の支持ローラである。

【０００８】 ２７は苗載台１４に設けた苗ホルダであって、該苗ホルダ２７に横送りアーム ２８の上端部が連結されており、横送りアーム２８の下端部が前後方向の回動軸 ２９に連結されている。そして上記回動軸２９の前端に連結した駆動アーム３０ をミッションケース９内のスクリューシャフトで搖動させるリンク機構が形成さ れていて、スクリューシャフトに連動して左右に搖動する横送りアーム２８が、 苗ホルダー２７とともに苗載台１４を左右に往復駆動する。

【０００９】 そして往復駆動される苗載台１４の横送り調整は、ストローク調整と左右振り 分け調整とを別々に調整できるようになっている。すなわち、図６〜図７に示す ように、横送りアーム２８に連結された支軸３１の固定板３２が、長孔３３に挿 通されるボルト３４を介して取付板３５に横方向調節自在に固定されており、上 記取付板３５は、長孔３６に挿通されるボルト３７を介して苗ホルダ２７に上下 方向調節自在に固定されている。さらに上記固定板３２は、取付板３５に支持さ れたアジャスタボルト３８により横方向の位置が微調整可能となっている。した がって取付板３５の位置を上下調節すれば、搖動する横送りアーム２８による横 送りのストロークのみを変更でき、また固定板３２の位置を左右調節すれば左右 の振り分けのみを変えることができ、更にアジャスタボルト３８で微調整するこ とができる。 また横送りアーム２８と駆動アーム３０を連結する回動軸２９には、図８に示 すようにミッションケース９を貫通する部位にダストシール３９が設けられてい るが、該ダストシール３９の外側にライナ４０、Ｃリング４１を設けることによ り、ミッションケース９の外側で位置決めされている。

【００１０】 図３〜図４に示すものは、前記スライドバー２１に摺動抵抗を加える抵抗体２ ３としてシール材を設けたものである。すなわち、４２は筒状体１７の両端部に 設けた合成ゴム等からなるダストシール材であって、該シール材４２をスライド バー２１に適切な摺動抵抗を加えるものに調整しておくことにより、スライドバ ー２１が不用意に摺動するのを防止している。４３はスライドバー２１に嵌入さ れたスライドピースであって、該スライドピース４３が前記下レール２０に合せ た形状となっていて、苗載台１４が左右往復動する際には、下レール２０が上記 スライドピース４３に支持されて摺動するようになっている。 なお上記シール材４２はダストシールに限定されるものではなく、要はスライ ドバー２１に適切な摺動抵抗を加えるものであればよいことは勿論である。

【００１１】 上記の如き構成において、移植作業を行うに当っては、走行機体１に支持した 苗載台１４が機体の走行に伴って左右往復動し、苗載台１４から苗受板１５に送 り出された苗をプランタ１６が掻取って圃場に植付けてゆく。このとき、左右往 復動する苗載台１４は、ブラケット２２に固定したスライドバー２１が左右方向 の筒状体１７に嵌入されて左右に摺動するので、前後方向および上下方向ともガ タの極めて少ない状態で摺動する。そして苗載台１４を往復駆動するリンク機構 にガタはあっても、摺動するスライドバー２１は螺子杆２４により摺動抵抗が加 えられ、しかも螺子杆２４の調節により摺動抵抗を自由に変更できるので、スラ イドバー２１が不用意に摺動しないようにして苗載台１４に左右方向のガタが発 生するのを防止することができる。このため苗載台１４はいずれの方向にもガタ の無い安定した状態で左右往復動するので植付作動するプランタ１６により、床 土のみだれ等を生ずることなく苗を掻取って精度の良い植付作業を行うことがで きる。 また抵抗体２３としてシール材４２を設けたものでは、特に複雑な機構が不要 となるので、簡単に取付けることができ、しかも苗載台１４のガタを無くすのと 同時にスライドバー２１を泥水等から保護することができる。 一方、横送りアーム２８の摺動により左右往復動する苗載台１４は、横送りの ストロークと左右の振り分けとを別々に調整することができ、さらに左右の振り 分けは微調整することができるので、苗載台１４を常に適正な横送り状態に容易 に調整することができる。 また上記横送りアーム２８と駆動アーム３０とを連結する回動軸２９は、ダス トシール３７の外側にライナ４０、Ｃリング４１を設けて位置決めしているので 、Ｃリング４１の外れ等を外部から目視することができて、メンテナンスが容易 となるうえ、ダストシール３７の外れも防止することができる。

【００１２】

【考案の効果】

これを要するに本考案は、走行機体に左右方向の筒状体を固定し、該筒状体に 嵌入した摺動自在のスライドバーに苗載台を取付けて、左右往復動自在とした移 植機において、上記摺動するスライドバーに摺動抵抗を加える抵抗体を設けると 共に、上記スライドバーの摺動抵抗を変更可能としたから、苗載台を取付けたス ライドバーが、筒状体に嵌入されて左右方向に摺動するものでありながら、抵抗 体がスライドバーに摺動抵抗を加え、しかも、摺動抵抗を自由に変更できるので 、苗載台を往復駆動させる従来のリンク機構等にガタがあっても、スライドバー が不用意に摺動しない適切な摺動抵抗とすることができる。このためスライドバ ーに取付けた苗載台は、筒状体に嵌入したスライドバーで前後方向および上下方 向のガタが防止されるうえ、抵抗体による摺動抵抗で左右方向のガタが防止され るので、いずれの方向にもガタの無い状態で円滑に左右往復動させることができ る。したがって安定状に支持された苗載台から床土のみだれ等を生ずることなく 整然と苗を掻取って精度の良い移植作業を行うことができるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】要部の正面図である。

【図２】同上側面図である。

【図３】他の実施例を示す要部の正面図である。

【図４】同上側面図である。

【図５】移植機の全体側面図である。

【図６】苗ホルダの側面図である。

【図７】同上一部の拡大正面図である。

【図８】回動軸の側面図である。

【符号の説明】

１ 走行機体 １４ 苗載台 １７ 筒状体 ２１ スライドバー ２３ 抵抗体

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 小松 仁 島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地 １ 三菱農機株式会社内 (72)考案者 石田 洋司 島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地 １ 三菱農機株式会社内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 走行機体に左右方向の筒状体を固定し、
   該筒状体に嵌入した摺動自在のスライドバーに苗載台を
   取付けて、左右往復動自在とした移植機において、上記
   摺動するスライドバーに摺動抵抗を加える抵抗体を設け
   ると共に、上記スライドバーの摺動抵抗を変更可能とし
   たことを特徴とする移植機における苗載台の支持構造。