JP2921815B2 - 冷凍茹でパスタの製造方法 - Google Patents

冷凍茹でパスタの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は冷凍茹でパスタの製造方
法に関する。乾しパスタを茹で水で茹で上げた後、水切
りし、急速凍結した冷凍茹でパスタが利用されている。
この冷凍茹でパスタは通常、冷凍貯蔵された後、茹で戻
して食用に供されている。本発明はかかる冷凍茹でパス
タの製造方法の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来一般に、冷凍茹でパスタは、乾しパ
スタを茹で水で茹で上げた後、水切りし、急速凍結する
ことにより製造されている。ところが、この従来法に
は、製造した冷凍茹でパスタの冷凍貯蔵中にその表面に
乾燥による白化及びひび割れが生じ、これらが該冷凍茹
でパスタを茹で戻したときに残って、その外観及び食感
が悪くなるという欠点がある。
【0003】そこで従来、ゼラチンの保水能を利用し、
茹で上げたパスタの表面をゼラチンでコーティングする
方法が提案されている(特開昭63−283547)。
ところが、この従来法には、茹で上げたパスタの表面を
ゼラチンでコーティングする工程が余分に必要となり、
またとりわけ、茹で上げたパスタの表面だけをゼラチン
でコーティングするため、その保水能が不充分と考えら
れるが、実際のところ、依然として製造した冷凍茹でパ
スタの冷凍貯蔵中にその表面に乾燥による白化及びひび
割れが生じ、これらが該冷凍茹でパスタを茹で戻したと
きに残って、その外観及び食感が悪くなるという欠点が
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、従来法では、製造した冷凍茹でパスタの冷
凍貯蔵中にその表面に乾燥による白化及びひび割れが生
じ、これらが該冷凍茹でパスタを茹で戻したときに残っ
て、その外観及び食感が悪くなる点である。
【0005】
【課題を解決するための手段】しかして本発明者らは、
上記課題を解決するべく研究した結果、茹で上げたパス
タの表面だけではなく、その表層にもゼラチンを含浸さ
せるのが有効であり、そのためには原料である乾しパス
タを、所定濃度のゼラチン含有茹で水を用いて98℃以
上で茹で上げるのが正しく好適であることを見出した。
【0006】すなわち本発明は、乾しパスタを、茹で水
100重量部に対しゼラチン1〜3重量部の割合となる
ようゼラチンを添加したゼラチン含有茹で水を用い、9
8℃以上で茹で上げた後、水切りし、急速凍結すること
を特徴とする冷凍茹でパスタの製造方法に係る。
【0007】本発明で用いる乾しパスタには乾したスパ
ゲッティやマカロニ等がある。原料となるこれらの乾し
パスタは市販品を使用できる。
【0008】本発明では乾しパスタをゼラチン含有茹で
水で茹で上げる。このゼラチン含有茹で水は、茹で水1
00重量部に対しゼラチン1〜3重量部、好ましくは
1.2〜1.8重量部の割合となるようゼラチンを添加
したものである。茹で水100重量部に対し、ゼラチン
1重量部未満であると、茹で上げたパスタの表層に含浸
するゼラチン量が不足し、その保水能が不充分となるた
め、所期の効果が得られない。逆に、茹で水100重量
部に対し、ゼラチン3重量部超であると、そのようなゼ
ラチン含有茹で水の粘度が高くなり、茹で上げそれ自体
に支障をきたす。茹で上げは、上記ゼラチン含有茹で水
の沸騰状態、温度としては98℃以上で行なう。
【0009】茹で上げたパスタは水切りし、急速凍結す
る。急速凍結は−20℃以下で行なうのが好ましい。急
速凍結したパスタは冷凍貯蔵し、使用の際に茹で戻す。
【0010】本発明では、乾しパスタを、上記ゼラチン
含有茹で水を用いて98℃以上で茹で上げることによ
り、茹で上げたパスタの表層に所定量のゼラチン、パス
タ全体に対しては0.1〜0.3重量%となる量のゼラ
チンを含浸させ、保水性を付与する。茹で上げの際に、
同時にパスタの表面だけではなく表層にもゼラチンを含
浸させるので、従来法のように乾しパスタを茹で上げて
からその表面をゼラチンでコーティングする工程を必要
とせず、とりわけ茹で上げたパスタの表面だけではなく
その表層にもゼラチンを含浸させて保水性を付与するの
で、製造した冷凍茹でパスタの冷凍貯蔵中にその表面に
白化及びひび割れを生ぜず、したがって茹で戻して食用
に供する際に外観及び食感が共に良好な冷凍茹でパスタ
を製造できる。
【0011】茹で上げたパスタに保水性を付与するだけ
の目的では、原料として市販の乾しパスタに代え、パス
タそれ自体にゼラチンを混入し、その表層だけではなく
芯部にまでゼラチンを含有させたパスタを使用すること
も考えられるが、かかるパスタを使用すると、その保水
量が高くなり過ぎて、製造した冷凍茹でパスタを冷凍貯
蔵し、茹で戻したときに、腰のない著しく軟弱なものに
なってしまう。
【0012】
【実施例】
実施例1 市販の乾しパスタを、茹で水(上水道水、以下同じ)1
00重量部に対しゼラチン1.5重量部の割合となるよ
うゼラチン(商品名AP250、ニッタゼラチン社製、
以下同じ)を添加したゼラチン含有茹で水を用い{乾し
パスタ/ゼラチン含有茹で水=1/10(重量比)}、
沸騰状態(水温98℃以上)で7分間茹で上げた後、水
切りし、急速凍結して(雰囲気温度−30℃、品温−2
0℃)、冷凍茹でパスタを製造した。
【0013】 実施例2〜4 茹で水100重量部に対しゼラチン1.0重量部(実施
例2)、2.0重量部(実施例3)又は2.5重量部
(実施例4)の割合となるようゼラチンを添加したゼラ
チン含有茹で水を用いた以外は実施例1の場合と同様に
して、冷凍茹でパスタを製造した。
【0014】 比較例1 ゼラチン含有茹で水に代えて茹で水を用いた以外は実施
例1の場合と同様にして、冷凍茹でパスタを製造した。
【0015】 比較例2 市販の乾しパスタを、茹で水を用い{乾しパスタ/茹で
水=1/10(重量比)}、沸騰状態(水温98℃以
上)で7分間茹で上げた後、水切りした。これを1重量
%濃度のゼラチン水溶液中に1分間浸漬した後、再度水
切りし、急速凍結して(雰囲気温度−30℃、品温−2
0℃)、冷凍茹でパスタを製造した。
【0016】 比較例3 茹で水100重量部に対しゼラチン0.5重量部の割合
となるようゼラチンを添加したゼラチン含有茹で水を用
いた以外は実施例1の場合と同様にして、冷凍茹でパス
タを製造した。
【0017】 評価 各例の冷凍茹でパスタを1か月間冷凍貯蔵した後(雰囲
気温度−30〜−25℃、品温−20℃以下)、茹で戻
して、表面の白化及びひび割れを観察し、官能検査に供
した。白化及びひび割れは下記の評価基準にしたがい、
また官能評価は参考例を対象として検査員20名(男1
0名+女10名)により2点嗜好比較で行なった。参考
例は、比較例1の場合と同様にして製造した冷凍茹でパ
スタを冷凍貯蔵することなく茹で戻したものである。結
果を表1に示した。
【0018】 評価基準 ○:パスタの全表面に亘って白化及びひび割れが認めら
れない △:パスタの表面に部分的に白化及びひび割れが認めら
れる ×:パスタのほぼ全表面に亘って白化及びひび割れが認
められる
【0019】
【表1】
【0020】 表1において、 *:5%の危険率で有意差有り −:5%の危険率で有意差無し
【0021】
【発明の効果】既に明らかなように、以上説明した本発
明には、茹で戻して食用に供する際に外観及び食感が共
に良好な冷凍茹でパスタを製造できるという効果があ
る。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乾しパスタを、茹で水100重量部に対
    しゼラチン1〜3重量部の割合となるようゼラチンを添
    加したゼラチン含有茹で水を用い、98℃以上で茹で上
    げた後、水切りし、急速凍結することを特徴とする冷凍
    茹でパスタの製造方法。
  2. 【請求項2】 茹で水100重量部に対しゼラチン1.
    2〜1.8重量部の割合となるようゼラチンを添加した
    ゼラチン含有茹で水を用いる請求項1記載の冷凍茹で
    スタの製造方法。
  3. 【請求項3】 −20℃以下で急速凍結する請求項1又
    は2記載の冷凍茹でパスタの製造方法。
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