JP2930710B2 - 偏光強度差分散乱を使用する粒子寸法分析 - Google Patents

偏光強度差分散乱を使用する粒子寸法分析

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 本発明は一般的には粒子の寸法を測定する装置に関す
るものであり特に偏光強度差分散乱を使用するサブミク
ロンおよびミクロン粒子寸法分布の高分解能測定を行う
ための装置および方法に関する。
光の散乱を使用することによりサンプル中の粒子の寸
法分布および寸法を測定する種々の従来技術がある。一
般的には、たとえば、液体またはガスフロー流れにおけ
る個々の粒子の寸法を測定するために、粒子を包含する
サンプル流れは一定の光源により照射されそして各粒子
により散乱された光の強度が検出される。
粒子は粒子寸法に関係した量だけ光を散乱する。一般
に大きな粒子は小さな粒子よりも多くの光を散乱する。
散乱量と粒子寸法との間の関係は、理論的な計算によっ
てもまた較正プロセスを通じてのいずれによっても決定
できる。ある時間での単一の粒子について、この関係の
知識を用い、検出された散乱光強度は粒子寸法の直接測
定を与える。
サンプル中の粒子寸法分布は、散乱光検出装置を通じ
て、サンプル中のまたはサンプルの一部のそれぞれの粒
子を個々に通過することにより且つ種々の粒子寸法を表
に表わすことにより決定できる。実際上、この方法は一
般に0.5ミクロンよりも大きな粒子に制限されてしま
う。また、粒子は個々に与えられねばならず且つ個々に
検出されねばならないので、この方法は比較的緩慢であ
る。この技術は従来技術において光学的粒子計数と呼ば
れる。
光散乱による粒子の寸法分類ないし定寸の別の従来技
術が静的光散乱ないし「古典的」光散乱と呼ばれる。こ
の方法は、寸法分類が行われるべき粒子を包含するサン
プルの照射とその後の予め決められた種々の角度での散
乱光の強度測定に基くものである。粒子からの散乱光の
強度は、粒子の寸法、入射光の波長および入射光に対し
て散乱光が集められる角度の関数である。散乱光強度の
角度依存性に基くこの粒子寸法分類方法は、ある粒子群
の寸法分布を決定するのに使用できる。
詳述すると、約1ミクロンよりも大きな粒子につい
て、近前方方向の散乱はフラウンホーファ回折理論によ
り良好に説明される。フラウンホーファ原理はレンズの
焦点面での散乱光の角度分布を与える。直径dを有する
所与の粒子について、角度方向uでの散乱光強度は、 Iau=k1[(]d2)/4]2[2J1(k2du)/(k2du)]2 (ここで、k1は定数でありk2は]gであり、φJ(k2d
u)/はベッセル関数である)により与えられる。
たいていの従来のレーザ回折装置がそれに基くところ
のフラウンホーファ理論は小さな粒子は光を大きな角度
で回折するが大きな粒子は光を小さな角度で回折するこ
とを示す。それゆえ、所与のサンプルによる単色光ビー
ムの散乱により生ずる複合回折パターンを分析しそして
所定の角度に散乱される光の強度を測定することによ
り、サンプルの粒子の寸法分布を推定可能である。この
原理はレーザ回折方法および装置で広範に使用されてい
る。
以下の米国特許は粒子寸法測定のためのレーザ回折装
置の例を開示している。
3、646、652 ボルら 3、758、787 シグリスト 3、809、478 タルボット 3、873、206 ウイルコック 4、017、186 シェーファら 4、037、965 ワイス 4、052、600 ベルサイマー 4、099、875 マクマホーンら 4、167、335 ウイリアムズ 4、274、741 コルニロート 4、286、876 ホッグら 4、341、471 ホッグら 4、541、719 ワイアット 4、595、291 タツノ 4、648、715 フォード・ジュニアら 4、676、641 ボット 4、679、939 カリー 上記米国特許に開示の装置の中で或る従来装置は単一
光軸系を使用し、入射ビーム軸線から約0.03〜30.00°
の範囲の前方散乱光を集光しそして散乱光を15〜50個の
個別の検出器セルに導き、それによりそれぞれの検出器
セルは特定の散乱角度で粒子から散乱された光により照
射されるために、単一のレンズまたは同様の光軸に沿っ
て配置された複数のレンズから成るアッセンブリから構
成可能である。
他の従来装置は種々の光軸に沿って配置され、ファイ
バオプチックまたはその他の光学結合部材を通じて単一
の光検出器へ光学的に接続された複数の集光レンズを使
用する。
粒子寸法分析を行うための典型的な従来のレーザ回折
機器110の形態が第1図に図示されている。レーザ112か
らのビームは、サンプル中の多数の粒子を覆い且つビー
ムの拡がりを減ずるために、従来のビームエクスパンダ
ーアッセンブリ114により拡張される。この平行ビーム
は順次、標準的にはサンプルホルダー118に包含された
分散体であるサンプル116を通過する。サンプル116は、
もしサンプルが懸濁体またはエマルジョンであれば、再
循環系でレーザビームのパスを通じて揺動またはポンプ
作動せられ、サンプルが乾燥粉末または噴霧物であれ
ば、そこを通じて飛散または噴霧せられる。近前方角度
に散乱された光122はフーリエ変換レンズ構成体120によ
り集光され且つレーザビームパスの中の所与の粒子の位
置がその粒子により回折された光が検出器124に当る場
所に影響を与えないように配置されたマルチセル検出器
124の方へ導かれる。
検出器124の個別の検出セグメントまたはセルが、入
射ビームに対して種々の角度で散乱された光の強度を感
知する。この強度分布ないしプロフィール(profile)
はディジタルプロセッシング要素がレーザビームを通過
する粒子の寸法分布を決定するコンピュータ126へ提供
できる。コンピュータ126はキーボード128からの入力に
より制御でき且つ表示ユニット130およびプリンタ132を
通じてデータ出力を提供できる。
回折型粒子寸法測定機器が、大きな寸法分布すなわち
広範な寸法範囲を有する塵埃や顔料粒子等のサンプル物
質を測定するために広く使用されている。大きな粒子は
光を入射ビーム軸線に対して小さな角度で散乱しまた小
さな粒子は光を大きな角度で散乱するので、散乱光検出
を使用する粒子寸法測定装置は、広範な範囲の散乱角度
にわたり散乱光強度を測定できなければならない。さら
に、大きな粒子は光を小さな角度で散乱しそれでそれら
の寸法の比較的大きな変化は散乱角度の小さな変化しか
生じないので、比較的高い分解能で小さな角度で散乱さ
れた光を測定することは利益があろう。
これら2つの要求は第1図に図示されたレンズ系など
の単一フーリエ変換レンズまたはレンズ系で相反する要
求を課す。従来の回折機器における結論は大きな角度、
小さな角度またはその両方での妥協した性能である。
約20〜60°の限定された範囲の測定角度が、単一フー
リエレンズおよび複数の検出器を使用する粒子寸法測定
のための従来の回折装置で実現できる。代替え的に、広
範な範囲の測定角度が、角度測定範囲内の散漫な帯域と
ともに、それぞれの検出器が単一のレンズまたは開口系
と結合され散乱角度を画定する複数の検出器で実現で
き、また単一の検出器を種々の散乱角度に対して逐次に
移動することにより実現できる。これらの方法のそれぞ
れが従来装置で実施されておりそしてそれぞれが重大な
制約を有する。
詳述すると、単一軸線光学系が広範な角度範囲にわた
り散乱光を集めるのに使用されるとき、光軸近傍の低角
度散乱光の圧縮という犠牲を払って、短焦点距離系が広
範な角度検出を提供でき、その際、検出はレーザ過剰漏
洩(スピルオーバー)により不明確とされ得るしまた有
限な寸法の検出セグメントによって分解不可能とされ得
る。
種々の試みが長焦点距離のレンズを使用することによ
りこれらの欠点を克服するために行われるとき特に高角
度の散乱光の測定において別の問題が生ずる。詳述すれ
ば、光軸からの高角度検出器の長手変位は大寸法を要求
し、厄介な機器包装を生ずる。光軸からの検出器の必要
な変位(R)は約、 R=[FL]tan[θ] (ここで、[FL]はレンズの焦点距離であり、[θ]は
サンプルセルにおける散乱角である)である。
加えて、この種の装置は大きな角度で散乱される光を
集光するために大きな直径のレンズを必要としよう。そ
れにより、球面収差と非点収差とが増大し且つ高角度検
出器の位置決めが複雑になる。
単一の検出器を種々の散乱角度に対して連続的に移動
するための部材を利用する装置は標準的には低角度分解
能、長測定時間および機械的複雑さによって制限を受け
る。
それゆえ、本発明の目的は、広範な角度範囲にわたり
散乱光測定が可能な散乱光測定に基く粒子寸法分析方法
および装置を提供することである。
本発明の別の目的は、低散乱角度での高角度分解能と
ともに粒子寸法を測定する方法および装置を提供するこ
とである。
本発明のさらに別の目的は小型で機械的に信頼できる
粒子寸法分析装置を提供することである。
さらに、回折装置が0.1〜0.4μmの寸法範囲の粒子を
測定するのに使用できるけれども、この寸法状況におけ
る従来の方法の分解能は貧弱である。分解能の低下は照
射光の波長よりも小さいかまたはほぼ同程度の寸法であ
る全ての粒子の散乱光の角度パターンの類似性の結果で
ある。この寸法範囲の全粒子の角度散乱パターンは近似
しているので、従来の方法はこの寸法範囲の粒子を確実
に区別することができない。
この寸法範囲の粒子の寸法を測定する別の方法が、種
々の偏光状態の光の小粒子による散乱を含む現象に基
く。入射光の波長よりも小さい粒子について、探索ビー
ムの方向に対して90°の散乱に関し、散乱面に平行な偏
光状態を有する光成分は、散乱面に対し平行に偏向した
光ほどには有効に散乱されない。散乱面はここでは入射
光ビームと、検出器をサンプルの被照射部分へ結ぶライ
ンとを包含する面と定義される。
第8図の強度対角度のプロット図により図示されるこ
の現象は光の横性質に基く。詳細にいえば、光ビームを
構成する電界振動および磁界振動は光ビームの伝搬方向
に対して垂直な方向に振動している。
散乱面に対して垂直に偏向した光の第1成分および散
乱面に対して平行に偏向した光の第2成分について、90
°散乱光の観察された強度差はここでは偏光強度差分散
乱(PIDS、polarization intensity differential scat
tering)と呼ばれる。偏光強度差分散乱は0.1〜0.4μm
の寸法範囲の粒子の寸法を測定するのに使用されており
そして第9図を参照して説明できる。
第9図のグラフ図の横座標は、光の波長により標準化
された粒子径を表わす。詳述すれば、横座標は従来から
アルファ(α)と呼ばれ、 α=pi*d/λ (ここで、dは粒子径であり、そしてλは粒子を包囲す
る媒体における入射光波長である)により与えられる。
グラフ図の縦座標は、粒子の単位マスあたりの光検出さ
れたPIDS(偏光強度差分散乱)信号を表わす。
PIDS=Iperpen90−Ipara90 により与えられるPIDS信号は散乱面に対して垂直(perp
endicular)および平行(parallel)に偏向された入射
光についての90°における散乱強度間の標準化されてい
ない差分である。
すべての散乱現象は単なる寸法ではなく光の波長に対
する粒子寸法の比に依存するので波長標準化された径
(α)が横座標で使用されている。こうして第9図の実
線は、たとえば、波長が600nmの光で100ないし1000nmの
寸法範囲または波長が1200nmの光で200ないし2000nmの
寸法範囲の粒子における偏光強度差分散乱を表わすこと
ができる。
第9図のグラフ図の左側の大きなピークは、αが2以
下の粒子のPIDS信号は偏光強度差分散乱の最も重大なソ
ース(源)であることを示す。これは、この偏光強度差
分散乱が、入射光の波長の約2/3よりも小さな粒子に対
して主として感応することを意味する。もし、一連の偏
光強度差分散乱測定がそれぞれ異なる入射光波長の光で
行われたならば、粒子寸法分布のヒストグラムないし度
数分布が以下のようにして発生できよう。たとえば300n
mでの最短波長偏光強度差分散乱測定は約200nm以下の粒
子の量ないしマスを大略測定しよう。次の測定はλが60
0nmで行えよう。この測定は約400nmよりも小さい粒子に
対して感応しよう。2番目の偏光強度差分散乱測定値か
ら1番目の測定値を差し引くことにより、200〜400nmの
範囲の粒子の量が認定できよう。3番目の偏光強度差分
散乱測定は900nmで行えよう。3番目の測定値から2番
目の測定値を差し引くことにより、400〜600nmの寸法範
囲の粒子の量が認定されよう。
この方法は、適当な波長の光源が得られる限り、より
大きな寸法またはより小さな寸法の方へどこまでも拡張
できよう。しかも、実際上、従来の回折測定が約1μm
以上での粒子寸法分類により適当でありそして石英およ
びシリカによる紫外光の吸収は波長の低帯域終点を約15
0nmに制限する。
しかし、この従来の偏光強度差分散乱測定技術は、分
解能および正確さに関係したいくつかの重大な欠陥を有
する。上述したような測定において、いずれの波長での
偏光強度差分散乱値もほとんど独占的に一定寸法以下の
粒子に対して感応することが従来から想定されている。
しかし、第9図の右側の方の副次的なより小さいピーク
は、従来の偏光強度差分散乱測定は或る寸法範囲にまた
がる粒子に対する相当な応答をもつことを示している。
こうして、たとえば300nmの波長での偏光強度差分散乱
測定は実際には、第9図に示されるように種々の大粒子
に対する感応性の変化に伴って、200nm以上の寸法の粒
子のマスの相当な部分に感応する。この識別力ないし弁
別力の不足は、従来の偏光強度差分散乱測定が重大な人
為的作用および不正確さを受けることを意味する。
偏光強度差分散乱測定の識別力を評価するための有用
な「示性数」(figure−or−merit,FOM)が単に1番目
のピークと連続した(標準的には5個までの)より小さ
な共鳴ピークの下の面積とを加えた全体の面積に対する
主ピーク(小さなα値)における曲線の下の面積の比で
ある。この示性数は、所望でない粒子を含む全ての粒子
への感応性に対する所望の粒子への感応性の比を表わ
す。示性数1が理想であろうし示性数0は方法は何らの
粒子寸法識別力をも持たないことを意味しよう。第9図
から分かるように、第9図の従来からの偏光強度差分散
乱測定の示性数は約0.3であり、低い寸法識別力値を指
示する。
こうして本発明の他の目的は、粒子寸法識別力が改善
された偏光強度差分散乱装置および方法を提供すること
である。
本発明の他の包括的および特定の目的は以後一部明か
となりそして現われてこよう。
発明の要約 上述の目的は、 或る選択された波長を有し且つ少くとも散乱面に対し
て平行に偏向した第1の成分と散乱面に対して垂直に偏
向した第2の成分とを含む少くとも一つの探索光ビーム
で、探索軸線に沿ってサンプルセル中の浮遊ないし懸濁
粒子を照射するための偏光強度差分散乱方法および装置
を提供する本発明により実現される。本発明は2つまた
はそれ以上の選択された散乱角度での散乱面における浮
遊粒子による散乱光を検出するための光検出方法および
装置を包含する。
本発明の一様相は、第1の探索成分に対応した散乱光
の強度を表わす第1の強度信号を発生するための光検出
器要素と、第2の探索成分に対応した散乱光の強度を表
わす第2の強度信号を発生するための要素とを含む。信
号は、差分信号の選択された算術変換を実行しサンプル
セル中の粒子寸法分布を表わす結果信号を発生する強度
差分処理要素により処理される。
本発明は、探索軸線に関し約90°にほぼ中心が置かれ
た角度位置に配置される光検出器配列体を備えることが
できる。
以下、本発明を一定の図示された実施例との関係で説
明する。しかし、請求の範囲または思想から逸脱するこ
となく種々の修正、付加ならびに削除を行うことができ
ることは当業者には明かであるはずである。
図面の簡単な説明 本発明の性質および目的のより良き理解のために、以
下の詳細な説明および添付の図面が参照されるべきであ
る。ここに、 第1図は粒子寸法分析を行うための従来のレーザ回折
装置を図示する模式図である。
第2図は本発明による粒子寸法分析装置を図示する。
第3図は第2図の装置との関係で使用される光検出器
配列体の一実施例を図示する模式図である。
第4図は第2図の装置で使用できる光検出器の他の実
施例を図示する。
第5図は本発明の関係で使用される光検出器の一例を
図示する。
第6図は本発明に従って使用されるレンズ構成を図示
する模式図である。
第7図は、選択された光軸変位を利用する本発明の実
施を図示する。
第8図および第9図はそれぞれ測定強度対角度ならび
に粒子径のグラフ図である。
第10図は、種々の角度で測定された種々の寸法の粒子
についての偏光強度差分散乱値を図示する。
第11図は本発明に従って構成した偏光強度差分散乱測
定装置を図示する。
第12A図および第12B図は、第11図の実施例で使用され
るプロジェクターモジュール210を図示する。
好ましい実施例の説明 第2A図は流体6の中に浮遊しそしてサンプルセル8に
包含される粒子4の寸法分布を測定するために、本発明
に従って構成された粒子寸法分析装置2を図示する。従
来の工学的実施によれば、サンプルセル8の壁部10は、
光の探索ビーム12を受け入れるために、ガラスまたはプ
ラスチックなどの透過性材料から構成できる。ビーム12
は、知られている設計および構成のレーザ、空間フィル
ターおよびコリメーター14を備えた従来の光源により発
生された単色光の実質的に平行なビームとすることがで
きる。ビーム12はサンプルセル8の壁部10を通じ、ここ
で分析されるべき粒子4は、ビーム12の軸線に対して種
々の角度で光16の一部を散乱する。上述したように、散
乱光の振幅および角度は一部、粒子径の関数である。
「散乱角度」という用語は、ここに定義されるよう
に、探索ビームの伝搬方向とサンプル空間から散乱され
る光の伝搬方向との間の角度を意味する。詳述すれば、
散乱光の所与の部分が角度θだけ探索ビームの伝搬方向
から発散する。
ビーム12の非散乱部分18はサンプルセル8から退出し
そしてここで集合的に下側光学列3と呼ばれる一組の光
学要素へ向かう。非散乱ビーム18は、光検出器配列体22
により画定される焦点面20の上の鏡部材32の一点にビー
ム18を集光する下側集光レンズ17を通じて伝送される。
レンズ17は知られる工学的実施に従って構成される従来
のフーリエレンズとすることができる。
焦点面20が第2A図で指示される円周方向の破線に対し
て実質的に接触するようサンプルセル8の方へ傾斜でき
る。焦点面20は第3図〜第5図との関係で以下に詳述す
るこれと関連付けられた光検出器配列体22および24を有
する。本発明によれば、焦点面20が、レンズ17と焦点面
20との間の距離がレンズ17の焦点距離に等しいよう位置
決めされる。
サンプルセル8の粒子4により散乱された光16の一部
もまたレンズ17を通過しそして焦点面20の方へ向かう。
当業者であれば、レンズ17と焦点面20との間の距離がレ
ンズ17の焦点距離に等しくなるよう焦点面20が位置決め
されるとき、サンプルセル8のいずれの場所であれ、ビ
ーム12の入射軸線に対して角度θ2で散乱された光は焦
点面20の同様の点に26にほぼ当ることを理解するであろ
う。これは第2A図で例示の光線28および30により図示さ
れている。
結果的に、焦点面20の各場所はサンプルセル8のビー
ム12の入射軸線に対して単一の一意に決まる角度にて散
乱された光を受光する。焦点面20の個別の小さな場所で
の光強度を測定することにより、サンプルセル8の粒子
4により散乱された光の強度/角度分布ないしプロフィ
ールが決定できる。この強度/角度プロフィールに基い
て、サンプルセル8の近似的な粒子寸法分布を認定する
ために、フラウンホーファまたはミー散乱などの従来の
光散乱理論が順次応用される。
焦点面20が前方または後方に変位されれば、レンズ17
と面20との間の角度写像関係はもはや当てはまらない。
射線28および30などの同じ角度で散乱された射線はもは
や面20の同じ点に正確には当らず、それゆえ、単一の検
出器地点26が種々の角度からの混合光を集光し、それに
より粒子寸法分布の不正確な測定評価を与える。
第2A図を再び参照すると、サンプルセル8でより高角
度で散乱された光が、第2A図で参照番号50により集合的
に指示されたここでは上側光学列と呼ばれる別の一組の
光学要素へ向かう。例示の射線θ5およびθ6により示
される含まれる光は集光レンズ52を通り別の検出面54へ
送られる。この検出面54は、下側光学列において面20が
そのそれぞれの集光レンズ17に関係付けられるのと同様
の態様で、集光レンズ52に関係付けられる。詳細にいえ
ば、検出面54はレンズ52の焦点距離に等しい距離だけ集
光レンズ52から変位している。検出面54は平らではなく
ほぼ球状であることが好ましい。
第2A図の実施例では、上側光学列に入射する散乱光θ
5の最小角度は、θ4に対応する角度よりもわずかに小
さくでき、また光学列に入射する散乱光θ6の最大角度
は数倍大きくできる。こうして、光学列50は、下側光学
列が集めるよりもより広範囲に角度にわたり高角度散乱
光を集める。さらに、最小角度θ5は、下側光学列3に
より測定される最大角度θ4よりも小さいので、両方の
光学列は、ビーム12が画定する入射軸線に関して同様の
角度で散乱される光の一定部分を測定する。ここで、散
乱光の第1の部分が、当該第1の部分が第2の部分のそ
れと同様の大きさの角度だけ探索ビームから発散すると
き、それゆえ、探索ビームの軸線および第2の部分によ
り画定される面にあるとき、当該第2の部分と「同様
の」または「匹敵し得る」散乱角度を持つと定義され
る。上側および下側光学列の重複する角度範囲は、図示
の装置が、θ1ないしθ6の間の角度範囲で、連続的で
途切れのない強度/角度プロフィールを測定するのを可
能にする。
集光レンズの52の焦点距離は、たとえば、118ミリメ
ートルとすることができ、一方、集光レンズ17のそれ
は、2.5倍または293ミリメートルとすることができる。
結果的に、検出面54は、面20のそれよりも、そのそれぞ
れのレンズに2.5倍接近し、それゆえ、θ5〜θ6の光
散乱は、検出面54の方向に、面20の方向と比較して2.5
の因子だけ圧縮される。これらの値は単に例として与え
たものであり他の光学的な値が本発明にしたがって使用
できる。
散乱光を集め且つこの光を検出器配列体へ導くために
2つの光学路を使用する「双眼の」光学構成との関係で
本発明を叙述した。当業者であれば、本発明は、大きな
角度にわたる測定および小角度での高い分解能という利
益を提供する、より多数の光学路を利用する装置との関
係で、有利に実施できることを理解するであろう。
さらに、本発明は、一定の従来の光検出器を含む種々
の光検出器配列体形態とともに実施できる。しかし、本
発明の好ましい実施によれば、第3図に図示されている
ような低角度光検出器が利用される。面20はこれに関連
付けられた中央鏡部材32と2つのシリコン検出器配列体
22および24を有する。内側検出器22は、実質的に環状形
態である62個の個別のシリコンセクタを備えることがで
きる単結晶シリコン構造体である。第3図に図示されて
いるように、これらのセクタは、光源がそこに焦点を結
ぶところの場所を画定する中央鏡32から外側に放射状に
伸びるよう配置される。
最も内側のセクタ42はビーム12に対して小角度で散乱
された光を測定し、外側のセクタ44は大きな角度で散乱
された光を測定する。最も内側のセクタ42は、光ビーム
による余剰漏洩場所のわずかに外側に配置できる。この
余剰漏洩はこの分野でよく知られている効果であり、光
学部材の小さな欠陥から生ずる。本発明の好ましい実施
において、セクタ42が、最適な分解能を実現するため
に、製造上の実施で許される程度の大きさに構成され
る。かくして、セクタ42の半径方向の幅は、たとえば、
約15ミクロンとすることができ、セクタ42の弧の長さは
約50ミクロンとすることができる。図示の実施例におい
て、検出器セクタは、半径方向の幅および弧の長さが漸
次に増加し、セクタの面積の指数関数的な増加を提供す
る。
好ましくは、鏡32の近傍のセクタは、散乱光の小さな
重複した角度範囲を測定するよう、準対称的に配置でき
る。鏡32から遠方で、セクタは匹敵し得る角度の散乱光
を測定するために対称配置できる。加えて、「テール
(尾)」と呼ばれる単一列のセクタ44は、漸次高い角度
で散乱された光を測定する。たとえば、第2A図に図示の
実施例では、検出器22の軸線A−A(第3図)は、上側
に延長する「尾状」セクタ44とともに垂直方向に配向で
きる。
さらに、第2A図に図示の実施例において、別の検出器
配列体24が検出器22の下方で垂直軸線上に配置できる。
この配列体24は、検出器22が測定するよりも、入射ビー
ム12に対してより高角度で散乱された光を測定する。詳
述すると、検出器22は、θ1とθ2との間で散乱された
ものを測定し、検出器24はθ3とθ4との間を測定す
る。
この配向は、検出器配列体22および24の正面図を提供
する第4図にさらに図示されている。第4図はさらに、
検出器配列体24は2つの単結晶の直線性シリコン配列体
のアッセンブリであることを図示する。検出器配列体24
は、たとえば、各々が1.58ミリメートル長さで1.22ミリ
メートル幅の16個のセクタを備えることができる。検出
器アッセンブリがそれから構成されるところの配列体に
は、部品番号A2V−16として販売されているユナイテッ
ド・ディテクタ・テクノロジ製造の従来の検出器要素が
含まれる。
第4図に図示されているような本発明の一実施例にお
いて、中央鏡32の一側で外側に延長する尾状セクタ44を
有する検出器配列体22は非対称である。この形態は、検
出器24の内側セクタ46が、鏡32という光学中心近傍に配
置されるようにし且つ検出器配列体24の最も内側のセク
タ46が、検出器22の最も外側の尾状セクタ44により測定
される角度、すなわちθ2、に匹敵し得るθ3近傍の角
度で散乱された光を測定するのを可能にする。セクタ44
および46の光学的な重複は、粒子寸法分析装置が、θ1
ないしθ4の連続的な途切れのない強度プロフィールを
測定するのを可能にする。
この検出器設計によれば、面積が指数関数的に増加す
る第1のセクタの使用と直線的に増加するかまたは一定
面積のその他のセクタの使用は、セクタ信号を処理する
のに使用される関連の信号増幅器と信号変換電子回路系
に必要とされるダイナミックレンジを減ずる。これらの
信号は標準的に広範なダイナミックレンジを有し、それ
ゆえ従来から信号処理電子回路系の設計に重大な困難性
を課していた。
詳述すれば、小角度で大粒子から散乱された光に関心
がある場合、観察される光強度は角度と共に急激に減ず
る。この領域において、指数関数的に増加するセクタは
同様の桁の大きさの信号を生ずる傾向があり、こうして
引き続く電子処理動作を簡単にする。高角度では、観察
される光強度は、実質的により直線的な態様で減少す
る。したがって、この領域において、面積が直線的に増
加するかまたは一定の面積を有するセクタが、同様の桁
の大きさの信号を生ずる傾向があり、先と同様に必要な
ダイナミックレンジを減ずる。
加えて、さらに高い散乱角度では、大きな分解能を提
供するために直線性検出器が観察される。小粒子に関連
付けられた結果的に改善されるスペクトルの詳細が、粒
子寸法が探索光の波長に接近する時に生ずる複雑なミー
散乱効果に関連した特異性を定量化するのに利益があ
る。
本発明による検出器の幾何学的配置により、こうして
測定のダイナミックレンジの改善および分解能の改善が
可能であり、関連の信号処理電子回路系に必要とされる
ダイナミックレンジを減ずる。
第4B図に図示されているような本発明の別の好ましい
実施例において、検出器配列体22および24は、検出器セ
クタの前方面を面20に接近した状態に維持するために、
集光レンズ17に向かって内側に傾斜される。面20は好ま
しくは、集光レンズ17の最も良好な焦点面に対応する実
質的に球形の面である。検出器のセクタの能動ないしア
クティブ面をこの面20にまたはその近傍に位置決めする
ことは、焦点合せを最高限度に到達させ、それゆえ、各
セクタ面で種々の角度で散乱された光の混合をできるだ
け最小にし、それにより測定精度を高める。
検出面54に対応する上側光学列検出器配列体56は、第
5A図および第5B図に図示されている。詳述すると、第5B
図は、検出器配列体56は、検出面54の球形性とより良好
に整合するために、集光レンズ52の光軸58の方へ傾斜さ
れている。検出器配列体56は、第4図との関係で上述し
たような2つのユナイテッド・ディテクタ・テクノロジ
部品番号A2V−16シリコン配列体を含む。これらの検出
器配列体56は、第2A図に図示されているように、θ5と
θ6との間の散乱光を測定する。
本発明の粒子寸法分析装置は、散乱光を集光するため
に種々のレンズ設計物を利用できる。第2A図に図示され
ているように、高角度集光レンズ52は、レンズに大きな
アパーチャと短焦点距離が与えられる形態の2重レンズ
とすることができる。低角度レンズ17の一つの形態が、
第2A図および第6図に図示されているような3つの側部
60を有しそして截頭形状の実質的に球形のレンズであ
る。ビーム余剰漏洩をできるだけ最小限にするために、
探索ビームはレンズの光学中心を通じて導かれる。レン
ズの側部は何らの機能をも遂行せずそれゆえ除去でき
る。さらに、上側集光レンズ52の位置決めを容易にし、
両方のレンズ17および52が所与の照射サンプル領域から
匹敵し得る散乱角度で光を集めることができるように、
レンズ17の上側部分は除去できる。
再び第2A図を参照すると、当業者であれば、上側レン
ズ52はさらに上方へ変位でき、それゆえこのレンズ52が
θ4と同程度の角度の光を集めるよう位置決めできるこ
とを理解するであろう。この程度のレンズ52の変位は、
或る匹敵し得る角度区分にわたる測定を妨げるであろう
が、θ6までの強度プロフィールの連続的な測定を提供
しよう。この形態は、さらに減ぜられる空間的要求およ
び物理的により小さな機器包装という利益を提供する。
代替え的に、レンズ17の切断は、第7図に図示されて
いるように、探索光ビーム18を、下側レンズの光学中心
ではなく、光学中心から偏倚したレンズ17の領域を通ず
るように導くことによって回避できる。この偏倚は、上
側レンズ52が、θ4よりも下で光束を集めるよう位置決
めされることを可能にし、それゆえ、強度の連続的な測
定が得られる。しかし、この代替え実施例においては、
ビーム18の焦点合せは最適ではなくなり、それゆえ、レ
ーザ過剰漏洩が増加し、かくして、低角度の感応性が減
ぜられる。
第2A図に図示されているように、本発明の好ましい実
施例において、集光レンズ17は、その平面がサンプルセ
ル8に対面して配向された「風景(landscape)」また
は平凸レンズとすることができる。平凸形のレンズは通
常、ある風景におけるそれぞれの遠方の要素から実質的
に平行な光束を集め、そしてそれぞれのことのような束
を、カメラのフィルムまたはCCD配列体などの光感応性
媒体の単一位置へ導く。本発明の粒子寸法分析装置にお
いて、関心のある光は実質的に同様の角度でサンプルセ
ル8から散乱された射線から構成され、平行光の束を形
成する。回折機器の正確さは、所与の角度で散乱された
全ての光を単一点へ集めることにより改善されるので、
本発明において平凸レンズの使用は有利である。
この平凸レンズの使用は従来の工学的実施とは反対で
ある。たとえば写真装置等の従来の画像装置において
は、対象物からレンズへの距離はレンズと像との間の距
離よりも非常に大きくそれゆえ、レンズ平面を像方向に
向けることにより鮮明な像が生成される。もし平凸レン
ズが、回折機器においてこの従来の配向で使用されれ
ば、すなわち、平面を検出器に対面させると、収差によ
る角度「ぶれないしぼけ」は許容できないであろう。従
来の回折機器の設計者は、それゆえ平凸レンズはこのよ
うな機器では有用性が制限されていると結論しそしてそ
の代わりとして、十分に鋭い角度分解能を得るために高
価なアクマートレンズを利用している。
しかし、我々は、従来の配向の平凸レンズとは逆の配
向で適当な平凸レンズを位置決めすることにより、アク
ロマートで実現できる角度分解能とほぼ同じ角度分解能
が安価な平凸レンズで実現できることを見出した。この
予期しない効果は平凸レンズがここでは従来採用されて
いたような像形成のためでない異なる目的のためにすな
わち回折機器におけるフーリエレンズとして応用されて
いるので生ずる。
それゆえ、本発明によれば、球面収差および非点収差
ができるだけ最小とされるよう、平凸レンズはその平面
がサンプル領域に対面して配向できそしてサンプル領域
から十分遠方に離間される。第2A図に図示の形態は、で
きるだけ最小の湾曲収差(field curvature)と非点収
差とを、それゆえできるだけ最大限の分解能を提供する
レンズ17とサンプルセル8との組合せを提供する。
粒子寸法分析に使用される従来の一定のレーザ回折装
置の一つの欠陥は外部光の妨害による分解能の低下であ
る。かくして、本発明の好ましい実施例では、光補足ま
たは「ビームダンプ」モジュールを利用する。第2A図お
よび第2B図を参照すると、探索光ビーム18は鏡32へ導く
ことができそして光捕捉手段34へ反射できる。第2B図に
図示されているように、光捕捉手段34は、たとえばガラ
スなどの(暗)材料36でできた2つの収束部材および好
ましくは反射ビーム18′のパワーをモニターするための
光検出器38から構成できる。ガラス36の収束角は、ビー
ム18′が、面20の方へ再度射出する前に約7回の反射を
行う角度である約9°とすることができる。ガラスは光
学的にコートされるので、それぞれの反射は、再射出ビ
ーム40の強度を約102の因子だけ減ずる。それゆえ、7
回の反射は1014だけ射出ビーム40のパワーを減少させ
る。それゆえ、射出ビーム40は、それが面20に戻ると
き、計ることができないほどに小さな影響しか持たな
い。
光学コートが施された暗材料ガラス36は、たとえば、
ショット・ガラス・テクノロジ社製造の3ミリメートル
厚さのNGIガラスとすることができる。この材料は伝送
光を約106の因子だけ減衰する。光捕捉手段34におい
て、ガラス36に入射する光はそれを通過し、壁部37に当
り、順次ガラス36を通じて再度射出することになり、そ
れゆえ、射出光のパワーは1012を越える因子だけ減ぜら
れる。
検出器38は、たとえば、寸法が約0.4×0.8インチの感
応面を持った商業的に入手可能なシリコン検出器とする
ことができる。このような検出器はイージー・アンド・
ジー・ヴァクテック・ディヴィジョン(EG & G Vactec
Division)により製造されている。検出器38は暗ガラ
ス部材37の一側に位置決めできる。
本発明はこうして従来の粒子寸法測定方法および装置
に優る種々の利益を提供する。上述したように、一定の
従来装置は、散乱光の広範な角度にわたる測定を提供す
るために単一光学列を使用する。これらの装置におい
て、短焦点距離系がより大きな角度までの検出を可能に
するが、光軸近傍の低角度散乱を圧縮し、その際、検出
はレーザ過剰漏洩により不鮮明とされ得または検出セグ
メントの有限寸法により分解不可能とされる。他の従来
装置は、この問題を、空間的要求の増大、大きな球面収
差および非点収差ならびに高角度検出器の位置決めにお
ける複雑さの増大という犠牲を払って、長焦点距離レン
ズを使用することによりこの問題を処理しようとする。
本発明の複数の光学通路は、小型化および光学的分解
能の改善という利益を提供する。さらに、複数のレンズ
列、たとえ同様の焦点距離であっても、経済的利益を提
供する。低角度レンズ列は、低角度分解能を減ずる過剰
漏洩および散乱をできるだけ最小限にするために高品質
とされねばならないが、高角度レンズ列はこの要求に応
じる必要はない。これは、探索光ビームは高角度レンズ
列を通過しないからである。このレンズは厳しくない公
差で製造できそれゆえ安価とし得る。
さらに、レンズ製造費用はほぼレンズ面積すなわちレ
ンズ径の2乗にほぼ比例する。単一の大径レンズを、そ
の径の約半分の径の2つのレンズに換えることは約50%
だけレンズ費用を低減できる。
これらの包括的な利益に加えて、種々の焦点距離を有
する光学列の使用は、高角度での広範な測定範囲をそし
て低角度での高分解能を可能にする。種々の屈折力の光
学列は、高分解能および低分解能測定の両方について、
共通の検出器設計体の使用を可能にし、検出器配列体の
選択におけるより大きな融通性を許容する。設計者は、
高角度での強度の急激な減衰を補償するために、指数関
数的に増大するセクタ面積を持った低角度配列体を、ま
た低角度の領域における強度の緩慢な減衰を補償するた
めに直線的に増加するかまたは一定のセクタ面積を持つ
高角度配列体を選択できる。
第2図〜第7図に関係して上述した装置は粒子測定に
おいて改善された分解能を提供するが、本発明の好まし
い実施例は、正確さと分解能におけるさらに大きな改善
を提供する新規な偏光強度差分散乱(PIDS)装置を利用
する。
我々は、偏光強度差分散乱測定の正確さと識別力と
が、従来の装置のように探索ビーム軸線に対して90°の
角度で集められる偏光強度差分散乱データを使用するだ
けでなく、90°の周囲の偏光強度差分散乱の対称性をも
使用することにより相当に改善できることを見出した。
この利益の理論的基礎は、種々の寸法の粒子、90°の両
側部で探索光の伝搬軸線に関して測られた50°の散乱角
度についての偏光強度差分散乱値を図示する第10図を参
照して説明できる。第10図から明らかなように、小粒子
(すなわち、2よりも小さいα値を有する粒子)につい
て、90°の周囲の偏光強度差分散乱のパターンは、正確
に90°にピークがあるほぼ対称的な二次曲線である。
第10図を再び参照すると、非常に小さなα値につい
て、偏光強度差分散乱パターンはほぼ同様の形状を有す
るが、小粒子は単位重量当り僅かな散乱しか発生しない
ので、ピーク振幅は小さい。粒子寸法が上(α=2)に
増加するにしたがって、偏光強度差分散乱ピークは低角
度の方へ変位し、こうして、それは依然としてほぼ対称
的ではあるが、対称中心は低角度の方へ変位する。最終
的に、より大きな粒子について、偏光強度差分散乱曲線
は、三次曲線(すなわち、低角度で大きな振幅、中間角
度で小さく、局所極大が続きそして順次高角度で減少)
に類似した形状を得る。
第9図に表示されたデータは90°で垂直線を引き、図
示の種々のα値について偏光強度差分散乱曲線の値をプ
ロットすることにより第10図から発生できよう。第9図
の小さな共鳴ピークは、第10図のように大きなα値で生
ずる局所極大が90°で整列するときに生ずることに注意
されたい。
第10図はかくして、従来の偏光強度差分散乱測定がこ
の種の測定から潜在的に入手可能な情報の小部分のみを
使用することを図示する。90°偏光強度差分散乱測定が
散乱角度の関数としての偏光強度差分散乱曲線の形状に
感応しない。さらに、曲線にピークが、αが約2から増
加するに応じて、低角度の方へ変位するに応じて、90°
偏光強度差分散乱測定は偏光強度差分散乱はオフピーク
を測定する。大寸法粒子により生ずるピークシフトに固
有の粒子寸法を記述する情報は90°偏光強度差分散乱測
定によって感知されない。
90°の周囲の種々の角度で偏光強度差分散乱を測定す
ることにより、90°の周囲で非対称となるピークにより
明示されるピーク位置の変位について情報が得られる。
偏光強度差分散乱曲線が、α値がさらに増大するに応じ
てその三次ないし立体特性を増大するにしたがって、こ
の別の情報は、以下で詳細に説明するように、適宜配置
された検出器で検出できる。
約40°〜140°間の角度で偏光強度差分散乱値を測定
する複数の光検出器により得られる対称情報は、それで
本発明が種々の寸法の粒子を区別できるところの識別力
を増加させる。
詳述すると、本発明は、第11図に図示されている実施
例において、選択可能な複数の波長のうちの一つおよび
偏光の組合せにより特長づけられるコリメートされた光
ビーム212を発生するプロジェクター部材210を含む偏光
強度差分散乱モジュール2′を備える。たとえば、光ビ
ーム212は、それぞれ散乱面に対して垂直または平行の
いずれにも偏光される3つの波長の光のいずれをも有す
ることができる。偏光強度差分散乱装置はまた測定され
る粒子の流れを含むサンプルセル8′及び検出モジュー
ル214を備えることができる。
第11図を再び参照すると、検出器モジュール214は、
選択された散乱角度で散乱光を測定するために例えばホ
トダイオードとすることができる複数の光検出器要素20
1〜205と、入射ビームの軸線に対して約0°でプロジェ
クタビームの振幅をモニターするための別の検出器206
を備えることができる。図示の実施例では、光検出器20
1〜205は、それぞれ検出器201〜205へ散乱光を受け入れ
るためにピンホールアパーチャ207〜209、211及び213を
備えたブラケット部材219に装着されている。5つのホ
トダイオード201〜205は散乱光を検出するために使用さ
れそして6番目の検出器はプロジェクタビーム212′を
モニターするのに使用される。当業者であれば、より多
くのまたは少ない数の光検出部材が使用できることを理
解しよう。
偏光強度差分散乱測定値を発生する際に、測定される
粒子は、たとえば約1.5リットルの液体を含むサンプル
系を形成するよう例えば水のような適当な液体に懸濁さ
れる。このサンプル系は、各10〜30秒の時間中、1.5リ
ットルの粒子を包含する液体のすべてまたはその相当な
部分が、散乱光測定が行われるサンプルセル8′を通過
するように選択できるあるポンプ輸送割合で、サンプル
セル8′を通じて連続的にポンプ輸送される。
偏光強度差分散乱測定は、選択された波長/偏光組合
せの光を、サンプルセルを通じて逐次に投射しそして光
の選択される各形態による散乱光の平均強度を測定する
ことにより行われる。光はそれぞれの散乱光検出器201
〜205で測定される。一実施例において、光のそれぞれ
の6つの波長/偏光組合せごとに、散乱光は10ないし30
秒の時間で測定される。こうして、1.5リットルのサン
プル系の粒子のほとんどのものが、投射光のそれぞれの
様相で感知される。
種々の波長/偏光組合せを発生するためのプロジェク
タモジュール210の詳細が第12A図及び第12B図に与えら
れている。プロジェクタモジュール210は、タングステ
ンハロゲン要素とすることができる従来の光源220を使
用する。光源220の出力は、コンデンサーレンズアッセ
ンブリ222により集光されそしてピンホール224を通過す
る。光ビームは順次従来のバンドパスフィルター226、
偏光子228およびフィルターホイール230により変調され
る。偏光子229およびフィルターホイール230の配向は、
変化する偏光出力およびフィルタ出力を提供するよう、
知られる工学的実施に従って選択できる。プロジェクシ
ョンレンズ232が偏光されろ波された光を集めかつそれ
をサンプル領域234の方へ導く。
第11図を再び参照すると、従来のマイクロプロセッサ
または計算装置126が、検出器206およびプロジェクタモ
ジュール210からの情報と一緒に検出器201〜205により
測定された平均散乱光強度を処理でき、粒子寸法分布デ
ータを発生する。本発明の一実施例において、光の各波
長ごとに、散乱面に対して平行に偏光した入射光から生
ずる平均散乱強度は散乱面に対して垂直に偏光した入射
光から生ずるそれから差し引くことができる。差引は、
以下の表現により記述されるように、5つの検出器のそ
れぞれの検出器ごとに行われる。
I(λ、θ−i)= I(λ、θ−i、perpen)−I(λ、θ−i、para) (ここで、i=1、5は、約90°にほぼ中心がある角度
範囲における5つの選択された散乱角度で配置された5
つの検出器201ないし205を示し、λは入射光の波長であ
り、θは従来の工学上の慣用にしたがって定義されてい
る散乱角度である)。I(…)項は種々の平均散乱強度
を示す。本発明によれば、関数I(λ−j、θ)は各波
長λ−jごとに発生される。ビーム強度モニター光検出
器206(第11図)は、入射ビーム強度の変化に対して上
記信号を標準化するのに使用される。
我々は、θ=90°の周囲の3つのI(λ−j、θ)項
の対称性は、λにほぼ等しい径を持つ粒子についての粒
子寸法に特長的なものであることを見出した(第10図参
照)。詳述すると、ある粒子寸法分布が、測定されたI
(λ−j、θ)のパターンと、所望の範囲の種々の寸法
の粒子について計算されたI(λ−j、θ)のパターン
とのマッチングを行うことにより、3つの項 I(λ−j、θ)(j=1、3)から抽出できる。たと
えば、第11図に関係して上述したような装置を使用し、
知られる寸法の4つのポリスチレンラテックスのビーズ
の寸法を測定した。結果は下の表1に示されている。
これらの測定のために使用される装置は、公称波長中
心のいずれの側部に対しても約40nmの光を伝送する第12
図のフィルタホイール230などの従来のフィルタを使用
し、λ=450、600および900nmに中心がある波長の光と7
0.5、81.4、90、98.6および109.5°の散乱角度を利用で
きる。知られるパターンマッチングアルゴリズムに従っ
てプログラムされた従来のマイクロコンピュータ126
(第11図)またはそのほかの処理要素が、たとえば、20
個の寸法カテゴリでたとえば0.08ないし0.5μmの間で
幾何学的に離間した粒子の相対容量を計算できる。
当業者であれば、装置はより多くのまたは少ない光の
散乱角度および波長を使用するよう構成できることを理
解しよう。本発明の重要な性質は、サンプルセルに入射
する探索ビームに関して測定される90°の散乱角度の周
囲の偏光差分信号の対称性の評価である。対称性を測定
するためには、最小の3つの散乱角度および2つの光波
長が評価されるべきである。
本発明は、一定の従来のレーザー回折装置を含む従来
の光散乱方法に優る種々の重要な利益を有する。一つの
利益が、知られることの少ない測定粒子の屈折率に対し
て比較的に不感応であることである。本発明はさらに、
従来の偏光に依存した寸法分類方法よりも、所望される
測定範囲の外側の粒子の影響を拒絶する識別力の改善と
いう利益を有する。詳述すると、従来の偏光依存寸法分
類方法において、測定範囲の外側であるがこれに近い粒
子は、測定範囲における測定寸法分布をゆがめる。本発
明の方法は、このような特異性にたいする敏感性が非常
に低く、それゆえ、粒子寸法分析における正確さと分解
能の改善をもたらす。
本発明は、上述の記述内容から明らかにされた目的の
なかで、上記目的を効率よく達成することは明らかであ
ろう。
本発明の思想から逸脱することなく上述の構成および
上述の動作シーケンスにおいて種々の変更が可能である
ことを理解されたい。それゆえ、上述の記述内容または
添付図面に図示されたすべての事項は、限定的な意味と
してではなく例示として解釈されることを企図したもの
である。
さらに、以下の請求の範囲は、ここに開示した本発明
の包括的かつ特定の特長のすべてを包摂するよう企図さ
れたものであり、本発明の思想に含まれると思われるす
べての陳述を包含するよう企図されたものであることを
理解されたい。
本発明を開示したけれども、新規なものとして請求せ
られかつ特許により保護されるものは以下の通りであ
る。
フロントページの続き (72)発明者 ハート,ダブリュー.ハワード アメリカ合衆国 01002 マサチューセ ッツ,アマースト,ノース イースト ストリート 232 (56)参考文献 米国特許3653767(US,A) 国際公開89/286(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 15/00 - 15/14 G01N 21/00 - 21/01 G01N 21/17 - 21/61

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】サンプルセルに浮遊した粒子の寸法を測定
    する装置において、 各探索光ビームが異なる波長により特徴付けられ、かつ
    散乱面に対して平行な偏光状態を有する少なくとも第1
    の探索成分と前記散乱面に対して垂直な偏光状態を有す
    る第2の探索成分を前記各探索光ビームが有する複数の
    探索光ビームで第1の探索軸線に沿ってサンプルセルを
    照射する照射手段と、 前記各波長についてそして少なくとも2つの選択された
    散乱角度で散乱面において前記浮遊粒子により散乱され
    た光を検出し、前記各探索光ビームの前記第1の探索成
    分に対応する散乱光の強度を表す第1の強度信号を発生
    する手段と前記各探索光ビームの前記第2の探索成分に
    対応する散乱光の強度を表す第2の強度信号を発生する
    手段とを備えた複数の光検出器と、 少なくとも1つの選択された波長について、前記サンプ
    ルセルにおける粒子寸法分布を表す信号を発生するため
    に前記光検出手段に結合され、前記第1及び第2の強度
    信号の差を表す差分信号を発生するための手段を備え、
    前記差分信号の選択された算術変換を表す結果信号を発
    生するための計算手段を備えた強度差分処理手段とから
    構成された粒子寸法測定装置。
  2. 【請求項2】前記計算手段は、前記探索軸線の90°の周
    囲の前記差分信号値の対称性を表す対称信号を発生する
    ための手段を備えた請求項1に記載の装置。
  3. 【請求項3】前記各光検出器は、前記探索軸線の約90°
    を中心とした位置に配置された光検出要素配列体を備え
    た請求項2に記載の装置。
  4. 【請求項4】前記強度差分処理手段は、それぞれが前記
    探索光ビームの選択された波長に対応する複数の前記分
    布表示信号を発生するための制御手段を備えた請求項3
    に記載の装置。
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