JP2931917B2 - セラミックス焼結体の製造方法 - Google Patents
セラミックス焼結体の製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、耐摩耗性および靱性に優れた特に切削工具
をはじめとする各種構造材料として適したセラミックス
焼結体の製造方法に関する。
をはじめとする各種構造材料として適したセラミックス
焼結体の製造方法に関する。
(従来技術及びその問題点) アルミナ(Al2O3)質焼結体をはじめとするセラミッ
ク材料は、従来から金属材料などに比較して耐摩耗性等
の機械的特性に優れていることから金属材料に代わる材
料として各種の構造用部品として使用されている。
ク材料は、従来から金属材料などに比較して耐摩耗性等
の機械的特性に優れていることから金属材料に代わる材
料として各種の構造用部品として使用されている。
しかしながら、最近に至ってはセラミックスに対して
さらに高い特性が要求されており、アルミナ質焼結体に
対しても他のセラミックスとの複合化により各種特性の
改善を図ることが提案されている。
さらに高い特性が要求されており、アルミナ質焼結体に
対しても他のセラミックスとの複合化により各種特性の
改善を図ることが提案されている。
また、セラミックスの中でも特に耐摩耗性に優れた材
料として、硼化チタンや硼化ジルコニウムなどの硼化物
の研究開発が盛んに行われている。
料として、硼化チタンや硼化ジルコニウムなどの硼化物
の研究開発が盛んに行われている。
(発明が解決しようとする問題点) このような硼化物を主体とするセラミックスは高い硬
度を有する反面、強度や靱性が低く応用分野が限られて
いた。
度を有する反面、強度や靱性が低く応用分野が限られて
いた。
硼化チタンは硬度が高く、熱伝導性が良いことから切
削工具材料として有望と考えられていたが、靱性を改善
する方法を見出すことがで出来ず実用には到っていな
い。
削工具材料として有望と考えられていたが、靱性を改善
する方法を見出すことがで出来ず実用には到っていな
い。
硼化ジルコニウムは金属との反応性が低いことから、
金属溶湯用るつぼ等としての応用が期待されているが、
強度が低いことから構造材料としての応用分野は限られ
ている。
金属溶湯用るつぼ等としての応用が期待されているが、
強度が低いことから構造材料としての応用分野は限られ
ている。
また、硼化アルミニウムは酸化アルミニウムに比較し
て硬度に優れた材料であるが未知の部分が多く、焼結体
として優れた特性を有するものは未だ開発されていなか
った。
て硬度に優れた材料であるが未知の部分が多く、焼結体
として優れた特性を有するものは未だ開発されていなか
った。
そこで、本発明者等は、先に上記の硼化物中から硼化
アルミニウムを選択し、その焼結性や特性の改善につい
て検討を進めたところ、硼化アルミニウムに対して酸化
アルニウム成分を混合して成形、焼成することにより、
硼化アルミニウムの一部あるいは全部を分解せしめるこ
とにより酸化アルミニウムを含有する高い硬度を有し且
つ高い靱性を有する特異的な材料が得られることを提案
した(特願平1−312735号)。しかしながら、この材料
は焼結中に硼素が揮散しやすことから焼結体組成のコン
トロールが難しいために特性が安定せず、特に大型の焼
結体を作成する場合に該焼結体中の各元素、特に硼素が
偏析し焼結体の内部と周辺部で特性のバラツキが生じる
という問題があった。
アルミニウムを選択し、その焼結性や特性の改善につい
て検討を進めたところ、硼化アルミニウムに対して酸化
アルニウム成分を混合して成形、焼成することにより、
硼化アルミニウムの一部あるいは全部を分解せしめるこ
とにより酸化アルミニウムを含有する高い硬度を有し且
つ高い靱性を有する特異的な材料が得られることを提案
した(特願平1−312735号)。しかしながら、この材料
は焼結中に硼素が揮散しやすことから焼結体組成のコン
トロールが難しいために特性が安定せず、特に大型の焼
結体を作成する場合に該焼結体中の各元素、特に硼素が
偏析し焼結体の内部と周辺部で特性のバラツキが生じる
という問題があった。
(問題点を解決するための手段) そこで、本発明者等は硼化アルミニウムの焼結性なら
びにその特性改善について検討を進めた結果、上記の系
に対して炭素粉末を特定の割合で添加することにより大
型品においても全体として特性が均質で且つ高い硬度、
靱性を有する焼結体が得られることを知見した。
びにその特性改善について検討を進めた結果、上記の系
に対して炭素粉末を特定の割合で添加することにより大
型品においても全体として特性が均質で且つ高い硬度、
靱性を有する焼結体が得られることを知見した。
即ち、本発明は、硼化アルミニウムと、酸化アルミニ
ウムあるいは焼成により酸化アルミニウムを生成しうる
化合物からなる組成物100重量部に対して炭素あるいは
焼成により炭素を生成する化合物を炭素換算で0.05〜8
重量部を添加した混合物を成形後、1200〜1900℃の温度
で焼成することを特徴とするもので、さらに上記構成に
おいて、酸化アルミニウムあるいは焼成によって酸化ア
ルミニウムを生成する物質として針状の結晶粒子からな
るものを用いることによって焼結体中に酸化アルミニウ
ムの針状晶の粒子を存在させ、これにより焼結体の靱性
をさらに向上させることができる。
ウムあるいは焼成により酸化アルミニウムを生成しうる
化合物からなる組成物100重量部に対して炭素あるいは
焼成により炭素を生成する化合物を炭素換算で0.05〜8
重量部を添加した混合物を成形後、1200〜1900℃の温度
で焼成することを特徴とするもので、さらに上記構成に
おいて、酸化アルミニウムあるいは焼成によって酸化ア
ルミニウムを生成する物質として針状の結晶粒子からな
るものを用いることによって焼結体中に酸化アルミニウ
ムの針状晶の粒子を存在させ、これにより焼結体の靱性
をさらに向上させることができる。
以下、本発明を詳述する。
本発明のセラミックス焼結体の製造方法は、原料の調
製、成形、焼成の三つの工程により構成される。
製、成形、焼成の三つの工程により構成される。
出発原料としては硼化アルミニウム粉末及び酸化アル
ミニウム粉末あるいは焼成によって酸化アルミニウムを
生成する化合物粉末および炭素を用いる。
ミニウム粉末あるいは焼成によって酸化アルミニウムを
生成する化合物粉末および炭素を用いる。
硼化アルミニウム粉末は、平均粒径200メッシュ以
下、望ましくは3μm以下、最適には1μm以下の粉末
であり、一般に化学式AlB12、AlB2もしくは非化学量論
組成の硼化アルミニウムであってもよく、またこれらの
混合物であってもよい。現在市販されているAlB12は部
分的にAlB10を含んでいるものもあるがその場合も問題
は生じない。
下、望ましくは3μm以下、最適には1μm以下の粉末
であり、一般に化学式AlB12、AlB2もしくは非化学量論
組成の硼化アルミニウムであってもよく、またこれらの
混合物であってもよい。現在市販されているAlB12は部
分的にAlB10を含んでいるものもあるがその場合も問題
は生じない。
一方、酸化アルミニウム粉末或いは焼成により酸化ア
ルミニウムを生成する物質は、いずれも平均粒径3μm
以下、特に1μm以下の微細な粒子を用いるのが望まし
い。なお、焼成により酸化アルミニウムを生成する物質
としては、金属アルミニウム、硼酸アルミニウムなどが
挙げられ、硼酸アルミニウムは9Al2O3・B2O3または2Al2
O3・2B2O3の化学式で表される。
ルミニウムを生成する物質は、いずれも平均粒径3μm
以下、特に1μm以下の微細な粒子を用いるのが望まし
い。なお、焼成により酸化アルミニウムを生成する物質
としては、金属アルミニウム、硼酸アルミニウムなどが
挙げられ、硼酸アルミニウムは9Al2O3・B2O3または2Al2
O3・2B2O3の化学式で表される。
また、本発明によれば酸化アルミニウムあるいは焼成
により酸化アルミニウムを生成する物質として針状形態
からなるものを用いることにより焼結体の靱性をさらに
高めることができる。具体的には、針状晶酸化アルミニ
ウム、あるいは焼結時の加熱により針状晶酸化アルミニ
ウムを生成する物質として9Al2O3・2B2O3の化学式を有
する針状晶硼酸アルミニウムが用いられる。
により酸化アルミニウムを生成する物質として針状形態
からなるものを用いることにより焼結体の靱性をさらに
高めることができる。具体的には、針状晶酸化アルミニ
ウム、あるいは焼結時の加熱により針状晶酸化アルミニ
ウムを生成する物質として9Al2O3・2B2O3の化学式を有
する針状晶硼酸アルミニウムが用いられる。
なお、これらの針状物質は、平均径(短径)が2μm
以下、特に0.2乃至0.7μmであることが好ましく、また
長径/短径で表わされるアスペクト比の平均が3〜10
0、特に10乃至30のものが好適に用いられる。上記平均
径を2μm以下に特定したのは焼結時の粒成長が過大に
ならず、高い抗折強度を維持できるからであり、2μm
より大きいと焼結時の結晶粒子の粒成長が著しく、粒子
径のコントロールが難しくなり、靱性にばらつきが生
じ、また切削工具として用いた際に逃げ面の境界摩耗が
大きくなる傾向にあるためである。一方、アスペクト比
の平均が3より小さいと繊維強化の効果が少ないために
靱性の向上効果はなく、100より大きいと原料の取扱が
難しく、均一に分散できないために靱性が低下する傾向
にある。なお、この場合でもウィスカーの一部を粉砕し
ながら混合すれば問題なく使用できる。
以下、特に0.2乃至0.7μmであることが好ましく、また
長径/短径で表わされるアスペクト比の平均が3〜10
0、特に10乃至30のものが好適に用いられる。上記平均
径を2μm以下に特定したのは焼結時の粒成長が過大に
ならず、高い抗折強度を維持できるからであり、2μm
より大きいと焼結時の結晶粒子の粒成長が著しく、粒子
径のコントロールが難しくなり、靱性にばらつきが生
じ、また切削工具として用いた際に逃げ面の境界摩耗が
大きくなる傾向にあるためである。一方、アスペクト比
の平均が3より小さいと繊維強化の効果が少ないために
靱性の向上効果はなく、100より大きいと原料の取扱が
難しく、均一に分散できないために靱性が低下する傾向
にある。なお、この場合でもウィスカーの一部を粉砕し
ながら混合すれば問題なく使用できる。
上述の硼化アルミニウム粉末および酸化アルミニウム
粉末あるいは焼成により酸化アルミニウムを生成する物
質の調合は、硼化アルミニウム粉末が5〜95重量%、好
ましくは30〜80重量%、酸化アルミニウム粉末あるいは
焼成により酸化アルミニウムを生成する物質が酸化アル
ミニウムに換算して3〜90重量%、好ましくは20〜70重
量%の割合で混合される。また特に高硬度の材質を得る
ためには、硼化アルミニウム55〜80重量%、酸化アルミ
ニウム20〜45重量%が最適であり、特に高靱性の材質を
得るためには、硼化アルミニウム30〜55重量%、酸化ア
ルミニウム45〜70重量%が最適である。
粉末あるいは焼成により酸化アルミニウムを生成する物
質の調合は、硼化アルミニウム粉末が5〜95重量%、好
ましくは30〜80重量%、酸化アルミニウム粉末あるいは
焼成により酸化アルミニウムを生成する物質が酸化アル
ミニウムに換算して3〜90重量%、好ましくは20〜70重
量%の割合で混合される。また特に高硬度の材質を得る
ためには、硼化アルミニウム55〜80重量%、酸化アルミ
ニウム20〜45重量%が最適であり、特に高靱性の材質を
得るためには、硼化アルミニウム30〜55重量%、酸化ア
ルミニウム45〜70重量%が最適である。
混合割合を上記の範囲に設定したのは、硼化アルミニ
ウムが95重量%を越えると焼結が難しく、また、硼化ア
ルミニウムが5重量%を下回ると焼結体の硬度が低下す
るからである。酸化アルミニウムが3重量%を下回ると
強靱化の効果がなく、90重量%を越えると硬度が低下す
る。
ウムが95重量%を越えると焼結が難しく、また、硼化ア
ルミニウムが5重量%を下回ると焼結体の硬度が低下す
るからである。酸化アルミニウムが3重量%を下回ると
強靱化の効果がなく、90重量%を越えると硬度が低下す
る。
また、高靱性化を目的に酸化アルミニウム粉末の代わ
りに添加される針状粒子は、全量中に3〜75体積%の割
合で含有することが望ましい。
りに添加される針状粒子は、全量中に3〜75体積%の割
合で含有することが望ましい。
本発明によれば、系の焼結性および均質化を図る上
で、上記硼化アルミニウムと酸化アルミニウム成分から
なる組成物100重量部に対して炭素粉末あるいは焼成に
より炭素を生成する化合物を炭素換算で0.05〜8重量
部、特に1〜3重量部の割合で混合する。炭素量を上記
の範囲に限定したのは、炭素量が0.05重量部未満では焼
結体の硬度および強度の均一化が達成されず、8重量部
を越えると逆に焼結性が低下し緻密体が得られないから
である。
で、上記硼化アルミニウムと酸化アルミニウム成分から
なる組成物100重量部に対して炭素粉末あるいは焼成に
より炭素を生成する化合物を炭素換算で0.05〜8重量
部、特に1〜3重量部の割合で混合する。炭素量を上記
の範囲に限定したのは、炭素量が0.05重量部未満では焼
結体の硬度および強度の均一化が達成されず、8重量部
を越えると逆に焼結性が低下し緻密体が得られないから
である。
なお、炭素成分としてはフェノール樹脂等の焼成によ
り炭素を生成する化合物の他、カーボン型を用いたホッ
トプレス焼成時に型から混入する場合もあるためにこれ
らを総合して炭素添加量を調整することが望ましい。
り炭素を生成する化合物の他、カーボン型を用いたホッ
トプレス焼成時に型から混入する場合もあるためにこれ
らを総合して炭素添加量を調整することが望ましい。
さらに、本発明によれば、焼結性を改善する目的で上
記の混合物に酸化硼素を20重量%以下の割合で添加する
こともできる。この酸化硼素はその量が20重量%を越え
ると焼結体の硬度および靱性が低下するため好ましくな
い。また、この酸化硼素は、硼化アルミニウム粉末表面
の酸化膜から生成されたものであってもよく、硼化アル
ミニウムの一部を酸化させてもよい。
記の混合物に酸化硼素を20重量%以下の割合で添加する
こともできる。この酸化硼素はその量が20重量%を越え
ると焼結体の硬度および靱性が低下するため好ましくな
い。また、この酸化硼素は、硼化アルミニウム粉末表面
の酸化膜から生成されたものであってもよく、硼化アル
ミニウムの一部を酸化させてもよい。
硼化アルミニウム、酸化アルミニウム成分、炭素、所
望により酸化硼素を上記の割合で混合後、衆知の成形手
段で所望の形状に成形できる。成形手段は、例えばプレ
ス成形、押し出し成形、射出成形、鋳込み成形、冷間静
水圧成形等が用いられる。成形性を向上させるため公知
のバインダーや分散剤を用いてもよい。
望により酸化硼素を上記の割合で混合後、衆知の成形手
段で所望の形状に成形できる。成形手段は、例えばプレ
ス成形、押し出し成形、射出成形、鋳込み成形、冷間静
水圧成形等が用いられる。成形性を向上させるため公知
のバインダーや分散剤を用いてもよい。
次に、これらの成形体を所望により真空中もしくは窒
素ガスもしくはアルゴンガス等の不活性ガス中で脱脂し
たのち焼成を行う。焼成は、1200乃至1900℃の温度で、
Ar、He等の不活性ガスもしくはカーボン等の存在する還
元性雰囲気およびそれらの加圧もしくは減圧雰囲気で0.
5乃至6.0時間行えばよい。焼成手段としては、常圧焼
成、ホットプレス法および熱間静水圧焼成法(HIP法)
等が適用され、特に高密度の焼結体を得るために、普通
焼成、ホットプレス法によって対理論密度比96%以上の
焼結体を作成し、さらに500〜2000気圧の高圧下で1200
〜1900℃の焼成温度で熱間静水圧焼成すればよい。焼成
温度を上記の範囲に設定したのは、焼成温度が1200℃よ
り低いと焼結が不十分でボイド等が発生するために十分
な特性が得られず、1900℃を越えると酸化アルミニウム
が粒成長してポアが発生し強度が低下するためである。
素ガスもしくはアルゴンガス等の不活性ガス中で脱脂し
たのち焼成を行う。焼成は、1200乃至1900℃の温度で、
Ar、He等の不活性ガスもしくはカーボン等の存在する還
元性雰囲気およびそれらの加圧もしくは減圧雰囲気で0.
5乃至6.0時間行えばよい。焼成手段としては、常圧焼
成、ホットプレス法および熱間静水圧焼成法(HIP法)
等が適用され、特に高密度の焼結体を得るために、普通
焼成、ホットプレス法によって対理論密度比96%以上の
焼結体を作成し、さらに500〜2000気圧の高圧下で1200
〜1900℃の焼成温度で熱間静水圧焼成すればよい。焼成
温度を上記の範囲に設定したのは、焼成温度が1200℃よ
り低いと焼結が不十分でボイド等が発生するために十分
な特性が得られず、1900℃を越えると酸化アルミニウム
が粒成長してポアが発生し強度が低下するためである。
上記の焼成によれば、原料中の硼化アルミニウムは一
部または全部がアルミニウムと硼素に分離するとともに
系中の酸素と反応し酸化アルミニウムや硼酸アルミニウ
ムと、アルミニウム、酸素、硼素からなるガラス状物質
を生成する。これに対し、酸化アルミニウムはそのまま
の状態で残存し焼結される。一方、酸化アルミニウムの
代わりに硼酸アルミニウムを用いた場合は、1400℃付近
で一部または全部が酸化アルミニウムと酸化硼素とに分
離し、それぞれを添加した場合と同様な効果をもたら
す。他方、アルミニウム金属を用いた場合は、系中の酸
素もしくは硼素と反応しAlB2等の硼化アルミニウム、酸
化アルミニウムあるいは硼酸アルミニウムを生成しそれ
ぞれを添加した場合と同様な効果をもたらす。
部または全部がアルミニウムと硼素に分離するとともに
系中の酸素と反応し酸化アルミニウムや硼酸アルミニウ
ムと、アルミニウム、酸素、硼素からなるガラス状物質
を生成する。これに対し、酸化アルミニウムはそのまま
の状態で残存し焼結される。一方、酸化アルミニウムの
代わりに硼酸アルミニウムを用いた場合は、1400℃付近
で一部または全部が酸化アルミニウムと酸化硼素とに分
離し、それぞれを添加した場合と同様な効果をもたら
す。他方、アルミニウム金属を用いた場合は、系中の酸
素もしくは硼素と反応しAlB2等の硼化アルミニウム、酸
化アルミニウムあるいは硼酸アルミニウムを生成しそれ
ぞれを添加した場合と同様な効果をもたらす。
上記の焼成過程において各化合物の分離、反応によっ
て生成した酸化硼素は1500℃以上では蒸発するが、いず
れも焼結助剤としての効果を示し焼結体の高緻密化を促
進する。しかし、酸化硼素が焼結体中に多く含有される
と硬度や強度が低下するので、含有量は20重量%以下、
望ましくは10重量%以下にするのがよい。
て生成した酸化硼素は1500℃以上では蒸発するが、いず
れも焼結助剤としての効果を示し焼結体の高緻密化を促
進する。しかし、酸化硼素が焼結体中に多く含有される
と硬度や強度が低下するので、含有量は20重量%以下、
望ましくは10重量%以下にするのがよい。
(作用) 上述した本発明の焼結体が高強度、高靱性且つ高硬度
を有する理由についてはおよそ次の3つの要因が考えら
れる。
を有する理由についてはおよそ次の3つの要因が考えら
れる。
粒子結合力の向上 焼結時、硼化アルミニウムの一部または全部が分解し
活性なアルミニウムと硼素が生成される。このアルミニ
ウムと硼素により強固に結合された新たな粒子が形成さ
れ粒子結合力の向上が図られる。
活性なアルミニウムと硼素が生成される。このアルミニ
ウムと硼素により強固に結合された新たな粒子が形成さ
れ粒子結合力の向上が図られる。
粒子形状の複雑化 従来の酸化アルミニウムでは結晶粒子は球形に近いも
のが多く、破壊はそれらの粒界から起こっていた。本発
明の材料ではに記述した分解生成反応を伴って焼結さ
れるため粒子形状は複雑に入り組んだ形状となってい
る。このため新たなクラックの進展が阻止されその結果
破壊靱性が向上する。なお、針状の酸化アルミニウムも
しくは分解により針状の酸化アルミニウムを生成する物
質を添加すると粒子形状の複雑化は更に促進され、針状
結晶が入り組んだ組織を持つようになるため靱性は更に
向上する。
のが多く、破壊はそれらの粒界から起こっていた。本発
明の材料ではに記述した分解生成反応を伴って焼結さ
れるため粒子形状は複雑に入り組んだ形状となってい
る。このため新たなクラックの進展が阻止されその結果
破壊靱性が向上する。なお、針状の酸化アルミニウムも
しくは分解により針状の酸化アルミニウムを生成する物
質を添加すると粒子形状の複雑化は更に促進され、針状
結晶が入り組んだ組織を持つようになるため靱性は更に
向上する。
酸化硼素のガス化の促進 上記の焼成過程において各化合物の分離、反応によっ
て生成した酸化硼素は1500℃以上では蒸発するが、いず
れも焼結助剤としての効果を示し焼結体の高緻密化を促
進する。しかし、大型品においては構成元素、特に化合
物として酸化硼素が焼結体中に偏在しやすく、特に焼結
体の内部と外部において硬度や靱性の特性のバラツキが
生じる。炭素成分の存在により還元雰囲気中、過剰な酸
化硼素の酸化硼素のガス化が促進されるために成分の偏
析が少なくなり均一な特性を有する焼結体が得られる。
て生成した酸化硼素は1500℃以上では蒸発するが、いず
れも焼結助剤としての効果を示し焼結体の高緻密化を促
進する。しかし、大型品においては構成元素、特に化合
物として酸化硼素が焼結体中に偏在しやすく、特に焼結
体の内部と外部において硬度や靱性の特性のバラツキが
生じる。炭素成分の存在により還元雰囲気中、過剰な酸
化硼素の酸化硼素のガス化が促進されるために成分の偏
析が少なくなり均一な特性を有する焼結体が得られる。
以下、本発明を次の例で説明する。
(実施例1) 原料として、酸化アルミニウム粉末(平均粒径1μm
以下、純度99.9%以上)と、AlB12粉末(粒径200メッシ
ュ以下)と、針状酸化アルミニウム(平均粒径0.7μ
m、平均アスペクト比15)と、硼酸アルミニウム(平均
粒径0.7μm、平均アスペクト比20)並びに平均粒径が
1.0μmの炭素粉末を用いて第1表に示す割合に秤量
後、回転ミルで12時間混合粉砕した。混合後のスラリー
を乾燥してホットプレス用原料とした。この原料をカー
ボン型に充填し、1500〜1800℃で1時間、300kg/cm2の
圧力でホットプレス焼成した。
以下、純度99.9%以上)と、AlB12粉末(粒径200メッシ
ュ以下)と、針状酸化アルミニウム(平均粒径0.7μ
m、平均アスペクト比15)と、硼酸アルミニウム(平均
粒径0.7μm、平均アスペクト比20)並びに平均粒径が
1.0μmの炭素粉末を用いて第1表に示す割合に秤量
後、回転ミルで12時間混合粉砕した。混合後のスラリー
を乾燥してホットプレス用原料とした。この原料をカー
ボン型に充填し、1500〜1800℃で1時間、300kg/cm2の
圧力でホットプレス焼成した。
得られた各試料を研磨して鏡面状態にポリッシングし
て焼結体の内部および周辺部のIM法でK1cを、さらにビ
ッカース硬度を測定した。
て焼結体の内部および周辺部のIM法でK1cを、さらにビ
ッカース硬度を測定した。
結果は第1表に示す。
第1表によれば、硼化アルミニウム−酸化アルミニウ
ム系に対して炭素を全く添加しなかった試料No.1では、
硬度については内部が高く、靱性については周辺部が高
くなる傾向を示し、焼結体の特性に内外で差が生じた。
これに対して炭素を添加した系については内外差は20%
以内に抑えることができるが、炭素量が8重量%を越え
た試料No.7については、焼結不良が発生し、抗折強度等
の特性の劣化を招いた。
ム系に対して炭素を全く添加しなかった試料No.1では、
硬度については内部が高く、靱性については周辺部が高
くなる傾向を示し、焼結体の特性に内外で差が生じた。
これに対して炭素を添加した系については内外差は20%
以内に抑えることができるが、炭素量が8重量%を越え
た試料No.7については、焼結不良が発生し、抗折強度等
の特性の劣化を招いた。
また、硼化アルミニウム単体からなる試料No.20で
は、焼成温度を高めても焼結不良を越し特性も低いもの
であった。酸化アルミニウム単体の試料No.21において
は特性上不十分であった。
は、焼成温度を高めても焼結不良を越し特性も低いもの
であった。酸化アルミニウム単体の試料No.21において
は特性上不十分であった。
さらに、焼成温度に関しては、1300℃より低い試料N
o.23は焼結不良により、また1900℃より高い試料No.22
は酸化アルミニウムの粒成長によっていずれも焼結体中
にボイドが発生し、特性が劣化した。
o.23は焼結不良により、また1900℃より高い試料No.22
は酸化アルミニウムの粒成長によっていずれも焼結体中
にボイドが発生し、特性が劣化した。
これらの比較例に対して、本発明の試料はいずれも硬
度、靱性とも特性の内外差がなく、抗折強度60kg/mm2以
上、靱性4.0MPa・m1/2以上、ビッカース硬度18.0MPa・m
1/2以上が達成された。特に、焼結体中に針状の硼酸ア
ルミニウムや酸化アルミニウムを添加したものでは、靱
性が最大10MPa・m1/2の焼結体が得られた。
度、靱性とも特性の内外差がなく、抗折強度60kg/mm2以
上、靱性4.0MPa・m1/2以上、ビッカース硬度18.0MPa・m
1/2以上が達成された。特に、焼結体中に針状の硼酸ア
ルミニウムや酸化アルミニウムを添加したものでは、靱
性が最大10MPa・m1/2の焼結体が得られた。
(発明の効果) 以上詳述した通り、本発明によれば、硼化アルミニウ
ムに、酸化アルミニウム成分を添加した系にさらに炭素
成分を適量添加し、成形焼成することにより高い硬度、
靱成形を維持しつつ焼成体の内外の特性を均一化するこ
とができる。
ムに、酸化アルミニウム成分を添加した系にさらに炭素
成分を適量添加し、成形焼成することにより高い硬度、
靱成形を維持しつつ焼成体の内外の特性を均一化するこ
とができる。
これにより、工具材料をはじめとする大型形状の各種
産業機械部品用材料としての応用範囲をさらに拡大する
ことができる。
産業機械部品用材料としての応用範囲をさらに拡大する
ことができる。
Claims (1)
- 【請求項1】硼化アルミニウム粉末と、酸化アルミニウ
ム粉末あるいは焼成により酸化アルミニウムを生成しう
る化合物とからなる組成物100重量部に対して炭素粉末
あるいは焼成により炭素を生成する化合物を炭素に換算
して0.05〜8重量部添加し、これを成形後、1200〜1900
℃の温度で焼成することを特徴とするセラミックス焼結
体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2140378A JP2931917B2 (ja) | 1990-05-30 | 1990-05-30 | セラミックス焼結体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2140378A JP2931917B2 (ja) | 1990-05-30 | 1990-05-30 | セラミックス焼結体の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0437653A JPH0437653A (ja) | 1992-02-07 |
JP2931917B2 true JP2931917B2 (ja) | 1999-08-09 |
Family
ID=15267432
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2140378A Expired - Fee Related JP2931917B2 (ja) | 1990-05-30 | 1990-05-30 | セラミックス焼結体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2931917B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6202315B2 (ja) * | 2013-10-15 | 2017-09-27 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | 水潤滑用低摩擦・低摩耗摺動部材、及び、その製造方法 |
CN116041070A (zh) * | 2022-12-27 | 2023-05-02 | 北京理工大学 | 一种高韧性硼铝复合材料 |
-
1990
- 1990-05-30 JP JP2140378A patent/JP2931917B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0437653A (ja) | 1992-02-07 |
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