JP2928258B2 - 積層セラミックコンデンサ - Google Patents

積層セラミックコンデンサ

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JP2928258B2 JP1062412A JP6241289A JP2928258B2 JP 2928258 B2 JP2928258 B2 JP 2928258B2 JP 1062412 A JP1062412 A JP 1062412A JP 6241289 A JP6241289 A JP 6241289A JP 2928258 B2 JP2928258 B2 JP 2928258B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明はパラジウムを含む内部電極を有する積層セラ
ミックコンデンサに関するものである。
従来の技術 例えば0.09BaO−0.56TiO2−0.35NdO3/2等のBaO−TiO2
−Nd2O3系の誘電体材料を使用して誘電体層を形成し、
パラジウムを内部電極とした積層セラミックコンデンサ
であった。
発明が解決しようとする課題 上記構造の積層セラミックコンデンサにおいては、内
部電極のデラミネーションの発生を防止するために、内
部電極を薄くする。しかしながら、Ba/Ti比の小さいも
のなど一般的にTiO2を多く含む誘電体層は焼成する際、
誘電体層中に含まれる有機バインダーなどにより、TiO2
が還元される。そして還元により生じたTiが内部電極の
Pdと化合物を作るためか、内部電極が体積膨張し、その
結果内部電極は一見玉状のようになり、内部電極切れを
起こし、誘電体層とPdを含む内部電極との界面の密着性
が低下する。その結果、静電容量とQ値が低下し、その
バラツキが大きくなるという問題点を有していた。
そこで本発明の積層セラミックコンデンサは、内部電
極切れを抑制することにより、静電容量とQ値が大き
く、そのバラツキが小さい積層セラミックコンデンサを
提供することを目的とするものである。
課題を解決するための手段 この目的を達成するために、本発明の積層セラミック
コンデンサは、誘電体層と内部電極とを交互に積層した
積層体と、この積層体の前記内部電極の露出した端面に
設けた外部電極とを備え、前記誘電体層は、一般式 xBaO−yTiO2−z(Re(1-C)MeC)O3/2(ただし、x+y
+z=1.00。0.01≦C≦0.20。Reは、La,Pr,Nd,Smから
選ばれる少なくとも一種以上の希土類元素。MeはCe、D
y、Gdから選ばれる少なくとも一種類以上の希土類元
素。)と表した時、x,y,zが以下の表に示す各点a,b,c,
d,e,fで囲まれるモル比の範囲からなる主成分100重量部
に対し、副成分としてTa2O5を0.1〜12.0重量部含有した
ものであり、前記内部電極はパラジウムを含有すること
を特徴とするものである。
作用 この構成によると、誘電体層中の4価のTiの一部を5
価のTaで置換することによりTiO2が還元されるのを抑制
し、TiとPdとの化合物の生成を防止する。その結果、誘
電体層と内部電極の界面の密着性が向上するため、静電
容量とQ値が大きく、そのバラツキが小さい積層セラミ
ックコンデンサとなる。
また従来の誘電体層は焼成により還元されたTiO2が冷
却過程である程度再酸化されるが、誘電体層の内部、及
び各結晶粒子の内側は再酸化されにくく酸素欠乏状態の
まま残る。従って酸素原子の持つ有効電荷+2eをチタン
原子上の3d電子で中和することにより、各酸素空孔につ
いて2個のTi3+が形成され、Ti3+を介した電子ホッピン
グによって、誘電体層の絶縁抵抗、絶縁破壊強度を劣化
させる。そこで本発明は誘電体層中の4価のTiの一部を
5価のTaで置換することにより生じた陽イオン空孔で、
焼成時の酸素欠陥によるe-を補償する。その結果絶縁抵
抗、絶縁破壊強度が従来よりも向上した積層セラミック
コンデンサを得ることができる。
実施例 以下に、本発明を具体的実施例により説明する。
(実施例1) 出発原料には化学的に高純度のBaCO3,TiO2,La2O3,Pr6
O11,Sm2O3,CeO2,Gd2O3,Dy2O3およびTa2O5粉末を下記の
第1表に示す組成比になるように秤量し、めのうボール
を備えたゴム内張りのボールミルに純水とともに入れ、
湿式混合後、脱水乾燥した。この乾燥粉末を高アルミナ
質のルツボに入れ、空気中で1100℃にて2時間仮焼し
た。この仮焼粉末をめのうボールを備えたゴム内張りの
ボールミルに純水とともに入れ、湿式粉砕後、脱水乾燥
した。この粉砕粉末に、有機バインダーを加え、均質と
した後、32メッシュのふるいを通して整粒し、金型と油
圧プレスを用いて成形圧力1ton/cm2で、直径15mm、厚み
0.4mmに成形した。次いで成形円板をジルコニア粉末を
敷いたアルミナ質のサヤに入れ、空気中にて下記の第1
表に示す組成比の誘電体磁器を得た。このようにして得
られた誘電体磁器円板は、厚みと直径を測定し、誘電
率、良好度Q、静電容量温度係数測定用試料は、誘電体
磁器円板の両面全体に銀電極を焼き付け、絶縁抵抗、絶
縁破壊強度測定用試料は、誘電体磁器円板の外周より内
側に1mmの幅で銀電極のない部分を設け、銀電極を焼き
付けた。そして誘電率、良好度Q、静電容量温度係数は
YHP社製デジタルLCRメータのモデル4275Aを使用し、測
定温度20℃、測定電圧1.0Vrms、測定周波数1MHzでの測
定より求めた。なお、静電容量の温度変化は−55℃,−
25℃,20℃,85℃,125℃の静電容量を測定し、直線性を確
認するとともに、静電容量温度係数は、20℃と85℃の静
電容量を用いて、次式により求めた。
TC=(C−C0)/C0×1/65×106 TC:静電容量温度係数(ppm/℃) C0:20℃での静電容量(pF) C:85℃での静電容量(pF) また、誘電率は次式より求めた。
K=143.8×C0×t×t/D2 K:誘電率 C0:20℃での静電容量(pF) D:誘電体磁器の直径(mm) t:誘電体磁器の厚み(mm) さらに、絶縁抵抗は、YHP社製HRメータのモデル4329A
を使用し、測定電圧50V.D.C.,測定時間1分間による測
定により求めた。
そして、絶縁破壊強度は、菊水電子工業(株)製高電
圧電源PHS32K−3形を使用し、試料をシリコンオイル中
に入れ、昇圧速度50V/secにより求めた絶縁破壊電圧を
誘電体厚みで除算し、1mm当たりの絶縁破壊強度とし
た。
試験条件を第1表に併せて示し、試験結果を下記の第
2表に示す。
ここで第1図は誘電体層を形成する組成物の主成分の
組成範囲を示す三元図であり、主成分の組成範囲を限定
した理由を第1図を参照しながら説明する。すなわち、
A領域では焼結が著しく困難である。また、B領域では
良好度Qが低下し、実用的でなくなる。さらに、C,D領
域では静電容量温度係数がマイナス側に大きくなりすぎ
て実用的でなくなる。そして、E領域では静電容量温度
係数がプラス方向に移行するが、誘電率が小さく実用的
でなくなる。また、Reを、La,Pr,Nd,Smから選ぶことに
より、La,Pr,Nd,Smの順で誘電率を大きく下げることな
く、静電容量温度係数をプラス方向に移行することが可
能であり、La,Pr,Nd,Smの一種あるいは組み合わせによ
り静電容量温度係数の調整が可能である。
また、第1表と第2表から明らかなように、La,Pr,N
d,Smから選ばれる少なくとも一種以上の希土類元素の一
部を、La,Pr,Nd,Smを除く希土類元素から選ばれる少な
くとも一種以上の希土類元素で置換することにより、良
好度Qを大幅に改善する効果を有し、その置換量が0.01
未満では置換効果はなく、0.20を越えると誘電率が低下
し、実用的でなくなる。
(実施例2) 出発原料には化学的に高純度のBaCO3,TiO2,Nd2O3,CeO
2およびTa2O5粉末を使用し、主成分0.09BaO−0.56TiO2
−0.35[(NdO3/20.95(CeO20.05]に対し、Ta2O5
を0,0.1,0.5,1.0,5.0,10.0,12.0,15.0wt%含有した仮焼
粉を実施例1と同様の方法で作製する。ただし、Ta2O5
の含有量が0,15.0wt%は本発明の範囲外であり、0.1,0.
5,1.0,5.0,10.0,12.0wt%は本発明の範囲内である。
この仮焼粉砕粉末に、有機バインダー、可塑剤、分散
剤、有機溶剤を加え、アルミナボールを備えたポリエチ
レン製ポットで混合し、スラリーを作製した。混合後、
300メッシュのナイロン布を使用し、ろ過した。ろ過後
のスラリーは、ドクターブレードにより、焼結後の誘電
体厚みが12μmとなるように、離型処理をしたポリエス
テルフィルム上にシートを成形した。
次に、ポリエステルフィルムから剥がしたシート10枚
を支持台の上に積層した。この上に、昭栄化学(株)製
内部電極パラジウムペーストML−3724を焼結後の内部電
極厚みが2μmとなるようにスクリーン印刷し、乾燥し
た。この上にポリエステルフィルムから剥がしたシート
1枚を積層した。この上に、焼結後の内部電極重なり寸
法が1.2mm×0.7mmとなるように印刷位置をずらして内部
電極パラジウムペーストを印刷し、乾燥後、ポリエステ
ルフィルムから剥がしたシート1枚を積層した。これら
の操作を、誘電体層数が19となるまで繰り返した。この
上に、ポリエステルフィルムから剥がしたシート10枚を
積層した。この積層体を焼結後、内部電極重なり寸法が
1.2mm×0.7mm、誘電体厚みが12μm、誘電体層数が19の
積層構造を持つ積層セラミックコンデンサとなるように
切断した。この切断した試料は、ジルコニア粉末を敷い
たアルミナ質のサヤに入れ、空気中にて室温から350℃
までを5℃/hrで昇温し、350℃より100℃/hrで昇温し、
1270℃で2時間焼成後、100℃/hrで室温まで降温した。
次いで、焼成後の試料は、耐水サンドペーパーを内側に
貼ったポリエチレンポットに純水と共に入れ、ポリエチ
レンポットを回転させ焼成後の試料面を研磨し、外部電
極と接合する内部電極部分を充分露出させた。この試料
はポリエチレンポットより取り出し乾燥後、内部電極露
出部分に銀の外部電極を焼き付け、内部電極と導通さ
せ、積層セラミックコンデンサを作製した。
これらの試料の静電容量、良好度Q、静電容量温度係
数、絶縁抵抗、絶縁破壊強度は実施例1と同様の条件で
測定により求めた。また、積層構造の確認は、積層セラ
ミックコンデンサの長さ方向および幅方向の約1/2を研
磨断面を、内部電極の重なり寸法は倍率100、誘電体厚
みと内部電極厚みは倍率400での光学顕微鏡観察により
求めた。
この測定結果を第2図に示す。この第2図を用いて誘
電体層中の副成分Ta2O5の含有範囲を限定した理由をグ
ラフで説明する。第2図に示すようにTa2O5を含有する
ことにより、絶縁抵抗、絶縁破壊強度が向上し、また静
電容量と良好度Qを高め、静電容量と良好度Qのバラツ
キを小さくする効果を有する。そして、Ta2O5の含有に
より、絶縁抵抗、絶縁破壊強度は向上するが、Ta2O5
含有量が主成分100重量部に対し、0.1重量部未満はそれ
ほど絶縁破壊強度が大きくなく、静電容量と良好度Qが
低く、また静電容量と良好度Qのバラツキが大きいた
め、本発明の範囲から除外した。一方、Ta2O5の含有量
が主成分に対し、12.0重量部を越えると良好度Q、絶縁
抵抗が低下し、静電容量温度係数がマイナス側に大きく
なり、実用的でなくなる。
なお、実施例における誘電体磁器の作製方法では、Ba
CO3,TiO2,La2O3,Pr6O11,Nd2O3,Sm2O3,CeO2,Gd2O3,Dy2O3
およびTa2O5を使用したが、この方法に限定されるもの
ではなく、所望の組成比になるようにBaTiO3などの化合
物、あるいは炭酸塩、水酸化物など空気中での加熱によ
り、BaO,TiO2,La2O3,Pr6O11,Nd2O3,Sm2O3,CeO2,Gd2O3,D
y2O3およびTa2O5となる化合物を使用しても実施例と同
程度の特性を得ることができる。
また、主成分をあらかじめ仮焼し、副成分を添加して
も実施例と同程度の特性を得ることができる。
さらに実施例では、La,Pr,Nd,Smを除く希土類元素Me
として、Ce,Gd,Dyについて説明したが、その他の希土類
元素を使用しても実施例と同程度の特性を得ることがで
きる。
さらにまた、上述の基本組成のほかに、SiO2,MnO2,Fe
2O3,ZnOなど、一般にフラックスと考えられている塩
類、酸化物などを、特性を損なわない範囲で加えること
もできる。
発明の効果 以上本発明によると、誘電体層中の4価のTiの一部を
5価のTaで置換することにより生じた陽イオン空孔で、
焼成時の酸素欠陥によるe-を補償し、TiO2が還元される
のを抑制するため、TiとPdとの化合物の生成を防止でき
る。その結果、誘電体層と内部電極の界面の密着性が向
上するため、静電容量とQ値が大きく、そのバラツキが
小さい積層セラミックコンデンサを得ることができる。
また従来の誘電体層は焼成時に還元されたTiO2が冷却
過程である程度再酸化されるが、誘電体層の内部、及び
各結晶粒子の内側は再酸化されにくく酸素欠乏状態のま
ま残る。この酸素欠乏が電気伝導に寄与し、誘電体層の
絶縁抵抗、絶縁破壊強度を劣化させる。本発明の誘電体
層は、4価のTiの一部を5価のTaで置換することにより
生じた陽イオン空孔で、焼成時の酸素欠陥によるe-を補
償する。従って絶縁抵抗、絶縁破壊強度が従来よりも向
上した積層セラミックコンデンサを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明にかかる誘電体層の主成分の組成物の組
成範囲を説明する三元図、第2図は本発明に係る誘電体
層の主成分0.09BaO−0.56TiO2−0.35[(NdO3/20.95
(CeO20.05]に対する副成分Ta2O5の含有効果を誘電
体厚み;12μm、内部電極重なり寸法:1.2mm×0.7mm、誘
電体層数:19の積層構造をもつ積層セラミックコンデン
サの電気特性で示すグラフである。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−173408(JP,A) 特開 昭51−143895(JP,A) 特開 昭51−143896(JP,A) 特開 昭63−246810(JP,A) 特開 昭63−298910(JP,A) 特開 昭51−143897(JP,A) 特開 昭51−143898(JP,A) 特開 昭59−154703(JP,A) 特開 昭63−292509(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】誘電体層と内部電極とを交互に積層した積
    層体と、この積層体の前記内部電極の露出した端面に設
    けた外部電極とを備え、前記誘電体層は、一般式xBaO−
    yTiO2−z(Re(1-C)MeC)O3/2(ただし、x+y+z=
    1.00、0.01≦C≦0.20、Reは、La,Pr,Nd,Smから選ばれ
    る少なくとも一種類以上の希土類元素。MeはCe,Dy,Gdか
    ら選ばれる少なくとも一種類以上の希土類元素。)と表
    した時、x,y,zが以下の表に示す各点a,b,c,d,e,fで囲ま
    れるモル比の範囲からなる主成分100重量部に対し、副
    成分としてTa2O5を0.1〜12.0重量部含有したものであ
    り、前記内部電極は、パラジウムを含有することを特徴
    とする積層セラミックコンデンサ。
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