JP2917618B2 - インバータ制御方法およびその装置 - Google Patents

インバータ制御方法およびその装置

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JP2917618B2
JP2917618B2 JP3281834A JP28183491A JP2917618B2 JP 2917618 B2 JP2917618 B2 JP 2917618B2 JP 3281834 A JP3281834 A JP 3281834A JP 28183491 A JP28183491 A JP 28183491A JP 2917618 B2 JP2917618 B2 JP 2917618B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はインバータ制御方法お
よびその装置に関し、さらに詳細にいえば、インバータ
を用いてモータを駆動する場合に好適なインバータ制御
方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から空気調和機をはじめとする種々
の装置においてモータを駆動するためにインバータを用
いることが一般化しつつある。この場合においてコンバ
ータを用いて商用交流電源を直流化し、次いでインバー
タにより直流電圧をパルス化し、ドライブ回路を介して
パルス化された直流電圧をモータに印加する構成が一般
的に採用される。したがって、インバータのスイッチン
グ素子の動作タイミングを制御することによりモータに
印加される電圧波形をきめ細かく制御し、ひいてはモー
タのきめ細かい制御を達成できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述のようにインバー
タを用いてモータを制御する場合には、インバータのス
イッチング素子をチョッピングすることに起因するチョ
ッピング音が発生するだけでなく、モータの回転に伴な
って騒音(例えば、モータが誘導電動機である場合に発
生するスロット音、通風音のファン音等)が発生するこ
とが知られている。これらチョッピング音、騒音は一般
的にはインバータによるモータ駆動状態においてはさほ
ど気になる騒音とはならないのであるが、チョッピング
音の周波数と騒音成分の周波数とが一致した場合には著
しく大きな騒音になってしまうという不都合がある。
【0004】
【発明の目的】この発明は上記の問題点に鑑みてなされ
たものであり、インバータを用いてモータを駆動する場
合におけるチョッピング音およびモータの回転に伴なう
騒音に起因する騒音が大きくなりすぎることを防止でき
るインバータ制御方法およびその装置を提供することを
目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの、請求項1のインバータ制御方法は、インバータの
スイッチング素子のチョッピング周波数に起因するチョ
ッピング音の周波数とモータの回転数に起因する騒音成
分の周波数との比率が1を中心とする所定範囲内である
ことを検出してインバータのスイッチング素子のチョッ
ピング周波数を上記比率が1を中心とする所定範囲外に
なるように変更する方法である。
【0006】請求項2のインバータ制御方法は、変更前
のチョッピング周波数に応答して、チョッピング周波数
の変更幅を変更前のチョッピング周波数に比例する値に
設定する方法である。請求項3のインバータ制御方法
は、モータの回転数に基づいてチョッピング音の周波数
と騒音成分の周波数との比率が1を中心とする所定範囲
内であることを検出する方法である。
【0007】請求項4のインバータ制御装置は、インバ
ータのスイッチング素子のチョッピング周波数に起因す
るチョッピング音の周波数を出力するチョッピング音周
波数出力手段と、モータの回転数に起因する騒音成分の
周波数を出力する騒音成分周波数出力手段と、両周波数
出力手段から出力される周波数に基づいて両周波数の比
率を算出し、算出された比率が1を中心とする所定範囲
内であるか否かを判別する比率算出判別手段と、比率算
出判別手段により比率が1を中心とする所定範囲内であ
ると判別されたことに応答して上記比率が1を中心とす
る所定範囲外になるようにインバータのスイッチング素
子のチョッピング周波数を変更するチョッピング周波数
変更手段とを含んでいる。
【0008】請求項5のインバータ制御装置は、チョッ
ピング周波数変更手段が変更前のチョッピング周波数が
入力され、チョッピング周波数の変更幅を変更前のチョ
ッピング周波数に比例する値に設定するものである。請
求項6のインバータ制御装置は、運転開始当初のチョッ
ピング周波数に基づくチョッピング音周波数とモータの
回転数に起因する騒音成分の周波数との比率が1を中心
とする所定範囲となるモータの回転数を基準値として該
当する時点のモータの回転数との大小を判別する大小判
別手段と、該当する時点のモータの回転数の方が大きい
ことに応答して運転開始当初のチョッピング周波数をそ
のまま出力し、該当する時点のモータの回転数の方が小
さいことに応答して運転開始当初のチョッピング周波数
よりも所定量だけ小さい周波数をチョッピング周波数と
して出力するチョッピング周波数出力手段とを含んでい
る。」
【0009】
【作用】請求項1のインバータ制御方法であれば、イン
バータを用いてモータを駆動する場合において、インバ
ータのスイッチング素子のチョッピング周波数に起因す
るチョッピング音の周波数とモータの回転数に起因する
騒音成分の周波数との比率を算出して、算出した比率が
1を中心とする所定範囲内であるか否かを判別する。そ
して、比率が1を中心とする所定範囲外である場合には
チョッピング周波数を変更することなくインバータによ
るモータの駆動を継続する。逆に、比率が1を中心とす
る所定範囲内である場合には比率が1を中心とする所定
範囲外になるようにチョッピング周波数を変更してイン
バータによるモータの駆動を行なう。即ち、比率が1を
中心とする所定範囲外である場合にはチョッピング音と
モータの回転数に起因する騒音とが相乗作用により著し
く大きな騒音になるという不都合はないのであるから、
チョッピング周波数を変更することなくインバータによ
るモータの駆動を継続すればよい。しかし、比率が1を
中心とする所定範囲内である場合には比較的近い将来に
チョッピング音とモータの回転数に起因する騒音とが相
乗作用により著しく大きな騒音になる。したがって、こ
のような場合にのみ、比率が1を中心とする所定範囲外
になるようにチョッピング周波数を変更してインバータ
によるモータの駆動を行なえばよく、著しく大きな騒音
の発生を未然に防止できる。
【0010】請求項2のインバータ制御方法であれば、
変更前のチョッピング周波数に応答して、チョッピング
周波数の変更幅を変更前のチョッピング周波数に比例す
る値に設定するのであるから、変更前のチョッピング周
波数の如何に拘らず簡単に、比率が1を中心とする所定
範囲外になるようにチョッピング周波数を変更できる。
請求項3のインバータ制御方法であれば、モータの回転
数を得ればよく、チョッピング音周波数、騒音成分の周
波数を算出する必要がないのであるから、処理を簡素化
できる。」
【0011】請求項4のインバータ制御装置であれば、
インバータを用いてモータを駆動する場合において、イ
ンバータのスイッチング素子のチョッピング周波数に起
因するチョッピング音の周波数をチョッピング音周波数
出力手段から出力し、モータの回転数に起因する騒音成
分の周波数を騒音成分周波数出力手段から出力し、両周
波数出力手段から出力される周波数に基づいて比率算出
判別手段により両周波数の比率を算出し、算出された比
率が1を中心とする所定範囲内であるか否かを判別す
る。そして、比率が1を中心とする所定範囲外であると
判別された場合にはチョッピング周波数を変更すること
なくインバータによるモータの駆動を継続する。逆に、
比率が1を中心とする所定範囲内であると判別された場
合には比率が1を中心とする所定範囲外になるようにチ
ョッピング周波数変更手段によりチョッピング周波数を
変更してインバータによるモータの駆動を行なう。この
結果、何れの場合にも著しく大きな騒音の発生を未然に
防止できる。
【0012】請求項5のインバータ制御装置であれば、
チョッピング周波数変更手段が変更前のチョッピング周
波数が入力され、チョッピング周波数の変更幅を変更前
のチョッピング周波数に比例する値に設定するものであ
るから、変更前のチョッピング周波数の如何に拘らず確
実に、比率が1を中心とする所定範囲外になるようにチ
ョッピング周波数を変更できる。請求項6のインバータ
制御装置であれば、モータの回転数を得て大小判別手段
により基準値としての回転数との大小を判別し、判別結
果に基づいてチョッピング周波数出力手段により運転開
始当初のチョッピング周波数をそのまま出力し、または
運転開始当初のチョッピング周波数を所定量だけ減少さ
せた周波数を出力することにより著しく大きな騒音の発
生を未然に防止できる。また、チョッピング音周波数、
騒音成分の周波数を算出する必要がないのであるから、
処理を簡素化できる。
【0013】
【実施例】以下、実施例を示す添付図面によって詳細に
説明する。図6はこの発明のインバータ制御方法が実施
されるモータ駆動装置の構成を概略的に示すブロック図
であり、商用交流電源1を入力として直流電圧を出力す
るコンバータ2と、コンバータ2から出力される直流電
圧をパルス信号列に変換して誘導電動機6に駆動電圧を
与えるインバータ3と、誘導電動機6の回転数を検出す
る回転数検出器7からの回転数検出信号を入力としてイ
ンバータ制御信号を出力するインバータ制御部5と、イ
ンバータ制御部5から出力される制御信号を入力として
インバータ3に制御信号を供給するドライバ回路4とを
有している。
【0014】図1はこの発明のインバータ制御方法の一
実施例を示すフローチャートであり、先ず、ステップS
P1においてチョッピング周波数を初期値fc0に設定
してインバータ3による誘導電動機6の運転を開始す
る。そして、ステップSP2においてチョッピング周波
数fcに起因するチョッピング音の周波数fnc(=2
×fc±f0、但し、fcはチョッピング周波数、f0
は誘導電動機6の運転周波数)と誘導電動機6のスロッ
ト音の周波数fns(=Nr×fm/p+K×f0、但
し、Nrは回転子のスロット数、fmは誘導電動機の回
転数、pは極対数、K=0,±2,・・・)との比率f
nc/fnsを算出し、ステップSP3において比率f
nc/fnsが1より大きいか否かを判別する。そし
て、比率fnc/fnsが1よりも大きいと判別された
場合には、ステップSP4において比率fnc/fns
が1より少しだけ大きい第1所定値よりも大きいか否か
を判別し、比率fnc/fnsが第1所定値よりも大き
いと判別された場合にはステップSP5においてチョッ
ピング周波数fcをそのまま維持し、逆に、比率fnc
/fnsが第1所定値以下であると判別された場合には
ステップSP6においてチョッピング周波数を減少させ
て新たなチョッピング周波数fcn(=fc−△f)を
算出する。上記ステップSP3において比率が1よりも
小さいと判別された場合には、ステップSP7において
比率fnc/fnsが1より少しだけ小さい第2所定値
よりも小さいか否かを判別し、比率fnc/fnsが第
2所定値以上であると判別された場合にはステップSP
8においてチョッピング周波数を増加させて新たなチョ
ッピング周波数fcn(=fc+△f)を算出する。逆
に、比率fnc/fnsが第2所定値よりも小さいと判
別された場合にはステップSP9においてチョッピング
周波数fcをそのまま維持する。そして、ステップSP
5,SP6,SP8,SP9の何れかの処理が行なわれ
た後は、再びステップSP2の処理を行なう。
【0015】したがって、チョッピング音の周波数fn
cがスロット音の周波数fnsよりも高い状態において
両周波数の比率が第1所定値よりも大きければ騒音成分
の著しい増大のおそれがないのでチョッピング周波数f
cを変更することなくインバータ3による誘導電動機6
の運転を行なえばよいが、両周波数の比率が第1所定値
以下になった場合には、騒音成分の著しい増大のおそれ
があるのでチョッピング周波数fcを減少させ、チョッ
ピング音の周波数fncをスロット音の周波数fnsよ
りも低くすることにより両周波数の一致を未然に阻止
し、騒音成分の著しい増大を未然に阻止できる。
【0016】逆に、チョッピング音の周波数fncがス
ロット音の周波数fnsよりも低い状態において両周波
数の比率が第2所定値よりも小さければ騒音成分の著し
い増大のおそれがないのでチョッピング周波数fcを変
更することなくインバータ3による誘導電動機6の運転
を行なえばよいが、両周波数の比率が第2所定値以上に
なった場合には、騒音成分の著しい増大のおそれがある
のでチョッピング周波数fcを増加させ、チョッピング
音の周波数fncをスロット音の周波数fnsよりも高
くすることにより両周波数の一致を未然に阻止し、騒音
成分の著しい増大を未然に阻止できる。
【0017】尚、チョッピング周波数fcを減少させ、
または増加させる場合における変化量△fは予め設定さ
れた定数値であってもよいが、該当する時点におけるチ
ョッピング周波数fcに比例する値を採用することが好
ましく、誘導電動機6の回転数の変化方向が変動しない
ことを条件として、1回だけチョッピング周波数を変更
するだけで確実に騒音成分の著しい増加を阻止できる。
【0018】図2は図1の方法により制御されるチョッ
ピング音の周波数fncとスロット音の周波数fnsと
の関係を示す図であり、チョッピング周波数fcを変化
させない従来方法において両周波数fnc,fnsが一
致する(図2中破線参照)前にチョッピング周波数fc
を段階的に変化させているので、両周波数fnc,fn
sの一致を確実に阻止でき、騒音成分の著しい増大をも
確実に阻止できる。
【0019】
【実施例2】図3はこの発明のインバータ制御装置の一
実施例を示すブロック図であり、予め設定されたチョッ
ピング周波数fcおよび誘導電動機6の運転周波数f0
を入力としてチョッピング音の周波数fncを算出する
チョッピング音周波数算出部51と、回転数検出器7か
らの回転数検出信号を入力として、予め定められている
回転子のスロット数Nr、極対数pおよび定数Kに基づ
いてスロット音の周波数fnsを算出するスロット音周
波数算出部52と、算出された両周波数の比率fnc/
fnsを算出する比率算出部53と、比率fnc/fn
sと定数値1との大小を判別する周波数大小判別部54
と、比率fnc/fnsが1より大きいことを示す判別
結果に基づいて比率fnc/fnsと1より少しだけ大
きい第1所定値との大小を判別する第1大小判別部55
と、比率fnc/fnsが1より小さいことを示す判別
結果に基づいて比率fnc/fnsと1より少しだけ小
さい第2所定値との大小を判別する第2大小判別部56
と、周波数大小判別部54から出力される大小判別結果
に基づいて動作可能状態が制御され、かつ第1大小判別
部55から出力される判別結果に応答してチョッピング
周波数をそのまま出力し、またはチョッピング周波数を
所定量だけ減少させた周波数を新たなチョッピング周波
数として出力する第1チョッピング周波数出力部57
と、周波数大小判別部54から出力される大小判別結果
に基づいて動作可能状態が制御され、かつ第2大小判別
部56から出力される判別結果に応答してチョッピング
周波数をそのまま出力し、またはチョッピング周波数を
所定量だけ増加させた周波数を新たなチョッピング周波
数として出力する第2チョッピング周波数出力部58と
を有している。
【0020】上記構成のインバータ制御装置の作用は次
のとおりである。インバータ3を用いて誘導電動機6の
運転を行なう場合に、チョッピング音周波数算出部51
においてfnc=2×fc±f0の演算を行なうことに
よりチョッピング音周波数fncを算出し、スロット音
周波数算出部52においてfns=Nr×fm/p+K
×f0の演算を行なうことによりスロット音周波数fn
sを算出し、算出された両周波数fnc,fnsに基づ
いて比率算出部53において比率fnc/fnsを算出
する。そして、周波数大小判別部54において比率fn
c/fnsと1との大小を判別することによりチョッピ
ング音周波数fncの方が大きいかスロット音周波数f
nsの方が大きいかを判別する。
【0021】チョッピング音周波数fncの方が大きい
場合には、スロット音周波数fnsが増加した場合にチ
ョッピング音周波数fncを段階的に減少させるべくチ
ョッピング周波数fcを減少させなければならないので
あるから、第1チョッピング周波数出力部57を動作可
能状態にしておく。この状態において第1大小判別55
により比率fnc/fnsと1より少しだけ大きい第1
所定値との大小を判別し、大小判別結果信号を第1チョ
ッピング周波数出力部57に供給する。したがって、比
率fnc/fnsが第1所定値よりも大きければ第1チ
ョッピング周波数出力部57からそれまでのチョッピン
グ周波数fcがそのまま出力され、逆に比率fnc/f
nsが第1所定値よりも小さければそれまでのチョッピ
ング周波数fcを所定値△fだけ減少させた周波数を新
たなチョッピング周波数として第1チョッピング周波数
出力部57から出力する。
【0022】スロット音周波数fnsの方が大きい場合
には、スロット音周波数fnsが減少した場合にチョッ
ピング音周波数fncを段階的に増加させるべくチョッ
ピング周波数fcを増加させなければならないのである
から、第2チョッピング周波数出力部58を動作可能状
態にしておく。この状態において第2大小判別56によ
り比率fnc/fnsと1より少しだけ小さい第2所定
値との大小を判別し、大小判別結果信号を第2チョッピ
ング周波数出力部58に供給する。したがって、比率f
nc/fnsが第2所定値よりも小さければ第2チョッ
ピング周波数出力部58からそれまでのチョッピング周
波数fcがそのまま出力され、逆に比率fnc/fns
が第2所定値よりも大きければそれまでのチョッピング
周波数fcを所定値△fだけ増加させた周波数を新たな
チョッピング周波数として第2チョッピング周波数出力
部58から出力する。
【0023】したがって、チョッピング音周波数fnc
とスロット音周波数fnsとが一致することを未然に防
止でき、ひいては騒音が著しく大きくなることを未然に
防止できる。また、インバータ制御を行なう場合には一
般的に電源周波数が大きいことに対応してチョッピング
周波数fcを小さくするのであり、図2に示す特性を実
現するようにチョッピング周波数を変化させてもインバ
ータ制御特性に特に不都合を及ぼすことはないと思われ
る。
【0024】
【実施例3】図4はこの発明のインバータ制御方法の他
の実施例を示すフローチャートである。尚、このフロー
チャートを採用する前提として、誘導電動機6の回転数
fmが誘導電動機6の運転周波数f0に基づいてある程
度の精度で簡単に推定できると仮定している。この仮定
は、誘導電動機6の出力、負荷等に基づいてすべりが所
定範囲内に制限できる場合等には十分に現実的である。
【0025】ステップSP1において運転周波数f0に
基づいて誘導電動機6の回転数fmを推定し、ステップ
SP2において、運転開始後にチョッピング音周波数f
ncとスロット音周波数fnsとの比率が1より少しだ
け大きい第1所定値と等しくなる誘導電動機6の回転数
fm0と推定された回転数fmとの大小を判別し、推定
された回転数fmの方が小さいと判別された場合には、
ステップSP3において運転開始当初のチョッピング周
波数fcをそのままチョッピング周波数として採用し、
逆に、推定された回転数fmの方が大きいと判別された
場合には、ステップSP4において運転開始当初のチョ
ッピング周波数fcを所定量△fだけ減少させた周波数
fc−△fをチョッピング周波数として採用する。そし
て、ステップSP3,SP4の何れかの処理が行なわれ
た後は、再びステップSP1の処理を行なう。
【0026】したがって、この実施例の場合には誘導電
動機6の回転数検出を不要にでき、全体として処理を簡
素化できる。尚、この実施例の場合には、推定された回
転数fm自体が誤差を含んでいる可能性があるが、チョ
ッピング音周波数fncとスロット音周波数fnsとが
一致するか否かを判別する必要がなく、両周波数がある
程度接近したか否かを判別するだけで十分であるから特
に不都合は生じない。
【0027】
【実施例4】図5はこの発明のインバータ制御装置の他
の実施例を示すブロック図であり、誘導電動機6の運転
周波数f0に基づいて回転数fmを推定する回転数推定
部61と、運転開始後にチョッピング音周波数fncと
スロット音周波数fnsとの比率が1より少しだけ大き
い第1所定値と等しくなる誘導電動機6の回転数fm0
と推定された回転数fmとの大小を判別する回転数大小
判別部62と、回転数大小判別部62による大小判別結
果に応答して運転開始当初のチョッピング周波数fcを
そのままチョッピング周波数として出力し、またはチョ
ッピング周波数fcを所定量△fだけ減少させた周波数
fc−△fをチョッピング周波数として出力するチョッ
ピング周波数出力部63とを有している。
【0028】したがって、図3の実施例と比較して構成
を著しく簡素化できる。また、誘導電動機6の回転数f
mが不正確になるが、図3の実施例においてもチョッピ
ング音周波数fncとスロット音周波数fnsとが一致
するか否かを判別しているのではなく、両周波数がある
程度接近したか否かを判別しているだけであるから、図
3の実施例と同様に騒音の発生を未然に阻止できる。
【0029】尚、この発明は上記の実施例に限定される
ものではなく、例えば、誘導電動機6の回転数の増加に
対応してチョッピング周波数を減少させる代わりにチョ
ッピング周波数を増加させ、増加されたチョッピング周
波数を回転数の増加に対応させてさらに増加させること
が可能であるほか、図5の実施例において誘導電動機6
の回転数fm0をチョッピング周波数に対応させて予め
テーブルに設定しておき、チョッピング周波数に基づい
て該当する回転数fm0を読み出すことが可能であり、
さらにスロット音以外の騒音の周波数とチョッピング音
周波数との一致を未然に阻止することが可能であるほ
か、発生する可能性がある全ての騒音を考慮して騒音周
波数とチョッピング音周波数との一致を未然に阻止する
ことが可能であり、その他、この発明の要旨を変更しな
い範囲内において種々の設計変更を施すことが可能であ
る。
【0030】
【発明の効果】以上のように請求項1の発明は、チョッ
ピング音周波数と騒音成分の周波数との一致を未然に阻
止し、騒音成分が著しく大きくなることを未然に防止し
て環境を良好に維持できるという特有の効果を奏する。
請求項2の発明は、1回のチョッピング周波数変更処理
を行なうだけでチョッピング音周波数と騒音成分の周波
数とが一致することを未然に阻止でき、処理を簡素化で
きるという特有の効果を奏する。
【0031】請求項3の発明は、チョッピング音周波
数、騒音成分の周波数を算出する必要がなく、処理を著
しく簡素化できるという特有の効果を奏する。請求項4
の発明は、チョッピング音周波数と騒音成分の周波数と
の一致を未然に阻止し、騒音成分が著しく大きくなるこ
とを未然に防止して環境を良好に維持できるという特有
の効果を奏する。
【0032】請求項5の発明は、1回のチョッピング周
波数変更処理を行なうだけでチョッピング音周波数と騒
音成分の周波数とが一致することを未然に阻止でき、処
理を簡素化できるという特有の効果を奏する。請求項6
の発明は、チョッピング音周波数、騒音成分の周波数を
算出する必要がなく、処理を著しく簡素化できるという
特有の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のインバータ制御方法の一実施例を示
すフローチャートである。
【図2】図1の方法により制御されるチョッピング音の
周波数fncとスロット音の周波数fnsとの関係を示
す図である。
【図3】この発明のインバータ制御装置の一実施例を示
すブロック図である。
【図4】この発明のインバータ制御方法の他の実施例を
示すフローチャートである。
【図5】この発明のインバータ制御装置の他の実施例を
示すブロック図である。
【図6】この発明のインバータ制御方法が実施されるモ
ータ駆動装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【符号の説明】
3 インバータ 6 誘導電動機 51 チョッピ
ング音周波数算出部 52 スロット音周波数算出部 53 比率算出部 54 周波数大小判別部 55 第1大小判別部 5
6 第2大小判別部 57 第1チョッピング周波数出力部 58 第2チョッピング周波数出力部 62 回転数
大小判別部 63 チョッピング周波数出力部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H02P 5/408 - 5/412 H02P 7/628 - 7/632 H02P 21/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インバータ(3)を用いてモータ(6)
    を駆動する装置において、インバータ(3)のスイッチ
    ング素子のチョッピング周波数に起因するチョッピング
    音の周波数とモータの回転数に起因する騒音成分の周波
    数との比率が1を中心とする所定範囲内であることを検
    出してインバータ(3)のスイッチング素子のチョッピ
    ング周波数を上記比率が1を中心とする所定範囲外にな
    るように変更することを特徴とするインバータ制御方
    法。
  2. 【請求項2】変更前のチョッピング周波数に応答して、
    チョッピング周波数の変更幅を変更前のチョッピング周
    波数に比例する値に設定する請求項1に記載のインバー
    タ制御方法。
  3. 【請求項3】 モータ(6)の回転数に基づいてチョッ
    ピング音の周波数と騒音成分の周波数との比率が1を中
    心とする所定範囲内であることを検出する請求項1に記
    載のインバータ制御方法。
  4. 【請求項4】 インバータ(3)を用いてモータ(6)
    を駆動する装置において、インバータ(3)のスイッチ
    ング素子のチョッピング周波数に起因するチョッピング
    音の周波数を出力するチョッピング音周波数出力手段
    (51)と、モータの回転数に起因する騒音成分の周波
    数を出力する騒音成分周波数出力手段(52)と、両周
    波数出力手段(51,52)から出力される周波数に基
    づいて両周波数の比率を算出し、算出された比率が1を
    中心とする所定範囲内であるか否かを判別する比率算出
    判別手段(53,54)と、比率算出判別手段(53,
    54)により比率が1を中心とする所定範囲内であると
    判別されたことに応答して上記比率が1を中心とする所
    定範囲外になるようにインバータ(3)のスイッチング
    素子のチョッピング周波数を変更するチョッピング周波
    数変更手段(55,56,57,58)とを含むことを
    特徴とするインバータ制御装置。
  5. 【請求項5】チョッピング周波数変更手段(55,5
    6,57,58)が変更前のチョッピング周波数が入力
    され、チョッピング周波数の変更幅を変更前のチョッピ
    ング周波数に比例する値に設定するものである請求項4
    に記載のインバータ制御装置。
  6. 【請求項6】 インバータ(3)を用いてモータ(6)
    を駆動する装置において、運転開始当初のチョッピング
    周波数に基づくチョッピング音周波数とモータ(6)の
    回転数に起因する騒音成分の周波数の比率が1を中心と
    する所定範囲となるモータ(6)の回転数を基準値とし
    て該当する時点のモータ(6)の回転数との大小を判別
    する大小判別手段(62)と、該当する時点のモータ
    (6)の回転数の方が大きいことに応答して運転開始当
    初のチョッピング周波数をそのまま出力し、該当する時
    点のモータ(6)の回転数の方が小さいことに応答して
    運転開始当初のチョッピング周波数よりも所定量だけ小
    さい周波数をチョッピング周波数として出力するチョッ
    ピング周波数出力手段(63)とを含むことを特徴とす
    るインバータ制御装置。
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