JP2923932B2 - 装身具用高純度白金及び装身具用高純度白金の製造方法 - Google Patents

装身具用高純度白金及び装身具用高純度白金の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、装身具用高純度白金及
び装身具用高純度白金の製造方法に関し、特に指輪やネ
ックレス等の装身具の材料として使用され、ホールマー
ク(大蔵省造幣局の検定刻印)“Pt1000”の認定
基準に合致してなる装身具用高純度白金及び装身具用高
純度白金の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、白金(プラチナ)製の指輪やネッ
クレス等の装身具においては、その材料として“Pt9
00”のホールマークのものが知られており、現在、市
場に流通している白金製の装身具の多くは“Pt90
0”である。この“Pt900”の刻印のあるものは、
所謂「パラジウム割り」と呼ばれる白金合金が主流であ
り、10重量%のパラジウム(Pd)と90重量%の白
金(Pt)からなる。このように、装身具の材料に白金
合金を用いるのは、極めて純度の高い白金は非常に柔ら
かく傷つき易いだけでなく柔らか過ぎるが故にその加工
性が極めて悪いからであり、パラジウム等を混ぜて合金
化することにより適度な加工性と機械的性質(硬さ)を
もたせることができるからである。
【0003】ところで、近時、白金製の装身具における
品位をより高め、“Pt900”との差別化を図らんが
ために、市場においては“Pt1000”なるホールマ
ークの刻印された装身具が求められており、既にその開
発が始まっている。この“Pt1000”の白金におい
ては、最大1000分の3、即ち0.3重量%までの他
元素(白金以外の元素)の混入が公差として認められて
おり、この基準を満たす白金、即ち99.7重量%以上
を白金元素で占める白金(大蔵省造幣局のホールマーク
の分類では“純白金”とされている。)にのみ“Pt1
000”の刻印が付与される。
【0004】“Pt1000”の上記基準を満たす“純
白金”の開発は盛んであり、例えば、その詳細は不明で
あるが、特殊な金属を超微量添加し加工法を工夫するこ
とにより、従来の白金合金と同等の硬度を有する“純白
金”が得られたとの報告もされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、十分な
性能を具備した“Pt1000”ハード材の装身具の製
造及び市場への本格的な供給は十分になされていないの
が実状であり、未だ開発途中であるといわざるを得ない
が、十分な性能を具備した“Pt1000”ハード材の
実用化に対する市場の要求は強く、それに応えるべく急
ピッチでの開発が望まれている。
【0006】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、実用上十分な硬さを有
し、且つホールマーク“Pt1000”の取得が可能な
指輪等の装身具用高純度白金及び装身具用高純度白金の
製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明者は、ホールマーク“Pt1000”の取得
が可能な白金材料を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、
白金に混入させる微量元素として、比較的軽元素であ
り、且つ硬化要因の一つと考えられる固溶強化及び硬度
の高いPt3 Bなる金属間化合物の生成が期待されるホ
ウ素(B)が有効であることを見い出し、本発明を完成
させるに至った。
【0008】即ち、本発明に係る装身具用高純度白金
は、請求項1に記載した発明のように、白金99.7重
量%以上で、且つホウ素を0.3重量%以下の割合で含
むことを特徴とする。
【0009】また、本発明に係る装身具用高純度白金の
製造方法は、請求項2に記載した発明のように、白金9
9.7重量%以上で、且つホウ素の含有量が0.000
1重量%以上0.3重量%以下である白金インゴット
を、非酸化性雰囲気で所定の熱処理温度で熱処理する
とを特徴とする
【0010】請求項3に記載した発明は、請求項2記載
の発明において、上記熱処理温度が、700℃以上11
00℃以下の温度であることを特徴とする。
【0011】また、ホウ素の含有量が好ましくは0.0
001重量%以上0.25重量%以下である。
【0012】また、ホウ素の含有量がより好ましくは
0.0025重量%以上0.2重量%以下である。
【0013】また、ホウ素の含有量がさらにより好まし
くは0.0025重量%以上0.05重量%未満であ
る。
【0014】ここで、ホウ素の含有量が0.3重量%以
下であるのは、“Pt1000”のホールマークの認定
基準に基づいている。即ち、その認定基準によれば、上
述したように、白金元素の占める割合が99.7重量%
以上でなければならず、許容される白金以外の元素の混
入量は最大0.3重量%であるからである。
【0015】ここで、熱処理温度が700℃以上110
0℃以下の温度であるのは、700℃よりも低くなる
と、熱処理に長時間を要し、実用上、生産性が低下する
からであり、1100℃を超えると結晶粒が粗大化し、
加工特性が劣化し始めるからである。
【0016】なお、熱処理における非酸化性雰囲気と
は、例えば圧力が10−1Torr以下、好ましくは1
−2Torr以下の真空雰囲気、NガスやArガス
等の不活性ガス雰囲気、或はHガス等の還元性雰囲気
などである。
【0017】なお、白金以外の添加元素については、そ
の総量(白金地金及びホウ素に存する不可避不純物を含
む。)が、0.3重量%以下であれば、ホウ素のみでも
よいし、ホウ素と1種または2種以上の他の元素との組
合せであってもよいのはいうまでもない。
【0018】また、好ましくはホウ素の含有量が0.0
001重量%以上0.25重量%以下であるのは以下の
理由による。即ち、本発明者等の実験によれば、ホウ素
の含有量が0.0001重量%以上であれば、一般に市
場にて入手可能な白金地金(純度:99.95重量%以
上)よりも硬度が増すことが確認されているからであ
る。一方、上記上限値については、その入手可能な白金
地金には最大0.05重量%の不可避不純物が含まれて
いるため、実際の製造においてこの純度の白金地金を
“Pt1000”の装身具の出発材料として用いる場合
に、ホウ素の含有量が0.25重量%よりも多いと、白
金以外の元素の総含有量が0.3重量%を超えてしま
い、“Pt1000”の認定基準から逸脱するおそれが
あるからである。
【0019】より好ましくは、ホウ素の含有量が0.0
025重量%以上0.2重量%以下であるのは以下の理
由による。即ち、本発明者等の実験によれば、ホウ素の
含有量が0.0025重量%以上であれば、装身具用の
白金として優れた硬さを有することがわかったからであ
る。一方、ホウ素の含有量が0.2重量%以下であるの
は、実際の生産ラインにおける製造のばらつき等の許容
量を最大0.05重量%と見積ると、その最大ばらつき
量と上記白金地金における不可避不純物の含有量とを合
わせてもなお、“Pt1000”の上記認定基準を満た
す必要があるからである。
【0020】さらにより好ましくは、ホウ素の含有量が
0.0025重量%以上0.05重量%末満であるのは
以下の理由による。即ち、上記下限値については上述し
た通りであるが、ホウ素の含有量が0.05重量%末満
であるのは、それよりもホウ素の含有量が増えると、指
輪等の宝飾品における鏡面仕上げ方法の一つであるダイ
ヤカット法による仕上面に傷等のくもりが生じてしまう
からである。
【0021】
【作用】上記した手段によれば、白金99.7重量%以
上で、且つホウ素0.3重量%以下であり、またホウ素
の含有量が好ましくは0.0001重量%以上0.25
重量%以下、より好ましくは0.0025重量%以上
0.2重量%以下、さらにより好ましくは0.0025
重量%以上0.05重量%未満であるため、“Pt10
00”のホールマークの認定基準を満たすとともに、ホ
ウ素の白金中への固溶強化やPt3 Bの生成、或はその
他の種々の要因により硬度が上昇する。その硬さは、ホ
ウ素の含有量が0.0001重量%程度であっても白金
地金よりも硬く、0.0025重量%以上であれば装身
具用の白金として優れた硬さとなる。
【0022】ここで、ホウ素の含有量が0.05重量%
以上であれば、ダイヤカット法を除くバレル仕上げ法や
バフ研磨法等による鏡面仕上げが可能であり、また、そ
れ以外にも梨地仕上げやローレット仕上げ等の各種表面
仕上げが可能である。さらに、ホウ素の含有量が0.0
5重量%以上の白金は、プレス加工やキャストなどのよ
うにダイヤカット仕上げを行なわない装身具用として好
適である。
【0023】ホウ素の含有量が0.05重量%未満であ
れば、バレル仕上げ法やバフ研磨法等による鏡面仕上げ
が可能であるのは勿論であるが、ダイヤカット法による
鏡面仕上げも可能であり、さらに、プレス加工やキャス
トなどにも適用可能である。
【0024】また、非酸化性雰囲気におけるホウ素の蒸
気圧は比較的低く、その蒸気圧曲線(特性)は白金の蒸
気圧曲線(特性)に非常に近似しているため、一旦製造
した“Pt1000”材やその材料で作った装身具等を
再溶解しても、成分変動が少なく、再び装身具等を造形
した場合に安定した品質が得られる。
【0025】
【実施例】以下に、実施例及び従来例並びに比較例を挙
げ、本発明の特徴とするところを明らかとする。なお、
実施例及び従来例並びに比較例においては、その硬度
を、ビッカース硬度計を用い、試験荷重200g(1.
96N)、保持時間20秒の条件で測定した。
【0026】(実施例1)先ず、市場に一般に流通して
いる純度99.95重量%の白金地金196.00gと
純度99.99重量%のホウ素4.00gをアーク溶解
炉内に設置し、炉内をアルゴン雰囲気に保ちながら溶解
を行った。このアーク溶解を表裏2回ずつ計4回繰り返
し行って合金化し、2重量%B−98重量%Ptの母合
金を得た。
【0027】続いて、得られた母合金200.00gと
上記白金地金(99.95重量%Pt)1800.00
gを高周波溶解炉内に設置し、炉内をアルゴン雰囲気に
保ちながら溶解を行い、厚さ16mmのインゴットケース
に鋳込んで、0.2重量%B−Ptに相当する棒状のイ
ンゴットを得た。そして、このインゴットに一般的な熱
処理、塑性加工や切削加工などを加えて、甲丸状のリン
グを作製した。
【0028】得られたリングの硬度を測定した結果、約
180Hv(平均値)であった。また、作製したリング
の一部を切断し、ICP発光分析(inductively couple
d plasma atomic emission spectrometry)により定量
分析を行ったところ、ホウ素の含有量は0.18重量%
であった。そして、残りは白金と不可避不純物であり、
白金の含有量は、99.7重量%以上という“Pt10
00”の認定基準を満たしており、大蔵省造幣局の品位
検定において“Pt1000”のホールマークを取得す
ることができた。
【0029】また、得られたインゴットを圧延した際
の、加工率0%、20%、50%、80%における硬度
を測定した。その結果を図1に示す。
【0030】(実施例2)上記実施例1と同様にして得
られた母合金100.00gと上記白金地金(99.9
5重量%Pt)1900.00gを、上記実施例1と同
様に溶解して鋳込み、0.1重量%B−Ptに相当する
インゴットを得た。そして、このインゴットを用いて上
記実施例1と同様に甲丸状のリングを作製した。
【0031】得られたリングの硬度は約130Hv(平
均値)であった。また、ICP発光分析による定量分析
の結果、ホウ素の含有量は0.09重量%であり、上記
実施例1と同様に、“Pt1000”のホールマークを
取得することができた。
【0032】(実施例3)上記実施例1と同様にして得
られた母合金250.00gと上記白金地金(99.9
5重量%Pt)1750.00gを、上記実施例1と同
様に溶解して鋳込み、0.25重量%B−Ptに相当す
るインゴットを得た。そして、このインゴットを用いて
上記実施例1と同様に甲丸状のリングを作製した。
【0033】得られたリングの硬度は約190Hv(平
均値)であった。また、ICP発光分析による定量分析
の結果、ホウ素の含有量は0.23重量%であり、上記
実施例1と同様に、“Pt1000”のホールマークを
取得することができた。
【0034】(実施例4)上記実施例1と同様にして得
られた母合金50.00gと上記白金地金(99.95
重量%Pt)1950.00gを、上記実施例1と同様
に溶解して鋳込み、0.05重量%B−Ptに相当する
インゴットを得た。そして、このインゴットを用いて上
記実施例1と同様に甲丸状のリングを作製した。
【0035】得られたリングの硬度は約110Hv(平
均値)であった。また、ICP発光分析による定量分析
の結果、ホウ素の含有量は0.05重量%であり、上記
実施例1と同様に、“Pt1000”のホールマークを
取得することができた。
【0036】上記実施例2、実施例3及び実施例4につ
いても、夫々、得られたインゴットを圧延した際の、加
工率0%、20%、50%、80%における硬度を測定
した。その結果を図1に示す。
【0037】(従来例)比較のため、従来例として市場
に一般に流通している10重量%Pd−90重量%Pt
からなる“Pt900”について、加工率と硬度の関係
を求めた。その結果を併せて図1に示す。
【0038】(比較例1)また、比較例1として上記実
施例において出発材料として用いた白金地金(99.9
5重量%Pt)について、加工率と硬度の関係を求め
た。その結果も併せて図1に示す。
【0039】図1より、実施例1〜実施例4の何れの例
においても、ホウ素の添加により、全加工率の範囲(0
〜80%)において比較例1の白金地金よりも硬度が上
昇していることがわかる。特に、ホウ素の添加量が0.
1重量%の場合には、全加工率の範囲(0〜80%)に
おいて従来例に挙げた“Pt900”の白金合金と同等
の硬度を有しており、実用上十分な硬度が得られること
がわかる。また、ホウ素の添加量が0.2重量%、或は
0.25重量%の場合には、“Pt900”の白金合金
よりも硬く、極めて優れた硬度が得られることがわか
る。
【0040】(実施例5)上記実施例1と同様に、純度
99.98重量%の白金地金と純度99.5重量%のホ
ウ素(クリスタルボロン)を、ホウ素の配合量が1.2
0重量%でかつ150gの母合金が得られるように配合
し、それをアーク溶解炉内に設置し、炉内をアルゴン雰
囲気に保ちながら溶解を行った。このアーク溶解を表裏
4回ずつ計8回繰り返し行って合金化し、ボタン状の母
合金インゴットを得た。得られた母合金インゴットの硬
度は268Hv(平均値)であった。また、その母合金
インゴットについて、クルクミン吸光光度法により定量
分析を行ったところ、ホウ素の含有量は1.16重量%
であり、白金の濃度はホウ素及び不可避不純物の濃度に
基づいた差数法により求めると98.82重量%であっ
た。
【0041】この1.16重量%B−98.82重量%
Ptの母合金と上記白金地金(99.98重量%Pt)
を、ホウ素の配合量が0.001重量%でかつ総量で3
00gとなるように配合してアーク溶解炉内に設置し、
炉内をアルゴン雰囲気に保ちながら溶解を行った。この
アーク溶解を表裏4回ずつ計8回繰り返し行って板状の
インゴットを得た。このインゴットの硬度は70Hv
(平均値)であり、またクルクミン吸光光度法による定
量分析の結果、表1に示すように、ホウ素の含有量(分
析値)は0.0001重量%であった。従って、残りは
白金と不可避不純物であり、白金の含有量が99.7重
量%以上という“Pt1000”の認定基準を満たして
いるので、このインゴットを用い、後述する熱処理、塑
性加工や切削加工などを加えて作製した甲丸状のリング
は大蔵省造幣局の品位検定において“Pt1000”の
ホールマークを取得することができた。
【表1】
【0042】上記アーク溶解により得られた0.000
1重量%B−Ptのインゴットを加熱炉内に設置し、1
-2Torr以下の真空雰囲気において800℃の処理温度
で所要時間5時間の熱処理を行なった。熱処理温度から
の冷却は炉冷とした。その熱処理後のインゴットの硬度
は66Hv(平均値)であった。そして、そのインゴッ
トを圧延し、加工率と硬度の関係を調べた。加工率70
%の時の硬度は、表1に示すように、119Hv(平均
値)であった。なお、特に表記しないが、加工率30%
及び50%の時の硬度も測定したが、加工率が大きくな
るに連れて硬度も漸次増大する傾向であった。
【0043】また、0.0001重量%B−Ptのイン
ゴットについて、上述した加工率と硬度の関係を調べた
後に、単結晶ダイヤモンドによる切削性、即ちダイヤカ
ット性の試験を行なった。その結果、表1に○印で示す
ように、傷等によるくもりのない良好な鏡面状態のダイ
ヤカット面(切削面)が得られた。
【0044】(実施例6)上記実施例5で用いた1.1
6重量%B−98.82重量%Ptの母合金と上記白金
地金(99.98重量%Pt)とから、上記実施例5と
同様にして、ホウ素の配合量が0.01重量%のインゴ
ット300gを得た。このインゴットの硬度は142H
v(平均値)であり、またクルクミン吸光光度法による
ホウ素の定量分析値は、表1に示すように、0.002
5重量%であった。従って、このインゴットを用いて作
製した甲丸状のリングも、大蔵省造幣局の品位検定にお
いて“Pt1000”のホールマークを取得することが
できた。また、このインゴットについて、上記実施例5
と同様に、10-2Torr以下の真空雰囲気において800
℃で5時間の熱処理をしたところ、硬度は75Hv(平
均値)であった。そして、30%、50%及び70%の
加工率における硬度を調べたところ、加工率の増大とと
もに硬度も漸次増大する傾向であり、加工率70%の時
の硬度は、表1に示すように、174Hv(平均値)で
あった。さらに、ダイヤカット性の試験の結果、表1に
○印で示すように、良好な鏡面が得られた。
【0045】(実施例7)上記実施例5で用いた1.1
6重量%B−98.82重量%Ptの母合金と上記白金
地金(99.98重量%Pt)とから、上記実施例5と
同様にして、ホウ素の配合量が0.03重量%のインゴ
ット500gを得た。このインゴットの硬度は147H
v(平均値)であり、またクルクミン吸光光度法による
ホウ素の定量分析値は、表1に示すように、0.011
重量%であった。従って、このインゴットを用いて作製
した甲丸状のリングも、大蔵省造幣局の品位検定におい
て“Pt1000”のホールマークを取得することがで
きた。また、このインゴットについて、上記実施例5と
同様に、10-2Torr以下の真空雰囲気において800℃
で5時間の熱処理をしたところ、硬度は88Hv(平均
値)であった。加工率70%の時の硬度は、表1に示す
ように、167Hv(平均値)であった。さらに、ダイ
ヤカット性の試験の結果、表1に○印で示すように、良
好な鏡面が得られた。
【0046】(実施例8)上記実施例5で用いた1.1
6重量%B−98.82重量%Ptの母合金と上記白金
地金(99.98重量%Pt)とから、上記実施例5と
同様にして、ホウ素の配合量が0.05重量%のインゴ
ット300gを得た。このインゴットの硬度は155H
v(平均値)であった。定量分析を行なわなかったが、
このインゴットを用いて作製した甲丸状のリングも、大
蔵省造幣局の品位検定において“Pt1000”のホー
ルマークを取得することができた。また、このインゴッ
トについて、上記実施例5と同様に、10-2Torr以下の
真空雰囲気において800℃で5時間の熱処理をしたと
ころ、硬度は98Hv(平均値)であった。そして、3
0%、50%及び70%の加工率における硬度を調べた
ところ、加工率の増大とともに硬度も漸次増大する傾向
であり、加工率70%の時の硬度は、表1に示すよう
に、177Hv(平均値)であった。さらに、ダイヤカ
ット性の試験の結果、表1に△印で示すように、ダイヤ
カット面に多少のくもりが発生していた。
【0047】(実施例9)上記実施例5で用いた1.1
6重量%B−98.82重量%Ptの母合金と上記白金
地金(99.98重量%Pt)とから、上記実施例5と
同様にして、ホウ素の配合量が0.07重量%のインゴ
ット500gを得た。定量分析を行なわなかったが、こ
のインゴットを用いて作製した甲丸状のリングも、大蔵
省造幣局の品位検定において“Pt1000”のホール
マークを取得することができた。また、このインゴット
について、上記実施例5と同様に、10-2Torr以下の真
空雰囲気において800℃で5時間の熱処理をしたとこ
ろ、硬度は104Hv(平均値)であった。そして、3
0%、50%及び70%の加工率における硬度を調べた
ところ、加工率の増大とともに硬度も漸次増大する傾向
であり、加工率70%の時の硬度は、表1に示すよう
に、181Hv(平均値)であった。さらに、ダイヤカ
ット性の試験の結果、表1に×印で示すように、ダイヤ
カット面全体が傷等によりくもっていて鏡面でなかっ
た。
【0048】(実施例10)上記実施例5で用いた1.
16重量%B−98.82重量%Ptの母合金と上記白
金地金(99.98重量%Pt)とから、上記実施例5
と同様にして、ホウ素の配合量が0.09重量%のイン
ゴット300gを得た。定量分析を行なわなかったが、
このインゴットを用いて作製した甲丸状のリングも、大
蔵省造幣局の品位検定において“Pt1000”のホー
ルマークを取得することができた。また、このインゴッ
トについて、上記実施例5と同様に、10-2Torr以下の
真空雰囲気において800℃で5時間の熱処理をしたと
ころ、硬度は96Hv(平均値)であった。加工率70
%の時の硬度は、表1に示すように、178Hv(平均
値)であった。さらに、ダイヤカット性の試験の結果、
表1に×印で示すように、鏡面でなかった。
【0049】(実施例11)上記実施例5で用いた1.
16重量%B−98.82重量%Ptの母合金と上記白
金地金(99.98重量%Pt)とから、上記実施例5
と同様にして、ホウ素の配合量が0.10重量%のイン
ゴット100gを得た。クルクミン吸光光度法によるホ
ウ素の定量分析値は、表1に示すように、0.059重
量%であった。従って、このインゴットを用いて作製し
た甲丸状のリングも、大蔵省造幣局の品位検定において
“Pt1000”のホールマークを取得することができ
た。また、このインゴットについて、上記実施例5と同
様に、10-2Torr以下の真空雰囲気において800℃で
5時間の熱処理をしたところ、硬度は101Hv(平均
値)であった。加工率70%の時の硬度は、表1に示す
ように、173Hv(平均値)であった。さらに、ダイ
ヤカット性の試験の結果、表1に×印で示すように、鏡
面でなかった。
【0050】(実施例12)上記実施例5で用いた1.
16重量%B−98.82重量%Ptの母合金と上記白
金地金(99.98重量%Pt)とから、上記実施例5
と同様にして、ホウ素の配合量が0.20重量%のイン
ゴット100gを得た。クルクミン吸光光度法によるホ
ウ素の定量分析値は、表1に示すように、0.111重
量%であった。従って、このインゴットを用いて作製し
た甲丸状のリングも、大蔵省造幣局の品位検定において
“Pt1000”のホールマークを取得することができ
た。また、このインゴットについて、上記実施例5と同
様に、10-2Torr以下の真空雰囲気において800℃で
5時間の熱処理をしたところ、硬度は99Hv(平均
値)であった。加工率70%の時の硬度は、表1に示す
ように、176Hv(平均値)であった。さらに、ダイ
ヤカット性の試験の結果、表1に×印で示すように、鏡
面でなかった。
【0051】(比較例2)比較のため、白金地金(9
9.95重量%Pt)、即ちホウ素の配合量が0重量%
のものについて、上記実施例5と同様にして、クルクミ
ン吸光光度法によるホウ素の定量分析を行ない、また1
-2Torr以下の真空雰囲気において800℃で5時間の
熱処理後の硬度及び加工率70%の時の硬度を測定し
た。さらにダイヤカット性の試験も行なった。その結果
を表1に併せて示す。
【0052】表1より、実施例5〜実施例12の何れの
例においても、ホウ素の添加により、比較例2の白金地
金よりも硬度が上昇していることがわかる。その硬度増
大は実施例5の0.0001重量%のように極微量のホ
ウ素を添加し、非酸化性雰囲気で熱処理することにより
得られたので、その硬度増大の要因については明らかで
ないが、この0.0001重量%のホウ素量よりも少な
くても故意にホウ素を添加し、非酸化性雰囲気で熱処理
すれば硬度が増大すると推測される。
【0053】また、ホウ素の配合量が0.05重量%以
上になると、ダイヤカット性に劣る(装身具用高純度白
金としての他の特性については良好である。)ので、プ
レス加工やキャストなどのようにダイヤカット仕上げを
行なわない装身具用の材料として好適である。表面の仕
上げとしては、ダイヤカット法を除くバレル仕上げ法や
バフ研磨法等による鏡面仕上げが可能であり、また、そ
れ以外にも梨地仕上げやローレット仕上げ等の各種表面
仕上げが可能である。ホウ素の含有量が0.05重量%
未満であれば、ダイヤカット性に優れるので、バレル仕
上げ法やバフ研磨法等による鏡面仕上げや梨地仕上げや
ローレット仕上げ等の各種表面仕上げに好適であるのは
勿論であるが、特にダイヤカット法による鏡面仕上げを
行なう装身具用材料として好適である。
【0054】本発明に係る高純度白金によれば、従来の
“Pt900”と同等以上の硬度を有し、且つ“Pt1
000”の認定の取得が可能であるという効果があり、
“Pt900”の認定品に代わり、実用上十分な硬さを
有し、且つホールマーク“Pt1000”の取得が可能
装身具用高純度白金として極めて高い価値を有してい
る。また、非酸化性雰囲気におけるホウ素の蒸気圧は比
較的低く、その蒸気圧曲線(特性)は白金の蒸気圧曲線
(特性)に非常に近似しているため、一旦製造した“P
t1000”材やその材料で作った装身具等を再溶解し
ても、成分変動が少なく、再び装身具等を造形した場合
に安定した品質が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】種々の白金材料における加工率と硬度の関係を
示す特性図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 元 神奈川県平塚市西八幡1丁目4番3号 株式会社パイロット 平塚工場内 (56)参考文献 特開 昭56−81646(JP,A) 特開 平7−310132(JP,A) 特開 平8−13063(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 5/04 C22F 1/14

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 白金99.7重量%以上で、且つホウ素
    を0.3重量%以下の割合で含むことを特徴とする装身
    具用高純度白金
  2. 【請求項2】 白金99.7重量%以上で、且つホウ素
    の含有量が0.0001重量%以上0.3重量%以下で
    ある白金インゴットを、非酸化性雰囲気で所定の熱処理
    温度で熱処理することを特徴とする装身具用高純度白金
    の製造方法
  3. 【請求項3】 請求項2記載の装身具用高純度白金の製
    造方法において、上記熱処理温度が700℃以上110
    0℃以下の温度であることを特徴とする装身具用高純度
    白金の製造方法。
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