JP2906348B2 - 投影型表示装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、投影型表示装置に関するものである。

〔従来の技術〕

最近、液晶表示パネルやブラウン管または原画フィル
ム等の表示体を用いて画像を表示する表示装置として、
表示体の表示画像を大きく拡大して見れるようにした投
影型表示装置が開発されている。

第10図はこの種の投影型表示装置として従来一般に知
られているものを示したもので、ここでは表示体として
液晶表示パネルを使用しているものを示している。第10
図において、１は表示装置本体であり、この装置１の前
面には表示窓が開口され、この表示窓には投影面として
透過型スクリーン２が設けられている。３は装置本体１
内の後部側に配置された透過型の液晶表示パネル、４は
投影レンズであり、この投影レンズ４はその光軸Ｏをス
クリーン２面に対して垂直にしてスクリーン２に対向配
置され、液晶表示パネル３はその中心を投影レンズ４の
光軸Ｏ上に一致させてスクリーン２と平行に配置されて
いる。５は液晶表示パネル３をその背面側から照明する
光源である。

この投影型表示装置は、光源５からの光を液晶表示パ
ネル３に入射させ、この液晶表示パネル３を透過した光
（液晶表示パネル３の表示画像）を投影レンズ４により
拡大して装置前面の透過型スクリーン２に投影するもの
で、スクリーン２に投影された画像は装置の前方から観
察される。なお、第10図では、装置本体１の前面に投影
面として透過型スクリーン２を設け、装置本体１内に液
晶表示パネル３と投影レンズ４を設けたものを示した
が、この種の投影型表示装置には、装置本体とは別の外
部スクリーン等を投影面としてこの外部の投影面に画像
を投影するものもある。

ところで、上記投影型表示装置においては、投影レン
ズ４からスクリーン２までの光路長が長いほど投影レン
ズ４を通った光束が大きく広がってスクリーン２面に達
するために、投影レンズ４をスクリーン２から遠く離し
て投影レンズ４からスクリーン２までの光路長を大きく
するほどスクリーン投影画像を大画面の画像とすること
ができる。

しかし、上記投影型表示装置では、スクリーン２面に
対して垂直な線上に投影レンズ４および液晶表示パネル
３を配置しているために、投影レンズ４からスクリーン
２までの光路長を大きくとってスクリーン投影画像を大
画面の画像とするには、それだけ投影レンズ４をスクリ
ーン２の位置から遠く離して配置しなければならない
し、また特に、装置本体１の前面に投影面として透過型
スクリーン２を設け、装置本体１内に液晶表示パネル３
と投影レンズ４を設けた第10図のような表示装置の場合
は、装置全体の奥行き長さがかなり大きくなってしまう
という問題をもっていた。

このため、従来から、第11図に示すように投影レンズ
４をスクリーン２面に対して斜めに対向させて配置する
ことが考えられており、このように投影レンズ４を配置
して斜め方向からスクリーン２に画像を投影するように
すれば、投影レンズ４からスクリーン２までの光路長は
十分にとりながら、投影レンズ４をスクリーン２の位置
に近付けて配置することができるし、また装置本体１の
前面に投影面として透過型スクリーン２を設け、装置本
体１内に液晶表示パネル３と投影レンズ４を設けた表示
装置の場合には、装置全体の奥行き長さを小さくするこ
とができる。このように斜め方向からスクリーン２に画
像を投影する場合は、液晶表示パネル３を投影光軸（投
影レンズ４の光軸）Ｏに垂直な面に対し所定の傾斜角度
θをもたせて配置し、この液晶表示パネル３の表示面の
延長面3aが、投影レンズ４の主平面4aの延長面と、スク
リーン２面の延長面2aとの交差線Ｐ上でほぼ交わるよう
にすればよく、このように液晶表示パネル３を傾けて配
置すれば、液晶表示パネル３の表示画像をスクリーン２
面にピントの合った画像として結像させることができ
る。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかしながら、上記のように液晶表示パネル３の表示
画像をスクリーン２に斜め方向から投影する投影型表示
装置は、スクリーン２面に結像する投影画像が台形状に
歪んだ画像となってしまうという問題をもっている。こ
のように投影画像が台形状に歪むのは、スクリーン２に
投影される画像の各点の倍率に差があるためである。

このスクリーン投影画像の台形状歪みを説明すると、
第12図は上記従来の投影型表示装置の光学系を示したも
ので、図中A₀は液晶表示パネル３の表示画像、Ａはスク
リーン２面に投影された投影画像、F,F′は投影レンズ
４の焦点を示し、θは液晶表示パネル３面の延長面3aと
投影レンズ主平面の延長面4aとの交差角、θ′は投影レ
ンズ主平面の延長面4aとスクリーン２面の延長面2aとの
交差角を示している。なお、θ，θ′の正負は、図の場
合θ＜0,θ′＞０とした。また、図において座標x,y,z
の原点は焦点Ｆ、座標ｘ′,y′,z′の原点は焦点Ｆ′で
ある。第12図において、表示画像A₀の光軸Ｏ上の点Z₀の
ｚ座標をz₀、投影画像Ａの光軸Ｏ上の点Z₀′のｚ′座標
をz₀′とし、投影レンズ４の焦点距離をｆとすると、 が成立てば、液晶表示パネル３面の延長面3aと投影レン
ズ主平面の延長面4aとスクリーン２面の延長面2aとがＰ
において交わり、スクリーン２面に投影された投影画像
Ａがピントの合った画像となる。

このとき、表示画像A₀に対する投影画像Ａ上の各点の
座標x,y方向の倍率ｍは、ｚ＝z₀＋y tanθ,z′＝z₀′＋
ｙ′tanθ′の関係にあるから、 Ｙ方向の倍率Ｍは、 となる。

したがって第11図に示したようなスクリーン２に斜め
下方から画像を投影する投影型表示装置の場合は、液晶
表示パネル３の表示画像A₀が第13図（ａ）に示すような
方形であっても、スクリーン２面に結像した投影画像Ａ
は第13図（ｂ）に示すような逆台形状に歪んだ外形の画
像となってしまうことになる。これは、表示体としてブ
ラウン管や原画フィルム等を使用する投影型表示装置に
おいても同様である。

本発明は、表示体の表示画像を投影レンズにより拡大
して投影面に斜め方向から投影するものでありながら、
投影面に結像する投影画像を、台形状の歪みがない画像
とすることができる投影型表示装置を提供することを目
的としている。

〔課題を解決するための手段〕

本発明は上記目的を達成するために、投影レンズと表
示体との間に補助投影レンズを設け、かつ前記補助投影
レンズの主平面と前記表示体の表示面とを相対的に傾斜
させ、前記補助投影レンズによる像の像面と前記投影レ
ンズの主平面とを相対的に傾斜させるとともに、前記補
助投影レンズと前記投影レンズを、 前記補助投影レンズの焦点距離をf₁ 前記投影レンズの焦点距離をf₂ 前記補助投影レンズの主平面の延長面と表示体の表示
面の延長面との交差角をθ_１ 前記補助投影レンズの主平面の延長面と前記補助投影
レンズによる像の像面の延長面との交差角をθ_１′ 前記補助投影レンズによる像の像面の延長面と前記投
影レンズの主平面の延長面との交差角をθ_２ 前記投影レンズの主平面の延長面と投影面の延長面と
の交差角をθ_２′ としたとき、 が成立する条件で配置したものである。

ここで、望ましくは、 が成立することが理想的である。

また、本発明は、投影レンズから投影面への投影光路
を、投影レンズを通った画像光を直接投影する直線光路
とした投影型表示装置にも、前記投影光路を、投影レン
ズを通った画像光を少なくとも１枚の画像光反射ミラー
で反射させて投影面に投影する屈曲光路とした投影型表
示装置にも適用できるもので、投影面に投影された画像
をピントの合った画像とするには、前記補助投影レンズ
を、この補助投影レンズの主平面の延長面が前記表示体
の表示面の延長面と前記補助投影レンズによる像の像面
の延長面との交差線上でほぼ交わる条件で設けるととも
に、前記投影レンズを、この投影レンズの主平面の延長
面が前記補助投影レンズによる像の像面の延長面と前記
投影面の延長面（投影光路が直線光路の場合は実際の投
影面の延長面、投影光路が画像光反射ミラーを備えた屈
曲光路の場合は投影レンズから投影面への前記屈曲光路
を直線状に展開したときの仮想の投影面の延長面）との
交差線上でほぼ交わる条件で設ければよい。

〔作用〕

すなわち、本発明の投影型表示装置は、表示体と投影
レンズとの間に補助投影レンズを設けることによって、
投影レンズにより投影面に投影される投影画像の台形状
歪みを矯正するようにしたものであり、前記補助投影レ
ンズの主平面と前記表示体の表示面とを相対的に傾斜さ
せ、前記補助投影レンズによる像の像面と前記投影レン
ズの主平面とを相対的に傾斜させるとともに、前記補助
投影レンズと前記投影レンズを、上記の式 が成立する条件で配置しておけば、表示体の表示画像が
補助投影レンズによって台形状に歪み、しかもこの画像
の台形状歪みが、投影レンズにより投影面に斜め方向か
ら投影される投影画像の台形状歪みと逆の歪みとなるた
めに、補助投影レンズによって歪ませた画像を投影レン
ズによって投影面に投影すれば、補助投影レンズによる
画像の歪みと、投影レンズによる投影面投影画像の歪み
とが互いに打消し合うから、投影面に結像する投影画像
は台形状の歪みがない画像となる。

また、この投影型表示装置において、 が成立すれば、投影面に投影される画像は、表示体の表
示画像に対する縦方向の倍率と横方向の倍率がそれぞれ
等しい、表示体の表示画像と完全に相似形の画像とな
る。

さらに、上記投影型表示装置において、前記補助投影
レンズを、この補助投影レンズの主平面の延長面が前記
表示体の表示面の延長面と前記補助投影レンズによる像
の像面の延長面との交差線上でほぼ交わる条件で設ける
とともに、前記投影レンズを、この投影レンズの主平面
の延長面が前記補助投影レンズによる像の像面の延長面
と前記投影面の延長面（投影光路が直線光路の場合は実
際の投影面の延長面、投影光路が画像光反射ミラーを備
えた屈曲光路の場合は投影レンズから投影面への前記屈
曲光路を直線状に展開したときの仮想の投影面の延長
面）との交差線上でほぼ交わる条件で設ければ、投影レ
ンズから投影面への投影光路を直線光路とした投影型表
示装置の場合も、前記投影光路を屈曲光路とした投影型
表示装置の場合も、投影面に投影された画像を、台形状
の歪みがなくしかもピントの合った画像とすることがで
きる。

〔実施例〕

以下、本発明の投影型表示装置について、その実施例
を説明する。

まず、本発明の投影型表示装置の原理を説明すると、
第１図は本発明の投影型表示装置の基本光学系を示した
もので、この光学系は、例えば液晶表示パネル等の表示
体13の表示画像A₀を補助投影レンズ17によって投影して
第１投影画像A₁をつくる第１の光学系と、前記第１投影
画像A₁を投影レンズ14によって投影面例えばスクリーン
12面に斜め方向から投影してスクリーン投影画像A₂をつ
くる第２の光学系とからなっている。なお、図では理解
しやすくするために第１投影画像A₁を実像としている
が、この第１投影画像A₁は虚像であってもよい。F₁,
F₁′は補助投影レンズ17の焦点、F₂,F₂′は投影レンズ1
4の焦点を示し、θ_１は表示体13面の延長面13aと補助投
影レンズ17の主平面の延長面17aとの交差角、θ_１′は
補助投影レンズ主平面の延長面17aと第１投影画像A₁面
の延長面A₁aとの交差角、θ_２は第１投影画像A₁面の延
長面A₁aと投影レンズ14の主平面の延長面14aとの交差
角、θ_２′は投影レンズ主平面の延長面14aとスクリー
ン12面の延長面12aとの交差角を示している。なお、
θ₁,θ_１′，θ₂,θ_２′の正負は、図の場合θ_１＜0,θ
_１′＞0,θ_２＜0,θ_２′＞０とした。また、図におい
て、座標x₁,y₁,z₁の原点は補助投影レンズ17の焦点F₁、
座標x₁′,y₁′,z₁′の原点は補助投影レンズ17の焦点
F₁′、座標x₂,y₂,z₂の原点は投影レンズ14の焦点F₂、座
標x₂′,y₂′,z₂′の原点は投影レンズ14の焦点F₂′であ
る。

この光学系は、基本的には第12図に示した従来の投影
型表示装置の光学系を２つ組合わせたもので、第１の光
学系において、表示画像A₀の補助投影レンズ光軸O₁上の
点Z₀₁のz₁座標をz₀₁、第１投影画像A₁の前記光軸O₁上の
点Z₀₁′のz₁′座標をz₀₁′とし、補助投影レンズ17の焦
点距離をf₁とすると、 が成立てば、表示体13面の延長面13aと補助投影レンズ
主平面の延長面17aと第１投影画像A₁面の延長面A₁aとが
P₁において交わり、第１投影画像A₁がピントの合った画
像となる。

また、第２の光学系において、第１投影画像A₁の投影
レンズ光軸O₂上の点Z₀₂（＝Z₀₁′）のz₂座標をz₀₂、ス
クリーン投影画像A₂の前記光軸O₂上の点Z₀₂′のz₂′座
標をz₀₂′とし、投影レンズ14の焦点距離をf₂とする
と、 が成立てば、第１投影画像A₁面の延長面A₁aと投影レン
ズ主平面の延長面14aとスクリーン12面の延長面12aとが
P₂において交わり、スクリーン投影画像A₂がピントの合
った画像となる。

ここで、第１の光学系と第２の光学系とが、ある交差
角（補助投影レンズ17の光軸O₁と投影レンズ14の光軸O₂
との交差角）α（α＝θ_１′−θ_２）で交わっていると
すると、このとき、 の関係が成立っているとすれば、表示画像A₀に対するス
クリーン投影画像A₂上の各点の座標ｘ方向の倍率ｍ（第
１光学系での倍率m₁と第２光学系での倍率m₂との積）
は、 となる。

そしてＹ方向の倍率Ｍは、 また、Y₂＝Y₁′であることを考えると、 となる。

したがって、 が成立すれば、スクリーン投影画像A₂は台形状歪みのな
い画像となる。

第２図は表示体13の表示画像A₀と第１投影画像A₁とス
クリーン投影画像A₂の外形を示しており、表示体13の表
示画像A₀の外形が第２図（ａ）に示すような方形である
場合、第１投影画像A₁の外形は第２図（ｂ）に示すよう
に台形状に歪むが、スクリーン投影画像A₂は、台形状に
歪んだ第１投影画像A₁が逆の台形状に歪むことによっ
て、台形状の歪みのない第２図（ｃ）に示すような方形
画像となる。

また、第２図（ｃ）に示したスクリーン投影画像A
₂は、表示体13の表示画像A₀に対するＹ方向とｘ方向の
倍率が若干異なっており、僅かながら縦方向（Ｙ方向）
に伸びた画像となっているが、 となるようにすれば、スクリーン投影画像A₂は、表示体
13の表示画像A₀に対するＹ方向とｘ方向の倍率が等し
い、表示体13の表示画像A₀と完全に相似形な拡大画像と
なる。

次に、本発明の具体的な実施例を説明する。

第３図および第４図は本発明の第１の実施例を示して
いる。第３図において、11は表示装置本体であり、この
装置本体11の前面には表示窓が開口され、この表示窓に
は投影面として透過型スクリーン12が設けられている。
13は装置本体１内の後部側に前記スクリーン12よりも下
方に位置させて配置された表示体例えば透過型の液晶表
示パネル、14は投影レンズであり、この投影レンズ14は
スクリーン12面に斜めに対向させて配置されている。15
は液晶表示パネル13をその背面側から照明する光源、16
は光源15からの光を液晶表示パネル13に向けて反射させ
る光源光反射ミラーである。

一方、第３図および第４図において、17は液晶表示パ
ネル13と投影レンズ14との間に配置された凸レンズから
なる補助投影レンズであり、この補助投影レンズ17は、
その光軸O₁が投影レンズ14の光軸O₂と所定の角度αで交
差する姿勢で設けられており、液晶表示パネル13はこの
補助投影レンズ17に対向させて、補助投影レンズ17の光
軸O₁に垂直な面に対し所定の傾斜角度θ_１をもたせて配
置されている。なお、第４図において、F₁,F₁′は補助
投影レンズ17の焦点、F₂,F₂′は投影レンズ14の焦点を
示している。上記補助投影レンズ17は、液晶表示パネル
13の表示画像を台形状に歪ませて投影レンズ14に入射さ
せるもので、この補助投影レンズ17は、投影レンズ14と
対向する位置に液晶表示パネル13の表示画像を投影して
第１投影画像A₁をつくる。この第１投影画像A₁は虚像で
あり、この虚像A₁は、液晶表示パネル13の表示面の延長
面13aと、補助投影レンズ17の主平面の延長面17aとの交
差線P₁上において上記２つの面13a,17aと交差する面A₁a
上に結像する。また、投影レンズ14は、その主平面の延
長面14aが、前記補助投影レンズ17がつくる虚像A₁の像
面の延長面A₁aと、スクリーン12面の延長面12aとの交差
線P₂上で交わる姿勢で設けられている。

この投影型表示装置は、光源15からの光を光源光反射
ミラー16を介して液晶表示パネル13に入射させ、この液
晶表示パネル13が表示するテレビジョン画像等の表示画
像を補助投影レンズ17に入射させて液晶表示パネル13の
表示画像の虚像A₁をつくり、この虚像A₁を投影レンズ４
により拡大して装置本体11前面の透過型スクリーン12に
投影するもので、スクリーン12に投影された画像は装置
の前方から観察される。なお、この透過型スクリーン12
は、その背面（装置本体内側の光入射面）にスクリーン
12に対して斜め方向から投影される画像光をスクリーン
面に対して垂直な光に補正するサーキュラフレネルレン
ズを形成するとともに、スクリーン表面にこのスクリー
ン12を透過する光を拡散させるレンチキュラーレンズを
形成したものとされている。

しかして、上記投影型表示装置においては、液晶表示
パネル13を補助投影レンズ17の光軸O₁に垂直な面に対し
所定の傾斜角度θ_１をもたせて配置するとともに、補助
投影レンズ17を投影レンズ14と対向する位置に前記液晶
表示パネル13の表示画像の虚像A₁をつくる姿勢で設けて
いるから、この補助投影レンズ17がつくる虚像A₁は、液
晶表示パネル13の表示画像A₀が第２図（ａ）に示したよ
うな方形状外形であるのに対して、画像の上側が大きく
広がった第２図（ｂ）に示したような逆台形状に歪んだ
像となる。そして、液晶表示パネルの表示画像をそのま
ま投影レンズによりスクリーン面に拡大投影する従来の
投影型表示装置では、前述したようにスクリーン投影画
像が逆台形状に歪んだ像となるが、この実施例の投影型
表示装置では、液晶表示パネル13の表示画像を補助投影
レンズ17により台形状に歪ませて投影レンズ14に入射さ
せるようにしているから、スクリーン12に斜め方向から
投影される投影画像の台形状歪みを見込んで液晶表示パ
ネル13の表示画像を補助投影レンズ17により歪ませ、こ
の歪ませた像A₁を投影レンズ14によりスクリーン12に投
影するようにすれば、すなわち、補助投影レンズ17と投
影レンズ14とを前述した（１）式の条件が成立するよう
に配置しておけば、補助投影レンズ17によって投影され
た第１投影画像（虚像）A₁の歪みと、投影レンズ14によ
って投影されたスクリーン投影画像の歪みとが互いに打
消し合って、スクリーン12に投影される投影画像の台形
状歪みが矯正され、したがってスクリーン12面に結像す
るスクリーン投影画像A₂は、第２図（ｃ）に示したよう
な台形状歪みのない画像となる。また、この投影型表示
装置において、前述した（２）式の条件が成立するよう
にすれば、スクリーン投影画像A₂は、表示体13の表示画
像A₀に対する縦方向（Ｙ方向）と横方向（ｘ方向）の倍
率が等しい、表示体13の表示画像A₀と完全に相似形な拡
大画像となる。

また、上記投影型表示装置では、液晶表示パネル13と
補助投影レンズ17とを上記のような条件で設けてスクリ
ーン投影画像A₂の台形状歪みをなくすとともに、補助投
影レンズ17を、この補助投影レンズ17の主平面の延長面
17aが液晶表示パネル13の表示面の延長面13aと補助投影
レンズ17がつくる虚像A₁の像面の延長面A₁aとの交差線P
₁上で交わるように設け、投影レンズ14を、この投影レ
ンズ14の主平面の延長面14aが補助投影レンズ17をつく
る虚像A₁の像面の延長面A₁aとスクリーン12面の延長面1
2aとの交差線P₂上で交わる姿勢で設けているから、液晶
表示パネル13の各点からの画像光は全てスクリーン12面
において結像することになり、したがって、スクリーン
投影画像A₁は、画像全域にわたってピントの合った画像
となる。

なお、上記実施例では、投影レンズ14からスクリーン
12への投影光路を、投影レンズ14を通った画像光を直接
スクリーン12に投影する直線光路としているが、投影レ
ンズ14を通った画像光をミラーで反射させてスクリーン
12に投影するようにすれば、装置の奥行き長さを小さく
することができる。

すなわち、第５図は本発明の第２の実施例を示したも
ので、この実施例では、投影レンズ14からスクリーン12
への投影光路を、投影レンズ14を通った画像光をスクリ
ーン12に向けて反射させる画像光反射ミラー18を備えた
屈曲光路としたものであり、画像光反射ミラー18はスク
リーン12に対向させて配置され、投影レンズ14は画像光
反射ミラー18に斜めに対向させて配置されている。そし
て、このように投影レンズ14からスクリーン12への投影
光路を屈曲光路とする場合は、液晶表示パネル13および
補助投影レンズ17を前記（１）式の条件または（１）式
と（２）式の条件を満足するようにして配置するととも
に、補助投影レンズ17を、上記第１の実施例と同様に、
この補助投影レンズ17の主平面の延長面17aが液晶表示
パネル13の表示面の延長面13aと補助投影レンズ17がつ
くる虚像A₁の像面の延長面A₁aとの交差線P₁上で交わる
ように設け、投影レンズ14を、その主平面の延長面14a
が、補助投影レンズ17がつくる第１投影画像（虚像）A₁
の像面の延長面A₁aと、投影レンズ14からスクリーン12
への屈曲光路を直線状に展開して考えたときの仮想のス
クリーン面12′の延長面12a′との交差線P₂′上で交わ
る姿勢で設ければよく、このようにすれば、スクリーン
12面に、台形状の歪みがなく、かつピントの合った画像
を結像させることができる。なお、この実施例では投影
レンズ14からスクリーン12への投影光路を、１枚の画像
光反射ミラー18を備えた屈曲光路としているが、この投
影光路は２枚以上の画像光反射ミラーを備えたジグザグ
の屈曲光路としてもよく、このようにすれば装置の奥行
き長さをさらに小さくすることができる。

さらに、上記実施例では、補助投影レンズ17として凸
レンズを用いているが、補助投影レンズ17がつくる虚像
A₁を投影レンズ14によってスクリーン12に投影する場合
は、前記補助投影レンズ17を第６図に示す第３の実施例
のように凹レンズとしてもよい。

また、上記実施例では、補助投影レンズ17がつくる第
１投影画像A₁を虚像とし、この虚像A₁を投影レンズ14に
よってスクリーン12に投影するようにしているが、補助
投影レンズ17と投影レンズ14との間に実像を結像させる
第１画像結像面を設ければ、補助投影レンズ17がつくる
第１投影画像A₁を実像として、この実像を投影レンズ14
によってスクリーン12に投影することも可能である。す
なわち、第７図は本発明の第４の実施例を示したもの
で、この実施例は、凸レンズからなる補助投影レンズ17
と投影レンズ14との間に光透過性の第１画像結像面19を
設けて補助投影レンズ17を通った画像光をこの第１画像
結像面19に台形状に歪んだ実像として結像させ、この第
１画像結像面19に結像した実像A₁を投影レンズ14によっ
てスクリーン12に投影するようにしたものである。な
お、上記第１画像結像面19は、補助投影レンズ17を通っ
てこの結像面19に入射した光を投影レンズ14に向けて屈
折させるものとする必要があるが、この第１画像結像面
19としては、微小幅のストライプ状プリズムを幅方向に
連続させて形成したプリズム板か、あるいは偏心レンズ
等を用いることが考えられる。

また、上記実施例では、補助投影レンズ17を、その光
軸O₁が投影レンズ14の光軸O₂と交差する姿勢で設けてい
るが、液晶表示パネル13の傾斜角度を適当に選ぶととも
に補助投影レンズ17と投影レンズ14とをその焦点F₁′,F
₂を一致させて配置すれば、第８図に示す第５の実施例
のように補助投影レンズ17と投影レンズ14とを、その光
軸O₁,O₂を一致させて直線的に配置することもできる。
ただし、この場合は、投影レンズ14として大口径のレン
ズが必要になる。

なお、第７図および第８図の実施例においても、補助
投影レンズ17がつくる第１投影画像A₁は、液晶表示パネ
ル13の表示面の延長面13aと、補助投影レンズ17の主平
面の延長面17aとの交差線P₁上において上記２つの面13
a,17aと交差する面A₁a上に結像し、また投影レンズ14
は、その主平面の延長面14aが、前記補助投影レンズ17
がつくる第１投影画像A₁（第７図では第１画像結像面19
に結像する実像、第８図では虚像）の像面の延長面A₁a
と、スクリーン面（実際のスクリーン面または投影レン
ズからスクリーンへの屈曲光路を展開した仮想のスクリ
ーン面）の延長面との交差線上で交わる姿勢で設けられ
ている。

また、上記各実施例では、表示体として液晶表示パネ
ル13を使用しているが、この表示体は、ブラウン管（こ
の場合は光源15は不要である）や、リバーサルフィルム
等の原画フィルムであってもよい。

さらに、本発明は、装置本体11の前面に投影面として
透過型スクリーン12を設け、装置本体11内に液晶表示パ
ネル13と補助投影レンズ17および投影レンズ14を設けた
投影型表示装置に限らず、装置本体とは別の外部スクリ
ーン等を投影面としてこの外部の投影面に画像を投影す
る投影型表示装置にも適用することができる。

第９図は本発明の第６の実施例として、外部の投影面
に画像を投影する投影型表示装置の一種であるオーバヘ
ッド・プロジェクタに本発明を適用した例を示してい
る。なお、オーバヘッド・プロジェクタには、表示体で
ある原稿にその下面側から光を照射して原稿を透過した
画像光を投影面に投影する透過型のものと、OHPシート
等の透過原稿にその上方から光を照射して原稿の下にあ
るフレネルミラー等のミラーで反射した光線が再び原稿
を透過するときに形成される画像光を投影面に投影する
反射型のものとがあるが、ここでは、透過型オーバヘッ
ド・プロジェクタの例を示している。

この透過型オーバヘッド・プロジェクタの構成を説明
すると、第９図において、21は上面を透明な原稿載置面
としたプロジェクタ本体であり、このプロジェクタ本体
21内には光源25が設けられている。23はプロジェクタ本
体21上の原稿載置面に載置された透明原価フィルム等の
原稿である。また、24は投影レンズ、27はこの投影レン
ズ24と前記原稿23との間に配置された補助投影レンズ
（図では凹レンズ）、28は投影レンズ24を通った画像光
を外部の投影面例えばスクリーン22に向けて反射させる
画像光反射ミラーであり、補助投影レンズ27と投影レン
ズ24は、プロジェクタ本体21の上方に支柱を介して設け
た投影ユニット（図示せず）内に設けられ、画像光反射
ミラー28は上記投影ユニットの上に角度調節可能に設け
られている。

しかして、このオーバヘッド・プロジェクタにおいて
も、上記のように投影レンズ24と原稿23との間に補助投
影レンズ27を設け、かつ補助投影レンズ27の主平面と原
稿23面とを相対的に傾斜させ、補助投影レンズ27がつく
る第１投影画像（図では虚像）A₁の像面と投影レンズ24
の主平面とを相対的に傾斜させるとともに、補助投影レ
ンズ27と投影レンズ24を、前述した（１）式が成立する
条件で配置すれば、スクリーン22面に結像するスクリー
ン投影画像を台形状歪みのない画像とすることができる
し、さらに前述した（２）式の条件が成立するようにす
れば、スクリーン投影画像は、原稿23の表示画像と完全
に相似形な画像となる。また、補助投影レンズ27を、こ
の補助投影レンズ27の主平面の延長面27aが原稿23面の
延長面23aと補助投影レンズ27がつくる第１投影画像A₁
の像面の延長面A₁aとの交差線P₁上で交わるように設
け、投影レンズ24を、その主平面の延長面24aが、前記
第１投影画像A₁の像面の延長面A₁aと、投影レンズ24か
らスクリーン22への屈曲光路を直線状に展開して考えた
ときの仮想のスクリーン面22′の延長面22a′との交差
線P₂′上で交わるように設ければ、原稿23の表示画像を
スクリーン22面にピントの合った画像として結像させる
ことができる。

〔発明の効果〕

請求項１に記載の投影型表示装置によれば、投影レン
ズと表示体との間に補助投影レンズを設け、かつ前記補
助投影レンズの主平面と前記表示体の表示面とを相対的
に傾斜させ、前記補助投影レンズによる像の像面と前記
投影レンズの主平面とを相対的に傾斜させるとともに、
前記補助投影レンズと前記投影レンズを、 が成立する条件で配置しているから、表示体の表示画像
を投影レンズにより拡大してスクリーンに斜め方向から
投影するものでありながら、スクリーン面に結像する投
影画像を台形状の歪みがない画像とすることができる。

また請求項２に記載の投影型表示装置のように、上記
請求項１に記載の投影型表示装置において、 が成立すれば、スクリーン面に結像する投影画像を、台
形状の歪みがなく、しかも表示体の表示画像に対する縦
方向と横方向の倍率が等しい、表示体の表示画像と完全
に相似形な拡大画像とすることができる。

さらに、請求項３および４に記載の投影型表示装置に
よれば、上記請求項１または２に記載の投影型表示装置
において、補助投影レンズを、この補助投影レンズの主
平面の延長面が前記表示体の表示面の延長面と前記補助
投影レンズによる像の像面の延長面との交差線上でほぼ
交わる条件で設け、前記投影レンズを、この投影レンズ
の主平面の延長面が前記補助投影レンズによる像の像面
の延長面と投影面の延長面（投影レンズから投影面への
投影光路が、投影レンズを通った画像光を直接投影面に
投影する直線光路である場合は実際の投影面の延長面、
前記投影光路が、投影レンズを通った画像光を少なくと
も１枚の画像光反射ミラーで反射させて投影面に投影す
る屈曲光路である場合は前記屈曲光路を直線状に展開し
たときの仮想の投影面の延長面）との交差線上でほぼ交
わる条件で設けているから、投影面に、台形状の歪みが
なく、かつピントの合った画像を結像させることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の投影型表示装置の基本光学系を示す
図、第２図は表示体の表示画像と補助投影レンズがつく
る第１投影画像とスクリーン投影画像の外形を示す図、
第３図および第４図は本発明の第１の実施例を示す投影
型表示装置の縦断側面図およびその光学系の拡大図、第
５図は本発明の第２の実施例を示す投影型表示装置の縦
断側面図、第６図〜第８図はそれぞれ本発明の第３〜第
５の実施例を示す液晶表示パネルと補助投影レンズと投
影レンズの配置図、第９図は本発明の第６の実施例を示
す投影型表示装置の側面図、第10図は従来の投影型表示
装置の縦断側面図、第11図および第12図は従来の斜め投
影方式の投影型表示装置の縦断側面図およびその光学系
を示す図、第13図は従来の斜め投影方式の投影型表示装
置における液晶体の表示画像とスクリーン投影画像の外
形を示す図である。 12,22……スクリーン（投影面）、12a……スクリーン面
の延長面、12′,22′……仮想のスクリーン面、12a′,2
2a′……仮想のスクリーン面の延長面、13……表示体
（液晶表示パネル）、23……表示体（原稿）、A₀……表
示画像、13a,23a……表示体の表示面の延長面、14,24…
…投影レンズ、14a,24a……投影レンズの主平面の延長
面、17,27……補助投影レンズ、17a,27a……補助投影レ
ンズの主平面の延長面、A₁……第１投影画像（補助投影
レンズによる実像または虚像）、19……第１画像結像
面、A₁a……第１投影画像の像面の延長面、18,28……画
像光反射ミラー、A₂……投影画像。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) G03B 21/00

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】表示体の表示画像を投影レンズにより拡大
   して投影面に斜め方向から投影する投影型表示装置にお
   いて、前記投影レンズと表示体との間に補助投影レンズ
   を設け、かつ前記補助投影レンズの主平面と前記表示体
   の表示面とを相対的に傾斜させ、前記補助投影レンズに
   よる像の像面と前記投影レンズの主平面とを相対的に傾
   斜させるとともに、前記補助投影レンズと前記投影レン
   ズを、 前記補助投影レンズの焦点距離をf₁ 前記投影レンズの焦点距離をf₂ 前記補助投影レンズの主平面の延長面と表示体の表示面
   の延長面との交差角をθ_１ 前記補助投影レンズの主平面の延長面と前記補助投影レ
   ンズによる像の像面の延長面との交差角をθ_１′ 前記補助投影レンズによる像の像面の延長面と前記投影
   レンズの主平面の延長面との交差角をθ_２ 前記投影レンズの主平面の延長面と投影面の延長面との
   交差角をθ_２′ としたとき、 が成立する条件で配置したことを特徴とする投影型表示
   装置。
2. 【請求項２】請求項１に記載の投影型表示装置におい
   て、 が成立することを特徴とする投影型表示装置。
3. 【請求項３】投影レンズから投影面への投影光路は、投
   影レンズを通った画像光を直接投影面に投影する直線光
   路であり、前記補助投影レンズは、この補助投影レンズ
   の主平面の延長面が前記表示体の表示面の延長面と前記
   補助投影レンズによる像の像面の延長面との交差線上で
   ほぼ交わる条件で設けられ、前記投影レンズは、この投
   影レンズの主平面の延長面が前記補助投影レンズによる
   像の像面の延長面と前記投影面の延長面との交差線上で
   ほぼ交わる条件で設けられていることを特徴とする請求
   項１または２に記載の投影型表示装置。
4. 【請求項４】投影レンズから投影面への投影光路は、投
   影レンズを通った画像光を少なくとも１枚の画像光反射
   ミラーで反射させて投影面に投影する屈曲光路であり、
   前記補助投影レンズは、この補助投影レンズの主平面の
   延長面が前記表示体の表示面の延長面と前記補助投影レ
   ンズによる像の像面の延長面との交差線上でほぼ交わる
   条件で設けられ、前記投影レンズは、この投影レンズの
   主平面の延長面が前記補助投影レンズによる像の像面の
   延長面と前記投影レンズから投影面への前記屈曲光路を
   直線状に展開したときの仮想の投影面の延長面との交差
   線上でほぼ交わる条件で設けられていることを特徴とす
   る請求項１または２に記載の投影型表示装置。