JP2917505B2 - 積層セラミックコンデンサ - Google Patents

積層セラミックコンデンサ

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JP2917505B2 JP2317345A JP31734590A JP2917505B2 JP 2917505 B2 JP2917505 B2 JP 2917505B2 JP 2317345 A JP2317345 A JP 2317345A JP 31734590 A JP31734590 A JP 31734590A JP 2917505 B2 JP2917505 B2 JP 2917505B2
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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、パラジウムを含む内部電極を有する積層セ
ラミックコンデンサに関するものである。
従来の技術 内部電極にパラジウムを含む積層セラミックコンデン
サの、誘電体層はMgO−CaO−TiO2系の材料を用いて形成
していた。
発明が解決しようとする課題 しかし、この組成は、例えば0.50MgO−0.14CaO−0.36
TiO2の組成比からなる誘電体材料を使用し、円板形磁器
コンデンサを作製すると、誘電率:43,静電容量温度係
数:N759ppm/℃,Q:10000以上,絶縁抵抗:4.0×1012Ωで
あり、満足のできる値ではない。
また、この誘電体材料を使用して、誘電体厚み:25μ
m,内部電極の重なり寸法:2.4mm×0.9mm,誘電体層数:20
の積層構造をもつ積層セラミックコンデンサを作製し、
温度:125℃,印加電圧:100V.D.C.の寿命試験を行うと、
絶縁抵抗が1000MΩ以下に劣化するものが発生するとい
う欠点を有していた。そこで本発明は、絶縁抵抗と絶縁
破壊強度が高く、特に高温負荷寿命特性に優れた積層セ
ラミックコンデンサを提供することを目的とするもので
ある。
課題を解決するための手段 この目的を達成するために本発明の積層セラミックコ
ンデンサは、誘電体層と内部電極とを交互に積層した積
層体と、この積層体の前記内部電極の露出した端面に設
けた外部電極とを備え、前記誘電体層は、一般式xMgO−
yCaO−zTiO2(ただし、x+y+z=1.00)と表した
時、x,y,zが以下の表に示す各点a,b,c,dで囲まれるモル
比の範囲からなる主成分100重量部に対し、副成分とし
てNb2O5を0.5〜20.0重量部含有したものであり、前記内
部電極は、パラジウムを含有することを特徴とするもの
である。
作用 一般的にTiO2を多く含む化合物の誘電体層あるいはTi
O2過剰組成物が偏析した誘電体層を焼成する際、誘電体
層中に含まれる有機バインダーなどにより、TiO2が還元
されやすくなる。還元されたTiO2は焼結後の冷却過程で
ある程度再酸化されるが、誘電体層の内部、及び各結晶
粒子の内側は再酸化されにくく酸素欠乏状態のまま残
る。そこで酸素原子が持つ有効電荷+2eがチタン原子上
の3d電子によって中和されることにより、各酸素空孔に
ついて2個のTi3+が形成される。その結果Ti3+を介した
電子ホッピングによって、誘電体層の絶縁抵抗、絶縁破
壊強度が劣化することとなる。
そこで本発明は、誘電体層中の4価のTiの一部を5価
のNbで置換することにより生じた陽イオン空孔で、焼成
時の酸素欠陥による。e-を補償し、TiO2が還元されるこ
とにより発生する上記問題を解決するものである。その
結果、絶縁抵抗と絶縁破壊強度が高く、非常に高温負荷
寿命特性に優れた積層セラミックコンデンサを得ること
ができる。
実施例 以下に、本発明を具体的実施例により説明する。
(実施例1) 出発原料には化学的に高純度のNb2O5,TiO2,MgOおよび
CaCO3粉末を下記の第1表に示す組成比になるように秤
量し、めのうボールを備えたゴム内張りのボールミルに
純水とともに入れ、湿式混合後、脱水乾燥した。この乾
燥粉末を高アルミナ質のルツボに入れ、空気中で1000〜
1100℃にて2時間仮焼した。この仮焼粉末を、めのうボ
ールを備えたゴム内張りのボールミルに純水とともに入
れ、湿式粉砕後、脱水乾燥した。この粉砕粉末に、有機
バインダーを加え、均質とした後、32メッシュのふるい
を通して整粒し、金型と油圧プレスを用いて成形圧力1t
on/cm2で直径15mm、厚み0.4mmに成形した。次いで、得
られた成形円板をアルミナ質のサヤに入れ、空気中にて
下記の第1表に示す温度で2時間焼成し、第1表に示す
組成比の誘電体磁器を得た。
このようにして得られた誘電体磁器円板は、厚みと直
径を測定し、誘電率、Q、静電容量温度係数測定用試料
は、誘電体磁器円板の両面全体に銀電極を焼き付け、絶
縁抵抗測定用試料は、誘電体磁器円板の外周より内画を
に1mmの幅で銀電極のない部分を設け、銀電極を焼き付
けた。そして、誘電体、Q、静電容量温度係数は、横河
・ヒューレット・パッカード(株)製デジタルLCRメー
タのモデル4275Aを使用し、測定温度:20℃,測定電圧:
1.0Vrms,測定周波数:1MHzでの測定より求めた。なお、
静電容量温度係数は、20℃と85℃の静電容量を測定し、
次式により求めた。
TC=(C−Co)/Co×1/65×106 TC:静電容量温度係数(ppm/℃) Co:20℃での静電容量(pF) C:85℃での静電容量(pF) また、誘電率は次式より求めた。
K=143.8×Co×t/D2 K:誘電率 Co:20℃での静電容量(pF) D:誘電体磁器の直径(mm) t:誘電体磁器の厚み(mm) さらに、絶縁抵抗は、横河・ヒューレット・パッカー
ド(株)製HRメータのモデル4329Aを使用し、測定電圧:
50V.D.C.測定時間:1分間による測定より求めた。
試験条件を第1表に併せて示し、試験結果を下記の第
2表に示す。
(実施例2) 出発原料には化学的に高純度のNb2O5,TiO2,MgOおよび
CaCO3粉末を使用し、組成比0.42MgO−0.18CaO−0.40TiO
2の主成分100重量部に対し、副成分Nb2O5を3Wt%含有し
た仮焼粉砕粉末を実施例1と同様の方法で作製する。
この仮焼粉砕粉末に、有機バインダー、可塑剤、分散
剤、有機溶剤を加え混合し、スラリーを作製した。この
スラリーをろ過後、ドクターブレードにより、焼結後の
誘導体厚みが25μmとなるようにシートを成形した。
このシートに、焼結後の内部電極重なり寸法が2.4mm
×0.9mmとなるように、内部電極パラジウムペーストを
印刷し、乾燥後、内部電極パラジウムペーストを印刷し
ていないシートを上下に6枚と中央部に内部電極パラジ
ウムペーストを印刷したシート21枚を積層し、切断し
た。
この切断した試料は、ジルコニア粉末を敷いたアルミ
ナ質のサヤに入れ、空気中にて室温から350℃までを5
℃/hrで昇温し、350℃より100℃/hrで昇温し、1350℃で
2時間焼成した。
この焼成した試料は、内部電極露出端面を研摩し、内
部電極露出部分に銀の外部電極を焼き付け、内部電極と
導通させ、積層セラミックコンデンサを作製した。
これらの試料100個の静電容量、Q、絶縁抵抗を実施
例1と同様の条件で測定し、寿命試験用基板に半田付
し、125℃の試験槽で100V.D.C.印加の寿命試験を行っ
た。
そして、寿命試験1000時間後の静電容量、Q、絶縁抵
抗を実施例1と同様の条件で測定し、静電容量変化率
は、次式により求め、試験結果を下記の第3表に示す。
ΔC=(C1000hr−C0hr)/C0hr×100 ΔC:静電容量変化率(%) C0hr:寿命試験0時間の静電容量(pF) C1000hr:寿命試験1000時間の静電容量(pF) ここで第1図は本発明にかかる誘電体層の主成分組成
範囲を示す三元図であり、主成分の組成範囲を限定した
理由を第1図を参照しながら説明する。すなわちA,B領
域では絶縁抵抗が低く実用的でない。またC領域では焼
結が困難である。
また、主成分に対し、副成分Nb2O5の含有量が主成分1
00重量部に対し、0.5重量部末端では含有効果がなく、
本発明の範囲から除外した。一方Nb2O5の含有量が主成
分に対し、20.0重量部を越えるとQ値が低下するものが
あり、実用的でなくなる。
なお、実施例における誘電体磁器の作製方法では、Nb
2O5,TiO2,MgOおよびCaCO3を使用したが、この方法に限
定されるものではなく、所望の組成比になるように、Ca
TiO3,MgTiO3などの化合物、あるいは炭酸塩,水酸化物
など空気中での加熱により、Nb2O5,TiO2,MgOおよびCaO
となる化合物を使用しても実施例と同程度の特性を得る
ことができる。
また、主成分をあらかじめ仮焼し、副成分を添加して
も実施例と同程度の特性を得ることができる。
また、誘電体磁器用として一般に使用される工業用原
料の二酸化チタン、例えばチタン工業(株)製二酸化チ
タンKA-10、古河鉱業(株)製二酸化チタンFA-55Wには
最大0.45重量%のNb2O5が含まれているが、これらの二
酸化チタンを使用して主成分の誘電体磁器を作製しても
主成分100重量部に対して、Nb2O5の含有料は最大で0.41
重量部であり、この発明の範囲外であるが、工業用原料
の二酸化チタン中のNb2O5量を考慮し、不足分のNb2O5
含有させることにより、実施例と同程度の特性を得るこ
とができる。
また、上述の基本組成のほかに、SiO2,MnO2,Fe2O3,Zn
O,Al2O3など一般にフラックスと考えられている塩類、
酸化物などを、特性を損なわない範囲で加えることもで
きる。
発明の効果 以上のように本発明によれば、絶縁抵抗が高く、寿命
特性にすぐれた誘電体磁器を得ることが可能である。す
なわち、一般的にTiO2を多く含む化合物の誘電体層ある
いはTiO2過剰組成物が偏析した誘電体層を焼成する際、
誘電体層中に含まれる有機バインダーなどにより、TiO2
が還元されやすくなる。還元されたTiO2は焼結後の冷却
過程である程度再酸化されるが、誘電体層の内部、及び
各結晶粒子の内側は再酸化されにくく酸素欠乏状態のま
ま残る。そこで酸素原子が持つ有効電荷+2eがチタン原
子上の3d電子によって中和されることにより、各酸素空
孔について2個のTi3+が形成される。その結果、Ti3+
介して電子ホッピングによって、誘電体層の絶縁抵抗、
絶縁破壊強度が劣化することとなる。
そこで本発明は、誘電体層中の4価のTiの一部を5価
のNbで置換することにより生じた陽イオン空孔で、焼成
時の酸素欠陥によるeを補償し、TiO2が還元されること
により発生する上記問題を解決するものである。その結
果、絶縁抵抗と絶縁破壊強度が高く、特に高温負荷寿命
特性に優れた積層セラミックコンデンサを得ることがで
きるのである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明にかかる組成物の主成分の組成範囲を説
明する三元図である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】誘電体層と内部電極とを交互に積層した積
    層体と、この積層体の前記内部電極の露出した端面に設
    けた外部電極とを備え、前記誘電体層は、一般的xMgO−
    yCaO−zTiO2(ただし、x+y+z=1.00)と表した
    時、x,y,zが以下の表に示す各点a,b,c,dで囲まれるモル
    比の範囲からなる主成分100重量部に対し、副成分とし
    てNb2O5を0.5〜20.0重量部含有したものであり、前記内
    部電極は、パラジウムを含有することを特徴とする積層
    セラミックコンデンサ。
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