JP2933451B2 - 新規微生物および新規微生物による赤色色素の生産方法 - Google Patents
新規微生物および新規微生物による赤色色素の生産方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規微生物および該微
生物による新規な赤色色素の生産方法に関するものであ
る。詳しく述べると、本発明は、ノカルディオイデス(N
ocardioides)属に属する新規な微生物および上記微生物
の培養物より単離、精製することにより得られる新規な
赤色色素の生産方法に関するものである。
生物による新規な赤色色素の生産方法に関するものであ
る。詳しく述べると、本発明は、ノカルディオイデス(N
ocardioides)属に属する新規な微生物および上記微生物
の培養物より単離、精製することにより得られる新規な
赤色色素の生産方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】1835年にエル・シー・マークアント
(L.C.Marquant) が初めてヤグルマギクの色素であるア
ントシアニンの純化、構造決定を行ってから現在まで、
微生物起源のフラボノイド化合物は数種類しか発見され
ておらず、ほとんどがキノノイド、カロチノイドおよび
クロロフィルである。
(L.C.Marquant) が初めてヤグルマギクの色素であるア
ントシアニンの純化、構造決定を行ってから現在まで、
微生物起源のフラボノイド化合物は数種類しか発見され
ておらず、ほとんどがキノノイド、カロチノイドおよび
クロロフィルである。
【0003】系統的な進化過程において、フェニルアラ
ニンやチロシンからフラボノイド化合物への2次代謝経
路は、菌類から高等植物へと進化した後に獲得されたも
のとされていることもあり、アントシアニンはおろかフ
ラボノイドに相当するものでなく、従来の培養法を用い
て生成でき、容易に単離、精製することができるような
新規な微生物および該微生物の培養物より得られる新規
な赤色色素の生産方法は知られていない。
ニンやチロシンからフラボノイド化合物への2次代謝経
路は、菌類から高等植物へと進化した後に獲得されたも
のとされていることもあり、アントシアニンはおろかフ
ラボノイドに相当するものでなく、従来の培養法を用い
て生成でき、容易に単離、精製することができるような
新規な微生物および該微生物の培養物より得られる新規
な赤色色素の生産方法は知られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、新規な赤色色素を産生する新規な微生物を提供
することである。
目的は、新規な赤色色素を産生する新規な微生物を提供
することである。
【0005】また、本発明の他の目的は、上記微生物の
培養物より単離、精製することにより生成される新規な
赤色色素の生産方法を提供するものである。
培養物より単離、精製することにより生成される新規な
赤色色素の生産方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記諸目的は、基生菌糸
上および基生菌糸間に紫色ないし赤色色素を産生するノ
カルディオイデス・エスピー・R−001株(Nocardioi
des sp. R-001) FERM P−15385によって達
成される。
上および基生菌糸間に紫色ないし赤色色素を産生するノ
カルディオイデス・エスピー・R−001株(Nocardioi
des sp. R-001) FERM P−15385によって達
成される。
【0007】また、上記諸目的は、ノカルディオイデス
(Nocardioides)属に属しかつ基生菌糸上および基生菌糸
間に紫色ないし赤色色素を産生する微生物の培養物より
精製する紫色ないし赤色色素の生産方法によっても達成
される。
(Nocardioides)属に属しかつ基生菌糸上および基生菌糸
間に紫色ないし赤色色素を産生する微生物の培養物より
精製する紫色ないし赤色色素の生産方法によっても達成
される。
【0008】
【作用】本発明の微生物は、本発明者らが愛媛県松山市
内(愛媛大学農学部構内)の表層土壌より、YEPG寒
天培地(酵母エキス1%、ペプトン2%、グルコース2
%、寒天2%)を用いた培地で培養し、形成されたコロ
ニーを分離することにより取得したものである。
内(愛媛大学農学部構内)の表層土壌より、YEPG寒
天培地(酵母エキス1%、ペプトン2%、グルコース2
%、寒天2%)を用いた培地で培養し、形成されたコロ
ニーを分離することにより取得したものである。
【0009】また、本発明の微生物について、バージェ
ーズ・マニュアル・オブ・ディターミネイティブ・バク
テリオロジー(Bergey's Manual of Determinative Bact
eriology) に記載の方法に基づいて菌学的試験を行った
ところ、本発明の微生物は、ノカルディオイデス(Nocar
dioides)属に属することがわかり、本発明の微生物をノ
カルディオイデス・エスピー・R−001株 (Nocardio
ides sp. R-001) (以下、R−001株と称する)と命
名した。また、R−001株は、平成8年1月9日付に
て工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託され、その
受託番号は、FERM P−15385[平成4年2月
20日付にて工業技術院微生物工業技術研究所に寄託さ
れた受託番号 微工研菌寄第12784号(FERM
P−12784)]である。
ーズ・マニュアル・オブ・ディターミネイティブ・バク
テリオロジー(Bergey's Manual of Determinative Bact
eriology) に記載の方法に基づいて菌学的試験を行った
ところ、本発明の微生物は、ノカルディオイデス(Nocar
dioides)属に属することがわかり、本発明の微生物をノ
カルディオイデス・エスピー・R−001株 (Nocardio
ides sp. R-001) (以下、R−001株と称する)と命
名した。また、R−001株は、平成8年1月9日付に
て工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託され、その
受託番号は、FERM P−15385[平成4年2月
20日付にて工業技術院微生物工業技術研究所に寄託さ
れた受託番号 微工研菌寄第12784号(FERM
P−12784)]である。
【0010】以下、本発明の微生物R−001株の菌学
的性質を示す。
的性質を示す。
【0011】(1)形態 a) 胞子形成菌糸の分枝法 単純分枝(胞子形成は菌糸
の分裂のみで、菌糸の分枝法に準じる) b) 胞子形成菌糸の形態 基生菌糸並びに気中菌糸の
断裂による胞子形成のみ c) 胞子の数 10以上 d) 胞子の表面構造 滑らか e) 胞子の大きさ 1.0〜1.2μm×0.
8〜1.0μm f) 鞭毛胞子の有無 無 g) 胞子嚢の有無 無 h) 胞子柄の着生位置 胞子柄なし i) 菌糸の分裂状態 寒天培地上で接種後3から
7日で気中菌糸並びに基生菌糸がほぼ完全に分裂する j) 菌核形成性 無 (2)培地における生育状態(括弧内はそれぞれの生育
の状態を表わす) a)シュークロース・ コロニーの生育が悪い(±) 硝酸塩寒天培地 基生菌糸の生育も悪い(±) 集落表面は、白色を呈する b)グルコース・ コロニーの生育が悪い(±) アスパラギン寒天培地 基生菌糸の生育も悪い(±) 集落表面は、白色を呈する c)グリセリン・ コロニーの生育は良い(+
+) アスパラギン寒天培地 基生菌糸は、生育に伴い赤みを
呈する(++) 集落表面は、白色を呈する d)スターチ寒天培地 コロニーの生育は非常に良い
(+++) 基生菌糸は、赤紫色を呈し、生育に伴い濃くなる(++
+) 集落表面は、粉っぽいグレーを呈する e)チロシン寒天培地 コロニーの生育は非常に良い
(+++) 基生菌糸は、赤紫色を呈し、生育に伴い濃くなる(++
+) 集落表面は、粉っぽいグレーを呈する f)栄養寒天培地 コロニーの生育は良い(+
+) 基生菌糸は、白色を呈し、生育に伴い卵色になる(+
+) 集落表面は、白色を呈する g)イースト・ コロニーは生育する(+) 麦芽寒天培地 基生菌糸は、クリーム色を呈
し、生育に伴い白色になる(+) 集落表面は、白色を呈する h)オートミール寒天培地 コロニーの生育は良い(+
+) 基生菌糸は、淡い赤色を呈し、生育に伴い紫色になる
(++) 集落表面は、グレー色を呈する (3)生理学的性質 a)生育温度範囲 10〜35℃ 最適生育温度は26℃ 4℃以下及び37℃以上では生育しない 30℃以上では気菌糸が形成されにくい b)ゼラチンの液化 グルコース・ペプトン
ゼラチン培地上で、ゼラチンを液化する c)スターチの加水分解 スターチ寒天培地上で
スターチを加水分解する d)脱脂牛乳の凝固、ペプトン化 脱脂牛乳を凝固し、次
いでペプトン化する e)メラニン様色素の生成 メラニン様色素を生成
しない (4)プリドハム・ゴドリーブ寒天培地上での炭素源の
同化性 (下記糖を各々1%加えて行った) a)L−アラビノース 同化しない(−) b)D−キシロース 同化する(+) c)D−グルコース 同化する(+++) d)D−フラクトース 同化する(+) e)シュクロース 同化しない(−) f)イノシトール 多少同化する(±) g)L−ラムノ−ス 多少同化する(±) h)ラフィノース 同化しない(−) i)D−マンニット 同化する(++) 本菌の培養に使用する培地は、固体または液体のいずれ
でも良く、本菌が資化しうる炭素源を含有していること
を要し、さらに適量の窒素源および無機塩などを含有す
る培地であれば、合成培地および天然培地のいずれでも
よい。
の分裂のみで、菌糸の分枝法に準じる) b) 胞子形成菌糸の形態 基生菌糸並びに気中菌糸の
断裂による胞子形成のみ c) 胞子の数 10以上 d) 胞子の表面構造 滑らか e) 胞子の大きさ 1.0〜1.2μm×0.
8〜1.0μm f) 鞭毛胞子の有無 無 g) 胞子嚢の有無 無 h) 胞子柄の着生位置 胞子柄なし i) 菌糸の分裂状態 寒天培地上で接種後3から
7日で気中菌糸並びに基生菌糸がほぼ完全に分裂する j) 菌核形成性 無 (2)培地における生育状態(括弧内はそれぞれの生育
の状態を表わす) a)シュークロース・ コロニーの生育が悪い(±) 硝酸塩寒天培地 基生菌糸の生育も悪い(±) 集落表面は、白色を呈する b)グルコース・ コロニーの生育が悪い(±) アスパラギン寒天培地 基生菌糸の生育も悪い(±) 集落表面は、白色を呈する c)グリセリン・ コロニーの生育は良い(+
+) アスパラギン寒天培地 基生菌糸は、生育に伴い赤みを
呈する(++) 集落表面は、白色を呈する d)スターチ寒天培地 コロニーの生育は非常に良い
(+++) 基生菌糸は、赤紫色を呈し、生育に伴い濃くなる(++
+) 集落表面は、粉っぽいグレーを呈する e)チロシン寒天培地 コロニーの生育は非常に良い
(+++) 基生菌糸は、赤紫色を呈し、生育に伴い濃くなる(++
+) 集落表面は、粉っぽいグレーを呈する f)栄養寒天培地 コロニーの生育は良い(+
+) 基生菌糸は、白色を呈し、生育に伴い卵色になる(+
+) 集落表面は、白色を呈する g)イースト・ コロニーは生育する(+) 麦芽寒天培地 基生菌糸は、クリーム色を呈
し、生育に伴い白色になる(+) 集落表面は、白色を呈する h)オートミール寒天培地 コロニーの生育は良い(+
+) 基生菌糸は、淡い赤色を呈し、生育に伴い紫色になる
(++) 集落表面は、グレー色を呈する (3)生理学的性質 a)生育温度範囲 10〜35℃ 最適生育温度は26℃ 4℃以下及び37℃以上では生育しない 30℃以上では気菌糸が形成されにくい b)ゼラチンの液化 グルコース・ペプトン
ゼラチン培地上で、ゼラチンを液化する c)スターチの加水分解 スターチ寒天培地上で
スターチを加水分解する d)脱脂牛乳の凝固、ペプトン化 脱脂牛乳を凝固し、次
いでペプトン化する e)メラニン様色素の生成 メラニン様色素を生成
しない (4)プリドハム・ゴドリーブ寒天培地上での炭素源の
同化性 (下記糖を各々1%加えて行った) a)L−アラビノース 同化しない(−) b)D−キシロース 同化する(+) c)D−グルコース 同化する(+++) d)D−フラクトース 同化する(+) e)シュクロース 同化しない(−) f)イノシトール 多少同化する(±) g)L−ラムノ−ス 多少同化する(±) h)ラフィノース 同化しない(−) i)D−マンニット 同化する(++) 本菌の培養に使用する培地は、固体または液体のいずれ
でも良く、本菌が資化しうる炭素源を含有していること
を要し、さらに適量の窒素源および無機塩などを含有す
る培地であれば、合成培地および天然培地のいずれでも
よい。
【0012】炭素源としては、本菌が資化しうるもので
あれば特に制限はないが、D−キシロース、D−グルコ
ース、D−フルクトース、イノシトール、L−ラムノー
ス、D−マンニトール、D−ガラクト−ス、D−マンノ
ース、マルトース、サリシン、スターチ、グリセリン等
の糖質原料、ペプトン、肉エキス等の天然物などが使用
できる。
あれば特に制限はないが、D−キシロース、D−グルコ
ース、D−フルクトース、イノシトール、L−ラムノー
ス、D−マンニトール、D−ガラクト−ス、D−マンノ
ース、マルトース、サリシン、スターチ、グリセリン等
の糖質原料、ペプトン、肉エキス等の天然物などが使用
できる。
【0013】また、本菌は、基生菌糸上および基生菌糸
間に多量の紫色ないし赤色色素を産生する。本菌は、グ
ルコース・硝酸塩寒天培地、ベネット寒天培地、プリド
ハム・ゴドリーブ寒天培地では濃い紫色の色素を、イー
スト寒天培地、鉄寒天培地、およびペプトン・イースト
・鉄寒天培地を除く他の培地では赤紫色の色素を産生す
る。ただし、イースト寒天培地、鉄寒天培地、およびペ
プトン・イースト・鉄寒天培地では色素を産生しにく
く、基生菌糸は白色から黄土色を呈する。イースト寒天
培地においては培地に微量塩液(例えば、プリドハム・
ゴドリーブの微量塩液)を加えるか、若しくは水道水を
用いるかすると、赤色から赤紫色の色素を産生する。気
菌糸は、黄色がかった白色から淡い灰色を呈しており、
どの培地でも生育が非常に良いが、可溶性色素は生産さ
れない。しかし、寒天培地が古くなると、この寒天培地
中に赤色色素が拡散していく。また、気菌糸を形成する
前のコロニーは表面にしわが入り、光沢があまりない。
間に多量の紫色ないし赤色色素を産生する。本菌は、グ
ルコース・硝酸塩寒天培地、ベネット寒天培地、プリド
ハム・ゴドリーブ寒天培地では濃い紫色の色素を、イー
スト寒天培地、鉄寒天培地、およびペプトン・イースト
・鉄寒天培地を除く他の培地では赤紫色の色素を産生す
る。ただし、イースト寒天培地、鉄寒天培地、およびペ
プトン・イースト・鉄寒天培地では色素を産生しにく
く、基生菌糸は白色から黄土色を呈する。イースト寒天
培地においては培地に微量塩液(例えば、プリドハム・
ゴドリーブの微量塩液)を加えるか、若しくは水道水を
用いるかすると、赤色から赤紫色の色素を産生する。気
菌糸は、黄色がかった白色から淡い灰色を呈しており、
どの培地でも生育が非常に良いが、可溶性色素は生産さ
れない。しかし、寒天培地が古くなると、この寒天培地
中に赤色色素が拡散していく。また、気菌糸を形成する
前のコロニーは表面にしわが入り、光沢があまりない。
【0014】培養は、好気的条件下で行われ、培養に適
当な温度は、10から35℃であるが、26℃付近で培
養することが望ましい。また、培養に適当な培地のpH
は、3から9であるが、好ましくは6から7.5であ
る。
当な温度は、10から35℃であるが、26℃付近で培
養することが望ましい。また、培養に適当な培地のpH
は、3から9であるが、好ましくは6から7.5であ
る。
【0015】本発明微生物が産生する新規な赤色色素
は、以下に示す理化学的性質を示す。
は、以下に示す理化学的性質を示す。
【0016】 (1)元素分析 (C68H70O29N)n (2)分子量 1364の整数倍 (3)融点 360℃〜400℃ (4)紫外線吸収スペクトル 図1に示す (5)赤外線吸収スペクトル 図2に示す (6)プロトンNMR 図3に示す (7)溶剤に対する溶解性 ピリジン、ジメチルス
ルホキシド、テトラヒドロフラン、アセトン、ジオキサ
ンに易溶 n−ヘキサン、ベンゼン、エーテル、メタノール、酸に
不溶 薄いアルカリ水溶液、クロロホルムにわずかに溶解 (8)呈色反応 アルミニウムイオンに
より赤紫色を呈する(深色シフトを起こす) (9)物質の色 赤色結晶性物質 さらに、本発明微生物の産生する赤色色素の抽出および
精製方法は以下の通りである。本菌R−001株を、グ
ルコースを2%添加したYM培地(0〜2%イーストエ
キス、0.5〜2%麦芽エキス、0〜5%グルコースを
水道水を用いて調製するか、微量塩液を加える)に接種
し、26℃で振盪培養する。この際、必要であれば、同
培地で本菌R−001株による前培養を行い、その一部
または全部を本培養の培養液に接種する。これを96〜
120時間培養後、培養液全体に0.05〜0.5%ア
スコルビン酸を加え、さらに濃塩酸を1/15〜1/1
0容加える。次に、培養液1リットル当たり400ml
の0.01〜0.1%のt−ブチルキノンを含むテトラ
ヒドロフラン(THF)を加えた後、食塩飽和にしてT
HF層を分離する。分離したTHF層を遠心(1000
g、5分)して、その上清を集め、ロータリーエバポレ
ーターで蒸留濃縮する。さらに、濃縮した液に2〜10
倍容の水を加え、粗色素を沈殿させる。この沈殿物を遠
心(1000g、10分)により集め、蒸留水で洗浄
後、アセトンに溶解する。この溶液に10〜20倍容の
蒸留水を加えることによって、色素を沈殿させ、この沈
殿物を遠心(1000g、10分)により集めた後、水
洗する。さらに、この沈殿物をn−ヘキサン、次いでエ
−テルに懸濁し、遠心(1000g、5分)により洗浄
する。このようにして洗浄した沈殿物を減圧下にて乾燥
後、少量のアセトンに溶解した後、n−ヘキサンを少し
ずつ加えることにより色素を沈殿させ、この沈殿物をn
−ヘキサンで十分洗浄した後、減圧下にて乾燥する。こ
のようにして、培養液より粗色素が得られる。
ルホキシド、テトラヒドロフラン、アセトン、ジオキサ
ンに易溶 n−ヘキサン、ベンゼン、エーテル、メタノール、酸に
不溶 薄いアルカリ水溶液、クロロホルムにわずかに溶解 (8)呈色反応 アルミニウムイオンに
より赤紫色を呈する(深色シフトを起こす) (9)物質の色 赤色結晶性物質 さらに、本発明微生物の産生する赤色色素の抽出および
精製方法は以下の通りである。本菌R−001株を、グ
ルコースを2%添加したYM培地(0〜2%イーストエ
キス、0.5〜2%麦芽エキス、0〜5%グルコースを
水道水を用いて調製するか、微量塩液を加える)に接種
し、26℃で振盪培養する。この際、必要であれば、同
培地で本菌R−001株による前培養を行い、その一部
または全部を本培養の培養液に接種する。これを96〜
120時間培養後、培養液全体に0.05〜0.5%ア
スコルビン酸を加え、さらに濃塩酸を1/15〜1/1
0容加える。次に、培養液1リットル当たり400ml
の0.01〜0.1%のt−ブチルキノンを含むテトラ
ヒドロフラン(THF)を加えた後、食塩飽和にしてT
HF層を分離する。分離したTHF層を遠心(1000
g、5分)して、その上清を集め、ロータリーエバポレ
ーターで蒸留濃縮する。さらに、濃縮した液に2〜10
倍容の水を加え、粗色素を沈殿させる。この沈殿物を遠
心(1000g、10分)により集め、蒸留水で洗浄
後、アセトンに溶解する。この溶液に10〜20倍容の
蒸留水を加えることによって、色素を沈殿させ、この沈
殿物を遠心(1000g、10分)により集めた後、水
洗する。さらに、この沈殿物をn−ヘキサン、次いでエ
−テルに懸濁し、遠心(1000g、5分)により洗浄
する。このようにして洗浄した沈殿物を減圧下にて乾燥
後、少量のアセトンに溶解した後、n−ヘキサンを少し
ずつ加えることにより色素を沈殿させ、この沈殿物をn
−ヘキサンで十分洗浄した後、減圧下にて乾燥する。こ
のようにして、培養液より粗色素が得られる。
【0017】次に、この粗色素を真空下または5酸化リ
ンデシケーター中で十分乾燥した後、少量のアセトンに
溶解し、ワコーゲルC−200カラムにかけ、ジオキサ
ン、水、塩酸(100:5:0.7)の水溶液で展開
し、赤色の最も強い画分を集めて蒸留乾固する。さら
に、乾固したものをn−ヘキサンで洗浄した後、アセト
ンに転溶し、蒸留水を少しずつ加えることによって、結
晶を析出させる。析出した結晶をさらに水洗した後、遠
心(1000g、5分)または濾過により集め、減圧乾
燥後、アセトンに再度溶解する。さらに、上記溶液にn
−ヘキサンを少しずつ加えて結晶を析出させる。この結
晶を集め、n−ヘキサンで洗浄した後、恒量になるまで
真空乾燥し、精製色素標品を得る。
ンデシケーター中で十分乾燥した後、少量のアセトンに
溶解し、ワコーゲルC−200カラムにかけ、ジオキサ
ン、水、塩酸(100:5:0.7)の水溶液で展開
し、赤色の最も強い画分を集めて蒸留乾固する。さら
に、乾固したものをn−ヘキサンで洗浄した後、アセト
ンに転溶し、蒸留水を少しずつ加えることによって、結
晶を析出させる。析出した結晶をさらに水洗した後、遠
心(1000g、5分)または濾過により集め、減圧乾
燥後、アセトンに再度溶解する。さらに、上記溶液にn
−ヘキサンを少しずつ加えて結晶を析出させる。この結
晶を集め、n−ヘキサンで洗浄した後、恒量になるまで
真空乾燥し、精製色素標品を得る。
【0018】なお、本菌株より産生される赤色色素の収
量は、分光光度計により510nmの吸光度を測定する
ことにより、以下の値を元にして算定される。精製色素
標品は、80ug/mlジオキサン溶液で10D510 の
吸収を持ち、粗標品は、150〜200ug/mlジオ
キサン溶液当たり10D510 の吸収を持つ。
量は、分光光度計により510nmの吸光度を測定する
ことにより、以下の値を元にして算定される。精製色素
標品は、80ug/mlジオキサン溶液で10D510 の
吸収を持ち、粗標品は、150〜200ug/mlジオ
キサン溶液当たり10D510 の吸収を持つ。
【0019】
【実施例】以下、実施例を示しながら、本発明をさらに
詳細にかつ具体的に説明するが、本発明はこれらの例に
限定されるものではない。
詳細にかつ具体的に説明するが、本発明はこれらの例に
限定されるものではない。
【0020】実施例1 ノカルディオイデス・エスピー・R−001株 (Nocard
ioides sp. R-001) の気菌糸1〜2白金耳をスラントか
らかきとり、10mlのグルコースを2%添加したYM
培地(0.5%イーストエキス、1%麦芽エキス、2%
グルコースを水道水を用いて調製するか、プリドハム・
ゴドリーブの微量塩液を加える)に接種し、26℃で4
8時間振盪培養する。培養後、培養液0.5mlを35
0mlの上記と同様のYM培地を入れた振盪フラスコに
接種し、本培養した。この本培養における菌量をOD8
00nmで測定した。
ioides sp. R-001) の気菌糸1〜2白金耳をスラントか
らかきとり、10mlのグルコースを2%添加したYM
培地(0.5%イーストエキス、1%麦芽エキス、2%
グルコースを水道水を用いて調製するか、プリドハム・
ゴドリーブの微量塩液を加える)に接種し、26℃で4
8時間振盪培養する。培養後、培養液0.5mlを35
0mlの上記と同様のYM培地を入れた振盪フラスコに
接種し、本培養した。この本培養における菌量をOD8
00nmで測定した。
【0021】この際の成長曲線を図4に示す。
【0022】図4に示されるように、R−001株は、
6〜48時間の間に活発な生長が認められ、以後はほぼ
定常となる。
6〜48時間の間に活発な生長が認められ、以後はほぼ
定常となる。
【0023】実施例2 実施例1と同様にして、ノカルディオイデス・エスピー
・R−001株 (Nocardioides sp. R-001) の培養液1
リットルを96〜120時間培養後、培養液全体に0.
1%アスコルビン酸を加え、さらに濃塩酸を0.08容
加える。次に、この培養液に400mlの0.03%の
t−ブチルキノンを含むTHFを加えた後、食塩飽和に
してTHF層を分離する。分離したTHF層を遠心(1
000g、5分)して、その上清を集め、ロータリーエ
バポレーターで蒸留濃縮する。さらに、濃縮した液に1
0倍容の水を加え、粗色素を沈殿させる。この沈殿物を
遠心(1000g、10分)により集め、蒸留水で洗浄
後、アセトンに溶解する。この溶液に10倍容の蒸留水
を加えることによって、色素を沈殿させ、沈殿物を遠心
(1000g、10分)により集めた後、水洗する。さ
らに、この沈殿物をn−ヘキサン、次いでエ−テルに懸
濁し、遠心(1000g、5分)により洗浄する。さら
に、洗浄した沈殿物を減圧下にて乾燥後、少量のアセト
ンに溶解した後、n−ヘキサンを少しずつ加えることに
より色素を沈殿させ、この沈殿物をn−ヘキサンで十分
洗浄した後、減圧下にて乾燥する。上記工程によって、
1リットルの培養液当たり0.2〜0.3gの粗色素が
得られる。
・R−001株 (Nocardioides sp. R-001) の培養液1
リットルを96〜120時間培養後、培養液全体に0.
1%アスコルビン酸を加え、さらに濃塩酸を0.08容
加える。次に、この培養液に400mlの0.03%の
t−ブチルキノンを含むTHFを加えた後、食塩飽和に
してTHF層を分離する。分離したTHF層を遠心(1
000g、5分)して、その上清を集め、ロータリーエ
バポレーターで蒸留濃縮する。さらに、濃縮した液に1
0倍容の水を加え、粗色素を沈殿させる。この沈殿物を
遠心(1000g、10分)により集め、蒸留水で洗浄
後、アセトンに溶解する。この溶液に10倍容の蒸留水
を加えることによって、色素を沈殿させ、沈殿物を遠心
(1000g、10分)により集めた後、水洗する。さ
らに、この沈殿物をn−ヘキサン、次いでエ−テルに懸
濁し、遠心(1000g、5分)により洗浄する。さら
に、洗浄した沈殿物を減圧下にて乾燥後、少量のアセト
ンに溶解した後、n−ヘキサンを少しずつ加えることに
より色素を沈殿させ、この沈殿物をn−ヘキサンで十分
洗浄した後、減圧下にて乾燥する。上記工程によって、
1リットルの培養液当たり0.2〜0.3gの粗色素が
得られる。
【0024】次に、この粗色素を真空下または5酸化リ
ンデシケーター中で十分乾燥した後、少量のアセトンに
溶解し、ワコーゲルC−200カラムにかけ、ジオキサ
ン、水、塩酸(100:5:1)の水溶液で展開し、赤
色の最も強い画分を集めて蒸留乾固する。さらに、乾固
したものをn−ヘキサンで洗浄した後、アセトンに転溶
し、蒸留水を少しずつ加えることによって、結晶を析出
させる。析出した結晶をさらに水洗した後、遠心または
濾過により集め、減圧乾燥後、アセトンに再度溶解す
る。さらに、n−ヘキサンを少しずつ加えて結晶を析出
させる。この結晶を集め、n−ヘキサンで洗浄した後、
恒量になるまで真空乾燥し、精製色素標品を得る。この
際の精製色素収量は、培養液1リットル当たり80mg
程度である。
ンデシケーター中で十分乾燥した後、少量のアセトンに
溶解し、ワコーゲルC−200カラムにかけ、ジオキサ
ン、水、塩酸(100:5:1)の水溶液で展開し、赤
色の最も強い画分を集めて蒸留乾固する。さらに、乾固
したものをn−ヘキサンで洗浄した後、アセトンに転溶
し、蒸留水を少しずつ加えることによって、結晶を析出
させる。析出した結晶をさらに水洗した後、遠心または
濾過により集め、減圧乾燥後、アセトンに再度溶解す
る。さらに、n−ヘキサンを少しずつ加えて結晶を析出
させる。この結晶を集め、n−ヘキサンで洗浄した後、
恒量になるまで真空乾燥し、精製色素標品を得る。この
際の精製色素収量は、培養液1リットル当たり80mg
程度である。
【0025】なお、本菌株より産生される赤色色素の収
量は、上記作用に記載した方法と同様にして測定され
る。
量は、上記作用に記載した方法と同様にして測定され
る。
【0026】この際の色素の生産を図5および図6に示
す。図5および6において、横軸は培養時間を示し、縦
軸は色素生産量を示す。なお、図5において、白抜きお
よび黒塗りの三角は、菌体中に含まれる色素量を示し、
白抜きおよび黒塗りの丸は、培地上清中に含まれる色素
量を示す。また、図6は、図5に示した菌体中および培
地上清中に含まれる色素量の合計を示す。
す。図5および6において、横軸は培養時間を示し、縦
軸は色素生産量を示す。なお、図5において、白抜きお
よび黒塗りの三角は、菌体中に含まれる色素量を示し、
白抜きおよび黒塗りの丸は、培地上清中に含まれる色素
量を示す。また、図6は、図5に示した菌体中および培
地上清中に含まれる色素量の合計を示す。
【0027】図5、6に示されるように、色素の生産
は、培地上清中および菌体画分中ともに、24時間以降
に始まり、培地上清中の色素量は、72〜168時間で
ほぼ一定となる。また、菌体画分中の色素量は、48時
間以降急増し、72〜96時間で最大に達し、以降はほ
とんど増加しない。
は、培地上清中および菌体画分中ともに、24時間以降
に始まり、培地上清中の色素量は、72〜168時間で
ほぼ一定となる。また、菌体画分中の色素量は、48時
間以降急増し、72〜96時間で最大に達し、以降はほ
とんど増加しない。
【0028】また、色素の全量は、96〜120時間で
最大に達する。
最大に達する。
【0029】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によるノカル
ディオイデス属 (Nocardioides) に属する微生物は新規
な微生物であり、さらに本発明による微生物の培養物を
単離、精製することによって新規な赤色色素を得ること
ができる。
ディオイデス属 (Nocardioides) に属する微生物は新規
な微生物であり、さらに本発明による微生物の培養物を
単離、精製することによって新規な赤色色素を得ること
ができる。
【図1】は、本発明による微生物が産生する赤色色素の
紫外線吸収スペクトルを示す。
紫外線吸収スペクトルを示す。
【図2】は、本発明による微生物が産生する赤色色素の
赤外線吸収スペクトルを示す。
赤外線吸収スペクトルを示す。
【図3】は、本発明による微生物が産生する赤色色素の
プロトンNMRを示す。
プロトンNMRを示す。
【図4】は、本発明による微生物の生長曲線を示すグラ
フである。
フである。
【図5】は、本発明による微生物が産生する赤色色素量
を示すグラフである。
を示すグラフである。
【図6】は、本発明による微生物が産生する赤色色素量
を示すグラフである。
を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:01) (C12P 1/06 C12R 1:01)
Claims (2)
- 【請求項1】 基生菌糸上および基生菌糸間に紫色ない
し赤色色素を産生するノカルディオイデス・エスピー・
R−001株(Nocardioides sp. R-001)FERM P−
15385。 - 【請求項2】 ノカルディオイデス(Nocardioides)属に
属しかつ基生菌糸上および基生菌糸間に紫色ないし赤色
色素を産生する微生物の培養物より精製する紫色ないし
赤色色素の生産方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26606692A JP2933451B2 (ja) | 1992-10-05 | 1992-10-05 | 新規微生物および新規微生物による赤色色素の生産方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26606692A JP2933451B2 (ja) | 1992-10-05 | 1992-10-05 | 新規微生物および新規微生物による赤色色素の生産方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06113824A JPH06113824A (ja) | 1994-04-26 |
JP2933451B2 true JP2933451B2 (ja) | 1999-08-16 |
Family
ID=17425896
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP26606692A Expired - Lifetime JP2933451B2 (ja) | 1992-10-05 | 1992-10-05 | 新規微生物および新規微生物による赤色色素の生産方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2933451B2 (ja) |
-
1992
- 1992-10-05 JP JP26606692A patent/JP2933451B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06113824A (ja) | 1994-04-26 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 19990518 |