JP2924580B2 - 樹脂モールド型化合物半導体光素子及び樹脂モールド型発光ダイオード - Google Patents

樹脂モールド型化合物半導体光素子及び樹脂モールド型発光ダイオード

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、樹脂モールド型の化合
物半導体光素子、特に発光ダイオードの光の外部取出し
効率を改善したものに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、AlGaAsを用いた赤色発光ダ
イオードは、屋外用ディスプレイや自動車用ハイマウン
トストップランプとして用いられるようになってきた。
これらの用途に用いるためには、白昼でも視認できる程
度に輝度が高いことが要求される。また、同じくAlG
aAsやGaAsを用いた赤外発光ダイオードは、踏切
の無人監視システムや、無人搬送車の制御システム用等
の空間光伝送系デバイスとして用途が拡大し、発光出力
の向上が強く要求されている。この要求に応えるために
発光ダイオードの構造として、シングルヘテロ構造(S
H構造)、ダブルヘテロ構造(DH構造)、裏面反射型
DH構造等が検討されると共に、発光ダイオードの表面
に酸化シリコンやシリコンナイトライド等の保護膜を形
成し、光の取出し効率を高める構造が提案されている。
また、これらの発光ダイオードは、コスト、信頼性、使
いやすさの面から樹脂モールド型発光ダイオードとして
使用されることがほとんどであるため、レンズとしての
樹脂モールド形状の検討や、低応力化や耐湿性向上とい
った樹脂の材質の検討も行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】発光ダイオードはpn
接合界面の近傍で発光が起こる。最近はヘテロ構造最適
化の検討が進み、例えばDH構造のAlGaAs赤外発
光ダイオードの内部量子効率は、ほぼ100%に達して
いる。従って発光ダイオードの光出力を高めるために
は、外部量子効率を向上すること、すなわち発光ダイオ
ードの内部で発生した光を外部に効率よく取り出すこと
が必要となる。
【0004】ここで、赤色または赤外用のAlGaAs
発光ダイオードに用いられている基本素子構造を図10
に示す。p型AlGaAs活性層3で発生した光は主に
表面電極6を除いたn型AlGaAsウィンドウ層(光
取出し層)4表面より外部に取り出される。この時、発
生した光の一部はn型AlGaAsウィンドウ層4の表
面で反射してしまい、光を効率よく利用することができ
ない。
【0005】そこで、空気の屈折率と発光ダイオード表
面の屈折率とに適合するシリコンナイトライド(Si3
4 )を反射防止膜として用いて表面における反射を低
減している。しかし、発光ダイオードチップをモールド
樹脂で覆うモールド樹脂型発光ダイオードに、このSi
3 4 反射防止膜を用いると、樹脂の屈折率と発光ダイ
オード表面の屈折率とに適合しなくなり、光の反射損失
が低減できない。
【0006】例えば、Si3 4 を反射防止膜に用いた
DH構造AlGaAs赤色または赤外発光ダイオードで
は、活性層で発生した光の10%程度しか外部に取り出
すことができない。また、特にAlGaAs赤色発光ダ
イオードでは光取出し層のAlAs混晶比が高く、化学
的に活性な状態にあるため、周囲の樹脂を透過してくる
極く微量の水分によって表面の酸化が起こり、光出力劣
化の原因となっている。
【0007】なお、これらの問題は何も発光ダイオード
に限定されるものではなく、受光素子も含めて、樹脂モ
ールドを施して使用する化合物半導体光素子についても
共通する。
【0008】本発明の目的は、適合した屈折率をもつ反
射防止膜で光素子表面を覆うようにすることによって、
前記した従来技術の欠点を改善し、樹脂モールド後の光
特性が良好でかつ耐湿性に優れた高輝度、高信頼性の化
合物半導体光素子を安価に提供することにある。
【0009】また、本発明の目的は、反射防止膜をさら
に保護膜で覆うことによって、信頼性をより向上させる
ことが可能な発光ダイオードを提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、屈折率が2.
2〜2.7の反射防止膜が表面に設けられた化合物半導
体光素子をモールド樹脂で覆った樹脂モールド型化合物
半導体光素子において、上記反射防止膜の上に該反射防
止膜を保護するための保護膜が設けられており、かつ上
記モールド樹脂の屈折率をn 1 、上記保護膜の屈折率及
び膜厚をそれぞれn 2 、d 2 、上記反射防止膜の屈折率
及び膜厚をそれぞれn 3 、d 3 、上記化合物半導体光素
子表面の屈折率をn 4 、発光ピーク波長をλ 0 としたと
き次の関係を満たすものである。
【0011】(イ)n 2 2 4 =n 3 2 1 (ロ)n 2 2 =n 3 3 =(1/4)λ 0 ×(奇数) 反射防止膜や保護膜は誘電体膜で構成し、反射防止膜は
硫化亜鉛、酸化チタン、硫化ひ素で形成し保護膜は酸
化シリコンまたはシリコンナイトライドで形成すること
が好ましい。
【0012】そして反射防止膜及び保護膜の総厚さが
50〜800nmであることが特に好ましい。また、反射
防止膜または保護膜はスパッタリング法で形成するとよ
い。
【0013】そして、pn接合の構成材料がIII −V族
化合物半導体であり、光取出し層がAlGaAs層であ
り、かつpn接合がヘテロ接合構造である発光ダイオー
ドに適用できる
【0014】
【作用】本発明において、化合物半導体光素子の表面に
設けられる反射防止膜は、その屈折率が2.2〜2.7
の反射防止膜である。これにより樹脂モールド後の光素
子と樹脂の界面における光の反射損失を大幅に低減する
と共に、光素子表面の酸化による特性の劣化を低減する
ものである。
【0015】本発明の化合物半導体光素子には、AlG
aAs系、GaAs系、GaAsP系、GaP系、In
GaAs系、GaN系等の発光ダイオード及び受光ダイ
オード等が含まれる。これらの化合物半導体光素子の表
面に形成する反射防止膜の屈折率は2.2〜2.7であ
ることが望ましい。これは、次の理由による。
【0016】すなわち、AlGaAs系、GaAs系等
の化合物半導体材料の屈折率は3.3〜3.9である。
一方、モールド用樹脂の屈折率は1.5〜1.7であ
る。いま、モールド用樹脂の屈折率をn1 、反射防止膜
材料の屈折率をn3 、厚さをd3 、化合物半導体光素子
表面の屈折率をn4 、発光ピーク波長をλ0 とすれば、
光放射面あるいは光入射面に垂直に入射する光の反射率
は式(1) 、(2) の条件を満たすときに最小となる。
【0017】 n3 =(n1 4 1/2 (1) n3 3 =(1/4)λ0 ×(奇数) (2) 式(1) から反射防止膜材料の屈折率nを算出すると、
2.2〜2.7の範囲が適切であることが分かる。屈折
率がこの範囲にある材料としては、硫化亜鉛、酸化チタ
ン、硫化ひ素、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化
ビスマス、セレン化亜鉛、硫化カドミウム、硫化アンチ
モン等がある。しかし反射防止膜材料には、化学的に安
定であること、形成方法および屈折率の制御が容易なこ
と、素子形成プロセスにおいて加工しやすいこと等が要
求される。これらの要求を満たす材料としては、硫化亜
鉛、酸化チタン、硫化ひ素があげられる。
【0018】ところで、これら硫化亜鉛、酸化チタン、
硫化ひ素等は、長期に使用されると劣化しやすく、表面
の平坦性も良くないので、これらを改善して信頼性をさ
らに上げることが好ましい。そこで、反射防止膜の上を
さらに保護膜で覆うようにする。これにより、反射防止
膜の劣化を防止し、表面の平坦性を良好にする。
【0019】このように発光ダイオード表面を覆う誘電
体膜が2層構造の場合には、図8(B)に示すように、
保護膜、反射防止膜材料の屈折率をn2 、n3 、これら
の厚さをd2 、d3 とすれば、光放射面あるいは光入射
面に垂直に入射する光の反射率は式(3) の条件を満たす
ときに最小となる。
【0020】 n2 2 4 =n3 2 1 (3) n2 2 =n3 3 =(1/4)λ0 ×(奇数) (4) 上記屈折率を満たす保護膜材料としては、SiO2 また
はSi3 4 があげられる。
【0021】式(1) 、(3) は、反射防止膜、保護膜の膜
厚を規定するものであるが、基本的に膜厚と屈折率の積
が発光ピーク波長の1/4かまたはその奇数倍で、かつ
屈折率が式(2) または式(4) を満たすとき、計算上の反
射率は0となる。しかし、発光ダイオードの発光波長に
幅があること、反射防止膜や保護膜の膜厚が厳密には一
定ではないこと、屈折率にもばらつきがあること等によ
り実際の反射率は膜厚を最適化しても0.2〜2%程度
になる。耐湿性の面からは、膜厚が50nm以上であれば
発光ダイオードの信頼性の確保に支障はない。しかし、
総膜厚が800nmを越えると光取出し層と反射防止膜層
との界面の応力が大きくなり、界面に欠陥が発生した
り、反射防止膜にクラックが生じたりする。
【0022】硫化亜鉛、酸化チタン、酸化ヒ素、あるい
は酸化シリコン、シリコンナイトライド各膜の形成方法
としては生産性、安全性、膜厚および屈折率の制御性の
点でスパッタリング法が適しているが、真空蒸着法、化
学的気相堆積(CVD)法でも良い。
【0023】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。第1〜第
3の実施例(比較例)は発光ダイオードの表面に単層の
反射防止膜を設けた例、第4の実施例(本発明の実施形
態)は反射防止膜と保護膜からなる2層の誘電体薄膜を
設けた例である。
【0024】(第1実施例) 図1はDH構造AlGaAs赤色発光ダイオードの構造
を示すものである。この発光ダイオードは、p型GaA
s基板1上に形成されたp型AlGaAsクラッド層
2、p型AlGaAs活性層3、n型AlGaAsウィ
ンドウ層4の三層のエピタキシャル層と、表面に形成さ
れた硫化亜鉛反射防止膜5と表面電極6、及び裏面に形
成された裏面電極7により構成される。p型GaAs基
板1は厚さ250μm 、キャリア濃度1×1019cm-3
ある。p型GaAsクラッド層2は、膜厚30μm 、A
lAs混晶比0.65、キャリア濃度は1×1018cm-3
である。p型AlGaAs活性層3は膜厚1〜3μm 、
AlAs混晶比0.35、キャリア濃度は1×1018cm
-3である。p型AlGaAsウィンドウ層4は膜厚40
μm 、AlAs混晶比0.65、キャリア濃度は1×1
18cm-3である。硫化亜鉛反射防止膜5は、膜厚71n
m、屈折率2.33である。発光ダイオードのサイズ
は、0.3×0.3×0.3t (mm)程度である。
【0025】図2に本実施例のDH構造AlGaAs赤
色発光ダイオードを使用した樹脂モールド型発光ダイオ
ードの実施例を示す。この樹脂モールド型発光ダイオー
ドは、発光ダイオード8と、このアノードとカソードそ
れぞれの電極と電気的に接続された金属製のリード9及
び10と、発光ダイオード全体を覆いかつレンズ状に成
形された光透過性を有するエポキシ樹脂11により構成
される。リード9は支持体を有し、発光ダイオード8は
この支持体の上に導電性樹脂により接着されている。発
光ダイオードの表面形成された表面電極とリード10と
は金線12により接続されている。
【0026】ここで、DH構造AlGaAs赤色発光ダ
イオードの製造方法について述べる。
【0027】まず、エピタキシャル層をスライドボート
を用いた液相エピタキシャル法で成長させる。具体的に
は、三層成長用スライドボートにGaAs基板と原料を
セットする。このスライドボートを反応管内に設置し、
反応管内の空気を真空ポンプで排気後、水素ガスを導入
する。その状態でエピタキシャル炉の温度を冷却開始温
度まで昇温する。昇温後その温度に保持し、成長用の均
質な容易を作成し、エピタキシャル炉の温度を下げ始め
る。スライドボートの基板ホルダを移動させ、GaAs
基板を第1層用溶液、第2層用溶液、第3層用溶液と順
次接触させていくことによりDH構造のエピタキシャル
層を成長させる。エピタキシャル成長の終了後に、炉の
温度を下げ、エピタキシャルウェハを取り出す。
【0028】次に、得られたエピタキシャルウェハの表
面に硫化亜鉛膜を形成する。硫化亜鉛膜の形成にはスパ
ッタリング法を用いる。チャンバ内に設置された高周波
電極のカソード側に配置した硫化亜鉛固体ターゲットを
アルゴンと硫化水素の混合ガスを用いてスパッタし、ア
ノード側に配置したエピタキシャルウェハ上に硫化亜鉛
膜を形成する。このとき、チャンバ内に導入する硫化水
素とアルゴンの割合を変えることにより屈折率の制御を
行う。
【0029】具体的には印加する高周波電力が10〜5
00W 、チャンバ内圧力が1×10-3〜3×10-2torr
の条件で硫化水素とアルゴンのモル比(H2 S/Ar)
を0〜0.5の間で変えることにより屈折率を2.25
〜2.43の間で変えることができる。屈折率がこの範
囲外になると硫化亜鉛膜は化学的に不安定な状態となり
空気中で容易に酸化される。硫化水素とArは、予め混
合ガスとして充填されたシリンダから供給しても良いし
それぞれ別のシリンダから供給しても良い。また、硫化
水素は、水素との混合ガスとして供給しても良い。ここ
では、高周波電力200W 、チャンバ内圧力3×10-2
torr、硫化水素とアルゴンのモル比0.2の条件で硫化
亜鉛の固体ターゲット(φ100mm)をスパッタした。
これにより屈折率が2.33の硫化亜鉛膜を71nm形成
した。この条件での成膜レートは7.5nm/minである。
【0030】硫化亜鉛膜を形成したエピタキシャルウェ
ハ上にフォトリソグラフィ法でφ150μm の表面電極
を形成する。まず、ポジ型フォトレジストパターンを形
成した後、硫化亜鉛膜をRIE法(反応性イオンエッチ
ング法)でエッチング除去する。エッチングガスにはメ
タンと水素の混合ガスを使用し、チャンバ内圧力が5×
10-1torr、ガス流量はメタンが10sccm、水素が5sc
cm、高周波電力が10W の条件でエッチングを行った。
この場合のエッチングレートは、20nm/minであった。
エッチングの後ウェハ表面に表面電極金属材料を真空蒸
着法により形成し、リフトオフ法で不必要な金属膜を下
地のレジスト層ごと除去する。続いてウェハの裏面に裏
面電極を形成する。
【0031】電極を形成したウェハにフォトリソグラフ
ィ法を用いてメサエッチングを施し、ウェハ上で各発光
ダイオード毎にpn接合を分離する。しかる後にウェハ
をダイシングソウで切断し、DH構造AlGaAs赤色
発光ダイオードを作製する。このような発光ダイオード
を作製するに際して、上記した実施例である硫化亜鉛
の他に、シリコンナイトライドと酸化チタンを反射
防止膜として使用した2種類の発光ダイオードと、比較
例として屈折率が2.7を超えるセレン化ひ素(As
Se)を反射防止膜として使用した発光ダイオード、お
よび反射防止膜を形成しない発光ダイオードとを作製
した。なお、比較例としてセレン化ひ素を挙げたのは次
の理由による。一般に、屈折率が2.7を超える材料
は、可視光領域で光吸収を有するものが多い。この点
で、セレン化ひ素は発光ダイオードの発光波長域で屈折
率が2.7を超え光吸収が小さく、かつ膜の形成方法が
容易な材料だからである。
【0032】シリコンナイトライド膜の形成にはプラズ
マCVD装置を用い、ノモシランガスとアンモニアガス
を原料として成膜した。シリコンナイトライド膜の膜厚
と屈折率は、87nm及び1.9となるようにした。酸化
チタン膜の形成にはやはりスパッタリング装置を使用
し、φ100mmのチタン固体ターゲットをアルゴンと酸
素の混合ガスを用いてスパッタし成膜を行った。酸化チ
タンをスパッタリング法で形成する場合、高周波電力2
00〜500W 、チャンバ内圧力5〜20×10-3torr
の条件で酸素とアルゴンのモル比を0.04〜1の間で
変化させることにより屈折率を2.2〜2.7の間で変
えることができる。屈折率が2.2より小さくなると酸
化チタンは機械的に脆い膜となってしまう。また屈折率
が2.7を越えると可視光領域に吸収をもつようにな
る。ここでは高周波電力250W 、チャンバ内圧力8×
10-3torr、酸素とアルゴンのモル比が0.04の条件
でスパッタを行い、屈折率が2.7の酸化チタンを61
nm形成した。この時の成膜レートは10.5nm/minであ
った。
【0033】また、セレン化ひ素膜の形成には抵抗加熱
方式の真空蒸着法を使用した。発光ピーク波長である6
60nmにおける膜の屈折率は3.1であり、膜厚は52
nmとした。
【0034】作製した5種類のAlGaAs赤色発光ダ
イオードを縦形リードフレームに実装し、さらに樹脂モ
ールドを施し、樹脂モールド型発光ダイオードを作製し
た。成形後の樹脂の屈折率は1.55であり、硫化亜
鉛、シリコンナイトライド、酸化チタン、セレン化ひ素
の各反射防止膜の厚さは、AlGaAs赤色発光ダイオ
ードの発光波長660nmに対し、前記式(2) の条件を満
たしている。
【0035】これら5種類の発光ダイオードについて、
室温で20mAの順方向電流を通電した場合の発光出力の
測定結果を図3に示す。反射防止膜を形成した発光ダイ
オードの光出力は、反射防止膜の無いものに比べ1.1
〜1.35倍に上昇した。ここではシリコンナイトライ
ドを形成した発光ダイオードの光出力が最も高くなっ
た。これは空気の屈折率1に対し、シリコンナイトライ
ドの屈折率1.9が最も反射率の低くなる値となってい
るからである。また、セレン化ひ素膜形成後の発光出力
は、形成前よりもかえって低下した。これはセレン化ひ
素の光吸収によるものである。
【0036】一方、反射防止膜を形成した樹脂モールド
型発光ダイオードの光出力は、反射防止膜のないものに
比べ1.4〜2.2倍に向上した。ここでは屈折率2.
33の硫化亜鉛を形成した場合が最も光出力が高くなっ
た。これは樹脂の屈折率1.55に対し、硫化亜鉛の屈
折率2.33が前記式(1) の条件を満たす条件となって
いるからである。屈折率3.1のセレン化ひ素を形成し
た場合は、硫化亜鉛と比べ45%と半分以下の値であっ
た。これはセレン化ひ素の光吸収係数が大きいことと、
屈折率が樹脂及びAlGaAsの屈折率に適合しないこ
とに起因する。さらに、硫化亜鉛と酸化チタンを反射防
止膜として形成した樹脂モールド型発光ダイオードと反
射防止膜を形成していないものについて、温度60℃、
湿度90%の条件で1,000時間の通電試験を時間実
施した結果を図4に示す。反射防止膜を形成していない
樹脂モールド型発光ダイオードの光出力は初期値に対し
て約22%低下したのに対し、反射防止膜を形成したも
のには光出力の低下はほとんど見られなかった。
【0037】(第2実施例) 図5はDH構造のAlGaAs裏面反射型赤外発光ダイ
オードの実施例を示すものである。使用するエピタキシ
ャルウェハは、p型AlGaAsクラッド層2、p型A
lGaAs活性層3、n型AlGaAsウィンドウ層4
をp型GaAs基板上にエピタキシャル成長した後にG
aAs基板を除去した構造である。この発光ダイオード
の発光ピーク波長が885nm、ウィンドウ層の表面屈折
率が3.85、モールド用樹脂の屈折率が1.55であ
ることから反射防止膜5として、屈折率が2.44の酸
化チタンを91nm形成した。
【0038】(第3実施例) pn接合をメサエッチングで分離した後に、メサ分離溝
の底を切断して素子を形成する場合は、メサ周囲を反射
防止膜で被覆しても良い。図6はDH構造のAlGaA
s裏面反射型赤色発光ダイオード実施例を示すものであ
る。反射防止膜5として屈折率が2.32の硫化ひ素膜
が71nm形成してある。硫化ひ素の形成にはスパッタリ
ング法を用い、φ100mmの硫化ひ素固体ターゲットを
硫化水素とアルゴンの混合ガスを用いてスパッタし成膜
した。硫化ひ素膜をスパッタリング法で形成する場合は
高周波電力5〜30W 、チャンバ内圧力5〜20×10
-3torrの条件で硫化水素とアルゴンのモル比を0〜0.
3の間で変えることにより、屈折率を2.3〜2.7の
間で変化させることができる。この場合の成膜レートは
3.5〜14nm/minである。メサ周囲まで反射防止膜を
形成すると、表面だけに形成した場合に比べ発光出力が
さらに5%程度向上し、さらに信頼性が高くなる。
【0039】(第4実施例) 第4実施例は、発光ダイオードの発光面に2層よりなる
反射防止膜を有するものである。図7にその発光ダイオ
ードの構造を示す。7は裏面電極、2はp型AlGaA
sクラッド層、3はp型AlGaAs活性層、4はn型
AlGaAsウィンドウ層、6は表面電極、13は酸化
シリコン(SiO2 )からなる保護膜、5は硫化亜鉛か
らなる反射防止膜である。
【0040】図に示すように発光ダイオードの光取出し
側をSiO2 膜13と硫化亜鉛膜5で被覆する。SiO
2 膜13を用いたのは樹脂に近い屈折率をもつ膜が作製
でき、硫化亜鉛膜5を保護することができるためであ
る。このSiO2 膜13と硫化亜鉛膜5はスパッタリン
グ法により形成する。スパッタリング法には、成膜時の
ガス流量比を制御することにより屈折率を変化させられ
るという利点がある。
【0041】二層膜を設けたときにn型AlGaAsウ
ィンドウ層4を通過した光が境界面で反射される率すな
わち、反射率を図8(B)により説明する。反射率は樹
脂、SiO2 、硫化亜鉛、n型Alx Ga1-x Asの屈
折率をそれぞれn1 、n2 、n3 、n4 、SiO2 、硫
化亜鉛膜の厚さをそれぞれd2 、d3 (nm)とすると既
述した式(3) の条件が成立するときに最小となる。
【0042】式(3) において、n4 =3.5のAl0.65
Ga0.35Asを用いる赤色発光ダイオード(λ=66
0)については前記の条件よりn1 =1.5、n2
1.54、n3 =2.36の屈折率の樹脂と薄膜を形成
し、d2 =107、d3 =70とすれば反射率が最小と
なる。この構造の二層膜を表面に形成した樹脂モールド
発光ダイオードの発光出力を測定した結果、20mAにお
ける発光出力は5.1mWであった。これはSiO2 と硫
化亜鉛の膜をつけない樹脂モールド型発光ダイオードの
2.8mWという値に比べて、1.8倍に向上した。ま
た、高温高湿における信頼性を調べるため、85℃−9
0%RH(相対湿度)の条件で2,000時間の通電試
験を行った結果を図9に示す。通電時間は図4の2倍で
ある。SiO2/硫化亜鉛の二層膜をつけたものは硫化
亜鉛単層のみのものよりも初期の発光出力が大きく、
2,000時間通電後の出力低下もないことが分かっ
た。
【0043】また、 4 =3.8のAl0.2 Ga0.8 A
sを用いる赤外発光ダイオード(λ=880)について
はn 2=2.60のTiO 2を用いてn0 =1.5、n
1 =1.63とし、d1 =140、d 2=85とすれば
反射率が最小となる。
【0044】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、特に
樹脂の屈折率に適応した二層膜より反射率が減少する結
果、発光ダイオードの発光出力が向上するとともに、二
層膜を設けたことにより耐湿性が改善されて信頼性が一
層向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例(比較例)によるAlGaAs系D
H構造赤色発光ダイオード構造の断面図。
【図2】第1実施例(比較例)によるAlGaAs系D
H構造赤色発光ダイオードを搭載した樹脂モールド型発
光ダイオード構造の断面図。
【図3】反射防止膜を形成した実施例1(比較例)と反
射防止膜を形成しない従来例、及び反射防止膜の屈折率
を変えた場合の発光出力特性図。
【図4】反射防止膜を形成した実施例(比較例)による
発光ダイオードと、反射防止膜を形成しない発光ダイオ
ードの高温・高湿通電特性図。
【図5】第2実施例(比較例)によるAlGaAs系D
H構造裏面反射型赤外発光ダイオード構造の断面図。
【図6】第3実施例(比較例)によるAlGaAs系D
H構造裏面反射型赤色発光ダイオード構造の断面図。
【図7】第4実施例(本発明の実施形態)によるAlG
aAs系DH構造赤色発光ダイオード構造を示す図。
【図8】第4実施例(本発明の実施形態)による発光ダ
イオード表面の摸式図。
【図9】二層膜と単層膜とを比較した高温高湿における
発光ダイオードの高温・高湿通電特性図。
【図10】従来のAlGaAs系DH構造赤色発光ダイ
オードの構造の一例を示す図。
【符号の説明】
1 p型GaAs基板 2 p型AlGaAsクラッド層 3 p型AlGaAs活性層 4 n型AlGaAsウィンドウ層 5 反射防止膜 6 表面電極 7 裏面電極 8 発光ダイオード 9 リード 10 リード 11 樹脂 12 金線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭50−20683(JP,A) 特開 昭49−19785(JP,A) 特開 昭57−164585(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 33/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】屈折率が2.2〜2.7の反射防止膜が表
    面に設けられた化合物半導体光素子をモールド樹脂で覆
    った樹脂モールド型化合物半導体光素子において、前記
    反射防止膜の上に該反射防止膜を保護するための保護膜
    が設けられており、かつ前記モールド樹脂の屈折率をn
    1 、前記保護膜の屈折率及び膜厚をそれぞれn 2
    2 、前記反射防止膜の屈折率及び膜厚をそれぞれ
    3 、d 3 、前記化合物半導体光素子表面の屈折率をn
    4 、発光ピーク波長をλ 0 としたとき次の関係を満たす
    ことを特徴とする樹脂モールド型化合物半導体光素子。 (イ)n 2 2 4 =n 3 2 1 (ロ)n 2 2 =n 3 3 =(1/4)λ 0 ×(奇数)
  2. 【請求項2】前記反射防止膜が硫化亜鉛、酸化チタンま
    たは硫化ひ素のいずれかであることを特徴とする請求項
    1に記載の樹脂モールド型化合物半導体光素子。
  3. 【請求項3】前記保護膜が酸化シリコンまたはシリコン
    ナイトライドであることを特徴とする請求項1に記載の
    樹脂モールド型化合物半導体光素子。
  4. 【請求項4】前記反射防止膜及び前記保護膜の総厚さが
    50〜800nmであることを特徴とする請求項1ないし
    3のいずれかに記載の樹脂モールド型化合物半導体光素
    子。
  5. 【請求項5】請求項1に記載の化合物半導体光素子とし
    て発光ダイオードを使用した樹脂モールド型発光ダイオ
    ード。
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