JP3578634B2 - 円弧状指令の作成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば、工作機械によって工作物を円、円弧状または非球面状にに加工するのに好適な円弧状指令の作成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
工作機械による工作物の切削または研削において、工作物を円形または円弧形状に加工する場合、直交する制御軸をそれぞれ駆動させて所定の円または円弧の軌跡に工具または工作物の制御点を追従させながら加工を行う。
工作機械の工具または工作物にモータ等の駆動手段の駆動力伝達するためのボールネジやスライダ等の送り機構等の機械系には、一般的にクーロン摩擦が存在する。
このため、円形または円弧形状の加工は、2つの制御軸の運動の合成であることから、たとえば、円の象限が切り替わるとき一方の制御軸は減速しながら静止し、移動方向を反転して再度動き出す動作を行う必要がある。
この制御軸の送り機構においては、減速中には摩擦は動摩擦として作用し、制御軸が停止すると、摩擦は静止摩擦に変化する。移動方向を反転して再度動き出す際には、この静止摩擦を打ち破る力が作用するまで、工具または工作物は移動することができない。
一方の制御軸が停止している間にも、他方の制御軸は移動しているため、送り機構を介した工具または工作物の移動軌跡は、所定の円または円弧の軌跡からずれてしまい、いわゆる象限突起と呼ばれる誤差が発生する。
この象限突起は、一般的には、一方の制御軸の移動方向の反転領域において、制御点の円弧軌跡の半径が所定の円弧軌跡の半径よりも大きくなるので突起と呼んでいるが、逆に、制御点の円弧軌跡の半径が減少する場合もある。
工具または工作物の軌跡に対して象限突起が発生すると、工作物の加工面に傷が発生してしまうという不利益が存在する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来においては、象限突起を抑制するため、たとえば、実際に円形または円弧形状に加工したのち、工作物の形状を測定して象限突起の大きさや幅を測定し、この測定結果に基づいて制御装置における制御指令、たとえば、位置指令を補正していた。
しかしながら、象限突起の大きさや幅を実際に測定することは時間を要する作業であり、また、砥石車のような回転工具による加工においては、工作物形状は工具の形状の包絡面として創成されるために、測定結果と象限突起を補正するための補正量との対応関係が明確でなく、象限突起を補正するための補正量を最適に決定するのが難しかった。また、象限突起は、円弧形状の軌跡の半径や工具の送り速度によって変化するため、円弧形状の軌跡の半径や工具の送り速度に応じて象限突起に関する測定を行って補正量を決定する必要があるが、実際にはこのような補正量の決定は困難である。
また、工作物を加工する形状が各位置において半径の変化する非球面形状である場合には、半径の変化に対応して補正量を決定する必要があるが、各半径位置において最適な補正量を決定するのは非常に困難であった。
【0004】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであって、工作機械によって工作物を円弧形状に加工する場合に発生するいわゆる象限突起を補正する制御指令の作成が容易でかつ補正を最適に調整することができる円弧状指令の作成方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、制御対象を各軸方向に移動させる互いに直交する制御軸と、前記制御対象の位置および速度の検出値に基づいて前記制御対象の位置および速度を制御するサーボ制御手段とを有する工作機械において、
前記制御対象を前記各制御軸の合成運動により所定の円状または円弧状の軌跡に所定の速度で追従させる円弧形状指令の作成方法であって、
前記制御対象を前記軌跡に追従させる各制御軸毎の位置指令を作成するステップと、
前記制御対象を前記位置指令に従って駆動し、移動方向の反転する制御軸における前記制御対象の位置検出値と当該制御軸に対する位置指令との位置偏差を測定するステップと、
前記位置偏差の測定による位置偏差データに基づいて、前記制御軸のうち一方の制御軸の移動方向の反転時に生じる前記制御対象の前記軌跡からの非線形なずれを補正するための所定の指令値で所定の指令幅の矩形状の補正指令パターンを作成し、
前記補正指令パターンによって補正された位置指令に従って前記制御対象を駆動して得られた前記制御対象の位置偏差と前記補正指令パターンとの相関関係に基づいて、前記補正指令パターンの指令値および指令幅を調整し、
前記制御軸の移動方向の反転領域における前記位置偏差データを所定の直線上に沿って位置偏差が変化する直線領域と、前記直線からずれて変化する非直線領域とに分け、前記非直線領域における前記直線からのずれの大きさおよび前記非直線領域の幅に基づいて前記補正指令パターンの指令値および指令幅を決定する補正指令パターンを作成するステップと、
前記補正指令パターンを前記制御軸の位置指令に加算するステップとを有する。
【0006】
本発明では、制御対象を2つの制御軸の合成運動による円弧状の軌跡に追従させる指令を作成するのに、制御対象の位置検出値と制御軸に対する位置指令との位置偏差を測定し、この位置偏差データを判断基準として象限突起を補正するための矩形状の補正指令パターンの指令値および指令幅を決定することから、補正指令パターンの作成が容易となる。
【0009】
前記補正指令パターンを作成するステップは、前記制御軸の移動方向の反転領域における前記位置偏差データを所定の直線上に沿って位置偏差が変化する直線領域と、前記直線からずれて変化する非直線領域とに分け、前記非直線領域における位置偏差データの前記直線からのずれの大きさを前記補正指令パターンの指令値とし、前記非直線領域の幅を前記補正指令パターンの指令幅とする。
【0010】
前記補正指令パターンを作成するステップは、前記位置指令に従って前記制御対象を実際に駆動して位置偏差を測定するステップと、得られた位置偏差データを前記直線領域および非直線領域に分けるステップと、前記補正指令パターンの指令幅を前記非直線領域の幅よりも大きくとって前記補正指令パターンの指令幅を決定するステップと、前記補正指令パターンの指令値を変化させて補正された位置指令に従って前記制御対象を実際に駆動して位置偏差を測定し、この位置偏差データの非直線領域の波形が前記直線に略平行となる補正指令パターンの指令値を最適な指令値とするステップとを有する。
【0011】
前記補正指令パターンの指令幅を変化させ、補正された位置指令に従って前記制御対象を実際に駆動して得られた位置偏差データの直線領域に前記直線からのずれを生じさせない補正指令パターンの指令幅を最適な指令幅とする。
【0012】
前記補正指令パターンを作成するステップは、前記矩形状の補正指令パターンと連続し、指令値が直線的に変化する所定の指令幅の三角形状の補正指令パターンを同時に作成する。
【0013】
最適化された矩形状の補正指令パターンによって補正された位置指令に従って前記制御対象を実際に駆動して得られた位置偏差データにおいて、前記矩形状の補正指令パターンの以降の位置偏差データに直線からのずれが発生する場合に、前記直線からのずれが発生する幅を前記三角形状の補正指令パターンの指令幅とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明が適用される工作機械の一例を示す説明図である。
図1に示す工作機械101は、たとえば、研削砥石車Tによって非球面反射鏡である工作物201の鏡面201aを研削加工する。
工作機械101は、鉛直方向に立設するコラム102と、コラム102に設けられた主軸ヘッド104と、主軸ヘッド104に対してX軸およびY軸方向に移動自在に設けられたテーブル107と、NC装置301とを有する。
【0015】
主軸ヘッド104は、コラム102にZ軸方向に沿って設けられたスライダ103上に移動自在に設けられており、主軸ヘッド104の一部に形成された図示しない雌ネジ部にボールネジ105が螺合されている。これらスライダ103およびボールネジ105等によって主軸ヘッド104をZ軸方向に移動させる送り機構が構成されている。
ボールネジ105の一端には、Z軸用サーボモータ106に接続されており、Z軸用サーボモータ106を回転駆動することによって、主軸ヘッド104のZ軸方向の任意の位置に移動可能となっている。
【0016】
主軸ヘッド104の主軸には、研削砥石車Tが装着され、この主軸に装着された研削砥石車Tは、主軸ヘッド104に内蔵された主軸用モータを回転駆動することにより、所定速度で回転される。
主軸ヘッド104には、Z軸方向に沿って可動部120aと固定部120bとからなるリニアスケール120が設けられており、リニアスケール120による主軸ヘッド104のZ軸方向の位置検出値がNC装置301に取り込まれる。
【0017】
コラム102の下部に設置されたテーブル107は、図示しないスライダによってX軸およびY軸方向に移動自在に設けられており、テーブル107の下部に設けられた可動部材109には、雌ネジ部が形成され、これにX軸方向に沿って設けられたボールネジ111が螺合している。
ボールネジ111の一端には、X軸用サーボモータ112が接続されており、X軸用サーボモータ112の回転駆動によってテーブル107はX軸方向の任意の位置に移動可能となっている。
なお、テーブル107は、X軸方向と同様の構成によってY軸方向の任意の位置に移動可能となっている。
テーブル107には、X軸方向に沿って可動部108aと固定部108bとからなるリニアスケール108が設けられており、リニアスケール108によるテーブル107のX軸方向の位置検出値がNC装置301に取り込まれる。
【0018】
NC装置301は、リニアスケール108および120の位置検出値に基づいて、X軸用サーボモータ112およびZ軸用サーボモータ106の位置および速度制御を行う。
【0019】
上記構成の工作機械101では、たとえば、図2に示すように、研削砥石車Tを所定の回転数で回転させながら、X軸用サーボモータ112およびZ軸用サーボモータ106を共に駆動して、研削砥石車Tの研削点Pを所定の円弧状の軌跡Rに送り速度Fで追従させて、工作物201の鏡面201aを研削する。
研削砥石車TのZ軸方向の移動方向が反転する領域では、研削砥石車TはX軸方向に略一定の速度で移動するとともに、−Z軸方向に送り速度FのZ軸方向の分速で移動し、Z軸方向の最下点Zbで停止する。
【0020】
工作機械101のZ軸方向の送り機構には、スライダやボールネジを使用していることから摩擦が存在する。また、研削砥石車TがZ軸方向において一旦停止すると、Z軸方向の送り機構に作用する摩擦は動摩擦から静止摩擦に変化する。このため、研削砥石車Tは方向を反転して+Z軸方向に移動しようとするが、Z軸方向の送り機構に作用する静止摩擦を打ち破る力がZ軸用サーボモータ106を通じて作用するまで研削砥石車Tは+Z軸方向に移動することができない。一方、研削砥石車TはX軸方向に略等速度で移動しているため、図2に示すように、研削砥石車Tの研削点Pの軌跡は、点線で示すように、所定の円弧状の軌跡Rから外れてしまい、研削砥石車Tの研削点Pの軌跡は、静止領域Aでは軌跡rの半径rがr1 のように増加し、これが象限突起となる。
【0021】
Z軸方向の送り機構に作用する静止摩擦を打ち破る力がZ軸用サーボモータ106を通じて作用すると、研削砥石車Tの研削点Pの軌跡は、領域Bで示すように、突起が減少して軌跡Rに追従していく。
研削砥石車Tの研削点Pの軌跡に上記のような象限突起が発生すると、工作物201の鏡面201aには、図3に示すように、象限突起によるキズKが発生する。
【0022】
図4は、研削砥石車TのZ軸方向の反転領域における位置偏差の波形を示す図である。
研削砥石車Tを円弧状の軌跡Rに所定の送り速度Fで追従させる場合、クーロン摩擦等の非線形外乱が存在しない理想的な状態下では、Z軸方向の反転領域における研削砥石車Tの速度は負から正に直線的に変化するため、円弧状の軌跡Rに対する研削砥石車Tの位置偏差eも負から正直線的に変化する。
実際には、図4に示すように、Z軸方向において、研削砥石車Tの研削点Pと所定の円弧状の軌跡Rとの位置偏差eは、所定の直線Lに沿って変化していくが、研削砥石車Tが静止すると、図4の領域Waに示すように、位置偏差eは直線Lからはずれて直線的に増加する。
位置偏差eが増加することによるフィードバック量の増加によって、研削砥石車Tが動き始めると、図4の領域Wbに示すように、位置偏差eは増加しなくなり再度所定の直線Lに沿って変化するようになる。
【0023】
図5は、本発明を実施するためのNC装置301の制御ブロック図である。
なお、図5に示すNC装置301は、Z軸用サーボモータ106を駆動制御するための構成のみを示しており、他の軸については省略してある。
図5に示すZ軸の制御ブロック図は、位置指令部1と、補正指令パターン作成部2と、位置制御部3と、速度制御部4と、電流制御部5と、Z軸用サーボモータ106と、Z軸送り機構6と、リニアスケール120とを有する。
【0024】
位置指令部1は、上記した所定の円弧状の軌跡Rに追従させるためのZ軸方向の位置指令rcを生成する。
上記した所定の円弧状の軌跡Rのための制御指令は、たとえば、NC装置用のGコード言語による円弧補間指令や軌跡Rを微小線分に分割して各線分毎に速度を付与する短線分指令により作成され、この制御指令がX軸およびZ軸の各軸に分配される。
【0025】
補正指令パターン作成部2は、上記した象限突起を補正するための補正指令パターンMを生成して、加算点addにおいて位置指令rcに加算する。
加算点addでは、位置指令rcと補正指令パターンMとの加算により補正された位置指令rM が得られる。なお、補正指令パターンの作成方法については後述する。
【0026】
位置制御部3は、減算点decにおいて得られる位置指令rM とリニアスケール120によって検出されたZ軸方向の位置検出値zとの位置偏差eに所定の位置ループゲインω0 を掛けて速度指令vrとして速度制御部4に出力する。
【0027】
速度制御部4は、速度指令vrとリニアスケール120によって検出されたZ軸方向の位置検出値zの時間微分値との偏差に比例、微分、積分動作の組合せを施して電流指令を生成し、電流制御部5に出力する。
電流制御部5は、上記の電流指令に応じた駆動電流をZ軸用サーボモータ106に供給する。
【0028】
次に、上記した補正指令パターン作成部2における補正指令パターンの作成方法について説明する。
本実施形態では、図6(a)に示す所定の円弧状の軌跡を構成する指令Rの象限突起の発生領域に対して、図6(b)に示すような指令値がMh、指令幅がMtの矩形状の補正指令パターンMを加算する。
この補正指令パターンMを円弧状指令Rに加算すると、図6(c)に示すように、円弧状指令Rは象限突起発生領域で半径が減少した補正された補正指令RM となる。
【0029】
上記の補正指令パターンMの指令値MhおよびMtは、たとえば、図4に示したZ軸方向における研削砥石車Tの研削点Pと所定の円弧状指令Rとの位置偏差eのデータに基づいて決定する。
すなわち、図4に示したように、象限突起が発生する領域では、位置偏差eは所定の直線Lからずれる。このずれの最大値δを補正指令パターンMの指令値Mhとする。
また、図4に示したように、象限突起が発生する領域の幅Wを補正指令パターンMの指令幅Mtとする。
【0030】
このように補正指令パターンMの指令値Mhおよび指令幅Mtを決定することにより、円弧状指令Rに追従させるように研削砥石車Tを駆動した際に発生する象限突起を減少させることができる。
本実施形態では、円弧状指令Rに対して象限突起が発生する領域の位置偏差eを測定し、この位置偏差eのデータに基づいて象限突起を補正する補正指令パターンを作成するため、種々の送り速度Fに対応でき、また、円弧状指令Rの半径が変化しても容易に対応できる。
また、工作物201の加工形状を測定しなくても、補正指令パターンMの指令値Mhおよび指令幅Mtを決定することが可能になる。
【0031】
補正指令パターンの調整方法
上記したように、補正指令パターンMの指令値MhおよびMtを決定して象限突起を補正しただけでは、逆に、円弧状指令Rに対して半径が減少する方向に補正されることもあり、最適な補正が行われない場合も考えられる。
このため、補正指令パターンMの指令値MhおよびMtを最適化する調整方法について説明する。
まず、図7に示すように、補正指令パターンMの指令値Mhを位置偏差eの所定の直線Lからのずれの最大値δよりも小さい値、たとえば、最大値δの半分の大きさに設定し、指令幅をMtを象限突起が発生する領域の幅Wよりも十分広くなるように設定する。
【0032】
このように設定された補正指令パターンMをZ軸の位置指令rcに加算して、工作機械101を実際に駆動する。
このときのZ軸における位置偏差eの波形が、たとえば、図8に示すように変化したとする。
図8において、位置偏差eの領域D1 では指令値Mhの補正量が不足しており、円弧状指令Rに対して未だ突起が発生する。また、位置偏差eの領域D2 では、補正幅が大きすぎるため、逆に円弧状指令Rに対して半径が減少する方向に凹む。
このことから、位置偏差eに対して、補正指令パターンMの指令値Mhはその値が不足しており、指令幅Mtは大きすぎるという相関関係が分かる。
【0033】
したがって、補正指令パターンMの指令値Mhを前回より若干大きく設定して位置偏差eの領域D1 での値が、図9に示すように、直線Lに対して略平行となるように調整する。
同様に、補正指令パターンMの指令幅Mtを前回よりは短くして、円弧状指令Rに対して半径が減少する方向に凹む誤差が生じなくなるまで調整する。
このようにして補正指令パターンMの指令値Mhおよび指令幅Mtを設定することによって、最適な補正指令パターンMが得られる。
【0034】
上記のようにして最適な補正指令パターンMを作成して円弧状指令Rを補正した場合に、円弧状指令Rに生じる象限突起は良好に補正されるが、補正指令パターンMの以後に、図9の領域D3 に示すように、位置偏差eが所定の直線Lからずれる誤差が発生し、円弧状指令Rに対して僅かな突起となる場合がある。
これは、Z軸方向の送り機構6に発生する摩擦が静止摩擦から動摩擦に瞬時に遷移しない特性のために発生すると考えられる。
【0035】
そこで、本実施形態では、図6(d)に示すように、上記した最適化された矩形状の補正指令パターンMに連続的に指令値が直線的に変化する所定の指令幅Ntの三角形状の補正指令パターンNを同時に作成して補正指令パターンMに付加する。
三角形状の補正指令パターンNの指令幅Ntは、Z軸方向の送り機構6に発生する摩擦が静止摩擦から動摩擦に移る遷移時間から決定する。
この遷移時間は、たとえば、図9に示すように、最適化された補正指令パターンMの以降に発生する2つの突起を包含する幅から推定することができる。
【0036】
以上のように、本実施形態によれば、工作機械102のZ軸方向の位置偏差eに基づいて、象限突起を補正する補正指令パターンMを作成することができ、工作物201の加工形状を実際に測定する必要がない。
また、補正指令パターンMの指令値Mhおよび指令幅Mtを位置偏差eとの相関関係から最適に調整することができ、より高精度に象限突起を抑制することができる。
さらに、本実施形態によれば、Z軸方向の送り機構6に発生する摩擦が静止摩擦から動摩擦に瞬時に遷移しない特性に起因する円弧状指令Rに対する突起を三角形状の補正パターンNによって補正することができる。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、工作機械によって工作物を円弧形状に加工する際に、いわゆる象限突起を補正する補正指令パターンの作成が容易で、かつ補正指令パターンの最適化が容易であり、より高精度に象限突起による工作物の加工誤差を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される工作機械の一例を示す説明図である。
【図2】象限突起を説明するための図である。
【図3】象限突起の生じた場合の工作物の状態を示す図である。
【図4】Z軸の反転領域における位置偏差の波形を示す図である。
【図5】本発明を実施するための制御装置の一構成例を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る指令作成方法を説明するための図である。
【図7】Z軸の反転領域における位置偏差の波形に補正指令パターンを重ね合わせた図である。
【図8】補正指令パターンによって補正した位置指令によって駆動した場合のZ軸の反転領域における位置偏差の波形を示す図である。
【図9】矩形状の補正指令パターンに三角形状の補正指令パターンを付加した状態を示す図である。
【符号の説明】
1…位置指令部
2…補正指令パターン作成部
3…位置制御部
4…速度制御部
5…電流制御部
6…Z軸送り機構
Claims (6)
- 制御対象を各軸方向に移動させる互いに直交する制御軸と、前記制御対象の位置および速度の検出値に基づいて前記制御対象の位置および速度を制御するサーボ制御手段とを有する工作機械において、
前記制御対象を前記各制御軸の合成運動により所定の円状または円弧状の軌跡に所定の速度で追従させる円弧形状指令の作成方法であって、前記制御対象を前記軌跡に追従させる各制御軸毎の位置指令を作成するステップと、
前記制御対象を前記位置指令に従って駆動し、移動方向の反転する制御軸における前記制御対象の位置検出値と当該制御軸に対する位置指令との位置偏差を測定するステップと、
前記位置偏差の測定による位置偏差データに基づいて、前記制御軸のうち一方の制御軸の移動方向の反転時に生じる前記制御対象の前記軌跡からの非線形なずれを補正するための所定の指令値で所定の指令幅の矩形状の補正指令パターンを作成し、
前記補正指令パターンによって補正された位置指令に従って前記制御対象を駆動して得られた前記制御対象の位置偏差と前記補正指令パターンとの相関関係に基づいて、前記補正指令パターンの指令値および指令幅を調整し、
前記制御軸の移動方向の反転領域における前記位置偏差データを所定の直線上に沿って位置偏差が変化する直線領域と、前記直線からずれて変化する非直線領域とに分け、前記非直線領域における前記直線からのずれの大きさおよび前記非直線領域の幅に基づいて前記補正指令パターンの指令値および指令幅を決定する補正指令パターンを作成するステップと、
前記補正指令パターンを前記制御軸の位置指令に加算するステップと
を有する円弧状指令の作成方法。 - 前記補正指令パターンを作成するステップは、前記制御軸の移動方向の反転領域における前記位置偏差データを所定の直線上に沿って位置偏差が変化する直線領域と、前記直線からずれて変化する非直線領域とに分け、
前記非直線領域における位置偏差データの前記直線からのずれの大きさを前記補正指令パターンの指令値とし、前記非直線領域の幅を前記補正指令パターンの指令幅とする
請求項1に記載の円弧状指令の作成方法。 - 前記補正指令パターンを作成するステップは、前記位置指令に従って前記制御対象を実際に駆動して位置偏差を測定するステップと、
得られた位置偏差データを前記直線領域および非直線領域に分けるステップと、
前記補正指令パターンの指令幅を前記非直線領域の幅よりも大きくとって前記補正指令パターンの指令幅を決定するステップと、
前記補正指令パターンの指令値を変化させて補正された位置指令に従って前記制御対象を実際に駆動して位置偏差を測定し、この位置偏差データの非直線領域の波形が前記直線に平行となる補正指令パターンの指令値を最適な指令値とするステップと
を有する請求項2に記載の円弧状指令の作成方法。 - 前記補正指令パターンの指令幅を変化させ、補正された位置指令に従って前記制御対象を実際に駆動して得られた位置偏差データの直線領域に前記直線からのずれを生じさせない補正指令パターンの指令幅を最適な指令幅とする
請求項3に記載の円弧状指令の作成方法。 - 前記補正指令パターンを作成するステップは、前記矩形状の補正指令パターンと連続し、指令値が直線的に変化する所定の指令幅の三角形状の補正指令パターンを同時に作成する
請求項1〜4のいずれかに記載の円弧状指令の作成方法。 - 最適化された矩形状の補正指令パターンによって補正された位置指令に従って前記制御対象を実際に駆動して得られた位置偏差データにおいて、前記矩形状の補正指令パターンの以降の位置偏差データに直線からのずれが発生する場合に、前記直線からのずれが発生する幅を前記三角形状の補正指令パターンの指令幅とする
請求項5に記載の円弧状指令の作成方法。
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