JP2002160742A - フィルム内装紙袋用チューブ並びに同チューブよりなる袋 - Google Patents

フィルム内装紙袋用チューブ並びに同チューブよりなる袋

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Abstract

(57)【要約】 【課題】多層紙袋の誤開封を防止し、接着剤不要、紙袋
資源の再利用を容易とし、環境対策を解決し、かつコス
トの低減をもたらすこと。 【解決手段】紙層と熱接着可能なポリフィルムとの交互
の多層よりなるチューブの端部を波押し形加工を兼ねて
擬似溶着すること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、窯業、建材、農水
産物、肥料、化学工業等の各部門に使用される複数層よ
りなるフィルム内装紙袋の製造に用いられる紙袋用チュ
ーブの改良、並びに該チューブよりなる袋に関する。尚
チューブとは、原紙を筒状に形成接着し、一定の寸法に
断裁し、両端を開口したままとした製袋用原材料をい
う。
【0002】
【従来の技術】従来より存在する多層のクラフト紙袋
は、クラフト原紙を複数層重ね、各層の原紙を筒状に形
成接着し、一定の寸法に断裁してチューブとし、通常該
チューブの一端を接着、縫着して袋状とし、内容品を収
納した後、他端を接着、縫着する使用態様のものであ
る。
【0003】特に内容品の自動充填工程等においては、
多層の紙袋の開口を容易正確に行う必要性と、紙層間に
内容品充填時に該内容品の一部或は異物が浸入する恐
れ、或は開口部において、開口されるべきではない紙層
間の誤開封を防止するため、時に袋の上口部の各紙層間
を糊付けすることなどが行われることがある。
【0004】他方、近年産業廃棄物の減少策や、廃棄物
中の利用し得る資源の再利用たるリサイクル策がやかま
しく論じられる様になった。多層クラフト紙袋を製造
し、使用する各業界においても、紙料のリサイクルが解
決しなければならない課題となっている。
【0005】特に多層紙袋には、ポリフィルムを介装し
たものがあり、使用後の多層紙袋の紙層とフィルム層と
の分離が困難であることがリサイクル上の問題となって
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の多重袋、特にフ
ィルム内装多重紙袋にあっては、多数積層して保管され
ていた多層紙袋を、内容品を充填するため開口する際
に、開口部において開口されるべきではない紙層間が開
封されたり、開封された開口周縁の紙層間に異物が混入
したりして、作業効率が下がることがある。この誤開封
を防止するため、開口周縁の各層を糊を用いて貼着する
ことが行われる。
【0007】従来の手段は、糊を使用するため、フィル
ムが介装されるものには、紙層のみのものと異なり、特
殊の糊が必要であり、また糊塗着装置、乾燥装置等を付
設する必要が生ずるのみでなく、糊材の垂れによる装
置、環境の汚染の問題を有している。
【0008】更に、使用済の袋を資源再利用に回すため
には、紙層とフィルム層との分離が必要であるが、従来
の糊で接着されたものでは紙層とフィルム層の分離が困
難であり、そのため紙資源としてもフィルム資源として
も再利用し難く、徒に廃棄物の山を生ずるばかりであ
る。
【0009】この為、前述の紙層間への異物の浸入を皆
無とすること、並びに糊の使用を止めることが解決すべ
き課題の第1であり、更に紙とフィルムの分離を容易と
し、資源の再利用、リサイクルという環境対策の解決が
第2の課題であり、ひいてはコスト低減が課題となって
いた。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、請求項1の発明では、紙袋用チューブを、製袋前
の、複数層の各紙層の間に熱接着可能なポリフィルムが
介装された複数層よりなる筒状の紙袋用チューブであっ
て、該チューブの少なくとも一端の開口部が前記ポリフ
ィルムと共に波押し形加工を兼ねて加熱圧着され、該端
の全幅にわたり隣接する各紙層間が擬似溶着されている
という構成とした。
【0011】また請求項2の発明では、紙袋用チューブ
を、製袋前の、複数層の各紙層の間に熱溶着可能なポリ
フィルムが介装された複数層よりなる筒状の紙袋用チュ
ーブであって、該チューブの両端の開口部がポリフィル
ムと共に波押し形加工を兼ねて加熱圧着され、該端の全
幅にわたり隣接する各紙層間が擬似接着されているとい
う構成とした。
【0012】請求項3の発明では、袋を、複数層の各紙
層の間に熱接着可能なポリフィルムが介装された複数層
よりなる筒状の紙袋用チューブであって、該チューブの
少なくとも一端の開口部が前記ポリフィルムと共に波押
し形加工を兼ねて加熱圧着され、該端の全長にわたり隣
接する各紙層間が擬似溶着されているフィルム内装紙袋
用チューブを用い、一端が前記擬似溶着部とされた開口
部とされ、他端が封止された底部とされているフィルム
内装紙袋用チューブよりなる袋という構成とした。
【0013】
【発明の実施の形態】図1は上端のみに擬似溶着部の設
けられた複数層の紙袋用チューブの側面図、図2は上限
両端に擬似溶着部の設けられた複数層の紙袋用チューブ
の側面図、図3は紙2層とフィルム層の3層よりなる紙
袋用チューブの擬似溶着前の端面図である。
【0014】紙袋用チューブの複数層の各紙層は、図3
に示すごとく、それぞれ側端が接着され筒状とされ、前
記チューブの上下端は、開口のままとされている。尚、
熱接着可能なポリフィルムは、袋の用途等により、必ず
しも筒状に接着する必要はなく、図3に示すごとく、側
端を重ね合わせたままであってもよい場合もある。
【0015】図3は、表面紙層1、ポリフィルム2、内
面紙層3よりなる、紙層としては2層の構成であり、両
紙層1、3の側端はそれぞれ接着剤6、6により筒状に
接着されている。尚、2層以上複数層のものは、紙層と
ポリフィルムとが交互に積層された構成である。
【0016】図1は上端開口のみに擬似溶着部4を設け
た紙袋用チューブ5を示し、図2は上下両端開口に擬似
溶着部4、4を設けた紙袋用チューブ5を示している。
【0017】擬似溶着とは、紙袋用チューブ5の端部を
加熱プレスにより加熱圧着し、紙層1、3とポリフィル
ム2とが、袋の使用後の分離の際に、双方の組織を破壊
することもなく分離しうる溶着手段をいい、不完全な接
着状態であり、ポリフィルム2が原形を保ったまま溶融
温度に加熱され、単に圧着された状態をいう。
【0018】前述の擬似溶着の状態で所期の目的を達し
得る筈であるが、本発明では、単なる擬似溶着に加え
て、擬似溶着部に波押し形プレス加工を施工し得る様、
プレスの上下の加熱圧着面に波押し形の凹凸を設け、該
プレスの上下の加熱圧着面にフィルム内装紙袋用チュー
ブでの擬似溶着部を挟持し、加熱圧着することにより擬
似溶着すると同時に波押し形加工を施し、擬似溶着によ
る抗分離力に加えて、機会的抗分離力を保持させ、紙袋
用チューブの運搬時における開口部の擬似溶着のみによ
る擬似溶着部の紙層間の剥離や、内容品収納の際におけ
る開口部の前記剥離による誤開封の、万一の発生トラブ
ルを防止し、且つ使用後の多層紙袋の紙層とポリフィル
ム層との分離を容易とする擬似溶着部の機能保持を可能
ならしめたものである。
【0019】尚擬似溶着の溶着条件は、紙層やポリフィ
ルムの種類、層の数、厚さ、性状特に熱接着性等により
異なり、最適な加圧力、加熱温度、加圧時間を求めて施
工する。勿論波押し形加工のプレス加熱圧着面の波押し
形によっても条件を異にする。
【0020】前記プレス加熱圧着面の波押し形の波の形
状は、図5~図8に示すごとく、水平波押し形4A、垂
直波押し形4B、斜波押し4C、破線状波押し形4Dと
色々の形状のものが考えられ、その他点状波押し形等も
考えられる。
【0021】加熱温度としては、例えば、100〜30
0℃の範囲とし、好ましくは200℃附近とする。
【0022】熱接着可能なポリフィルムとしては、環境
問題に配慮すると、ポリオレフィン系樹脂のごとき、非
塩素系樹脂が適当であり、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン等のフィルムも適当である。
【0023】紙袋用チューブの端部の加熱圧着による擬
似溶着部は、多層紙袋の製造法の相違により、請求項1
の発明のごとく、その一端のみに形成してもよく、請求
項2の発明のごとく、両端に形成する方が好ましい場合
もある。また擬似溶着部は胴部の任意の位置に追加する
こともできる。
【0024】一端を擬似溶着したチューブは、溶着しな
い他端を製袋時の底部加工側とすべきであり、擬似溶着
しない端部の紙層間に異物が入る可能性を防除すべきで
あって、両端擬似溶着のチューブではこのトラブルの恐
れはない。
【0025】紙袋としての底部の加工は、ミシン縫型、
のりばり型のいずれもよく、底貼袋も可能で、底部の折
返し粘着も可能である。勿論底部のフラップを折り返し
て粘着することも可能である。また口部の封止にはホッ
トメルト接着剤を使用することができる。
【0026】図4にひだなし片縫い袋(上端開口で下端
ミシン縫い型)の実施例を示す、4は擬似溶着帯で水平
波押し形4Aのものを示す。7は縫い目であり、開口端
8は内容品を充填した後閉じられる。
【0027】
【発明の効果】本発明は、複数層の紙層よりなる紙袋用
チューブの各紙層の間に、熱接着可能なポリフィルムを
介装させた紙袋用チューブを用い、該チューブの端部の
開口部を、各紙層とポリフィルムと共に波押し形で擬似
溶着状態で加熱圧着したものであり、製袋及び内容品の
収納に際し、端部たる開口部の多層全体が一体となって
開口され、紙袋の開口が容易正確に行われ、端部を形成
する、開口されるべきではない紙層間に異物が浸入する
恐れもなく、また紙層間の誤開封を防止でき、作業効率
の向上にも役立つ効果を奏する。
【0028】波押し形加工を兼ねた加熱圧着による開口
部の各層の擬似溶着である接着は、簡易な加熱プレス機
で行うことが出来、場合によりチューブ形成機の直後に
設置することも可能であり、設備費を余り要することな
く実施しうる効果を奏する。
【0029】接着剤即ち糊を全く用いることなく開口部
の多層の一体化が実現出来るので、接着剤費が不要であ
り、また接着機周辺接着剤が飛散する恐れも皆無で、工
場内のチューブ製造や製袋関係諸機械の清掃も容易であ
り、また接着剤の乾燥工程が不要となり、作業効率の向
上にも計り知れない効果を奏する。
【0030】波押し形加工を兼ねた加熱圧着による擬似
溶着であるので、使用済の紙袋とポリフィルムとの分離
が極めて容易であるため、紙とポリフィルムとを完全に
分けることが出来、紙とポリフィルムとは別々にリサイ
クル可能となり、資源の再利用に役立ち、廃棄物皆無の
目標達成に優れた効果を奏する。
【0031】また、紙層とポリフィルムとの分離が極め
て容易であるため、分離、分別作業のコスト低減が実現
され、分離、分別作業の自動化の実現も可能である効果
を奏する。
【0032】擬似溶着に使用されるポリフィルムは、極
めて薄いフィルムで充分であり、フィルム費の軽減に役
立つ効果を奏する。1/100mm以下の厚さのフィル
ムでも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】一端に水平波押し形加工の擬似溶着部を有する
紙袋用チューブの側面図である。
【図2】両端に水平波押し形加工の擬似溶着部を有する
紙袋用チューブの側面図である。
【図3】紙層2層間にポリフィルムが介装された擬似溶
着加工前の紙袋用チューブの端面図である。
【図4】水平波押し形加工の擬似溶着部を有する片縫い
袋の側面図である。
【図5】水平波押し形加工の擬似溶着部の部分拡大図で
ある。
【図6】垂直波押し形加工の擬似溶着部の部分拡大図で
ある。
【図7】斜波押し形加工の擬似溶着部の部分拡大図であ
る。
【図8】破線状波押し形加工の擬似溶着部の部分拡大図
である。
【符号の説明】
1 表面紙層 2 ポリフィルム 3 内面紙層 4 擬似溶着部 4A 水平波押し形 4B 垂直波押し形 4C 斜波押し形 4D 破線状波押し形 5 紙袋用チューブ 6 接着剤 7 縫い目 8 開口端

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数層の各紙層の間に熱接着可能なポリフ
    ィルムが介装された複数層よりなる筒状の紙袋用チュー
    ブであって、該チューブの少なくとも一端の開口部が、
    前記ポリフィルムと共に波押し形加工を兼ねて加熱圧着
    され、該端の全幅にわたり隣接する各紙層間が擬似溶着
    されているフィルム内装紙袋用チューブ。
  2. 【請求項2】複数層の各紙層の間に熱接着可能なポリフ
    ィルムが介装された複数層よりなる筒状の紙袋用チュー
    ブであって、該チューブの両端の開口部が前記ポリフィ
    ルムと共に波押し形加工を兼ねて加熱圧着され、該端の
    全幅にわたり隣接する各紙層間が擬似溶着されているフ
    ィルム内装紙袋用チューブ。
  3. 【請求項3】複数層の層の各紙層の間に熱接着可能なポ
    リフィルムが介装された複数層よりなる筒状の紙袋用チ
    ューブであって、該チューブの少なくとも一端の開口部
    が前記ポリフィルムと共に波押し形加工を兼ねて加熱圧
    着され、該端の全幅にわたり隣接する各紙層間が擬似溶
    着されているフィルム内装紙袋用チューブを用い、一端
    が前記擬似溶着部とされた開口部とされ、他端が封止さ
    れた底部とされているフィルム内装紙袋用チューブより
    なる袋。
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