JP2907830B2 - 超電導デバイス及びその製造方法 - Google Patents

超電導デバイス及びその製造方法

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  • Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は液体窒素温度あるいはそれ以上の温度で動作
する弱結合型の超電導デバイスに係り、特に製造上の特
定ばらつきを小さくすることができ、しかも動作が安定
な高温動作型の超電導デバイスに関する。
[従来の技術] 従来高温動作型の超電導弱結合デバイスの材料として
はNb3Ge等の材料が使用されていた。この技術について
は口ガラ等(H.Rogalle et al)がアイ・イー・イー・
イー,トランザクション オン マグネチックス,エム
シー ジー 15,536(1985年)(IEEE Trans.MAG−1
5,536(1985))のおいて論じている。
また従来、複数の超電導性を示す電極を半導体あるい
は常電導体を介して結合させた超電導デバイスについて
は、ドバー等(R.B.van Dover et al)が、ジャーナル
・オブ・アプライド・フィジックス、vol.52,第7327
頁、1981年(J.Appl.Phys.,vol.52,p.7327,1981)にお
いて論じている。また上記超電導デバイスに、電界効果
によって超電導性を示す電極間の結合を変化させる手段
を加えた三端子型の超電導デバイスについては、クラー
ク等(T.D.Clark et al)がジャーナル・オブ・アプラ
イド・フィジックス,vol.5,第2736頁,1980年(J.Appl.P
hys.,vol.5,p.2736,1980)において論じている。
[発明が解決しようとする課題] 上記の従来技術の超電導デバイスにおいては、それを
構成している超電導材料の超電導臨界温度(Tc)が約23
K程度であるため、これより高い温度で使用することは
原理上不可能である。
上記の従来技術においては、超電導電極と、半導体あ
るいは常電導体とは、それぞれ別々の元素の組合せから
成る材料で構成されている。従って、超電導デバイスは
半導体あるいは常電導体の表面上にこれとは異なる材料
が超電導体が重ねて形成された構造となる。このとき、
超電導体の特性は半導体等の表面状態に敏感に反応する
ため、このような構造のデバイスは、その特性が変化し
易く、この種の超電導デバイスを再現性よくすることが
困難であった。また超電導体の超電導転移温度(Tc)も
高々10〜20K程度であり、このことはデバイスの特性が
デバイスの温度変化によって不安定になり易いことを意
味している。
また、従来の超電導デバイスは、主として液体ヘリウ
ム温度で動作することから、その温度までの冷却には液
体ヘリウムへの浸漬又はヘリウム・ガスによる冷却とい
う方法が用いられていた。しかしながら、液体ヘリウム
は非常に高価であり、冷却剤として経済的でなく、室温
に比べて極低温であるため、その取扱い自体が難しいと
いった問題を有していた。
この液体ヘリウムの問題は、そのまま超電導デバイス
自身の経済性及び取扱いといった問題に結びついてい
た。
本発明の第1の目的は、温度変化に対する動作が安定
で、かつ、液体窒素温度以上の高温で動作可能な超電導
デバイスを提供することにある。
本発明の第2の目的は、経済性に優れ、かつ、その取
扱いが容易な超電導デバイスを提供することにある。
本発明の第3の目的は、容易に製造でき、かつ、特性
の均一な超電導デバイスを提供することにある。
[課題を解決するための手段] 上記第1及び第2の目的は、超電導デバイスを構成す
る超電導体を、Ba,Sr,Ca,Mg,Raの群より選ばれた少なく
とも1つの元素とLa,Y,Ce,Sc,Sm,Eu,Er,Gd,Ho,Yb,Nd,P
r,Lu,Tbの群のより選ばれた少なくとも1つの元素と、C
uと、Oとをそれぞれ含むK2NiF4型結晶構造あるいはペ
ロブスカイト型結晶構造の酸化物超電導材料で構成する
ことによって達成される。
上記第3の目的は、超電導体と接して設けられる半導
体あるいは常電導体を、上記超伝導材料と同じ材料であ
って組成の異なるもので構成することによって達成され
る。
[作用] すなわち、超電導電極Y Ba2Cu3O7-x,Ba2xLa2(1-x)CuO
4(1-y)あるいはSr2xLa2(1-x)CuO4(1-y)なる組成の材料
を用い、さらに半導体又は常電導体にY,Ba,Cu;Ba,La,Cu
又はSr,La,Cuを含む酸化物材料を使用し、しかも超電導
電極となる領域と、半導体もしくは常電導体となる領域
を、あらかじめ組成を変えて形成しておくか、あるいは
この材料への元素の拡散あるいは注入によって後で組成
を変えて形成する。これは、Y Ba2Cu3O7-x,Ba2xLa
2(1-x)CuO4(1-y)あるいはSr2xLa2(1-x)CuO4(1-y)なる組
成を持つ酸化物材料の電気的な性質がxの値に依存する
ためである。
また、半導体又は常電導体となる領域の材料の超電導
転移温度を超伝導デバイスの動作温度(例えば4.2Kある
いは77K、もしくはそれよりも高い温度)より小さくな
るごとくにxの値を選んで使用するか、もしくは超電導
体を構成する元素以外に第5の元素を導入することによ
っても、本発明の超伝導デバイスを実現できる。
Ba2xLa2(1-x)CuO4(1-y)又はSr2xLa2(1-x)CuO4(1-y)
組成をもつ材料は、xが0.05のとき約35Kの超電導臨界
温度を示す。このために、あらかじめx=0.05から外れ
た組成の材料を形成し、これを常電導体又は半導体とし
てその上に連続してxが約0.05の高い超電導臨界温度を
有する超電導体層を形成すれば、理想的な超電導体と常
電導体又は半導体との界面を得ることができ、この超電
導体層を加工して得ることのできる超電導弱結合を含ん
だ超電導デバイスの特性は極めて均一で再現性のあるも
のとすることができる。また、ここに述べた超電導デバ
イスに絶縁された電界効果用のゲート電極を付加して、
電界効果型の超電導トランジスタを構成する場合には、
超電導体層と、常電導体層(あるいは半導体層)とがほ
ぼ同じ酸化速度を有するので、試料全体を酸化してゲー
ト絶縁膜を形成することができる。これは従来のNbある
いはPb合金等を超電導電極に用いたデバイスにおいて
は、これら超電導電極の材料の方が半導体材料に比べて
酸化され易かったことに比べると、デバイスの製造を容
易にする大きな利点であることがわかる。
さらに、前述の通り超電導デバイス構成する材料にY
Ba2Cu3O7-x,Ba2xLa2(1-x)CuO4(1-y)あるいはSr2xLa
2(1-x)CuO4(1-y)を用いれば、超電導体、および、半導
体又は常電導体の部分を元素の拡散あるいは注入によっ
て形成することができるが、この場合にも、超電導体部
分と半導体又は常電導体の部分の界面は大気にさらされ
ることなく形成できるので汚染等が生じることもなく、
これによって形成した超電導デバイスは、特性が均一で
再現性に優れているばかりでなく、デバイスの表面が平
坦化されているので、電界効果制御用の絶縁ゲートを導
入することも、ゲート部に段差が無くなるためにその製
造を容易に行なえる。
また、超電導体部分の超電導転移温度が高くなるの
で、これによってデバイスの動作する温度のわずかな変
化に対する特性変化は無視できるほどに小さくなり、デ
バイスの動作を安定なものにすることができる。このよ
うに、本発明によれば、製造が容易でしかも動作の安定
な超電導デバイスを実現することができる。
上記の材料のLaに代えてY,Sc,Sm,Eu,Gd,Ho,Yb,Nd,Pr,
Lu,Tbを用いたもの、あるいはBa及びSrに代えてCa,Mg,R
aを用いたものであっても同様の効果を得ることができ
本発明の目的を十分に達成することができる。
さらに、弱結合型の超電導デバイスを安定に製造する
ためには、弱結合部の加工が容易である必要がある。超
電導体−常電導体−超電導体の順に積層した弱結合素子
は製造は容易であるがデバイスの静電容量が大きくなる
ために、用途が限定され特にアナログ高周波デバイスへ
の応用には適さない。このため対向電極型のデバイス構
造が用いられるが、この際には2つの超電導体の間の長
さ、即ち加工寸法dは1μm以下でなければならず、そ
の精度はばらつきを1%以下に保つことがデバイス特性
を向上させ、その均一性を得るためには不可欠の技術で
ある。ところでこの加工寸法dは、デバイスの動作を最
適に保つために、デバイスの使用温度とともに変える必
要がある。従来技術においては、デバイスの使用温度は
ほとんど例外なく液体ヘリウム温度4.2Kかあるいは2〜
6K程度の範囲にあったためこれらを使用温度と考え、加
工寸法dを最適化すればよかった。
ところが、本発明の超電導デバイスを例えば77Kで使
用する場合には、ξnを常電導体のコヒーレンス長さと
して、加工寸法dの上記をコヒーレンス長さξnの3〜
10倍程度に選ぶとすれば である。上式において、Tc′は常伝導部分又は半導体部
分に用いた材料の超電導転移温度、Tはデバイスの使用
温度である。従来技術において、常伝導部分には超電導
転移温度がOKと見なせるAuやCuなどの材料、Si,InAsな
どの半導体材料、または超電導転移温度が液体ヘリウム
温度である4.2Kよりも低い材料を使用していた。従っ
て、この場合には(2)式は次のようになる。
Tが4.2K以下の場合にはこのことはそれほど問題にな
らないが、Tが77Kになると、ξnは4.2Kの場合に比べ
て4分の1以下となり、この場合には(1)式に従って
寸法dをやはり4分の1以下にする必要がある。そのた
め加工精度も従来の4倍以上に向上させる必要がある。
従って同じ加工精度を採用した場合には、デバイスの寸
法ばらつきは4倍以上となり、これに伴う特性ばらつき
が77Kで動作させた場合に著しくなり、デバイスの製造
上の歩留りが低下する。この問題を解決するためには、
常電導体部分又は半導体部分に従来技術よりもTc′の高
い材料を使用することが必要である。この場合に重要な
のは(2)式からTとTc′の比であるT/Tc′であって、
従来と同等の加工技術を用いて上記の特性ばらつきを一
定に保つかあるいはむしろ小さくするためには、コヒレ
ーレンス長さξnを一定値かむしろ大きくすれば良く
(2)式から を満足するごとくに選んでおけば良い。例えばデバイス
の動作温度Tが77Kの場合にはTc′は68K以上であること
が望ましい。この下限となるTc′の値は、微細加工の精
度によって左右される。しかし、加工の精度を高めたと
しても、その下限は超電導体のコヒーレンス長さがひと
つの目安となる。この値を目安にすると、dは少なくと
もこの値の5倍は必要であり となり、Tが300KのときにはTc′は102K以上であれば良
い。
以上の説明から明らかなように77K以上の高い温度で
超電導弱霧合素子を動作させるためにはTc′が(4)式
又は(5)式を満足する必要がある。例えば77Kでデバ
イスを動作させるためにはTc′が有限の値を持つことが
必要であり、望ましくは68K以上であれば良い。一般的
には(5)式を満足することが必要である。従来技術に
おいては、このような高温動作については考慮されてい
ない。コヒーレンス長さξnを大きくする方法として
は、この他に材料のフェルミ速度vF、又は、キャリアの
平均自由行程lnを大きくする方法があるが、これだけで
はTが300Kの場合に特性のそろったデバイスを製造する
ことは困難であり、(4)式及び(5)式の条件を満足
することはできない。しかしながら、本発明によれば、
(4),(5)式の条件を同時に満足することができ
る。また、特にξnが に従って温度の増加とともに減少することにより、高度
の微細加工が必要となり、デバイスの特性ばらつきが大
きくなるという問題は、本発明によって容易に解決でき
る。
[実施例] 以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
第1図は本発明の第1の実施例による超電導デバイス
の一部分を示す図である。サファイアより成る基板1上
に、スパッタリング法によって厚さ約100nmのBa2xLa
2(1-x)CuO4(1-y)(x=0.5)の組成を有する常電導体層
又は半導体層2を形成する。この常電導体層半導体層
は、平坦な基板1上に形成され、膜厚が一定である。基
板1には単結晶材料、例えば(100)方位のSrTiO3を用
いても良い。スパッタリング用のターゲット材料として
は、Ba,La,Cuの酸化物を粉砕し混合して、プレスで円板
状に整形したものを使用する。スパッタリング時にはAr
とO2の混合ガスを使用するが、この際の酸素分圧を変更
することによってyの値を変えることができる。続いて
真空を破らずに、やはりスパッタリング法により、Ba2x
La2(1-x)CuO4(1-y)(x=0.05)の超電導体層3を形成
する。この表面にホトレジストによるパターンを形成
し、これをマスクにしてArイオンによるスパッタエッチ
ングを行い超電導層3の一部を取り除き、対向する2つ
の超電導電極とする。故に、2つの超伝導電極間には、
その一部を取り除かれた空間を有する。以上によって超
伝導体−常電導体(半導体)−超電導体の構造を有する
ダイオード形の超電導デバイスを得ることができる。こ
の場合、常電導体層2と超電導体層3の間の界面は、両
層を連続的に形成したために、汚染等が無く理想的な状
態を保って形成できる。このため特性の均一性,再現性
に優れ、しかも超電導臨界温度の高い材料を超電導層に
使用したので、動作が安定になるという効果がある。
次に、本発明の第2の実施例を第2図を用いて説明す
る。第1図の超電導デバイスの表面を純酸素中で加熱酸
化し、厚さ20〜80nmの絶縁膜4を形成する。続いて厚さ
約3000nmのAl蒸着膜より成るゲート電極2つの超伝導電
極3の間に形成する。このゲート電極は、2つの超伝導
電極間を流れる電流制御する。これによって、三端子か
らなるトランジスタ形の超電導デバイスを実現すること
ができる。第2図に示した本実施例は、ゲート電極を有
する電界効果型の超電導デバイスに関するものである。
この場合も第1図のものと同様に常電導層2と超電導層
3とが、同一の元素から構成されているので、ほぼ同じ
酸化膜の成長速度を有する。従って、酸化膜4の膜厚一
定の超伝導デバイスを容易に実現することが可能とな
る。
本発明の第3の実施例を第3図を用いて説明する。第
1図及び第2図の実施例においては、常電導層2と超電
導層3とは、わずかに材料の組成を変えて別々に形成し
ていたが、これと同じ構造は、まず常電導層2のあるい
は超電導層3の一方のみを形成しておいて、この材料を
構成する元素の拡散あるいは注入を用いて他方の形成す
ることによっても実現できる。即ち、本実施例は常電導
層2をあらかじめ形成、後でその組成を変える場合に相
当する。第3図(a)においては、サファイアより成る
基板1上にBa2xLa2(1-x)CuO4(1-y)(x=0.05,y>0)
なる組成の厚さ約200nmの常電導層2をスパッタリング
法によって形成する。続いて、蒸着法によって形成した
厚さ約250nmのSiOより成る絶縁膜6をマスクとして、酸
素イオンを注入し、y=0なる超電導層3を形成する。
その後、絶縁膜6を除去すれば、第3図(b)に示した
るごとく、第1図と同じ構成のダイオード形の超電導デ
バイスを実現することができる。このデバイスの表面に
厚さ約20〜80nmのSiO2より成る絶縁膜4をスパッタリン
グ法によって形成し、最後に厚さ約300nmのAl蒸着膜よ
り成るゲート電極5を2つの超伝導層3間の絶縁膜4上
に形成すれば、第3図(c)に示すように、やはり第2
図と同じ構成の超電導デバイス、即ち、電界効果型の超
電導トランジスタを得ることができる。
本発明の第4の実施例を第4図を用いて説明する。本
実施例は第3図の第3の実施例があらかじめ常電導層2
を形成し、後でその組成を変え超伝導層3を形成したの
に対し、予じめ超電導層3を形成しておいて、そこの原
子の拡散あるいは注入を行って、常電導層2を形成する
ものである。ファイアより成る基板1上にBa2xLa2(1-x)
CuO4(1-y)(x=0.05,y>0)なる組成の常電導層2
と、y=0の超電導層3をそれぞれ約100nmの厚さに形
成したのち、第3図(a)と同じSiO2より成る絶縁膜6
をマスクとしてBaイオンを注入し、常電導層7を形成す
る(第4図(a))。絶縁膜6を除去することによっ
て、第3図(b)と同じ構成のダイオード形の超伝導デ
バイスを得ることができる。また第4図(c)のように
酸化膜4とゲート電極5を加えることによって、第3図
(c)と同じ構造の電界効果型の超電導デバイスを得る
ことができる。
次に、本発明の第5の実施例を第5図を用いて説明す
る。本実施例は本発明のダイオード形の超電導デバイス
51,52を用いた磁束計である。2つの超電導デバイス51,
52はそれぞれ接続され、閉ループを構成する。この閉ル
ープには電源端子53から電力が供給される。閉ループの
検出信号は出力端54から出力される。検出コイル56は被
測定磁束を検出する。検出コイル56には結合コイル7が
接続され、被測定磁束に応じた磁束を閉ループ内に供給
する。本磁束計に含まれる超電導体部分、すなわち電源
端子53、及び出力端子54への配線、並びに検出コイル5
6、結合コイル57、またこれら両コイル56,57間の配線に
は、全てBa2xLa2(1-x)CuO4(1-y)(x=0.05)の組成を
有する超電導体の薄膜によって構成する。この結果、こ
の磁束計の検出コイルは35Kまでの温度で動作するとと
もに、磁束計全体としても、温度ゆらぎによる特性の変
動が小さくなり、安定な動作を実現することができる。
本発明の第6の実施例を第6図を用いて説明する。数
wt.%から約18wt.%のLaを含んだCu合金を真空中で焼結
して液体化処理したのち、それを圧延もしくは線引によ
り所望の線材61を作った。この表面に酢酸アルミに溶し
たBa(もしくはSr)の炭酸塩又は酢酸塩粉末を数μmの
厚さにスプレー塗布して十分乾燥させたのち、減圧雰囲
気中で900℃において約6時間の熱処理をゆっくりと行
なう。続いてこの表面を希酢酸で洗って、該Cu合金の表
面にK2NiF4構造の結晶構造を有する(La1-xBax2CuO
4(1-y)もしくは((La2(1-x)Sr2xCuO4)より成る超電導
層62を形成する。該超電導層62の超電導臨界温度は20〜
30Kである。
このようにして構成した線状の超電導材料は、本発明
の第5図の実施例に示した検出コイル56として使用でき
る。また、このような構成により、線材を製造すること
により、連続的な高臨界温度超電導線材が形成できるの
で、本線材を超電導マグネットや送電線などに使用でき
る。
本実施例は、線材状のCu−La合金を使用したが薄膜状
のCu−La合金を使用すれば、その表面に超渉導層を形成
すれば、これを加工することによって、第1図に示した
第1の実施例の構成を容易に実現できることは言うまで
もない。
次に第7図を用いて本発明の第7の実施例を説明す
る。SiO2あるいはAl2I3等の絶縁物基板71上に、まずLa
を真空蒸着し、次いでCuを真空蒸着して、全体で約300n
mになるようにLa−Cuの2層膜72で被った。このときCu/
Laとの厚さの比が約10/64以上になるようにした。この
表面に酢酸アルミに溶かしたBaCO3あるいはSrCO3粉末を
スプレー塗布して乾燥させたのち、減圧雰囲気で900
℃、1時間の加熱をゆっくりと行った後、表面を希酢酸
で洗浄すれば、表面にK2NiF4結晶構造のBa2xLa2(1-x)Cu
O4(1-y)あるいはSr2xLa2(1-x)CuO4(1-y)の超電導層73を
形成できる。この超電導層73の超電導臨界温度は、20〜
30Kと高く、これを加工することにより、容易に第1図
に示した第1の実施例の構成を実現できる。さらに絶縁
膜及びゲート電極を形成すれば、容易に第2図に示した
構成を有する超電導デバイスを実現できることは明らか
である。
さらに、あらかじめLa−Cuの2層膜72をパターン加工
しておけばその部分でけにK2NiF4構造を有する超電導体
を形成することができ、高臨界温度の超電導配線や回路
を容易に形成できる。
以上の実施例で用いた超電導体においては、Laにかえ
てY,Sc,Sm,Eu,Er,Gd,Ho,Yb,Nd,Pr,Lu,Tbを用いてもよく
Ba,SrにかえてCa,Mg,Ra,を用いても本発明の目的を達す
ることができる。
次に第8図を用いて本発明の第8の実施例を説明す
る。サファイアより成る基板81上に、スパッタリング法
により厚さ約100nmのBa2xLa2(1-x)CuO4(1-y)(x=0.0
5)より成る常伝導用薄膜82を形成する。形成方法は本
発明の第1図の本発明において説明したのと同様の方法
でよい。この常電導電薄膜82の超電導転移温度Tc′は39
Kである。次にやはりスパッタリング法によって厚さ約2
00nmのY Ba2Cu3O7-xなる組成の超電導薄膜83を形成す
る。この超電導薄膜83の超電導転移温度Tcは94Kであ
る。この表面にホトレジストによるパターンを形成し、
これをマスクにしてArイオンによるスパッタエッチング
を行い、超電導薄膜83を加工して対向する2つの超電導
電極とする。以上によって超電導体−常伝導体(第2の
超電導体)−超電導体の構造を有することができた。本
実施例においては、常伝導体として働く第2の超電導体
の超電導転移温度Tc′は39Kとしたが(5)式を満足す
る範囲でより低い値であってもかまわないことは言うま
でもないことである。また超電導薄膜83の組成はこれに
限定されるものではなく、構成元素についてもBaにかえ
て,Sr,Ca,Mg,Raを用いても良く、YにかえてLa,Se,Sm,E
u,Gd,Ho,Yb,Nd,Pr,Lu,Tbの元素の群から選んだ1つか又
は2つ以上の元素を用いても良いことは言うまでもな
い。以下その例を表1に示す。
[発明の効果] 本発明によれば、超電導体と常電導体もしくは半導体
の界面を清浄にしてデバイスを製造でき、しかも超電導
体の超電導臨界温度が高く、また常電導体部分と半導体
部分とを平坦に形成できるので、特性が安定で再現性が
良く製造でき、しかも温度のゆらぎに対しても動作が安
定な超電導デバイスを実現することができるという効果
がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の第1の実施例による超電導デバイス一
部分を示す断面図、第2図は本発明の第2図の実施例に
よる超電導デバイスの一部分を示す断面図、第3図は本
発明の第3の実施例による超電導デバイスの一部分を示
す断面図、第4図は本発明の第4の実施例による超電導
デバイスの一部分を示す断面図、第5図は本発明の第5
の実施例による本発明の超電導デバイスを用いた磁束計
の構成図、第6図は本発明の第6の実施例による超電導
デバイスの一部分を示す断面図、第7図は本発明の第7
の実施例による超電導デバイスの一部分を示す断面図、
第8図は本発明の第8の実施例による超電導デバイスの
一部分を示す断面図である。 1……基板、2……常電導体層又は半導体層、 3……超電導体層、4……絶縁膜、 5……ゲート電極、6……絶縁膜、 7……常電導層、51……超電導デバイス、 52……超電導デバイス、53……電源端子、 54……出力端子、55……接地、 56……検出コイル、57……結合コイル、 58……磁束、61……線材、 62……超電導層、71……絶縁物基板、 72……2層膜、73……超電導層、 81……基板、82……常電導用薄膜、 83……超電導薄膜、
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−206279(JP,A) 特開 昭57−27079(JP,A) 特開 昭62−12212(JP,A) IEEE TRANSACTION ON ELECTRON DEVICE S,Vol.ED−28,No.11,NO VENBER 1981,pp.1394−1397 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 39/00 H01L 39/02 H01L 39/24 H01L 39/22

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板と、上記基板上に直接形成された半導
    体又は常電導体と、上記半導体又は常電導体を介して超
    電導弱結合が形成されるごとくに上記半導体又は常電導
    体に積層して設けられた少なくとも2つの超電導電極
    と、少なくとも上記半導体又は常電導体に接して形成さ
    れた絶縁膜を介して設けられた制御手段とを有し、上記
    超電導電極と上記半導体又は常電導体とは、同じ構成元
    素および同じ結晶構造からなり、ただし組成比が異なる
    材料より形成されることを特徴とする超電導デバイス。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第1項において、上記超電
    導体、半導体、常電導体は、Ba,Sr,Ca,Mg及びRaの元素
    の群より選ばれた少なくとも1つの元素と、La,Y,Ce,S
    c,Sm,Eu,Er,Gd,Ho,Yb,Nd,Pr,Lu及びTbの元素の群より選
    ばれた少なくとも1つの元素と、Cu及びOとをそれぞれ
    含むペロブスカイト型又はK2NiF4型の結晶構造からなる
    酸化物より構成されることを特徴とする超電導デバイ
    ス。
  3. 【請求項3】特許詰求の範囲第1項において、上記半導
    体、上記常電導体の超電導転移温度をTc′、デバイスの
    使用温度をTとした場合に、次式 T−1/2[1+2/ln(T/Tc′)]1/2≧1/5(4.2)1/2 を満足するとともに、Tが液体窒素温度の場合はTc′が
    68K以上、Tが室温の場合はTc′が102K以上であること
    を特徴とする超電導デバイス。
  4. 【請求項4】(1)基板上に常電導体層又は半導休層を
    形成する工程、 (2)上記常電導体層又は半導体層上に上記常電導体層
    又は半導体層とは構成元素が同一で組成比の異なる超電
    導体層を積層して形成する工程、 (3)上記超電導体層上にホトレジストによるパターン
    を形成する工程、 (4)上記パターンをマスクとし、スパッタエッチング
    を用い、上記超電導体層の一部を取り除くことにより対
    向する2つの超電導電極を形成する工程、 (5)上記(4)の表面を加熱酸化することにより絶縁
    膜を形成する工程、 (6)上記絶縁膜上の2つの超電導電極の間にゲート電
    極を形成する工程、を有することを特徴とする超電導デ
    バイスの製造方法。
  5. 【請求項5】(1)基板上に常電導体層又は半導体層を
    形成する工程、 (2)上記常電導体層又は半導体層上に超電導体層を積
    層して形成する工程、 (3)上記超電導体層上に絶縁膜をマスクとしてイオン
    を注入することにより、常電導体層を形成する工程、 (4)上記(3)の表面に絶縁膜を形成し、上記絶縁膜
    上にゲート電極を形成する工程、を有することを特徴と
    する超電導デバイスの製造方法。
  6. 【請求項6】常電導体よりなる線材の表面に超電導体層
    を有し、上記常電導体と上記超電導体層は同じ構成元素
    および同じ結晶構造からなり、ただし組成比が異なる材
    料より形成されることを特徴とする超電導線材。
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