JP2934605B2 - α−オキソカルボン酸エステルの製造方法およびそれに用いる触媒 - Google Patents

α−オキソカルボン酸エステルの製造方法およびそれに用いる触媒

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、気相反応によりα
−オキソカルボン酸エステルを製造する方法およびそれ
に用いる触媒に関するものである。
【0002】代表的なα−オキソカルボン酸エステルで
あるグリオキシル酸エステルは、工業的に有用な化合物
であり、例えば、グリオキシル酸エステルの重合体から
得られるポリアセタールカルボキシナトリウム塩は、洗
剤等のビルダーとして有用である。また、例えば、該グ
リオキシル酸エステルを加水分解して得られるグリオキ
シル酸は、医薬品、化粧品、香料、農薬等の各種製品の
中間原料として非常に有用な化合物である。
【0003】
【従来の技術】従来より、代表的なα−オキソカルボン
酸エステルであるグリオキシル酸エステルの製造方法と
しては、以下に示す種々の合成方法が提案されている。 (1)グリコール酸エステルを気相酸化脱水素する方
法。 (2)グリオキシル酸をアルコールによってエステル化
する方法。 (3)フマル酸エステルをオゾン酸化した後、水素還元
する方法(特開平6-321866号公報)。
【0004】(1)の方法に関しては、リン酸鉄を触媒
として用いる方法(米国特許第5,118,652 号)、及び、
金属Agを触媒として用いる方法(特開昭60-152442 号
公報)等が知られている。尚、原料であるグリコール酸
エステルは、通常、エチレングリコールを白金等の貴金
属触媒を用いて液相酸化することによりグリコール酸を
得た後、酸触媒の存在下でアルコールとのエステル化反
応を行うことにより得られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、(1)
の方法においては、生成したグリコール酸エステルと未
反応のアルコールとを分離する必要がある。そのため、
例えば、リン酸鉄を触媒として用いる方法では、グリコ
ール酸エステルから目的物への収率は約80%と高いもの
の、原料であるエチレングリコールから目的物であるグ
リオキシル酸エステルまでのトータルの収率は、60%台
にとどまり、効率的に得ることができない。また、工程
が長く煩雑であるため、製造装置が全体として高価なも
のになる。
【0006】また、例えば、金属Agを触媒として用い
る方法では、高濃度かつ高空間速度(SV)で反応させ
ることができるものの、転化率が低く、収率が40%台に
とどまる。そのため、多量の未反応グリコール酸エステ
ルを回収し、再使用する必要があり、グリオキシル酸エ
ステルを効率的に得ることができない。従って、原料で
あるエチレングリコールから目的物であるグリオキシル
酸エステルまでのトータルの収率は、さらに低くなる。
また、工程が長く煩雑であるため、製造装置が全体とし
て高価なものになる。
【0007】また、(2)の方法では、通常、グリオキ
シル酸エステルのヘミアセタールが主生成物として得ら
れ、グリオキシル酸エステルはほとんど得られない。そ
こで、上記のヘミアセタールを熱分解することによりグ
リオキシル酸エステルを単離する方法(特開昭57-17692
9 号公報)が提案されているが、収率、純度ともに不十
分であり、グリオキシル酸エステルを安価にかつ効率的
に得ることができない。また、上記のエステル化におけ
るヘミアセタールの生成を抑えて、グリオキシル酸から
グリオキシル酸エステルを一段階で得る方法(特公平4-
66856号公報)も提案されている。
【0008】その上、(2)の方法では、これらの問題
点に加え、以下に示す問題点を有している。原料のグリ
オキシル酸は、通常、グリオキザール水溶液を原料とす
る方法により得られる。ところが、例えば特開平3-6324
5 号公報に開示された方法では、酸性条件下で液相反応
を行う必要があるため、装置の材質面での制約が多く、
また、例えば特開平7- 51567号公報に開示された方法で
は、収率が50%台と不十分である。さらに、蓚酸の電気
化学還元により、ほぼ定量的にグリオキシル酸を得る方
法(特表平7-501854号公報)もあるが、高価な電極反応
槽が必要である。また、マレイン酸をオゾン酸化した
後、水素還元してグリオキシル酸を得る方法(特開昭63
-295528 号公報)もあるが、高価なオゾン発生装置等が
必要となる。しかも、グリオキシル酸の原料として用い
られている蓚酸及びマレイン酸は、ともに高価である。
【0009】そして、上に挙げたいずれの方法も、高価
であり、かつ、目的物であるグリオキシル酸エステルま
での工程も長く、煩雑である。このため、製造装置も高
価となり、グリオキシル酸エステルを安価に得ることが
できない。
【0010】(3)の方法では、80%台の高い収率で対
応するグリオキシル酸エステルが得られるものの、オゾ
ン発生装置等の高価な反応装置が必要であり、かつ工程
が長い。従って、目的とするグリオキシル酸エステルを
安価に製造することができないという問題点を有してい
る。
【0011】このように、上記従来のα−オキソカルボ
ン酸エステルの製造方法は、生産性及び経済性等におい
て種々の問題点を有しており、α−オキソカルボン酸エ
ステルを安価にかつ効率的に製造することができないと
いう問題点を有している。
【0012】すなわち、本発明は、上記従来の問題点に
鑑みなされたものであり、その目的は、安価にかつ効率
的にα−オキソカルボン酸エステルを製造することがで
きるα−オキソカルボン酸エステルの製造方法およびそ
れに用いる触媒を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、新規な
α−オキソカルボン酸エステルの製造方法を提供すベく
鋭意検討した結果、α−オキソアルデヒド及び/又はα
−ヒドロキシアルデヒドと、アルコール又はオレフィン
とを、酸素及び触媒の存在下で気相酸化させることによ
り、安価にかつ効率的に該α−オキソカルボン酸エステ
ルを製造することを考え、この方法において、リン含有
無機酸化物を含有する触媒を用いることにより、さらに
効率的にα−オキソカルボン酸エステルを製造すること
ができることを見い出して、本発明を完成させるに至っ
た。
【0014】すなわち、本発明にかかるα−オキソカル
ボン酸エステルの製造方法は、α−オキソアルデヒド及
び/又はα−ヒドロキシアルデヒドと、アルコール又は
オレフィンとを、酸素及び触媒の存在下で気相酸化させ
る方法において、上記触媒がリン含有無機酸化物を含有
することを特徴とする。また、本発明にかかる触媒は、
α−オキソアルデヒド及び/又はα−ヒドロキシアルデ
ヒドと、アルコール又はオレフィンとを、酸素及び触媒
の存在下で気相酸化させる方法に用いる触媒であって、
リン含有無機酸化物を含有することを特徴としている。
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【発明の実施の形態】 以下に本発明を詳しく説明する。
本発明のα−オキソカルボン酸エステルの製造方法は、
α−オキソアルデヒド及び/又はα−ヒドロキシアルデ
ヒドに、アルコール又はオレフィンを加え、分子状酸素
及び触媒の存在下で気相酸化、すなわち酸化的エステル
化する方法であり、この際に、リン含有無機酸化物を含
有する本発明の触媒を用いる。
【0029】上記のα−オキソアルデヒド及び/又はα
−ヒドロキシアルデヒドとしては、例えば、記一般式
(1)で表される1,2−ジオール(以下、単に1,2
−ジオールと記す)を気相酸化する方法、あるいは、α
−オキソアルデヒド溶液及び/又はα−ヒドロキシアル
デヒド溶液を加熱する方法等により得られるガス状のα
−オキソアルデヒド及び/又はα−ヒドロキシアルデヒ
ドを用いることができる
【化1】
【0030】
【0031】α−オキソアルデヒドは記一般式
(2)中、Rで示される置換基が、水素原子または有機
残基で構成される化合物である
【化2】 記α−オキソアルデヒドとしては、具体的には、グリ
オキザール(Rで示される置換基が水素原子);Rで示
される置換基が炭素数1〜4の飽和脂肪族炭化水素基で
あるα−オキソアルデヒド、例えば、ピルビンアルデヒ
ド、2−オキソブタナール、2−オキソペンタナール、
2−オキソヘキサナール、3−メチル−2−オキソブタ
ナール、3−メチル−2−オキソペンタナール、4−メ
チル−2−オキソペンタナール等;Rで示される置換基
が炭素数2〜3の不飽和脂肪族炭化水素基であるα−オ
キソアルデヒド、例えば、2−オキソ−3−ブテナー
ル、2−オキソ−4−ペンテナール、2−オキソ−3−
ペンテナール等;Rで示される置換基が芳香族炭化水素
基であるオキソアルデヒド、例えば、2−フェニル−2
−オキソエタナール等が挙げられる。
【0032】α−ヒドロキシアルデヒドは記一般式
(3)中、Rで示される置換基が、水素原子または有機
残基で構成される化合物である
【化3】 記α−ヒドロキシアルデヒドとしては、具体的には、
グリコールアルデヒド(Rで示される置換基が水素原
子);Rで示される置換基が炭素数1〜4の飽和脂肪族
炭化水素基であるα−ヒドロキシアルデヒド、例えば、
2−ヒドロキシプロパナール、2−ヒドロキシブタナー
ル、2−ヒドロキシペンタナール、2−ヒドロキシヘキ
サナール、3−メチル−2−ヒドロキシブタナール、3
−メチル−2−ヒドロキシペンタナール、4−メチル−
2−ヒドロキシペンタナール等;Rで示される置換基が
炭素数2〜3の不飽和脂肪族炭化水素基であるα−ヒド
ロキシアルデヒド、例えば、2−ヒドロキシ−3−ブテ
ナ−ル、2−ヒドロキシ−4−ペンテナール、2−ヒド
ロキシ−3−ペンテナール等;Rで示される置換基が芳
香族炭化水素基であるヒドロキシアルデヒド、例えば、
2−フェニル−2−ヒドロキシエタナール等が挙げられ
る。
【0033】α−オキソアルデヒド及び/又はα−ヒド
ロキシアルデヒドの原料として用いる1,2−ジオール
は、前記一般式(1)中、Rで示される置換基が、水素
原子または有機残基で構成される化合物である。上記
1,2−ジオ−ルは、常圧の条件で気化させることが可
能なものであればよい。上記1,2−ジオ−ルとして
は、具体的には、エチレングリコール(Rで示される置
換基が水素原子);Rで示される置換基が炭素数1〜4
の飽和脂肪族炭化水素基である1,2−ジオール、例え
ば、プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、
1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオー
ル、3−メチル−1,2−ブタンジオール、4−メチル
−1,2−ペンタンジオール、3−メチル−1,2−ペ
ンタンジオール等;Rで示される置換基が炭素数の2〜
3の不飽和脂肪族炭化水素基である1,2−ジオール、
例えば、1,2−ジヒドロキシ−3−ブテン、1,2−
ジヒドロキシ−4−ペンテン、1,2−ジヒドロキシ−
3−ペンテン等;Rで示される置換基が芳香族炭化水素
基である1,2−ジオール、例えば、1−フェニル−
1,2−ジヒドロキシエタン等が挙げられる。
【0034】上記1,2−ジオールの気相酸化反応は
ガス状のα−オキソアルデヒド及び/又はα−ヒドロキ
シアルデヒドが得られる方法であれば、特に限定されな
い。すなわち、前段反応は、公知の種々のα−オキソア
ルデヒドの製造方法やα−ヒドロキシアルデヒドの製造
方法に準じて行うことができる。
【0035】例えば、代表的なα−オキソアルデヒドで
あるグリオキザールの製造方法としては、金属Ag、C
uO−ZnO/α−Al2 3 、Ag2 O−SiO2
ZnO等を触媒としてエチレングリコールを気相酸化す
る方法が知られている。特に、少量のリン含有成分の存
在下で金属Agを触媒とする反応では、高い収率(最高
収率84%)でグリオキザールが得られている(特開昭
58−59933号公報、特開平3−232835号公
報)。
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】一方、上記1,2−ジオールの気相酸化反
を行う代わりに、α−オキソアルデヒド溶液を加熱し
てガス状のα−オキソアルデヒドを得る場合、又は、α
−ヒドロキシアルデヒド溶液を加熱してガス状のα−ヒ
ドロキシアルデヒドを得る場合には、例えば、α−オキ
ソアルデヒド溶液又はα−ヒドロキシアルデヒド溶液
に、アルコール又はオレフィンを加えた混合溶液を加熱
してガス状にすればよい。上記のα−オキソアルデヒド
溶液としては、例えば、グリオキザール水溶液を用いる
ことができる。また、上記のα−ヒドロキシアルデヒド
溶液としては、α−ヒドロキシアルデヒド二量体の溶
液、例えば、グリコールアルデヒド二量体を水とメタノ
ールに溶解してなる水溶液を用いることができる。尚、
上記α−オキソアルデヒド溶液又はα−ヒドロキシアル
デヒド溶液として、水溶液を用いる場合には、水が多量
に存在すると、目的物であるα−オキソカルボン酸エス
テルの収率が低下するため、該水溶液は濃度の高い方が
好ましい。
【0042】ガス状のα−オキソアルデヒド及び/又は
α−ヒドロキシアルデヒドの酸化的エステル化反応(以
下、反応と称する)に用いる反応装置としては、固定
床流通方式の反応器を用いればよい。
【0043】反応に用いるアルコール又はオレフィン
は、アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノ
ール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタ
ノール、2−ブタノール、iso −ブタノール、tert−ブ
タノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、オクタ
ノール、2−エチルヘキサノール、ラウリルアルコー
ル、ステアリルアルコール等の工業的に入手容易な炭素
数1〜18のアルキルアルコールやフェノール、ベンジ
ルアルコール等の芳香族アルコールが挙げられる。上記
例示のうち、好ましくは、メタノール、エタノール、1
−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、
2−ブタノール、iso −ブタノール、tert−ブタノール
等の炭素数1〜4のアルキルアルコール、さらに好まし
くは、メタノールである。また、オレフィンとしては、
例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテ
ン、イソブテン等の炭素数2〜4のオレフィンが挙げら
れる。
【0044】反応に供されるα−オキソアルデヒド及
/又はα−ヒドロキシアルデヒドのと、アルコール
又はオレフィンとの比は、理論的には、α−オキソアル
デヒド及びα−ヒドロキシアルデヒドの合計に対して当
量のアルコール又はオレフィンがあればよい。反応に
供されるα−オキソアルデヒド及び/又はα−ヒドロキ
シアルデヒドのと、酸素との比は、特に限定されな
い。反応に供されるα−オキソアルデヒドと、α−ヒ
ドロキシアルデヒドとの比は、特に限定されず、α−オ
キソアルデヒドのみであってもよく、α−ヒドロキシア
ルデヒドのみであってもよい。
【0045】反応における酸素は、分子状酸素含有ガ
スを用いて供給することができる。分子状酸素含有ガス
としては、酸素、空気、それらを窒素やヘリウム等の不
活性ガスで希釈した混合ガス等の通常の分子状酸素含有
ガスを使用することができるが、工業的には、空気、ま
たは、空気と不活性ガスとの混合ガスを使用するのが好
ましい。本反応に供される好ましいガス組成は、α−オ
キソアルデヒド及び/又はα−ヒドロキシアルデヒド
:酸素:アルコール又はオレフィン:水=3〜5:3
〜8:10〜25:前段反応により生成する量(vo
l.%、窒素バランス)の範囲である。この範囲よりア
ルコール又はオレフィンの供給量が少ない場合には、α
−オキソカルボン酸エステルの収率が低下する。一方、
この範囲より供給量を多くしても、α−オキソカルボン
酸エステルの収率は向上せず、未反応のアルコール又は
オレフィンが多くなる。このため、回収再使用するアル
コール又はオレフィンの量が多くなり好ましくない。
【0046】反応の反応温度は、用いる触媒等に応じ
て任意に選択することができるが、150〜500℃の
広い範囲で実施可能であり、好ましくは180〜400
℃である。また、空間速度(SV)も、用いる触媒等に
応じて任意に選択することができるが、500〜10,
000hr-1の広い範囲で実施可能であり、好ましくは
1,000〜5,000hr-1である。
【0047】反応の触媒が含有するリン含有無機酸化
物としては、特に限定されるものではなく、種々のもの
が使用できるが、その中でも金属リン酸塩及びリン含有
ヘテロポリ酸が好ましい。
【0048】上記金属リン酸塩の金属としては、リン酸
塩を形成するものであれば、特に限定されない。例え
ば、アルカリ土類金属、B、Al、Ti、V、Cr、M
n、Fe、Co、Ni、Zn、Zr、Mo、Pd、A
g、Cd、Sn、Pb等が挙げられる。上記金属リン酸
塩における金属とリンとの比は、オルトリン酸塩の量論
比からずれていてもよく、具体的には、金属/リン=1
/0.5 〜1/2の範囲であるが、オルトリン酸塩の量論
比に近い方がより好ましい。金属リン酸塩の金属は、一
種類だけでなく、二種類以上を組み合わせることもでき
る。つまり、二種類以上の金属を含有する金属リン酸塩
を使用することもできる。また、金属リン酸塩は、互い
に異なる金属を含有する金属リン酸塩を二種類以上混合
してなる混合物であってもよい。
【0049】すなわち、本発明における金属リン酸塩と
は、一種類の金属を含有する金属リン酸塩;二種類以上
の金属を含有する金属リン酸塩;互いに異なる金属を含
有する金属リン酸塩を二種類以上混合してなる混合物;
及びこれらを混合してなる混合物を示す。
【0050】さらには、金属リン酸塩を触媒層として反
応器に充填する際に、気体の導入側と気体の出口側とで
異なる金属リン酸塩を用いることもできる。
【0051】上記金属リン酸塩としては、市販の試薬等
をそのまま用いてもよく、あるいは金属塩とリン酸源と
を用いて、水溶液からの共沈法、若しくはスラリー状に
しての混練法等により調製してもよい。上記の金属塩と
しては、金属の硝酸塩や炭酸塩、蓚酸塩、水酸化物、塩
化物等が挙げられる。また、上記のリン酸源としては、
オルトリン酸、リン酸アンモニウム、リン酸一水素アン
モニウム、リン酸二水素アンモニウム等のリン酸塩が挙
げられる。これら、金属塩とリン酸源の組み合わせは、
特に限定されるものではなく、種々の組み合わせが可能
である。
【0052】金属リン酸塩は、そのまま触媒として使用
することができるが、100 〜120 ℃で空気中で乾燥した
後、空気中で焼成し、さらに、必要に応じて成型、又は
粒径を揃えることが好ましい。焼成温度は、金属リン酸
塩の種類で異なるが、300 〜700 ℃の範囲であり、より
好ましくは 400〜600 ℃の範囲である。
【0053】また、金属リン酸塩は、それ自体で触媒と
して使用することができるが、無機酸化物を混合して混
合物として用いる方が好ましい。ここで用いられる無機
酸化物としては、シリカ、チタニア、ジルコニア、酸化
ニオブ、ケイソウ土等が挙げられる。尚、チタニアにつ
いては、アナターゼ型であってもよく、ルチル型であっ
てもよい。
【0054】金属リン酸塩に混合される無機酸化物の量
は、金属リン酸塩の種類によって異なるが、金属リン酸
塩と無機酸化物との合計量に対して、1〜90重量%の範
囲内が好ましく、10〜60重量%の範囲内がより好まし
い。
【0055】上記のリン含有ヘテロポリ酸としては、特
に限定されるものではないが、その中でも、下記一般式 Ha PM1240・nH2 O (式中、Mはタングステン、モリブデン及びバナジウム
からなる群より選ばれる一種以上の元素を表し、aはM
により定まる数値であり、nは0又は正数である)で表
されるケギン型ヘテロポリ酸が特に優れた触媒性能を有
するので好ましい。
【0056】また、ケギン型ヘテロポリ酸中のHの一部
又は全部が、アルカリ金属やアルカリ土類金属、遷移金
属等の金属で置換された化合物、すなわち下記一般式 Ha-b M’b PM1240・nH2 O (式中、Mはタングステン、モリブデン及びバナジウム
からなる群より選ばれる一種以上の元素を表し、M’は
アルカリ金属やアルカリ土類金属、遷移金属等の金属元
素を表し、aはMにより定まる数値であり、bは0<b
≦aを満たす任意の数値であり、nは0又は正数であ
る)で表されるヘテロポリ酸塩を用いることもできる。
【0057】上述のヘテロポリ酸やヘテロポリ酸塩は、
そのまま触媒として使用することができるが、担体に担
持して使用する方が好ましい。この場合の担体として
は、反応に悪影響を与えず、かつヘテロポリ酸やヘテ
ロポリ酸塩に対して安定なものが好ましく、具体的に
は、シリカ、チタニア、ケイソウ土等が挙げられる。ま
た、担持方法は、特に限定されるものではなく、いわゆ
る混練法や含浸担持法等を採用することができる。リン
含有ヘテロポリ酸は、反応に供する前に乾燥、焼成等
の前処理を行う必要はないが、反応温度よりも高い温度
で前処理する方がより好ましい。
【0058】下、本発明の実施の一形態について図1
に基づいて説明すれば、以下の通りである。以下の説明
においては、反応装置として、二段連結の固定床流通式
反応器を用いる場合を例に挙げることとする。また、以
下の説明においては、アルコール又はオレフィンとし
て、アルコールを用いる場合を例に挙げることとする。
尚、反応装置は、図1に示す構成にのみ限定されるもの
ではない。
【0059】尚、α−オキソアルデヒド及び/又はα−
ヒドロキシアルデヒドを1,2−ジオールの気相酸化で
得ておく場合、以下では、これを前段反応と言い、これ
に引き続き行われる本反応を後段反応と言う。図1に示
すように、上記の反応装置は、原料タンク1、気化室
3、前段反応器7、原料タンク12、気化室14、後段
反応器11等から構成されている。
【0060】原料タンク1には、1,2-ジオールに、必要
に応じて反応を促進するためのリン源である亜リン酸ト
リエチル、及び/又は水を添加してなる液体状の原料
(以下、前段原料と記す)が入っている。原料タンク1
内の前段原料は、マイクロポンプ等のポンプ2により、
定量的に気化室3に供給される。
【0061】気化室3には、原料タンク1からポンプ2
を介して前段原料が供給される原料供給口4、空気と窒
素との混合ガスが供給されるガス供給口5が設けられて
いる。気化室3には、シーズヒータが巻き付けられてお
り、前段原料を加熱し、気化させるようになっている。
そして、気化室3内の温度を制御するために、直径1/
16インチの図示しない熱電対用保護管が該気化室3内に
挿入されており、この保護管内には、直径0.5 mmの熱電
対6が挿入されている。さらに、気化室3の出口は前段
反応器7と接続されており、気化した前段原料が混合ガ
スと共に前段反応器7に送られるようになっている。
【0062】前段反応器7は、直径1/4インチのSU
S製の反応管に、触媒の支持体として石英ウールが挿入
され、さらに、触媒として金属Ag(例えば、横浜金属
株式会社製)が所定量、充填されてなっている。そし
て、該金属Agにより、気体を流通するための触媒層7
aが形成されている。また、前段反応器7には、シーズ
ヒータが巻き付けられており、触媒層7aを加熱するこ
とができるようになっている。さらに、触媒層7aの温
度を測定して温度制御するために、気化室3と同様に、
直径1/16インチの図示しない熱電対用保護管が前段反
応器7内に挿入されており、この保護管内には、直径0.
5 mmの熱電対8が挿入されている。前段反応器7のガス
出口には、三方コック9が接続されている。
【0063】三方コック9は、前段反応器7から送出さ
れるα−オキソアルデヒド及び/又はα−ヒドロキシア
ルデヒドを含む反応ガスと、ガス供給口10から供給さ
れる酸素又は空気とを混合して、気化室14に供給す
る。そして、三方コック9は、前段反応の反応ガスの組
成を分析する際には、切り換えにより、ガス供給口10
から該反応ガスを送出する。尚、上記反応ガスは、例え
ば、ガス供給口10に接続された図示しないガス捕集瓶
中で、氷温下、水に捕集されるようになっている。
【0064】原料タンク12には、アルコールが入って
いる。原料タンク12内のアルコールは、マイクロポン
プ等のポンプ13により、定量的に気化室14に供給さ
れる。
【0065】気化室14には、三方コック9を介して前
段反応の反応ガスと、酸素又は窒素とが供給されると共
に、ポンプ13を介して原料タンク12から液体のアル
コールが供給される。該気化室14は、シーズヒータが
巻き付けられて、所定温度に加熱されており、アルコー
ルを気化させる。また、気化室14の出口は後段反応器
11に接続されており、三方コック9から送られる上記
ガスと気化したアルコールとを混合して、後段反応器1
1に送るようになっている。
【0066】後段反応器11は、内径10mmのSUS製の
U字型反応管に、後段反応に供される触媒(以下、後段
触媒と記す)が所定量、充填されてなっている。そし
て、該後段触媒により、気体が流通可能な触媒層11a
が形成されている。また、後段反応器11は、溶融塩浴
16によって加熱することができるようになっている。
さらに、触媒層11aの温度を測定して温度制御するた
めに、直径1/16インチの図示しない熱電対用保護管が
該後段反応器11内に挿入されており、この保護管内に
は、直径0.5 mmの熱電対15が挿入されている。後段反
応器11のガス出口には、三方コック17を介して、後
段反応後の流通気体を捕集するガス捕集装置18が接続
されている。つまり、後段反応の反応ガスは、ガス捕集
装置18によって捕集されるようになっている。尚、三
方コック17は、例えば反応ガスを捕集しない場合に
は、切り換えられ、該反応ガスを排気口17aを介して
図示しない排気トラップに排気するようになっている。
【0067】ガス捕集装置18は、直列に接続されたガ
ス捕集瓶19・19と、これらガス捕集瓶19・19を
氷冷する氷浴20とを備えている。ガス捕集瓶19・1
9には、反応ガスを吸収することができる溶媒、例えば
アセトニトリルが入っており、該反応ガスを氷温下で捕
集するようになっている。また、ガス捕集装置18のガ
ス出口18aは、図示しない排気トラップに接続されて
いる。
【0068】次に、上記構成の反応装置を用いたα−オ
キソカルボン酸エステルの製造方法の一例について説明
する。
【0069】先ず、空気と窒素との混合ガスを気化室3
のガス供給口5に連続的に供給すると共に、1,2-ジオー
ルを含む液体の前段原料を、原料タンク1からポンプ2
を介して、気化室3の原料供給口4に連続的に供給す
る。次に、前段原料を、気化室3において、所定の温度
で加熱して気化させ、上記の混合ガスと混合する。そし
て、得られた混合ガスを、前段反応器7に供給する。
【0070】上記混合ガスを、所定の温度に加熱した前
段反応器7の触媒層7aに流通させ、前段反応を行う。
その後、反応ガスを三方コック9へ送る。
【0071】次に、三方コック9のガス供給口10から
酸素又は空気を導入し、前段反応の反応ガスと混合して
気化室14に供給する。また、気化室14には、ポンプ
13を介して接続された原料タンク12から液体のアル
コールを供給して、加熱によりアルコールを気化し、三
方コック9から送られた前段反応後の流通気体及び酸素
と共に、後段反応器11に送る。
【0072】その後、気化室14から供給された混合ガ
スを、所定の温度に加熱した後段反応器11の触媒層1
1aに流通させ、後段反応を行う。その後、反応ガス
を、三方コック17を介してガス捕集装置18に送り、
氷温下でアセトニトリル等を用いて捕集する。これによ
り、α−オキソカルボン酸エステルが得られる。
【0073】尚、アルコールの代りにオレフィンを用い
る場合には、オレフィンを、ガス供給口10を介して後
段反応器11に供給すればよい。この場合は、原料タン
ク12、ポンプ13、気化室14等を省略することがで
きる。
【0074】また、前段反応を行う代りに、α−オキソ
アルデヒド溶液及び/又はα−ヒドロキシアルデヒド溶
液を加熱して得られるガス状のα−オキソアルデヒド及
び/又はα−ヒドロキシアルデヒドを用いて後段反応を
行う場合には、気化室14に、ガス供給ラインを接続し
て、空気と窒素とを含む混合ガスを供給すると共に、原
料タンク12に、アルコール又はオレフィンと、α−オ
キソアルデヒド溶液及び/又はα−ヒドロキシアルデヒ
ド溶液とを混合して仕込めばよい。この場合には、前段
反応を行うための各装置を省略することができる。
【0075】
【実施例】以下、実施例および参考例により、本発明を
さらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら
限定されるものではない。尚、以下の各実施例および参
考例において、「%」は重量%を示すものとする。
【0076】以下の実施例1〜実施例40および参考例
で示す転化率、選択率及び収率は、次の計算方法に従っ
て行った。尚、前段反応の反応ガスは、氷温下で水で捕
集した後、示差屈折計検出器を備えた高速液体クロマト
グラフィーで分析した。そして、高速液体クロマトグラ
フィーにより、未反応のエチレングリコール(以下、E
Gと記す)と、生成したグリオキザール(以下、GLO
と記す)及びグリコールアルデヒド(以下、GALと記
す)との定量を行った。また、後段反応の反応ガスは、
氷温下でアセトニトリルで捕集した後、示差屈折計検出
器を備えた高速液体クロマトグラフィー、及びFID(F
rame Ionization Detector; 炎イオン検出器)を備えた
ガスクロマトグラフィーで分析した。そして、高速液体
クロマトグラフィーにより未反応のGLO及びGALの
定量を行うと共に、ガスクロマトグラフィーにより、目
的物であるグリオキシル酸エステル(以下、RGOと記
す)の定量を行った。
【0077】反応したEG(mol)=供給したEG(mol)
−未反応のEG(mol) EG転化率(%)=(反応したEG(mol)/供給したE
G(mol))×100 GLO収率(%)=(前段で生成したGLO(mol)/供
給したEG(mol))×100 GAL収率(%)=(前段で生成したGAL(mol)/供
給したEG(mol))×100 反応したGLOとGALとの合計量(mol)=前段で生成
したGLOとGALとの合計量(mol)−未反応のGLO
とGALとの合計量(mol) GLOとGALとの合計の転化率(%)=(反応したG
LOとGALとの合計量(mol)/前段で生成したGLO
とGALとの合計量(mol))×100 RGO選択率(%)=(生成したRGO(mol)/反応し
たGLOとGALの合計量(mol))×100 EGを基準としたRGO収率(%)=(生成したRGO
(mol)/供給したEG(mol))×100 空間速度(SV)(hr-1) =(1時間当たりのガス供給
量(ml)/触媒量(ml)) 尚、空間速度は、標準状態での値である。
【0078】〔実施例1〕本実施例では、前段反応を行
って得られたガス状のGLO及び/又はGALを用いて
後段反応を行った。EGの酸化脱水素によりガス状のG
LO及び/又はGALを得る前段反応は、上記の反応装
置を用いて、以下の条件により行った。即ち、気化室3
は、前段原料を供給する前に、あらかじめ180 ℃に加熱
し、この温度を保つようにした。前段原料におけるEG
に対する亜リン酸トリエチルの添加量は、EGに対する
リンの濃度が60ppm となるようにした。
【0079】また、気化室3から前段反応器7に供給す
る混合ガス、即ち前段反応器7への供給ガスの組成は、
EGが6vol.%、酸素が7vol.%(窒素バランス)とな
るようにした。そして、前段反応用の触媒(以下、前段
触媒と称する)として、粒径20〜30メッシュの金属Ag
(横浜金属株式会社製)0.8gを用いた。前段反応の反応
条件は、反応温度を440 ℃とし、空間速度(SV)を83
0,000 hr-1とした。
【0080】上記の反応条件で前段反応を行い、反応ガ
スを上記の方法により分析した。その結果、EGの転化
率は98%、GLOの収率は82%、GALの収率は1%で
あった。
【0081】RGOを得る後段反応は、上記の反応装置
を用いて、以下の条件により行った。即ち、アルコール
としてメタノールを用い、気化室14から後段反応器1
1に供給するガスの組成が、表1に示すように、GLO
とGALとの合計が4vol.%、酸素が5vol.%、メタノ
ールが20vol.%(窒素バランス)となるようにした。
尚、酸素は、ガス供給口10から、不足分のみを純酸素
として供給した。
【0082】後段反応用の触媒(以下、後段触媒と称す
る)として、以下のようにして調製したリン酸第二鉄を
用いた。即ち、試薬のリン酸第二鉄(FePO4 ・4H
2 O、片山化学工業株式会社製)を水で調湿し、SUS
製バットに入れて、空気中 120℃で乾燥後、さらに空気
中 500℃で3時間焼成した。焼成後、9 〜20メッシュに
粒径を揃えた。そして、この後段触媒を後段反応器11
に充填した。尚、リンと鉄との比は、1:1である。
【0083】後段反応の反応条件は、表1に示すよう
に、反応温度を 250℃、空間速度(SV)を2,000 hr-1
とした。
【0084】上記の反応条件で後段反応を行い、反応ガ
スを上記の方法により分析した。その結果、表1に示す
ように、GLOとGALとの合計の転化率は 100%、グ
リオキシル酸メチル(以下、MGOと記す)の選択率は
74%、EGを基準としたMGOの収率は61%であった。
【0085】〔実施例2〕前段反応は、実施例1と同一
の条件下で行った。従って、前段反応の反応ガスの組成
は、実施例1と同一である。
【0086】後段触媒として、以下のようにして共沈法
で調製したリン酸鉄を用いた。即ち、所定量の硝酸鉄(I
II)九水和物(Fe(NO3)3 ・9H2 O、和光純薬工
業株式会社製)を水に溶解し、そこに所定量の85%リン
酸水溶液(H3 PO4 、和光純薬工業株式会社製)を加
えた。この溶液に、28%アンモニア水(キシダ化学株式
会社製)を滴下し、沈澱を生成させた。尚、滴下は、溶
液のpHが7になった時点で終了した。この沈澱物を、湯
浴を用いてスラリー状になるまで濃縮し、このスラリー
を、実施例1と同様に乾燥、焼成し、粒径を揃えた。そ
して、この後段触媒を後段反応器11に充填した。尚、
リンと鉄との比は、2:1である。
【0087】後段反応は、上記の後段触媒を充填した後
段反応器11に実施例1と同じ組成の混合ガスを供給
し、表1に示す反応条件下で、実施例1と同様にして行
った。得られた結果を表1に示した。
【0088】〔実施例3〕前段反応は、実施例1と同一
の条件下で行った。従って、前段反応の反応ガスの組成
は、実施例1と同一である。
【0089】後段触媒として、以下のようにして共沈法
で調製したリン酸鉄を用いた。即ち、所定量の硝酸鉄(I
II)九水和物(Fe(NO3)3 ・9H2 O、和光純薬工
業株式会社製)を水に溶解し、そこに所定量の85%リン
酸水溶液(H3 PO4 、和光純薬工業株式会社製)を加
えた。この溶液に、28%アンモニア水(キシダ化学株式
会社製)を滴下し、沈澱を生成させた。尚、滴下は、溶
液のpHが7になった時点で終了した。この沈澱物を、湯
浴を用いてスラリー状になるまで濃縮し、このスラリー
を、実施例1と同様に乾燥、焼成し、粒径を揃えた。そ
して、この後段触媒を後段反応器11に充填した。尚、
リンと鉄との比は、 0.6:1である。
【0090】後段反応の供給ガスは、前段反応で得られ
た反応ガスに、さらに純酸素及びガス状のメタノールを
供給して、表1に示すように、GLOとGALとの合計
が4vol.%、酸素が5vol.%、メタノールが15vol.%
(窒素バランス)となるようにした。
【0091】後段反応は、上記の後段触媒を充填した後
段反応器11に上記の組成の混合ガスを供給し、表1に
示す反応条件下で、実施例1と同様にして行った。得ら
れた結果を表1に示した。
【0092】〔実施例4〕前段反応は、実施例1と同一
の条件下で行った。従って、前段反応の反応ガスの組成
は、実施例1と同一である。
【0093】後段触媒として、以下のようにして共沈法
で調製したリン酸鉄を用いた。即ち、所定量の硝酸鉄(I
II)九水和物(Fe(NO3)3 ・9H2 O、和光純薬工
業株式会社製)を水に溶解し、そこに所定量の85%リン
酸水溶液(H3 PO4 、和光純薬工業株式会社製)を加
えた。この溶液に、28%アンモニア水(キシダ化学株式
会社製)を滴下し、沈澱を生成させた。尚、滴下は、溶
液のpHが7になった時点で終了した。この沈澱物を、湯
浴を用いてスラリー状になるまで濃縮し、このスラリー
を、実施例1と同様に乾燥、焼成し、粒径を揃えた。そ
して、この後段触媒を後段反応器11に充填した。尚、
リンと鉄との比は、 1.4:1である。
【0094】後段反応の供給ガスは、前段反応で得られ
た反応ガスに、さらに純酸素及びガス状のメタノールを
供給して、表1に示すように、GLOとGALとの合計
が4vol.%、酸素が5vol.%、メタノールが10vol.%
(窒素バランス)となるようにした。
【0095】後段反応は、上記の後段触媒を充填した後
段反応器11に上記の組成の混合ガスを供給し、表1に
示す反応条件下で、実施例1と同様にして行った。得ら
れた結果を表1に示した。
【0096】〔実施例5〕前段反応は、実施例1と同一
の条件下で行った。従って、前段反応の反応ガスの組成
は、実施例1と同一である。
【0097】後段触媒として、以下のようにして調製し
たリン酸ホウ素を用いた。即ち、所定量のホウ酸(H3
BO4 、和光純薬工業株式会社製)を水に溶解し、所定
量の85%リン酸水溶液を加え、沈澱を生成させた。この
沈澱物を、90℃の湯浴を用いてスラリー状になるまで濃
縮し、以下実施例1と同様に乾燥、焼成し、粒径を揃え
た。そして、この後段触媒を後段反応器11に充填し
た。尚、リンとホウ素との比は、 0.8:1である。
【0098】後段反応は、上記の後段触媒を充填した後
段反応器11に実施例1と同じ組成の混合ガスを供給
し、表1に示す反応条件下で、実施例1と同様にして行
った。得られた結果を表1に示した。
【0099】〔実施例6〕前段反応は、実施例1と同一
の条件下で行った。従って、前段反応の反応ガスの組成
は、実施例1と同一である。
【0100】後段触媒として、以下のようにして調製し
たリン酸チタンを用いた。即ち、所定量のアナターゼ型
二酸化チタン(TiO2 、和光純薬工業株式会社製)を
乳鉢に採り、所定量の85%リン酸水溶液と水とで混練し
調湿した。以下実施例1と同様に乾燥、焼成し、粒径を
揃えた。そして、この後段触媒を後段反応器11に充填
した。尚、リンとチタンとの比は、 0.5:1である。
【0101】後段反応の供給ガスは、前段反応で得られ
た反応ガスに、さらに純酸素及びガス状のメタノールを
供給して、表1に示すように、GLOとGALとの合計
が4vol.%、酸素が5vol.%、メタノールが25vol.%
(窒素バランス)となるようにした。
【0102】後段反応は、上記の後段触媒を充填した後
段反応器11に上記の組成の混合ガスを供給し、表1に
示す反応条件下で、実施例1と同様にして行った。得ら
れた結果を表1に示した。
【0103】〔実施例7〕前段反応は、実施例1と同一
の条件下で行った。従って、前段反応の反応ガスの組成
は、実施例1と同一である。
【0104】後段触媒として、以下のようにして調製し
たリン酸クロムを用いた。即ち、所定量の硝酸クロム(I
II)九水和物(Cr(NO3)3 ・9H2 O、和光純薬工
業株式会社製) を水に溶解し、そこに所定量の85%リン
酸水溶液を加えた。この溶液に、28%アンモニア水を滴
下し、沈澱を生成させた。尚、滴下は、溶液のpHが7に
なった時点で終了した。この沈澱物を、実施例2と同様
に濃縮、乾燥、焼成し、粒径を揃えた。そして、この後
段触媒を後段反応器11に充填した。尚、リンとクロム
との比は、 1.2:1である。
【0105】後段反応は、上記の後段触媒を充填した後
段反応器11に実施例1と同じ組成の混合ガスを供給
し、表1に示す反応条件下で、実施例1と同様にして行
った。得られた結果を表1に示した。
【0106】〔実施例8〕前段反応器7への供給ガス
に、水を加えた。すなわち、前段反応器7への供給ガス
の組成は、EGが5vol.%、酸素が6vol.%、水が13vo
l.%(窒素バランス)となるようにした。また、前段反
応の条件は、反応温度を540 ℃とし、空間速度(SV)
を830,000 hr-1とした。そして、その他の条件を実施例
1と同様にして前段反応を行ったところ、EG転化率96
%、GLO収率80%、GAL収率1%であった。
【0107】後段触媒として、以下のようにして調製し
たリン酸ニッケル(組成式Ni1.51)を用いた。即
ち、試薬のリン酸ニッケル七水和物(Ni3(PO4)2
7H2O、米山化学工業株式会社製)を水で調湿後、実
施例1と同様に乾燥、焼成し、粒径を揃えた。そして、
この後段触媒を後段反応器11に充填した。尚、リンと
ニッケルとの比は、1:1.5 である。
【0108】後段反応の供給ガスは、前段反応で得られ
た反応ガスに、さらに純酸素及びガス状のメタノールを
供給して、表1に示すように、GLOとGALとの合計
が3vol.%、酸素が4vol.%、水が10vol.%、メタノー
ルが18vol.%(窒素バランス)となるようにした。
【0109】後段反応は、上記の後段触媒を充填した後
段反応器11に上記の組成の混合ガスを供給し、表1に
示す反応条件下で、実施例1と同様にして行った。得ら
れた結果を表1に示した。
【0110】〔実施例9〕前段反応は、実施例8と同一
の条件下で行った。従って、前段反応の反応ガスの組成
は、実施例8と同一である。
【0111】後段触媒として、以下のようにして調製し
たリン酸ジルコニウムを用いた。即ち、所定量の硝酸ジ
ルコニル二水和物(ZrO(NO3)2 ・2H2 O、和光
純薬工業株式会社製)を水に溶解し、そこに所定量の85
%リン酸水溶液を加えた。この溶液に、28%アンモニア
水を滴下し、沈澱を生成させた。尚、滴下は、溶液のpH
が7になった時点で終了した。この沈澱物を、実施例2
と同様に濃縮、乾燥、焼成し、粒径を揃えた。そして、
この後段触媒を後段反応器11に充填した。尚、リンと
ジルコニウムとの比は、 0.8:1である。
【0112】後段反応は、上記の後段触媒を充填した後
段反応器11に実施例8と同じ組成の混合ガスを供給
し、表1に示す反応条件下で、実施例8と同様にして行
った。得られた結果を表1に示した。
【0113】〔実施例10〕前段反応は、実施例1と同
一の条件下で行った。従って、前段反応の反応ガスの組
成は、実施例1と同一である。
【0114】後段触媒として、以下のようにして調製し
たピロリン酸スズを用いた。即ち、試薬のピロリン酸ス
ズ(Sn227 、三津和化学株式会社製) を水で調
湿後、実施例1と同様に乾燥、焼成し、粒径を揃えた。
そして、この後段触媒を後段反応器11に充填した。
尚、リンとスズとの比は、1:1である。
【0115】後段反応は、上記の後段触媒を充填した後
段反応器11に実施例1と同じ組成の混合ガスを供給
し、表1に示す反応条件下で、実施例1と同様にして行
った。得られた結果を表1に示した。
【0116】
【表1】
【0117】〔実施例11〕前段反応は、実施例1と同
一の条件下で行った。従って、前段反応の反応ガスの組
成は、実施例1と同一である。
【0118】後段触媒として、以下のようにして共沈法
で調製した触媒を用いた。即ち、所定量の硝酸鉄(III)
九水和物を水に溶解し、そこに所定量の85%リン酸水溶
液を加えた。さらに、メタバナジン酸アンモニウム(N
4 VO3 、キシダ化学株式会社製)を蓚酸((COO
H)2、和光純薬工業株式会社製)に溶解させた水溶液を
V源として加えた。この溶液に、28%アンモニア水を滴
下し、沈澱を生成させた。尚、滴下は、溶液のpHが7に
なった時点で終了した。この沈澱物を、実施例2と同様
に濃縮、乾燥、焼成し、粒径を揃えた。そして、この後
段触媒を後段反応器11に充填した。尚、鉄とバナジウ
ムとリンとの比は、1:0.2 :1である。
【0119】後段反応は、上記の後段触媒を充填した後
段反応器11に実施例1と同じ組成の混合ガスを供給
し、表2に示す反応条件下で、実施例1と同様にして行
った。得られた結果を表2に示した。
【0120】〔実施例12〕前段反応は、実施例1と同
一の条件下で行った。従って、前段反応の反応ガスの組
成は、実施例1と同一である。
【0121】後段触媒として、以下のようにして共沈法
で調製した触媒を用いた。即ち、所定量の硝酸鉄(III)
九水和物と、所定量の硝酸クロム(III)九水和物とを水
に溶解し、そこに所定量の85%リン酸水溶液を加えた。
この溶液に、28%アンモニア水を滴下し、沈澱を生成さ
せた。尚、滴下は、溶液のpHが7になった時点で終了し
た。この沈澱物を、実施例2と同様に濃縮、乾燥、焼成
し、粒径を揃えた。そして、この後段触媒を後段反応器
11に充填した。尚、鉄とクロムとリンとの比は、1:
1:1である。
【0122】後段反応は、上記の後段触媒を充填した後
段反応器11に実施例1と同じ組成の混合ガスを供給
し、表2に示す反応条件下で、実施例1と同様にして行
った。得られた結果を表2に示した。
【0123】〔実施例13〕前段反応は、実施例8と同
一の条件下で行った。従って、前段反応の反応ガスの組
成は、実施例8と同一である。
【0124】後段触媒として、以下のようにして共沈法
で調製した触媒を用いた。即ち、所定量の硝酸鉄(III)
九水和物を水に溶解し、そこに所定量の85%リン酸水溶
液を加えた。さらに、そこに、パラジウム源として所定
量の硝酸パラジウム(II)(Pd(NO3)2 、和光純薬工
業株式会社製)を硝酸水溶液に溶解させた水溶液を加え
た。この溶液に、28%アンモニア水を滴下し、沈澱を生
成させた。尚、滴下は、溶液のpHが7になった時点で終
了した。この沈澱物を、実施例2と同様に濃縮、乾燥、
焼成し、粒径を揃えた。そして、この後段触媒を後段反
応器11に充填した。尚、鉄とパラジウムとリンとの比
は、1:0.01:1である。
【0125】後段反応は、上記の後段触媒を充填した後
段反応器11に実施例8と同じ組成の混合ガスを供給
し、表2に示す反応条件下で、実施例8と同様にして行
った。得られた結果を表2に示した。
【0126】〔実施例14〕前段反応は、実施例1と同
一の条件下で行った。従って、前段反応の反応ガスの組
成は、実施例1と同一である。
【0127】後段触媒として、以下のようにして共沈法
で調製した触媒を用いた。即ち、所定量の硝酸鉄(III)
九水和物と、所定量の硝酸銀(AgNO3 、和光純薬工
業株式会社製) とを水に溶解し、そこに所定量の85%リ
ン酸水溶液を加えた。この溶液に、28%アンモニア水を
滴下し、沈澱を生成させた。尚、滴下は、溶液のpHが7
になったところで終了した。この沈澱物を、実施例2と
同様に濃縮、乾燥、焼成し、粒径を揃えた。そして、こ
の後段触媒を後段反応器11に充填した。尚、鉄と銀と
リンとの比は、1:0.8 :2である。
【0128】後段反応は、上記の後段触媒を充填した後
段反応器11に実施例6と同じ組成の混合ガスを供給
し、表2に示す反応条件下で、実施例6と同様にして行
った。得られた結果を表2に示した。
【0129】〔実施例15〕前段反応は、実施例1と同
一の条件下で行った。従って、前段反応の反応ガスの組
成は、実施例1と同一である。
【0130】後段触媒として、以下のようにして共沈法
で調製した触媒を用いた。即ち、所定量の硝酸鉄(III)
九水和物と硝酸鉛(II)(Pb(NO3)2 、和光純薬工業
株式会社製) を水に溶解し、そこに所定量の85%リン酸
水溶液を加えた。この溶液に、28%アンモニア水を滴下
し、沈澱を生成させた。尚、滴下は、溶液のpHが7にな
ったところで終了した。この沈澱物を、実施例2と同様
に濃縮、乾燥、焼成し、粒径を揃えた。そして、この後
段触媒を後段反応器11に充填した。尚、鉄と鉛とリン
との比は、1:0.8 :2である。
【0131】後段反応は、上記の後段触媒を充填した後
段反応器11に実施例1と同じ組成の混合ガスを供給
し、表2に示す反応条件下で、実施例1と同様にして行
った。得られた結果を表2に示した。
【0132】〔実施例16〕前段反応は、実施例1と同
一の条件下で行った。従って、前段反応の反応ガスの組
成は、実施例1と同一である。
【0133】後段触媒として、以下のようにして共沈法
で調製した触媒を用いた。即ち、所定量の硝酸クロム(I
II)九水和物と、所定量の硝酸アルミニウム(III)九水
和物とを水に溶解し、そこに所定量の85%リン酸水溶液
を加えた。この溶液に、28%アンモニア水を滴下し、沈
澱を生成させた。尚、滴下は、溶液のpHが7になったと
ころで終了した。この沈澱物を、実施例2と同様に濃
縮、乾燥、焼成し、粒径を揃えた。そして、この後段触
媒を後段反応器11に充填した。尚、クロムとアルミニ
ウムとリンとの比は、1:1:2である。
【0134】後段反応は、上記の後段触媒を充填した後
段反応器11に実施例3と同じ組成の混合ガスを供給
し、表2に示す反応条件下で、実施例3と同様にして行
った。得られた結果を表2に示した。
【0135】〔実施例17〕前段反応は、実施例1と同
一の条件下で行った。従って、前段反応の反応ガスの組
成は、実施例1と同一である。
【0136】後段触媒として、以下のようにして共沈法
で調製した触媒を用いた。即ち、所定量の硝酸アルミニ
ウム(III)九水和物を水に溶解し、そこに所定量の85%
リン酸水溶液を加えた。この溶液に、所定量のリン酸ニ
ッケル七水和物(Ni3(PO4)2 ・7H2 O、米山化学
工業株式会社製)を粉末のまま加えた後、28%アンモニ
ア水を滴下し、沈澱を生成させた。尚、滴下は、溶液の
pHが7になったところで終了した。この沈澱物を、実施
例2と同様に濃縮、乾燥、焼成し、粒径を揃えた。そし
て、この後段触媒を後段反応器11に充填した。尚、ニ
ッケルとアルミニウムとリンとの比は、 1.5:1:2で
ある。
【0137】後段反応は、上記の後段触媒を充填した後
段反応器11に実施例3と同じ組成の混合ガスを供給
し、表2に示す反応条件下で、実施例3と同様にして行
った。得られた結果を表2に示した。
【0138】〔実施例18〕前段反応は、実施例1と同
一の条件下で行った。従って、前段反応の反応ガスの組
成は、実施例1と同一である。
【0139】後段触媒として、以下のようにして調製し
たシリカ担持 12-モリブドリン酸(組成式H3 PMo12
40)を用いた。触媒担体として、球状シリカ(フジシ
リシアケミカル株式会社、商品名「キャリアクトQ−5
0」)を 9〜20メッシュに揃えたシリカを用いた。この
シリカの所定量を、所定量の12- モリブドリン酸(H3
PMo1240・nH2 O、日本無機化学工業株式会社
製)の水溶液に加え、湯浴を用いて濃縮して担持した
後、さらに空気中、 120℃で乾燥した。そして、この後
段触媒を後段反応器11に充填した。尚、12- モリブド
リン酸の担持率は、無水物換算で35重量%であった。
【0140】後段反応は、上記の後段触媒を充填した後
段反応器11に実施例1と同じ組成の混合ガスを供給
し、表2に示す反応条件下で、実施例1と同様にして行
った。得られた結果を表2に示した。
【0141】〔実施例19〕前段反応は、実施例8と同
一の条件下で行った。従って、前段反応の反応ガスの組
成は、実施例8と同一である。
【0142】後段触媒として、以下のようにして調製し
たシリカ担持 11-モリブドバナドリン酸(組成式H4
Mo11VO40)を用いた。即ち、所定量の 11-モリブド
バナドリン酸(H4 PMo11VO40・nH2 O、日本無
機化学工業株式会社製)を、実施例18と同様にして所
定量のシリカに担持した。そして、この後段触媒を後段
反応器11に充填した。尚、11- モリブドバナドリン酸
の担持率は、無水物換算で29重量%であった。
【0143】後段反応は、上記の後段触媒を充填した後
段反応器11に実施例8と同じ組成の混合ガスを供給
し、表2に示す反応条件下で、実施例8と同様にして行
った。得られた結果を表2に示した。
【0144】〔実施例20〕前段反応は、実施例8と同
一の条件下で行った。従って、前段反応の反応ガスの組
成は、実施例8と同一である。
【0145】後段触媒として、以下のようにして調製し
たシリカ担持、カリウム一部置換 11-モリブドバナドリ
ン酸(組成式KH3 PMo11VO40)を用いた。 11-モ
リブドバナドリン酸の水溶液に所定量の炭酸カリウム
(K2 CO3 、和光純薬工業株式会社製)の水溶液を加
えて均一溶液を得た後、実施例18と同様にして所定量
のシリカに担持した。尚、カリウム一部置換 11-モリブ
ドバナドリン酸の担持率は、無水物換算で30重量%であ
った。
【0146】後段反応は、上記の後段触媒を充填した後
段反応器11に実施例8と同じ組成の混合ガスを供給
し、表2に示す反応条件下で、実施例8と同様にして行
った。得られた結果を表2に示した。
【0147】
【表2】
【0148】〔実施例21〕前段反応は、実施例1と同
一の条件下で行った。従って、前段反応の反応ガスの組
成は、実施例1と同一である。
【0149】後段触媒として、実施例1で用いたリン酸
鉄(以下、触媒(1)と記す)と、以下のようにして調
製したリン酸アルミニウム(以下、触媒(2)と記す)
との2種類の触媒を用いた。
【0150】まず、硝酸アルミニウム(III)九水和物
(Al(NO3)3 ・9H2 O、和光純薬工業株式会社
製)を水に溶解し、そこに所定量の85%リン酸水溶液を
加えた。この溶液に、28%アンモニア水を滴下し、沈澱
を生成させた。尚、滴下は、溶液のpHが7になったとこ
ろで終了した。この沈澱物を、実施例2と同様に濃縮、
乾燥、焼成し、粒径を揃えて、触媒(2)を得た。
【0151】後段反応器11には、導入側に触媒(2)
を、出口側に触媒(1)を、体積比1:1で二層に積層
して充填した。後段反応は、上記の後段反応器11に実
施例1と同じ組成の混合ガスを供給し、表3に示す反応
条件下で、実施例1と同様にして行った。得られた結果
を表3に示した。
【0152】〔実施例22〕前段反応は、実施例1と同
一の条件下で行った。従って、前段反応の反応ガスの組
成は、実施例1と同一である。
【0153】後段反応器11には、導入側に触媒(2)
を、出口側に触媒(1)を、体積比2:1で二層に積層
して充填した。後段反応は、上記の後段反応器11に実
施例1と同じ組成の混合ガスを供給し、表3に示す反応
条件下で、実施例1と同様にして行った。得られた結果
を表3に示した。
【0154】〔実施例23〕前段反応は、実施例1と同
一の条件下で行った。従って、前段反応の反応ガスの組
成は、実施例1と同一である。
【0155】後段反応器11には、導入側に触媒(2)
を、出口側に実施例7で用いたリン酸クロム(以下、触
媒(3)と記す)を、体積比1:1で二層に積層して充
填した。後段反応は、上記の後段反応器11に実施例6
と同じ組成の混合ガスを供給し、表3に示す反応条件下
で、実施例6と同様にして行った。得られた結果を表3
に示した。
【0156】〔実施例24〕前段反応は、実施例1と同
一の条件下で行った。従って、前段反応の反応ガスの組
成は、実施例1と同一である。
【0157】後段反応器11には、導入側に触媒(2)
を、出口側に実施例8で用いたリン酸ニッケル(以下、
触媒(4)と記す)を、体積比1:2で二層に積層して
充填した。後段反応は、上記の後段反応器11に実施例
1と同じ組成の混合ガスを供給し、表3に示す反応条件
下で、実施例1と同様にして行った。得られた結果を表
3に示した。
【0158】〔実施例25〕前段反応は、実施例1と同
一の条件下で行った。従って、前段反応の反応ガスの組
成は、実施例1と同一である。
【0159】後段反応器11には、触媒(1)と触媒
(2)を、体積比1:1で混合してなる混合物を充填し
た。後段反応は、上記の後段反応器11に実施例1と同
じ組成の混合ガスを供給し、表3に示す反応条件下で、
実施例1と同様にして行った。得られた結果を表3に示
した。
【0160】〔実施例26〕前段反応は、実施例1と同
一の条件下で行った。従って、前段反応の反応ガスの組
成は、実施例1と同一である。
【0161】後段反応器11には、触媒(1)と触媒
(2)を、体積比1:2.5 で混合してなる混合物を充填
した。後段反応は、上記の後段反応器11に実施例1と
同じ組成の混合ガスを供給し、表3に示す反応条件下
で、実施例1と同様にして行った。得られた結果を表3
に示した。
【0162】〔実施例27〕前段反応は、実施例1と同
一の条件下で行った。従って、前段反応の反応ガスの組
成は、実施例1と同一である。
【0163】後段反応器11には、触媒(2)と触媒
(3)を、体積比1:1で混合してなる混合物を充填し
た。後段反応は、上記の後段反応器11に実施例1と同
じ組成の混合ガスを供給し、表3に示す反応条件下で、
実施例1と同様にして行った。得られた結果を表3に示
した。
【0164】〔実施例28〕前段反応は、実施例1と同
一の条件下で行った。従って、前段反応の反応ガスの組
成は、実施例1と同一である。
【0165】後段反応器11には、触媒(2)と触媒
(4)を、体積比1:1.5 で混合してなる混合物を充填
した。後段反応は、上記の後段反応器11に実施例3と
同じ組成の混合ガスを供給し、表3に示す反応条件下
で、実施例3と同様にして行った。得られた結果を表3
に示した。
【0166】
【表3】
【0167】上記実施例1〜実施例28の結果から明ら
かなように、後段触媒としてリン含有無機酸化物を用い
ることにより、エチレングリコール(1,2−ジオー
ル)を原料として高い反応効率(収率)でグリオキシル
酸エステル(α−オキソカルボン酸エステル)を製造す
ることができることがわかる。リン含有無機酸化物とし
ては、各種の金属リン酸塩を単独で(実施例1〜実施例
17)、あるいは組み合わせて(実施例21〜実施例2
8)用いることができ、また各種のリン含有ヘテロポリ
酸(実施例18〜実施例20)を用いることもできる。
【0168】金属リン酸塩を単独で用いる場合には、リ
ンと鉄との比が1:1であるリン酸鉄(実施例1)を用
いることにより、エチレングリコールからの収率59%
と特に高い収率でグリオキシル酸エステルを製造するこ
とができる。また、金属リン酸塩を組み合わせて用いる
場合、後段反応器11に充填する際、導入側にリン酸ア
ルミニウム、出口側にリン酸鉄を、体積比1:1で二層
に積層して用いる(実施例21)ことにより、エチレン
グリコールからの収率60%と特に高い収率でグリオキ
シル酸エステルを製造することができる。
【0169】〔実施例29〕前段反応は、実施例1と同
じ供給ガス組成及び反応条件下で同様にして行い、得ら
れたガスの組成も同じであった。
【0170】後段反応は、実施例1のメタノールの代わ
りに、エタノールを用いる以外は同じ組成の混合ガスを
供給し、触媒(1)を充填した後段反応器11を用い
て、表4に示す反応条件下で、実施例1と同様にして行
った。得られた結果を表4に示した。尚、表4には、比
較のために実施例1及び実施例7の反応条件と結果を示
した。
【0171】〔実施例30〕前段反応は、実施例1と同
じ供給ガス組成及び反応条件下で同様にして行い、得ら
れたガスの組成も同じであった。
【0172】後段反応は、実施例1のメタノールの代わ
りに、エチレンを用いる以外は同じ組成の混合ガスを供
給し、触媒(1)を充填した後段反応器11を用いて、
表4に示す反応条件下で、実施例1と同様にして行っ
た。得られた結果を表4に示した。
【0173】〔実施例31〕前段反応は、実施例7と同
じ供給ガス組成及び反応条件下で同様にして行い、得ら
れたガスの組成も同じであった。
【0174】後段反応は、実施例7のメタノールの代わ
りに、プロパノールを用いる以外は同じ組成の混合ガス
を供給し、触媒(3)を充填した後段反応器11を用い
て、表4に示す反応条件下で、実施例7と同様にして行
った。得られた結果を表4に示した。
【0175】
【表4】
【0176】実施例1、実施例29〜実施例31から明
らかなように、アルコールとしてメタノール、エタノー
ル、プロパノールを用いた場合、及びオレフィンとして
エチレンを用いた場合、高い効率(収率)でα−オキソ
カルボン酸エステルを製造できる。
【0177】〔実施例32〕前段反応は、供給ガス組成
をEGが7vol.%、酸素が6vol.%(窒素バランス)と
なるように変更する以外は実施例1と同様にして行っ
た。その結果、表5に示すように、EGの転化率は91
%、GLOの収率は54%、GALの収率は20%であっ
た。尚、表5には、比較のために実施例1及び実施例7
の反応条件と結果を示した。
【0178】後段反応器11には、前段反応で得られた
ガスを供給すると共に、純酸素を供給して、不足する酸
素を補い、さらにガス状のメタノールを供給して、供給
ガスの組成が、表6に示すように、GLOとGALとの
合計4vol.%、酸素5vol.%、メタノール20vol.%(窒
素バランス)となるようにした。
【0179】後段反応は、上記組成の混合ガスを供給
し、触媒(1)を充填した後段反応器11を用いて、表
6に示す反応条件下で、実施例1と同様にして行った。
得られた結果を表6に示した。尚、表6には、比較のた
めに実施例1及び実施例7の反応条件と結果を示した。
【0180】表6に示すGLOとGALの合計を基準と
したRGO収率は、以下の計算式に基づいて算出した。
【0181】GLOとGALの合計を基準としたRGO
収率(%)=(生成したRGO(mol)/前段で生成した
GLOとGALとの合計量(mol))×100 〔実施例33〕前段反応は、実施例32と同じ供給ガス
組成及び反応条件下で同様にして行い、表5に示すよう
に、得られたガスの組成も実施例32と同じであった。
【0182】触媒(3)を充填した後段反応器11に実
施例32と同じ組成の混合ガスを供給し、表6に示す反
応条件下で、実施例32と同様にして行った。得られた
結果を表6に示した。
【0183】〔実施例34〕後段反応の原料として、前
段反応を行って得られたガス状のα−オキソアルデヒド
(2)及びα−ヒドロキシアルデヒド(3)を用いる代
わりに、α−オキソアルデヒド溶液を加熱して得られた
ガス状のα−オキソアルデヒドを用いた。
【0184】α−オキソアルデヒド溶液としては、市販
の40%グリオキザール水溶液(和光純薬工業株式会社
製)を用いた。原料の供給は、このグリオキザール水溶
液と所定量のメタノールとを混合してなる液体を、原料
タンク12に入れ、ポンプ13を介して気化室14に供
給して気化し、原料の混合ガスを得た。
【0185】後段反応器11には、上記混合ガスを供給
すると共に、空気と窒素を供給して、供給ガスの組成
が、表6に示すように、GLOが5vol.%、酸素が4vo
l.%、水が19vol.%、メタノールが20vol.%(窒素バラ
ンス)となるようにした。
【0186】後段反応は、上記組成の混合ガスを供給
し、触媒(1)を充填した後段反応器11を用いて、表
6に示す反応条件下で、実施例1と同様にして行った。
得られた結果を表6に示した。
【0187】〔実施例35〕後段反応の原料として、前
段反応を行って得られたガス状のα−オキソアルデヒド
(2)及びα−ヒドロキシアルデヒド(3)を用いる代
わりに、α−ヒドロキシアルデヒド溶液を加熱して得ら
れたガス状のα−ヒドロキシアルデヒドを用いた。
【0188】α−ヒドロキシアルデヒド溶液としては、
市販のグリコールアルデヒド二量体(和光純薬工業株式
会社製)を水とメタノールに溶解してなるグリコールア
ルデヒド水溶液を用いた。原料の供給は、このグリコー
ルアルデヒド水溶液と所定量のメタノールとを混合して
なる液体を、原料タンク12に入れ、ポンプ13を介し
て気化室14に供給して気化し、原料の混合ガスを得
た。
【0189】後段反応器11には、上記混合ガスを供給
すると共に、空気と窒素を供給して、供給ガスの組成
が、表6に示すように、GALが5vol.%、酸素が4vo
l.%、水が19vol.%、メタノールが20vol.%(窒素バラ
ンス)となるようにした。
【0190】後段反応は、上記組成の混合ガスを供給
し、触媒(1)を充填した後段反応器11を用いて、表
6に示す反応条件下で、実施例1と同様にして行った。
得られた結果を表6に示した。
【0191】
【表5】
【0192】
【表6】
【0193】実施例1と実施例32との比較、及び実施
例7と実施例33との比較から明らかなように、後段反
応の原料として用いる混合ガス中のα−オキソアルデヒ
ド(2)とα−ヒドロキシアルデヒド(3)との比に関
係なく、高い効率(収率)でグリオキシル酸エステルを
製造できる。
【0194】実施例34から明らかなように、α−オキ
ソアルデヒド溶液を原料として用い、ガス状のアルコー
ルを加え、リン含有無機酸化物触媒の存在下、分子状酸
素によって気相酸化することにより、高い反応効率(収
率)でグリオキシル酸エステルを製造することができ
る。
【0195】実施例35から明らかなように、α−ヒド
ロキシアルデヒド溶液を原料として用い、ガス状のアル
コールを加え、触媒であるリン含有無機酸化物の存在
下、分子状酸素によって気相酸化することにより、高い
反応効率(収率)でグリオキシル酸エステルを製造する
ことができる。
【0196】〔実施例36〕前段反応は、実施例1と同
一の条件で行った。従って、前段反応の反応ガスの組成
は、実施例1と同一である。
【0197】後段触媒として、以下のようにして調製し
たシリカ添加リン酸第二鉄を用いた。即ち、所定量の試
薬のリン酸第二鉄(FePO4 ・4H2 O、片山化学工
業株式会社製)と所定量のシリカ(SiO2 、水澤化学
株式会社製、製品名「ミズカシルP−802」)を乳鉢
でよく混合しながら、水で調湿した。次いで、得られた
混合物を、実施例1と同様に乾燥、焼成し、粒径を揃え
た。尚、得られた後段触媒におけるリンと鉄との比は
1:1であり、シリカの添加量は後段触媒の全体量に対
して20%となるようにした。
【0198】後段反応は、上記の後段触媒を充填した後
段反応器11に実施例1と同じ組成の混合ガスを供給
し、表7に示す反応条件下で、実施例1と同様にして行
った。得られた結果を表7に示した。
【0199】〔実施例37〕前段反応は、実施例1と同
一の条件下で行った。従って、前段反応の反応ガスの組
成は、実施例1と同一である。
【0200】後段触媒として、以下のようにして調製し
たチタニア添加リン酸第二鉄を用いた。即ち、所定量の
試薬のリン酸第二鉄(FePO4 ・4H2 O、片山化学
工業株式会社製)と所定量の試薬のアナターゼ型二酸化
チタン(TiO2 、和光純薬工業株式会社製)を乳鉢で
よく混合しながら、水で調湿した。次いで、得られた混
合物を、実施例1と同様に乾燥、焼成し、粒径を揃え
た。尚、得られた後段触媒におけるリンと鉄との比は
1:1である。また、チタニアの添加量は、後段触媒の
全体量に対して30%となるようにした。
【0201】後段反応は、上記の後段触媒を充填した後
段反応器11に実施例1と同じ組成の混合ガスを供給
し、表7に示す反応条件下で、実施例1と同様にして行
った。得られた結果を表7に示した。
【0202】〔実施例38〕前段反応は、実施例1と同
一の条件下で行った。従って、前段反応の反応ガスの組
成は、実施例1と同一である。
【0203】後段触媒として、以下のようにして調製し
たチタニア添加リン酸鉄を用いた。即ち、所定量の硝酸
鉄(III)九水和物(Fe(NO3)3 ・9H2 O、和光純
薬工業株式会社製)を水に溶解し、そこに所定量の85%
リン酸水溶液(H3 PO4 、和光純薬工業株式会社製)
を加えた。この溶液を攪拌しながら、所定量の試薬のア
ナターゼ型二酸化チタン(TiO2 、和光純薬工業株式
会社製)を添加した。次いで、添加後の溶液に28%アン
モニア水(キシダ化学株式会社製)を滴下し、沈澱を生
成させた。尚、滴下は、溶液のpHが7になった時点で終
了した。得られた沈澱混合物を、湯浴を用いてスラリー
状になるまで濃縮し、このスラリーを、実施例1と同様
に乾燥、焼成し、粒径を揃えた。そして、この後段触媒
を後段反応器11に充填した。尚、リンと鉄との比は、
1.2:1である。また、チタニアの添加量は、後段触媒
の全体量に対して30%となるようにした。
【0204】後段反応の供給ガスは、前段反応で得られ
た反応ガスに、さらに純酸素及びガス状のメタノールを
供給して、表7に示すように、GLOとGALとの合計
が4vol.%、酸素が5vol.%、メタノールが10vol.%
(窒素バランス)となるようにした。
【0205】後段反応は、上記の後段触媒を充填した後
段反応器11に上記の組成の混合ガスを供給し、表7に
示す反応条件下で、実施例1と同様にして行った。得ら
れた結果を表7に示した。
【0206】〔実施例39〕前段反応は、実施例1と同
一の条件下で行った。従って、前段反応の反応ガスの組
成は、実施例1と同一である。
【0207】後段触媒として、以下のようにして調製し
たジルコニア添加リン酸クロムを用いた。即ち、所定量
の硝酸クロム(III) 九水和物(Cr(NO3)3 ・9H2
O、和光純薬工業株式会社製) を水に溶解し、そこに所
定量の85%リン酸水溶液を加え均一溶液とした。この溶
液に、試薬の酸化ジルコニウム(ZrO2 、三津和化学
株式会社)を加え、さらに28%アンモニア水を溶液のp
Hが7になるまで滴下し、沈澱を生成させた。得られた
沈殿物を、実施例2と同様に濃縮、乾燥、焼成し、粒径
を揃えた。尚、得られた後段触媒におけるリンとクロム
の比は1:1である。また、ジルコニアの添加量は、後
段触媒の全体量、即ち、リン酸クロムとジルコニアとの
合計量に対して20%となるようにした。
【0208】後段反応は、上記の後段触媒を充填した後
段反応器11に実施例1と同じ組成の混合ガスを供給
し、表7に示す反応条件下で、実施例1と同様にして行
った。得られた結果を表7に示した。
【0209】〔実施例40〕前段反応は、実施例1と同
一の条件下で行った。従って、前段反応の反応ガスの組
成は、実施例1と同一である。
【0210】後段触媒として、以下のように調製した触
媒を用いた。即ち、所定量の硝酸鉄(III) 九水和物を水
に溶解し、そこに所定量の85%リン酸水溶液を加えた。
さらに、所定量のメタバナジン酸アンモニウム(NH4
VO3 、キシダ化学株式会社製)をあらかじめ蓚酸
((COOH)2 、和光純薬工業株式会社製)水溶液に
溶解させた水溶液をV源として加えた。次いで、この溶
液に、試薬の酸化ニオブ(Nb25 、和光純薬工業株式
会社)を加えた。さらに、28%アンモニア水を溶液のpH
が7になるまで滴下し、沈澱を生成させた。得られた沈
殿物を、実施例2と同様に濃縮、乾燥、焼成し、粒径を
揃えた。尚、得られた後段触媒における鉄とバナジウム
とリンとの比は、1: 0.2:1である。また、酸化ニオ
ブの添加量は、後段触媒の全体量、即ち、バナジウム含
有リン酸鉄と酸化ニオブとの合計量に対して20%となる
ようにした。
【0211】後段反応は、上記の後段触媒を充填した後
段反応器11に実施例1と同じ組成の混合ガスを供給
し、表7に示す反応条件下で、実施例1と同様にして行
った。得られた結果を表7に示した。
【0212】
【表7】
【0213】上記実施例36〜実施例40の結果から明
らかなように、金属リン酸塩に無機酸化物を混合してな
る混合物を後段触媒として用いることにより、より一層
高い反応効率(収率)でα−オキソカルボン酸エステル
を製造することができることがわかる。
【0214】〔実施例41〕プロピレングリコール(以
下、PGと記す)の酸化脱水素によりガス状のピルビン
アルデヒド(PAL)及び乳酸アルデヒド(2-ヒドロキ
シプロパナール)を得る前段反応は、前述の反応装置を
用いて、EGを基質とする反応に準じて、以下の条件に
より行った。即ち、気化室3は、前段原料を供給する前
に、あらかじめ 180℃に加熱し、この温度を保つように
した。前段原料におけるPGに対する亜リン酸トリエチ
ルの添加量は、PGに対するリンの濃度が 60ppmとなる
ようにした。
【0215】また、気化室3から前段反応器7に供給す
る混合ガス、即ち前段反応器7への供給ガス組成は、表
8に示すように、PGが4vol.%、酸素が7vol.%(窒
素バランス)となるようにした。そして、前段触媒とし
て、粒径20〜30メッシュの金属銀(横浜金属株式会社
製)0.8gを用いた。前段反応の反応条件は、反応温度 5
50℃とし、空間速度(SV)830,000 hr-1とした。
【0216】上記の反応条件で前段反応を行い、反応ガ
スを後述の方法により分析した結果、表8に示すよう
に、PGの転化率が 100%、PALの収率が80%であ
り、乳酸アルデヒドの生成は僅かであった。
【0217】ピルビン酸メチルを得る後段反応は、上記
の反応装置を用いて、以下の条件により行った。即ち、
アルコールとしてメタノールを用い、気化室14から後
段反応器11に供給するガス組成が、表9に示すように
PALが4vol.%、酸素が5vol.%、メタノールが20vo
l.%(窒素バランス)となるようにした。尚、酸素は、
ガス供給口10から不足分のみを純酸素で供給した。
【0218】後段触媒として、実施例1で用いたリン酸
鉄を用い、後段反応器11に充填した。後段反応は、上
記の後段触媒を充填した後段反応器11に上記組成の混
合ガスを供給し、表9に示す反応条件下で行った。得ら
れた結果を表9に示した。
【0219】尚、実施例41及び実施例42における転
化率、選択率及び収率は、次の計算方法に従って行っ
た。即ち、先ず、前述の分析方法を用いて前段反応の反
応ガスを分析し、未反応のプロピレングリコール(以
下、PGと記す)と、生成したピルビンアルデヒドの定
量を行った。また、後段反応の反応ガスについても、前
述の分析方法を用いて分析し、未反応のピルビンアルデ
ヒドの定量を行うと共に目的物であるピルビン酸メチル
の定量を行った。
【0220】反応したPG(mol)=供給したPG(mol)
−未反応のPG(mol) PG転化率(%)=(反応したPG(mol)/供給したP
G(mol))×100 PAL収率(%)=(前段で生成したPAL(mol)/供
給したPG(mol))×100 反応したPAL(mol)=前段で生成したPAL(mol)−
未反応のPAL(mol) PALの転化率(%)=(反応したPAL(mol)/前段
で生成したPAL(mol)×100 ピルビン酸メチル選択率(%)=(生成したピルビン酸
メチル(mol)/反応したPAL(mol))×100 PGを基準としたピルビン酸メチル収率(%)=(生成
したピルビン酸メチル(mol)/供給したPG(mol))×
100 〔実施例42〕前段反応は、表8に示すように、実施例
41と同一の条件下で行った。従って、前段反応の反応
ガス組成は、実施例41と同一である。後段触媒として
実施例8で用いたリン酸ニッケルを用い、上記の後段触
媒を充填した後段反応器11に実施例41と同じ組成の
混合ガスを供給し、表9に示す反応条件で、実施例41
と同様にして行った。得られた結果を表9に示す。
【0221】
【表8】
【0222】
【表9】
【0223】実施例41及び実施例42の結果から明ら
かなように、プロピレングリコールを原料として用いた
場合においても、高い反応効率(収率)でα−オキソカ
ルボン酸エステル(ピルビン酸エステル)を製造するこ
とができることがわかる。
【0224】〔参考例1〕前段反応は、亜リン酸トリエ
チルの添加量を、エチレングリコールに対するリンの濃
度が5ppm 以下となるように変更する以外は実施例1と
同様にして行った。主な反応条件と得られた結果を表1
0に示す。尚、表10には、比較のために実施例1の反
応条件と結果を示した。
【0225】〔参考例2〕前段反応は、亜リン酸トリエ
チルの添加量を、エチレングリコールに対するリンの濃
度が 20ppmとなるように変更する以外は実施例1と同様
にして行った。主な反応条件と得られた結果を表10に
示す。
【0226】〔参考例3〕前段反応は、亜リン酸トリエ
チルの添加量を、エチレングリコールに対するリンの濃
度が 40ppmとなるように変更する以外は実施例1と同様
にして行った。主な反応条件と得られた結果を表10に
示す。
【0227】〔参考例4〕前段反応は、亜リン酸トリエ
チルの添加量を、エチレングリコールに対するリンの濃
度が 80ppmとなるように変更する以外は実施例1と同様
にして行った。主な反応条件と得られた結果を表10に
示す。
【0228】
【表10】
【0229】表10の結果から明らかなように、亜リン
酸トリエチルの量を、エチレングリコールに対するリン
の添加量が20ppm以上となるようにすることによ
り、前段反応におけるα−オキソアルデヒド及びα−ヒ
ドロキシアルデヒドの合計の収率が向上してくることが
分かる。また、実施例1の反応条件においては、エチレ
ングリコールに対するリンの添加量を60ppmにする
ことが最も好ましく、参考例1〜3のように亜リン酸ト
リエチルの量を減らした場合においても、参考例4のよ
うに亜リン酸トリエチルの量を増やした場合において
も、α−オキソアルデヒド及びα−ヒドロキシアルデヒ
ドの合計の収率が低下することが分かる。
【0230】
【発明の効果】本発明のα−オキソカルボン酸エステル
の製造方法は、α−オキソアルデヒド及び/又はα−ヒ
ドロキシアルデヒドと、アルコール又はオレフィンと
を、酸素及び触媒の存在下で気相酸化させ、上記触媒と
してリン含有無機酸化物を含有すると言う特定の触媒を
用いることにより、安価にかつ効率的にα−オキソカル
ボン酸エステルを製造することができる。
【0231】
【0232】
【0233】
【0234】
【0235】
【0236】
【0237】
【0238】
【0239】
【0240】
【0241】
【0242】
【0243】
【0244】発明のα−オキソカルボン酸エステルの
製造方法は、上記α−オキソアルデヒドがグリオキザー
ルであり、上記α−ヒドロキシアルデヒドがグリコール
アルデヒドである方法であることにより、一層効率的に
グリオキシル酸エステルを製造することができる。
【0245】
【0246】本発明の触媒は、リン含有無機酸化物を合
有する構成でありα−オキソアルデヒド及び/又はα
−ヒドロキシアルデヒドを酸素の存在下で効率的に気相
酸化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例におけるα−オキソカルボン
酸エステルの製造方法に好適に用いられる反応装置の概
略の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
7 前段反応器 11 後段反応器 14 気化室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B01J 31/18 B01J 31/18 Z C07C 67/39 C07C 67/39 69/716 69/716 Z // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 (72)発明者 斉藤 昇 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会 社日本触媒内 (56)参考文献 特開 平6−157396(JP,A) 特開 昭61−97247(JP,A) 特開 昭54−21982(JP,A) 特開 平3−287563(JP,A) 特開 昭58−59933(JP,A) 特開 平3−232835(JP,A) Acta.Chem.Scand. (1973),27,P.3009〜3014 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07C 69/67,69/716,67/39 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】α−オキソアルデヒド及び/又はα−ヒド
    ロキシアルデヒドと、アルコール又はオレフィンとを、
    酸素及び触媒の存在下で気相酸化させる方法であって、
    上記触媒がリン含有無機酸化物を含有することを特徴と
    するα−オキソカルボン酸エステルの製造方法。
  2. 【請求項2】上記α−オキソアルデヒドがグリオキザー
    ルであり、上記α−ヒドロキシアルデヒドがグリコール
    アルデヒドである、請求項1に記載のα−オキソカルボ
    ン酸エステルの製造方法。
  3. 【請求項3】α−オキソアルデヒド及び/又はα−ヒド
    ロキシアルデヒドと、アルコール又はオレフィンとを、
    酸素及び触媒の存在下で気相酸化させる方法に用いる触
    媒であって、リン含有無機酸化物を含有することを特徴
    とする触媒。
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