JP2909404B2 - 配管類用締付け固定具 - Google Patents

配管類用締付け固定具

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主として、電気配線工
事において、トンネル等の天井面から吊下げ支持され
る、或いは、壁面に打ち止められる配管用取付け部材に
電線ケーブル等の配管類を締付け固定する場合に用いら
れる配管類用締付け固定具で、詳しくは、配管用取付け
部材に形成された被係合部に対して係脱自在な係止部を
一端側に備えた一対の押え部材の各々に、配管類を前記
取付け部材の受け面側に押圧可能な押圧部を形成すると
ともに、前記取付け部材の被係合部に係合された両押え
部材の他端部を互いに近接側に締付け操作することによ
り、当該両押え部材の押圧部と前記取付け部材の受け面
との間で配管類を締付け固定する締付け部材を、前記両
押え部材の他端部に亘って設けてある配管類用締付け固
定具に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の配管類用締付け固定具では、図1
0に示すように、両押え部材51の押圧部52を、取付
け部材53の受け面54に支持された配管類Pの外周面
に沿う弧状に弯曲形成するとともに、前記両押え部材5
1の他端側を、当該押え部材51の係止部55が、取付
け部材53の受け面54の裏面54aと開口部54bと
から構成されるアリ溝(被係合部の一例である)56に
係合し、かつ、弧状押圧部52が配管類Pの外周面に接
当している状態においてほぼ平行姿勢となるように構成
している。また、前記締付け部材57を、前記押え部材
51の他端部に亘って貫通されるボルト58と、当該ボ
ルト58の先端側に螺合されるナット59とから構成し
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この種の配管類用締付
け固定具では、前記取付け部材53に架設される配管類
Pの管径が、両押え部材51が対象とする管径よりも小
さくなると、両押え部材51の弧状押圧部52が配管類
Pに接当する前に、両押え部材51の他端部同士が接当
して配管類Pを所定力で締付け固定することができない
事態が発生していた。このような事態を回避するために
は、前記両押え部材51として、その弧状押圧部52の
曲率が配管類Pの種類に応じた数だけ異なる複数種類の
ものを準備しなければならず、取り扱いが不便であるば
かりでなく、コスト的に高く付き易い問題がある。
【0004】本発明は、上記実情に鑑みて為されたもの
であって、その目的は、配管類の締付け固定時における
損傷を抑制するための保護構造を合理的に改造すること
により、管径の異なる複数種類の配管類を少ない品種で
簡便に、かつ、コスト面で有利に締付け固定することの
できる配管類用締付け固定具を提供する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する為の
本発明の第1特徴構成は、配管用取付け部材に形成され
た被係合部に対して係脱自在な係止部を一端側に備えた
一対の押え部材の各々に、配管類を前記取付け部材の受
け面側に押圧可能な押圧部を形成するとともに、前記取
付け部材の被係合部に係合された両押え部材の他端部を
互いに近接側に締付け操作することにより、当該両押え
部材の押圧部と前記取付け部材の受け面との間で配管類
を締付け固定する締付け部材を、前記両押え部材の他端
部に亘って設けてある配管類用締付け固定具であって、
前記両押え部材の押圧部の各々に軟質樹脂製の筒状又は
ほぼ筒状の保護部材を表裏反転差し替え自在に装着する
とともに、前記各保護部材の表面側の肉厚と裏面側の肉
厚とを異ならせて構成してある点にある。
【0006】本発明の第2特徴構成は、前記配管類用締
付け固定具の第1特徴構成において、前記保護部材の少
なくとも配管類と接触する面に、配管軸線方向に対して
ほぼ直交する方向に沿う複数の溝又は突条が形成されて
いる点にある。
【0007】
【作用】本発明の第1特徴構成によれば、一対の押え部
材の押圧部にて取付け部材の受け面に押圧固定される配
管類の損傷を、弾性変形可能な軟質樹脂製の保護部材に
て抑制することができるばかりでなく、この保護部材を
押え部材の押圧部に対して表裏反転差し替えして、配管
類に相対向する面側(配管類の外周面と接触する面側)
の保護部材の肉厚を変更することにより、その肉厚の差
分だけ、一対の押え部材の押圧部にて押圧固定可能な配
管類の管径範囲を拡大することができる。
【0008】本発明の第2特徴構成によれば、配管類の
締付け固定時に、複数の溝又は突条により形成される保
護部材の表面の凹凸のうち、凸部が配管類の外周面に断
続的に押圧接当し、配管類に対する締付け力がこれら各
凸部に集中されるので、保護部材の表面が凹凸の無い偏
平面に形成されている場合に比べて、同じ力で締付け固
定しても、配管類に対する面圧を高めることができる。
【0009】
【発明の効果】本発明の配管類用締付け固定具の第1特
徴構成によれば、配管類の締付け固定時における配管類
の損傷を抑制することができるばかりでなく、そのため
の保護部材の表裏の肉厚差を利用して、この保護部材の
表裏反転差し替え作業するだけの簡単な操作をもって、
一種類の固定具にて押圧固定できる配管類の管径範囲を
拡大できるから、関係の異なる配管類を少ない品種の固
定具で簡便に、かつ、コスト面で有利に締付け固定する
ことができる。
【0010】本発明の配管類用締付け固定具の第2特徴
構成によれば、上記配管類用締付け固定具の第1特徴構
成による効果に加えて、配管類に対する単位面積当りの
面圧の増大により、保護部材の表面が凹凸の無い偏平面
に形成されている場合に比べて、配管類の締付け固定状
態で配管類に配管軸線方向への外力が作用しても、当該
配管類が固定具に対して配管軸線方向にずれ動くことを
抑制することができる。
【0011】
【実施例】
〔第1実施例〕図1〜図4は、軟質樹脂製の円筒状の管
体で外套被覆された配管類の一例である電線ケーブルP
の締付け固定具を示し、取付け部材Aと一対の押え部材
Bとを主要構成として備えている。
【0012】前記配管用取付け部材Aは、図1、図3〜
図5に示すように、板部材をコの字状に屈曲形成するこ
とによって、水平な受け面1aを備えた受止め部1と一
対の脚部2とが構成されているとともに、前記受止め部
1の長手方向(電線ケーブルPの配管軸線Q方向に対し
て直交する方向)の中央部には、当該取付け部材Aをト
ンネル等の天井面や壁面等の取付け面Wにビス3にて固
定するための楕円状のビス孔4が形成されており、この
ビス孔4を挟んで長手方向両側には、長方形状の開口部
5が一対形成されている。
【0013】前記各押え部材Bは、図1〜図4に示すよ
うに、取付け部材Aに形成された受止め部1の裏面1b
と開口部5とから構成される一対のアリ溝部(被係合部
の一例である)6に対して各別に係脱自在に係合する係
止部7を一端側に備えていて、中間部が電線ケーブルP
を取付け部材Aの受け面1a側に押圧可能な弧状の押圧
部8に形成されているとともに、取付け部材Aの開口部
5に係合された両押え部材Bの他端部を互いに近接側に
締付け操作することにより、当該両押え部材Bの押圧部
8と取付け部材Aの受け面1aとの間で電線ケーブルP
を締付け固定する締付け部材9が、両押え部材Bの他端
部に亘って設けられている。尚、図4に示すように、前
記電線ケーブルPの配管軸線Q方向での開口部5の幅L
1は、押え部材Bの係止部7の幅L2よりも小に構成さ
れている。
【0014】図1〜図4に示すように、前記押え部材B
の押圧部8の各々には、当該押圧部8の押圧接当によ
る、取付け部材Aの受け面1aに押圧固定される電線ケ
ーブルPの損傷を抑制するため、弾性変形可能な軟質の
塩化ビニル樹脂製の筒状の保護部材10を表裏反転差し
替え自在に装着されていて、当該筒状保護部材10は、
押え部材Bに装着した状態における表裏両面側の各々
が、弧状の押圧部8の表裏両面側とほぼ相似な弧状とな
るように弾性屈曲自在に構成されている。また、図2に
示すように、前記筒状保護部材10の表裏両面には、電
線ケーブルPの配管軸線Q方向に対してほぼ直交する方
向に沿う複数の溝10Aが、当該配管軸線Q方向に所定
ピッチで形成されている。尚、前記筒状保護部材10の
表面とは、電線ケーブルPに対して筒状保護部材10の
内径側面、つまり、電線ケーブルPを両押え部材Bの押
圧部8と取付け部材Aの受け面1aとの間で締付け固定
した状態で、この電線ケーブルPの外周面と接触する面
を備えた面であり、また、裏面とは、電線ケーブルPに
対して筒状保護部材10の外径側面、つまり、表面とは
反対側に位置する面である。
【0015】図1〜図3に示すように、前記筒状保護部
材10は、押え部材Bを挿通するための貫通孔11を挟
んで相対向する、表面側の肉厚と裏面側の肉厚とが異な
る寸法に構成されていて、筒状保護部材10を押え部材
Bの押圧部8に対して表裏反転差し替えすることによ
り、電線ケーブルPに対する表面側の筒状保護部材10
の肉厚を二種類の肉厚に切り換えることができる。つま
り、図1に示すように、前記筒状保護部材10の薄肉側
を電線ケーブルPに対する表面側に位置させて、当該電
線ケーブルPを取付け部材Aに締付け固定した状態か
ら、当該筒状保護部材10を表裏反転差し替えして、図
3に示すように、前記筒状保護部材10の厚肉側を電線
ケーブルPに対する表面側に位置させて、当該電線ケー
ブルPを取付け部材Aに締付け固定した状態に切り換え
ると、前記筒状保護部材10の電線ケーブルPに対する
表面側に生じる肉厚差分だけ、この押え部材Bが対象と
する電線ケーブルPの管径が大径の管径R1から小径の
管径R2に替わり、その結果、一種類からなる一対の押
え部材Bの押圧部8にて押圧固定可能な電線ケーブルP
の管径範囲を拡大することができる。尚、前記筒状保護
部材10の表面と電線ケーブルPの外周面とは、前記締
付け部材9の締付け操作で、筒状保護部材10の表面が
電線ケーブルPの外周面側へ押圧作動され、当該筒状保
護部材10が弾性変形しながら電線ケーブルPの外周面
に密着するように構成されている。
【0016】前記締付け部材9は、図1に示すように、
押え部材Bの他端部に形成された連結部分12に亘って
挿入されるボルト13、及び、当該ボルト13の突出ネ
ジ部に螺合されるナット14とから構成されている。そ
して、一対の前記押え部材Bの係止部7を前記アリ溝部
6を構成する開口部5を通して受止め部1の裏面1bに
係止させたのち、これら両押え部材Bの連結部分12に
挿入したボルト13とナット14とを締め付け方向に螺
合操作すると、前記両押え部材Bに装着された筒状保護
部材10の表面が電線ケーブルPを取付け部材A側に押
圧し、当該電線ケーブルPが取付け部材Aの受け面1a
に押し付け固定される。図2に示すように、前記電線ケ
ーブルPが両押え部材Bの押圧部8と取付け部材Aの受
け面1aとの間で締付け固定されている状態では、複数
の溝10Aを備えた筒状保護部材10の表面のうち、両
押え部材Bの筒状保護部材10の隣接する溝10A間に
存在する各凸部が、電線ケーブルPの外周面にその配管
軸線Q方向に沿って断続的に押圧接当している。しか
も、この状態では、前記電線ケーブルPの外周面に対す
る筒状保護部材10の各凸部の押圧接当により、電線ケ
ーブルPの軟質樹脂製の管体の外周面のうち、筒状保護
部材10の表面の溝10A相当箇所の外周面が弾性変形
して、これら溝10A内に入り込み、電線ケーブルPと
筒状保護部材10とが係合される。
【0017】また、図5に示すように、前記取付け部材
Aの受け部1の長手方向両端の一端には凹状の第1係合
部15が形成されているとともに、他端には、前記第1
係合部15に沿う凸状の第2係合部16が形成されてい
て、図6に示すように、二個の取付け部材Aを電線管P
の配管軸線Q方向に対して直交する方向に並置して、そ
れら取付け部材Aの隣接端部間にも一つの電線ケーブル
Pを固定する必要が生じても、隣接する一方の取付け部
材Aの受止め部1の一端に形成した第1係合部15と他
方の取付け部材Aの受止め部1の他端に形成した第2係
合部16とを互いに入り込み状態で係合させることがで
きるから、例え、取付け部材Aの取付け位置に誤差が発
生しても、その発生した誤差が前記両係止部15,16
の係合深さ範囲内であれば、固定受台Aの隣接端部間に
電線ケーブルPが落ち込むことがない。
【0018】〔第2実施例〕図7は前記保護部材10の
別実施例を示し、前記筒状保護部材10の表裏両面に、
複数の溝10Aに換えて、電線ケーブルPの配管軸線Q
方向に対してほぼ直交する方向に沿う複数の突条10B
を、当該配管軸線Q方向に所定ピッチで形成して実施し
てもよい。その他の構成は前記第1実施例と同様であ
る。
【0019】〔第3実施例〕図8は配管用取付け部材A
の別実施例を示し、当該取付け部材Aは、板部材をコの
字状に屈曲形成し、更に、コの字状の両先端を相対向す
る方向に屈曲形成することによって、当該コの字状の両
先端に形成された左右一対の水平な受け面1aを備えた
受止め部1と一対の脚部2、及び、トンネル等の天井面
や壁面等の取付け面Wに接当する状態で取付けられる固
定部17とから構成されているとともに、前記固定部1
7の長手方向(電線ケーブルPの配管軸線Q方向に対し
て直交する方向)の中央部には、当該取付け部材Aをト
ンネル等の天井面や壁面等の取付け面Wにビス3にて固
定するための円形状のビス孔4が形成されていて、前記
一対の受け面1a間には、取付け部材Aの長手方向全長
に亘って開口部18が形成されている。尚、前記押え部
材Bの係止部7が係脱自在に係合する被係合部6は、取
付け部材Aに形成された受け面1aの裏面1bと開口部
18とからなるアリ溝部から構成される。その他の構成
は前記第1実施例と同様である。
【0020】〔その他の実施例〕 図9に示すように、前記筒状の保護部材10に換え
て、その一側面側に、配管類Pの外周方向に沿うスリッ
ト20が形成されたほぼ筒状の保護部材10を用いて実
施してもよい。この場合、押え部材Bの押圧部8に対す
る保護部材10の表裏反転差し替えが容易となる。 前記実施例では、配管類Pを軟質樹脂製の円筒状の
管体で外套被覆された電線ケーブルをもって説明した
が、このような電線ケーブルに限定されるものではな
く、軟質樹脂製の四角筒状の管体で外套被覆された電線
ケーブルであってもよく、また、電線ケーブルに換え
て、光ファイバーケーブル、配線用配管又は空調用配管
等であってもよく、更に、配管類の外周面が硬質樹脂や
金属から構成されているものであってもよい。 前記実施例では、締付け部材9がボルト12とナッ
ト13とから構成されているが、締付けバンドから構成
してもよく、両押え部材Bの押圧部8と取付け部材Aの
受け面1aとの間で配管類Pを締付け固定できる構成な
らば、その構造はボルト12とナット13との組み合わ
せに限定されない。 前記実施例では、筒状保護部材10の表裏両面に複
数の溝10Aが形成されているが、これら複数の溝10
Aが形成されていない筒状保護部材10を押え部材Bに
装着して実施してもよい。
【0021】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】配管類の締付け固定状態を示す断面図
【図2】図1のII−II線断面図
【図3】筒状保護部材を表裏反転した状態の配管類の締
付け固定状態を示す断面図
【図4】図1のIV−IV線断面図
【図5】取付け部材の平面図
【図6】二個の取付け部材を並置した状態を示す断面図
【図7】第2実施例を示す断面図
【図8】第3実施例を示す断面図
【図9】第4実施例を示す断面図
【図10】従来例を示す断面図
【符号の説明】
A 取付け部材 B 押え部材 P 配管類 Q 配管軸線 1a 受け面 6 被係合部 7 係止部 8 押圧部 9 締付け部材 10 保護部材 10A 溝 10B 突条

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配管用取付け部材(A)に形成された被
    係合部(6)に対して係脱自在な係止部(7)を一端側
    に備えた一対の押え部材(B)の各々に、配管類(P)
    を前記取付け部材(A)の受け面(1a)側に押圧可能
    な押圧部(8)を形成するとともに、前記取付け部材
    (A)の被係合部(6)に係合された両押え部材(B)
    の他端部を互いに近接側に締付け操作することにより、
    当該両押え部材(B)の押圧部(8)と前記取付け部材
    (A)の受け面(1a)との間で配管類(P)を締付け
    固定する締付け部材(9)を、前記両押え部材(B)の
    他端部に亘って設けてある配管類用締付け固定具であっ
    て、 前記両押え部材(B)の押圧部(8)の各々に軟質樹脂
    製の筒状又はほぼ筒状の保護部材(10)を表裏反転差
    し替え自在に装着するとともに、前記各保護部材(1
    0)の表面側の肉厚と裏面側の肉厚とを異ならせて構成
    してある配管類用締付け固定具。
  2. 【請求項2】 前記保護部材(10)の少なくとも配管
    類(P)と接触する面には、配管軸線(Q)方向に対し
    てほぼ直交する方向に沿う複数の溝(10A)又は突条
    (10B)が形成されている請求項1記載の配管類用締
    付け固定具。
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