JP2666688B2 - H形鋼のローラー矯正における潤滑方法 - Google Patents

H形鋼のローラー矯正における潤滑方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、H形鋼のローラー矯正
において、矯正用ロールおよびガイドロールとH形鋼と
の焼付きを防止し、ロール原単位の低減、稼働率の向
上、製品品質の向上を得ることができるH形鋼のローラ
ー矯正における潤滑方法に関する。
【0002】
【従来の技術】H形鋼は建築構造用に主として用いられ
るが、その工程は分塊の後、圧延、ショットブラスト、
手入れ、矯正、手入れ、検査、ショットブラスト、酸洗
を順に経る。耐食性が要求される場合には、H形鋼の鋼
材としてステンレス鋼等のCr含有鋼が用いられることが
多い。ステンレス鋼の場合には、矯正工程前に熱処理を
施す。
【0003】ステンレス鋼に代表されるCr含有鋼は、鋼
の表面に安定なCr酸化保護膜を形成し、表面が不動態化
されることによって耐食性が向上する。しかし、この表
面酸化膜は、炭素鋼のそれに比べると著しく薄く、矯正
時に摩擦を受けると剥離しやすいのである。従って、特
にステンレス鋼製のH形鋼の矯正では非常に激しい焼付
きが起こっていた。
【0004】H形鋼のローラー矯正機は、図1に示すよ
うに、交互に上下に配置された水平ロールである矯正用
ロール2と、垂直に配置されたガイドロール3とから構
成される。矯正用ロールはモーターで駆動されており、
回転する矯正用周面とH形鋼のウェブとの間の摩擦力に
よってH形鋼4は矯正機内へと引き込まれていく。そし
て交互に上下に配置された矯正用ロールの間を通過する
ことによって、H形鋼は矯正される。一方、ガイドロー
ルは駆動されておらず、矯正時のH形鋼のずれおよび横
方向の曲がりを矯正する。
【0005】この時、矯正用ロールの周面と接触するH
形鋼ウェブ面では高面圧となり、また矯正用ロール側面
と接触するH形鋼フランジ内面では、接触長が長いため
摩擦距離が長く、いずれも激しい焼付きを生じる。ま
た、横方向にH形鋼が曲がっている場合には、ガイドロ
ールと接触しているH形鋼フランジ外面でも焼付きを生
じる場合がある。そして、このような現象は特にステン
レス鋼製H型鋼の場合に顕著であった。
【0006】矯正は、H形鋼の製造工程の最終に近い段
階で行われ、矯正後の表面状態が直接製品の表面状態と
なるため、このような焼付き疵は製品品質上大きな問題
となっている。このため、通常焼付きを生じた部分をグ
ラインダで研削して出荷するが、フランジ内面、特にウ
ェブに近いフランジ内面に発生した疵は、自動グライン
ダで研削することが難しく、小型グラインダを用い、手
作業で研削せざるを得ないのが実情である。さらには、
焼付きが発生することによって早期のロール替えによる
稼動率の低下、ロール原単位の劣化などをも招いてい
た。
【0007】このような問題に対して、鉱物油、合成エ
ステルなどを主成分とし、油性剤、極圧剤等を添加した
慣用の冷間圧延用潤滑油を、ロールおよびH形鋼に塗布
して焼付きを防止する試みが従来よりなされているが、
十分な効果は得られていない。その理由として、H形鋼
の矯正では、フランジ内面などのように局部的に厳しい
摩擦状態が生じるため、通常の圧延油などよりも高潤滑
性の潤滑油が必要とされる一方、このような高潤滑性の
潤滑油を用いると、H形鋼の噛み込み不良やスリップな
どを生じてしまうという相反する問題を抱えているから
である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、H形
鋼のローラー矯正において、スリップ等を生じることな
くH形鋼の矯正用ロールおよびガイドロールとの焼付き
を防止するとともに、ロールの摩耗を大幅に低減するこ
とによって、製品品質と作業効率を向上させ、疵手入れ
のためのコスト高を防止することができるH形鋼のロー
ラー矯正における潤滑方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる目
的を達成するために、H形鋼のローラー矯正におけるH
形鋼と矯正用ロール、ガイドロールとの焼付きを防止で
きる潤滑剤について探究した結果、内燃機関用潤滑油の
清浄分散剤として開発された高塩基性金属塩スルホネー
トを潤滑主剤として含有する潤滑剤が最適であることを
見出し、本発明に到達した。
【0010】本発明の要旨は、H形鋼のローラー矯正工
程において、組成物全重量に基づいて20〜70重量%の高
塩基性金属塩スルホネートを含有する潤滑剤組成物を用
いて潤滑することを特徴とする、H形鋼のローラー矯正
方法である。
【0011】ここで、「高塩基性」とは、JIS K 2501
(電位差滴定法) により測定した塩基価が40 mg-KOH/g
以上であることを意味する。なお、高塩基性金属塩スル
ホネートを2種以上使用する場合には、その混合物中の
各成分の量を加味した塩基価の平均値が40 mg-KOH/g 以
上であればよい。
【0012】
【作用】本発明で用いる高塩基性金属塩スルホネート
は、アルキル芳香族を発煙硫酸またはSO3 ガスによりス
ルホン化し、得られた石油スルホン酸をアルカリ土類金
属(例、Ca、Ba、Mg) の炭酸塩または水酸化物で中和し
て金属塩 (正塩) とし、さらにこの金属塩を炭酸ガスの
存在下にアルカリ土類金属の炭酸塩または水酸化物と反
応させることにより製造される。なお、アルカリ土類金
属の一部または全部としてアルカリ金属を使用してもよ
い。この高塩基性金属塩スルホネートは、正塩に比べて
3〜15倍も多量の過剰のアルカリ土類金属を、主として
粒径 500Å以下の炭酸塩微粒子として含有する。この超
微細な炭酸塩粒子は、高塩基性金属塩スルホネートの製
造過程で自然に析出したものであり、高塩基性金属塩ス
ルホネートを潤滑油基油と混合すると、この微粒子が基
油中で逆ミセル構造のコロイド状分散体を形成する。
【0013】高塩基性金属塩スルホネートは、H形鋼の
表面酸化物との反応性に富み、矯正のような厳しい冷間
摩擦条件下でも剥離しにくい潤滑性化学反応被膜をH形
鋼表面に形成するなどして、潤滑性を向上させることが
判明した。また、高塩基性金属塩スルホネート中に存在
する、油中に逆ミセル構造のコロイド状で分散している
粒径500 Å以下の超微細炭酸塩粒子は、矯正時にH形鋼
と矯正用ロール、ガイドロールとの間の金属間の直接接
触を物理的に抑制する作用を有している。この超微細固
体粒子が摩擦界面の表面凹凸細部の隙間にまで導入され
る結果、金属間の直接接触が徹底的に抑制され、焼付き
が防止されるものと推測される。
【0014】なお、炭酸塩の超微細固体粒子は、黒鉛に
代表される剪断すべり型の固体潤滑剤とは異なり、自身
では界面の摩擦を大幅に緩和する働きを有していない。
そうではなく、摩擦界面でコロのような作用により摩擦
係数を低下させるので、摩擦係数が不必要に大きくは低
下しない。そのため、H形鋼の引込みに必要な矯正用ロ
ール周面とH形鋼ウェブ間の摩擦力は十分に確保され、
黒鉛などの固体潤滑剤や慣用の潤滑油を使用した場合に
見られるスリップや噛み込み不良等を生じにくい。さら
に、これらの潤滑性改善効果によりロール摩耗も低減す
る。
【0015】以上の作用により、スリップや噛み込み不
良等を起こすことなく、H形鋼のローラー矯正時に、矯
正用ロール側面とH形鋼フランジ部内面およびガイドロ
ールとH形鋼フランジ部外面に発生する焼付きを防止
し、ロール摩耗も大幅に低減することができ、良好な製
品品質を得ることができるのである。
【0016】本発明で用いる高塩基性金属塩スルホネー
トの原料アルキル芳香族としては、鉱油の潤滑油留分、
合成系化合物、例えばアルキルベンゼン、ポリオレフィ
ンをベンゼンにアルキル化したもの、ジノニルナフタレ
ン等が使用できる。
【0017】高塩基性金属塩スルホネートの金属塩は、
アルカリ土類金属およびアルカリ金属から選択すること
ができるが、高塩基性Caスルホネート、高塩基性Mgスル
ホネート、高塩基性Baスルホネートなどのアルカリ土類
金属塩を使用することが好ましい。特に最も潤滑効果が
高いのは高塩基性Caスルホネートであるので、高塩基性
Caスルホネートを潤滑剤組成物中に少なくとも20重量%
含有させることがより好ましい。
【0018】このような高塩基性金属塩スルホネートは
1種もしくは2種以上を使用することができる。2種以
上の混合物の場合には、混合物の平均塩基価が40 mg-KO
H/g以上であればよい。従って、この場合には、塩基価
が40 mg-KOH/g より低い低塩基性金属塩スルホネート
も、高塩基性金属塩スルホネートと混合して平均塩基価
が40 mg-KOH/g 以上になれば、使用可能である。
【0019】高塩基性金属塩スルホネートは、塩基価が
40 mg-KOH/g 以上であれば上記の作用効果を達成できる
が、塩基価が 200 mg-KOH/g 以上のものが、特に焼付き
防止能、耐摩耗性の点で優れている。
【0020】塩基価が200 mg-KOH/g未満では、炭酸塩の
超微細固体粒子の含有量が比較的少ないため、金属間の
直接接触を物理的に防止するために必要な炭酸塩微粒子
の摩擦界面への導入量がいくらか不足気味になる。その
ため、H形鋼が焼付きの起こり易いステンレス鋼製のも
のである場合には、H形鋼のローラー矯正時の矯正用ロ
ール側面とH形鋼フランジ内面、ガイドロールとH形鋼
フランジ外面の焼付きの完全な防止やロール摩耗の充分
な低減が達成されないことがある。
【0021】しかし、このような塩基価が200 mg-KOH/g
未満の高塩基性金属塩スルホネートも、焼付きが比較的
起こりにくい炭素鋼製のH形鋼の場合、或いはステンレ
ス鋼製のH形鋼の場合であっても、高粘度あるいは原液
に近い状態で潤滑剤を供給する時や、低負荷矯正条件下
においては、十分な潤滑作用を発揮し、焼付き防止やロ
ール摩耗の十分な低減を得ることができる。
【0022】塩基価が40 mg-KOH/g 未満では、炭酸塩微
粒子の量が非常に少ないため、金属間の直接接触による
焼付きを防止することができず、潤滑剤として有効に機
能しない。高塩基性金属塩スルホネートの塩基価の上限
は特にないが、現状では、塩基価が500 mg-KOH/gを超
え、しかも潤滑剤として適切な粘性などの性質を有する
ものは製造できないので、上限は500 mg-KOH/gとなる。
しかし、製造技術上可能になれば、より高塩基価のもの
も使用可能である。
【0023】本発明で用いる潤滑油組成物は、高塩基性
金属塩スルホネートを一般に使用される潤滑油基油に配
合することに調製できる。潤滑油基油としては、鉱物
油、合成潤滑油、ナタネ油、ラードオイル等の油脂類、
高級脂肪酸およびそのエステル類等から選ばれた1種も
しくは2種以上を使用できる。潤滑油基油の代わりに、
増粘剤を含む粘性水溶液を用いることもできる。
【0024】高塩基性金属塩スルホネートと潤滑油基油
のみの混合物でも十分に使用できるが、さらに必要に応
じて、他の固体潤滑剤、極圧添加剤、酸化防止剤、流動
点降下剤、粘度指数向上剤等を配合してもよい。
【0025】固体潤滑剤の例としては、黒鉛、二硫化モ
リブデン、窒化硼素、雲母、タルク等が挙げられる。極
圧添加剤の例としては、硫化油脂、硫化鉱油、ジノニル
ポリサルファイド等の硫黄系極圧添加剤、トリクレジル
ホスフェート、リン酸ジオクチル等のリン酸系極圧添加
剤が挙げられる。酸化防止剤の例としては、メチレン−
4,4 −ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール) 等のビ
スフェノール類;ジ−tert−ブチルクレゾール等のアル
キルフェノール類;ナフチルアミン類等が挙げられる。
流動点降下剤、粘度指数向上剤の例としては、ポリメタ
クリレート、ポリオレフィン等が挙げられる。
【0026】固体潤滑剤の添加量は約1〜10重量%程
度、極圧添加剤の添加量は約1〜15重量%程度、酸化防
止剤の添加量は約0.01〜1.0 重量%程度、流動点降下
剤、粘度指数向上剤の添加量は、それぞれ1〜5重量%
程度である。
【0027】本発明によれば、上記潤滑剤組成物を、H
形鋼のローラー矯正において矯正用ロールおよびガイド
ロールとH形鋼の少なくとも一部に供給する。潤滑剤の
供給は、全体に行う必要はなく、焼付きが起こり易い部
位のみに金属板すればよい。具体的には、矯正用ロール
側面とそれによって矯正されるH形鋼フランジ内面、ガ
イドロールとそれによって摩擦されるH形鋼フランジ外
面に対して、直接的もしくは間接的に行なう。例えば、
ロールに潤滑剤を直接供給すれば、これと接触するH形
鋼にも間接的に潤滑剤が供給される。
【0028】具体的な潤滑剤組成物の供給手段として
は、要求される粘度や濃度に応じて、圧縮空気と混合し
て噴霧状で供給するエアーアトマイズ法、水と混合して
供給するウォーターインジェクション法、さらに加熱蒸
気で噴霧化して供給するスチームアトマイズ法等の公知
の方法から適当に選択することができ、いずれの方法で
も本発明の効果を十分に得ることができる。もちろん、
原液のまま供給する方法でもよく、その他の一般的な給
油方式も使用できる。原液で供給する場合には、必要に
応じて、潤滑剤を水溶性タイプにするなどして不燃性化
して用いてもよい。潤滑剤の供給量は、H形鋼の鋼種や
矯正条件により大きく異なるので、熱間圧延中の焼付き
が防止されるように、事前に実験により決定しておけば
よい。
【0029】本発明のローラー矯正における潤滑方法
は、H形鋼の矯正工程において使用される矯正用ロー
ル、ガイドロールによるフェライト系、オーステナイト
系などのステンレス鋼製H形鋼のローラー矯正工程にお
いて、その効果をより顕著に発揮する。もちろん、一般
炭素鋼製のH形鋼のローラー矯正における潤滑方法とし
て利用しても同様の効果が得られ、その場合にもスリッ
プや噛み込み不良を生ずることなく、焼付きを防止でき
る。
【0030】
【実施例】次に具体的な実施例に基づき説明する。
【0031】まず、表1に示す本発明例のNo.1〜9およ
び比較例のNo. 10〜11、ならびに表2に示す従来例No.1
2 〜14の計14種の潤滑剤組成物を用意した。本発明例お
よび比較例の潤滑剤は、40℃における粘度が50.0 cStで
あるパラフィン系精製鉱油と40℃における粘度が48.3 c
Stであるトリメチロールプロパントリオレエートを1:
1の割合で混合した基油 (40℃における粘度は49.0 cS
t) と所定割合の (高) 塩基性金属塩スルホネートとを
ホモミキサーにより攪拌することにより調合した。従来
例の潤滑剤は、40℃における粘度がそれぞれ約12 cSt、
約50 cSt、約100 cSt である一般市販の冷間圧延油であ
る。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】図1および表3に示すH形鋼のローラー矯
正機において、後述する潤滑剤供給用配管設備を設置
し、準備した各潤滑剤をオーステナイト系ステンレス鋼
(JISSUS304) 製のH形鋼 (寸法: 幅125 mm、高さ125 m
m、長さ12m、重量3.3 トン)の矯正のチャンス (各5本
×12条件: 計60本) で供給し、矯正後の各矯正用ロール
(合金チルドロール) の焼付き、摩耗とH形鋼製品表面
疵の程度を調べた。なお、矯正に供したH形鋼は、横方
向、縦方向とも極端な曲がりを持ったものであり、本試
験において供試材の個体差が摩擦状態に及ぼす影響は無
視できる。
【0035】各潤滑剤は、図2に示すように、ローラー
矯正機入側から矯正用ロール2の側面およびガイドロー
ルの圧延面に対して、直接ノズルから原液を噴霧するこ
とにより、それぞれ流量500cc/分および100cc/分で供給
した。図2において、5は焼付きが発生し易い部位を示
す。試験結果を表4に示す。
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】本発明の潤滑方法によれば、ステンレスH
形鋼の矯正時に噛み込み不良、スリップ等のトラブルを
発生させずに、各矯正用ロールに発生する焼付きがほぼ
完全に防止され、疵がないか、あっても手入れ不要なご
く軽微な疵の製品が得られるとともに、ロール摩耗量も
大幅に低減することがわかる。中でも、高塩基性金属塩
スルホネートを30〜60重量%含有した潤滑剤、高塩基性
Caスルホネートをより20重量%以上含有した潤滑剤、塩
基価が200 mgKOH/g 以上の高塩基性金属塩スルホネート
を含む潤滑剤が、焼付き防止効果、摩耗低減効果ともに
一層高くなることもこの結果から示された。
【0039】これに対し、従来の冷間圧延油をそのまま
使用した従来例では、スリップにより噛み込まず、ロー
ラー矯正自体が不可能となるか、或いは焼付き顕著に起
こり、ロール摩耗量も多く、潤滑性を十分に発揮するこ
とができなかった。一方、高塩基性金属塩スルホネート
の含有量が少なかったり、その塩基価が40 mgKOH/gより
低い比較例では、従来例に比べれば、焼付き防止とロー
ル摩耗低減の効果はいくらかあるが、焼付き疵の発生を
防止できず、ロール摩耗も本発明例より多く、潤滑効果
が不十分であった。
【0040】なお、矯正用ロールとして高炭素系高速度
鋼 (ハイス) ロール、高合金グレン鋳鉄ロール、高Cr鋳
鉄ロール、アダマイトロールなど一般に使用されるロー
ルおよび、それらのロールに窒化、Crメッキなどの表面
処理を施したロールのいずれを使用した場合も、本発明
の潤滑方法により上記と同様の結果が得られることを確
認している。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のH形鋼の
ローラー矯正における潤滑方法は、スリップや噛み込み
不良を引き起こさずに、H形鋼と矯正用ロールとの焼付
き防止や矯正用ロールの摩耗低減等に対して優れた効果
を発揮するので、H形鋼製品品質の向上、作業効果の向
上を達成することができる。本発明の潤滑方法は、特に
焼付きが激しいステンレス鋼製H型鋼のローラー矯正に
有用であるが、炭素鋼製などの他の鋼種からなるH型鋼
のローラー矯正にも十分に有効であることはいうまでも
ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】H形鋼のローラー矯正の例を示す略式斜視図で
ある。
【図2】本発明にかかる潤滑剤の供給方法を示す説明図
である。
【符号の説明】
1 : 潤滑剤供給ノズル 2 : 矯正用ロール 3 : ガイドロール 4 : H形鋼 5 : 焼付き発生位置

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 H形鋼のローラー矯正工程において、組
    成物全重量に基づいて20〜70重量%の高塩基性金属塩ス
    ルホネートを含有する潤滑剤組成物を用いて潤滑するこ
    とを特徴とする、H形鋼のローラー矯正方法。
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