JP2910252B2 - タイヤ用ゴム組成物 - Google Patents

タイヤ用ゴム組成物

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JP2910252B2
JP2910252B2 JP14891A JP14891A JP2910252B2 JP 2910252 B2 JP2910252 B2 JP 2910252B2 JP 14891 A JP14891 A JP 14891A JP 14891 A JP14891 A JP 14891A JP 2910252 B2 JP2910252 B2 JP 2910252B2
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幸 老川
千年人 蛯名
直樹 乾
英雄 長崎
真一 八児
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、タイヤのトレッド材料
として好適な高グリップ性能を有するゴム組成物に関す
るものであり、さらに詳しくは、機械強度を損なうこと
なく損失係数(tanδ) を増大させたゴム組成物に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車の高性能化、道路の舗装化
および高速道路網の発達に伴い、自動車の加速性能やブ
レーキ性能と密接な関連をもつタイヤのグリップ性能に
対する向上要請が増加してきている。高グリップ性能を
得るためには、タイヤのトレッド部と路面との間の摩擦
によるエネルギーロスを増加させればよいことが知られ
ており、これに対応して、変形時の損失係数(tanδ) の
大きいトレッドゴム材料が求められている。
【0003】従来、変形時の tanδを大きくする技術と
しては、スチレン含有量の高いスチレン・ブタジエン共
重合ゴムをベースとして使用する方法、プロセス油を多
量に添加する方法、高補強性のカーボンブラックを大量
に添加する方法などが提案されている。また特開昭 64-
70539 号公報には、N−メタクリロイル−N′−フェニ
ル−p−フェニレンジアミンなどのp−フェニレンジア
ミン誘導体をゴムに配合することによって、グリップ性
の改良をはかることが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】スチレン含有量の高い
スチレン・ブタジエンゴムを用いる場合、ある程度のグ
リップ性能の向上はみられるものの、それだけでは必ず
しも十分でなかった。また、プロセス油や高補強性のカ
ーボンブラックを多量に添加する方法では、グリップ性
能の向上はみられるものの、高添加によりゴムの発熱性
が増大し、それに伴って、強度特性や耐摩耗性が著しく
低下するという問題があった。一方、特開昭 64-70539
号公報に記載されるp−フェニレンジアミン誘導体を配
合する方法は、ゴムの tanδを上昇させるものの、かか
る配合によって強度特性が低下するという問題が明らか
になってきた。
【0005】このような背景から本発明者らは、 tanδ
を十分に上昇させ、もってグリップ性能、特にタイヤが
高温になった際のグリップ性能を向上させることがで
き、かつ機械強度を損なわないですむ配合剤を開発すべ
く鋭意研究を重ねた結果、本発明に至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、ゴム
に、充填剤および下記一般式(I)
【0007】
【化3】
【0008】(式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のア
ルキルもしくはアルコキシ基、またはハロゲン原子であ
る)で示される4−フェニルウラゾール化合物を含有さ
せてなるゴム組成物を提供する。また本発明は、ゴム
に、充填剤および前記一般式(I)で示される4−フェニ
ルウラゾール化合物を含有させてなるゴム組成物を使用
することにより、ゴムの損失係数を増大させる方法を提
供する。
【0009】前記一般式(I)で示される4−フェニル
ウラゾール化合物は、市販されているものをそのまま用
いることができるし、また例えば、対応する1−エトキ
シカルボニル−4−フェニルセミカルバジド化合物を、
水酸化カリウム水溶液とともに加熱し、冷却後、濃塩酸
で酸性とする脱エタノール環化反応によって製造するこ
とができる。
【0010】前記一般式(I)においてRは、水素原
子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコ
キシ基またはハロゲン原子である。アルキル基の例とし
ては、メチル、エチル、プロピル、ブチルおよびペンチ
ルが挙げられ、アルコキシ基の例としては、メトキシ、
エトキシ、プロポキシ、ブトキシおよびペンチルオキシ
が挙げられ、それぞれ炭素数3以上のものは直鎖状であ
っても分枝状であってもよい。またハロゲン原子の例
は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などである。一般式
(I)におけるRは、水素または、メチル、エチル、メ
トキシ、エトキシなど炭素数の少ないアルキルもしくは
アルコキシ基が好ましい。本発明では、一般式(I)に
おけるRが水素原子である化合物、すなわち4−フェニ
ルウラゾールが好ましく用いられる。
【0011】本発明で用いることのできる前記一般式
(I)の4−フェニルウラゾール化合物として、例えば
次のようなものが挙げられる。 (1) 4−フェニルウラゾール (2) 4−(4−メチルフェニル)ウラゾール (3) 4−(2−メチルフェニル)ウラゾール (4) 4−(4−t−ブチルフェニル)ウラゾール (5) 4−(4−n−ブチルフェニル)ウラゾール (6) 4−(4−メトキシフェニル)ウラゾール (7) 4−(3−エトキシフェニル)ウラゾール (8) 4−(4−クロロフェニル)ウラゾール (9) 4−(2−クロロフェニル)ウラゾール (10) 4−(4−ヨードフェニル)ウラゾール
【0012】前記一般式(I)の4−フェニルウラゾー
ル化合物をゴムに添加する場合の形態としては、それぞ
れの化合物単体であってもよいし、複数化合物の混合物
であってもよいし、あるいはゴム物性に影響を与えない
クレーなどの担体と混合したものであってもよい。かか
る4−フェニルウラゾール化合物は、配合ゴムを製造す
る任意の段階で添加することができる。ゴムの配合にあ
たって、4−フェニルウラゾール化合物の使用量は限定
されないが、一般には、ゴム100重量部あたり 0.1〜
20重量部程度の範囲で使用するのが好ましい。
【0013】また、本発明において使用する充填剤とし
ては、ゴム工業で使用されている種々のものが適用でき
るが、一般的にはカーボンブラックが好ましい。カーボ
ンブラックの種類は特に限定されるものでなく、従来よ
りゴム工業で採用されている各種のカーボンブラックが
本発明でも使用できる。なお、タイヤのグリップ性能を
向上させるために従来から、SAFブラック、ISAF
ブラック、HAFブラックなど、窒素吸着比表面積80
〜250m2/gの高補強性カーボンブラックが用いられ
ており、本発明においてもこのような高補強性カーボン
ブラックを用いるのが好ましい。充填剤の配合量は特に
限定されないが、一般にはゴム100重量部に対して2
0〜200重量部程度の範囲が好ましい。
【0014】本発明において使用しうるゴムの種類とし
ては、天然ゴムのほか、ポリイソプレンゴム(IR)、
スチレン・ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ポリブタ
ジエンゴム(BR)、アクリロニトリル・ブタジエン共
重合ゴム(NBR)、イソプレン・イソブチレン共重合
ゴム(IIR)、エチレン・プロピレン・ジエン共重合
ゴム(EPDM)などの各種合成ゴム、天然ゴムと合成
ゴムとのブレンド、およびSBRとIR、SBRとBR
など、合成ゴムのブレンドが例示される。なお、タイヤ
のグリップ性向上のために最近では、特にスチレン含有
量の高いSBRが好ましく用いられているが、本発明に
おいてもこのようなスチレン含有量の高いSBRを用い
ることができる。本発明は、スチレン含有量20〜50
重量%のSBRに対しても効果的であり、このようなS
BRは好ましいゴムの一つである。SBRの種類は、溶
液重合型であっても乳化重合型であっても差し支えな
い。
【0015】タイヤトレッドゴム材料の配合にあたり、
従来からタイヤのグリップ性能を高めるためにプロセス
油を配合する手法がよく用いられているが、本発明にお
いてもプロセス油を併用することができ、かつ好まし
い。プロセス油の配合量は特に限定されないが、一般に
はゴム100重量部あたり200重量部以下であり、好
ましくは5〜200重量部の範囲から選択される。プロ
セス油の種類も、本発明において限定されるものではな
く、従来からゴム工業で使用されている各種のプロセス
油を用いることができる。
【0016】また本発明においては、ゴム工業で通常使
用されている老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤、リター
ダー、しゃっ解剤、軟化剤などの各種ゴム薬品を従来と
同様に併用してもよいことはいうまでもない。
【0017】
【実施例】次に、前記一般式(I)で示される化合物を
ゴムに配合して物性を評価した実施例により、本発明を
さらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって限
定されるものではない。以下の例中、%および部は、特
にことわりがないかぎり、いずれも重量基準である。
【0018】また、例中で用いた供試化合物は次のとお
りであり、以下それぞれの記号で表示する。 A: 4−フェニルウラゾール B: 4−(4−メチルフェニル)ウラゾール C: 4−(4−t−ブチルフェニル)ウラゾール D: 4−(2−メチルフェニル)ウラゾール E: 4−(3−エトキシフェニル)ウラゾール F: 4−(4−クロロフェニル)ウラゾール X: N−メタクリロイル−N′−フェニル−p−フェ
ニレンジアミン
【0019】実施例1 〔配合処方〕 スチレン・ブタジエン共重合ゴム 表−1記載 (スチレン含有量35%、ゴム100部あたり芳香族油37.5部含有) ブタジエンゴム(BR−01) 表−1記載 天 然 ゴ ム 表−1記載 ISAFカーボンブラック 表−1記載 ス テ ア リ ン 酸 3部 亜 鉛 華 5部 芳香族系プロセス油 表−1記載 加 硫 促 進 剤 1部 (N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド) イ オ ウ 2部 供 試 化 合 物 表−1記載
【0020】バンバリーミキサーとして東洋精機製の2
50mlラボプラストミルR を用い、オイルバス温度17
0℃で、上記配合処方に基づき、ゴムに、供試化合物、
カーボンブラック、ステアリン酸、プロセス油、および
亜鉛華を投入し、50rpm のミキサー回転数で5分間混
練した。この時のゴム温度は160〜170℃であっ
た。次にこのゴム配合物をオープンミルに移し、40〜
50℃の温度で、上記配合処方に示した加硫促進剤およ
びイオウを添加し混練した。
【0021】さらに、加硫プレスにより加硫し、所定の
形状としたあと、 tanδの測定に供した。 tanδの測定
は、岩本製作所製の粘弾性スペクトロメーターを用い、
周波数10Hzの条件下、−50℃から100℃までの温
度で行った。また、機械強度の試験として、前記ゴム組
成物から作成した加硫ゴム試験片(JIS K 6301 によるダ
ンベル3号)を用いて、室温でM100 およびM300 を測
定した。得られた結果のうち、80℃における tanδ、
室温でのM100 およびM300 を表−1に示した。表中、
300 の欄が空欄のものは測定不可能だったことを意味
する。
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【発明の効果】本発明により4−フェニルウラゾール化
合物を配合したゴム組成物は、タイヤが高温になった際
のグリップ力に対応する60℃以上の高温領域における
tanδが効果的に向上しており、しかも強度特性の低下
がほとんどない。したがって、本発明のゴム組成物をタ
イヤの特にトレッド部に適用すれば、自動車の加速性能
やブレーキ性能と密接な関連をもつグリップ性能の優れ
たタイヤとすることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長崎 英雄 大阪市此花区春日出中3丁目1番98号 住友化学工業株式会社内 (72)発明者 八児 真一 大阪市此花区春日出中3丁目1番98号 住友化学工業株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 7/00 - 21/02 C08K 5/3472 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ゴムに、充填剤および下記一般式 【化1】 (式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキルもしく
    はアルコキシ基、またはハロゲン原子である) で示される4−フェニルウラゾール化合物を含有させて
    なるゴム組成物。
  2. 【請求項2】4−フェニルウラゾール化合物が、4−フ
    ェニルウラゾールである請求項1記載のゴム組成物。
  3. 【請求項3】ゴムに、充填剤および下式一般式 【化2】 (式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキルもしく
    はアルコキシ基、またはハロゲン原子である)で示され
    る4−フェニルウラゾール化合物を含有させてなるゴム
    組成物を使用することを特徴とするゴムの損失係数を増
    大させる方法。
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