JP2906551B2 - 光記録方法 - Google Patents

光記録方法

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JP2906551B2
JP2906551B2 JP2064661A JP6466190A JP2906551B2 JP 2906551 B2 JP2906551 B2 JP 2906551B2 JP 2064661 A JP2064661 A JP 2064661A JP 6466190 A JP6466190 A JP 6466190A JP 2906551 B2 JP2906551 B2 JP 2906551B2
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勝己 小川
明 赤松
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、書き換え可能なタイプの光記録媒体に対す
る光記録方法に関する。
従来の技術 従来、レーザー光による光記録媒体のうち書換え可能
なタイプとしては、MnBi合金やCoフェライトなどの材料
を磁化した状態でレーザー光を照射してキューリ点以上
に温度を上げることによって磁化の大きさを変化させ、
書込み,消去を行う光磁気記録方式や、カルコゲナイド
薄膜にレーザーを照射して、その結晶相から非晶層への
可逆的な相変化を起こさせ、結晶相と非晶相のレーザー
光の反射率の違いを利用して読取りを行う相変化記録方
式である。
これらは、いずれも記録膜作製時に真空蒸着やスパッ
タリングなどの高真空製膜技術を行うものである。
そして本発明に関連する技術文献としては、書込みに
関しては、特開昭60−45953号公報,特開昭60−45954号
公報,特開昭60−61930号公報があり、また基板上に弾
性体と樹脂層の2層を設ける構造に関しては、米国特許
第4780867号明細書,米国特許第4719615号明細書があ
る。
発明が解決しようとする課題 このような従来の光記録媒体では、その記録膜作製時
に真空装置やスパッタリングなどの高真空製膜技術を使
うため、光記録媒体そのものが非常に高価になる。
また現在広く用いられているCDプレーヤーと装置機構
が原理的に異なるため、CDプレーヤーとの互換性がな
い。
本発明は上記課題を解決するもので、安価で、しかも
CDプレーヤーとの互換性のある書換え可能な光記録媒体
を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段 本発明は上記目的を達成するために、基板と、第1の
波長を有する第1の光を透過するとともに、第2の波長
を有する第2の光を吸収する特性を有し、ガラス転移温
度より高い成形温度で成形された際の第1の形状を予め
形状記憶しており、成形温度より低い温度で力を加えて
変形させて冷却するとその変形を第2の形状として保持
し、第2の形状を保持した状態でガラス転移温度以上成
形温度以下に昇温させると第1の形状に自発的に形状回
復する特性を有する形状記憶層と、第1の光を吸収する
特性を有しており、第1の光による局所的な加熱により
局所的に膨張する樹脂層と、入射してきた光を反射する
反射層と、保護層とを積層した光記録媒体に情報を記録
・消去する方法であって、樹脂層に第1の光を照射して
加熱するとともに形状記憶層をガラス転移温度以上成形
温度以下の温度に昇温させ、樹脂層が膨張するにしたが
って形状記憶層も変形させ、その後形状記憶層がガラス
転移温度以下に冷却されて記録ピットとなる第2の形状
を保持することにより情報を記録するとともに、第2の
形状を有する形状記憶層に第2の光を照射して、ガラス
転移温度以上成形温度以下に昇温させることにより、形
状記憶層の形状を第2の形状から予め形状記憶された第
1の形状に自発的に形状回復させて、記録ピットを消去
することにより記録された情報の消去を行うこととし
た。
作用 本発明は上記した方法により、ピットの消去が形状記
憶層単体で確実に行えるようになる。
実 施 例 以下、本発明の一実施例について説明する。まず予め
グループ(溝)が形成されたポリカーボネートからなる
ディスク基板上に、スチレン−ブタジエン系の形状記憶
樹脂にシアニン色素を添加し、それをトルエンに溶解し
て、スピンコート法で塗布し、その後120℃で30分間乾
燥させて、0.5μmの厚さの形状記憶樹脂層を形成させ
た。このように形成された形状記憶樹脂層は分子構造中
に、分子架橋や結晶からなる固定相となる温度以上でゴ
ム状態となり得る可逆相よりなっている。つぎにその形
状記憶樹脂層上に、ポリアミド樹脂を硬化剤とする熱硬
化性樹脂であるエポキシ樹脂に、レーザー光吸収色素と
してシアニン系色素を加えたものを、メチルエチルケト
ンに溶解させてスピンコート法にて塗布し、120℃で30
分間乾燥硬化させて6μmの厚さの熱硬化性樹脂層を得
る。さらに、その上に真空蒸着法により、アルミニウム
または金を0.05μmの厚さに作成し、金属反射層を得
る。続いてその金属反射層の上に紫外線硬化樹脂をスピ
ンコート法にて塗布し、紫外線照射して硬化し20μm厚
さの保護層を続けて、光記録相体を完成する。この状態
で、前述の形状記憶樹脂層は初期の一次成形の形状を記
憶していることになる。
この光記録媒体にディスク基板側から、書込み用の波
長630nm,30nWのレーザー光を150ns照射すると、形状記
憶樹脂層を通して熱硬化性樹脂層にて吸収されて瞬時に
昇温し膨張する。この時、形状記憶樹脂層も630nmの波
長のレーザーを若干吸収するのと、また、昇温した熱硬
化性樹脂層からの熱伝導によりガラス転移温度Tg以上一
次成形時温度T1以上の温度まで昇温する。ここで、熱硬
化性樹脂層の昇温後の弾性率を、形状記憶樹脂層のガラ
ス転移温度Tg以上一次成形時温度T1以下における弾性率
よりも大きくなるように分子設計された材料を用いるこ
とにより、形状記憶樹脂層は熱硬化性樹脂層よりの応力
を受けて変形し、ピット(突起)が形成されることを確
認した。形状記憶樹脂層はその変形した状態を二次成形
の形状として記憶する。
次に、このピットの読出しは、780nm,3mWのレーザー
光により行う。この波長780nmはCDプレーヤとの互換性
を図るために選定した。読出し時のレーザー光強度は、
前述の書込み時のものに比べてずっと小さい。また、読
出し時のレーザー光反射率はピットのない部分で70%以
上必要であるが、実際にピットの有無によりそれぞれ25
%および72%であることを確認した。
次に、消去は、780nm,15mWのレーザー光により行っ
た。エネルギーは前述の読出しのものに比べてずっと小
さく形状記憶樹脂層にて選択的に吸収され、熱硬化性樹
脂層では吸収されない。このレーザー光を吸収した形状
記憶樹脂層はガラス転移温度Tg以上、一次成形時温度T1
以下の温度まで上昇し、初期の一次成形の形状に回復す
る。実際にピットが消失することを実験的に確認した。
このようにして情報を書込み,読取り,消去が行われ
る。この様に入射してきた光により、形状記憶樹脂層を
所定の温度以上に加熱することで一次成形の形状を回復
するような構成としたことにより、形状記憶樹脂層単体
で自発的に予め記憶された1次形状を回復することがで
きるので、確実にピットを消去することができるととも
に、経年変化により情報の消去特性の悪化を最小限に止
め、安定した書き換え記録特性を実現することができ
る。
この時、書込み,消去のくり返し特性、また読出し時
の反射率特性の観点より、熱硬化性樹脂層と形状記憶樹
脂層は次のような特性を満たしている。
熱硬化性樹脂層は、書込み時の波長λのレーザー光
を吸収して昇温して熱膨張するが、その時の熱膨張係数
が大きく、耐熱性が高く、また読出し時の波長λのレ
ーザー光に対して透過率が高く、複屈折率が小さい。ま
た、形状記憶樹脂層は、熱硬化性樹脂の熱膨張により塑
性変形を起こし、また複屈折率が小さく、熱硬化性樹脂
層との密着性が小さいことが必要である。
このように熱硬化性樹脂層および形状記憶樹脂層の分
子設計を最適化し、照射するレーザー光の波長およびエ
ネルギーとのマッチングを図ることにより、書込み,読
取り,消去が可能な書換え可能で、しかも従来のように
高価な真空蒸着装置を用いず、安価なスピンナーにより
塗布するので非常に安価な光記録媒体を提供することが
できる。またピットのない部分とある部分の反射光の強
弱により読取る方式はCDプレーヤーの場合と同じであ
り、CDプレーヤーの国際規格であるRed Bookの規格に準
拠したディスクを設計することにより、従来から広く用
いられているCDプレーヤーでの再生が可能な光記録媒体
を提供することができる。
なお本実施例ではポリカーボネートからなるディスク
基板を用いた場合について述べたが、ガラスまたはポリ
メチルメタクリレート等からなるディスク基板を基いる
こともできる。
またグルーブが形成されたディスク基板について述べ
たが、グルーブを形成していない場合も同様に実現でき
る。
また各層の形成順序としては、ディスク基板上に形状
記憶樹脂層,熱硬化性樹脂層,金属反射層および保護層
の順に積層した場合について述べたが、金属反射層をデ
ィスク基板と形状記憶樹脂層の間にもってくることもで
きる。ただしこの場合にはレーザー照射を保護層側によ
り行う必要がある。また前述の二つの場合において、形
状記憶樹脂層と熱硬化性樹脂層の形成順序を入れ換えた
構造も存在する。
つぎに他の実施例について述べる。すなわち前記の実
施例における形状記憶樹脂層として、ポリウレタン樹脂
を用い、アズレニウム系色素とともに、ジメチルホルム
アミドにて溶解して塗布させ、また、前述の実施例で述
べた熱硬化性樹脂層として、熱硬化性ポリウレタン樹脂
をアズレニウム系色素とともに、ジメチルホルムアミド
にて溶解して塗布し、それ以外は、前述の実施例と同様
にして光記録媒体を得た。
この時、形状記憶樹脂層に含まれるアズレニウム系色
素と熱硬化性樹脂層に含まれるアズレニウム系色素は、
それぞれ630nmと780nmに選択吸収をもつ。
このポリカーボネートからなるディスク基板側から書
込み用の630nm,20mWのレーザー光を200ms照射すること
により、前述の実施例と同様の原理によりピットを形成
し、これに780nm,3mWのレーザー光を照射することによ
り、データを読取ることができた。ビットの有無による
レーザー光の反射率は、それぞれ38%と71%であった。
さらに、780nm,10mWのレーザー光を、150ms照射する
ことによりビットを消去した。
なお以上の実施例の他にも、前述の形状記憶樹脂層と
なり得る樹脂構成や、また前述の熱硬化性樹脂として他
の材料を用いることもできる。またレーザー光吸収のた
めの他の色素材料など材料特性とレーザー特性をマッチ
ングさせるように分子設計を行ったものは、広く用いる
ことができることは当然である。
発明の効果 以上の実施例から明らかなように、本発明によれば、
第2の形状を有する形状記憶層をガラス転移温度以上成
形温度以下に昇温させることにより、形状記憶層単体で
自発的に予め記憶された1次形状を回復することができ
るので、樹脂層からの影響を殆ど受けることなく確実に
ピットを消去することができるとともに、経年変化によ
る情報の消去特性の悪化を最小限に止め、安定した書き
換え記録特性を実現する信頼性の高い光記録方法を実現
することができる。
またこの方法で情報の記録・消去を行える光記録媒体
は、安価で、ユーザーが自由にデータを書換えることが
でき、かつCDプレーヤーとの互換性の可能性のあるもの
となり、その光記録媒体を民生用に広く普及させること
が可能となる点において産業上大きく貢献するものであ
る。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−11385(JP,A) 特開 平3−256241(JP,A) 特開 平3−256242(JP,A) 特開 平3−256243(JP,A) 特開 平3−266234(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G11B 7/00 G11B 7/24

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板と、第1の波長を有する第1の光を透
    過するとともに、第2の波長を有する第2の光を吸収す
    る特性を有し、ガラス転移温度より高い成形温度で成形
    された際の第1の形状を予め形状記憶しており、成形温
    度より低い温度で力を加えて変形させて冷却するとその
    変形を第2の形状として保持し、前記第2の形状を保持
    した状態で前記ガラス転移温度以上前記成形温度以下に
    昇温させると前記第1の形状に自発的に形状回復する特
    性を有する形状記憶層と、第1の光を吸収する特性を有
    しており、前記第1の光による局所的な加熱により局所
    的に膨張する樹脂層と、入射してきた光を反射する反射
    層と、保護層とを積層した光記録媒体に情報を記録・消
    去する方法であって、前記樹脂層に前記第1の光を照射
    して加熱するとともに前記形状記憶層を前記ガラス転移
    温度以上前記成形温度以下の温度に昇温させ、前記樹脂
    層が膨張するにしたがって前記形状記憶層も変形させ、
    その後前記形状記憶層が前記ガラス転移温度以下に冷却
    されて記録ピットとなる第2の形状を保持することによ
    り情報を記録するとともに、前記第2の形状を有する前
    記形状記憶層に前記第2の光を照射して、前記ガラス転
    移温度以上前記成形温度以下に昇温させることにより、
    前記形状記憶層の形状を前記第2の形状から予め形状記
    憶された前記第1の形状に自発的に形状回復させて、記
    録ピットを消去することにより記録された情報の消去を
    行うことを特徴とする光記録方法。
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