JP2915349B2 - 靴のアウトソール - Google Patents

靴のアウトソール

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JP2915349B2 JP8166749A JP16674996A JP2915349B2 JP 2915349 B2 JP2915349 B2 JP 2915349B2 JP 8166749 A JP8166749 A JP 8166749A JP 16674996 A JP16674996 A JP 16674996A JP 2915349 B2 JP2915349 B2 JP 2915349B2
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  • Footwear And Its Accessory, Manufacturing Method And Apparatuses (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、靴のアウトソール
に関し、さらに詳しくは、特に濡れた床面でのグリップ
性(ウェットグリップ性)が優れ、濡れた床面でも滑り
にくい靴のアウトソールに関する
【0002】
【従来の技術】靴の重要な特性の一つとして防滑性があ
る。通常の乾いた地面では、靴のアウトソール(すなわ
ち、靴底の地面と直接接触する部分)に設けられている
パターン(意匠)に左右されることが多い。すなわち、
溝を深く、あるいは溝の数を多くすることによって、地
面との引っかかりによるいわゆる堀り起こし摩擦力を大
きくして、滑りにくくすることができる。
【0003】ところが、地面が平滑で摩擦係数の少ない
ところでは、アウトソールのパターンだけではなく、ア
ウトソールの材料も影響してくる。例えば、通常は軟ら
かい材料の方が、地面との接地面積が広くなり、いわゆ
る粘着摩擦力が働くようになる。
【0004】しかし、水に濡れた平滑な面では、水膜が
靴のアウトソールと地面との接触を妨害するため粘着摩
擦力が小さくなり、滑りやすくなる。特に水に濡れた床
面は大変危険であり、とりわけタイルのような平滑な面
の場合、通常の仕様で滑りにくくすることは非常に困難
である。
【0005】そこで、靴のアウトソールと床面との間に
介在する水膜を除去すればよいと考えられ、その対策と
して、従来からも、水を吸い上げる方法、パターンによ
り水切りを良くする方法、表面に微小の凹凸を多数設け
る方法などが提案されているが、これらはいずれも充分
に満足し得るものとはいえない。
【0006】例えば、水を吸い上げる方法では、水の吸
水量に限界がある上に、吸水により靴が重くなるという
問題がある。また、通常以上に溝や微小の凹凸を多数設
けると、乾いた地面での過度な防滑性が生じたり、耐久
性が低下するなどの問題が生じるようになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来技術の問題点を解決し、濡れた床面でのウェット
グリップ性が優れ、濡れた床面でも滑りにくい靴のアウ
トソールを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、アウトソール
を構成するゴム組成物中にシリル化剤を含有させること
により、アウトソール自体を撥水性にし、アウトソール
の表面から水をはじき、アウトソールの表面に水膜を存
在させなくすることによって、上記目的を達成したもの
である。
【0009】すなわち、本発明は、アウトソールをゴム
100重量部に対してシリル化剤を1〜15重量部含有
するゴム組成物の加硫成形体で構成したことを特徴とす
るものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明においては、上記のよう
に、シリル化剤をゴム100重量部に対して1〜15重
量部含有させる。これは、シリル化剤の含有量がゴム1
00重量部に対して1重量部より少ない場合は、アウト
ソールを撥水性にする効果が充分に発現せず、また、シ
リル化剤の含有量がゴム100重量部に対して15重量
部より多い場合は、シリル化剤がアウトソールの表面に
析出して、通常の平滑面でも滑りやすくなるからであ
る。
【0011】シリル化剤は他のゴム薬品と同様に種々の
ミキサーでゴムと混ぜることができ、しかもシリル化剤
は室温で液体なので、ゴムに対する分散性も非常に良好
である。さらに、シリル化剤を混入したために他の性質
に不具合、例えばゴムが硬くなったり、強度が著しく低
下するようなことは生じず、通常のアウトソールに撥水
性という特殊な性質が付与されるだけである。
【0012】また、上記シリル化剤を含有するゴム組成
物にシリカを配合することにより、ゴムの強度が増加す
るとともに、撥水性が一段と向上し、濡れた平滑面での
グリップ性がさらに向上する。このシリカはゴム組成物
中における含有量がゴム100重量部に対して30〜8
0重量部になるように配合することが好ましい。シリカ
の含有量がゴム100重量部に対して30重量部より少
ない場合は、シリカを配合した効果が充分に発現しなく
なるおそれがあり、また、シリカの含有量がゴム100
重量部に対して80重量部より多い場合は、アウトソー
ルが硬くなって、かえってグリップ性が低下するととも
に、加工性にも問題が生じるおそれがある。
【0013】また、上記アウトソール用のゴム組成物に
カーボンを配合することにより、耐摩耗性が一段と向上
し、激しい運動を行う靴にも適するようになる。このカ
ーボンはゴム組成物中における含有量がゴム100重量
部に対して30〜80重量部になるように配合すること
が好ましい。カーボンの含有量がゴム100重量部に対
して30重量部より少ない場合は、耐摩耗性の向上など
に対する補強効果が充分に発現しなくなるおそれがあ
り、また、カーボンの含有量がゴム100重量部に対し
て80重量部より多い場合は、アウトソールが硬くなり
すぎて、アウトソールとしては適さなくなるおそれがあ
る。なお、このカーボンはシリカと併用しても何ら問題
を生じず、両者を併用して配合してもよい。
【0014】上記構成のゴム組成物の加硫成形体からな
るアウトソールは、硬度がJIS−A硬度(JIS−A
型硬度計で測定した硬度)で50〜95であることが好
ましい。アウトソールの硬度がJIS−A硬度で50よ
り低い場合は、アウトソールが軟らかすぎて不安定であ
り、アウトソールの硬度がJIS−A硬度で95より高
い場合は、アウトソールが硬すぎて履き心地が悪くな
る。
【0015】本発明において、アウトソールを作製する
ためのゴム組成物の基材となるゴムとしては、例えば、
天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン
−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム
など、アウトソールの作製にあたり通常に使用されるゴ
ムがいずれも使用可能であり、ゴム組成物の調製にあた
って、これらのゴムはそれぞれ単独で使用してもよい
し、また2種以上を併用してもよい。
【0016】本発明において、シリル化剤としては、例
えば、次の一般式(1)で表される化合物が用いられ
る。 Ra SiX4-a (1) 〔式中、aは0〜3の整数、Rは−Hまたは−CH3
−C6 5 などの有機基、Xは−Cl、−OCH3 、−
OC2 5 などの加水分解性基である〕
【0017】上記シリル化剤の具体例としては、例え
ば、フェニルトリクロロシラン(C65 SiC
3 )、ジフェニルジクロロシラン〔(C6 5 2
iCl2 〕、フェニルトリエトキシシラン〔C6 5
i(OC2 5 3 〕、イソブチルトリメトキシシラン
〔(CH3 2 CHCH2 Si(OCH3 3 〕、ヘキ
シルトリメトキシシラン〔CH3 (CH2 5 Si(O
CH3 3 〕、ジフェニルジメトキシシラン〔(C6
5 2 Si(OCH3 2 〕などが挙げられる。また、
ヘキサメチルジシラザン〔(CH3 3 SiNHSi
(CH3 3 〕などのシラザン化合物、N,O−(ビス
トリメチルシリル)アセトアミド〔CH3 C(OSi
(CH3 3 )NSi(CH3 3 〕、tert−ブチ
ルジメチルクロロシラン〔tert−C4 9 (C
3 2 SiCl〕などのシリル化剤を用いることもで
きる。
【0018】本発明において、アウトソール用のゴム組
成物には、靴のアウトソール用のゴム配合に通常用いら
れる配合剤、例えば、老化防止剤、軟化剤、亜鉛華、ス
テアリン酸、加硫促進剤、加硫剤、硫黄などを適宜配合
することができる。
【0019】硫黄はゴム100重量部に対して0.5〜
5重量部、促進剤はゴム100重量部に対して0.3〜
3重量部、亜鉛華はゴム100重量部に対して0.5〜
5重量部の配合量が適当であるが、他の配合剤と同様、
使用するゴムや他の添加剤によって上記の範囲をこえて
もなんら差し支えはない。
【0020】アウトソールはその全体を上記シリル化剤
などを含有するゴム組成物の加硫成形体で構成すれば、
その効果が最も顕著に発現するが、例えば爪先部、母指
球部など、部分的に上記シリル化剤などを含有するゴム
組成物の加硫成形体で構成してもその効果が得られる。
【0021】図1は本発明のアウトソールを用いた靴
(ただし、靴ひもは図示していない)の一例を示す側面
図であり、図中、1は靴本体部で、2はアウトソールで
あり、3はミッドソールである。
【0022】アウトソール2は、前述したように、靴底
の地面と直接接触する部分であり、このアウトソール2
は本発明の構成のもの(すなわち、シリル化剤などを含
有するゴム組成物の加硫成形体からなるもの)である
が、靴本体部1やミッドソール3は公知の構成のもので
もよい。また、ミッドソール3は必ずしも必要でなく、
靴本体部1にアウトソール2を直接接着してもよい。
【0023】本発明においては、上記アウトソール2を
特に濡れた床面でのグリップ性の優れたものとし、この
アウトソール2を用いた靴が濡れた床面でも滑りにくく
なるようにしたものであるが、本発明において、特に濡
れた床面でのグリップ性を対象としているのは、濡れた
床面が特に滑りやすいからであり、本発明のアウトソー
ルが濡れた床面以外の濡れた路面などに対してもグリッ
プ性が優れていることはいうまでもない。
【0024】本発明のアウトソールは、特にスポーツシ
ューズ(例えば、ランニングシューズ、トレーニングシ
ューズなど)やゴルフ用のスパイクレスシューズ、ウィ
ンターシューズなどに使用するのに適しているが、それ
らの靴のみに限定されることはない。
【0025】
【実施例】つぎに、実施例を挙げて本発明をより具体的
に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例に限定さ
れるものではない。
【0026】実施例1〜9および比較例1〜3 表1〜表3に示す組成のアウトソール用ゴム組成物を調
製した。表中の配合量は重量部であり、また、表中に記
号で表示したものや総称名で表示したものについては表
3の後にその詳細を示す。
【0027】得られたゴム組成物をアウトソール用金型
に充填し、加硫成形してアウトソールを作製し、得られ
たアウトソールのJIS−A硬度、接触角および摩擦係
数を測定した。その結果をアウトソール用ゴム組成物の
組成と共に表1〜表3に示す。ただし、表中への表示に
あたって、接触角と摩擦係数は比較例1を100とした
指数で示す。なお、加硫条件は、実施例1、実施例2、
実施例4、実施例5、実施例6、比較例1および比較例
2が160℃で8分間で、実施例8が160℃で20分
間であり、実施例3、実施例9および比較例3が160
℃で40分間で、実施例7が160℃で60分間であ
る。このように加硫条件が異なるのは、それぞれのゴム
組成物を完全に加硫させるためである。そして、JIS
−A硬度の測定はJIS−K−6301に規定される方
法により行った。接触角と摩擦係数の測定方法は次の通
りである。
【0028】接触角:接触角とは、図2に示すように、
ゴム11の表面に水滴12が付着した状態において、ゴ
ム11と水滴12との境界が接する角度(θ)をいい、
ゴムに対する水の濡れやすさを表す。接触角が大きいほ
ど、濡れにくく、ゴムの撥水性が優れていることを示
す。
【0029】接触角は、それぞれのゴム組成物から前記
アウトソールの加硫条件と同じ条件下で加硫成形して厚
さ2mmのシートを作製し、そのシートについて、図3
に示す装置システムにより、前進時、後退時について各
々接触角の余弦(cos)を計測し、下式により接触角
を求める。式中、θaは前進時の接触角であり、θrは
後退時の接触角である。 cosθ=1/2×(cosθa+cosθr)
【0030】前述したように、接触角は比較例1の接触
角を100とした指数で示す。この指数が大きいほど、
接触角が大きく、撥水性が優れていることを示す。
【0031】摩擦係数:アウトソールに2kgのおもり
(錘)をのせ、水でぬれた平滑面(タイル面)を滑らせ
た時の動摩擦係数を測定する。この摩擦係数についても
比較例1の摩擦係数を100として指数で示す。そし
て、この摩擦係数が大きいほど、ウェットグリップ性が
優れていて、濡れた床面でも滑りにくいことを示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】NR:天然ゴム、RSS3号を使用 BR:ブタジエンゴム、日本合成ゴム製のJSR BR
−11(商品名)を使用 SBR:スチレンブタジエンゴム、日本合成ゴム製のS
BR1502(商品名)を使用 カーボン:新日鉄化学製のニテロン55(商品名)を使
用 シリカ:日本シリカ製のニップシールVN3(商品名)
を使用 シリ化剤(1):信越シリコーン製のKBE103
(商品名)(フェニルトリエトキシシラン)を使用 シリ化剤(2):信越シリコーン製のKBM3063
(商品名)(ヘキシルトリメトキシシラン)を使用 可塑剤:出光興産製のダイアナプロセスオイルPW38
0(商品名)を使用 老化防止剤:大内新興化学工業製のノクラック200
(商品名)を使用 加硫促進剤:大内新興化学工業製のノクセラーNS(商
品名)を使用
【0036】前記の表1〜表2に示す実施例1〜9の特
性と表3に示す比較例1〜3の特性との対比から明らか
なように、シリル化剤を1〜15重量部の範囲内で含有
する実施例1〜9は、比較例1〜3に比べて、接触角、
摩擦係数が大きく、ウェットグリップ性が優れていた。
すなわち、実施例1〜9は、濡れた床面でのグリップ性
が優れ、濡れた床面でも滑りにくいことが明らかであっ
た。
【0037】また、シリカを含有する実施例3や実施例
7は、シリカを含有していない実施例2や実施例6に比
べて、接触角が高く、シリカを配合することによって撥
水性がより一層向上していた。ただし、シリカやカーボ
ンなどの多量配合は、アウトソールの硬度を上昇させ、
摩擦係数を低下させて、ウェットグリップ性に悪い影響
を及ぼすことも判明した。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
濡れた床面でのグリップ性が優れ、濡れた床面でも滑り
にくい靴のアウトソールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアウトソールを用いた靴の一例を示す
側面図である。
【図2】接触角を説明するための図である。
【図3】接触角の測定に用いた装置システムを示す図で
ある。
【符号の説明】
1 靴本体部 2 アウトソール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 21/00 C08L 21/00 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A43B 13/22 A43B 13/04 C08K 3/04 C08K 3/36 C08K 5/54 C08L 21/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴム100重量部に対してシリル化剤を
    1〜15重量部含有するゴム組成物の加硫成形体からな
    ることを特徴とする靴のアウトソール。
  2. 【請求項2】 ゴム組成物がゴム100重量部に対して
    シリカを30〜80重量部含有する請求項1記載の靴の
    アウトソール。
  3. 【請求項3】 ゴム組成物がゴム100重量部に対して
    カーボンを30〜80重量部含有する請求項1または2
    記載の靴のアウトソール。
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