JP2919645B2 - 多層配線基板の製造方法 - Google Patents

多層配線基板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は多層配線基板の製造方
法、特に第2の配線層を無電界メッキにより形成する多
層配線基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の多層配線基板の製造方法を図10
乃至図15を参照して説明する。図10においては、ガ
ラスエポキシ等の絶縁基板(11)の一主面に銅箔を貼
り付けて所望のパタ−ンにエッチングして形成した第1
の導電層(12)が形成されている。
【0003】図11においては、基板全面にソルダ−レ
ジスト層(13)を塗布する。ソルダ−レジスト層(1
3)は、多管能エポキシ樹脂(20〜30重量%)、エ
ポキシアクリレ−ト樹脂(10〜15重量%)、熱硬化
性アクリル樹脂(40〜50重量%)、重合開始剤、溶
剤および無機フィラーで組成され(特開昭62−253
613号公報参照)、所望のパタ−ンに露光、現像する
ことにより任意の場所にコンタクト孔(14)を形成し
ている。
【0004】図12においては、ソルダ−レジスト層
(13)表面から露出した無機フィラ−(15)を塩酸
あるいは硫酸などの酸を用いて溶かす。この結果、溶け
た無機フィラー(15)の後にくぼみ(16)が形成さ
れ、ソルダ−レジスト層(13)の表面の粗化が行われ
る。図13においては、ソルダ−レジスト層(13)表
面に銅の無電界メッキにより第2の配線層(17)を形
成する。本工程では、第2の配線層(17)がくぼみ
(16)内に入り込み、アンカ−効果により第2の配線
層(17)の接着強度を強くしている。
【0005】なお斯上した多層配線基板の製造方法とし
ては、例えば特開昭52−44882号公報(B05D
5/00)等で知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
多層配線基板の製造方法では、図14に示すようにソル
ダ−レジスト層(13)に混入した無機フィラー(1
5)は形状が粒形のため、大部分がソルダ−レジスト層
(13)内に沈み、その表面に露出している無機フィラ
ー(15)の密度が低下する。このため酸で溶かしても
図15に示すように、ソルダ−レジスト層(13)表面
に形成されるくぼみ(16)が少なく、第2の配線層
(17)の接着強度が十分でない問題点を有していた。
【0007】また、表面に露出する無機フィラー(1
5)の密度を上げるために無機フィラ−(15)の混入
量を多くすると、図15に示すように無機フィラー(1
5)が厚み方向に連続して配置され、酸処理でこの無機
フィラー(15)が溶けてソルダ−レジスト層(13)
に貫通孔が形成され、第1の配線層(12)と第2の配
線層(17)が短絡する問題点も有している。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は斯る問題点に鑑
みてなされ、ソルダ−レジスト層に混入する無機フィラ
−として酸可溶フィラ−と酸不溶フィラ−で構成し、ソ
ルダ−レジスト層表面をプラズマアッチングした後、酸
可溶フィラーを酸で溶かすことにより、従来の問題点を
大幅に解決した多層配線基板の製造方法を実現するもの
である。
【0009】
【作用】本発明に依れば、プラズマアッシングにより無
機物よりなる酸可溶フィラーと酸不溶フィラ−を残して
ソルダ−レジスト層表面をエッチングするので、ソルダ
−レジスト層表面近くの無機物よりなる両フィラーがほ
とんど露出され、次の酸処理で酸可溶フィラ−を溶かし
て高密度にくぼみを形成できる点に特徴を有する。また
酸不溶フィラ−はこの酸処理で溶けず、厚み方向への貫
通孔の形成を防止できる。
【0010】
【実施例】本発明による多層配線基板の製造方法を図1
乃至図9を参照して説明する。図1おいて、ガラスエポ
キシ、表面をアルマイト処理したアルミニウム等の絶縁
基板(1)の一主面に銅箔を貼り付けて所望のパタ−ン
にエッチングして形成した第1の導電層(2)が形成さ
れている。
【0011】図2において、基板全面にソルダ−レジス
ト層(3)を塗布する。ソルダ−レジスト層(3)は、
多管能エポキシ樹脂(20〜30重量%)、エポキシア
クリレ−ト樹脂(10〜15重量%)、熱硬化性アクリ
ル樹脂(40〜50重量%)、重合開始剤、溶剤および
無機フィラーで組成されている(特開昭62−2536
13号公報参照)。このソルダ−レジスト層(3)はベ
−クされた後、所望のパタ−ンに露光、現像することに
より任意の場所にコンタクト孔(4)が形成される。こ
のコンタクト孔(4)はバイアホ−ル形状、すなわち上
方のみに開口し、下面には第1の導電層(2)を選択的
に露出している。
【0012】図3において、ソルダ−レジスト層(3)
表面をO2プラズマアッシングする。本工程は、本発明
のもっとも特徴とする工程であり、O2プラズマアッシ
ングにより選択的に無機フィラー(5)を除くソルダ−
レジスト層(3)を表面から削っている。さらに図6か
ら図7を参照して詳述すると、図6に示すように無機フ
ィラー(5)がソルダ−レジスト層(3)内に混入され
ている。無機フィラー(5)としては、酸可溶フィラ−
として炭酸カルシュウム(CaCO3)を用い、酸不溶
フィラ−として二酸化シリコン(SiO2)を用いる。
炭酸カルシュウムはその粒径を最大5μmの範囲内で、
平均粒径は0.2μm以下とする。また二酸化シリコン
は平均粒形約1〜2μmのものを用いる。無機フィラー
(5)は両者で約55重量%以下の混入量としており、
二酸化シリコンはソルダ−レジスト層(3)の固形成分
の10〜15重量%の混入量としている。従って、無機
フィラー(5)の大部分は図6のようにソルダ−レジス
ト層(3)内に存在し、ソルダ−レジスト層(3)の表
面より露出しているものは少ない。なお図6で、白丸で
示すものが炭酸カルシュウムであり、黒丸で示すものが
二酸化シリコンである。これから明らかなように、ソル
ダ−レジスト層(3)の厚み方向に酸可溶フィラ−が連
なる可能性が少なくなり、酸不溶フィラ−が介在するこ
とが分かる。
【0013】次に、図7に示すようにソルダ−レジスト
層(3)の表面からO2プラズマアッシングを行うの
で、無機フィラー(5)は残存したままで、有機物質よ
りなるソルダ−レジスト層(3)のみがアッシングされ
て削られていく。このためソルダ−レジスト層(3)の
アッシング面には表面近くにある無機フィラー(5)が
必ず露出された状態となり、ソルダ−レジスト層(3)
表面全面に高密度でかつ均一に無機フィラー(5)が露
出される。この状態で次工程へ移る。
【0014】なお本工程では、O2プラズマアッシング
と同時にコンタクト孔(4)内の有機物残査を除去でき
るので、コンタクト孔(4)の洗浄工程を兼用できる。
図4において、ソルダ−レジスト層(3)表面から露出
した無機フィラ−(5)のうち酸可溶フィラ−を塩酸あ
るいは硫酸などの酸を用いて溶かす。この結果、溶けた
炭酸カルシュウム(白丸)の後にくぼみ(6)が形成さ
れ、ソルダ−レジスト層(3)の表面の粗化が行われ
る。この酸処理の間、二酸化シリコンは溶けないので、
厚み方向への貫通孔の形成を防止する。
【0015】図8を参照すると、本工程の酸処理で、前
工程で露出された表面近くの炭酸カルシュウム(白丸)
は溶かされて、ソルダ−レジスト層(3)の表面には多
くの炭酸カルシュウムの溶けて形成されたくぼみ(6)
ができる。一方、ソルダ−レジスト層(3)の厚み方向
では二酸化シリコンがあるため、炭酸カルシュウムが連
続して存在する場合が少なく、貫通孔が形成されない。
またO2プラズマアッシング時にソルダ−レジスト層
(3)表面も無機フィラー(5)のために凹凸に削られ
るので、表面の粗化に協力することになる。
【0016】図5において、ソルダ−レジスト層(3)
表面に銅の無電界メッキにより第2の配線層(7)を形
成する。本工程では、第2の配線層(7)がくぼみ
(6)内に入り込み、アンカ−効果により第2の配線層
(7)の接着強度を強くしている。次に本発明を用いた
ときの接着強度の特性について、図9を参照して説明す
る。図9では、無機フィラー(5)として炭酸カルシュ
ウムを用い、X軸にソルダ−レジスト層(3)の固形成
分に対する炭酸カルシュウムの混入量を取り、Y軸に第
2の配線層(7)の接着強度を取っている。具体的に
は、1cm幅の第2の配線層(7)がどれくらいの力でソ
ルダ−レジスト層(3)から剥がれるかを実験してい
る。また無機フィラ−(5)の混入量は55重量%を越
えると、ソルダ−レジスト自体が膜を形成できなくなる
ので、それ以上の混入は図9には示さない。ここで、図
9から明白な点は、炭酸カルシュウムの混入量が30重
量%のとき接着強度は0.5Kg/cmであり、50重
量%のときは0.7Kg/cmであり、炭酸カルシュウ
ム( )を多く混入すれば確実にくぼみ(6)が増加し
ていることが分かる。従って、接着強度から炭酸カルシ
ュウムの混入量を決め、55重量%から炭酸カルシュウ
ムの混入量を差し引いたものが二酸化シリコンを混入で
きる量となるので、炭酸カルシュウムの混入量を30重
量%とすると、二酸化シリコンは10〜25重量%の範
囲でその効果を見ながらその量を決める。
【0017】
【発明の効果】本発明に依れば、ソルダ−レジスト層
(3)表面をO2プラズマアッシングするので、表面近
くにある無機フィラー(5)を確実に露出することがで
き、次の酸処理でくぼみ(6)を高密度でかつ均一に形
成できるので、第2の配線層(7)の接着強度を大幅に
増加できる利点を有する。
【0018】また本発明では、ソルダ−レジスト層
(3)を接着強度の強い層間絶縁膜として利用可能とす
るので、多層の配線構造を容易に実現できる利点を有す
る。さらに本発明では、O2プラズマアッシング時にコ
ンタクト孔(4)の有機物残査も除去できるので、コン
タクト孔(4)の洗浄工程を省略できる利点も有する。
【0019】さらにまた本発明では、無機フィラ−
(5)として酸可溶フィラ−である炭酸カルシュウムと
酸不溶フィラ−である二酸化シリコンとを混ぜて使用す
ることにより、炭酸カルシュウムが厚み方向に連なって
形成される貫通孔の発生を防止でき、層間絶縁膜の信頼
性を向上できる利点も有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に依る多層配線基板の製造方法を説明す
る断面図である。
【図2】本発明に依る多層配線基板の製造方法を説明す
る断面図である。
【図3】本発明に依る多層配線基板の製造方法を説明す
る断面図である。
【図4】本発明に依る多層配線基板の製造方法を説明す
る断面図である。
【図5】本発明に依る多層配線基板の製造方法を説明す
る断面図である。
【図6】本発明に依る多層配線基板の製造方法のプラズ
マアッシングを説明する断面図である。
【図7】本発明に依る多層配線基板の製造方法のプラズ
マアッシングを説明する断面図である。
【図8】本発明に依る多層配線基板の製造方法のプラズ
マアッシングを説明する断面図である。
【図9】本発明に依る多層配線基板の製造方法により形
成した第2の配線層の接着強度を説明する特性図であ
る。
【図10】従来の多層配線基板の製造方法を説明する断
面図である。
【図11】従来の多層配線基板の製造方法を説明する断
面図である。
【図12】従来の多層配線基板の製造方法を説明する断
面図である。
【図13】従来の多層配線基板の製造方法を説明する断
面図である。
【図14】従来の多層配線基板の製造方法のプラズマア
ッシングを説明する断面図である。
【図15】従来の多層配線基板の製造方法のプラズマア
ッシングを説明する断面図である。
【符号の説明】
1 絶縁基板 2 第1の導電層 3 ソルダ−レジスト層 4 コンタクト孔 5 無機フィラー 6 くぼみ 7 第2の導電層
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−252698(JP,A) 特開 昭58−39099(JP,A) 特開 平1−184997(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H05K 3/46 H05K 3/10 - 3/26 H05K 3/38

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の配線層が形成された基板に無機物
    より成る酸可溶フィラーおよび酸不溶フィラーが混入さ
    れたレジスト層を被覆し、 前記第1の配線層が露出する接続孔を形成し、 前記両フィラーを残し、前記レジスト層を除去するよう
    に表面をプラズマアッシングすると同時に前記接続孔内
    の不純物を除去し、 前記レジスト層より露出された前記酸可溶フィラーを取
    り除くことで、前記レジスト層表面の粗化を行い、 前記レジスト層上に金属より成る第2の配線層を形成す
    る事を特徴とした多層配線基板の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記レジスト層は、露光、現像が可能な
    材料より成る請求項1に記載の多層配線基板の製造方
    法。
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