JP2904448B2 - 真空バルブの接点材料 - Google Patents

真空バルブの接点材料

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Description

【発明の詳細な説明】
[発明の目的]
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電流さい断特性および
高周波消弧特性に優れた真空バルブの接点材料に関す
る。
【0002】
【従来の技術】真空中でのアーク拡散性を利用して高真
空中で電流しゃ断を行わせる真空バルブの接点は、対向
する固定、可動の2つの接点から構成されている。この
真空バルブを用いて、電動機負荷などの誘導性回路の電
流をしゃ断するとき、過度の異常サージ電圧が発生し、
負荷機器を破壊させる恐れがある。この異常サージ電圧
の発生原因は、例えば真空中における小電流しゃ断時に
発生するさい断現象(交流電流波形の自然ゼロ点を待た
ずに強制的に電流しゃ断が行われること)、或いは高周
波消弧現象などによるものである。さい断現象による異
常サージ電圧の値Vsは、回路のサージインピーダンス
Zoと、電流さい断値Icの積、即ちVs=Zo・Ic
で表される。従って、異常サージ電圧Vsを低くするた
めには電流さい断値Icを小さくしなくてはならない。
【0003】上記の要求に対して、炭化タングステン
(WC)と銀(Ag)とを複合化した合金の接点を用い
た真空開閉器が開発され(特願昭42−68447号、
米国特許第3683138号)、これが実用化されてい
る。このAg−WC系合金の接点は、次のような特徴が
ある。 (1)WCの介在が電子放射を容易にさせる。 (2)電界放射電子の衝突による電極面の加熱に基づく
接点材料の蒸発を促進させる。 (3)接点材料の炭化物がアークにより分解し、荷電体
を生成してアークを接続する。
【0004】また、低さい断電流特性(低チョッピング
特性)を発揮する他の接点材料として、ビスマス(B
i)と銅(Cu)とを複合化した合金が製造され、この
材料が真空バルブに実用化されている(特公昭35−1
4974号公報、米国特許第2975256号、特公昭
41−12131号公報、米国特許第3246979
号)。この合金のうち、Biを10重量%(以下wt%
と記す。)としたもの(特公昭35−14974号公
報)は、その適度な蒸気圧特性を有するので低いさい断
電流特性を発揮し、またBiを0.5wt%としたもの
(特公昭41−12131号公報)は、結晶粒界に偏析
して存在する結果、合金自体を脆化し低い溶着引外力を
実現し大電流しゃ断性に優れている。低さい断電流特性
を得る他の接点材料として、AgとCuとの比率をほぼ
7:3としたAg−Cu−WC合金が提案されている
(特開昭58−157015号公報)。この合金におい
ては、従来にない限定をしたAgとCuとの比率を選択
するので、安定したさい断電流特性を発揮すると記載さ
れている。さらに、特公昭62−077439号公報に
は、耐弧性材料の粒径(例えばWCの粒径)を0.2〜
1μmとすることにより、低さい断電流特性の改善に有
効であることが示唆されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】真空バルブは、近年、
電動機等の誘導性回路に適用されることが増えると共
に、高サージインピーダンス負荷も出現したため、一層
安定した低さい断電流特性を持つことが望まれるのは勿
論のこと、高周波消弧特性(高周波電流しゃ断能力)に
ついても兼備し満足しなくてはならない。これは、電流
さい断によるサージ以外に繰返し高周波再発弧によるサ
ージが負荷の絶縁にとって脅威となることが判明したか
らである。従来の真空バルブの接点材料は、これらの両
特性を同時に満足させる接点材料はなかった。
【0006】即ち、電流さい断によるサージ(過電圧)
は電流さい断値を小さくすることにより改善できる。し
かし、繰返し高周波再発弧によるサージは、電流さい断
後、電極間で絶縁破壊が発生した時に回路条件により流
れる高周波電流をしゃ断することで回復電圧値が増大
し、さらに電極間での絶縁破壊が発生する過程の繰返し
によって回復電圧値が増大し、過大なサージ電圧を発生
させるものである。この場合では、高周波電流を消弧す
るために発生するものであり、高周波消弧特性をサージ
電圧が小さくなるように改善させることにより、発生サ
ージを低減させることができるため、高周波電流放電の
続弧特性の改良・安定化を計る必要がある。WCとAg
とを複合化した合金の接点(特願昭42−68447
号、米国特許第3683138号)では、さい断電流値
自体が不十分であるのみならず、高周波消弧特性の改善
に対しては何等の配慮もなされていない。
【0007】10wt%のBiとCuとを複合化した合
金(特公昭35−14974号公報、米国特許第297
5256号)では、開閉回数の増大と共に電極間空間へ
の金属供給量が減少し、低さい断電流特性の劣化が現
れ、高蒸気圧元素量に依存して耐電圧特性の劣化も指摘
されている。しかも、高周波消弧特性を十分に満足して
いない。0.5wt%のBiとCuとを複合化した合金
(特公昭41−12131号公報、米国特許第3246
979号)では、低さい断電流特性が不十分である。
【0008】また、AgとCuとの重量比率をほぼ7:
3としたAg−Cu−WC合金(特開昭58−1570
15号公報)及び耐弧性材料の粒径を0.2〜1μmと
する合金(特開昭62−077439号公報)では、高
周波消弧特性を十分に満足していない。本発明の目的
は、優れた低さい断電流特性と高周波消弧特性を兼備す
る真空バルブの接点材料を提供することにある。 [発明の構成]
【0009】
【課題を解決するための手段と作用】上記目的を達成す
るために本発明は、高導電性成分の含有量はAg又は/
及びCuの総計量が20〜50wt%であり、耐弧性成
分の含有量はWeとCr3 C2 又は/及びVcとの総計
量が50〜80wtであり、耐弧性成分のうちのCr3
C2 又は/及びVcの量はWcの量に対し1〜10wt
%含有したことにより、電流さい断特性および高周波消
弧特性が良好になる。
【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図1は真空バルブの断面図、図2は真空バルブの
電極部の拡大図である。
【0011】図1において、しゃ断室1は絶縁材料によ
りほぼ円筒状に形成された絶縁容器2と、この両端に封
止金具3a、3bを介して設けた金属性の蓋体4a、4
bとで真空密に構成されている。
【0012】しゃ断室1内には、導電棒5、6の対向す
る端部に取付けられた1対の電極7、8が配設され、上
部の電極7を固定電極、下部の電極8を可動電極として
いる。この電極8の電極棒6には、ベローズ9が取付け
られしゃ断室1内を真空密に保持しながら電極8の軸方
向の移動を可能にしている。このベローズ9上部には金
属性のアークシールド10が設けられ、ベローズ9がア
ーク蒸気で覆われることを防止している、また、前記電
極7、8を覆うようにしゃ断室1内に金属製のアークシ
ールド11が設けられ、これにより絶縁容器2がアーク
蒸気で覆われることを防止している。更に電極8は、図
2に拡大して示す如く導電棒6にろう付部12によって
固定されるか、又はかしめによって圧着接続されてい
る。接点13aは電極8にろう付14によって取付けら
れる。なお、接点13bは電極7にろう付により取付け
られる。
【0013】一般に電流さい断特性の改善には、電流さ
い断自体をより低い値に維持すること以外に、そのばら
つき幅を縮めることも極めて重要である。前述の電流さ
い断現象は、接点間の蒸気量(材料物性としては蒸気
圧、熱伝導)、接点材料からの放出電子などと関係が深
いとされ、発明者らの実験によれば、前者の方が寄与が
大きいことが判明した。従って、蒸気を供給し易くする
か、あるいは供給し易い材料で接点を作成すれば電流さ
い断現象が緩和できることが判明した。前述のCu−B
i系合金はこうした観点に立つもので、低いさい断値を
有する。しかしながら、致命的な欠点として、Biが持
つ低融点(271℃)のために通常真空バルブで行われ
る600℃近傍のベーキング或いは800℃の銀ろう付
け作業時に、Biの溶融による移動・凝集の結果、電流
さい断特性を維持すべきBiの存在が不均一になってし
まう。このため、電流さい断値のばらつき幅が増大する
現象が見られる。
【0014】一方、Ag−WCで代表されるAg−耐弧
性材料系合金では、耐弧性材料(この場合WC)の沸点
におけるAgの蒸気量に左右されるものの、他方前記C
u−Bi系におけるBiの蒸気圧よりAgの蒸気圧は著
しく低いために接点のどの位置に(Agか耐弧性材料
か)アークの足が固着するかによって、温度不足すなわ
ち蒸気不足を招くことがある。結果的には、電流さい断
値のばらつき幅があらわれることが確認された。このよ
うに電流さい断終期の接点面の急激な温度低下をAgと
耐弧性材料との組合わせのみによる合金によって阻止し
アークを維持させることは既に限界であると考えられ
た。更に、高性能化するためには、何等かの補助技術を
付与する必要があるとの結論に至った。この改良の1つ
の考えとして前記特開昭58−157015号公報で
は、高導電性成分をAgとCuとの合金にすることによ
って結晶粒を細かく分布させる技術を示唆している。こ
の技術により特性の安定化が図られた。アークが主とし
て固着する位置が、耐弧性成分の場合とAg−Cu系合
金との場合があり、何れの場合もAg−Cu蒸気の供給
による電流さい断現象の緩和(改良)が行われるが、耐
弧性成分に固着した場合には、若干のばらつきが発生し
た。
【0015】一方、耐弧性成分をより微細化すること
で、ばらつき幅の改善が見られる。従って、耐弧性成分
の粒径が電流さい断現象に重要な役割を果たすことを示
唆すると共に、耐弧性成分が初期粒径のほぼ10〜20
倍程度の大きさに偏析が見られた接点材料では著しいば
らつきを示した観察結果を併せて考慮すると、粒径に特
定の範囲があることを示唆している。
【0016】しかしながら、特開昭58−157015
号公報のように、AgとCuとの量及びWCの粒径を所
定の値に制御して、さい断電流特性の改善に対しては、
重要な技術的進展が見られたものの、これらの技術か
ら、より一層の低さい断電流特性の向上及び高周波消弧
特性の確保、特に高周波消弧特性の改善は得られなかっ
た。
【0017】前述の様に、繰返し高周波再発弧によるサ
ージは、電流さい断後、電極間で絶縁破壊が発生した時
に回路条件により流れる高周波電流をしゃ断すること
で、回復電圧値が増大し、更に、電極間での絶縁破壊が
発生する過程の繰返しによって回復電圧値が増大し、過
大なサージ電圧を発生させるものである。過大なサージ
電圧を抑制するためには、微小電極間ギャップでの絶縁
破壊時に流れる高周波電流放電を消弧させることなく、
商用周波数の負荷電流が立ち上がってくるまで、続弧さ
せるのが望ましい。
【0018】この商用周波数の負荷電流が立ち上がれ
ば、次の電流ゼロ点を向える時までには、しゃ断器は充
分な電極異だャップ長に開離しているため、この電流ゼ
ロ点後に電極間で絶縁破壊を生じることなくまた繰返す
ことなくしゃ断が完了する。このために前述したような
過大なサージ電圧の発生はない。
【0019】また、続弧には至らなくとも、高周波消弧
能力を小さくすれば、高周波再発弧によるサージが小さ
くなる。即ち、微小電極間ギャップでの高周波電流放電
の続弧特性を改善すればよい。この続弧特性の改善の為
に、各研究者によって多くの施策の検討がなされている
が他の因子との相関の問題もあって未だ施策効果の明確
化には未だ至っていない。この発明では接点合金中に含
有されるガスの量の低減化に注目する。即ちしゃ断時の
アークによって高温に加熱された被アーク部から電極空
間に突発的に放出される多量のガスによって電極間の絶
縁を破壊する。電極表面或いは空間の状態等の条件によ
って再点弧現象を誘発する。この場合のガスの源は接点
合金中に内蔵或いは吸着されているガスである。なおこ
れらのガスの一部には、接点内部或いは表面に存在する
ガスとの化合物(例えば酸化物)のアークによる分解時
に放出されるガスも含まれる如く、接点のガスに対する
多元的な管理、低減化が必要である。一般に、Ag−W
Cのように互いに溶解度がなく、特に一方の材料(この
場合WC)の溶融点が著しく高い場合には両者の融解温
度以上の温度で接点を製造することが出来ず、少なくと
もいずれか一方の溶融温度以下の温度で、即ち焼結法に
よって製造する。これに対し前述したCu−Biなどの
ように両材料の融解温度が低い場合には両者の溶融温度
以上の温度で、即ち溶解法によって製造する。通常で
は、焼結法による接点材料のガス量は溶解法によるそれ
より数倍ないし数100倍多い。焼結法による接点のガ
スは、主として原料粉(主としてWC)に起因するガ
ス、焼結中の雰囲気など焼結技術に起因するガス、等が
挙げられる。前者の原料粉に関するガスは半分砕過程か
ら保管工程まで充分管理することで、更に粒径脱ガス工
程等を管理することで安定値とすることが出来る。後者
の焼結技術に関するガスも、焼結炉の管理、使用する持
具類の管理等が有効であるが、特に焼結中又は溶浸中の
温度は重要であり、高い温度の選択の方が低ガス化に有
利となる傾向である。従って前述した管理できる二三の
条件を管理した上で、焼結又は溶浸温度を許容される範
囲内で高めに選択する。
【0020】しかしAg−EWC製造時に於けるWCス
ケルトンの焼結工程に於いて、焼結温度を高めに設定す
ることは上記した様にWCスケルトンの低ガス化には極
めて有効であるが、WCスケルトン中の必要とする空隙
率を維持することが出来ず、そのため溶浸工程で必要と
するAgの量を確保することが出来なくなり、接点材料
として高導電性成分の不足となり、所期の材料発揮に支
障を来たす。
【0021】溶浸工程での温度が高めだと、Agの蒸発
損失も大となり、やはり接点材料の組成の変動をもたら
すが、WCスケルトンの製造時の焼結温度の選択の方
が、より組成に対して重要である。
【0022】そこで、この発明では高導電性成分と、耐
弧性成分との比率、すなわち合金中のAg又は/及びC
uの量を20〜50wt%とし、残部がWCとC又は/
及びV炭化物より構成される。この要件によりWCスケ
ルトンの製造時の焼結温度を低ガス化に有利な温度に設
定してもWCスケルトン中の空隙率を所定値以下に低下
させることがなく、従って接点中の含有ガス量を低減化
した上で所期の高導電性成分(Ag又は/及びCu)の
量を確保し得る。結果的に所定量のCv3 C2又は/及
びVcの存在が、焼結中のWCの焼結の過度な進行を制
限し、接点特性として重要な接点中の高導電性成分の量
と、接点中のガス量(の低ガス化)とを制御することと
なり前述した改良を目的とする真空バルブ特性の向上に
寄与する。 次に、この真空バルブの製造方法のうち、
特に接点材料の製造方法につき説明する。製造に先立っ
て必要粒径別に耐弧性成分及び補助成分を分類する。分
類作業は例えば篩分けと沈降法とを併用して行うことで
容易に所定粒径の粉末を得る。まず所定粒径のWC,C
r3 C2 ,Vcを所定量及び所定粒径のAg又は/及び
Cuを所定量の一部用意し、これらを混合し、その後加
圧成型して粉末成形体を得る。必要によりFe,Co,
Niを混合することもある。次いで、この粉末成形体を
露点がー50℃以下の水素雰囲気或いは真空度が1.3
×10-1Pa以下で、所定温度、例えば1150℃×1
時間にて仮焼結し、仮焼結体を得る次に、この仮焼結体
の残存空孔中に所定量及び所定比率のAg又は/及びC
uを1150℃×1時間で溶浸しAg又は/及びCu−
WC−Cr3 C又は/及びVc合金を得る。溶浸は主と
して真空中で行うが、水素中でも可能である。なお、合
金中の導電性成分の比率(Ag又は/及びCuとWC−
Cr3 C又は/及びVcとの比率の制御は、次のように
して行った。例えばAg又は/及びCuを温度1200
℃、真空度1.3×10-2Paで真空溶解を行い、切断
し溶浸用素材として用いた。WC焼結体を作る際、予
め、所定量のAg又は/及びCuの一部をWC中にあら
かじめ混合させておき後から残余のAg又は/及びC
u)を溶浸させることでも、所望組成の接点合金を得る
ことができる。次に、後述する具体的な実施例データを
得た評価方法、及び評価条件につき述べる。 (1)電流さい断特性
【0023】各接点を取付けて10-3Pa以下に排気し
た組立て式真空バルブを製作し、この装置を0.8m/
秒の開極速度で開極させ遅れ小電流をしゃ断した時のさ
い断電流を測定した。しゃ断電流は20A(実効値)、
50Hzとした。開極位相はランダムに行い500回し
ゃ断されたときのさい断電流を接点数3個につき測定し
その平均値及び最大値を表1に示した。なお、数値は、
同表中の実施例2のさい断電流値の平均値を1.0とし
た場合の相対値で示した。 (2)高周波消弧特性
【0024】遅れ力率の小電流を開閉したとき、電流さ
い断によって負荷側に過電圧が発生すると、真空バルブ
の極間にはその過電圧と電源電圧の差が加わる。もし極
間の電圧が接点間隔の耐電圧値を超えると絶縁破壊して
放電し、接点には過度的な高周波電流が流れる。この高
周波電流がしゃ断されると再び最初の段階に戻って過電
圧が現われ、それがまた接点間隙の放電を起こさせると
いう繰返しになる。このような繰返しの現象は多重発弧
現象としてよく知られている。真空しゃ断器のように高
周波消弧能力の高いしゃ断器では、回路条件によっては
多重再発弧により大きなサージ電圧が発生し、負荷機器
(電動機や変圧器)の絶縁をおびやかすことがある。一
般に高周波消弧能力が小さいほど、再発弧を繰り返し難
く、発生するサージは小さくなると言われている。
【0025】この高周波消弧特性を各接点について調べ
るために、各接点を取付けて10-3Pa以下に排気した
真空バルブを製作し、この真空バルブを組込んだしゃ断
器で6.6kV、150kVAの単相変圧器の負荷電流
しゃ断試験を行った。しゃ断器と変圧器間は長さ100
mの6.6kV単心CVケーブル(導体断面積200m
2 )で接続した。負荷電流は10A(実効値)、しゃ
断器の開極速度は0.8m/秒(平均)とし、しゃ断器
の開極位相を制御し、多重再発弧が発生する位相でしゃ
断させた。多重再発弧時に接点に流れる過渡的な高周波
電流は、しゃ断器廻りのインダクタンスと電源側、負荷
側の浮遊キャパシタンスにより決まる周波数をもち、今
回の試験では過渡的な高周波電流の周波数は約100k
Hzであった。高周波数消弧能力の測定は各接点につき
20回のしゃ断試験を行い、開極後1ms経過時の高周
波消弧能力の平均値を求めた。表1の値は、実施例2の
高周波消弧能力の平均値を100とした場合の相対値で
示した。 (3)供試接点の内容
【0026】表1に、供試接点の材料内容と、その対応
する特性データを比較例と共に示す。表中に示すよう
に、Ag又は/及びCu−WC−Cr3 C又は/及びV
c合金中の高導電性成分の量を12.7wt%〜80.
5wt%、WCの量を19.5wt〜87.3wt%、
且つCr3 C2 又は/及びVc量をWCの量に対し0〜
20%の範囲に変化させた。さらに、使用する耐弧性成
分(WC)の粒径を0.1μm〜44μmとした接点に
つき評価し、その結果を検討した。表1には、これらの
条件と対応する結果を示す。
【0027】
【表1】 実施例1〜4、比較例1〜4
【0028】平均粒径0.7μmのWC粉末3μのCr
3 C2 ,Vcを用意する。焼結後の残存空隙量を調整す
るように成形圧をゼロ〜8トン/cm2 の範囲で適宜選
択しながら成形する。この場合、合金中の高導電性成分
量の多い実施例3(Ag=50wt%)、比較例2(A
g=72.2wt%)では、成形圧を特に、低くする
か、若しくは予め(Ag又はAg+Cu)の一部をWC
と共に混合した混合粉を得て、これを成形する方法を採
る。これらの混合粉を成形後、実施例1、比較例1で
は、例えば、1100〜1300℃で焼結し、Ag−W
C焼結体を得る。実施例2〜3,比較例2ではこれより
低い焼結温度で焼結し焼結体を得る。このようにして空
隙量の異なる焼結体の空隙中に、Agを溶浸し最終的に
Ag合金中のAg量が12〜72wt%(比較例1〜
2、実施例1〜3)の合金を得る。これらの接点素材を
所定の形状に加工後、前述した評価方法、条件にて、さ
い断特性および高周波消弧特性を評価した。
【0029】前述したように、さい断特性の評価は、5
00回しゃ断させたときの特性で比較した。第1〜2表
の比較例1〜2,実施例1〜3に示すように合金中のA
g量でのさい断値の平均値は実施例2(Ag=36.6
wt%)を1.0とした相対値で比較した場合、2.0
倍以下の上昇(特性の劣化)になっているが、Ag=1
2.7wt%(比較例1)およびAg=72.2wt%
(比較例2)では、最大値が、上昇しているのに対しA
gが20〜50wt%(実施例1〜3)では、比較値が
2.0倍以下に安定(特性良好)している。特にAg=
12.7wt%(比較例1)のようにAg量が少ない接
点のさい断特性は、更に多数回のしゃ断を行うと約20
00回開閉前後より、さい断特性が劣化するのが見られ
る。
【0030】一方、高周波消弧特性の評価を行うと、同
様に実施例2の特性を標準とした相対値で検討すると、
Ag量が20〜50wt%(実施例1〜3)では安定し
た特性を示すが、Ag量が12.7wt%(比較例1)
および72.2wt%(比較例2)では、前記相対値が
増加(特性の劣化)の傾向にあり、相対値が200を越
すことが認められる。従ってAg−WC−Cr3 C2 又
は/及びVc合金中のAg量は、さい断特性および高周
波消弧特性の両観点から20〜50wt%の範囲が好ま
しい。
【0031】高導電性成分がAgにつき示したが、(A
g+Cu)であってもその量が前記した20〜50wt
%の範囲外である。比較例3(Ag+Cu=13.5w
t%)、比較例4(Ag+Cu=80.5wt%)で
は、さい断特性、高周波消弧特性の両特性とも劣るが、
上記範囲内にある実施例4(Ag+Cu=37.5wt
%)では、両特性とも好ましい。 実施例5〜9、比較例5〜8
【0032】前記した実施例1〜4、比較例1〜4では
WC以外の耐弧性成分としてのCr3 C2 、Vcの量を
一定(WCの量に対するCr3 C2 の量を4.5wt
%、WCの量に対するVcの量を2.5wt%)とした
場合の例について示したが、本発明の真空バルブに使用
する接点としては、WCの量に対するCr3 C2 の量は
1〜10wt%(実施例5〜6)、同じくVcの量も1
〜10wt%(実施例7〜8)の範囲が両特性とも好ま
しい範囲にある。これに対してCr3 C2 の量が20w
t%(比較例6)、Vcの量も20wt%(比較例7)
は電流さい断特性は、良好にあるが、特に高周波消弧特
性が著しく低下し、好ましくないことが判る。更にCr
3 C2 とVcとの総計が1wt%以下である比較例8で
は前記同様特性の低下が見られるがCr3 C2 とVcと
の総計が1wt%(実施例9)の場合には、電流さい断
値の最大値が2.0以下、高周波消弧特性も200以下
と安定している。 実施例9〜13,15
【0033】前述した実施例1〜8、比較例1〜8では
高導電性成分としてAg又は/およひCu、耐弧性成分
としてWCとCr3 C2 又は/及びVcが本発明真空バ
ルブの接点の構成材料であり、他の補助材料は使用して
いないが、上述材料系に1wt%以下のFe,Co,N
iの添加(Ag又は/及びCuとWC,Cr3 C2 又は
/及びVcとの合計値で示す)てあっても実施例10〜
12,15に示すように安定した特性を示す。Fe,C
o,Niが1%(実施例13)共存しても安定した特徴
を示した。 実施例14、比較例9
【0034】本発明の真空バルブに使用する接点材料の
WC粒子の平均粒径は0.1μm(比較例7)〜3μm
(実施例7)の範囲の場合につき示したが、WCの平均
粒径は6μm(実施例14)てあっても好ましい範囲内
にあったがWCの平均粒子径が44μmの場合には(比
較例9)、電流さい断特性の劣化、特にその最大値は著
しくばらつきが大きい。以上述べた実施例のようにAg
又は/及びCuとからなる高電動材料の総計量を所定値
に制御し、かつWCの平均粒径を6μmより好ましく
は、1μm以下とし、WC量に対しCr3 C2 又は/及
びVcを存在させることによって、電流さい断特性を低
く維持出来かつばらつきも少なく管理することが出来、
さらに高周波消弧特性も同時に充分低く維持することが
できる。
【0035】
【発明の効果】以上詳記したように本発明によれば、電
流さい断特性を低く維持出来かつばらつきも少なく管理
することができ、さらに高周波消弧特性も同時に充分低
く維持することができる真空バルブ用接点材料を提供で
きる。したがって、本発明による接点材料を真空バルブ
接点に用いれば、電流さい断特性およびしゃ断特性の良
い真空バルブが得られ、電流さい断特性の安定化をより
一層向上する真空バルブとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例を示す真空バルブの断面図。
【図2】 [図1]の電極部分の拡大断面図。
【符号の説明】
7,8……電極、13a,13b……接点
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−86424(JP,A) 特開 昭54−73284(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01H 33/66

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ag又は/及びCuから選ばれた20〜
    50重量%の高導電性成分と、50〜80重量%のWC
    からなる耐弧性成分から成る真空バルブの接点材料にお
    いて、前記耐弧性成分はWCに対し1〜10重量%のC
    r又はV炭化物の少なくとも一方を含有したことを特徴
    とする真空バルブの接点材料。
  2. 【請求項2】 Fe,Co,Niの少なくとも1つより
    成る補助成分を1重量%以下含有したことを特徴とする
    請求項1記載の真空バルブの接点材料。
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