JP2925762B2 - クロック信号の分配配線方法 - Google Patents

クロック信号の分配配線方法

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JP2925762B2 JP3030721A JP3072191A JP2925762B2 JP 2925762 B2 JP2925762 B2 JP 2925762B2 JP 3030721 A JP3030721 A JP 3030721A JP 3072191 A JP3072191 A JP 3072191A JP 2925762 B2 JP2925762 B2 JP 2925762B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】[発明の目的]
【0002】
【産業上の利用分野】この発明は、半導体集積回路のレ
イアウトなどにおいて、複数の素子へクロック信号を分
配配線するクロック信号の分配配線方法に関する。
【0003】
【従来の技術】半導体基板上などに構成されるデジタル
システムは、同期式順序回路で構成されている。同期式
のシステムにおいては、分配されたクロック信号を基本
にしてタイミングを正常動作させている。理想的なクロ
ック分配は、半導体基板上のいずれの場所においても全
く同じクロック信号が得られることである。しかしなが
ら、実際にはクロック信号を引き回す配線あるいは接続
している素子によって遅れ(ディレイ)が生じる。この
ため、クロック信号の入力から最も近い素子で得られた
クロック信号と、入力から最も遠い素子で得られたクロ
ック信号とには、到達時間差(スキュー)が生じる。こ
のスキューが原因で正常動作が期待できなくなる。この
ため、クロック分配は可能な限りディレイをなくし、等
ディレイ・スキュー最小とすることが要求される。等デ
ィレイ・スキュー最小のクロック分配を行うために、従
来いくつかの方法が提案されている。
【0004】一般的なクロック分配方法として、H−ト
リーが知られている。図4は、従来のH−トリーによる
クロック信号の分配配線図である。この図から分かるよ
うに、クロック信号供給用素子(以下、ルートドライバ
ーセルという。)41から供給されるクロック信号を分
配するクロック信号線(図中、太線)が、H形に繰り返
し配線されている。クロック信号によって駆動する複数
の素子(例えば、F/F)あるいは素子群42は、クロ
ック信号線によって対称形に等しい長さで2個ずつ結線
されている。
【0005】このように配線することにより、全ての素
子あるいは素子群42において等ディレイを保ち、スキ
ュー最小でクロック信号を供給している。しかしなが
ら、この方法では素子あるいは素子群42が4の倍数個
で、かつ対称形で素子あるいは素子群42の容量が等し
くなければ、クロック信号が等しく供給されない。例え
ば、図5のように、素子あるいは素子群42が6個の場
合のH−トリーを考える。H−トリーを保つと片側のク
ロック信号線(図中、左側)が増えるため、目的とする
等ディレイ・スキュー最小化がくずれる。また、素子あ
るいは素子群42の容量が異なっていれば、配線長を等
しくしても等ディレイでなくなる。
【0006】一方、対称形にとらわれないクロック分配
方法もある(文献:P.Ramanathan and Kang G.Shin,'A
Clock Distribution Scheme for Non-Symmetric VLSI
Circuits',IEEE Int.Conference on Computer-Aided D
esign,1989)。しかしながら、この方法では最大ディレ
イとなる素子あるいは素子群42に対して、他の素子あ
るいは素子群42のディレイが等しくなるようにクロッ
ク信号線を合わせることでスキューを最小にしている。
このため、冗長な配線をすることになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように従来のH−
トリーを構成する分配配線方法では、複数の素子あるい
は素子群が4の倍数個でなかったり、素子あるいは素子
群の容量が異なっていると、ディレイ・スキューを減ら
すことができないという問題があった。また、対称形で
ない分配配線方法も、最大ディレイの素子あるいは素子
群と同ディレイにするために、他の素子あるいは素子群
のクロック信号線が長くなり、冗長配線が多くなるとい
う欠点があった。
【0008】そこで、この発明は、このような従来の事
情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところ
は、2個の素子あるいは素子群間を接続するクロック信
号線上の、両素子あるいは素子群までの遅延時間が等し
くなる分岐点を求めることにより、素子あるいは素子群
の個数や容量に制限されず、かつ冗長配線をしなくとも
等ディレイ・スキュー最小にすることができるクロック
信号の分配配線方法を提供することにある。
【0009】[発明の構成]
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成させるた
め、この発明は、クロック信号供給用素子から供給され
るクロック信号によって駆動する、多段配置された複数
の素子あるいは素子群に前記クロック信号を分配配線す
る際に、2個の前記素子あるいは素子群の容量ならびに
これら2個の素子あるいは素子群間を接続するクロック
信号線の配線容量及び配線抵抗を考慮して両素子あるい
は素子群までの遅延時間が等しくなる前記クロック信号
線上の分岐点を求め、この分岐点と、異なる2個の素子
あるいは素子群間を接続するクロック信号線上の分岐点
とを接続するクロック信号線上の分岐点を求める処理を
繰り返し、最終的に求められた1つの分岐点と前記クロ
ック信号供給用素子とを接続するように構成されてい
る。
【0011】
【作用】この発明は、素子あるいは素子群を2個ずつ併
合して1個のクラスタを生成する。併合した両者の容量
ならびに、両者を接続するクロック信号線の配線容量・
配線抵抗を考慮して両者までの遅延時間が等しくなるク
ロック信号線上の分岐点を求める。他のクラスタの分岐
点を同様に求め、分岐点同志を接続する。分岐点同志が
接続された2個のクラスタを1個のクラスタとみなし、
以下同様に繰り返す。このような処理を、ルートドライ
バーセルから離れたものから順にボトムアップに繰り返
す。最終的に1つになった分岐点を、ルートドライバー
セルに接続する。
【0012】
【実施例】以下、この発明のクロック信号の分配配線方
法の実施例を図面を参照しながら説明する。図1は、こ
の発明による分配配線方法の処理手順を説明するための
フローチャートである。図2は、実際にクロック信号が
分配配線される様子を説明するための配線図である。
尚、今回の実施例は、素子あるいは素子群をF/F(フ
リップ/フロップ)とした場合の例である。図2におい
て、半導体基板1上にはクロック信号を供給するための
ルートドライバーセル2が配置されている。また図示し
ないが、クラスタ3〜8内には、F/Fが2個ずつ配置
されているものとする。
【0013】図1において、スタート後、分散配置され
ているF/Fを、併合候補の少ないF/F(例えば、端
に配置されているF/F、あるいは容量差の少ないF/
Fなど)から順に2個ずつ併合してクラスタ3〜8を生
成する。このとき、クラスタ3,5,7の容量と、4,
6,8の容量はそれぞれ同じものとする。さらに、クラ
スタ3と4、5と6、7と8をそれぞれ併合し、1個の
クラスタを生成する(ステップM1)。
【0014】クラスタ3と4を接続するクロック信号線
11を配線する。これと同時に、クラスタ3,4内に配
置されるそれぞれのF/Fの容量、及びクロック信号線
11の配線容量・配線抵抗を考慮し、後述する方法によ
ってクロック信号線11上の分岐点O1を求める(ステ
ップM2)。この分岐点O1は、この点から両方のクラ
スタ3,4までのクラスタ容量、配線容量及び配線抵抗
も含めて遅延時間が等しくなる点である。これにより、
クラスタ3,4に対するディレイが等しくなる。
【0015】ステップM2の処理を、併合した組の分岐
点が全て決定するまで繰り返す(ステップM3否定)。
ステップM2乃至M3が繰り返されることにより、クラ
スタ5と6、7と8を接続するクロック信号線12,1
3が配線されると共に、分岐点O2,O3が求められ
る。接続すべき対象がまだ存在しているので、端から最
も近いクラスタを2個ずつ併合し、新たなクラスタを生
成する(ステップM4否定及びステップM5)。すなわ
ち、クラスタ3,4,7,8で1個のクラスタとみな
し、これらを併合する。クラスタ5,6が併合された1
個のクラスタは、これ以上併合されないので、併合され
ていないクラスタが1個となり、ステップM2へ戻る
(ステップM6肯定)。併合されていないクラスタが、
1個または0個になるまでステップM5,6を繰り返
す。
【0016】クラスタ3,4,7,8が併合され、ステ
ップM2乃至M4が繰り返されることにより、クロック
信号線14が配線されると共に、分岐点O4が求められ
る。さらにステップM5において、クラスタ3,4,
7,8とクラスタ5,6を併合して1個のクラスタとす
る。ステップM2の処理により、クロック信号線15及
び分岐点O5が求められる。分岐点O5が求められるこ
とにより、接続対象がルートドライバーセル2のみにな
ったため、分岐点O5とルートドライバーセル2をクロ
ック信号線15で接続して処理を終了する(ステップM
4肯定及びステップM7)。
【0017】以下に、クロック信号線上の分岐点を求め
る方法を説明する。なお、説明を簡単にするために、水
平・垂直方向の単位長さあたりの配線容量・抵抗は同じ
とする。クロック信号の分配配線を、ルートドライハー
セル2から最端のクラスタへ向けて2分木状に行った場
合を考える。このとき、ルートドライハーセル2からi
番目の分岐点をレベルiの分岐点といい、レベルiの分
岐点とレベルi+1の分岐点を接続するクロック信号線
の長さをli とすると総ディレイTは、以下のようにな
る。
【0018】 T=I0 +R0 *C0 +r*l1 *(1/2*c*l1 +C1 ) +r*l2 *(1/2*c*l2 +C2 ) : : +r*ln *(1/2*c*ln +Cn ) (1) ここで、I0 は内部遅延、R0 はルートトライバーセル
2のon抵抗、rは単位長さ当りの配線抵抗、cは単位
長さ当りの配線容量、ln はnレベルの配線長、Cn
nレベル以下の全容量和である。(1) のディレイ式は、
漸化式にすると次式で表すことができる。
【0019】 tn =r*ln *(1/2*c*ln +Cn ) +0 tn-1 =r*ln-1 *(1/2*c*ln-1 +Cn-1 )+tn : : t2 =r*l2 *(1/2*c*l2 +C2 ) +t3 1 =r*l1 *(1/2*c*l1 +C1 ) +t2 0 =I0 +R0 *C0 +t1 =T (2) 従って、一般式は、次式で表されることになる。 ti =r*li *(1/2*c*li +Ci ) +ti+1 (3) ここで、Ci は、レベルi以降の全容量和である。
【0020】例えば、図2における分岐点O4をレベル
iの分岐点とすると、レベルi+1の分岐点はO1とO
3となる。分岐点O4から分岐点O1,O3までのクロ
ック信号線の長さをli0,li1とし、レベルi+1以降
の全容量をCi0,Ci1としたときの分岐点O4の求め方
を説明する。分岐点O4までの信号伝播は同じであるた
め、分岐点O1とO3のディレイ差は、分岐点O4以降
のディレイによる。従って、レベルi以降のスキューs
は、次式のようになる。
【0021】 s=ti1−ti0 =1/2*r*c*(li12 −li02 )+r*(li1*Ci1−li0*Ci0) +(ti+1,1 −ti+1,0 ) (4) ここでの目的関数は、min|s|である。但し、li1+li0
=Li は、レベルi+1の2つの分岐点O1とO3の間
のManhattan-Lengthとする。また、ti+1,1 及びt
i+1,0 は、レベルi+1におけるCi1側のディレイ、及
びCi0側のディレイである。よって、(4) 式は次式のよ
うになる。
【0022】 s=1/2*r*c*Li (Li −2*li0) +r*{Li *Ci1−(Ci1+Ci0)*li0} +(ti+1,1 −ti+1,0 ) (5) ここで、Ci0側からはかった分岐点O4までの距離をl
* とし、スキューが最小、すなわちs=0となる点を求
めると、 l* ={r*Li *(Ci1+1/2*c*Li )+(ti+1,1 −ti+1,0 )} /{r*(Ci0+Ci1+c*Li )} (6) となる。従って、0≦l* ≦Li であれば、li0=l*
でスキューs=0となるため、この位置に分岐点O4を
設定する。0≦l* ≦Li 以外の時は、li0=0、Li
のうちスキュー|s| の小さい方となる位置に分岐点O4
を設定する。
【0023】なお、分岐点は、li1+li0=Li を満た
す最短配線経路上である限り、同じl* を持つ分岐点と
するならば、配線形状を特に限定する必要はない。例え
ば、図3のように、2点A,B間の距離が等しく、点A
あるいはBから分岐点O6,O7までの距離が等しけれ
ば、配線形状が異なるものでもよい。図2で示した実施
例では、レベルi+1の2つの分岐点を結ぶ直線上に、
レベルiの分岐点を置くという条件をつけることによ
り、配線形状を規定している。また、図2で示したクラ
スタ3〜8内には、F/Fが2個ずつ配置されているも
のとしたが、勿論F/Fが2個ずつ併合された複数のク
ラスタが配置されていても同様に実施可能である。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように、この発明のクロッ
ク信号の分配配線方法によれば、2つの素子あるいは素
子群間を接続するクロック信号線上の、各素子あるいは
素子群までの遅延時間が等しくなる分岐点を求めるよう
にした。これにより、素子あるいは素子群の個数や容量
に制限されず、かつ冗長配線をすることなく、等ディレ
イ・最小スキューでクロック信号を分配配線することが
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例の処理手順を説明するため
のフローチャートである。
【図2】この発明によって実際に分配配線される様子を
説明するための配線図である。
【図3】2点間の距離が等しく、配線形状が異なる場合
の例を示す図である。
【図4】従来のH−トリーによる分配配線を示す配線図
である。
【図5】従来のH−トリーによる欠点を説明するための
配線図である。
【符号の説明】
1 半導体基板 2 ルートドライバーセル 3〜8 クラスタ 11〜16 クロック信号線 O1〜O7 分岐点

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クロック信号供給用素子から供給される
    クロック信号によって駆動する、多段配置された複数の
    素子あるいは素子群に前記クロック信号を分配配線する
    際に、2個の前記素子あるいは素子群の容量ならびにこ
    れら2個の素子あるいは素子群間を接続するクロック信
    号線の配線容量及び配線抵抗を考慮して両素子あるいは
    素子群までの遅延時間が等しくなる前記クロック信号線
    上の分岐点を求め、この分岐点と、異なる2個の素子あ
    るいは素子群間を接続するクロック信号線上の分岐点と
    を接続するクロック信号線上の分岐点を求める処理を繰
    り返し、最終的に求められた1つの分岐点と前記クロッ
    ク信号供給用素子とを接続することを特徴としたクロッ
    ク信号の分配配線方法。
  2. 【請求項2】 前記クロック信号供給用素子からみてi
    番目の分岐点を求めるに際して、この分岐点は2個の素
    子あるいは素子群間を結ぶ最短距離の経路Li 上に存在
    するものとし、一方の素子あるいは素子群の容量を
    i0、分岐点からの距離をli0、i+1番目の分岐点以
    下の遅延時間をti+1,0 とし、他方の素子あるいは素子
    群の容量をCi1、i+1番目の分岐点以下の遅延時間を
    i+1,1 とし、単位長さ当たりの配線抵抗をr、配線容
    量をcとしたときの、Ci0側のi+1番目の分岐点から
    i番目の分岐点までの距離l* を l* ={r*Li *(Ci1+1/2*c*Li )+(ti+1,1 −ti+1,0 )} /{r*(Ci0+Ci1+c*Li )} によって求めることを特徴とした請求項1記載のクロッ
    ク信号の分配配線方法。
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