JP2917054B2 - ベルト式無段変速機のプーリシリンダ装置 - Google Patents
ベルト式無段変速機のプーリシリンダ装置Info
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Description
本発明は、車両用の変速機などに使用されるベルト式
無段変速機に関し、詳しくはその可動プーリを油圧駆動
するプーリシリンダ装置に関する。
無段変速機に関し、詳しくはその可動プーリを油圧駆動
するプーリシリンダ装置に関する。
従来、車両用の変速機などに使用されるベルト式無段
変速機として、プーリ溝幅が可変に構成された主プーリ
と副プーリとの間にベルトを巻装し、上記主プーリおよ
び副プーリの可動プーリをプーリシリンダ装置(油圧サ
ーボ装置)により油圧駆動してプーリ比を可変制御する
形式のものが知られている(特公昭63−19742号公報参
照)。 ここで、上記プーリシリンダ装置は、ベルト式無段変
速機の伝達トルク容量を増大し、あるいはベルトのスリ
ップを防止するため、所要の大きな油圧駆動力を発生さ
せる必要がある。しかしそのためには、油圧ポンプの駆
動力を増大して供給油圧を高くし、あるいはプーリシリ
ンダ装置の径寸法を増大して受圧面積を大きくする必要
があるが、そうするとエンジンの動力損失が大きくな
り、またプーリシリンダ装置が大型化するという問題が
生じる。 そこで従来、このような問題を解決すべく、第1およ
び第2の油圧室をタンデムに形成した種々のプーリシリ
ンダ装置が提案されている(特公昭63−19742号、特公
昭61−105344号、特公昭62−110060号の各公報参照)。
変速機として、プーリ溝幅が可変に構成された主プーリ
と副プーリとの間にベルトを巻装し、上記主プーリおよ
び副プーリの可動プーリをプーリシリンダ装置(油圧サ
ーボ装置)により油圧駆動してプーリ比を可変制御する
形式のものが知られている(特公昭63−19742号公報参
照)。 ここで、上記プーリシリンダ装置は、ベルト式無段変
速機の伝達トルク容量を増大し、あるいはベルトのスリ
ップを防止するため、所要の大きな油圧駆動力を発生さ
せる必要がある。しかしそのためには、油圧ポンプの駆
動力を増大して供給油圧を高くし、あるいはプーリシリ
ンダ装置の径寸法を増大して受圧面積を大きくする必要
があるが、そうするとエンジンの動力損失が大きくな
り、またプーリシリンダ装置が大型化するという問題が
生じる。 そこで従来、このような問題を解決すべく、第1およ
び第2の油圧室をタンデムに形成した種々のプーリシリ
ンダ装置が提案されている(特公昭63−19742号、特公
昭61−105344号、特公昭62−110060号の各公報参照)。
ところで、前記各公報記載の先行技術では、第1およ
び第2の油圧室を形成して駆動される可動シリンダまた
は可動プランジャが板金の絞り加工により形成され、一
方の可動シリンダまたは可動プランジャが地方の可動シ
リンダまたは可動プランジャに対して板厚をもって端面
接触している。このため、所要の油圧駆動力を得るには
可動シリンダまたは可動プランジャの接触端面の板厚を
増大し、あるいは接触端面を熱処理して強化する必要が
ある。 また、可動シリンダまたは起動プランジャの摺動部に
はシールリングを装着するシールリング溝が形成されて
いるが、その内径側のシールリング溝はリセス加工とな
るので加工性が大幅に悪化するという問題がある。 そこで本発明は、可動シリンダまたは可動プランジャ
の板厚増大や熱処理による強化を不要にでき、しかもシ
ールリング溝の加工も容易にできるようにすることを目
的とする。
び第2の油圧室を形成して駆動される可動シリンダまた
は可動プランジャが板金の絞り加工により形成され、一
方の可動シリンダまたは可動プランジャが地方の可動シ
リンダまたは可動プランジャに対して板厚をもって端面
接触している。このため、所要の油圧駆動力を得るには
可動シリンダまたは可動プランジャの接触端面の板厚を
増大し、あるいは接触端面を熱処理して強化する必要が
ある。 また、可動シリンダまたは起動プランジャの摺動部に
はシールリングを装着するシールリング溝が形成されて
いるが、その内径側のシールリング溝はリセス加工とな
るので加工性が大幅に悪化するという問題がある。 そこで本発明は、可動シリンダまたは可動プランジャ
の板厚増大や熱処理による強化を不要にでき、しかもシ
ールリング溝の加工も容易にできるようにすることを目
的とする。
この目的を達成するため本発明は、ベルト式無段変速
機の可動プーリを油圧駆動するプーリシリンダ装置にお
いて、可動プーリに固定されて固定プランジャに嵌合す
る第1の可動シリンダと、この第1の可動シリンダに固
定されて固定プランジャに嵌合する第2の可動シリンダ
とを備え、上記第1および第2の可動シリンダは、それ
ぞれプランジャ嵌合孔を有するカップ状に形成して背面
合わせ構造としたことを特徴としている。 また、上記プランジャ嵌合孔はシールリング溝を有
し、このシールリング溝は、第1または第2の可動シリ
ンダのいずれか一方の背面を一側面に利用して形成した
ことを特徴としている。 さらに、上記シールリング溝は、第1および第2の可
動シリンダの背面を両側面に利用して形成したことを特
徴としている。
機の可動プーリを油圧駆動するプーリシリンダ装置にお
いて、可動プーリに固定されて固定プランジャに嵌合す
る第1の可動シリンダと、この第1の可動シリンダに固
定されて固定プランジャに嵌合する第2の可動シリンダ
とを備え、上記第1および第2の可動シリンダは、それ
ぞれプランジャ嵌合孔を有するカップ状に形成して背面
合わせ構造としたことを特徴としている。 また、上記プランジャ嵌合孔はシールリング溝を有
し、このシールリング溝は、第1または第2の可動シリ
ンダのいずれか一方の背面を一側面に利用して形成した
ことを特徴としている。 さらに、上記シールリング溝は、第1および第2の可
動シリンダの背面を両側面に利用して形成したことを特
徴としている。
このような手段では、可動プーリに固定されて固定プ
ランジャに嵌合する第1の可動シリンダと、この第1の
可動シリンダに固定されて固定プランジャに嵌合する第
2の可動シリンダとがカップ状に形成されて背面合わせ
構造とされていることから、両面の接触面積を充分確保
して板厚増大や熱処理による強化を不要にすることがで
きる。 また、シールリング溝を第1または第2の可動シリン
ダのいずれか一方の背面を一側面に利用して形成する場
合には、リセス加工が不要となってシールリング溝の加
工が容易となる。
ランジャに嵌合する第1の可動シリンダと、この第1の
可動シリンダに固定されて固定プランジャに嵌合する第
2の可動シリンダとがカップ状に形成されて背面合わせ
構造とされていることから、両面の接触面積を充分確保
して板厚増大や熱処理による強化を不要にすることがで
きる。 また、シールリング溝を第1または第2の可動シリン
ダのいずれか一方の背面を一側面に利用して形成する場
合には、リセス加工が不要となってシールリング溝の加
工が容易となる。
以下、本発明の実施例を添付の図面に基いて具体的に
説明する。 第3図はベルト式無段変速機1を組込んだ車両の伝動
系の一部を概略的に示し、図示省略した横置きエンジン
は自動クラッチ2、前後進切換装置3を介してベルト式
無段変速機1のプライマリ軸4に連結している。 ベルト式無段変速機1は、前記プライマリ軸4に対し
てセカンダリ軸5が平行配置され、プライマリ軸4に設
けたプライマリプーリ6とセカンダリ軸5に設けたセカ
ンダリプーリ7との間に駆動ベルト8が巻装されたもの
で、セカンダリ軸5は1組のリダクションギヤ9、10を
介してドライブピニオンシャフト11に連結している。そ
してこのドライブピニオンシャフト11は、ドライブピニ
オンシャフト12、ファイナルギヤ13、ディファレンシャ
ル装置14を介して図示省略した左右の駆動輪に伝動構成
されている。 前記ベルト式無段変速機1は、プーリ比およびベルト
張力が図示省略した電子油圧制御系を介して制御される
もので、その油圧源となる油圧ポンプ15はプライマリプ
ーリ6、前後進切換装置3、自動クラッチ2を貫通する
ポンプ駆動軸16を介して直接エンジンにより駆動される
ようになっている。 第1図はベルト式無段変速機1の例えばプライマリプ
ーリ6と、これに付設されたプーリシリンダ装置17とを
具体的に示す。ここで、プライマリプーリ6は、プライ
マリ軸4と一体の固定プーリ18とプライマリ軸4にボー
ルスプライン19を介して軸方向に移動自在に嵌合した可
動プーリ20とを備え、この可動プーリが固定プーリ18に
対して油圧駆動により接離することでプーリ溝幅を変化
して駆動ベルト8の巻付け半径を連続的に変化するよう
になっている。 プーリシリンダ装置17は、2つの油圧室をタンデムに
形成すべく、板金の絞り加工による2つの可動シリンダ
21,22と、2つの固定プランジャ23,24とを備えている。 第1の可動シリンダ21は、中心にプランジャ嵌合孔21
aを有する側壁部21bを備え、その外周にシリンダ部21c
が連続したカップ状に形成されるもので、シリンダ部21
cの端部が可動プーリ20に同心状に嵌合して溶接などの
手段で液密状態に固定されている。 また第2の可動シリンダ22は、中心にプランジャ嵌合
孔22aを有する側壁部22bの外周にシリンダ部22cが連続
したカップ状に形成されるもので、その板厚は第1の可
動シリンダ21より薄くなっている。そしてこのような第
2の可動シリンダ22は、その側壁部22bが前記第1の可
動シリンダ21の側壁部21bに背面合わせされ、その内周
部と外周部との2箇所で接触して相互に溶接固定されて
いる。そして特に、プランジャ嵌合孔22aに近い内周部
においては、油圧リークを防止するように全周にわたっ
て溶接固定されている。 一方、第1の固定プランジャ23は、前記第1および第
2の可動シリンダ21,22のプランジャ嵌合孔21a,22aが嵌
合する筒部23aに側壁部23bが連続したラッパ状に形成さ
れている。そしてこの第1の固定プランジャ23は、筒部
23aが可動プーリ20の筒部20aに所定のクリアランスをも
って嵌合し、また側壁部23bの外周がシールリング25を
介して第1の可動シリンダ21のシリンダ部21c内周に摺
接することで可動プーリ20との間に第1の油圧室26を形
成するようになっている。 また、第2の固定プランジャ24は、可動プーリ20の側
方に位置してプライマリ軸4に嵌合し、これにベアリン
グを介してねじしめなどの手段で液密状態に固定されて
おり、皿状に形成されている。そしてこの第2の固定プ
ランジャ24はその外周がシールリング27を介して第2の
可動シリンダ22のシリンダ部22c内周に摺接している。 ここで前記第1の可動シリンダ21のプランジャ嵌合孔
21aには、第1の固定プランジャ23の筒部23a外周に摺接
するシールリング28が装着され、こうして第2の可動シ
リンダ22の側壁部22bと第2の固定プランジャ24との間
に第2の油圧室29が形成されるようになっている。そし
てこの第2の油圧室29と前記第1の油圧室26とを連通す
るように、第1の固定プランジャ23における筒部23aの
端部には適宜の切欠き23cが形成されている。また第2
の油圧室29に連通する2つの油路30,31が前記プライマ
リ軸4および可動プーリ20内に形成されている。 ここで前記シールリング28は、第4図(a)に部分拡
大して示すシールリング溝32に装着されるもので、この
シールリング溝32は、第2の可動シリンダ22の側壁部22
b背面を一側面として利用し、第1の可動シリンダ21の
プランジャ嵌合孔21aにおける側壁部21b背面側の角部を
リング状に溝加工することで形成されている。 なお、前記第1の可動シリンダ21と第1の固定プラン
ジャ23との間の空間を外気に連通するエア抜き孔21dが
第1の可動シリンダ21のシリンダ部21cに形成されてい
る。 次に、一実施例によるベルト式無段変速機1のプーリ
シリンダ装置17の作用を説明する。 図示省略した電子油圧制御装置により油路30,31を介
してプーリシリンダ装置17の第1の油圧室26に作動油が
供給されると、切欠き23cを介して第2の油圧室29にも
作動油が供給される。このため、第1の油圧室26内の油
圧により第1の固定プランジャ23の筒部23aの端部が第
2の固定プランジャ24に当接し、可動プーリ20は固定プ
ーリ18側に押動される。このとき第2の油圧室29内の油
圧により、第2の可動シリンダ22が第1の可動シリンダ
21を押動しつつ可動プーリ20側に移動するので、その駆
動力は可動プーリ20に伝達され、こうして可動プーリ20
は第1の油圧室26内の油圧に加えて第2の油圧室29内の
油圧により大きな駆動力をもって固定プーリ18側に押動
される。そしてこの可動プーリ20の移動によりプライマ
リプーリ6のプーリ溝幅が狭くなることで、プライマリ
プーリ6は駆動ベルト8の巻付け半径が増大し、ベルト
式無段変速機1は減速比が小さくなる方向に制御される
のである。 ここでプーリシリンダ装置17は、第1の油圧室26と第
2の油圧室29とをタンデムに形成したものであるから、
全体の径寸法が小さく、コンパクトである。 しかも、第1の可動シリンダ21および第2の可動シリ
ンダ22は、それぞれカップ状に形成されて背面合わせさ
れる構造であるから、接触面積が充分に確保される。こ
のため第1の可動シリンダ21および第2の可動シリンダ
22は、相互の接触面圧が低減し、板厚増大や熱処理によ
る強化が不要となる。従って、例えば第2の可動シリン
ダ22の板厚を従来より薄くして軽量化を図ることもでき
る。 また、第1の固定プランジャ23の筒部23a外周に摺接
するシールリング28用のシールリング溝32は、第2の可
動シリンダ22における側壁部22b背面を一側面に利用し
て形成されるから、加工が容易である。 第2図は本発明の他の実施例を示す。この実施例は前
記実施例におけるシールリング28の装着箇所とそれに伴
う若干の変更を行ったもので、その他の構成は前記実施
例とほぼ同様であるから同一符号を用いて詳細説明を省
略する。 ここで、第1の固定プランジャ23における筒部23a外
周に摺接するシールリング28は、第2の可動シリンダ22
のプランジャ嵌合孔22aに装着されている。このシール
リング28は、第4図(b)に部分拡大して示すシールリ
ング溝33に装着されるもので、このシールリング溝33
は、第1の可動シリンダ21の側壁部21b背面を一側面と
して利用し、第2の可動シリンダ22のプランジャ嵌合孔
22aにおける側壁部22b背面側の角部をリング状に溝加工
することで形成されている。 この実施例では、シールリング28が第2の可動シリン
ダ22側に装着されることから、第2の油圧室29内の油圧
が第1の可動シリンダ21の側壁部21bと第2の可動シリ
ンダ22の側壁部22bとの背面合わせ部からリークするこ
とがない。 そこで、上記背面合わせ部は全周溶接とせずにスポッ
ト溶接としている。また、同様の理由から第1の可動シ
リンダ21における側壁面21bの背面には、エア抜き通路
となる放射状のビード溝21e、およびこれに連通するエ
ア抜き孔21fを設け、ビード溝21eとエア抜き孔21fとを
同一行程で加工できるようにしている。 従って、前記実施例に較べて加工が容易であり、コス
ト低減を図ることができる。 なお、第4図(c)に示すように、第1の可動シリン
ダ21の側壁部21bおよび第2の可動シリンダ22の側壁部2
2bの内周部をそれぞれ内側に折曲げ成形して両者の背面
間にシールリング溝34を形成してもよく、この場合には
生産性の劣るリセス加工が不要となって生産性の向上が
期待できる。
説明する。 第3図はベルト式無段変速機1を組込んだ車両の伝動
系の一部を概略的に示し、図示省略した横置きエンジン
は自動クラッチ2、前後進切換装置3を介してベルト式
無段変速機1のプライマリ軸4に連結している。 ベルト式無段変速機1は、前記プライマリ軸4に対し
てセカンダリ軸5が平行配置され、プライマリ軸4に設
けたプライマリプーリ6とセカンダリ軸5に設けたセカ
ンダリプーリ7との間に駆動ベルト8が巻装されたもの
で、セカンダリ軸5は1組のリダクションギヤ9、10を
介してドライブピニオンシャフト11に連結している。そ
してこのドライブピニオンシャフト11は、ドライブピニ
オンシャフト12、ファイナルギヤ13、ディファレンシャ
ル装置14を介して図示省略した左右の駆動輪に伝動構成
されている。 前記ベルト式無段変速機1は、プーリ比およびベルト
張力が図示省略した電子油圧制御系を介して制御される
もので、その油圧源となる油圧ポンプ15はプライマリプ
ーリ6、前後進切換装置3、自動クラッチ2を貫通する
ポンプ駆動軸16を介して直接エンジンにより駆動される
ようになっている。 第1図はベルト式無段変速機1の例えばプライマリプ
ーリ6と、これに付設されたプーリシリンダ装置17とを
具体的に示す。ここで、プライマリプーリ6は、プライ
マリ軸4と一体の固定プーリ18とプライマリ軸4にボー
ルスプライン19を介して軸方向に移動自在に嵌合した可
動プーリ20とを備え、この可動プーリが固定プーリ18に
対して油圧駆動により接離することでプーリ溝幅を変化
して駆動ベルト8の巻付け半径を連続的に変化するよう
になっている。 プーリシリンダ装置17は、2つの油圧室をタンデムに
形成すべく、板金の絞り加工による2つの可動シリンダ
21,22と、2つの固定プランジャ23,24とを備えている。 第1の可動シリンダ21は、中心にプランジャ嵌合孔21
aを有する側壁部21bを備え、その外周にシリンダ部21c
が連続したカップ状に形成されるもので、シリンダ部21
cの端部が可動プーリ20に同心状に嵌合して溶接などの
手段で液密状態に固定されている。 また第2の可動シリンダ22は、中心にプランジャ嵌合
孔22aを有する側壁部22bの外周にシリンダ部22cが連続
したカップ状に形成されるもので、その板厚は第1の可
動シリンダ21より薄くなっている。そしてこのような第
2の可動シリンダ22は、その側壁部22bが前記第1の可
動シリンダ21の側壁部21bに背面合わせされ、その内周
部と外周部との2箇所で接触して相互に溶接固定されて
いる。そして特に、プランジャ嵌合孔22aに近い内周部
においては、油圧リークを防止するように全周にわたっ
て溶接固定されている。 一方、第1の固定プランジャ23は、前記第1および第
2の可動シリンダ21,22のプランジャ嵌合孔21a,22aが嵌
合する筒部23aに側壁部23bが連続したラッパ状に形成さ
れている。そしてこの第1の固定プランジャ23は、筒部
23aが可動プーリ20の筒部20aに所定のクリアランスをも
って嵌合し、また側壁部23bの外周がシールリング25を
介して第1の可動シリンダ21のシリンダ部21c内周に摺
接することで可動プーリ20との間に第1の油圧室26を形
成するようになっている。 また、第2の固定プランジャ24は、可動プーリ20の側
方に位置してプライマリ軸4に嵌合し、これにベアリン
グを介してねじしめなどの手段で液密状態に固定されて
おり、皿状に形成されている。そしてこの第2の固定プ
ランジャ24はその外周がシールリング27を介して第2の
可動シリンダ22のシリンダ部22c内周に摺接している。 ここで前記第1の可動シリンダ21のプランジャ嵌合孔
21aには、第1の固定プランジャ23の筒部23a外周に摺接
するシールリング28が装着され、こうして第2の可動シ
リンダ22の側壁部22bと第2の固定プランジャ24との間
に第2の油圧室29が形成されるようになっている。そし
てこの第2の油圧室29と前記第1の油圧室26とを連通す
るように、第1の固定プランジャ23における筒部23aの
端部には適宜の切欠き23cが形成されている。また第2
の油圧室29に連通する2つの油路30,31が前記プライマ
リ軸4および可動プーリ20内に形成されている。 ここで前記シールリング28は、第4図(a)に部分拡
大して示すシールリング溝32に装着されるもので、この
シールリング溝32は、第2の可動シリンダ22の側壁部22
b背面を一側面として利用し、第1の可動シリンダ21の
プランジャ嵌合孔21aにおける側壁部21b背面側の角部を
リング状に溝加工することで形成されている。 なお、前記第1の可動シリンダ21と第1の固定プラン
ジャ23との間の空間を外気に連通するエア抜き孔21dが
第1の可動シリンダ21のシリンダ部21cに形成されてい
る。 次に、一実施例によるベルト式無段変速機1のプーリ
シリンダ装置17の作用を説明する。 図示省略した電子油圧制御装置により油路30,31を介
してプーリシリンダ装置17の第1の油圧室26に作動油が
供給されると、切欠き23cを介して第2の油圧室29にも
作動油が供給される。このため、第1の油圧室26内の油
圧により第1の固定プランジャ23の筒部23aの端部が第
2の固定プランジャ24に当接し、可動プーリ20は固定プ
ーリ18側に押動される。このとき第2の油圧室29内の油
圧により、第2の可動シリンダ22が第1の可動シリンダ
21を押動しつつ可動プーリ20側に移動するので、その駆
動力は可動プーリ20に伝達され、こうして可動プーリ20
は第1の油圧室26内の油圧に加えて第2の油圧室29内の
油圧により大きな駆動力をもって固定プーリ18側に押動
される。そしてこの可動プーリ20の移動によりプライマ
リプーリ6のプーリ溝幅が狭くなることで、プライマリ
プーリ6は駆動ベルト8の巻付け半径が増大し、ベルト
式無段変速機1は減速比が小さくなる方向に制御される
のである。 ここでプーリシリンダ装置17は、第1の油圧室26と第
2の油圧室29とをタンデムに形成したものであるから、
全体の径寸法が小さく、コンパクトである。 しかも、第1の可動シリンダ21および第2の可動シリ
ンダ22は、それぞれカップ状に形成されて背面合わせさ
れる構造であるから、接触面積が充分に確保される。こ
のため第1の可動シリンダ21および第2の可動シリンダ
22は、相互の接触面圧が低減し、板厚増大や熱処理によ
る強化が不要となる。従って、例えば第2の可動シリン
ダ22の板厚を従来より薄くして軽量化を図ることもでき
る。 また、第1の固定プランジャ23の筒部23a外周に摺接
するシールリング28用のシールリング溝32は、第2の可
動シリンダ22における側壁部22b背面を一側面に利用し
て形成されるから、加工が容易である。 第2図は本発明の他の実施例を示す。この実施例は前
記実施例におけるシールリング28の装着箇所とそれに伴
う若干の変更を行ったもので、その他の構成は前記実施
例とほぼ同様であるから同一符号を用いて詳細説明を省
略する。 ここで、第1の固定プランジャ23における筒部23a外
周に摺接するシールリング28は、第2の可動シリンダ22
のプランジャ嵌合孔22aに装着されている。このシール
リング28は、第4図(b)に部分拡大して示すシールリ
ング溝33に装着されるもので、このシールリング溝33
は、第1の可動シリンダ21の側壁部21b背面を一側面と
して利用し、第2の可動シリンダ22のプランジャ嵌合孔
22aにおける側壁部22b背面側の角部をリング状に溝加工
することで形成されている。 この実施例では、シールリング28が第2の可動シリン
ダ22側に装着されることから、第2の油圧室29内の油圧
が第1の可動シリンダ21の側壁部21bと第2の可動シリ
ンダ22の側壁部22bとの背面合わせ部からリークするこ
とがない。 そこで、上記背面合わせ部は全周溶接とせずにスポッ
ト溶接としている。また、同様の理由から第1の可動シ
リンダ21における側壁面21bの背面には、エア抜き通路
となる放射状のビード溝21e、およびこれに連通するエ
ア抜き孔21fを設け、ビード溝21eとエア抜き孔21fとを
同一行程で加工できるようにしている。 従って、前記実施例に較べて加工が容易であり、コス
ト低減を図ることができる。 なお、第4図(c)に示すように、第1の可動シリン
ダ21の側壁部21bおよび第2の可動シリンダ22の側壁部2
2bの内周部をそれぞれ内側に折曲げ成形して両者の背面
間にシールリング溝34を形成してもよく、この場合には
生産性の劣るリセス加工が不要となって生産性の向上が
期待できる。
以上説明したとおり本発明によれば、可動プーリに固
定されて固定プランジャに嵌合する第1の可動シリンダ
と、この第1の可動シリンダに固定されて固定プランジ
ャに嵌合する第2の可動シリンダとがカップ状に形成さ
れて背面合わせ構造とされていることから、両者の接触
面積を充分確保して両可動シリンダの板厚増大や熱処理
による強化を不要とすることができる。 また、シールリング溝を第1または第2の可動シリン
ダのいずれか一方の背面を一側面に利用して形成する場
合には、リセス加工が不要となり、シールリング溝の加
工を容易にできる。
定されて固定プランジャに嵌合する第1の可動シリンダ
と、この第1の可動シリンダに固定されて固定プランジ
ャに嵌合する第2の可動シリンダとがカップ状に形成さ
れて背面合わせ構造とされていることから、両者の接触
面積を充分確保して両可動シリンダの板厚増大や熱処理
による強化を不要とすることができる。 また、シールリング溝を第1または第2の可動シリン
ダのいずれか一方の背面を一側面に利用して形成する場
合には、リセス加工が不要となり、シールリング溝の加
工を容易にできる。
第1図は本発明によるプーリシリンダ装置の一実施例を
示す断面図、 第2図は本発明によるプーリシリンダ装置の他の実施例
を示す断面図、 第3図は本発明が適用されるベルト式無段変速機の概略
構成図、 第4図(a)は一実施例におけるシールリング溝の部分
拡大図、 第4図(b)は他の実施例におけるシールリング溝の部
分拡大図、 第4図(c)はさらに他の実施例におけるシールリング
溝の部分拡大図である。 1……ベルト式無段変速機、 2……自動クラッチ、 3……前後進切換装置、 4……プライマリ軸、 5……セカンダリ軸、 6……プライマリプーリ、 7……セカンダリプーリ、 8……駆動ベルト、 9……リダクションギヤ、 10……リダクションギヤ、 11……ドライブピニオンシャフト、 12……ドライブピニオン、 13……ファイナルギヤ、 14……ディファレンシャル装置、 15……油圧ポンプ、 16……ポンプ駆動軸、 17……プーリシリンダ装置、 18……固定プーリ、 19……ボールスプライン、 20……可動プーリ、 20a……筒部、 21……第1の可動シリンダ、 21a……プランジャ嵌合孔、 21b……側壁部、21c……シリンダ部、 21d,21f……エア抜き孔、 21e……ビード溝、 22……第2の可動シリンダ、 22a……プランジャ嵌合孔、 22b……側壁部、22c……シリンダ部、 23……第1の固定プランジャ、 23a……筒部、23b……側壁部、 23c……切欠き、 24……第2の固定プランジャ、 25……シールリング、 26……第1の油圧室、 27……シールリング、 28……シールリング、 29……第2の油圧室、 30……油路、 31……油路、 32,33,34……シールリング溝。
示す断面図、 第2図は本発明によるプーリシリンダ装置の他の実施例
を示す断面図、 第3図は本発明が適用されるベルト式無段変速機の概略
構成図、 第4図(a)は一実施例におけるシールリング溝の部分
拡大図、 第4図(b)は他の実施例におけるシールリング溝の部
分拡大図、 第4図(c)はさらに他の実施例におけるシールリング
溝の部分拡大図である。 1……ベルト式無段変速機、 2……自動クラッチ、 3……前後進切換装置、 4……プライマリ軸、 5……セカンダリ軸、 6……プライマリプーリ、 7……セカンダリプーリ、 8……駆動ベルト、 9……リダクションギヤ、 10……リダクションギヤ、 11……ドライブピニオンシャフト、 12……ドライブピニオン、 13……ファイナルギヤ、 14……ディファレンシャル装置、 15……油圧ポンプ、 16……ポンプ駆動軸、 17……プーリシリンダ装置、 18……固定プーリ、 19……ボールスプライン、 20……可動プーリ、 20a……筒部、 21……第1の可動シリンダ、 21a……プランジャ嵌合孔、 21b……側壁部、21c……シリンダ部、 21d,21f……エア抜き孔、 21e……ビード溝、 22……第2の可動シリンダ、 22a……プランジャ嵌合孔、 22b……側壁部、22c……シリンダ部、 23……第1の固定プランジャ、 23a……筒部、23b……側壁部、 23c……切欠き、 24……第2の固定プランジャ、 25……シールリング、 26……第1の油圧室、 27……シールリング、 28……シールリング、 29……第2の油圧室、 30……油路、 31……油路、 32,33,34……シールリング溝。
Claims (3)
- 【請求項1】ベルト式無段変速機の可動プーリを油圧駆
動するプーリシリンダ装置において、 可動プーリに固定されて固定プランジャに嵌合する第1
の可動シリンダと、この第1の可動シリンダに固定され
て固定プランジャに嵌合する第2の可動シリンダとを備
え、 上記第1および第2の可動シリンダは、それぞれプラン
ジャ嵌合孔を有するカップ状に形成して背面合わせ構造
としたことを特徴とするベルト式無段変速機のプーリシ
リンダ装置。 - 【請求項2】上記プランジャ嵌合孔はシールリング溝を
有し、このシールリング溝は、第1または第2の可動シ
リンダのいずれか一方の背面を一側面に利用して形成し
てなる請求項1記載のベルト式無段変速機のプーリシリ
ンダ装置。 - 【請求項3】上記プランジャ嵌合孔はシールリング溝を
有し、このシールリング溝は、第1および第2の可動シ
リンダの背面を両側面に利用して形成してなる請求項1
記載のベルト式無段変速機のプーリシリンダ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25989490A JP2917054B2 (ja) | 1990-09-28 | 1990-09-28 | ベルト式無段変速機のプーリシリンダ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25989490A JP2917054B2 (ja) | 1990-09-28 | 1990-09-28 | ベルト式無段変速機のプーリシリンダ装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04140543A JPH04140543A (ja) | 1992-05-14 |
JP2917054B2 true JP2917054B2 (ja) | 1999-07-12 |
Family
ID=17340418
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25989490A Expired - Fee Related JP2917054B2 (ja) | 1990-09-28 | 1990-09-28 | ベルト式無段変速機のプーリシリンダ装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2917054B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2597444Y2 (ja) * | 1993-04-21 | 1999-07-05 | 松本機械工業株式会社 | 回転軸のクランプ |
JP3248615B2 (ja) * | 1997-01-24 | 2002-01-21 | 愛知機械工業株式会社 | ベルト式無段変速機のプーリ用シリンダ構造 |
DE19857709B4 (de) * | 1997-12-22 | 2006-03-23 | Luk Gs Verwaltungs Kg | Getriebe |
JP4681719B2 (ja) * | 2000-09-08 | 2011-05-11 | 富士重工業株式会社 | ベルト式無段変速機 |
AU2003250786A1 (en) * | 2002-07-15 | 2004-02-09 | Luk Lamellen Und Kupplungsbau Beteiligungs Kg | Conical disk type flexible drive mechanism |
JP4514522B2 (ja) | 2004-06-07 | 2010-07-28 | ジヤトコ株式会社 | ベルト式無段変速機 |
-
1990
- 1990-09-28 JP JP25989490A patent/JP2917054B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04140543A (ja) | 1992-05-14 |
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