JP2921436B2 - チタンおよびチタン合金の圧延方法 - Google Patents

チタンおよびチタン合金の圧延方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、純チタン、チタン合
金、およびそれらのクラッド鋼など、(以下単に「チタ
ン材」と称す)の圧延において、スリップ等の圧延トラ
ブルや圧延用ロールの焼付きを防止し、作業性や生産性
の向上および製品表面品質の向上を実現できる圧延方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】以下、チタン材の冷間圧延を例に挙げて
説明する。チタン材の冷間圧延は、一般にステンレス鋼
の圧延に用いられる小径多段ロールからなるゼンジマー
ミルで行われている。しかし、チタンはもともと活性な
金属のため圧延加工時に圧延用ロールにビルドアップ
(以下、「焼付き」と称す)を生じ易い。そのため、圧
延用ロールへの焼付きを防止するため、1パス当たりの
圧下率を約15%と小さくし、しかもおよそ100m/分程度
の低速での圧延という非常に非能率的な圧延を行ってい
るのが実情である。
【0003】近年、チタンやチタン合金は、耐食性、耐
熱性に優れていることや軽量、高強度、展延性などの多
くの特徴を有しているため、その需要が益々拡大する傾
向にある。そこで、生産性の向上のため、一般に鋼の圧
延に用いられる大径ロールのタンデムミルやレバースミ
ルによるチタン材の冷間圧延が検討されているが、ゼン
ジマーミルと同様あるいはそれ以上に焼付きの問題が深
刻となるため、事実上チタン材をこのようなミルで冷間
圧延することは困難である。
【0004】そこで、チタン材の冷間圧延において焼付
きを効果的に防止あるいは軽減させることは、圧延能率
の向上のみならず良好な表面品質を得るためにも必要な
課題となっている。
【0005】チタン材の冷間圧延時の焼付き防止方法と
して、特開昭54−145349号公報には、ケン化価 170以上
の高ケン化油を圧延潤滑剤として使用するチタンおよび
チタン合金の冷間圧延方法が開示されている。しかし、
この方法では、焼付き防止効果が依然十分ではないため
高い圧下率を要求される薄物を生産性良く得ることはで
きない。
【0006】特開昭60−144392号公報には、粒子径 100
μm以下の黒鉛粉と鉱油系潤滑剤または牛脂系潤滑油ま
たはパーム油からなる潤滑剤を使用するチタン板の冷間
圧延方法が開示されている。この方法では、黒鉛を少量
含有させた時でも圧延摩擦界面の摩擦係数が局所的にか
なり低下してしまうため、スリップ等のかみ込み不良が
発生し、圧延が困難になる。したがって、焼付きを防止
するに十分な量の黒鉛を含有させることができず、十分
な焼付き防止効果を得るには至っていない。
【0007】また、特開平3-151101号公報にはチタン板
の表面に、表面処理を施した微粒炭酸カルシウムを20〜
70重量%含有する油を塗布し、しかる後、水または圧延
潤滑油を供給しながら冷間圧延する方法が開示されてい
る。これは、平均粒径が0.05〜0.50μmの微粒炭酸カル
シウムの表面を脂肪酸や樹脂酸で被覆したものを大量に
含有した高粘度油を圧延前のチタン板表面に塗布し焼付
きを防止しようとするものである。しかし、本来の圧延
油とは別に予め前処理を施した微粒炭酸カルシウムを準
備しなければならず作業性、生産性が低下することや。
炭酸カルシウムの粉末を利用するため油への分散性、安
定性が悪いことなどの問題があり、依然焼付きを十分に
防止できない。
【0008】さらに、チタン材の熱間圧延においても同
様に焼付きによりロールの肌荒れや成品への表面疵の発
生という問題があり、高能率で、高成品品質を有するチ
タン材の圧延方法の開発が望まれている。しかしなが
ら、わずかに特公平3-28512 号公報に、ケイ素含有化合
物、金属アルミニウム、残部が有機溶剤からなる混合物
をチタンやチタン合金表面に塗布、乾燥し、 700〜1200
℃で加熱後熱間圧延を行う方法が開示されている程度で
あり、これに関しても熱間加工前後の前記混合物による
表面処理に時間がかかり過ぎる等の問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題を
解決するためになされたものであり、スリップやかみ込
み不良等の圧延トラブルや圧延用ロールへの焼付きを防
止し、ロール寿命の延長、作業効率や生産性および圧延
製品表面品質を向上させ得るチタンおよびチタン合金の
圧延方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、かかる目的
を達成するために、チタン材の圧延に用いる圧延潤滑剤
の組成の点から鋭意検討し、以下の知見を得、本発明を
完成させた。
【0011】高塩基性を有する潤滑剤は、通常用いら
れている酸性(酸価)の高い潤滑剤よりもチタン材表面
に生成する酸化物との反応性に富み、圧延加工時に表面
に剥離しにくい反応被膜を形成する。それにより、潤滑
性が向上する。
【0012】高塩基性の金属塩スルホネートや金属塩
フェネート中には、コロイド状分散体を油中で形成した
粒径 150オングストローム以下の炭酸塩が存在してい
る。この超微細粒炭酸塩自体は潤滑性を有しないが、潤
滑性を有する高塩基性の金属塩スルホネートや金属塩フ
ェネートをロールとチタン材の界面に導入させるキャリ
アとしての働きを有する。
【0013】さらに、この超微細粒炭酸塩は、圧延加
工時のチタン材と圧延用ロール間の金属間接触を物理的
に抑制する作用を有している。すなわち、この超微細粒
炭酸塩をロールとチタン材の摩擦面の表面凹凸細部にま
で導入することにより、チタン材と圧延用ロール金属間
の直接接触を徹底的に抑制し焼付きを防止することがで
きる。
【0014】黒鉛はせん断すべり型の固体潤滑物であ
るが、通常用いられる潤滑油に黒鉛を含有させた潤滑剤
で高圧下率圧延を行うとスリップやかみ込み不良が発生
し圧延できない。そこで、黒鉛を高塩基性金属塩スルホ
ネートや高塩基性金属塩フェネートと併用することで、
黒鉛が摩擦界面でコロのような働きをし、スリップを起
こさない安定圧延に必要な最小限の摩擦係数にまで確実
に低下させそれを維持することができる。つまり、潤滑
剤に高塩基性金属塩スルホネートや高塩基性金属塩フェ
ネートを含有させることによりスリップ等のかみ込み不
良を起こすことなく摩擦係数の低減に効果のある黒鉛を
含有させることが可能となる。
【0015】以上から、チタン材の圧延に必要な摩擦力
を維持しスリップやかみ込み不良等の圧延トラブルを起
こすことなく圧延用ロールに発生する焼付きを防止し、
ロール寿命を大幅に延長することができ、その結果良好
な圧延製品表面品質を得ることができる。
【0016】ここに本発明の要旨とするところは、チタ
ンおよびチタン合金の圧延において、組成物全量に基づ
いて高塩基性金属塩スルホネートと高塩基性金属塩フェ
ネートの1種以上を合計で10〜70重量%含有する潤滑剤
組成物を供給するチタンおよびチタン合金の圧延方法で
ある。
【0017】上記潤滑剤組成物が、さらに黒鉛を 0.5〜
20重量%含有するのが好ましい。
【0018】
【作用】本発明のチタンおよびチタン合金には、純チタ
ン、チタン合金、およびそれらのクラッド鋼などが含ま
れる。また、圧延方法には冷間または熱間での板材の圧
延だけでなく、形材、線材や管材の圧延、加工等も含ま
れる。
【0019】本発明にかかる高塩基性金属塩スルホネー
トおよび高塩基性金属塩フェネートの原料となるアルキ
ル芳香族としては、鉱油の潤滑油留分、合成系化合物、
例えばアルキルベンゼン、ポリオレフィンをベンゼンに
アルキル化したもの、ジノニルナフタリン等が使用でき
る。
【0020】これらの高塩基性金属塩スルホネートや高
塩基性金属塩フェネート中には、製造する過程で析出し
た粒径 150オングストローム以下の超微細粒炭酸塩(Ca
CO3等)が含まれており、油中ではコロイド状分散体を
形成する。この炭酸塩の微粒子自体は何等の潤滑効果も
有しないが、高塩基性金属塩スルホネートや高塩基性金
属塩フェネートの持つ金属や酸化物に対する高い吸着作
用による潤滑効果をより発揮し易くさせるため、潤滑性
を有する高塩基性金属塩スルホネートや高塩基性金属塩
フェネートを摩擦界面に運ぶキャリアとしての作用を有
している。さらに、ロールとチタン材間に運ばれた金属
塩微粒子により、摩擦界面での金属直接接触を妨げ、焼
付きを防止することができる。
【0021】このように、本発明においては、高塩基性
金属塩スルホネートと高塩基性金属塩フェネートの1種
以上を特定量含有させた潤滑剤組成物をチタン材の圧延
時の圧延用ロールや圧延前のチタン材表面に供給するこ
とに大きな特徴がある。
【0022】すなわち、第1に、チタン材表面に生成す
る酸化被膜と反応性に富んだ高塩基性物質としての高塩
基性金属塩スルホネートおよび高塩基性金属塩フェネー
トの存在により潤滑性を向上させる。
【0023】第2に、高塩基性金属塩スルホネートや高
塩基性金属塩フェネートを製造する過程で析出した粒径
150オングストローム以下の超微細粒炭酸塩(CaCO
3 等)の存在により、超微細粒炭酸塩がキャリアとして
働き摩擦表面への潤滑剤の導入性が向上すると共に、圧
延用ロールとチタン材の金属間直接接触の抑制とスリッ
プ防止のための摩擦界面の高摩擦化が達成できる。
【0024】したがって、例えば特開平3-151101号公報
に見られるように別途準備した粒径0.05〜0.50μm程度
の粉末状の炭酸カルシウムを油に混合分散させたものと
は、その作用、効果が明らかに異なっている。
【0025】次に、高塩基性金属塩スルホネートと高塩
基性金属塩フェネートの含有量およびその塩基価を規定
した理由について説明する。
【0026】高塩基性金属塩スルホネートと高塩基性金
属塩フェネートの含有量を、組成物全量に基づいてそれ
らの1種以上を合計で10〜70重量%とする。含有量が10
重量%未満では、圧延用ロールへの焼付きを充分に防止
できず、製品表面品質も劣化する。一方、70重量%を超
えると前記効果が飽和する。したがって、それらの含有
量は、組成物全量に基づいて10〜70重量%とした。高負
荷時の焼付き防止効果の点でより好ましくは20〜60重量
%である。
【0027】また、高塩基性金属塩スルホネートや高塩
基性金属塩フェネートの塩基価は、JIS K2501 (電位差
滴定法)による塩基価が40mgKOH/g 以上であればよい
が、 200〜500mgKOH/gのものが、特に焼付き防止能に優
れている。
【0028】すなわち、塩基価が低いと塩基性金属塩ス
ルホネートや塩基性金属塩フェネート中の超微細固体粒
子である炭酸塩(CaCO3 等)の含有量が少ないため、金
属間(ロールとチタン材間)の直接接触を物理的に防止
するために必要な、摩擦界面へ導入される炭酸塩(CaCO
3 等)の量が不足する。そのため、塩基価が低いと圧延
時の圧延用ロールの焼付きを完全に防止することができ
ず、製品表面品質も満足するレベルに達しない。
【0029】塩基価の下限については、本発明にかかる
潤滑剤組成物を圧延ロールやチタン材表面に供給する際
の濃度、粘度および圧延条件にもよるが、特に高粘度あ
るいは原液に近い状態で供給する時や低負荷圧延条件下
では、塩基価が200mgKOH/g未満でも充分な潤滑効果を発
揮し得る。しかし、40mgKOH/g 未満ではこの効果が得ら
れないため、下限を40mgKOH/g とした。
【0030】一方、塩基価が500mgKOH/gを超えると潤滑
剤として適切な粘度等の性質を有するものが現状技術レ
ベルでは製造できない。但し、製造技術上可能になれ
ば、この限りではない。
【0031】本発明の潤滑剤組成物中に含有させる高塩
基性金属塩スルホネートや高塩基性金属塩フェネートと
しては、高塩基性Caスルホネート、高塩基性Caフェネー
ト、高塩基性Mgスルホネート等が挙げられ、その金属と
してCa、Mg、Ba等のアルカリ土類やNa等のアルカリ金属
から適宜選択すればよい。さらには、前記効果の点で金
属がアルカリ土類、中でもCaからなる、高塩基性Caスル
ホネートと高塩基性Caフェネートの1種以上を少なくと
も10重量%以上含有させるのが好ましい。
【0032】また、所定量の高塩基性金属塩スルホネー
トや高塩基性金属塩フェネートを含有させたものに、さ
らに低塩基性(塩基価40mgKOH/g 未満)の金属塩スルホ
ネートや金属塩フェネートを含有させることもできる。
この場合は、それらの金属塩の塩基価の荷重平均値(そ
れぞれの量を加味した平均値)が 40mgKOH/g以上、より
好ましくは200mgKOH/g以上とするのが好ましい。
【0033】本発明の潤滑油組成物は、高塩基性金属塩
スルホネートと高塩基性金属塩フェネートの1種以上を
一般に使用される潤滑油基油に配合することにより、充
分使用できるが、さらに必要に応じて、他の固体潤滑
剤、極圧添加剤、酸化防止剤、流動点降下剤、粘度指数
向上剤等を適宜配合することができる。
【0034】潤滑油基油としては、鉱物油、合成潤滑
油、ナタネ油、ラードオイル等の油脂類、高級脂肪酸お
よびそのエステル類等が挙げられる。
【0035】固体潤滑剤の例としては、黒鉛、二硫化モ
リブデン、窒化硼素、雲母、タルク等が挙げられる。
【0036】その中で、黒鉛を含有させると摩擦係数が
極端に低下し、スリップ等のかみ込み不良の原因になる
が、本発明の圧延方法では、高塩基性金属塩スルホネー
トや高塩基性金属塩フェネートを含有しているため、黒
鉛を併用して用いても摩擦係数を極端に低下させない作
用を有している。したがって、黒鉛を含有してもスリッ
プやかみ込み不良等の圧延トラブルを発生させることな
く圧延用ロールの焼付きを防止し、チタン材の表面品質
を向上することができる。その黒鉛含有量としては、組
成物全量に基づいて 0.5〜20重量%とするのが好まし
い。
【0037】黒鉛量が、 0.5重量%未満では、黒鉛の摩
擦係数低減効果が不足し、一方20重量%を超えると潤滑
剤組成物中での黒鉛の分散性、安定性が悪くなり圧延摩
擦面でスリップやかみ込み不良等が発生し易くなる。し
たがって、好ましい黒鉛量は、 0.5〜20重量%とした。
また、高圧下時の摩擦係数低減効果をより発揮させるに
は黒鉛含有量を10%超えとするのがより好ましい。一
方、低圧下率側での低負荷圧延における圧延安定性を考
慮した場合は、より好ましくは 0.5〜15重量%である。
【0038】極圧添加剤の例としては、硫化油脂、硫化
鉱油、ジノニルポリサルファイド等の硫黄系極圧添加
剤、トリクレジルホスフェート、ヒドロキシメチル−ジ
−2−エチルヘキシルホスホネート、ジオレイルハイド
ロゼンホスファイト等のリン系極圧添加剤が挙げられ
る。
【0039】酸化防止剤の例としては、メチレン−4,4
−ビス( 2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)等のビス
フェノール類、ジ−tert−ブチルクレゾール等のアルキ
ルフェノール類、ナフチルアミン類等が挙げられる。
【0040】流動点降下剤、粘度指数向上剤の例として
は、ポリメタクリレート、ポリオレフィン等が挙げられ
る。
【0041】また、黒鉛以外の固体潤滑剤の添加量は約
1〜10重量%程度、極圧添加剤の添加量は約 1〜15重量
%程度、酸化防止剤の添加量は約0.01〜 1.0重量%程
度、流動点降下剤、粘度指数向上剤の添加量は、それぞ
れ 1〜 5重量%程度である。
【0042】本発明にかかる潤滑剤の供給手段として
は、要求される粘度や濃度に応じて、圧縮空気と混合し
て噴霧状にして供給するエアーアトマイズ法や水と混合
して供給するウォーターインジェクション法さらに加熱
蒸気で噴霧化して供給するスチームアトマイズ法や予め
水に分散させてエマルジョンとして供給する方法等の中
から適宜選択すれば良く、いずれの方法でも本発明の効
果になんら変わりはない。もちろん、原液(ニート)の
まま供給する方法でも良いことは言うまでもなく、その
他の一般的な給油方式を使用しても良い。原液で供給す
る場合には、必要に応じて本発明にかかる潤滑剤を水溶
性タイプにするなどして不燃性化して用いることを妨げ
ない。
【0043】また、本発明にかかる潤滑剤を、圧延用ロ
ールや圧延前のチタン材表面に上記方法で直接供給して
も良いし、その補強ロール等を介して間接的に供給して
も、本発明の効果に変わりはない。
【0044】本発明の圧延方法は、特定の潤滑剤組成物
を圧延潤滑剤として用いることで、圧延加工時に剥離し
にくい表面皮膜の形成による潤滑性向上、摩擦表面への
潤滑剤導入性の向上および金属間の直接接触による焼付
き防止を図ることができるものであり、チタン材の冷間
圧延のみでなく熱間圧延における熱間潤滑剤として用い
ても同様の効果を得ることができる。
【0045】さらに、高塩基性の金属塩スルホネートお
よび金属塩フェネートは耐熱性にも優れており、熱間圧
延時において完全に燃焼、分解せずに流体か流体に近い
状態のため、熱間圧延時においても優れた潤滑性を有し
ている。
【0046】
【実施例】次に具体的な実施例に基づき説明する。
【0047】まず、表1に示す本発明例No.1〜12、比較
例 No.13〜15の15種類の潤滑剤組成物を準備した。各潤
滑剤は、塩基価と金属が異なる金属塩スルホネート、金
属塩フェネート、および必要に応じて黒鉛をISO VG 46
で規定される粘度を有する精製鉱物油を残部とし、ホモ
ミキサーにより撹拌、調合したものである。
【0048】小径多段ロールを有するゼンジマーミルに
おいて、上記の各潤滑剤を予め水に分散させ、エマルジ
ョン状態にしてノズルを配したヘッダーにより圧延用ロ
ールに直接供給した。
【0049】2.5mm 厚×50mm幅×2000mm長さのチタン板
( JIS 2種の熱延焼鈍酸洗板)を圧下率 5〜40%まで変
化させて、圧延速度 200m/分で1パスの冷間圧延を行
い、圧延後の圧延用ロールの焼付き発生有無について調
べた。評価は、圧延用ロールへの焼付きが発生した圧下
率、圧延時の摩擦係数、およびスリップやかみ込み不良
等による圧延トラブルの有無で行った。その結果を表1
に合わせて示す。
【0050】
【表1】
【0051】表1から、本発明の冷間圧延方法No.1〜12
によれば、高圧下圧延でも圧延用ロールへの焼付きを防
止もしくは大幅に軽減することができ、作業性や生産
性、および圧延製品品質を格段に向上させることができ
る。
【0052】また、本発明例No.6〜8 のように、高塩基
性Caスルホネートと高塩基性Caフェネートと共に黒鉛を
0.5〜20重量%の範囲で含有させた場合には、含有量が
多いほど摩擦係数が低下して高圧下率でも焼付きが発生
せず、さらにスリップ等の圧延トラブルも全く起こすこ
となく上記効果を最大限発揮させることができる。しか
し、黒鉛を20重量%を超えて含有する本発明例No.11
は、圧延用ロールへの焼付きは大幅に軽減されるが圧延
時にスリップを起こし易くなっている。
【0053】さらに、本発明例No.12 のように塩基価が
本発明範囲より低いCaスルホネートを含有させた場合で
も、高塩基性Caスルホネートを10重量%以上含有してい
るため、焼付きや圧延トラブル無く圧延できた。
【0054】また、本発明例の中で比較すると、高塩基
性金属塩スルホネートと高塩基性金属塩フェネートの1
種以上を合計で20重量%以上含有したもの(本発明例N
o.1〜9 、11とNo.9との比較)、金属がCaのもの(本発
明例No.1、3 、4 の比較)、塩基価が200mgKOH/g以上の
高塩基性のもの(本発明例No4 、9 とそれ以外の本発明
例との比較)が、特に焼付き防止効果が高いことも示さ
れた。
【0055】一方、本発明範囲より低い塩基価のCaスル
ホネートのみを含有させた比較例No.13 、高塩基性Caス
ルホネートの含有量が本発明範囲より少ない比較例No.1
4 では、10%の圧下率で焼付きが発生した。また、精製
鉱物油以外に黒鉛のみを含有した比較例No.15 ではかみ
込み不良を生じ圧延できなかった。
【0056】なお、圧延用ロールとして高炭素系高速度
鋼(ハイス、セミハイス)ロール、高合金グレン鋳鉄ロ
ール、高Cr鋳鉄ロール、アダマイトロール、ダクタイル
鋳鉄ロール、鍛鋼ロールなど冷間圧延や熱間圧延で一般
に使用される圧延用ロールならば、いずれを使用した場
合でも同様の結果が得られている。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、本発明方法によれ
ば、圧延用ロールの焼付きを防止できるほか黒鉛を含有
させてもスリップやかみ込み不良等の圧延トラブルを発
生することなく、圧延用ロールの焼付きを防止し、ロー
ル寿命の延長に優れた効果を発揮し、圧延製品品質、作
業効率の向上等を達成することができる。
【0058】
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C10M 159:22 159:24 125:02) C10N 10:04 30:06 30:08 40:24

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】チタンおよびチタン合金の圧延において、
    組成物全量に基づいて高塩基性金属塩スルホネートと高
    塩基性金属塩フェネートの1種以上を合計で10〜70重量
    %含有する潤滑剤組成物を供給することを特徴とするチ
    タンおよびチタン合金の圧延方法。
  2. 【請求項2】チタンおよびチタン合金の圧延において、
    組成物全量に基づいて高塩基性金属塩スルホネートと高
    塩基性金属塩フェネートの1種以上を合計で10〜70重量
    %、および黒鉛を 0.5〜20重量%含有する潤滑剤組成物
    を供給することを特徴とするチタンおよびチタン合金の
    圧延方法。
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