JP2927362B2 - 自動二輪車用レーシングスタンド - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、自動二輪車のスタンド掛けを行なうための
レーシングスタンドに関する。

（従来の技術） 斯かるレーシングスタンドとしては、従来からシャフ
トタイプとブラケットタイプの２種がある。即ち、シャ
フトタイプは自動二輪車のリヤアクスルに挿通されるシ
ャフトの両端部を支持する方式を採るものであり、ブラ
ケットタイプは自動二輪車のリヤアームをブラケットを
介して支持する方式を採るものである。

（発明が解決しようとする課題） しかしながら、上記何れのタイプのレーシングスタン
ドにあっても、その支持部の巾は一定不変であるため、
自動二輪車のサイズ（クラス）毎に専用のものを複数用
意しておく必要があり、特にブラケットタイプのもので
は、ブラケットの位置の設定が固定されているため、リ
ヤアームから外れないよう左右のブラケットを取り付け
る必要があり、２人以上でないとスタンド掛けが難しい
という問題があった。

又、シャフトタイプのものにあっては、シャフトのス
タンド側支持部と自動二輪車のリヤアクスル端との間の
隙間が比較的大きくなり、シャフトにはその隙間部分で
曲げ応力が生じるため、シャフトの強度上不利であると
いう問題もあった。

更に、従来のレーシングスタンドにあっては、一方の
タイプのものを他方のタイプのものとして使用すること
ができず、その機能に汎用性が乏しかった。

本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的
とする処は、シャフトタイプとブラケットタイプの機能
を兼備し、１人でも容易に自動二輪車のスタンド掛けが
でき、複数のクラスの自動二輪車に対して適用すること
ができる汎用性の高い自動二輪車用レーシングスタンド
を提供することにある。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するため、本発明は、水平を成す左右
一対の脚部の各前端から後方に向って斜め上方に起立す
る支柱を有してパイプ枠構造を成すスタンド本体と、該
スタンド本体の前記支柱の各上端に、当該レーシングス
タンドの使用状態において自動二輪車の車幅方向が軸心
が向くように水平に固着されたパイプ状のスリーブと、
一端にフランジ状のストッパが形成され、且つ、他端外
周にクリップを嵌め込む溝が形成されて前記各スリーブ
に水平移動自在に挿通支持されるパイプ状のアジャスト
スペーサと、前記各スリーブに前記スタンド本体の脚部
が延出する側から螺合してその先端が前記アジャストス
ペーサの外周に圧接することによって前記スリーブに前
記アジャストスペーサを固定する固ボルトと、左右のア
ジャストスペーサに挿通されるシャフト又は各アジャス
トスペーサに抜き差し自在に挿通支持されるブラケット
を含んで自動二輪車用レーシングスタンドを構成したこ
とを特徴とする。

（作用） 本発明によれば、シャフト又はブラケットを支持する
アジャストスペーサがスタンド本体に対して移動自在で
あるため、左右のアジャストスペーサ間の距離、即ち当
該レーシングスタンドの巾寸法を無段階に調整すること
ができ、該レーシングスタンドをサイドの異なる複数の
クラスの自動二輪車に対して適用することができ、その
汎用性を高めることができる。又、このようにレーシン
グスタンドの巾寸法を無段階に調整することができる
と、シャフトのスタンド側支持端（アジャストスペーサ
端）と自動二輪車支持端（リヤアクスル端）との間の隙
間を可及的に小さくすることができるため、シャフトの
曲げを防ぐことができ、該シャフトの強度を高めること
ができる。

更に、該レーシングスタンドはアジャストスペーサに
シャフトとブラケットの何れをも支持せしめることがで
きるため、シャフトタイプとブラケットタイプの機能を
兼備することとなり、ブラケットタイプとして使用した
場合であっても、アジャストスペーサを移動させてこれ
を固定ボルトによって任意の位置に固定することができ
るため、スタンド掛け作業が容易化し、１人でもこれを
なすことができる。そして、この場合、アジャストスペ
ーサが固定ボルトによってスリーブに固定されたままの
状態でも、シャフトとブラケットをアジャストスペーサ
に対して抜き差しすることができる。

又、パイプ状のアジャストスペーサがパイプ状のスリ
ーブ内に挿通されて固定ボルトによって固定されるた
め、該アジャストスペーサはスリーブ内で回転可能であ
って、これへの固定手段の係合位置が変化するために該
アジャストスペーサの同一箇所に亀裂や変形が生ずるこ
とがない。

更に、各固定ボルトはスタンド本体の脚部が延出する
側（当該レーシングスタンドの使用形態においては車体
後方）から螺合するため、該固定ボルトによるアジャス
トスペーサの固定を作業性良く行うことができる。そし
て、固定ボルトによってアジャストスペーサからの力
（車体重量の一部）が受けられるため、該固定ボルトの
ねじ込み力が大きくなくても固定ボルトとアジャストス
ペーサとの接触圧が大きくなり、アシャストスペーサの
横移動が確実に防がれる。

（実施例） 以下に本発明の実施例を添付図面に基づいて説明す
る。

第１図は本発明に係るレーシングスタンドの分解斜視
図、第２図及び第３図は同レーシングスタンドの使用状
態を示す部分断面図である。

先ず、本発明に係るレーシングスタンドの基本構成を
第１図に基づいて説明する。

第１図において、１はパイプ枠構造を成すスタンド本
体であり、これは適当な形状に折り曲げ加工されたパイ
プ材を互いに溶接して構成されている。即ち、スタンド
本体１は、水平を成す左右一対の脚部a,cの各前端から
後方に向かって斜め上方に起立する左右２本の支柱1a,1
aを有してパイプ枠状に構成されており、左右の支柱1a,
1aの上部同士はパイプ材ｂによって連結されている。

そして、上記スタンド本体１の支柱1a,1aの上端には
パイプ状のスリーブ2,2が互いの軸心が一致し、且つ、
当該レーシングスタンドの使用状態において自動二輪車
の車幅方向に軸心が向くように水平に結着されている。
尚、スリーブ2,2間の距離（巾寸法）は不図示の自動二
輪車の巾寸法よりも大きく設定されており、当該レーシ
ングスタンドの使用時には、各スリーブ2,2は自動二輪
車のリヤアーム11,11（第２図及び第３図参照）の外側
に位置せしめられる。

而して、上記スリーブ2,2にはこれらより長尺のパイ
プ状のアジャストスペーサ3,3が第１図の矢印方向から
摺動自在に挿通されるが、これらのアジャストスペーサ
3,3の各外端部にはフランジ状のストッパ3a,3aがそれぞ
れ一体に形成されており、該アジャストスペーサ3,3が
スリーブ2,2に挿通された後には、これらの内端部の全
周に亘って形成された溝3b,3bにクリップ4,4が嵌め込ま
れ、当該アジャストスペーサ3,3のスリーブ2,2からの抜
けが防止される。従って、各アジャストスペーサ３はス
トリッパ3a又はクリップ４がスリーブ２の端面に当接す
るまでスリーブ２内を内、外方に向かって水平に摺動し
得、該アジャストスペーサ３の固定はスリーブ２にスタ
ンド本体１の脚部a,cが延出する側から螺合する固定ボ
ルトとしての蝶ボルト５を締め付けることによってなさ
れる。

又、本発明に係るレーシングスタンドは左右のアジャ
ストスペーサ3,3及び自動二輪車のリヤアクスル12（第
２図参照）の貫通孔12aに挿通されるシャフト６又は自
動二輪車のリヤアーム11（第３図参照）を支持するＬ字
状のブラケット7,7を含んで構成される。尚、上記シャ
フト６の一端は略直角に曲げられており、他端にはピン
８が係合すべき溝6aが形成されている。又、前記ブラケ
ット7,7には前記リヤアーム11を保護するためのゴム9,9
が各々被冠されており、これらのブラケット7,7は支持
軸10,10によって支持されている。そして、各支持軸10
を各スリーブ２にこれの内側から挿通し、該支持軸10の
自由端に形成された溝10aにピン20を係合すれば、各ブ
ラケット７は第３図に示すようにスリーブ２に支持され
る。

次に、本レーシングスタンドの使用例を第２図及び第
３図に基づいて説明する。

第２図は本レーシングスタンドをシャフトタイプのも
のとして使用した例を示すものであり、各蝶ボルト５を
緩めた状態で各アジャストスペーサ３をスリーブ２内で
移動せしめ、これを自動二輪車のリヤアクリスル12に可
及的に近づけ、両者間の隙間δを極力小さく保った後、
蝶ボルト５を締め付けてアジャストスペーサ３を固定す
る。

次に、前記シャフト６を第２図の右方から一方のアジ
ャストスペーサ３、リヤアクスル12の貫通孔12a、他方
のアジャストスペーサ３に順に通し、該シャフト６のア
ジャストスペーサ３からの外方へ突出する端部に形成さ
れた溝6aにピン８を係合すれば、自動二輪車の後部はシ
ャフト６を介して当該レーシングスタンドによって支持
され、自動二輪車のスタンド掛けが行なわれる。

而して、各アジャストスペーサ３はスリーブ２内を自
在に摺動することができるため、これらの間の距離が無
段階に調整され、例えば第２図に実線にて示すリヤアー
ム11よりも巾広の鎖線にて示すリヤアーム11′を備える
よりサイズの大きな自動二輪車に対してはアジャストス
ペーサ３を鎖線にて示す位置３′まで外方へ移動させれ
ば良いため、当該レーシングスタンドはサイズの異なる
複数のクラスの自動二輪車に対して適用することができ
ることとなり、その汎用性が高められる。そして、この
場合、各アジャストスペーサ３が蝶ボルト５によってス
リーブ２に固定されたままの状態でも、シャフト６をア
ジャストスペーサ３に対して抜き差しすることができ
る。

又、上述のようにアジャストスペーサ3,3間の距離を
無段階に調整することができると、前述のように前記隙
間δを可及的に小くすることができるため、この隙間δ
部分においてシャフト６に曲げ発生せず、該シャフト６
の強度が高められる。尚、実際にはシャフト６の隙間δ
部分には剪断応力が作用するが、一般に金属材料の剪断
強度は曲げ強度よりも大きいため、シャフト６は強度上
有利となる。

更に、パイプ状の各アジャストスペーサ３がパイプ状
のスリーブ２内に挿通されて蝶ボルト５によって固定さ
れるため、該アジャストスペーサ３はスリーブ２内で回
転可能であって、これへの蝶ボルト５の係合位置が変化
するために該アジャストスペーサ３の同一箇所に亀裂や
変形が生ずることがない。

又、各蝶ボルト５はスタンド本体１の脚部a,cが延出
する側（当該レーシングスタンドの使用形態においては
車体後方）から螺合するため、該蝶ボルト５によるアジ
ャストスペーサ３の固定を作業性良く行うことができ
る。そして、蝶ボルト５によってアジャストスペーサ３
からの力（車体重量の一部）が受けられるため、該蝶ボ
ルト５のねじ込み力が大きくなくても蝶ボルト５とアジ
ャストスペーサ３との接触圧が大きくなり、アジャスト
スペーサ３の横移動が確実に防がれる。

一方、第３図は当該レーシングスタンドをブラケット
タイプのものとして使用した例を示すが、この例におい
ても各蝶ボルト５を緩めた状態でアジャストスペーサ３
が移動せしめられ、ブラケット７が図示のように自動二
輪車のリヤアーム11を確実に支持する状態になると、蝶
ボルト５が締め付けられてアジャストスペーサ３が固定
される。

而して、この例においても前記と同様の効果が得られ
るが、このように本レーシングスタンドをブラケットタ
イプとして使用した場合であっても、各アジャストスペ
ーサ３を移動させてこれを蝶ボルト５によって任意の位
置に固定することができるため、自動二輪車のスタンド
掛け作業が容易化し、１人でもこれをなすことができ
る。

以上、第２図及び第３図に示したように、本レーシン
グスタンドはシャフトタイプとブラケットタイプの機能
を兼備するため、その機能の幅が拡大される。

（発明の効果） 以上の説明で明らかなように、本発明によれば、水平
を成す左右一対の脚部の各前端から後方に向って斜め上
方に起立する支柱を有してパイプ枠構造を成すスタンド
本体と、該スタンド本体の前記支柱の各上端に、当該レ
ーシングスタンドの使用状態において自動二輪車の車幅
方向に軸心が向くように水平に固着されたパイプ状のス
リーブと、一端にフランジ状のストッパが形成され、且
つ、他端外周にクリップを嵌め込む溝が形成されて前記
各スリーブに水平移動自在に挿通支持されるパイプ状の
アジャストスペーサと、前記各スリーブに前記スタンド
本体の脚部が延出する側から螺合してその先端が前記ア
ジャストスペーサの外周に圧接することによって前記ス
リーブに前記アジャストスペーサを固定する固ボルト
と、左右のアジャストスペーサに挿通されるシャフト又
は各アジャストスペーサに抜き差し自在に挿通支持され
るブラケットを含んで自動二輪車用レーシングスタンド
を構成したため、該レーシングスタンドにシャフトタイ
プとブラケットタイプの機能を兼備せしめることがで
き、１人でも容易に自動二輪車のスタンド掛けができる
とともに、当該レーシングスタンドを複数のクラスの自
動二輪車に対して適用することができる汎用性の高いも
のとすることができるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るレーシングスタンドの分解斜視
図、第２図及び第３図は同レーシングスタンドの使用状
態を示す部分断面図である。 １……スタンド本体、a,c……脚部、1a……支柱、２…
…スリーブ、３……アジャストスペーサ、3a……ストッ
パ、3b……溝、５……蝶ボルト（固定ボルト）、６……
シャフト、７……ブラケット。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】水平を成す左右一対の脚部の各前端から後
   方に向かって斜め上方に起立る支柱を有してパイプ枠構
   造を成すスタンド本体と、 該スタンド本体の前記支柱の各上端に、当該レーシング
   スタンドの使用状態において自動二輪車の車幅方向に軸
   心が向くように水平に固着されたパイプ状のスリーブ
   と、 一端にフランジ状のストッパが形成され、且つ、他端外
   周にクリップを嵌め込む溝が形成されて前記各スリーブ
   に水平移動自在に挿通支持されるパイプ状のアジャスト
   スペーサと、 前記各スリーブに前記スタンド本体の脚部が延出する側
   から螺合してその先端が前記アジャストスペーサを固定
   する固定ボルトと、 左右のアジャストスペーサに挿通されるシャフト又は各
   アジャストスペーサに抜き差し自在に挿通支持されるブ
   ラケット を含んで構成されることを特徴とする自動二輪車用レー
   シングスタンド。