JP2907164B2 - 数値制御装置 - Google Patents

数値制御装置

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JP2907164B2
JP2907164B2 JP8327528A JP32752896A JP2907164B2 JP 2907164 B2 JP2907164 B2 JP 2907164B2 JP 8327528 A JP8327528 A JP 8327528A JP 32752896 A JP32752896 A JP 32752896A JP 2907164 B2 JP2907164 B2 JP 2907164B2
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backlash
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廉 塚田
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Nippon Electric Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、NC工作機械やロ
ボットなどのモータ応用システムに用いる数値制御装置
に関し、特に運動方向反転位置からの変位に応じて最適
なバックラッシ補正を行う数値制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、サーボモータを利用したNC工作
機械、ロボット等の制御装置に、マイクロコンピュータ
を用いたデジタルサーボ制御装置が広く用いられてい
る。NC工作機械等(例えばワイヤ放電加工機等)で
は、サーボモータと駆動力伝達機構で構成した軸を複数
組合わせ、連動することで所望の動作例えば2次元の円
運動等の動作を行っており、動作の制御には数値制御装
置が用いられる。
【0003】数値制御装置は、任意の動作を所定の動作
プログラムで入力し、各軸毎の動作に変換し、各軸毎に
パルス単位で指令して、モータの位置、速度、電流等の
フィードバック制御等や、バックラッシ補正等の各種補
正を行い、機械の所望の動作を実現する。
【0004】モータの駆動は、数値制御装置のモータド
ライブアンプによって行われる。駆動力伝達機構は、モ
ータの回転運動を直線運動に変換するボールネジ、カッ
プリング、ギヤトレイン、すべり案内等の伝達機構で、
加工テーブル、加工工具等を移動するのに用いられる。
【0005】加工テーブルの位置を制御する場合に、モ
ータの回転位置で制御するセミクローズドループ方式で
は、例えば各軸の運動方向反転時に、モータの反転動作
が駆動力伝達機構において加工テーブルに伝達されない
ために、ロストモーションが生ずることがある。ロスト
モーションの一種であるバックラッシは、このモータの
回転量とテーブルの移動量のズレを示す。ロストモーシ
ョンは、機械の所望の動作に対しての誤差となるため、
従来より各種の補正法が提案されている。
【0006】図6は、円運動におけるバックラッシ補正
前の加工テーブルの軌跡Sとバックラッシ補正後の加工
テーブルの軌跡S’を、指令値との誤差を拡大して表し
た図である。
【0007】一般に、バックラッシ補正は、予め測定し
たバックラッシ量を送り方向反転時に瞬間的に加えて行
っており、図6の(a)に示すステップ状に変化する理
想的なバックラッシAに対しては、図6の(b)のよう
に効果がある。
【0008】ところが、機械によっては、図6の(c)
のようにバックラッシBがステップ状に変化せず徐々に
増加する漸増型バックラッシ特性を有する。この場合、
バックラッシ補正が適正に作用せず、図6の(d)のよ
うに喰込み現象が生ずる場合がある。
【0009】このため、特に高い位置精度を要求される
機械では、この喰込み現象を生じない、機械の位置をフ
ィードバックするクローズドループ方式が用いられるこ
とがあるが、機械の位置を検出するためのセンサが必要
で高コストとなる問題があった。
【0010】そこで、従来のセミクローズド方式の数値
制御装置では、例えば、特開平3−208542号公報
に示されるように、円弧補間時に生ずるバックラッシ量
を複数の位置間隔で分割したバックラッシ補正データ
を、指令速度と分割した位置に応じたパルスレートで算
出し速度制御系に供給する方式が用いられている。
【0011】図7は、上記公報に示された数値制御装置
の一例を示すブロック図である。指令データ82からデ
ータ解析部84によりモータ7の駆動信号が作成され
る。この駆動信号は速度制御部86を介してモータ7に
供給され、ボールネジ92を回転させ移動台90を指令
位置まで移動させる。速度制御部86は、エンコーダ1
0を用いて一般的なフィードバック制御を行っている。
補正データ部94a〜94nには、図9に示されるよう
な円弧補間時に生ずるバックラッシ量を複数の位置間隔
で分割したバックラッシ補正データと、この分割した位
置に応じて、速度制御部に供給する補正量の送り速度に
応じたパルスレートを算出するためのパルスレートデー
タとが、バックラッシ補正量データとして蓄積される。
バックラッシ補正量算出部96は指令速度に対応して補
正データ部から補正データを読み出し、指令速度と分割
位置に応じたパルスレートデータからバックラッシ補正
量を算出する。
【0012】図8は、この補正データ部94a〜94n
の蓄積された補正データの内容を示す図である。F1〜
Fmは送り速度、D0〜Dnは分割位置である。バック
ラッシ補正量データは、BL0〜BLnで示されるバッ
クラッシ補正データと、L0〜Lmで示されるパルスレ
ートデータである。
【0013】この方式によれば、前記喰込み現象をかな
り改善することが可能であるが、次の点で問題となる。
【0014】すなわち、円弧補間時の漸増型バックラッ
シを補正対象とするため、複雑な形状の加工では補正が
適正に作用しないことがあるという点である。
【0015】図10は、バックラッシが徐々に増加する
場合の移動量に対するバックラッシ量の変化を示す図で
ある。図10において、101はバックラッシの存在す
る方向に反転した点を原点にとり、原点からバックラッ
シ方向に移動し続けた場合のバックラッシ量の変化であ
る。102は、101によりx1移動後に再反転して移
動し続けた場合のバックラッシ量の変化である。103
は、102により原点に戻り、原点で再々反転して移動
し続けた場合のバックラッシ量の変化である。
【0016】バックラッシ量が変化する範囲内で移動方
向を反転した場合、102および103で示されるよう
に、バックラッシ量の移動量あたりの変化率自体が10
1の場合から変化する。すなわち、バックラッシ量はヒ
ステリシスを有し、移動の方向によりバックラッシ量が
異なる。
【0017】このようなバックラッシ量に対しては、上
記公報記載の手法によれば、補正量を円弧補間時の特定
のパルスレートで補正データを算出するため、補正に誤
差が生ずることになる。また、補正状態を設定するデー
タが図8に示されるように非常に多く、調整が困難であ
り現実的ではない。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、上記従来技
術の第1の問題点は、円弧補間時に生ずるバックラッシ
量を複数の位置間隔で分割したバックラッシ補正データ
を、指令速度と分割した位置に応じたパルスレートで算
出し速度制御系に供給する方式であるため、円弧補間以
外の複雑な動作を行う場合、漸増型バックラッシを適正
に補正できないことである。その理由は、漸増型バック
ラッシが変化する範囲内で、反転動作を行った場合の漸
増型バックラッシの特性変化について考慮されていない
からである。
【0019】第2の問題点は、円弧補間時に生ずるバッ
クラッシ量を複数の位置間隔で分割したバックラッシ補
正データを、指令速度と分割した位置に応じたパルスレ
ートで算出し速度制御系に供給するにしても、調整が困
難なことである。その理由は、図8からのわかるように
設定するパラメータが非常に多いからである。
【0020】本発明は以上の点にかんがみて成されたも
ので、その目的は、漸増型バックラッシを有する機械
に、高精度な位置制御が可能な数値制御装置を提供する
ことにある。
【0021】本発明の他の目的は、従来高い位置精度を
要求される機械で用いられていた高価格な機械位置セン
サを用いずに、高精度な位置制御が可能な数値制御装置
を提供することにある。
【0022】本発明の他の目的は、漸増型バックラッシ
の補正の調整を簡単に行える数値制御装置を提供するこ
とにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明の数値制御装置
は、駆動力伝達機構や案内機構等の機械系に生ずる漸増
型バックラッシを、その特性に最適な補正量を算出して
補正を行うことで、高精度な加工を可能とする。
【0024】より具体的には、この漸増型バックラッシ
の特性と同様の特性を持ち、補正目標値を入力し最適な
補正量を算出する変位依存型補正量算出手段(図1の
1)と、このバックラッシの補正目標の最大値である最
大補正量を入力する手段(図1の2)と、位置移動指令
の反転を判定し補正量の切換えと変位カウンタの初期化
を行う指令反転判定手段(図1の3)と、位置移動指令
反転後の指令量から反転後の変位量を計測する変位カウ
ンタ(図1の4)と、位置移動指令および補正量からモ
ータのサーボ制御をするサーボ制御部(図1の6)とを
有する。
【0025】変位依存型補正量算出手段は、変位量を軸
として動作するフィルタ処理によりバックラッシ補正量
を算出している。このフィルタ処理は、漸増型バックラ
ッシ特性と同じ特性(ヒステリシス特性)をもつ補正関
数によるフィルタ演算を行うこと、若しくは、これに相
当する補正処理周期毎に変位量相当の指令パルス回数の
フィルタ処理を行うことで、変位量に応じたバックラッ
シ補正量を算出する。このため、速度および時間の影響
を受けず、円運動のように単純にバックラッシが最大値
に達し切る場合の補正のみならず、バックラッシ量が変
化する範囲内における運動方向反転を伴うような、複雑
な動作でも補正誤差を生じないバックラッシ補正が可能
となり、加工精度を向上できる。
【0026】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施例
を示す数値制御装置のブロック図である。図1の装置に
おいて、1は運動方向反転後の変位に応じて補正量を算
出する変位依存型補正量算出手段、2は反転時に駆動力
伝達機構に生ずるバックラッシ量と等価な補正目標値を
設定する設定手段であり、徐々に増加するバックラッシ
の最大値を補正目標値として設定する。バックラッシの
最大値は事前に測定して設定することができる。3は位
置移動指令の反転を判定する指令反転判定手段、4は指
令反転後の変位量を指令パルス数から計測する変位カウ
ンタ、5は機械の動作プログラムから軸毎の位置移動指
令に変換する動作指令部、6は位置移動指令およびモー
タ7の回転位置、速度、電流等を一般的なフィードバッ
ク制御で制御するサーボ制御部、8は漸増型バックラッ
シ特性を有する駆動力伝達機構部、9は制御目標の機械
(例えばワイヤ放電加工機)、10はエンコーダ、11
は補正周期間の補正量の差分を算出する補正量差分手段
である。
【0027】次に、本発明の第1の実施例の動作につい
て、図1、図2および図4を参照して説明する。
【0028】モータ7と機械1との間でバックラッシが
一方向にのみ存在する状態を基準点として、基準点から
バックラッシを生ずる方向に移動する場合を正方向、基
準点からバックラッシを生じない方向に移動する場合を
逆方向とすると、正方向への移動ではモータ7の移動目
標位置は、設定手段2で設定した最大補正量(バックラ
ッシの最大値に等しい)を位置移動指令に加えた位置と
なる。正方向移動後に逆方向に移動する場合は、モータ
7の移動目標位置は、正方向移動時の補正量を取り除い
た位置で、反転後の位置移動指令から最大補正量を減じ
た位置となる。
【0029】指令反転判定手段3は位置移動指令から指
令方向の反転を判定し、反転時にスイッチ切換え信号3
aを発生するとともに、変位カウンタ4の保持する変位
量をリセットする。変位カウンタ4は、方向反転位置か
らの移動指令パルス数を処理周期毎に積分し変位量に等
価な変位パルス数をもとめる。
【0030】変位依存型補正量算出手段1は、設定手段
2の最大補正量と変位カウンタ4の算出する変位パルス
数とから、変位量に応じた補正量を算出する。
【0031】補正量差分手段11は、変位依存型補正量
算出手段1が算出する補正量から、当該補正周期の補正
量に相当する補正周期間の補正量の差分を算出する。制
御目標である機械9の位置は、サーボ制御部6に位置移
動指令と補正量とをモータ7の目標位置として供給し、
エンコーダ10によるモータ7の回転位置・速度情報
と、モータ7の電流とを用いて一般的なフィードバック
制御を行うことで、制御している。
【0032】図2を用いて、変位依存型補正量算出手段
1についてより詳しく説明する。図2を参照すると、変
位依存型補正量算出手段1は、補正目標値(最大補正
量)と変位パルス数と補正量を入力して正方向移動時の
補正量を算出する正方向補正量算出手段21と、変位パ
ルス数と補正量を入力して逆方向時の補正量を算出する
逆方向補正量算出手段22と、正方向移動時と逆方向移
動時とで補正量を切換えるスイッチ12とから構成され
ている。
【0033】正方向補正量算出手段21は正方向移動時
の補正量を式(1)により算出し、逆方向補正量算出手
段22は逆方向移動時の補正量を式(2)により算出す
る。
【0034】 εxp = εmax − (εmax − εxn ) × exp-xp/X (1) εxn = εxp × exp-xn/X (2)
【0035】ここで、Xを変位定数と定義する。変位定
数は、時間軸での1次遅れの時定数に相当する性質を変
位軸上で持つ。また、xpは正方向反転後の変位量、xnは
逆方向反転後の変位量、εxp、εxnはそれぞれ xp、xn
での補正量であり、0≦(εxp,εxn)≦εmaxとする。
【0036】図4を参照すると、401は、基準点から
正方向に移動し続けた場合の補正量を示し、式(1)で
εxn=0とした場合である。基準点から正方向にx1移動
した場合の補正量は、式(1)でεxn=0、xp=x1とし
た場合でありεx1となる。
【0037】402は、401により基準点から正方向
にx1移動後、逆方向に再反転して移動し続けた場合の補
正量を示す。x2移動した場合の補正量は、式(2)でε
xp=εx1、xn=x2とした場合である。
【0038】403は、402によりx1の位置からx2移
動して基準点に戻り、基準点で再々反転して、正方向に
x3移動した場合の補正量の変化を示し、式(1)でεxn
=εx2、xp=x3とした場合である。
【0039】401から403は、バックラッシ量の変
化する範囲内の任意の位置で運動方向を反転した場合
に、変位定数によって決まるフィルタ効果で、同一の変
位量に対して異なった値をとり(ヒステリシス特性を有
し)、バックラッシ量に応じた補正量を算出することを
表す。なお、上記「フィルタ効果」とは、一次遅れフィ
ルタの応答特性(但し時間ではなく変位量に依存する)
を実現することを意味する。
【0040】変位軸での1次遅れフィルタの変位定数X
は、通常の時間軸での1次遅れフィルタの時定数の場合
と同様に、バックラッシ量が漸増型バックラッシの最大
値の約63.2%となる点までの反転位置からの変位とな
る。変位定数は、バックラッシ量が変位定数の4倍移動
時で約98%、5倍移動時で約99%であるので、実際の工
作機械で補正を行う場合は、例えば、真円運動評価時の
漸増型バックラッシの最大値発生時までの反転後移動量
の1/5程度として次式(3)により設定する。
【0041】 X = r ( 1 − cosθ )/5 (3)
【0042】ただし、rは真円運動の半径、θは最大値
発生位置の座標軸からの回転角度とする。
【0043】次に、本発明の第2の実施例の動作につい
て、図1、図3および図5を参照して説明する。第2の
実施例は、図1の変位依存型補正量算出手段1の構成
が、第1の実施例とは異なること以外は、第1の実施例
と同じである。
【0044】図3を用いて、変位依存型補正量算出手段
1についてより詳しく説明する。図3を参照すると、変
位依存型補正量算出手段1は、補正処理周期1回につき
複数回の演算を行う変位軸フィルタ30と、変位パルス
数を入力して変位軸フィルタの演算回数を設定するLO
OP回数設定手段34と、補正量の最低値である0を設
定する0補正量設定手段2a、補正目標値を最大補正量
と0補正量とで切換えるスイッチ11とから構成され
る。変位軸フィルタ30はデジタルフィルタであって、
図に示すように、フィルタ演算上の遅延手段32,33
(delay1,delay2)を備えている。
【0045】LOOP処理回数設定手段34は、式
(4)に示されるように、変位カウンタ4の算出する変
位量相当の指令パルス数である変位パルス数Xaから、補
正処理周期毎の移動量相当の指令パルス数δCを算出す
る。ただし、式(4)でδCk は、反転後の第 k周期目
の移動量相当の指令パルス数を意味する。
【0046】 Xa= ΣδCk (4)
【0047】ここでΣはk=0からnまでの和を表す。
具体的には、補正処理周期ごとに処理周期間の変位カウ
ンタの差分を算出し、その差分回数だけフィルタ処理を
行い、反転後の変位量に応じた補正量を算出する。
【0048】式(4)においてδCk は変位軸フィルタ
30のループ回数となるが、補正処理周期あたりの処理
時間にはマイクロコンピュータの処理時間による制限が
あり、ループ回数は制限を受ける可能性がある。例えば
第 k周期でα回分が制限された場合は、補正位置にズレ
が生じないように第 k+1周期で、ループ回数設定手段3
0はループ回数を( (δCk+1) + α )と設定する。
【0049】変位軸フィルタ30は、補正目標値を入力
して、これに対し補正処理周期1回につきフィルタ処理
をδC回繰り返し行い、1補正周期での変位に相当する
補正量を算出する。補正目標値が最大補正量εmaxのと
き、補正量εは式(5)で表され、図5の501で示さ
れる。
【0050】 ε=εmax ( 1 − exp-Xa/X ) (5)
【0051】ただし、式(5)でXは変位定数である。
変位定数は、時間軸での1次遅れの時定数に相当する性
質を変位軸上で持つ。また便宜上、式(5)の特性を変
位軸での1次遅れと呼ぶことにする。
【0052】通常の時間軸でのデジタル1次遅れフィル
タでは、処理周期毎に1回だけフィルタ処理を行う。こ
れに対し、変位軸でのデジタル1次遅れフィルタでは、
処理周期毎に変位パルス回だけフィルタ処理を行うこと
が大きく異なる点である。このことにより、バックラッ
シ補正量を時間に依存させず、変位量によってきめるこ
とができる。変位軸フィルタ30の入力値は補正目標値
であるが、最大補正量と0補正量とを反転時にスイッチ
12によって切換えることで、図5の501に示すよう
に補正量を変位軸での1次遅れで変化させる。このこと
により、バックラッシが変化する範囲内での運動方向反
転では、フィルタ処理の特性上、反転直前の補正量と反
転後の補正目標値との差分に対する変位軸での1次遅れ
で増減する。
【0053】図5で502は、501により基準点から
正方向に変位定数分の移動後、逆方向に再反転して移動
し続けた場合の補正量を示す。503は、502により
基準点に戻り、基準点で再々反転して、正方向に移動し
続けた場合の補正量の変化を示す。501から503
は、バックラッシ量の変化する範囲内の任意の位置で運
動方向を反転した場合に、変位定数によって決まるフィ
ルタ効果で、同一の変位量に対して異なった値をとり
(ヒステリシス特性を有し)、バックラッシ量に応じた
補正量を算出することを表す。第2の実施例において
も、実際の工作機械での補正量の調整は、第1の実施例
の場合と同様である。
【0054】以上、本発明を2つの実施例によって説明
したが、本発明はこの実施例に限定されるものではな
く、例えば、図1の変位カウンタ4を変位依存型補正量
算出手段1に包含させたり、あるいは、図1の補正量差
分手段12をサーボ制御部6に包含させることが可能で
ある。また、図1の変位依存型補正量算出手段1におい
て、補正量算出手段21,22においてそれぞれ用いる
算出式(1)および式(2)は、指数関数の近似関数に
変形すること、例えばテーラー展開により指数演算部を
変形することが可能である。さらに、図3のフィルタ3
0は変形が可能であるが、これらは本発明の主旨に従う
ものであり、これらの変形を本発明の範囲から排除する
ものではない。
【0055】
【発明の効果】第1の効果は、円運動のように単純にバ
ックラッシが最大値に達し切る場合の補正のみならず、
バックラッシ量が変化する範囲内における運動方向反転
を伴うような、複雑な動作でも補正誤差を生じないバッ
クラッシ補正が可能となり、工作機械では加工精度を向
上できることにある。その理由は、漸増型バックラッシ
が変化する範囲内で、反転動作を行った場合の漸増型バ
ックラッシの特性変化に相当する関数演算、若しくは、
バックラッシ特性と同じ特性を有する変位量を軸として
動作するフィルタによる処理を行うことで、変位量に応
じたバックラッシ補正量を算出するからである。
【0056】第2の効果は、漸増型バックラッシの補正
の調整が簡単になることにある。その理由は、本方式で
調整するパラメータが、たとえば補正量の最大値と変位
定数の2つだけであり、どちらも容易に測定できるから
である
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す数値制御装置のブロッ
ク図である。
【図2】変位依存型補正量算出手段の一例の詳細ブロッ
ク図である。
【図3】変位依存型補正量算出手段の別の例の詳細ブロ
ック図である。
【図4】本発明の第1の実施例の補正量を示す図であ
る。
【図5】本発明の第2の実施例の補正量を示す図であ
る。
【図6】円運動時の喰込み現象を示す図である。
【図7】従来例を示す説明図である。
【図8】従来例を示す説明図である。
【図9】従来例を示す説明図である。
【図10】漸増型バックラッシ現象を示す説明図であ
る。
【符号の説明】
1 変位依存型補正量算出手段 2 最大補正量設定手段 2a 0補正量設定手段 3 指令反転判定手段 4 変位カウンタ 5 動作指令部 6 サーボ制御部 7 モータ 8 漸増型バックラッシ特性を示す駆動力伝達機構部 9 機械 10 エンコーダ 11 補正量差分手段 12 スイッチ 21 正方向補正量算出手段 22 逆方向補正量算出手段 30 変位軸フィルタ 31 変位定数除算部 32 delay1 33 delay2 34 LOOP回数設定手段 82 指令データ 84 データ解析部 86 速度制御部 90 移動台 92 ボールねじ 94、94a〜94n 補正データ部 96 バックラッシ補正量算出部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G05B 19/404

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モータとその駆動力を伝達する駆動力伝
    達機構を用いて複数の軸を組合わせて構成した機械の動
    作を各種動作プログラムに基づいて指令するとともに、
    前記モータの回転位置で位置制御を行うセミクローズド
    方式の数値制御装置において、 前記動作プログラムによる位置移動指令に対する前記軸
    の送り方向反転時に駆動力伝達機構に生ずる予め判明し
    ているバックラッシ量の最大値と等価な補正目標値を設
    定する補正目標値設定手段と、 前記位置移動指令の反転を判定する指令反転判定手段
    と、 前記位置移動指令に基づいて前記反転後の変位量を算出
    する変位カウンタと、前記補正目標値設定手段が設定し
    た補正目標値を入力し、バックラッシ量が変化する範囲
    内で移動方向を反転した場合にバックラッシ量の移動量
    あたりの変化率自体が2回反転前の場合から変化する漸
    増型バックラッシの特性変化に相当する関数演算を行う
    ことで前記変位カウンタが算出した反転後の変位量に応
    じた補正量であって変位の方向によってヒステリシス特
    性を有する補正量を算出する変位依存型補正量算出手段
    とを備え、 前記変位依存型補正量算出手段が算出した前記補正量に
    応じて前記位置移動指令を補正することを特徴とする数
    値制御装置。
  2. 【請求項2】 前記変位依存型補正量算出手段は、指数
    関数またはその近似関数で近似される特性を有する請求
    項1に記載の数値制御装置。
  3. 【請求項3】 前記変位依存型補正量算出手段が、関数
    演算をすることで一次遅れの応答特性を実現する請求項
    1に記載の数値制御装置。
  4. 【請求項4】 モータとその駆動力を伝達する駆動力伝
    達機構を用いて複数の軸を組合わせて構成した機械の動
    作を各種動作プログラムに基づいて指令するとともに、
    前記モータの回転位置で位置制御を行うセミクローズド
    方式の数値制御装置において、 前記動作プログラムによる位置移動指令に対する前記軸
    の送り方向反転時に駆動力伝達機構に生ずる予め判明し
    ているバックラッシ量と等価な補正目標値を設定する補
    正目標値設定手段と、 前記位置移動指令の反転を判定する指令反転判定手段
    と、 前記位置移動指令に基づいて前記反転後の変位量を算出
    する変位カウンタと、前記補正目標値設定手段が設定し
    た補正目標値を入力し、前記変位カウンタが算出した反
    転後の変位量に応じた補正量であって変位の方向によっ
    てヒステリシス特性を有する補正量を算出する変位依存
    型補正量算出手段とを備え、 前記変位依存型補正量算出手段が算出した前記補正量に
    応じて前記位置移動指令を補正する数値制御装置におい
    て、 前記変位依存型補正量算出手段は、前記補正目標値を入
    力し、補正処理周期毎に処理周期間の変位カウンタの差
    分を算出して差分回数のフィルタ処理を行い、反転後の
    変位量に応じた補正量を算出する数値制御装置
  5. 【請求項5】 前記補正量の差分を算出する補正量差分
    算出手段を備え、前記補正量の差分を前記位置移動指令
    に加える請求項1ないし4のいずれか1項に記載の数値
    制御装置。
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