JP2931250B2 - 自動閉鎖引き戸用エアダンパ - Google Patents

自動閉鎖引き戸用エアダンパ

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JP2931250B2
JP2931250B2 JP9245896A JP9245896A JP2931250B2 JP 2931250 B2 JP2931250 B2 JP 2931250B2 JP 9245896 A JP9245896 A JP 9245896A JP 9245896 A JP9245896 A JP 9245896A JP 2931250 B2 JP2931250 B2 JP 2931250B2
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文正 森
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、開く力を解除する
と自動的に閉鎖する自動閉鎖引き戸に付設されている自
動閉鎖引き戸用エアダンパに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動閉鎖引き戸は種々の方法に
より常に閉鎖方向の力を付与されており、開く力を解除
すると自動的に閉鎖するように形成されている。
【0003】ところが、この自動閉鎖引き戸の閉鎖速度
は前記閉鎖方向の力により次第に加速されるものである
ために、そのままにしておくと全閉時に自動閉鎖引き戸
が戸枠に強く衝突し、両者間に強く挟まれたり、大きな
衝撃音が発生するおそれがある。
【0004】そこで、従来から自動閉鎖引き戸の少なく
とも全閉となる直前の閉鎖速度を減速させて、自動閉鎖
引き戸と戸枠との間に強く挟まれる危険を防止したり、
自動閉鎖引き戸と戸枠との衝撃音を緩和させるための各
種の自動閉鎖引き戸用エアダンパが提案されている。
【0005】この種の自動閉鎖引き戸用エアダンパ1
は、図25にその1例を示すように、自動閉鎖引き戸A
の上面に固着されているエアシリンダ2とピストンロッ
ド3とによって主として形成されている。同図鎖線に示
すように、全閉時には、ピストンロッド3はその先端部
に取付られている鉄製の吸着片4を戸枠Bに固着されて
いる磁石5に当接されてエアシリンダ2内に差込まれて
いる。この状態から自動閉鎖引き戸Aを同図左方に開い
て行くと、吸着片4と磁石5との吸磁力により、ピスト
ンロッド3は戸枠B側に吸着されて不動のままエアシリ
ンダ2のみが移動して行き、ピストンロッド3が最大に
引出されると吸着片4が磁石5から強制的に離されて、
同図実線に示すように、エアシリンダ2とピストンロッ
ド3とが一緒に移動させられる。自動閉鎖引き戸Aから
手を離して開く力を解除すると、前記閉鎖方向の力によ
り自動閉鎖引き戸Aが同図右方へ閉じられて行き、吸着
片4が磁石5に当接した後はピストンロッド3がエアシ
リンダ2内に挿入されて行き、エアシリンダ2内のエア
を圧縮して、閉鎖方向に走行する自動閉鎖引き戸Aの閉
鎖速度が減速される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような基本構成を
有する自動閉鎖引き戸用エアダンパ1に対して、実公平
4−3108号公報においては、エアシリンダ2に対す
るピストンロッド3の同軸性を確保して吸着片4と磁石
5との吸着を円滑に行なわせるための提案がなされてい
る。即ち、図26に示すように、エアシリンダ2の端部
を自動閉鎖引き戸Aに固着するブラケット6の円筒状の
導出孔6aをピストンロッド3が貫通しており、前記導
出孔6aの内径より相当小径なピストンロッド3の内方
端部に円筒状外周面を有するブッシュ7を固着し、この
ブッシュ7に装着された軟質ゴム製のリング8がブラケ
ット6の弁座6bに当接したピストンロッド3の最大引
出し時に、前記ブッシュ7をブラケット6の導出孔6a
の円筒状内周面によって片持ち支持して、エアシリンダ
2に対するピストンロッド3の同軸性を確保させてい
る。また、ブッシュ7の円筒状外周面にはエア抜き用の
複数のスリット9が形成されている。
【0007】この公報記載の従来例においては、ピスト
ンロッド3と別個にブッシュ7を作る必要があり、部品
点数が多く、組立作業が繁雑となり、コストが高いとい
う問題点がある。また、ピストンロッド3の支持は、ブ
ッシュ7が導出孔6aに嵌合している時だけであり、例
えば、吸着片4と磁石5との間に異物が挟まってブッシ
ュ7が導出孔6aに嵌合しない状態で吸着片4と磁石5
とが離間してしまった場合には、ピストンロッド3が自
重により導出孔6aの下縁部に当接するまで下方に傾い
て同軸性が失われてしまい、人為的に行なう以外ピスト
ンロッド3は同軸状に復帰せず、吸着片4と磁石5との
吸磁力が所定値以下となり、その後のエアダンパ作用が
円滑に行なわれなくなるという問題点がある。
【0008】また、実開昭59−30482号公報にお
いては、自動閉鎖引き戸用エアダンパ1に対して、吸着
片4と磁石5との吸磁力を適性値とするために、図27
および図28に示すように、多数の弾性材製の緩衝片1
0をそれぞれの軸材11を吸着片4に穿設した多数の貫
通孔13に貫通させ、先端膨出部12をもって抜止めす
るようにして固着させている。
【0009】しかしながら、この従来例においては、多
数の緩衝片10を吸着片4と別個に製造し、これらを組
立る必要があり、その組立を人手による場合には組立時
間が長くなり、自動組立する場合には特別な組立機械が
必要となり、部品管理も繁雑となり、コストも高くなる
という問題点がある。
【0010】本発明はこれらの点に鑑みてなされたもの
であり、構造が簡単で、部品点数も少なく、組立も容易
で、コストも低廉で、エアシリンダとピストンロッドと
を常時同軸状に支持することができ、常に円滑なエアダ
ンパ作用を発揮させることができる自動閉鎖引き戸用エ
アダンパを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、請求項1に記載の本発明の自動閉鎖引き戸用エアダ
ンパにおいては、エアシリンダの外方端部を保持すると
ともにピストンロッドの外周面のうち下方面を支持する
支持曲部と上方面を付勢するバネ曲部とを有するロッド
受けを配設することにより、エアシリンダとピストンロ
ッドとを確実に常時同軸状に支持させ、常に円滑なエア
ダンパ作用を発揮させるようにしている。
【0012】更に、請求項2に記載するように、ロッド
受けをエアシリンダの外方端部に嵌入する外管部と、こ
の外管部に遊嵌する内管部と、これらを固着する固着部
材とから構成し、前記内管部はピストンロッドの外周面
のうち下方面を支持する支持曲部と上方面を付勢するバ
ネ曲部とにより形成しているとともにその内管部の外周
面に複数の固着凹部を形成し、前記外管部は前記固着凹
部に連通する固着孔を形成し、前記固着部材は前記固着
孔を貫通して所望の前記固着凹部に挿入していることに
より、自動閉鎖引き戸用エアダンパの取付け位置が変え
られても、常に、前記ピストンロッドと前記エアシリン
ダとを同軸状に保持できるようになっている。
【0013】更に、請求項3に記載するように、ロッド
受けにそれぞれ複数の支持曲部とバネ曲部とを形成した
ことにより、自動閉鎖引き戸用エアダンパの取付け位置
が変えられても、より簡単に前記ピストンロッドと前記
エアシリンダとを常時同軸状に保持できるようになって
いる。
【0014】更に、請求項4に記載するように、ピスト
ンロッドを合成樹脂により軸方向同一断面のセレーショ
ン軸状に形成するとともに、このピストンロッドを前述
したロッド受けにより支持することにより、エアシリン
ダとピストンロッドとを常時同軸状に支持させ、常に円
滑なエアダンパ作用を発揮させるようにしている。
【0015】更に、ピストンロッドの内方端部に、前述
したストッパを配設することによって、衝撃音の発生を
防止し、前記エアシリンダに潤滑性を付与し、エアシリ
ンダ内の防塵性を確保し、かつ、前記ピストンロッドと
前記エアシリンダとを常時同軸状に保持できるようにな
っている。
【0016】更に、請求項6または請求項7に記載する
ように、ピストンロッドの先端部分に取着する吸着片を
前述のように金具と、この金具の磁石との当接部の少な
くとも1部を覆うように一体成型した弾性部材とにより
形成することにより、吸着片部分の消音性を維持しつ
つ、衝撃音の発生を防止できるようになっている。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図1
から図24について説明する。
【0018】図1から図11は本発明の第1実施形態を
示す。
【0019】本第1実施形態の自動閉鎖引き戸用エアダ
ンパ21においては、円筒状のエアシリンダ22とピス
トンロッド23とによって主として形成されている。前
記エアシリンダ22は、図1の両端を、左端にダンパ調
整弁24aが取付けられているロッドヘッド24(左
側)とピストンロッド23を支持するロッド受37(右
側)とによりそれぞれ保持されて自動閉鎖引き戸Aに取
付けられている。前記ピストンロッド23は合成樹脂に
より一体成型されており、図2に示すように、長手方向
の大部分が断面略イゲタ状にして軸方向同一断面のセレ
ーション軸状に形成されており、前記ロッド受37の中
心孔37aaに貫通させられている。このセレーション
形状は種々のものから設計目的、強度等に応じて選択す
るとよい。そして、本実施の形態においては、エアシリ
ンダ22の内径に対するピストンロッド23の外径の割
合を従来例に比較して大きくして、大径に形成してい
る。このピストンロッド23の内方端部(図1の左方)
には、エア圧縮作用を行なう弾性部材製の環状のシール
体25が環状溝26に嵌着されている。このシール体2
5の先端側(図1の右側)の隣の環状溝27内には、ピ
ストンロッド23の引出し時に前記ロッド受37の内方
端面37abに当接してピストンロッド23の最大引出
し位置を規制するストッパ28が嵌着されている。ま
た、シール体25の左隣の環状溝27内にも、同様のス
トッパ28が嵌着されている。これらのストッパ28は
発泡ウレタン、フェルト等によって形成されており、エ
アシリンダ22の内面に常に摺接可能な外径に形成され
ていて、グリース等の潤滑材が含浸させられている。従
って、このストッパ28は、ロッド受37の内方端面3
7abへの当接時における衝撃音の発生を防止し、エア
シリンダ22に潤滑性を付与し、エアシリンダ22内の
防塵性を確保するように機能する。また、ストッパ28
は、図5に示すように、外周の4箇所を切り落してシリ
ンダ22との間に空気流通部28aを形成する場合もあ
る。各空気流通部28aは、ピストンロッド23を引出
す際に、シール体25の内外の空気の流通を可能とし
て、ピストンロッド23の引出しを円滑に行なえるよう
にしている。
【0020】一方、ピストンロッド23の先端部には、
図3および図4に示されている吸着片29がクッション
ゴム36を介在させて装着ねじ30により軸方向移動自
在に、かつ、首振り運動自在に装着されている。この吸
着片29は磁石5の磁力に引かれる鉄製薄板等を絞り加
工して形成されている金具31と、この金具31の前記
磁石5との当接部の少なくとも1部を覆うように一体成
型した弾性部材32とにより形成されている。更に説明
すると、前記金具31は、大径フランジ部31aと小径
フランジ部31cとを円筒部31bによって連結した形
状をしており、弾性部材32となるゴムは前記大径フラ
ンジ部31aの中心部と前記円筒部31bの内周面部分
とを除く部分に一体成型されている。この一体成型の前
に必要に応じて接着剤を金具31に塗布して弾性部材3
2の固着力を大きくするとよい。また、本第1実施形態
のように、前記大径フランジ部31aに穿設されている
複数の小孔33にも弾性部材32を充填させて、大径フ
ランジ部31aの内外の弾性部材32を連続させて弾性
部材32の固着力を一層大きくするとよい。また、本第
1実施形態のように、大径フランジ部31aの前面に有
る弾性部材32に複数の突出部32aを形成して、磁石
5との当接を点接触とさせたり、このような突出部を大
径フランジ部31aの外径と同芯の環状とさせて、磁石
5との当接を線接触とさせるとよい。このように形成さ
れている吸着片29は、小径フランジ部31cの中心孔
34を貫通した装着ねじ30をピストンロッド23の先
端のねじ穴35に螺入させることにより装着されてい
る。この装着ねじ30を磁石5により吸磁着される金属
により形成することにより、ピストンロッド23と磁石
5との吸磁力の大きさを適正値に設定することもでき
る。
【0021】次に、ピストンロッド23をエアシリンダ
22と同軸状に保持するロッド受け37を図6から図1
1について説明する。
【0022】図6は本第1実施形態のロッド受け37の
平面図であり、図7は図6中のC−C断面図であり、図
8は図6の右側面図であり、図9は図6の左側面図であ
り、図10は組立説明図であり、図11は変形例を示す
図7と同様の図である。
【0023】前記ロッド受け37は、薄肉円管状をした
管状部37aの一端部(図6の右側)に四角形状のフラ
ンジ37bが形成されている。そして、前記ロッド受け
37は、管状部37aにピストンロッド23の外周上方
部を弾性力により付勢するバネ曲部38と前記ピストン
ロッド23の外周下方部を支持する支持曲部39とを有
することを特徴としている。
【0024】より具体的には、前記バネ曲部38は、図
6に示すように、前記管状部37aのフランジ37bと
反対側の端部から管状部37aの長手方向に向かって2
本のスリット40が形成されて、このスリット40で挟
まれた管状部37aが直径方向側へ滑らかな段差を有す
るように屈曲された状態に形成されている。従って、こ
のバネ曲部38は、前記管状部37aの内面側に付勢力
を有するようになっている。また、このバネ曲部38の
断面は、図8および図9に示すように、ピストンロッド
23の外周面と合致するように円弧状に形成されてい
る。さらに、前記バネ曲部38は、前記ピストンロッド
23が前記エアシリンダ22と同軸状に配設されたとき
に、そのピストンロッド23の外周面よりもわずかに
(0.3mm程度)隙間が空く程度に形成されている。さ
らにまた、前記ピストンロッド23の内方端部には、図
1に示すように、若干大径に形成された摺接部41が形
成されており、このピストンロッド23が最大引き出し
位置に到達する前に前記バネ曲部38が前記摺接部41
に乗り上げてその付勢力により前記ピストンロッド23
を保持するようになっている。このため、前記バネ曲部
38が前記摺接部41をスムーズに乗り越えられるよう
にするため、前記バネ曲部38と前記摺接部41とが最
初に接触するそれぞれの縁部38a,41aを面取りし
てあるか、あるいは、前記摺接部41をテーパ斜面に形
成してある。
【0025】一方、前記支持曲部39は、前記バネ曲部
38の形成されている内面と反対側の内面であって前記
フランジ37b側の端部近傍(図7の右側)に、前記管
状部37aの直径方向に突出するように形成されてい
る。この支持曲部39の断面も、図8および図9に示す
ように、ピストンロッド23の外周面に合致するような
円弧状に形成されている。また、この支持曲部39は、
前記ピストンロッド23がエアシリンダ22と同軸状に
配設された場合に、このピストンロッド23の外周面と
接触し、常に前記ピストンロッド23を同一軸上に支持
する高さに形成されている。
【0026】従って、前記ロッド受け37は、常に前記
支持曲部39により前記ピストンロッド23の外周下方
部を支持するとともに、前記ピストンロッド23が下方
へ傾斜する場合には前記バネ曲部38によって付勢して
ピストンロッド23をエアシリンダ22と同軸状に保持
するようになっている。
【0027】また、前記フランジ37bは、前記ロッド
受け37が前記エアシリンダ22の外方端部内に嵌入さ
れたときに、前記エアシリンダ22の端面に当接して前
記ロッド受け37の配設位置を決めるようになってい
る。そして、このフランジ37bの一端辺(図6の下端
辺)からは、このロッド受け37を自動閉鎖引き戸Aま
たは戸枠Bにねじ等により固定するための固定部42が
延出されており、この固定部42にはねじ等が貫通する
ための2つの固定孔43が形成されている。この固定部
42をどの端辺から延出させるかは、前記エアシリンダ
22を自動閉鎖引き戸Aに取付けるのか、戸枠Bに取付
けるのか、あるいは自動閉鎖引き戸Aの上面に取付ける
のか側面に取付けるのかによって異なるため、必要に応
じて適宜変更するとよい。
【0028】なお、前記ロッド受け37は摩擦係数が小
さい合成樹脂を材料として金型成形により一体的に成形
される。
【0029】更に、図6に示すように、前記ロッド受け
37の管状部37aの外周には、このロッド受け37が
前記エアシリンダ22から抜けるのを防止するための抜
け防止環状溝44が形成されているとともに、この抜け
防止環状溝44から管状部37aの長手方向に2本の誘
導用溝45が形成されている。そして、前記エアシリン
ダ22の内面には、図10に示すように、2つの抜け防
止用突起46が形成されている。従って、前記ロッド受
け37を前記エアシリンダ22に嵌入させる際には、図
10に示すように、前記誘導用溝45に前記抜け防止用
突起46を通し、前記抜け防止環状溝44まで達すると
前記ロッド受け37を回転させて、前記抜け防止環状溝
44に前記抜け防止用突起46を係合するようになって
いる。
【0030】次に、本第1実施形態の作用を説明する。
【0031】本第1実施形態によれば、ロッド受け37
の支持曲部39により常に前記ピストンロッド23の下
方部を支持するとともに、このピストンロッド23がエ
アシリンダ22から引き出されて下方に傾く場合には前
記バネ曲部38の弾性力によってピストンロッド23の
上方部を付勢し、前記ピストンロッド23を常にエアシ
リンダ22と同軸状に保持することができ、従来例のよ
うにピストンロッド23が下に傾くことがなくなる。こ
れにより常に円滑なエアダンパ作用が発揮される。
【0032】また、ピストンロッド23の最大引出し状
態においては、ピストンロッド23の内方端部に若干大
径に形成された摺接部41に前記バネ曲部38が乗り上
げることにより、バネ曲部38の付勢力により前記ピス
トンロッド23をエアシリンダ22と同軸状に保持す
る。
【0033】また、ロッド受37を境としたエアシリン
ダ22の内部と外部とは、ピストンロッド23のセレー
ション軸状とした軸方向に延びる断面積の大きい複数の
溝23aによって連通させられている。従って、ピスト
ンロッド23の移動に伴うロッド受37の中心孔37a
a部分のエアの移動によっては、騒音は全く発生するこ
とがない。
【0034】また、本第1実施形態においては、従来例
のようなブッシュ7が不要であり、構造も簡単であり、
部品点数も少なく、製造も容易である。
【0035】更に、ピストンロッド23の内方端部に装
着されたストッパ28が、ピストンロッド23のエアシ
リンダ22からの引出し時に、ロッド受37の内方端面
37abに当接してピストンロッド23の最大引出し位
置を規制する。この時、ストッパ28は当接時における
衝撃音の発生を防止する。また、ストッパ28はエアシ
リンダ22の内周面に摺動して、含浸させられている潤
滑材をエアシリンダ22に付与して潤滑性を確保させた
り、エアシリンダ22内の防塵性を確保するよう機能す
る。
【0036】更に、本第1実施形態においては、金具3
1の磁石5との当接部の少なくとも1部を覆うようにし
て弾性部材32を一体成型して吸着片29を形成し、更
にピストンロッド23の先端部にクッションゴム36を
介在させて軸方向移動自在に、かつ、首振り運動自在に
装着しているために、吸着片29と磁石5との吸磁力を
設定値に保持するとともに、両者の当接時における消音
性を維持することができ、吸着片29と磁石5との当接
を確実に行わせることができる。しかも、金具31に対
して弾性部材32の一体成型により吸着片29を製造す
ることができ、構造も簡単で、部品点数も少なく、製造
も容易となる。
【0037】なお、このような構成の吸着片29は、従
来の自動閉鎖引き戸用エアダンパ21に設置しても前記
と同様の作用効果を発揮することができるものであり、
汎用性にも優れている。
【0038】また、エアシリンダ22を戸枠B側に設置
してもよく、磁石5と吸着片29とをピストンロッド2
3と戸枠Bとに逆にして取付けてもよい。
【0039】なお、本第1実施形態のロッド受け37
は、前記支持曲部39が前記エアシリンダ22の内部に
配設されるように構成されたものであるが、これを、図
11に示すように、前記エアシリンダ22の外部におい
て前記ピストンロッド23を支持するような構成として
もよい。
【0040】次に、ロッド受け37の第2実施形態につ
いて図12乃至図20を参照しつつ説明する。
【0041】図12は本第2実施形態のロッド受け37
の平面図であり、図13は図12中のD−D断面図であ
り、図14は図12の右側面図であり、図15は図12
の左側面図である。
【0042】本第2実施形態のロッド受け37は、前記
エアシリンダ22に嵌入する外管部47とこの外管部4
7に遊嵌する内管部48とから構成されており、この内
管部48にはピストンロッド23の外周上方部を弾性力
により付勢するバネ曲部38と前記ピストンロッド23
の外周下方部を支持する支持曲部39とが形成されてお
り、この内管部48を前記外管部47内で回転移動させ
て所望の位置で両者を固着できるようにした点に特徴を
有する。
【0043】すなわち、前記自動閉鎖引き戸用エアダン
パ21を前記自動閉鎖引き戸Aに取付ける場合と前記戸
枠Bに取付ける場合、あるいは、前記自動閉鎖引き戸A
の上面に取付ける場合と側面に取付ける場合とでは、ロ
ッド受け37の上下方向が変化してしまう。従って、通
常、前記ロッド受け37の固定部42を前記フランジ3
7bの各辺に形成する場合に、前記自動閉鎖引き戸用エ
アダンパ21の各取付け位置に対応してそれぞれ形成し
なければならなかった。本第2実施形態のロッド受け3
7はこのような問題を解決するものである。
【0044】より具体的に説明すると、前記外管部47
は、薄肉円管状をした管状部37aの一端部(図12の
右側)に四角形状のフランジ37bを有しており、この
フランジ37bの一端辺(図12の下端辺)からは前記
管状部37aの長手方向に固定部42が延出されてい
る。この固定部42には前記第1実施形態と同様にねじ
等を貫通する固定孔43が形成されている。また、図1
2及び図13に示すように、前記フランジ37bの前記
固定部42の延出している端面と反対側の端面(図13
の上方側)には、外管部47の内面まで貫通する固着孔
49が形成されており、この固着孔49にはめねじが形
成されている。また、前記外管部47の外周には、第1
実施形態において説明した抜け防止環状溝44と誘導用
溝45とが形成されており、このロッド受け37を前記
エアシリンダ22の外方端部内に形成された抜け防止用
突起46に係合させて前記エアシリンダ22を保持する
ようになっている。
【0045】次に、前記内管部48について、図16乃
至図20を参照しつつ説明する。図16は前記内管部4
8の平面図であり、図17は図16中のE−E断面図で
あり、図18は図16の右側面図であり、図19は図1
6の左側面図であり、図20は図16中のF−F断面図
である。
【0046】この内管部48は薄肉円管状に形成されて
おり、その外径は前記外管部47に遊嵌するように前記
外管部47の内径よりもわずかに小径とされている。そ
して、この内管部48は、ピストンロッド23の外周上
方部を弾性力により付勢するバネ曲部38と前記ピスト
ンロッド23の外周下方部を常に支持する支持曲部39
とを有している。このバネ曲部38は、前記内管部48
の一端(図16の左側)から長手方向に2本のスリット
40が形成されているとともに、このスリット40に挟
まれる部分の肉厚を他の部分よりも小さく形成されて弾
性力を発揮するようになっている。また、このバネ曲部
38の断面は、図18及び図19に示すように、ピスト
ンロッド23の外周面と一致するように円弧状に形成さ
れている。さらに、前記バネ曲部38は前記ピストンロ
ッド23がエアシリンダ22と同軸状に配設されたとき
にその外周面よりわずかに(0.3mm程度)離間される
ようになっている。
【0047】なお、本第2実施形態のバネ曲部38は、
前述した第1実施形態のバネ曲部38のように、その内
面が直径方向へ段差を有するように屈曲されていない。
これは、より簡単な形状とすることで射出成形等の金型
による成形をより容易に行なえるよう考慮したものであ
る。従って、本第2実施形態のバネ曲部38を第1実施
形態のバネ曲部38と同様の形状に形成してもよい。
【0048】一方、前記支持曲部39は、図17に示す
ように、前記バネ曲部38の形成されている内面と反対
側の内面に突出するように形成されている。この支持曲
部39の断面も、図18および図19に示すように、ピ
ストンロッド23の外周面に合致するように円弧状に形
成されている。また、この支持曲部39は、ピストンロ
ッド23がエアシリンダ22と同軸状に配設されたとき
にその外周面と接触する高さに形成されている。
【0049】また、前記内管部48の外周には固着環状
溝50が形成されており、この固着環状溝50のうち前
記バネ曲部38の位置に対して左右90度ずれた位置に
は、図20に示すように、それぞれ曲面状の固着凹部5
1が穿設されている。さらに、前記内管部48のバネ曲
部38と反対側の端部(図17の右端部)側の外周面に
は、板状の把持部52が凸状に形成されている。そし
て、前記内管部48を前記外管部47に遊嵌して両者を
一体的に固着する場合には、前記内管部48を前記外管
部47に遊嵌させて、前記外管部47の固着孔49から
球53を挿入する。そして、前記把持部52を把持して
前記内管部48を前記外管部47に対して相対的に回転
移動させ、前記球53が前記固着凹部51に嵌入する位
置まで回転させたら、前記外管部47の固着孔49に固
着部材たる固着ねじ54を螺入することによって、前記
球53を前記固着凹部51に嵌入させて、前記外管部4
7に前記内管部48を固着する。
【0050】一方、前記外管部47は金属等の剛性の高
い材料により形成されており、前記内管部48はピスト
ンロッド23との摺動性のよい合成樹脂等により形成さ
れている。
【0051】従って、本第2実施形態によれば、前記自
動閉鎖引き戸用エアダンパ21を前記自動閉鎖引き戸A
または前記戸枠Bのいずれに取付けたとしても、前記ロ
ッド受け37の内管部48を前記外管部47に対して左
右いずれかに回転させて、図14および図15に示すよ
うに、前記バネ曲部38が上方で前記支持曲部39が下
方になるようにし、前記ピストンロッド23の下方から
前記支持曲部39により支持するとともに前記ピストン
ロッド23の上方からバネ曲部38により付勢して、常
に、前記ピストンロッド23をエアシリンダ22と同軸
状に保持することができる。
【0052】なお、本第2実施例のロッド受け37は、
2つの前記固着凹部51を前記内管部48の直径方向の
対称位置にそれぞれ形成し、180度方向にのみ変換さ
せることができるように構成したが、前記固着凹部51
を固着環状溝50の他の位置、例えば、90度ずらした
位置にも形成して、前記内管部48を任意の位置で固着
できるように構成してもよい。
【0053】次に、ロッド受け37の第3実施形態例に
ついて図21乃至図24を参照しつつ説明する。
【0054】図21は本第3実施形態のロッド受け37
の平面図であり、図22は図21中のG−G断面図であ
り、図23は図21の右側面図であり、図24は図21
の左側面図である。
【0055】本第3実施形態のロッド受け37は、前記
バネ曲部38と前記支持曲部39とがそれぞれ管状部3
7aの軸心を対称として2つずつ形成されていることを
特徴としている。そして、このような構成により、前記
自動閉鎖引き戸用エアダンパ21を前記自動閉鎖引き戸
Aまたは前記戸枠Bのいずれに取付ける場合であって
も、1つの部品だけで上下方向を自由に変えて使用する
ことが可能であり、常に、前記ピストンロッド23を前
記エアシリンダ22と同軸状に保持することができる。
【0056】より具体的には、本第3実施形態のロッド
受け37は、薄肉円管状をした管状部37aの一端部
(図21の右側)に四角形状のフランジ37bが形成さ
れているとともに、前記ロッド受け37には、前記管状
部37aにピストンロッド23の外周上方部を弾性力に
より付勢するバネ曲部38と前記ピストンロッド23の
外周下方部を支持する支持曲部39とが形成されてい
る。
【0057】前記バネ曲部38は、前述した第2実施形
態と同様に、管状部37aの一端部から管状部37aの
長手方向に向かって2本のスリット40が形成されて、
このスリット40で挟まれた管状部37aの肉厚が他の
部分よりも小さく形成されることによって、内面側に付
勢力を有するようにされている。さらに、本実施例のロ
ッド受け37のバネ曲部38は、図22に示すように、
相互に対向する管状部37aの部分にバネ曲部38がも
う1つ形成されている。
【0058】さらに、ロッド受37の管状部37aのバ
ネ曲部38が形成されていない円弧状部の内周面には、
それぞれ最大引出し状態のピストンロッド23の大径な
摺接部41を収容可能とする逃げ部55が形成されてい
る。
【0059】そして、前記支持曲部39についても、前
記バネ曲部38と反対側の端部にそれぞれ相互に対向し
て2つの支持曲部39が形成されている。
【0060】通常、前記自動閉鎖引き戸用エアダンパ2
1を前記自動閉鎖引き戸Aに取付ける場合と前記戸枠B
に取付ける場合とでは、ロッド受け37の上下方向が逆
になってしまうが、本実施例のロッド受け37であれ
ば、上下方向を変えて使用された場合であっても、それ
ぞれの内面にバネ曲部38と支持曲部39とが形成され
ているためなんら問題なく使用できる。
【0061】なお、本第3実施形態のロッド受け37に
おけるその他の部分についての構成、例えば、固定部4
2や抜け防止環状溝44等の構成は、前述した第1実施
形態及び第2実施形態と同様の構成であるため再度の説
明を省略する。
【0062】従って、本第3実施形態によれば、自動閉
鎖引き戸用エアダンパ21を自動閉鎖引き戸Aに取付け
る場合と前記戸枠Bに取付ける場合等のように、前記ロ
ッド受け37の上下方向が反対となる使用方法であって
も、1つの部品によって、前記ピストンロッド23の下
方から前記支持曲部39により支持するとともに前記ピ
ストンロッド23の上方からバネ曲部38により付勢し
て、常に、前記ピストンロッド23をエアシリンダ22
と同軸状に保持することができる。
【0063】なお、前記ロッド受け37の前記バネ曲部
38及び前記支持曲部39を2つに限らずに、3つある
いは4つに増やして前記管状部37aの円周に沿って角
度を変えつつ形成すれば、前記自動閉鎖引き戸用エアダ
ンパ21を前記自動閉鎖引き戸Aの上面に取付ける場合
と側面に取付ける場合等の変更使用にも対応できる。
【0064】なお、本発明は前記実施の形態に限定され
るものではなく、必要に応じて変更することができる。
【0065】
【発明の効果】このように本発明の自動閉鎖引き戸用エ
アダンパは構成され作用するものであるから、エアシリ
ンダとピストンロッドとを常時同軸状に支持することが
でき、これにより常に円滑なエアダンパ作用を発揮させ
ることができ、吸着板部分の構造も簡単となり、部品点
数も少なく、組立の容易で、コストも低廉とすることが
できる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の自動閉鎖引き戸用エアダンパの第1
実施形態の1例を示す部分切断平面図
【図2】 図1のA−A線に沿った断面図
【図3】 吸着片の拡大断面図
【図4】 図3の右側面図
【図5】 図1のB−B線に沿った断面図
【図6】 本発明のロッド受けを示す平面図
【図7】 図6のC−C断面図
【図8】 図6の右側面図
【図9】 図6の左側面図
【図10】 本発明におけるエアシリンダの外方端部の
内面に形成した抜け防止用突起を示す組立説明図
【図11】 本発明のロッド受けの変形例を示す説明図
【図12】 本発明のロッド受けの第2実施形態を示す
平面図
【図13】 図12のD−D断面図
【図14】 図12の右側面図
【図15】 図12の左側面図
【図16】 第2実施形態のロッド受けの内管部を示す
平面図
【図17】 図16のE−E断面図
【図18】 図16の右側面図
【図19】 図16の左側面図
【図20】 図16のF−F断面図
【図21】 本発明のロッド受けの第3実施形態を示す
平面図
【図22】 図21中のG−G断面図
【図23】 図21の右側面図
【図24】 図21の左側面図
【図25】 自動閉鎖引き戸用エアダンパの従来例を示
す概略図
【図26】 従来のピストンロッド支持部を示す部分切
断側面図
【図27】 従来のピストンロッドの先端部を示す側面
【図28】 従来の吸着片を示す断面図
【符号の説明】
A 自動閉鎖引き戸 B 戸枠 21 自走閉鎖引き戸用エアダンパ 22 エアシリンダ 23 ピストンロッド 28 ストッパ 29 吸着片 31 金具 32 弾性部材 37 ロッド受け 38 バネ曲部 39 支持曲部 42 固定部 44 抜け防止用環状溝 47 外管部 48 内管部 49 固着孔 50 固着環状溝 54 固着ねじ

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 常に閉鎖方向の力を付与されている自動
    閉鎖引き戸と、この自動閉鎖引き戸と戸枠とのいずれか
    一方に取付けたエアシリンダと、このエアシリンダのピ
    ストンロッドの先端に取付けた吸着片または磁石と、こ
    の吸着片または磁石と対応させて前記自動閉鎖引き戸と
    戸枠とのいずれか一方に取付けた吸着片または磁石とを
    有する自動閉鎖引き戸用エアダンパにおいて、前記ピス
    トンロッドは、前記エアシリンダの外方端部を保持する
    とともに前記ピストンロッドの外周面のうち下方面を支
    持する支持曲部と上方面を付勢するバネ曲部とを有する
    ロッド受けにより支持されていることを特徴とする自動
    閉鎖引き戸用エアダンパ。
  2. 【請求項2】 前記ロッド受けは、前記エアシリンダの
    外方端部に嵌入する外管部と、この外管部に遊嵌する内
    管部と、これらを固着する固着部材とから構成されてお
    り、前記内管部には前記ピストンロッドの外周面のうち
    下方面を支持する支持曲部と上方面を付勢するバネ曲部
    とが形成されているとともにその内管部の外周面には複
    数の固着凹部が形成され、前記外管部には前記固着凹部
    に連通する固着孔が形成され、前記固着部材は前記固着
    孔を貫通して所望の前記固着凹部に挿入されていること
    を特徴とする請求項1に記載の自動閉鎖引き戸用エアダ
    ンパ。
  3. 【請求項3】 前記ロッド受けには、前記支持曲部と前
    記バネ曲部とがそれぞれ複数形成されていることを特徴
    とする請求項1に記載の自動閉鎖引き戸用エアダンパ。
  4. 【請求項4】 前記ピストンロッドは、合成樹脂により
    軸方向同一断面のセレーション軸状に形成されているこ
    とを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に
    記載の自動閉鎖引き戸用エアダンパ。
  5. 【請求項5】 前記ピストンロッドの内方端部には、ピ
    ストンロッドの引出し時に前記ロッド受けに当接してピ
    ストンロッドの最大引出し位置を規制するストッパであ
    って、前記当接時における衝撃音の発生を防止し、前記
    エアシリンダに潤滑性を付与し、エアシリンダ内の防塵
    性を確保するように形成されているストッパが設けられ
    ていることを特徴とする請求項4に記載の自動閉鎖引き
    戸用エアダンパ。
  6. 【請求項6】 前記吸着片は、金具と、この金具の前記
    磁石との当接部の少なくとも1部を覆うように一体成型
    した弾性部材とにより形成されていることを特徴とする
    請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の自動閉鎖
    引き戸用エアダンパ。
  7. 【請求項7】 常に閉鎖方向の力を付与されている自動
    閉鎖引き戸と、この自動閉鎖引き戸と戸枠とのいずれか
    一方に取付けたエアシリンダと、このエアシリンダのピ
    ストンロッドの先端に取付けた吸着片または磁石と、こ
    の吸着片または磁石と対応させて前記自動閉鎖引き戸と
    戸枠とのいずれか一方に取付けた吸着片または磁石とを
    有する自動閉鎖引き戸用エアダンパにおいて、前記吸着
    片は金具と、この金具の前記磁石との当接部の少なくと
    も1部を覆うように一体成型した弾性部材とにより形成
    されていることを特徴とする自動閉鎖引き戸用エアダン
    パ。
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