JP2921692B2 - 孔版印刷装置 - Google Patents

孔版印刷装置

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貴訓 長谷川
秀生 根岸
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、製版済みの孔版原紙が巻装される円筒形の
版胴を備えた孔版印刷装置に関するものである。
〔従来の技術〕 従来の孔版印刷装置に設けられた円筒形の版胴は、そ
の内部にインクの供給装置が設けられ、外周面には製版
済みの孔版原紙が巻装されるようになっている。この版
胴は回転駆動自在であり、巻装された孔版原紙に対応す
る部分の周壁はインク通過構造になっている。また、該
版胴の近傍にはプレスローラが移動自在に設けられてお
り、版胴の外周面に接触できるようになっている。
印刷にあたっては、版胴とプレスローラの間に印刷用
紙が次々に供給されると共に、版胴の回転駆動に同期し
てプレスローラが間欠的に版胴に押圧けられる。給送さ
れた印刷用紙は、上下動するプレスローラと回動する版
胴との間に挟まれて搬送され、インク通過構造とされた
版胴の周壁に対応する孔版原紙に押圧されて孔版印刷が
施される。
〔発明が解決しようとする課題〕 前記従来の孔版印刷装置によれば、プレスローラは版
胴の回転に同期した所定のタイミングで版胴に対する押
圧を繰返し、孔版画像の印刷部分でのみ印刷用紙を版胴
に押圧けて孔版印刷画像を形成させていた。即ち従来の
印刷装置によれば、印刷用紙に一枚づつ印刷する度に、
前記プレスローラを初期加圧位置ではじめて版胴側に押
圧接触させるようになっており、この初期加圧による衝
撃力によって次に列記するよな問題点が生じていた。
(1) 初期加圧によって高い衝撃音が発生する。
(2) プレスローラがバウンドし、印刷画像にムラが
発生する。
(3) 孔版原紙の耐刷性が低下する。
(4) 版胴本体のうち、初期加圧位置に対応する部分
の耐久性が低下する。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされた
ものであり、プレスローラを版胴に加圧する際に生ずる
初期衝撃力を可及的に低減させることを目的としてい
る。
〔課題を解決するための手段〕
前述の目的を達成するため、本発明の孔版印刷装置
は、製版済みの孔版原紙が外周面に巻装されると共に内
周面からインキが供給される回転駆動自在の版胴と、前
記版胴の外周面に接触しうるよう移動自在に設けられた
プレスローラとを具備し、版胴とプレスローラの間に給
送された印刷用紙をプレスローラで版胴の孔版原紙に押
圧して印刷を行う孔版印刷装置において、印刷開始時に
プレスローラが接触しはじめる版胴の初期加圧位置に衝
撃吸収材を設けたことを特徴としている。
〔作用〕
製版済みの孔版原紙を版胴の外周面に巻装し、該版胴
とプレスローラを駆動すると共に版胴とプレスローラの
間に印刷用紙を供給して印刷を開始する。即ち、版胴の
回転駆動及び印刷用紙の供給にタイミングを合せてプレ
スローラが版胴の外周面に押圧され、印刷用紙を版胴と
の間に挟持して孔版印刷を行なう。ここで、プレスロー
ラが接触しはじめる版胴の初期加圧位置には衝撃吸収材
が設けられており、プレスローラの初期加圧による衝撃
力は吸収されるので、衝撃音は低減し、プレスローラの
バウンドは抑制されることになる。
〔実施例〕
第1図〜第4図によって本発明の一実施例を説明す
る。
本実施例の孔版印刷装置1は、両端をそれぞれ複数個
のローラ2で支えられ、図示しない駆動手段によって回
転駆動される円筒形の版胴3を有している。
該版胴3は、外周面に版取付座部4を有する金属製円
筒体5と、金属製円筒体5の外周面に版取付座部4の配
設部分を除く他の部分の全体に亙って巻き付けられたイ
ンク通過性の中間スクリーン層体6及び外側スクリーン
層体7との三層構造になっている。
版胴用金属製円筒体5は、インキ通過用の多数の小孔
8を有するインキ通過性の多孔構造部9と、小孔を全く
有していないインキ不通過性の無孔部10とを有してお
り、無孔部10に前記版取付座部4が取付けられている。
尚、小孔8は、第1図に於ては理解され易いように大き
く描かれているが、これは直径が0.5〜0.01mm程度の非
常に小さい孔であり、小孔8を多数有する多孔構造部7
は20〜60メッシュ程度の多孔構造になっている。
前記版取付座部4には、該版取付座部4に固定された
永久磁石版11と、一端を枢軸12によって版取付座部4に
枢支され、永久磁石版11に選択的に磁気的に吸着される
クランプ板13とからなる原紙係止装置14が設けられてい
る。そして、孔版原紙Sは、一端を永久磁石板11とクラ
ンプ板13とによって挟まれて版胴3に係止され、この係
止端より版胴3の終方向へ延在して版胴3の外周面に巻
き付け装着されるようになっている。
次に、版胴3の内側には版胴3の内周面にインキを供
給するインキ供給装置15が設けられている。このインキ
供給装置15は、版胴3の最内周面、即ち金属製円筒体5
の内周面に摺接して版胴位置と同方向に回転駆動される
スキージローラ16と、スキージローラ16の外周面に所定
の小さい間隙をおいて対向し、一方の側にスキージロー
ラ16と共働してインキ溜り部17を構成するドクタロッド
18とによって構成されている。
次に、第1図に示すように、前記版胴3の下方には、
ゴム又はスポンジからなるプレスローラ19が設けられて
いる。このプレスローラ19は図示しない駆動手段によっ
て昇降動し、前記版胴3の外周面に自在に接触すること
ができるようになっている。即ち、第1図において版胴
3とプレスローラ19の間に左方から印刷用紙20が供給さ
れると、版胴3の反時計回り方向の回転に同期して該プ
レスローラ19が上昇し、版取付座部4を除く版胴3の外
周面とプレスローラ19との間に印刷用紙20を挟持するよ
うになっている。そして、版胴3の回転につれて印刷用
紙20を孔版原紙Sへ圧着することにより、該印刷用紙20
に孔版印刷を施していくように構成されている。
次に、前記版取付座部4の近傍であって、クランプ板
13によって固定された孔版原紙Sの一端側に近い版胴3
の外側スクリーン層体7上には、版胴3の軸線と平行と
なるように、シート状で矩形の衝撃吸収材21が取付けら
れている。この衝撃吸収材21が取付けられた部位は、印
刷開始時に前記プレスローラ19が接触しはじめる部分で
あり、以下この部分を初期加圧位置と呼ぶ。
この衝撃吸収材21は、プレスローラ19による版胴3へ
の初期衝撃力を吸収して低減させるための部材であり、
本実施例では第3図に示すようにゲル状の物質22を袋23
内に密封した構造の部材が用いられている。このような
用途に適したゲル状の物質としては、例えば株式会社シ
ーゲルのαGEL,βGEL,γGEL等を用いることができる。
αGELは付加反応型シリコンであるシリコンゲルであっ
て、針入度(JIS K 2530-1976,50g荷重)が50〜200の材
料である。またβGELはある種の中空フィラーをαGELに
添加したものであり、γGELはαGELに添加剤を配合して
ゲルの内部減衰をより大きくしたものである。
次に、本実施例における作用を説明する。
まず、版胴3の外周面に製版済みの孔版原紙Sを装着
する。次に、第1図において反時計回り方向に該版胴3
を回転駆動する。そして版胴3の回転にタイミングを合
せ、図中左から印刷用紙20を供給すると共にプレスロー
ラ19を上昇させて、プレスローラ19と版胴3の間に印刷
用紙20を挟む。版胴3の回転に伴い、印刷用紙20はプレ
スローラ19によって版胴3の孔版原紙Sに押付けられ、
その表面に孔版印刷が施されていく。印刷用紙20は次々
に供給され、版胴3の回転に同期してプレスローラ19が
昇降を繰返して印刷が行われていく。
ここでプレスローラ19は、初期加圧位置において印刷
用紙20を介して版胴3に突き当たるが、その衝撃力は衝
撃吸収材21に吸収されて低減する。従って、印刷時にプ
レスローラ19がバウンドすることはなく、印刷画像にム
ラが発生することはない。また、初期加圧による衝撃音
も低減する。さらに、孔版原紙Sの耐刷性と、版胴本体
の初期加圧位置の耐久性が向上する。
第4図は、前述した実施例をおける衝撃吸収材21の効
果を具体的に示す一実験結果である。これは、スキージ
ローラ16の回転軸両端に圧電センサを設け、プレスロー
ラ19が版胴3に接触した際に、該版胴3を介してスキー
ジローラ16に加わる力の変動(振動)を前記圧電センサ
で検出した結果であって、印刷時にプレスローラ19が版
胴3に与える力を間接的に示すものである。この測定に
おけるプレスローラ19のプレス圧は12.5kgであるが、第
4図(a)に示すように衝撃吸収材21がない場合には初
期加圧力は35kg近くにもなり、プレス圧が12.5kgに減衰
するまでの振動回数が多い。これに対し、衝撃吸収材21
としてαGELを用いた同図(b)、βGELを用いた同図
(c)、γGELを用いた同図(d)においては、初期加
圧力が約20kgに低減しており、プレス圧が12.5kgに減衰
するまでの振動回数も少くなっている。
以上説明した一実施例では、版胴3の初期加圧位置の
全面にわたって一枚の帯状の衝撃吸収材21を設けたが、
第5図に示すように分割された二枚の衝撃吸収材31,31
を所定間隔をおいて初期加圧位置に配設してもよい。ま
た、第2図及び第5図とも衝撃吸収材21,31は外側スク
リーン層体7の上にあるが、中間スクリーン層体6と外
側スクリーン層体7の間、又は中間スクリーン層体6と
金属製円筒体5との間に設けてもよい。また、衝撃吸収
材としては、先に例示したゲル状の物質のほか、スポン
ジ、フェルト、ゴム、高密度ポリウレタンフォーム、ポ
リウレタン、3M社製のVEM製品等を用いることができ
る。
〔発明の効果〕
本発明の孔版印刷装置は、印刷開始時にプレスローラ
が接触しはじめる版胴の初期加圧位置に衝撃吸収材が設
けてある。従って本発明によれば、初期加圧時のプレス
ローラによる衝撃力が低減されるので、衝撃音及びプレ
スローラのバウンドによる印刷画像ムラが防止されると
ともに、孔版原紙の耐刷性及び版胴本体の初期加圧位置
の耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例の断面図、第2図は同実施例
における版胴の斜視図、第3図は同実施例における衝撃
吸収材の断面図、第4図各図は初期加圧時にスキージロ
ーラに加わる加重と時間の関係を示す図であって、第4
図(a)は衝撃吸収材がない場合を示す図、第4図
(b)はαゲルを用いた場合を示す図、第4図(c)は
βゲルを用いた場合を示す図、第4図(d)はγゲルを
用いた場合を示す図、第5図は本発明の他の実施例にお
ける版胴の斜視図である。 1……孔版印刷装置、3……版胴、19……プレスロー
ラ、20……印刷用紙、21,31……衝撃吸収材、S……孔
版原紙。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】製版済みの孔版原紙が外周面に巻装される
    と共に内周面からインキが供給される回転駆動自在の版
    胴と、前記版胴の外周面に接触しうるよう移動自在に設
    けられたプレスローラとを具備し、版胴とプレスローラ
    の間に給送された印刷用紙をプレスローラで版胴の孔版
    原紙に押圧して印刷を行う孔版印刷装置において、 印刷開始時にプレスローラが接触しはじめる版胴の初期
    加圧位置に衝撃吸収材を設けたことを特徴とする孔版印
    刷装置。
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JP4723903B2 (ja) * 2005-05-13 2011-07-13 東北リコー株式会社 孔版印刷装置及びこれに用いられる版胴
JP5107515B2 (ja) * 2005-10-13 2012-12-26 東北リコー株式会社 孔版印刷装置の版胴及び孔版印刷装置
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