JP2912731B2 - 織機の回転ドラム形測長装置の駆動モータ制御方法と、その装置 - Google Patents

織機の回転ドラム形測長装置の駆動モータ制御方法と、その装置

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JP2912731B2 JP3133067A JP13306791A JP2912731B2 JP 2912731 B2 JP2912731 B2 JP 2912731B2 JP 3133067 A JP3133067 A JP 3133067A JP 13306791 A JP13306791 A JP 13306791A JP 2912731 B2 JP2912731 B2 JP 2912731B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、専用の駆動モータに
よって駆動する回転ドラム形の緯糸測長貯留装置(以
下、単に測長装置という)を介して緯入れを行なう場合
に、駆動モータの応答遅れに基づくショートピックを有
効に防止することができる織機の回転ドラム形測長装置
の駆動モータ制御方法と、その装置に関する。
【0002】
【従来の技術】回転ドラム形測長装置は、可変速モータ
からなる駆動モータMと、駆動モータMによって駆動さ
れるドラムDと、拘束ピンPと、給糸体Wa からの糸W
をドラムDに積極的に供給する送出ローラR、Rとを備
えてなる(図6)。
【0003】駆動モータMには、ドラムDの回転量を検
出するパルス発生器PGが連結されている。拘束ピンP
は、ドラムDの前端側において、ブラケットPa に搭載
されており、ドラムDに形成する環状の凹溝Da に向け
て前進し、先端を凹溝Da に挿入するとき、ドラムD上
の糸Wと係合し、後退して先端を凹溝Da から抜去する
とき、糸Wとの係合を解放することができる。
【0004】糸Wは、給糸体Wa から解舒されると、送
出ローラR、R、ヤーンガイドG1を経てドラムDの後
部側に供給され、ドラムD上に巻き付けられて貯留され
る。ドラムD上の糸Wは、ドラムDの前部側から解舒さ
れ、ヤーンガイドG2 、クランプ装置CL、緯入れノズ
ルNZを経て、図示しない経糸開口に緯入れされるもの
とする。
【0005】送出ローラR、Rは、たとえば、その一方
をドラムDの後端部に摺接するなどの手段により、給糸
体Wa からの糸Wを、ドラムDの周速と同一の糸速によ
り積極的にドラムDに供給する積極給糸機構を形成して
いる。拘束ピンP、クランプ装置CL、緯入れノズルN
Zは、織機サイクルの所定の時期に作動し、糸Wの緯入
れ動作を実行する。すなわち、拘束ピンPをドラムDの
凹溝Da から後退させた上、緯入れノズルNZを作動さ
せ、クランプ装置CLを開くことにより、ドラムD上に
貯留されている糸Wは、自由飛走状態で緯入れすること
ができ、この状態で拘束ピンPを凹溝Da に挿入すれ
ば、いわゆる拘束飛走を実現することができる。
【0006】かかる測長装置を複数台並設し、多色緯入
れを実現するとき、1台の測長装置に着目すると、その
ドラムD上に貯留される糸Wの貯留量Qは、緯入れパタ
ーンの1リピートを構成する複数の織機サイクルNまた
は時間tに対し、たとえば図7のようになる。ただし、
ここでは、1リピートは、5織機サイクルからなるもの
とし、その第1、2、4サイクルにおいては緯入れが行
なわれず、第3、5サイクルにおいて緯入れが行なわれ
るものとする。
【0007】貯留量Qは、第1サイクルの始点において
Q=0(ターン)であるが、ドラムDが、図示しない主
軸に対し、比率a=3(ターン/サイクル)で追従して
回転されるために、第2サイクルの終点までにQ=6
(ターン)に増加する。その後、ドラムDは、比率a=
2(ターン/サイクル)に減速され、第3サイクルの途
中において、緯入れノズルNZを作動させ、拘束ピンP
を後退させるとともに、クランプ装置CLを開くと(図
7の点X1 )、糸Wは、自由飛走状態で緯入れされる
(同図の自由飛走区間T1 )。つづいて、拘束ピンPの
みを前進させると(同図の点X2 )、糸Wは、拘束飛走
状態となる(同図の拘束飛走区間T2 )。拘束飛走状態
では、送出ローラR、Rによって供給される糸Wが、ド
ラムDを経由してそのまま緯入れノズルNZに供給され
るので、ドラムD上の貯留量Qは、一定に保つことがで
きる。
【0008】第3サイクルの終点において緯入れが完了
すると、ここで緯入れされる糸Wの長さ(以下、1ピッ
ク当りの長さという)qは、第3サイクルにおいて緯入
れがなされないとした場合の仮想貯留量Qa と、緯入れ
後の実貯留量Qb とから、q=Qa −Qb =6(ター
ン)となっている。その後、第4サイクルにおいては緯
入れが行なわれず、第5サイクルにおいては、同様にし
て、1ピック当りの長さq=6(ターン)の糸Wを緯入
れして、1リピートを終了する。なお、第4、5サイク
ルにおける貯留量曲線は、第3サイクルの終点における
実貯留量Qb を基点とし、第3サイクルにおける緯入れ
がなされないとした仮想貯留量曲線(同図の一点鎖線)
を平行移動して定めることができる。第5サイクルの終
点においては、実貯留量Qb =0(ターン)となり、第
1サイクルの始点の状態に復帰する。
【0009】ここで、ドラムDは、図示しない追従制御
装置により、駆動モータMが所定の比率aで主軸に追従
するように、その回転量を制御するものとし、比率a
は、緯入れすべき各織機サイクルの終点において、仮想
貯留量Qa が所定の1ピック当りの長さq以上となるよ
うに、図示しない緯糸選択装置によって指定するものと
する。また、1リピートの終点における実貯留量Qb
は、Qb =0とするに代え、図7の実線で示す貯留量曲
線を上方に平行移動することにより、Qb ≠0としても
よいものとする。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】かかる従来技術による
ときは、主軸に対する駆動モータMの比率aを変更する
ときに、駆動モータMの応答に遅れがあると、ロングピ
ックやショートピックが発生し、安定な緯入れ動作がで
きなくなるという問題がある。
【0011】たとえば、図7において、第3サイクルの
始点において、比率aをa=3(ターン/サイクル)か
らa=2(ターン/サイクル)に変更すると、駆動モー
タMは、応答遅れのために直ちに比率a=2(ターン/
サイクル)となることができず、そのときの仮想貯留量
曲線は上方に湾曲する(同図の二点鎖線)。
【0012】一方、駆動モータMは、追従制御装置によ
って回転量を制御されているから、このときの偏差ΔQ
は、その最大値をとった後(同図の点Y1 )、徐々に減
少して、いずれは消滅する(同図の点Y2 )。しかし、
同図のように、偏差ΔQが、緯入れすべき織機サイクル
(以下、緯入れサイクルという)の終点までに解消され
ず、次回の緯入れのための貯留区間にまで残存すると、
第3サイクルにおける緯入れ長さは、所定の1ピック当
りの長さqに対し、Δq=Qa1−Qa だけロングピック
となり、第5サイクルにおける緯入れ長さは、Δq=Q
a −Qa2だけショートピックになってしまう。ただし、
Qa1、Qa2は、それぞれ、駆動モータMに応答遅れがあ
るときに、第3サイクル、第5サイクルの終点における
仮想貯留量を示すものとし、第5サイクルの終点におけ
る仮想貯留量Qa2は、第3サイクルの終点における実貯
留量Qb を基点とし、駆動モータMに応答遅れがあると
きの仮想貯留量曲線を平行移動して定めることができ
る。
【0013】なお、かかる事情は、1リピート内におい
て比率aを変更する場合のみならず、織機が起動する際
や、開口運動パターンの変化による織機の負荷変動、電
源電圧変動等により、織機の回転数に変動がある場合等
においても同様に発生する。すなわち、駆動モータMを
所定の比率aで主軸に追従して回転制御するとき、比率
aの変更や織機の回転数の変動等があると、駆動モータ
Mの応答遅れによって偏差ΔQが生じ、さらに、その偏
差ΔQが緯入れサイクルの終点までに解消されないと、
そのときの緯入れ長さに過不足が生じるだけでなく、次
回の緯入れにおいても、前回の緯入れ長さの過不足と反
対の過不足が生じる。
【0014】なお、一般に、ロングピックは、織布に対
して致命的な欠点とはならないが、ショートピックは、
織布内に緯糸の欠落部分を生じるので、致命的な欠点と
なる。
【0015】そこで、この発明の目的は、かかる従来技
術の問題に鑑み、少なくとも所定の緯入れサイクルにお
いて、追従制御装置の制御偏差をクリアすることによっ
て、駆動モータに応答遅れがあっても、少なくともショ
ートピックの発生を有効に防止することができる織機の
回転ドラム形測長装置の駆動モータ制御方法と、その装
置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めのこの出願に係る第1発明の構成は、追従制御装置を
介し、所定の比率で主軸に追従してドラム駆動用の駆動
モータを回転制御するに際し、少なくとも所定の緯入れ
サイクルにおいて、追従制御装置の制御偏差をクリアす
ることをその要旨とする。
【0017】第2発明の構成は、主軸の回転量と駆動モ
ータの回転量とを入力し、所定の比率で主軸に追従して
駆動モータを回転制御する追従制御装置に対し、少なく
とも所定の緯入れサイクルにおいて、追従制御装置の制
御偏差をクリアするリセット手段を付設することをその
要旨とする。
【0018】なお、リセット手段は、クランク角を入力
し、所定の設定クランク角において、追従制御装置の制
御偏差をクリアするようにしてもよく、また、緯糸選択
装置からの緯糸選択信号を入力し、追従制御装置の制御
偏差をクリアすべき織機サイクルを判別するようにして
もよい。
【0019】
【作用】かかる第1発明の構成によるときは、追従制御
装置の制御偏差は、駆動モータの応答遅れのために発生
し、したがって、少なくとも所定の緯入れサイクルにお
いて、それを強制的にクリアすれば、駆動モータは、そ
の後、制御偏差がない状態で回転制御されるから、所定
の比率で主軸に追従させることができる。すなわち、制
御偏差をクリアした後、次ぎの緯入れのための貯留量曲
線は、駆動モータが正規の比率で主軸に追従するため
に、正規の傾きとなり、したがって、次ぎの緯入れの際
に、ショートピックが発生するおそれがない。
【0020】なお、このようにして制御偏差をクリアす
る場合、制御偏差が発生した原因は問わない。すなわ
ち、その原因は、主軸に対する駆動モータの比率を変更
する場合の他、織機の起動や、開口運動パターンの変化
による織機の負荷変動、電源電圧の変動等により、織機
の回転数が変動する場合等であってもよく、また、それ
らの組合せであってもよい。さらに、ここで、所定の緯
入れサイクルとは、制御偏差の発生原因が生じた後の最
初の緯入れサイクルをいうものとする。
【0021】制御偏差をクリアする時点は、一般に、制
御偏差の絶対値が増加傾向から減少傾向に転じた後、次
ぎの緯入れのために、ドラム上の糸の貯留量が増加し始
めるまでの間であれば、何時でもよい。そこで、制御偏
差をクリアする時点としては、織機サイクルの終点に定
めるのが最も簡便である。その時点は、クランク角を監
視することにより、一義的に決定することができるから
である。
【0022】第2発明の構成によるときは、リセット手
段は、少なくとも所定の緯入れサイクルにおいて、追従
制御装置の制御偏差をクリアするから、全体として、第
1発明をそのまま実施することができる。
【0023】リセット手段にクランク角を入力すれば、
リセット手段は、クランク角を監視することにより、制
御偏差をクリアすべき時点を一義的に決定することがで
き、また、緯糸選択信号を入力すれば、1リピートを構
成する複数の織機サイクルのうち、現に緯入れを実行
し、しかも、制御偏差をクリアすべき織機サイクルを判
別し、たとえば、その織機サイクルの終点において、制
御偏差をクリアすることができる。
【0024】
【実施例】以下、図面を以って実施例を説明する。
【0025】織機の回転ドラム式測長装置の駆動モータ
制御装置(以下、単に制御装置という)1は、追従制御
装置10にリセット手段20を付設してなる(図1)。
ただし、ここでは、図6の構成からなる2台の測長装置
が並設され、各測長装置の駆動モータMは、それぞれ、
個別の制御装置1を介し、織機の主軸Aに追従して回転
制御される一方、各制御装置1と、各測長装置の図示し
ない拘束ピンP、クランプ装置CLは、共通の緯糸選択
装置2により制御されるものとする。
【0026】織機の主軸Aには、クランク角θを検出す
るエンコーダENが連結されており、エンコーダENの
出力は、パルス列信号Sa として、各制御装置1の追従
制御装置10、リセット手段20の他、緯糸選択装置2
にも入力されている。また、緯糸選択装置2からは、緯
糸選択信号S1 、比率信号S2 が各制御装置1に出力さ
れ、前者は、リセット手段20に入力されており、後者
は、比率設定器31を介して追従制御装置10に入力さ
れている。また、リセット手段20の出力は、クリア信
号Sc として、追従制御装置10に入力されている。緯
糸選択装置2からは、さらに別の出力が駆動信号S3 、
S3 として出力され、緯糸選択装置2は、各駆動信号S
3 により、各測長装置に属する拘束ピンP、クランプ装
置CLを個別に駆動するものとする。
【0027】追従制御装置10の出力は、制御増幅器3
2を介して、ドラムDを駆動する駆動モータMに接続さ
れている。なお、駆動モータMに連結されたパルス発生
器PGの出力は、駆動モータM、ドラムDの回転量Pf
を表わすパルス列信号Sf として、追従制御装置10に
フィードバックされている。
【0028】追従制御装置10は、分周器11と、偏差
カウンタ12とを備えてなる(図2)。分周器11に
は、エンコーダENからのクランク角θと、比率設定器
31の出力とが入力され、分周器11の出力は、偏差カ
ウンタ12の加算端子Uに接続されている。
【0029】偏差カウンタ12の減算端子Dには、パル
ス検出器PGからの駆動モータMの回転量Pf が入力さ
れ、偏差カウンタ12の出力は、DA変換器13、加え
合せ点14を介して外部に引き出され、制御増幅器32
に導かれている。なお、駆動モータMの回転量Pf は、
FV変換器15を介し、加え合せ点14に併せ入力され
ている。
【0030】リセット手段20は、クランク角θを入力
し、設定器22を付設する比較器21と、緯糸選択装置
2からの緯糸選択信号S1 を入力し、緯糸選択信号S1
の出力回数nを計数するカウンタ41と、カウンタ4
1、設定器42を接続する比較器43と、比較器21、
43の各出力側に接続するアンドゲート23とからなる
(図3)。アンドゲート23の出力は、クリア信号Sc
として、追従制御装置10に導かれ(図2)、偏差カウ
ンタ12のリセット端子Rに入力されている。
【0031】いま、織機が定常運転中であると、エンコ
ーダENからは、クランク角θを示すパルス列信号Sa
が出力され、追従制御装置10の分周器11に入力され
る。ここで、分周器11は、比率設定器31から与えら
れる分周比kによりパルス列信号Sa を分周するものと
すれば、分周器11は、主軸Aの1回転当りNa /k個
のパルスからなる目標回転量信号Sa1を偏差カウンタ1
2の加算端子Uに送出することができる。ただし、Na
は、主軸Aの1回転当り、エンコーダENが出力するパ
ルス列信号Sa のパルス数であり、したがって、分周器
11には、実質的に、主軸Aの回転量Paが入力されて
いる。
【0032】一方、偏差カウンタ12の減算端子Dに
は、パルス発生器PGからのパルス列信号Sf が入力さ
れているから、いま、主軸Aの回転量Pa、駆動モータ
Mの回転量Pf とすると、偏差カウンタ12は、目標回
転量信号Sa1、パルス列信号Sf のパルス数の差ΔP=
Pa Na /k−Pf Nf を算出し、DA変換器13を介
し、制御偏差ΔP1 として、加え合せ点14に出力する
ことができる。ただし、Nf は、駆動モータMの1回転
当り、パルス検出器PGが出力するパルス列信号Sf の
パルス数である。そこで、制御増幅器32は、制御偏差
ΔP1が解消する方向に駆動モータMを回転制御し、し
たがって、追従制御装置10は、全体として、主軸Aに
追従するようにして、駆動モータMを回転制御すること
ができる。なお、FV変換器15は、駆動モータMの回
転速度を加え合せ点14にフィードバックし、駆動モー
タMの速度マイナループを形成している。
【0033】なお、主軸Aの1回転当り、すなわち、1
織機サイクル当り、駆動モータMをa回転させることに
より、駆動モータMは、ドラムD上に、比率a(ターン
/サイクル)の割合いで、糸Wを貯留することができ
る。そこで、これを実現するためには、 aNf =Na /k k=(Na /Nf )/a となるように、比率設定器31からの分周比kを定めれ
ばよい。
【0034】いま、2台の測長装置のうちの1台は、図
7に準じて、図4の貯留量曲線を実現するように作動さ
せるものとする。すなわち、この測長装置は、5織機サ
イクルからなる1リピートを実現し、その第3、5サイ
クルにおいて、自由飛走区間T1 、拘束飛走区間T2 か
らなる緯入れを実行するとともに、主軸Aに対する駆動
モータMの比率aは、第1、2サイクルにおいてはa=
3(ターン/サイクル)とし、第3、4、5サイクルに
おいては、a=2(ターン/サイクル)とする。なお、
このとき、他の1台の測長装置は、第1、2、4サイク
ルにおいて緯入れを実行し、その比率aは、第1、5サ
イクルにおいてはa=4.5(ターン/サイクル)と
し、第2、3、4サイクルにおいては、a=3(ターン
/サイクル)として運転することにより、全体として、
2色緯入れを実行することができる。
【0035】そこで、緯糸選択装置2は、クランク角θ
を入力することにより、現在の織機サイクルが、1リピ
ートのうちのいずれの織機サイクルに該当するかを判別
し、その結果に基づき、各制御装置1に対して、所定の
比率aを比率信号S2 として出力するとともに、その織
機サイクルにおいて緯入れを実行すべき測長装置の拘束
ピンP、クランプ装置CLに対し、所定の時期に駆動信
号S3 を送出する。比率設定器31は、緯糸選択装置2
からの比率aに基づき、追従制御装置10の分周器11
に対し、分周比k=(Na /Nf )/aを送出するか
ら、駆動モータMは、織機サイクルごとに、所定の比率
aで主軸Aに追従するように回転制御することができ
る。したがって、各測長装置は、所定の時期に緯入れ動
作を実行し、所定の緯入れパターンを実現することがで
きる。
【0036】なお、図4においては、第3、4、5サイ
クルにおいて、比率aがa=2(ターン/サイクル)か
らa=3(ターン/サイクル)に変化するばかりでな
く、たとえば、開口運動パターンの変化により織機の負
荷が増大するために、織機の回転数が低下することを想
定し、各織機サイクルの横軸方向の幅を長く図示してあ
る。しかし、駆動モータMは、追従制御装置10を介
し、主軸Aに連続的に追従し、拘束ピンP、クランプ装
置CLは、緯糸選択装置2を介し、クランク角θに基づ
いて駆動制御されるから、織機の回転数が変動しても、
これらの緯入れ部材は、所定の同期関係を維持して作動
することが可能である。
【0037】駆動モータMの応答性が、比率aの変更、
織機の回転数変動に対して不十分であると、貯留量曲線
が上方に湾曲し(図4の二点鎖線)、貯留量Qに偏差Δ
Qが生じるが、これに対しては、リセット手段20が作
動する。
【0038】リセット手段20は、カウンタ41によ
り、1リピート中に緯糸選択装置2から出力される緯糸
選択信号S1 の出力回数nを計数し、比較器43がn=
no を検出した場合に、比較器21により、クランク角
θがθ=θo となったことを検出してクリア信号Sc を
出力することができる。ただし、no 、θo は、それぞ
れ、設定器42、22に設定する設定緯入れサイクル、
設定クランク角である。そこで、no =1とすると、比
較器43の出力は、1リピート中の第1回目の緯入れサ
イクル、すなわち図4の第3サイクルの始点から終点ま
での間、連続的に出力することができ、このとき、θo
=360(度)とすれば、リセット手段20は、図4の
第3サイクルの終点において、クリア信号Sc を発生さ
せることができる。
【0039】なお、緯糸選択信号S1 は、緯入れサイク
ルNi の始点から終点までの間、連続的に出力され、カ
ウンタ41は、1リピートの最終の織機サイクルの終点
においてクリアされるものとする。
【0040】クリア信号Sc は、追従制御装置10の偏
差カウンタ12の内容をクリアし、制御偏差ΔP1 をク
リアする(図2)。したがって、その後、駆動モータM
は、制御偏差ΔP1 がクリアされることにより、正規の
貯留量曲線の傾きを実現するように、主軸Aに追従する
ことができるから(図4の第4サイクル以降の二点鎖
線)、次ぎの第5サイクルにおける緯入れにおいて、シ
ョートピックが発生するおそれがない。第4サイクル以
降の貯留量曲線は、第3サイクルの終点における実貯留
量Qb を基点とする正規の貯留量曲線に一致させること
ができるからである。ただし、図4において、Qa 、Q
a1、Qb は、それぞれ、図7と同じく、緯入れサイクル
の終点における正規の仮想貯留量、駆動モータMに応答
遅れがあるときの仮想貯留量、緯入れ後の実貯留量を示
し、qは、正規の1ピック当りの緯入れ長さを示すもの
とする。なお、このとき、図4の第3サイクルにおける
緯入れ長さは、Δq=Qa1−Qa だけロングピックとな
っているが、これは、致命的な織物欠点とはならない。
【0041】以上の説明において、リセット手段20
は、すべての緯入れサイクルにおいてクリア信号Sc を
出力してもよい。すなわち、リセット手段20におい
て、カウンタ41、設定器42、比較器43を省略し、
緯糸選択信号S1 をアンドゲート23に直接入力させる
ことにより、クリア信号Sc は、図4の第5サイクルの
終点においても、リセット手段20から出力される。た
だし、そこでは、駆動モータMの応答遅れはなく、した
がって、偏差カウンタ12には、クリアすべき内容が残
存していないので、このときのクリア信号Sc は、何ら
格別の動作をしない。
【0042】一般に、クリア信号Sc は、緯入れすべき
織機サイクルにおいて、貯留量Qの偏差ΔQと、追従制
御装置10の制御偏差ΔP1 との絶対値|ΔQ|、|Δ
P1|が増加傾向から減少傾向に転ずる時点(図4の点
Y1 )以降、当該織機サイクルの終点までの区間T内に
発生させれば十分である。クリア信号Sc によって制御
偏差ΔP1 がクリアされると、その後、駆動モータM
は、正規の貯留量曲線の傾きを実現することができ、し
たがって、次ぎの緯入れに対するショートピックの発生
を有効に防止することができるからである。よって、図
3の設定クランク角θo は、クリア信号Sc が区間T内
にある限り、θo ≦360(度)としてもよい。また、
設定クランク角θo は、クランプ装置CLが閉状態とな
るクランク角に一致させてもよい。
【0043】
【他の実施例】リセット手段20は、カウンタ41、設
定器42、比較器43を省略し、緯糸選択信号S1 と、
図示しない織機の制御回路からの速度制御信号Sn とを
入力するオアゲート24を付加することができる(図
5)。
【0044】速度制御信号Sn は、たとえば、織機の回
転数を計測する速度センサの出力を微分して、織機の加
速度を検出し、この加速度の絶対値が所定の設定値より
大きいときに発生するものとすれば、クリア信号Sc
は、織機の回転数が何らかの原因で急激に変動し、駆動
モータMの応答遅れによる偏差ΔQ、制御偏差ΔP1 が
過大となるおそれがある場合に必らず発生させることが
でき、その後の緯入れの際のショートピックを防止する
ことができる。なお、このような速度制御信号Sn は、
織機の回転数の増減に対して発生させることができるか
ら、任意の原因による定常運転中の回転数変動の他、織
機の起動の際の駆動モータMの応答遅れに対しても、よ
く対処することが可能である。
【0045】また、速度制御信号Sn は、これに代え
て、開口運動パターン指令信号や、織機起動信号として
もよい。
【0046】一般に、クリア信号Sc は、前述のよう
に、駆動モータMに応答遅れがなく、制御偏差ΔP1 が
存在しないときに発生させても、何ら格別な弊害がな
い。そこで、リセット手段20は、複数の測長装置によ
り多色緯入れを行なう場合であっても、緯糸選択信号S
1 により、制御偏差ΔP1 をクリアすべき織機サイクル
を判別することなく、すべての織機サイクルにおいてク
リア信号Sc を発生させてもよい。また、制御偏差ΔP
1 の発生原因が生じる織機サイクルが緯入れサイクルで
ないときは、その後の最初の緯入れサイクルにおいてク
リア信号Sc を出力すれば十分である。すなわち、クリ
ア信号Sc は、少なくとも所定の緯入れサイクルにおい
て、発生させれば足りる。なお、測長装置を1台のみ使
用し、緯糸選択装置2を使用せずに1色緯入れを実行す
るときは、すべての織機サイクルにおいて、一律にクリ
ア信号Sc を発生させてよいことはいうまでもない。
【0047】また、この発明は、送出ローラR、Rを使
用せず、ドラムDの後部に常時複数ターンの糸Wを存在
させ、その糸Wを介して拘束飛走を実現させる測長装置
に対しても、そのまま適用することができる。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、この出願に係る第
1発明によれば、少なくとも所定の緯入れサイクルにお
いて、駆動モータを回転制御する追従制御装置の制御偏
差をクリアすることによって、それ以後、駆動モータ
は、制御偏差がない状態で主軸に追従し、ドラム上に正
規の貯留量を実現することができるから、次ぎの緯入れ
に際し、織布に対して致命的な欠点となるショートピッ
クの発生を有効に防止することができるという優れた効
果がある。
【0049】第2発明によるときは、追従制御装置に対
してリセット手段を付設することによって、リセット手
段は、必要に応じて追従制御装置の制御偏差を強制的に
クリアすることができるから、円滑に第1発明を実施す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 全体構成概略ブロック系統図
【図2】 要部詳細ブロック系統図(1)
【図3】 要部詳細ブロック系統図(2)
【図4】 動作説明線図
【図5】 他の実施例を示す図3相当の要部ブロック系
統図
【図6】 測長装置の構成説明図
【図7】 従来例における図4相当図
【符号の説明】
A…主軸 D…ドラム M…駆動モータ N…織機サイクル Pa 、Pf …回転量 ΔP1 …制御偏差 a…比率 θ…クランク角 θo …設定クランク角 S1 …緯糸選択信号 1…駆動モータ制御装置 2…緯糸選択装置 10…追従制御装置 20…リセット手段

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 追従制御装置を介し、所定の比率で主軸
    に追従してドラム駆動用の駆動モータを回転制御するに
    際し、少なくとも所定の緯入れサイクルにおいて、前記
    追従制御装置の制御偏差をクリアすることを特徴とする
    織機の回転ドラム形測長装置の駆動モータ制御方法。
  2. 【請求項2】 主軸の回転量と駆動モータの回転量とを
    入力し、所定の比率で主軸に追従して駆動モータを回転
    制御する追従制御装置に対し、少なくとも所定の緯入れ
    サイクルにおいて、前記追従制御装置の制御偏差をクリ
    アするリセット手段を付設してなる織機の回転ドラム形
    測長装置の駆動モータ制御装置。
  3. 【請求項3】 前記リセット手段は、クランク角を入力
    し、所定の設定クランク角において、前記追従制御装置
    の制御偏差をクリアすることを特徴とする請求項2記載
    の織機の回転ドラム形測長装置の駆動モータ制御装置。
  4. 【請求項4】 前記リセット手段は、緯糸選択装置から
    の緯糸選択信号を入力し、前記追従制御装置の制御偏差
    をクリアすべき織機サイクルを判別することを特徴とす
    る請求項2または請求項3記載の織機の回転ドラム形測
    長装置の駆動モータ制御装置。
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