JP2927524B2 - 苗移植機の苗のせ台構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は苗移植機において、苗を載置する苗のせ台の
構造に関する。

［従来の技術］ 苗移植機の苗のせ台では、苗のせ台に載置された苗を
苗取出し口に向けて送るベルト状の無端回動帯を備えた
ものがあり、無端回動帯は苗のせ台に載置された苗の底
部に接触しながら回転することによって、苗を苗取出し
口に向けて送るように構成されている。

この場合、無端回動帯は苗のせ台の載置面において苗
の送り方向での中間付近に配置されており、無端回動帯
に対し苗取出し口側に位置する苗のせ台の下手側載置
面、及び無端回動帯に対し苗取出し口の反対側に位置す
る苗のせ台の上手側載置面において、苗のせ台の上手側
載置面及び下手側載置面、無端回動帯の苗の底部に接触
する部分の各々が、同じ平面に位置するように配置され
ている。

［発明が解決しようとする課題］ 前述の苗のせ台の構造であると、固定のものである苗
のせ台の上手側載置面及び下手側載置面に対して無端回
動帯が回転しているので、苗のせ台の上手側載置面及び
下手側載置面と無端回動帯との干渉を避ける為に、苗の
せ台の上手側載置面と無端回動帯との隙間、並びに、苗
のせ台の下手側載置面と無端回動帯との隙間を、充分に
大きなものに設定しなければならない。

これにより、例えば藺草の苗のように母株から株分け
された苗を苗のせ台に載置するような場合、苗のせ台に
載置された苗を無端回動帯によって送る際に、苗のせ台
の上手側載置面から無端回動帯に苗が移る途中、及び無
端回動帯から苗のせ台の下手側載置面に移る途中に、苗
が前述の隙間に入り込んだり引っ掛かったりすることが
あり、苗取出し口に向けて苗を確実に送ることができな
いと言う状態の生じることがある。

本発明は苗移植機の苗のせ台構造において、苗取出し
口に向けて苗を確実に送ることができるように構成する
ことを目的としている。

［課題を解決するための手段］ 本発明の特徴は以上のような苗移植機の苗のせ台構造
において、次のように構成することにある。

（１） 載置された苗の底部に接触して苗を苗取出し口に向け
て送る無端回動帯を苗のせ台に備え、 無端回動帯に対し苗取出し口側に位置する苗のせ台の
下手側載置面と、無端回動帯に対し苗取出し口の反対側
に位置する苗のせ台の上手側載置面とにおいて、 苗のせ台の上手側載置面が無端回動帯の苗の底部に接
触する部分よりも高くなるように、且つ、無端回動帯の
苗の底部に接触する部分が苗のせ台の下手側載置面より
も高くなるように設定してある。

（２） 前項（１）の構成により、苗のせ台の下端部を往復横
移動自在に支持する摺動レールにおいて、苗のせ台の下
手側載置部に連なる摺動レールの苗の底部に接触する苗
受け面を、苗のせ台の下手側載置部と略同じ平面に位置
するように配置してある。

［作 用］ （ｉ） 請求項1.の特徴のように、苗のせ台の上手側載置面を
無端回動帯の苗の底部に接触する部分よりも高くし、無
端回動帯の苗の底部に接触する部分を苗のせ台の下手側
載置面よりも高くして高低差を設けていると、苗が苗の
せ台の上手側載置面から無端回動帯の苗の底部に接触す
る部分に移る際に、苗が苗のせ台の上手側載置面から落
ちるようにして、無端回動帯の苗の底部に接触する部分
に移る状態となるのであり、苗が無端回動帯の苗の底部
に接触する部分から苗のせ台の下手側載置面に移る際
に、苗が無端回動帯の苗の底部に接触する部分から落ち
るようにして、苗のせ台の下手側載置面に移る状態とな
る。

このように苗のせ台の上手側載置面から無端回動帯の
苗の底部に接触する部分に、無端回動帯の苗の底部に接
触する部分から苗のせ台の下手側載置面に、苗が落ちる
ようにして移っていけば、この移る途中において苗のせ
台の上手側載置面と無端回動帯の苗の底部に接触する部
分との間、並びに、無端回動帯の苗の底部に接触する部
分と苗のせ台の下手側載置面との間に、苗が入り込んだ
り引っ掛かったりするようなことがない。

（ii） 請求項2.の特徴によると、請求項1.の場合と同様に前
項（ｉ）に記載の「作用」を備えており、これに加えて
以下のような「作用」を備えている。

苗移植機では、苗のせ台の下端部が固定状態の摺動レ
ールに往復横移動自在に支持されており、苗のせ台の一
緒に往復横移動する苗が苗のせ台の下手側載置面から、
摺動レールの苗の底部に接触する苗受け面に移されて、
苗取出し口に達すると言う状態になっている。

これにより、苗のせ台の下手側載置面と、摺動レール
の苗の底部に接触する苗受け面との間に段差があると、
苗のせ台と一緒に往復横移動する苗が苗のせ台の下手側
載置面から、摺動レールの苗の底部に接触する苗受け面
に移される際、苗が往復横移動しながら摺動レールの苗
の底部に接触する苗受け面に乗り上がる（又は落ち込
む）と言う状態になって、このときに苗の姿勢が乱れる
ことがある。

請求項2.の特徴によると、苗のせ台の下手側載置面と
摺動レールの苗の底部に接触する苗受け面とが略同じ平
面に位置しているので、苗のせ台と一緒に往復横移動す
る苗が苗のせ台の下手側載置面から、摺動レールの苗の
底部に接触する苗受け面に移される際、苗が往復横移動
しながらそのまま摺動レールの苗の底部に接触する苗受
け面に滑らかに移されるのであり、苗が摺動レールの苗
の底部に接触する苗受け面に乗り上がる（又は落ち込
む）と言うような状態は生じない。

［発明の効果］ 請求項1.の特徴のように、苗のせ台の上手側載置面及
び下手側載置面、無端回動帯の苗の底部に接触する部分
に高低差を設け、苗が落ちるようにして送られるように
構成することにより、苗を確実に苗取出し口に向けて送
ることができるようになるので、苗が確実に苗取出し口
に向けて送られないことによる欠株を未然に防止するこ
とができて、苗移植機の植付性能を向上させることがで
きた。

請求項2.の特徴によると、請求項1.の場合と同様に前
述の請求項1.の「発明の効果」を備えており、この「発
明の効果」に加えて以下のような「発明の効果」を備え
ている。

請求項2.の特徴のように、苗のせ台の下手側載置面と
摺動レールの苗の底部に接触する苗受け面とを略同じ平
面に位置させることにより、苗が苗のせ台の下手側載置
面から、摺動レールの苗の底部に接触する苗受け面に滑
らかに移されるようになって、このときの苗の乱れを未
然に防止することができた。これにより、苗の乱れによ
る苗の植付不良が未然に防止されて、苗移植機の植付性
能をさらに向上させることができた。

［実施例］ 以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図に藺草の苗移植機が示されている。この苗移植
機は、リンク機構（１）を介して昇降自在に走行機体
（図示せず）に連結されており、フレーム兼用の植付伝
動ケース（２）に対して一定ストロークで左右に往復横
移動する後下り傾斜姿勢の苗のせ台（３）、苗のせ台
（３）の下端部を受け止めて往復横移動自在に支持する
摺動レール（４）、摺動レール（４）に形成された苗取
出し口（５）から苗を取り出して植え付ける植付爪
（６）、苗を苗取出し口（５）に向けて強制的に送り出
す苗保持具（７）等を備えて構成されている。

第１図及び第２図に示すように苗保持具（７）は、植
付伝動ケース（２）の上部側の前後一対の揺動リンク
（8a），（8b）を介して枢支連結された支持アーム（7
a）と、支持アーム（7a）の前端に揺動自在に取り付け
られた左右一対の保持爪（7b）とを備えて構成されてい
る。前側の揺動リンク（8a）を、植付爪（６）の駆動支
持用の植付アームの駆動軸に設けられたカム（10）及び
戻しバネ（11）により、前後に揺動駆動することによっ
て、保持爪（7b）が苗に進入する侵入状態と後方引退状
態とに前後に移動駆動されるように構成されており、前
側の揺動リンク（8a）と支持アーム（7a）との相対揺動
に伴って、保持爪（7b）を相対的に下方に揺動させるカ
ム機構（12）が備えられている。

第１図及び第２図に示すように、藺草の母株から株分
けされた苗が苗のせ台（３）に立姿勢で載置されてお
り、苗のせ台（３）の往復横移動のストロークエンドに
おいて、載置された苗の底部に接触して苗を苗取出し口
（５）に向けて送る突起（14a）付きの無端回動帯（1
4）が、苗のせ台（３）に備えられている。

第１図及び第２図に示すように、無端回動帯（14）に
対し苗取出し口（５）側に位置する苗のせ台（３）の下
手側載置面（13a）よりも、無端回動帯（14）の苗の底
部に接触する部分が高くなるように設定されており、無
端回動帯（14）の苗の底部に接触する部分よりも、無端
回動帯（14）に対し苗取出し口（５）の反対側に位置す
る苗のせ台（３）の上手側載置面（13b）が高くなるよ
うに設定されている。苗のせ台（３）の下手側載置部
（13a）に連なる摺動レール（４）の苗の底部に接触す
る苗受け面（4a）において、苗のせ台（３）の下手側載
置部（13a）と摺動レール（４）の苗の底部に接触する
苗受け面（4a）とが、略同じ平面に位置するように配置
されている。これにより、苗補給用の苗収容具（15）を
苗のせ台（３）に載置した後に、苗支持用の苗すくい板
（16）を上方に抜き取る際、無端回動帯（14）の突起
（14a）により抜き取りが阻害されることがない。

第２図に示すように無端回動帯（14）の終端側におい
て、摺動プーリー（17）の中心位置が、苗のせ台（３）
の下手側載置面（13a）と略同一レベルに位置するよう
に、無端回動帯（14）が大きく突出するように配置され
ている。これにより、無端回動帯（14）によって送られ
る苗が、無端回動帯（14）の終端側において大きな落差
で苗取出し口（５）に送られて、後続の苗との分離が確
実に行われるのであり、苗のせ台（３）の往復横移動に
より苗が上方に逆戻りするような状態が、無端回動帯
（14）の終端側（摺動プーリー（17））による受け止め
られて阻止される。

尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にする
ために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の
構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係る苗移植機の苗のせ台構造の実施例を
示し、第１図は苗移植機の苗のせ台付近の側面図、第２
図は苗移植機の苗のせ台に苗を補給する状態を示す側面
図である。 （３）……苗のせ台、（４）……摺動レール、（4a）…
…摺動レールの苗の底部に接触する苗受け面、（５）…
…苗取出し口、（13a）……苗のせ台の下手側載置面、
（13b）……苗のせ台の上手側載置面、（14）……無端
回動帯。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】載置された苗の底部に接触して苗を苗取出
   し口（５）に向けて送る無端回動帯（14）を苗のせ台
   （３）に備え、 前記無端回動帯（14）に対し前記苗取出し口（５）側に
   位置する前記苗のせ台（３）の下手側載置面（13a）
   と、前記無端回動帯（14）に対し前記苗取出し口（５）
   の反対側に位置する前記苗のせ台（３）の上手側載置面
   （13b）とにおいて、 前記苗のせ台（３）の上手側載置面（13b）が前記無端
   回動帯（14）の苗の底部に接触する部分よりも高くなる
   ように、且つ、前記無端回動帯（14）の苗の底部に接触
   する部分が前記苗のせ台（３）の下手側載置面（13a）
   よりも高くなるように設定してある苗移植機の苗のせ台
   構造。
2. 【請求項２】前記苗のせ台（３）の下端部を往復横移動
   自在に支持する摺動レール（４）において、前記苗のせ
   台（３）の下手側載置部（13a）に連なる前記摺動レー
   ル（４）の苗の底部に接触する苗受け面（4a）を、前記
   苗のせ台（３）の下手側載置部（13a）と略同じ平面に
   位置するように配置してある請求項1.記載の苗移植機の
   苗のせ台構造。