JP2925202B2 - 合成樹脂製薄膜筒袋を内層した多層紙袋の製造方法 - Google Patents

合成樹脂製薄膜筒袋を内層した多層紙袋の製造方法

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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、最内層に合成樹脂性薄膜筒袋を内装した多
層紙袋の製造方法に関するものである。
(従来の技術) 従来、最内層に合成樹脂性薄膜筒袋を内装した多層紙
袋に関するものは、実開昭60-163237号公報、実開昭61-
194633号公報、実開昭62-8933号公報等によって開示さ
れている。
実開昭60-163237号公報によって開示されたものは、
内層に合成樹脂フィルム筒状体を有する樹脂クロス袋で
あり、外層の上下端側壁が、それぞれ対面する内袋側壁
上下端の間に剥離層を設け、外層の外側に補強テープを
貼付したものである。
また、実開昭61-194633号公報によって開示されたも
のは、それぞれ合成樹脂フィルムの内筒と外筒の二重袋
構成で内筒付近の両袋の間隙に剥離剤を介在させたもの
である。
さらに、実開昭62-8933号公報によって開示されたも
のは、底部に熱融着部を設けた合成樹脂フィルムの内装
をクラフト原紙の外装で包被し、内外袋の上下端でそれ
ぞれが相対面する部分に剥離層を設け、外袋の底部に当
て素材を設けた物である。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、上記の開示された例は何れも内層と外
層の間に剥離層乃至剥離剤を設けたから、内層の端部の
ヒートシールと外層と当て材との接着を同時に行える
が、内層と外層の間に剥離層乃至剥離剤を設けない場合
には、同時に両者の接着を行うと内層と外層が溶着す
る。この点に関して、上記公知例には、何等解決手段が
無かった。
従って本発明の目的は、内層と外層の間に剥離層を設
けない場合においても、多層紙袋の開口部の封緘を行え
る様にした合成樹脂製薄膜筒袋を内層した多層紙袋の製
造方法を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 上記の目的を達成するために、本発明の合成樹脂薄膜
筒袋を内層した多層紙袋の製造方法にあっては、合成樹
脂製薄膜筒袋の内層及び紙製の外層を同寸に切断し、こ
の切断の端部を内層の融点以上の温度でヒートシールし
て内層の端部を溶着し、このヒートシールの溶着部を冷
却し、次いでこのヒートシールの溶着部の外側の外層に
対し、複合紙の内面に加熱溶融性接着剤を積層したオー
バーテープを2つ折りにして当接し、内層の融点以下の
温度でヒートシールして重包装紙袋の開口部を封緘する
という方法をとっている。
又、合成樹脂製薄膜筒袋の内層及び紙製の外層を同寸
に切断するに際して、この内層及び外層の対向する面に
接着剤を点在させても良い。
更に、複合紙の内面に加熱溶融性接着剤を積層したオ
ーバーテープを2つ折りにして重包装紙袋の開口部に当
接し、オーバーテープを外層にヒートシールするに際
し、オーバーテープ面よりの加熱において、内層の軟化
点以下の温度でヒートシールすることにより、内層が外
層に融着することが無く、且つ内層の底シール幅がオー
バーテープの幅に拡がったり、内面同士がブロッキング
したりすることもない。
又、内層と外層の間に紙製の中間層を設けても良い。
(実施例) 以下本発明の実施例を説明する。
第1図は、本発明の多層紙袋の一実施例を示すもので
あり、多層紙袋(11)は、最内層は、合成樹脂製の内層
(12)であり、更に中間層(13)、外層(14)から構成
されている。
そして、多層紙袋(11)の上下に開口部(18)を設け
た。
内層(12)は、合成樹脂が使用されるが、低密度ポリ
エチレン(LDPE)や直鎖状低密度ポリエチレン(L−LD
PE)、更に両者を複合した複合ポリ等を用いると良い。
更に内容物によっては、遮光する必要があるのでアルミ
(AL)蒸着したものを用いる。
外層(14)は、紙を主体とした素材が好ましい。その
素材としては、クラフト(K)やクルパック(CL)、紙
の内面側に低密度ポリエチレンや高密度ポリエチレンを
ラミネートしたポリラミ紙(PL)、ペーパークロス(P
C)、ペーパー割布、クロスサンドペーパー(CSLP)、
複合紙(例えばペーパークロスの上に、ポリエチレンを
ラミネートしたものや、紙/PE/AL/PE/Ny又はPET/LLの構
成のもの)等が使用される。
このような三層構造の多層紙袋は以下の製造工程A乃
至Dを経て製造される。
(工程A) 第1図の上方の開口部(18)が内容物を充填する側で
あるが、多層紙袋(11)の上部の内層(12)と中間層
(13)及び中間層(13)と外層(14)が対向する面に点
糊(15)を介在させ、内層(12)、中間層(13)、外層
(14)を点接着する。なお、内容物充填後、点糊(15)
の下に図示したトリミング線(16)の部分から切断され
る。
第1図の下方の開口部(18)は底貼部であり、通常上
記の点糊は介在させない。しかし、外層(14)がクラフ
トやクルパックの場合には、第2図のように、多層紙袋
(11)の下部の中間層(13)と外層(14)の間に点糊
(17)を介在させる。
なお、点糊(15A)は、中間層(13)と外層(14)の
間の点糊(15)より下に位置し、しかもトリミング線
(16)より下に位置する。これにより、トリミング後に
多層紙袋(11)の上部をオーバーテープ又はミシン縫い
による場合にも、点糊(15A)は、中間層(13)と外層
(14)の間を固定する役割を持っている。
(工程B) このような状態で、多層紙袋(11)の下方の外層(1
4)の外側から、ヒートシール機により、加熱して、内
層(12)の下部に溶着部(12A)を形成する(第1熱融
着)。
第1熱融着の条件は、内層(12)の材質によって異な
るが、例えば、内層(12)に直鎖状低密度ポリエチレン
(L−LDPE・・・東洋ソーダ ニポロン−L F10)を使
用した場合、融点は123℃(JIS;DSC法によるプラスチッ
クの転移温度測定方法による)であり、軟化点は、105
℃(JIS;熱可塑性プラスチックのピカット軟化温度試験
方法による)であるから、少なくとも、融点以上の温度
で加熱する必要がある。
(工程C) 工程Bの後、直ちに多層紙袋(11)をその軟化点以下
まで冷却する。上記の実施例では、直鎖状低密度ポリエ
チレン(L−LDPE)の軟化点は、105℃であるから、少
なくともそれ以下に冷却する必要がある。
冷却の方法は、自然冷却によっても良いし、強制冷却
によっても良い。
(工程D) 続いて、多層紙袋(11)の幅より長いオーバーテープ
(20)を多層紙袋(11)の下部の開口部(18)の外表面
にV字状に折り曲げて当接させ、オーバーテープ(20)
の外側から、ヒートシール機で加熱して、オーバーテー
プ(20)と外層(14)の間を接着する(第2熱融着)。
なお、オーバーテープ(20)の内面には、通称ホット
メルトと呼ばれる加熱溶融性接着剤(21)を使用する。
その主成分は、ポリエチレン(PE)や、ポリビニル・ア
クリレート(PVA)や、エチレン酢酸ビニル共重合体(E
VA)等が用いられる。これらホットメルトの融点は60℃
から90℃である。加熱溶融性接着剤(21)は、オーバー
テープ(20)の基材の上も接着面側に塗布又は積層され
ている。
オーバーテープ(20)の基材は、紙(クラフトやクル
パック)に強度を付与した補強層を積層した複合紙を使
用する。例えば、クラフト(K)/ポリエチレン(PE)
/ペーパークロス(PC)/ホットメルト(HM)、クルパ
ック(CL)/PE/PC/HM、K又はCL/PE/Ny又はPET/HM、PC
(ポリエチレンクロス又はポリプロピレンクロス)/HM
や、K又はCL/変性PE(HMの役割を果たし、かつ伸縮性
がある。)等がある。
なお、紙のみにホットメルトを積層したものは、強度
的に不十分であり、テープが破れることが多く、又強度
を高めるために紙の坪量を増さざるを得ないため、テー
プの耳が硬くなり、この部分と衝突した他の袋が破裂す
るといった欠点があった。
このような、条件のもとで、上記の第2熱融着の熱融
着の条件は、第1熱融着の温度>第2熱融着の温度に設
定すれば、内層(12)を中間層(13)に熱溶着させるこ
とは無く、且つ内層の底シール幅がテープの幅に拡がっ
たり、内面同士がブロッキングしたりすることもない。
従って、第2熱融着の温度は、少なくとも内層の資材の
融点より、低い温度である必要がある。
特に内層(12)の軟化点以下の融点をもつ接着剤21を
使用して、内層(12)の軟化点以下にオーバーテープ
(20)を外側から加熱すると好適である。このようにす
れば、内層(12)が軟化して、中間層(13)に溶着する
こと無く、且つ内層の底シール幅がテープの幅に拡がっ
たり、内面同士がブロッキングしたりすることもなく、
オーバーテープ(20)を外層(14)に溶着出来る。
本発明の実施例では、融点は90℃であり、軟化点は70
℃である接着剤を使用した。
又、外層(14)又はオーバーテープ(20)にポリエチ
レン(PE)又は、ポリプロピレン(PP)のペーパークロ
スを使用している場合には、該クロスを熱劣化させない
ように注意しなければならない。特に外層(14)の内面
がクロスの場合、内層(12)に対する第1熱融着の際、
加熱部位のクロスが溶解して、内層(12)と溶着する恐
れがあるので、中間層(13)に紙を用いるか、又は中間
層(13)が無い場合には、融着防止用離型剤(シリコ
ン、石鹸、インク等)を塗布すると良い。
以上が本発明の製造の基本的な工程である。なお、上
記の外層(14)の素材にポリエチレン又は、ポリプロピ
レンのペーパークロスを使用した場合に第1熱融着のヒ
ートシールを行うときに、外層(14)のポリ面が熱劣化
するが、このような熱劣化した部分は、オーバーテープ
(20)の幅が外層(14)の下部の第1熱融着のヒートシ
ールの幅よりも大きくすれば、該熱劣化部分は、オーバ
ーテープ(20)により完全に包み込まれ、その強度上オ
ーバーテープ(20)による多層紙袋(11)の封緘に付
き、特に問題は無くなる。
次に、このようにして製造した多層紙袋(11)の内容
物の充填に関して説明すると、第4図は、第1図の多層
紙袋(11)をトリミング線(16)から切断したものにオ
ーバーテープ(20)を溶着したものであり、第5図は、
第2図の多層紙袋(11)をトリミング線(16)から切断
したものにオーバーテープ(20)を溶着したものであ
る。それぞれ、上記の工程A乃至Dを使用して溶着した
ものである。
更に、第7図及び第8図は、それぞれ第1図及び第2
図の多層紙袋(11)を従来のミシン縫いの方法により、
多層紙袋(11)の上部開口部(18)を封緘したものであ
る。30はクレープ紙であり、31はミシン縫い糸である。
(実験例) このような、本件発明の多層紙袋(11)と従来ものと
を比較するため落下実験を行った。従来のミシン袋と本
件発明袋につき、紙袋に紙のみを使用した場合と、ペー
パークロスを使用した場合について実験を行った。
水平落下試験では、両者に差はみられなかった。
側面落下試験では、従来のミシン袋は、先ず、紙袋に
紙のみを使用したものは、1回で破袋した。紙袋にペー
パークロスを使用したものは、3回乃至5回で破袋し
た。破袋部位は何れもミシン目付近であった。
本発明の多層紙袋(11)で同じ実験を行った時は、先
ず、紙袋に紙のみを使用したものは、3回で破袋した。
紙袋にペーパークロスを使用したものは、10回では破袋
しなかった。破袋部位は本体の胴部である。
(発明の効果) 本発明によれば以下の効果を奏する。
従来のミシン袋に比較して特に多層紙袋(11)の底部
で、内袋の容積を最大限に活用可能である。
又第2熱融着の熱融着の条件を、第1熱融着の温度>
第2熱融着の温度に設定したので、内装がオーバーテー
プを溶着する時にブロッキングすることが無くなった。
又、オーバーテープに紙の複合材料を使用したので、
オーバーテープの部分が、破れることが無い。
多層紙袋(11)の底部にオーバーテープを溶着したの
で、多層紙袋(11)の上部を開封した後、多層紙袋(1
1)の下部のオーバーテープを開封すれば、内袋(12)
が容易に取り出せ、いわゆるバックインバックとなる。
多層紙袋(11)の上部にも、オーバーテープを溶着すれ
ば、内層(12)は袋全体を取り出しが可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の方法により製造した一実施例であっ
て、外層にぺーパークロスを用いたもののであり、第3
図におけるA−A断面図を表したものである。 第2図は、第1図と同様であり、外層にクラフト又はク
ルパックを用いたものの第3図におけるA−A断面図を
表したものである。 第3図は、本発明の製造方法によって製造した多層紙袋
の正面図である。 第4図及び第5図は、それぞれ第1図及び第2図の多層
紙袋の上部開口部を下部開口部と同様な方法で封緘した
ものを示す断面図である。 第6図は、第4図又は第5図の内層を取り出した状態を
示す断面図である。 第7図及び第8図は、それぞれ第1図及び第2図の多層
紙袋の上部開口部を従来のミシン縫いの方法で封緘した
ものを示す断面図である。 第9図は、第7図又は第8図の内層を取り出した状態を
示す断面図である。 11……多層紙袋 12……内層 12A……溶着部 13……中間層 14……外層 18……開口部 20……オーバーテープ 21……加熱溶融性接着剤
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B31B 1/00 - 49/04 B65D 30/08

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】合成樹脂製薄膜筒袋の内層及び紙製の外層
    を同寸に切断し、この切断の端部を内層の融点以上の温
    度でヒートシールして内層の端部を溶着し、このヒート
    シール溶着部を冷却し、このシール溶着部の外側の外層
    の端部に対し、複合紙の内面に加熱溶融性接着剤を積層
    したオーバーテープを2つ折りにして当接し、この当接
    したオーバーテープの外側から加熱して、内層の融点以
    下の温度でヒートシールして重包装紙袋の開口部を封緘
    することを特徴とする合成樹脂製薄膜筒袋を内層した多
    層紙袋の製造方法
  2. 【請求項2】複合紙の内面に加熱溶融性接着剤を積層し
    たオーバーテープを2つ折りにして、これを、重包装紙
    袋の開口部に当接し、外層にヒートシールするに際し、
    内層の軟化点以下の温度でヒートシールすることによ
    り、内層の軟化を防止し併せて内層の内面同士がブロッ
    キングしないようにすることを特徴とする請求項1に記
    載の合成樹脂製薄膜筒袋を内層した多層紙袋の製造方法
  3. 【請求項3】内層と外層の間に紙製の中間層を設けて、
    内層の外層への融着を防止することを特徴とする請求項
    1に記載の合成樹脂製薄膜筒袋を内層した多層紙袋の製
    造方法
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