JP3808106B2 - 工作機械の制御方法並びに制御装置 - Google Patents

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【0001】
【産業上の利用分野】
本願発明は、工作機械の制御方法及び制御装置に関し、特に、直交座標系上でプログラムされた動作指令を直交座標系の1軸とワーク回転C軸上の運動指令に変換して加工を実行する型の工作機械を制御する為の方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
直交座標系上でプログラムされた動作指令を直交座標系の1軸とワーク回転C軸上の運動指令に変換して加工を実行する型の工作機械は、既に公知である。図1は、この型の工作機械の加工実行部分周辺の概略構成を概念的に例示したものである。
図1において、符号1で総括的に指示されている精密工作機械は、ベッド6と該ベッド6上に設けられた工具移動部9及びワーク移動部12を備えている。工具移動部9は、Xガイド7に沿って移動可能に配置されたXスライド8を有し、Xスライド8に搭載されたエア・スピンドル4にはダイヤモンド工具5が装着されている。一方、ワーク移動部12は、コラム10、Zスライド11、Cテーブル(回転テーブル)2から構成されており、Cテーブル2にはワーク3が取り付けられている。
【0003】
ここに示した工作機械では、Cテーブル2に取り付けられたワーク3に対し、エア・スピンドル4に装着された工具5を用いたフライカッティング方式による切削加工が施される。ワーク3を取り付けたCテーブルの回転移動位置とZ軸方向移動位置、及び、工具5を装着したエア・スピンドル4を搭載したXスライド8のX軸方向位置は、サーボ機構を介して制御される。
【0004】
図中符号13で併記したXYZ座標系の各座標軸の方向に照らして明きらかなように、このような工作機械においては、ベッド6に対して垂直方向に移動するY軸は存在しない。従って、このY軸方向の垂直移動に相当したワーク工具間の相対移動は、Cテーブル2とXスライド8の間の相対移動によって実行されることになる。即ち、本工作機械におけるY軸は「仮想Y軸」となる。
【0005】
図2は、図1に示された工作機械について、工具5によるワーク3の切削点の移動位置とX軸、C軸、Z軸及び仮想Y軸の関係をより明瞭に説明する為の図である。図において、工具5は、Xスライド8の移動に伴ってX軸上を直線移動する。ワーク3は、Z軸の周りでCテーブル2の回転と一体的な回転移動を行なうと共にZ軸上で直線移動を行なう。ワーク3の工具5による切込み量は、このZ軸上での直線移動によって定められる。
【0006】
以上説明した工作機械を用いて切削加工を実行するに際しては、通常、XYZ直交座標系上で表現されたプログラムに含まれる移動指令をNC装置内でX軸、C軸及びZ軸に関する移動指令に変換し、これに基づいて各サーボモータを制御しながら切削加工を実行する訳であるが、従来方式においては、加工点のX軸位置によって仮想Y軸方向の移動速度が変動するという事実に対して配慮がなされていなかったので、均一な工作精度が保てないという問題が生じていた。
【0007】
その理由を図3を参照して説明する。図3は、図1、図2に示した工作機械に取り付けられたワーク3をZ軸方向から見た図であり、XY平面上でワーク3の切削面が描かれている。今、Xスライド8の移動位置に対応して、工具5の先端点(切削点)のX軸上座標値がX1 、X2 、X3 にある3つの状態について、Cテーブル2に最小移動指令単位Δθmin の移動指令が与えられた時の仮想Y軸方向の直線移動経路をL1 、L2 、L3 、その長さ、即ち直線移動量をΔY1 、ΔY2 、ΔY3 で表わすことにする。
【0008】
図3に示された関係から明かなように、切削点がX軸原点であるCテーブル(ワーク3)の回転中心から離れ、X座標値がX1 、X2 、X3 と大きくなるにつれて、仮想Y軸方向の移動量ΔY1 、ΔY2 、ΔY3 が正比例的に大きくなっている。ここで、C軸の回転移動指令量が最小単位Δθmin であるということは、これらΔY1 、ΔY2 、ΔY3 が仮想Y軸方向移動の最小単位であるということに他ならない。換言すれば、ΔY1 、ΔY2 、ΔY3 は各位置X1 、X2 、X3 における分解能を与えていることになる。
【0009】
通常、精密加工を行なう場合の加工速度は、極めて低い速度領域に設定されるから、このような最小単位の移動の繰り返しによってマクロな範囲に亙る加工が行われるものと考えて良い。
C軸の最小移動指令値Δθmin を一定値とすれば、C軸移動に関する速度に対して特に配慮がなされていない従来方式においては、ワーク回転の角速度ωの推移もX座標値に拘らず一定となり、従って、各直線L1 、L2 、L3 に沿った仮想Y軸方向の最小移動時の速度V1 、V2 、V3 について、V1 <V2 <V3 の関係が生じることになる。最小移動単位に対応した移動速度Vが大きくなると、加工精度に悪影響を及ぼすようになることは当然のことである。
【0010】
このような事態を回避する為に従来より採用されている1つの方策は、C軸上の移動位置を検出する位置検出器の分解能を上げると共に、1位置パルスが表わす移動量を小さく設定してC軸制御を行なうやり方である。しかしながら、位置検出器の分解能乃至位置検出精度を上げることには物理的な限界があり、特に高い加工精度が要求される場合には、この分解能の限界によって加工精度が左右される事態を招いていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本願発明は、直交座標系上でプログラムされた動作指令を直交座標系の1軸(X軸)とワーク回転C軸上の運動指令に変換して加工を実行する型の工作機械を制御するに際して、X軸上で原点から遠ざかった場合に生起される仮想Y軸方向の分解能低下の問題を解決し、加工点のX座標値如何に関わらず均一で安定した加工精度を保つことを可能にした制御方法及び制御装置を提供することを目的とするものである。
【0012】
別の観点から言えば、本願発明は、高分解能の位置検出器を要することなく、また、位置検出器の高分解能化の限界に左右されることなく、上記仮想Y軸方向の移動に関連した上記分解能低下の問題を解決し得る制御方法及び制御装置を提供することを企図してなされたものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、直交座標系上でプログラムされた動作指令をX軸上の直線移動指令とZ軸周りでワークを回転させるワーク回転C軸上の回転移動指令を含む指令に変換してX軸に直交する仮想Y軸方向の移動を含む加工プロセスを実行する工作機械の制御方法において、C軸上移動の駆動力を与えるサーボモータを制御するに際し、C軸に関する速度ループのゲインをX軸上の位置に応じて変化させることにより、仮想Y軸上における移動速度のX軸上位置に対する依存性を低下させることにより、上記問題点を解決する基本的な方法を提供したものである(請求項1に記載の方法)。
【0014】
また本願発明は、上記制御方法において、仮想Y軸上における移動速度のX軸上位置に対する依存性を実質的に除去し、より一層の加工精度の均一化、安定化を図ったものである(請求項2に記載の方法)。
【0015】
更に本願発明は、直交座標系上でプログラムされた動作指令をX軸上の工具直線移動指令とZ軸周りでワークを回転させるワーク回転C軸上の回転移動指令を含む指令に変換する手段と、X軸上の工具直線移動指令とワーク回転C軸上の回転移動指令を含む指令に基づいて各対応するサーボモータを制御するサーボ制御手段を備えた工作機械の制御装置に、該サーボ制御手段にC軸に関する速度ループのゲインをX軸原点位置からの距離に応じて低下させるように変化させるゲイン調整手段を含ませることによって、上記問題点を解決し得る工作機械の制御装置を提供したものである(請求項3に記載の装置)。
【0016】
更に、本願発明上記制御装置に備わっているゲイン調整手段による速度ループのゲイン調整について、仮想Y軸上における移動速度のX軸上位置に対する依存性が実質的に除去されるという要件を課すことによって、より一層の加工精度の均一化、安定化を図ったものである(請求項4に記載の装置)。
【0017】
【作用】
図4(a)、(b)及び図5(a)、(b)は、Cテーブルを最小移動指令単位Δθmin 移動させた場合について、角速度ωと仮想Y軸上の移動速度Vy を立ち上がり部分から移動完了(t=T)に至る迄の推移の形で模式的に描いたものである。図5(a)については、移動完了(t=T)後の十分に長い時間(速度値が速度指令値通りの値にほぼ一致するに要する程度の時間)まで仮想的に考えた場合の推移が書き加えられている。
【0018】
既に説明したように、従来方式のよる制御を行なった場合にはCテーブルの角速度ωはX座標値に無関係であり、仮想Y軸上の最小移動ΔY1 、ΔY2 、ΔY3 に対応するω値について、その立ち上がり時の時間的推移ω(t)を含めて差異は生じない。図4(a)には、この関係が1本の曲線で示されている。
【0019】
一方、ω値乃至その推移ω(t)が、各経路L1 、L2 、L3 について共通である場合について、各対応仮想Y軸上移動速度推移Vy1(t)、Vy2(t)、Vy3(t)を考えると、図4(b)に示されている通り、Vy1(t)<Vy2(t)<Vy3(t)の関係を満たした3本の曲線に分かれることが判る。このような仮想Y軸上の最小移動移動に対応した移動速度Vy のX座標値依存性により、仮想Y軸上に関する分解能が変動し、加工精度の均一性が損なわれることは、先に述べた通りである。
【0020】
これに対して、本願発明の制御方法によれば、Cテーブルを駆動するサーボ系の速度ループのゲインKc がCテーブル原点から離隔距離(=|X|)に関する減少関数の形で調節される。すると、図5(a)に示されているように、ω値の推移ω(t)が、移動完了に要する時間内(0<t≦T)で見る限り、速度経路L1 、L2 、L3 について共通ではなくなる。即ち、対応するω値推移ωy1(t)、ωy2(t)、ωy3(t)について、ωy1(t)>ωy2(t)>ωy3(t)の関係が保たれることになる。各推移を表わす曲線は、移動完了に要する時間Tよりも十分長い時間T’が経過すると、速度指令値に対応した値ω0 に収束するが、本願発明では、このような収束が起こるより相当以前に移動を完了させるような制御を想定している。例えば、8msの位置指令受渡し周期中に1パルスの移動指令があるか無いかの制御を行い、速度指令値に飽和するよりもずっと以前に移動を完了させてしまう動きを繰り返すことによって、ワーク周縁部で面粗度10nm程度の加工を行なうことを目指すものである。
【0021】
これに対応した各対応仮想Y軸上移動速度推移Vy1(t)、Vy2(t)、Vy3(t)を0<t≦Tの範囲で考えると、図4(b)に示された3本の曲線が互いに近づき合うように修正された曲線が得られることが容易に理解される。Kc (|X|)を適当な強さの減少関数に選べば、各最小移動経路L1 、L2 、L3 に対応したVy1、Vy2、Vy3を、図5(b)に示されたような1本の曲線Vy(regl) に収束させることが可能となる。
【0022】
このようにして、仮想Y軸上の最小移動移動に対応した移動速度Vy のX軸座標値依存性が抑制乃至除去されれば、仮想Y軸に関する分解能が均一化され、ワークの加工領域全体に亙って安定した加工精度が保証されることになる。
【0023】
【実施例】
図6は、本願発明に従ったゲイン制御を含むデジタルサーボ制御を実行するシステムの構成の1例を記した要部ブロック図であり、図7は図6に示されたサーボ制御システムによって制御されるCテーブル駆動モータに関連したブロック線図である。また、図8は本実施例で想定したワーク上2点間の直線移動経路及びその間の補間点を模式的に表わした図であり、図9は本願発明に従った制御を実行する為の処理手順の1例の概要を表わしたフローチャートである。以下、これらの図を参照して、本願発明の実施例について説明する。
【0024】
先ず図6において、符号20はマイクロコンピュータ内蔵の数値制御装置、21は不揮発性RAMで構成され、CNC20及びデジタルサーボ回路22のマイクロプロセッサ(CPU)のいずれからもアクセス可能な共有メモリである。
【0025】
デジタルサーボ回路22は、マイクロプロセッサ(CPU)、RAM、ROM等を含み、図7に示したブロック線図に対応したサーボ処理を行なう機能を有している。また、23はサーボモータであり、C軸、X軸及びZ軸上における移動を受け持つ各モータを代表させて表記したものである。24は、各サーボモータ23に取り付けられたパルスエンコーダである。なお、以上の基本構成自体は従来より知られたものであるから、特に詳細な説明は省略する。
【0026】
CNC20のCPUは、CNC内のメモリに格納された直交座標系データで表現されたプログラムデータを順次読み込み、XYZデータに対して必要な補間計算を行ない、所定周期毎に各軸(X軸、仮想Y軸、Z軸)移動指令を共有RAM21に送り出す。
【0027】
一方、デジタルサーボ回路22のCPUは、このXYZデータで与えられた移動指令を共有メモリ21から所定周期で読み出し、XCZデータに変換した上で位置指令信号を生成する(詳しくは、後述する図9のフローチャート関連説明を参照)。なお、XYZ位置データを便宜上(x、y、z)で表わし、CXZ上位置データを(θ、X、Z)で表わすと、両者の変換関係は次のようになる。
【0028】
【数1】
Figure 0003808106
ここでC軸制御に関するブロック線図を記した図7を参照すると、31は位置ループの伝達関数で、Kp は位置ループゲインを表わす。また、32は速度ループの伝達関数で、Kc は速度ループのゲインであり、比例項を含む通常の部分k1 以外にk2 (X値依存可変項)を含んでいる。このk2 (X値依存可変項)は本願発明に固有の項である。
【0029】
符号33はサーボアンプとサーボモータを含む系の伝達関数を表わし、Kt はモータのトルク定数、Jはモータ軸にかかるエナーシャに対応する伝達関数である。また、34、35は積分を表わしている。
【0030】
デジタルサーボ回路22は、本願発明の技術思想を反映させながら、図7のブロック線図に対応したサーボ制御を行なう。以下、デジタルサーボ回路22のCPUによって実行されるゲイン調整を含むC軸制御処理を、図9のフローチャートを参照して説明する。
ここでは、CNC20のメモリから読み出されたプログラムデータ(XYZデータ)に基づき、加工点を図8に示された通り位置P0 からP1 へ、ワーク加工面上、即ちXY平面上で直線移動させるケースを考える。P0 及びP1 のXYZ座標値(小文字アルファベットxyzで表記)を各々P0 =(x0 、y0 、z0 )、P1 =(x1 、y1 、z1 )とする。また、P0 スタート時におけるP0 のXC座標値を(X0 、θ0 )とする。なお、切込み量は一定とする。従って、前述の(4)式から、Z=z1 =z2 =一定値である。以下の説明では、Z軸に関する記述を省略する。
【0031】
補間点は、P0 P1 間を100等分し、便宜上P0 P1 は各々0番目、100番目に補間点とみなすこととする。一般に、i番目の補間点をP0iで表わし、そのXY座標値を(x0i、y0i)[i= 0,1,2.....99,100 ]とする。そして、i番目の補間点に対応するXC座標値を(X0i、θ0i)とする。P0 スタート時におけるP0 のXC座標値(X0 、θ0 )は、(X000 、θ000 )となる。
【0032】
先ず、CNC20のCPUが処理を開始し、プログラムデータ(XYデータ)を読み込んで補間計算を行ない、補間点データ(x0i、y0i)を所定周期で共有メモリ21に送り出し始める。これに応じて、デジタルサーボ回路22内のCPUが処理を開始する。処理開始時、補間点指標iは1にセットされる(ステップS1)。次いで、補間点データ(x0i、y0i)を共有メモリ21から読み込み(ステップS2)、これを前述(1)式〜(3)式に従ってXCデータ(X0i、θ0i)に変換する(ステップS3)。
【0033】
第1回目の処理では、(X001 、θ001 )が求められる。次いで、前番の補間点に対応するXCデータ(X0i-1、θ0i-1)との差分ΔX0i、Δθ0iを計算し、X座標値の差分ΔX0iが0か否かを判断する(ステップS4)。加工点とワーク回転中心との距離に変化があればΔX0i≠0となり、変化がなければ(原点中心の円弧軌道要素上の微小移動に相当している場合)、ΔX0i=0となる。
【0034】
図8の事例では、回転中心から徐々に離隔する加工経路がプログラムされているから、各処理周期において算出される差分ΔX0iについて、常にΔX0i>0が成立することになる。そこで、ステップS5へ進み、ゲインk2 を変更する。ゲイン変更量は、計算または実測により求めた最適のX座標値依存性が得られるように、k2 (X)を階段関数値データの形でデジタルサーボ回路22のメモリ内に格納しておき、これをX座標値レベルに応じて読み出すことによって定めれば良い。k2 (X)に最適のX座標値依存性を与えれば、図5で説明したようなω値推移乃至仮想Y軸上移動速度推移曲線Vy(regl) が得られることになる。
【0035】
ゲイン変更が完了したら直ちにパルス分配処理を行なって、X軸、C軸に関する位置パルスを生成する(ステップS6)。C軸制御部では、C軸位置パルスの位置指令入力Pc を受けて位置ループ処理を行い、速度指令値出力Vc を生成する。その際、パルスエンコーダ24から得られる現在位置Pf とPc との位置偏差εp の積算値に応じた位置ループゲインKp の下で処理が行なわれ、速度指令値Vc が出力される。作用の説明の欄で述べたように、このVc が実際に実現される前に1処理サイクルが終了するから、Vc の値は|X|に依存して変化する必要は無い。
【0036】
これに対して、速度ループ処理に際しては、通常のゲインk1 の他にk2 項がある為に、|X|値が大きくなる程抑制されたトルク指令値Tc を生成し、サーボアンプへ入力する。そして、この|X|値に応じて抑制されたトルク指令(電流指令)Tc を受けたサーボアンプがモータにトルク指令Tc に対応した駆動電流を流すことによってモータが回転する。その際の速度推移は図5(a)に示されたように、|X|に依存したものとなる。即ち、|X|が増大するにつれて速度増加が鈍くなり(加速度小)、その結果、処理周期に対応した移動完了時点で実現される速度Vf は、|X|が増大するにつれて小さくなる。
【0037】
さて、デジタルサーボ回路22は、このようなサーボ制御を各処理サイクル毎に行なう一方、ステップS6に続き、補間点指標iを1カウントアップし(ステップS7)、位置P1 への未到達をチェックした上で(ステップS8)、ステップS2へ復帰する。そして、次のXY補間点データを読み込み、以後、上述のステップS2〜ステップS8の処理を位置P2 へ到達する迄繰り返す。本事例とは異なる移動経路がプログラムされ、X座標値の変化ΔX0iがステップS4で0と判断されれば、ステップS5を経ずにステップS6へ向かうことは当然である。
【0038】
100番目の補間点とみなされるP1 のデータ(x1 、y1 )をステップS2で読み込み、ステップS3〜ステップS7を経てステップS8に至ると、初めてイエスの判断が出され、P0 →P1 の直線移動の処理を完了する。移動経路に後続部分があれば、上記処理サイクルを後続経路について繰り返すことは言うまでもない。
【0039】
以上、ワーク上で加工点を直線移動させるケースについて説明を行なったが、円弧経路がプログラムで指定されている場合には、円弧経路を定める3点間をカバーする補間点データをCNC20が計算し、共有メモリ21へ補間点データを送り込むことになる。以後のデジタルサーボ回路22の処理が上記説明したものと基本的に変わらないことについては、特に説明を要しないであろう。
【0040】
【発明の効果】
本願発明によれば、直交座標系上でプログラムされた移動指令に基づき、ワーク回転C軸上の回転移動とX軸上の移動を組み合わせて、仮想Y軸方向の移動を含む加工プロセスを実行する型の工作機械を制御するに際して、仮想Y軸上における移動速度のX軸上位置に対する依存性が抑制あるいは除去されるから、X軸原点(C軸回転中心)から離れた加工位置においても、中心部と同等の加工精度が実現される。
また本願発明によれば、特に高分解能の位置検出器を使用することなく、従来利用されているサーボ制御系にゲイン調整手段を追加するだけの簡単な構成で、加工精度の均一化を達成するものであるから、経済的にも有利である。
【0041】
更に、本願発明は位置検出器の高分解能化に基いて仮想Y軸方向の分解能変動を抑止したものではないから、使用される位置検出器の分解能如何に関わらず、ワーク回転中心から離れた部分の加工精度がワーク回転中心付近で達成可能な加工精度まで引き上げられるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】直交座標系上でプログラムされた動作指令を直交座標系の1軸とワーク回転C軸上の運動指令に変換して加工を実行する型の工作機械の加工実行部分周辺の概略構成を概念的に例示した図である。
【図2】図1に示された工作機械について、工具によるワークの切削点の移動位置とX軸、C軸、Z軸及び仮想Y軸の関係をより明瞭に説明する為の図である。
【図3】図1、図2に示した工作機械に取り付けられたワーク3をZ軸方向から見た図である。
【図4】従来方式に従ってCテーブルを最小移動指令単位Δθmin 移動させた場合について、角速度ωと仮想Y軸上の移動速度Vy を立ち上がり部分からの推移の形で模式的に描いた図である。
【図5】本願発明の制御方法に従ってCテーブルを最小移動指令単位Δθmin 移動させた場合について、角速度ωと仮想Y軸上の移動速度Vy を立ち上がり部分からの推移の形で模式的に描いた図である。
【図6】 本願発明に従ったゲイン制御を含むデジタルサーボ制御を実行するシステムの構成の1例を記した要部ブロック図である。
【図7】図6に示されたサーボ制御システムによって制御されるCテーブル駆動モータに関連したブロック線図である。
【図8】本実施例で想定したワーク上2点間の直線移動経路及びその間の補間点を模式的に表わした図である。
【図9】本願発明に従った制御を実行する為の処理の1例の概要を表わしたフローチャートである。
【符号の説明】
1 工作機械
2 ワーク回転Cテーブル
3 ワーク
4 エア・スピンドル
5 ダイヤモンド工具
6 ベッド
7 Xガイド
8 Xスライド
9 工具移動部
10 コラム
11 Zスライド
12 ワーク移動部
13 XYZ座標系
20 CNC(マイクロコンピュータ内蔵数値制御装置)
21 共有メモリ
22 デジタルサーボ回路
23 サーボモータ
24 パルスエンコーダ
31 位置ループの伝達関数
32 速度ループの伝達関数
33 サーボモータの伝達関数
34、35 積分を表わす伝達関数
Δθmin C軸最小移動指令単位
L1 、L2 、L3 Δθmin に対応する仮想Y軸方向の直線移動経路
ΔY1 、ΔY2 、ΔY3 L1 、L2 、L3 の長さ
ω、ω(t)、ωy1(t)〜ωy3(t) Cテーブル回転角速度とその推移
Vy1(t)、Vy2(t)、Vy3(t) 仮想Y軸上移動速度推移
Kc C軸上移動の速度ループゲイン
Vy(regl) ゲイン調整時の仮想Y軸上移動速度推移

Claims (4)

  1. 直交座標系上でプログラムされた動作指令をX軸上の工具直線移動指令とZ軸周りでワークを回転させるワーク回転C軸上の回転移動指令を含む指令に変換して前記X軸に直交する仮想Y軸方向の移動を含む加工プロセスを実行する工作機械の制御方法において、
    前記C軸上移動の駆動力を与えるサーボモータを制御するに際し、前記C軸に関する速度ループのゲインを前記X軸上の位置に応じて変化させることにより、前記仮想Y軸上における移動速度のX軸上位置に対する依存性を低下させることを特徴とする前記工作機械の制御方法。
  2. 前記仮想Y軸上における移動速度のX軸上位置に対する依存性が実質的に除去されることを特徴とする請求項1に記載された工作機械の制御方法。
  3. 直交座標系上でプログラムされた動作指令をX軸上の工具直線移動指令とZ軸周りでワークを回転させるワーク回転C軸上の回転移動指令を含む指令に変換する手段と、前記X軸上の直線移動指令とZ軸周りのワーク回転C軸上の回転移動指令を含む指令に基づいて、各対応するサーボモータの動作を制御するサーボ制御手段を備えた工作機械の制御装置において、
    前記サーボ制御手段が、前記C軸に関する速度ループのゲインを前記X軸原点位置からの距離に応じて低下させるように変化させるゲイン調整手段を含んでいることを特徴とする前記工作機械の制御装置。
  4. 前記ゲイン調整手段が、前記C軸に関する速度ループのゲインを、前記仮想Y軸上における移動速度のX軸上位置に対する依存性が実質的に除去されるように調整することを特徴とする請求項3に記載された工作機械の制御装置。
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