JP2915761B2 - 立体駐車装置のメンテナンス用ゴンドラ装置およびその装着方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、エレベータ方式立体駐
車装置の各駐車室や駆動部等の保守点検に利用するメン
テナンス用ゴンドラ装置およびその装着方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、エレベータ方式立体駐車装置
は、昇降路を昇降するエレベータリフトと、昇降路の片
側または両側に階層的に構成された複数の駐車室とを備
え、入庫した自動車をエレベータリフトに載せ、昇降路
上を上昇または下降させて駐車室に収容し、また、駐車
室に収容された自動車をエレベータに載せ、昇降路上を
上昇または下降させて出庫するようになっている。この
種の立体駐車装置においては、定期的にあるいは必要に
応じて各階の駐車室や最上階にあるエレベータリフトの
駆動装置等を保守点検する必要がある。

【０００３】従来においては、立体駐車装置に最上階ま
で通ずるタラップが常設されており、作業者がこのタラ
ップ上を各階および最上階まで移動して各駐車室および
駆動装置の所定の点検作業を行なっている。また、エレ
ベータリフトを利用し、作業者がエレベータリフトの上
に乗り、その昇降により、各階および最上階に移動して
所定の点検作業を行なっている。

【０００４】また、近年では、この種の立体駐車装置に
それぞれ専用のメンテナンス用ゴンドラを常設し、作業
者がこのゴンドラに乗って立体駐車装置内を昇降し、保
守点検を行なうといった提案があり、このようなゴンド
ラを用いることにより、前２者に比べて、作業者の負担
を軽減できるとともに安全性を向上させることができ
る。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例による保守点検では次のような問題がある。 （１）タラップを使用する場合、立体駐車装置は車両の
収容台数によって３０ｍ乃至５０ｍの高さがあり、この
高さをタラップで昇降したのでは作業時間が多大にかか
り、また作業者の肉体的負担が大きく、これに伴なって
タラップ上で足をつまづいたり滑らしたりひいては転落
したりするといった危険性がある。 （２）エレベータリフトを利用する場合、エレベータリ
フト自体に人を載せる構造が採られておらず、また自動
車の入出庫処理を迅速に行なうためエレベータリフトの
昇降速度が速いことから、作業者がエレベータリフトの
上でバランスを崩しやすく転落の危険性がある。 （３）立体駐車装置に専用のゴンドラを常設する場合、
立体駐車装置にゴンドラを昇降するための昇降装置を装
備したり不使用時のゴンドラを保管したりするため、立
体駐車装置に特別のスペースを確保する必要があり、ま
た、保守点検の際にゴンドラを取り出して備え付けの昇
降装置に装着するまでに多大の時間を必要とする。さら
に、このような装置の製造費、維持費等設備コストが多
大であり、月に１，２度の定期点検としてはコスト上の
負担が大きい。

【０００６】本発明は、上記従来の問題を解決するもの
で、作業者の作業性および安全性の向上を図るためにゴ
ンドラを用い、立体駐車装置に装備する上で特別のスペ
ースを不要とし、その使用準備を迅速に行なえるととも
に、全体としてコストの大幅な低減を図ることのできる
立体駐車装置のメンテナンス用ゴンドラ装置およびその
装着方法を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、エレベータ方式立体駐車装置のエレベー
タリフトに固定手段を設け、一方、ゴンドラに吊り下げ
用のワイヤロープ、これを捲回可能な巻取装置およびそ
の操作盤を備え、ワイヤロープの先端にエレベータリフ
トの固定手段に対して着脱可能な被固定手段を設けて、
作業者が立体駐車装置の保守点検の都度、外部の保管場
所からゴンドラを立体駐車装置に搬入してワイヤロープ
先端の被固定手段をエレベータリフトの固定手段に固着
することによりエレベータリフトに装備するようにした
ものである。

【０００８】

【作用】したがって、本発明によれば、ゴンドラが通常
外部保管場所に保管され、立体駐車装置の保守点検の都
度、点検先の立体駐車装置に搬入されて、エレベータリ
フトに装備される。すなわち、ゴンドラがそのワイヤロ
ープ先端の被固定手段をエレベータリフトの固定手段に
固着することによりエレベータリフトに吊り下げられ
る。そして、エレベータリフトの昇降と巻取装置による
ワイヤロープの巻き上げおよび巻き戻しにより立体駐車
装置内を上昇下降する。作業者はこのゴンドラに乗って
立体駐車装置内の各階および最上階を移動し、各駐車室
および駆動装置等の保守点検を行なう。作業終了後、ゴ
ンドラがワイヤロープの被固定手段をエレベータリフト
の固定手段から離脱することにより取り外され、外部保
管場所に搬出される。そしてまた、他の立体駐車装置に
共用され、同様にそのエレベータリフトに装備されて保
守点検に使用される。

【０００９】

【実施例】図１は本発明の一実施例による立体駐車装置
のメンテナンス用ゴンドラ装置の構成を示している。図
１において、１０はフォーク型のエレベータ方式立体駐
車装置であり、２０はそのメンテナンス用ゴンドラ装置
である。

【００１０】エレベータ方式立体駐車装置１０におい
て、１１は昇降路であり、この昇降路１１の両側に沿っ
て複数の駐車室が階層的に構成されている。１２は昇降
路１１を昇降するエレベータリフトであり、フォーク状
ステージ１３を構成する４個のフォーク状アーム１３
ａ，１３ｂ，１３ｃ，１３ｄからなり、それぞれ昇降路
１１の４隅に立設された図示されないガイドレールに駆
動チェーン１４により昇降可能に組み込まれている。１
３ａ，１３ｂは自動車の前輪を支持する前輪側のフォー
ク状アームであり、１３ｃ，１３ｄは自動車の後輪を支
持する後輪側のフォーク状アームであり、それぞれタイ
ロッド１５により連結されて自動車を積載したときに回
転するのを防止されている。また駆動チェーン１４は立
体駐車装置１０最上階の図示されない駆動装置に連結さ
れている。

【００１１】メンテナンス用ゴンドラ装置２０におい
て、２１はそれぞれ後輪側フォーク状アーム１３ｃ，１
３ｄ間のタイロッド１５の両端部側に形成された固定穴
であり、後述するワイヤロープ２２の固定手段をなす。
２２はそれぞれワイヤロープであり、先端部にタイロッ
ド１５の各固定穴２１に対する被固定手段として、図２
に示すような両端部に挿通穴２３ａを有するＵ字形のフ
ック２３およびこのフック２３両端部の各挿通穴２３ａ
およびタイロッド１５の固定穴２１を挿通可能なピン２
４を有している。２５は箱形のゴンドラであり、ワイヤ
ロープ２２を捲回可能な巻取装置２６およびその操作盤
２７が内蔵されている。ゴンドラ２５の前面両側は、図
３に示すように、上半部が乗降用の扉２５１であり、水
平方向に開閉可能に取り付けられており、下半部が乗降
用のタラップ２５２であり、垂直方向に開閉可能に取り
付けられている。底面の４隅にはキャスタ２５３が取り
付けられて、このキャスター２５３の転動により運搬可
能になっている。巻取装置２６は、図４に示すように、
それぞれゴンドラ２５の内側に取り付けられてワイヤロ
ープ２２を捲回する一対の巻上機２６１および上限リミ
ットスイッチ２６２と、ゴンドラ２５の底面に回転可能
に取り付けられて巻き取られたワイヤロープ２２を捲回
収納するワイヤリール２６３とを備えている。２８はそ
れぞれワイヤロープ２２をゴンドラ２５の両側に案内す
るワイヤガイドである。操作盤２７は、図５に示すよう
に、その前面に上昇ボタン２７１，下降ボタン２７２、
非常停止ボタン２７３等を有している。また、ゴンドラ
２５の昇降操作を外部からでも行なえるように、図４に
示すように、上昇ボタン２９１および下降ボタン２９２
を有する外部制御盤２９が用意され、これをゴンドラ２
５の操作盤２７に接続する電源コード２９３およびその
コードリール２９４、電源に接続するためのコンセント
２９５等を備えている。

【００１２】次に上記実施例におけるメンテナンス用ゴ
ンドラ装置２０のエレベータ方式立体駐車装置１０への
取り付けについて図６を参照しながら説明する。このゴ
ンドラ装置２０は、通常、保守点検を行なう事業所にお
いて保管され、保守点検先のエレベータ方式立体駐車装
置にトラック等の車両に積載して搬送される。図６にお
いて、立体駐車装置１０のエレベータリフト１２は昇降
路１１上を予め所定の高さ位置に昇降され、トラック３
０の荷台に積載されたゴンドラ装置２０は、そのまま立
体駐車装置１０の車両入出庫室１１Ａに搬入され、荷台
上でエレベータリフト１２に取り付けられる。すなわち
ワイヤロープ２２先端のフック２３をそれぞれその両端
の挿通穴２３ａをタイロッド１５の各固定穴２１の両側
に合わせてそこにピン２４を差し込むことにより固着す
る。このときゴンドラ２５の操作盤２７に外部制御盤２
９を接続しておく。ここでトラック３０を車両入出庫室
１１Ａから出庫させる。そしてまず、エレベータリフト
１２を立体駐車装置１０の制御盤の操作によりある程度
の高さに上昇させてゴンドラ２５を引き上げ、次いで外
部制御盤２９の下降ボタン２９２を押すことにより、ゴ
ンドラ２５の巻取装置２６からワイヤロープ２２を繰り
出してゴンドラ２５を車両入出庫室１１Ａの床面まで下
げる。これでゴンドラ２５の立体駐車装置１０への装備
を完了する。

【００１３】次にメンテナンス用ゴンドラ装置２０の動
作について図１を参照しながら説明する。作業者がゴン
ドラ２５に乗り込んでから、まず立体駐車装置１０の制
御盤の操作によりエレベータリフト１２を昇降路１１上
を所定の高さの階層まで上昇させて、ゴンドラ２５を必
要な高さまで吊り上げる。この後は、作業者がゴンドラ
２５から操作盤２７の操作により各巻取装置２６を運転
してゴンドラ２５を昇降させる。すなわち操作盤２７に
おいて上昇ボタン２７１を押すことにより、巻上機２６
１が作動し、ワイヤロープ２２がワイヤリール２６３に
巻取られて、ゴンドラ２５が上昇する。また下降ボタン
２７２を押すことにより、巻上機２６１が作動し、ワイ
ヤリール２６３からワイヤロープ２２が繰り出されて、
ゴンドラ２５が下降する。なお、ワイヤロープ２２が予
め設定された上限位置まで巻き取られると、上限リミッ
トスイッチ２６２により巻上機２６１が停止する。この
ように作業者がゴンドラ２５を上昇させたり下降させた
りしながら昇降路１１上を必要な高さ位置に合わせて、
各階層の駐車室の保守点検を行なう。必要に応じて、ゴ
ンドラ２５の乗降用の扉２５１を開け、乗降用のタラッ
プ２５２を前側に倒して、ここから各駐車室に移ること
ができる。

【００１４】そして、繰り返しエレベータリフト１２を
昇降路１１上を必要な高さまで上昇させ、ゴンドラ２５
をさらに必要な高さまで吊り上げて、同様にゴンドラ２
５を昇降させながら上の階層の各駐車室の保守点検を行
ない、最後は最上階まで上昇させてエレベータリフト１
２の駆動装置の保守点検を行なう。

【００１５】保守点検を終了したときは、エレベータリ
フト１２をその制御盤の操作により車両入出庫室１１Ａ
の少し上方の高さまで下降させ、ゴンドラ２５を車両入
出庫室１１Ａ床面に降下させる。作業者がゴンドラ２５
から降りた後、外部制御盤２９の上昇ボタン２９１を押
してゴンドラ２５をある程度の高さに吊り上げ、その下
にトラック３０を乗り入れてから再び外部制御盤２９の
下降ボタン２９２を押してゴンドラ２５をトラック３０
荷台上に降ろす。ゴンドラ２５をトラック３０により運
び出す（図６参照）。

【００１６】このように、上記実施例によれば、エレベ
ータリフト１２のタイロッド１５の両側に固定穴２１を
形成し、一方、ゴンドラ２５に巻取装置２６およびその
操作盤２７を内蔵するとともに、巻取装置２６に捲回さ
れたワイヤロープ２２の先端にタイロッド１５の各固定
穴２１にピン２４を介して着脱可能に固着されるフック
２３を設け、通常ゴンドラ２５を取り外して保守点検者
が保管しておき、保守点検の都度、立体駐車装置１０の
エレベータリフト１２に装備して昇降路１１上を昇降さ
せるようにしたので、立体駐車装置１０自体に特別のス
ペースを確保する必要がなく、またエレベータリフト１
２に対する装備においてタイロッド１５の各固定穴２１
にワイヤロープ２２先端のフック２３をピン２４により
固着するだけなので、作業性がよく、保守点検の準備を
迅速に行なうことができる。さらに、一台のゴンドラ装
置２０を複数の立体駐車装置に共用して装備できるの
で、従来のように、立体駐車装置毎に専用のゴンドラを
常設するのと異なり、製造コスト、組み立てコスト、維
持コスト等設備コスト並びに保守点検に要するコストを
大幅に低減することができる。

【００１７】上記実施例においては、エレベータリフト
１２を段階的に上昇させてゴンドラ２５をこれに追従さ
せているため、ゴンドラ２５がそれぞれの階層毎に必要
な範囲を上昇したり下降したりすればよく、ワイヤロー
プ２２の長さが例えば５ｍと短くてよい。これに対し、
立体駐車装置１０の低階層部分で、ゴンドラ２５をエレ
ベータリフト１２に連結した後、エレベータリフト１２
を初めから最上階まで上昇させておき、その高さからゴ
ンドラ２５を吊り下げて昇降させるようにしてもよい。
すなわち、ゴンドラ２５の巻取装置２６をワイヤロープ
２２の巻き戻し方向へ作動させてゴンドラ２５をエレベ
ータリフト１２に吊り下げ、次にゴンドラ２５の巻取装
置２６をワイヤロープ２２の巻き取り方向へ作動させつ
つゴンドラ２５を上昇させる。この場合、ワイヤロープ
２２に立体駐車装置１０の高さに相当する長いものが必
要となる。なお、安全のため、立体駐車装置１０には、
エレベータリフト１２が最上階に達したときに、このエ
レベータリフト１２の落下を防止するためのストッパー
などによるロック手段（図示せず）を設け、このロック
手段によりエレベータリフト１２の作動を停止（動作固
定）するようにしてもよい。この場合、エレベータリフ
ト１２を最上階まで上昇させて前記ロック手段によりロ
ックし、その後ゴンドラ２５を昇降させる。

【００１８】また、本実施例では、エレベータリフト１
２のタイロッド１５の部分にゴンドラ２５のフック２３
を取り付けているが、他の取り付け部、すなわちエレベ
ータリフト１２のフォーク状ステージ１３の所定の箇所
に取り付けてもよいことは勿論である。

【００１９】さらに、本実施例では、ゴンドラ装置２０
をフォーク式のエレベータパーキングに装備したものと
して例示しているが、フォーク式に限らず、エレベータ
パーキング全般に適用することができる。

【００２０】

【発明の効果】以上詳しく説明したように、本発明によ
れば、エレベータ方式立体駐車装置のエレベータリフト
に固定手段を設け、一方、ゴンドラに吊り下げ用のワイ
ヤロープ、これを捲回可能な巻取装置およびその操作盤
を備え、ワイヤロープの先端にエレベータリフトの固定
手段に対して着脱可能な被固定手段を設けて、保守点検
者が立体駐車装置の保守点検の都度、外部の保管場所か
らゴンドラを立体駐車装置に搬入し、ワイヤロープ先端
の被固定手段をエレベータリフトの固定手段に固着する
ことによりエレベータリフトに装備するようにしたの
で、立体駐車装置に装備する上で特別のスペースを不要
とし、その使用準備を迅速に行なうことができるととも
に、建築場所の異なる複数の立体駐車装置に共用できる
ため全体としてコストの大幅な低減を図ることができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例による立体駐車装置のメンテ
ナンス用ゴンドラ装置の斜視図

【図２】同ゴンドラ装置のエレベータリフトへの装備に
おける固定手段および被固定手段を示す斜視図

【図３】（ａ）同ゴンドラ装置のゴンドラを示す平面図 （ｂ）同ゴンドラ装置のゴンドラを示す正面図 （ｃ）同ゴンドラ装置のゴンドラを示す側面図

【図４】同ゴンドラ装置のゴンドラに内蔵された巻取装
置およびゴンドラに装着された外部制御盤を示す図

【図５】同ゴンドラ装置に用いる操作盤を示す正面図

【図６】同ゴンドラ装置をエレベータリフトに装備する
状態を示す斜視図

【符号の説明】

１０ フォーク型のエレベータ方式立体駐車装置 １１ 昇降路 １１Ａ 車両入出庫室 １２ エレベータリフト １３ フォーク状ステージ １３ａ，１３ｂ，１３ｃ，１３ｄ フォーク状アーム １４ 駆動チェーン １５ タイロッド ２０ メンテナンス用ゴンドラ装置 ２１ 固定穴 ２２ ワイヤロープ ２３ フック ２３ａ 挿通穴 ２４ ピン ２５ ゴンドラ ２５１ 乗降用の扉 ２５２ 乗降用のタラップ ２５３ キャスタ ２６ 巻取装置 ２６１ 巻上機 ２６２ 上限リミットスイッチ ２６３ ワイヤリール ２７ 操作盤 ２７１ 上昇ボタン ２７２ 下降ボタン ２７３ 非常停止ボタン ２８ ワイヤガイド ２９ 外部制御盤 ２９１ 上昇ボタン ２９２ 下降ボタン ２９３ 電源コード ２９４ コードリール ２９５ コンセント ３０ トラック

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 エレベータ方式立体駐車装置の昇降路を
   昇降するエレベータリフトに配設された固定手段と、前
   記固定手段に対して着脱可能な被固定手段を有し、前記
   エレベータリフトに懸垂されるワイヤロープと、前記ワ
   イヤロープを捲回可能な巻取装置およびその操作盤を内
   蔵し、前記ワイヤロープにより吊り下げられるゴンドラ
   とを備えた立体駐車装置のメンテナンス用ゴンドラ装
   置。
2. 【請求項２】 立体駐車装置のエレベータリフトを低階
   層部分まで降下させ、ワイヤロープが捲回された巻取装
   置を一体に備えたゴンドラを、前記ワイヤロープにより
   前記エレベータリフトに連結し、前記エレベータリフト
   を最上階まで上昇させる一方、前記ゴンドラの巻取装置
   を前記ワイヤロープの巻き戻し方向へ作動させて前記ゴ
   ンドラを前記エレベータリフトに吊り下げ、次に前記ゴ
   ンドラの巻取装置を前記ワイヤロープの巻き取り方向へ
   作動させつつ前記ゴンドラを上昇させるようにした立体
   駐車装置のメンテナンス用ゴンドラ装置の装着方法。