JPH05101753A - 真空バルブ - Google Patents

真空バルブ

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JPH05101753A
JPH05101753A JP26165091A JP26165091A JPH05101753A JP H05101753 A JPH05101753 A JP H05101753A JP 26165091 A JP26165091 A JP 26165091A JP 26165091 A JP26165091 A JP 26165091A JP H05101753 A JPH05101753 A JP H05101753A
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JP26165091A
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English (en)
Inventor
Isao Okutomi
功 奥冨
Keisei Seki
経世 関
Atsushi Yamamoto
敦史 山本
Mikio Okawa
幹夫 大川
Mitsutaka Honma
三孝 本間
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電極さい断特性および高周波消弧特性に優れ
た真空バルブを得る。 【構成】 導電成分が一部又は全部がAgCu共晶組成
領域を含むAgCuと、耐弧成分がWCから成る接点合
金と、通電軸5,6又は/及び電極7,8とを接合させ
る接合合金は、In又はSnの少なくとも一方を含有す
るAg又はAgCu合金を主要成分とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、真空バルブの接点材
料に用いられる焼結合金に関し、より詳細には、電流さ
い断特性および高周波消弧特性を改良した真空バルブに
関する。
【0002】
【従来の技術】真空中でのアーク拡散性を利用して高真
空中で電流しゃ断を行なわせる真空バルブの接点は、対
向する固定、可動の2つの接点から構成されている。こ
の真空バルブを用いて、電動機負荷などの誘導性回路の
電流をしゃ断するとき、過度の異常サージ電圧が発生
し、負荷機器を破壊させる恐れがある。
【0003】この異常サージ電圧の発生原因は、例え
ば、真空中における小電流しゃ断時に発生するさい断現
象(交流電流波形の自然ゼロ点を持たずに強制的に電流
しゃ断が行われること)、或いは高周波消弧現象などに
よるものである。
【0004】さい断現象による異常サージ電圧のVs
は、回路のサージインピーダンスZoと、電流さい断値
Icの積、すなわちVs=Zo・Icで表される。従っ
て、異常サージ電圧Vsを低くするためには電流さい断
値Icを小さくしなくてはならない。
【0005】上記の要求に対して、炭化タングステン
(WC)と銀(Ag)とを複合化した合金の接点を用い
た真空開閉器が開発され(特願昭42-68447号、米国特許
第3683138 号)、これが実用化されている。このAg−
WC系合金の接点は、(1)WCの介在が電子放射を容
易にさせ、(2)電界放射電子の衝突による電極面の加
熱に基づく接点材料の蒸発を促進させ、更に、(3)接
点材料の炭化物がアークにより分解し、荷電体を生成し
てアークを接続する等の点で優れた低さい断電流特性を
発揮する。
【0006】また、低さい断電流特性を発揮する他の接
点材料として、ビスマス(Bi)と銅(Cu)とを複合
化した合金が製造され、この材料が真空バルブに実用化
されている(特公昭35-14974号、米国特許第2975256
号、特公昭41-12131号、米国特許第3246979 号)。この
合金のうち、Biを10重量%(以下wt%)としたもの
(特公昭35-14974号)は、その適度な蒸気圧特性を有す
るので、低いさい断電流特性を発揮し、また、Siを
0.5wt%とした(特公昭41-12131号)は、結晶粒界に
偏析して存在する結果、合金自体を脆化し、低い溶着引
外力を実現し大電流しゃ断性に優れている。
【0007】低さい断電流特性を得る他の接点材料とし
て、AgとCuとの比率をほぼ7:3としたAg−Cu
−WC合金が提案されている(特願昭57-39851号)。こ
の合金において、従来にない限定をしたAgとCuとの
比率を選択するので、安定したさい断電流特性を発揮す
ると記載されている。
【0008】更に、特願昭60-216648 号公報には、耐弧
性材料の粒径(例えば、WCの粒径)を 0.2〜1μmと
することにより、低さい断電流特性の改善に有効である
ことが示唆されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】真空しゃ断器には、低
サージ性が要求され、そのために、従来では、上述のよ
うに低さい断電流特性(低チョッピング特性)が要求さ
れていた。
【0010】しかしながら、真空バルブは、近年、電導
機等の誘導性回路に適用されることが一層増えると共
に、高サージインピーダンス負荷も出現したため、真空
バルブは一層安定した低さい断電流特性を持つことが望
まれるのは勿論のこと、高周波消弧特性(高周波電流し
ゃ断能力)についても兼備し満足しなくてはならない。
これは、電流さい断によるサージ以外に繰返し高周波再
発弧によるサージが負荷の絶縁にとって脅威となること
が判明したからである。従来、これらの両特性を同時に
満足させる接点材料はなかった。
【0011】すなわち、前記電流さい断によるサージ
(過電圧)は、電流さい断値を小さくすることにより改
善できるが、一方の繰返し高周波再発弧によるサージ
は、電流さい断後、電極間で絶縁破壊が発生した時に回
路条件により流れる高周波電流をしゃ断することで、回
復電圧値が増大し、更に、電極間での絶縁破壊が発生す
る過程の繰返しによって回復電圧値が増大し、過大なサ
ージ電圧を発生させるものである。この場合では、高周
波電流を消弧するために発生するものであり、高周波消
弧特性をサージ電圧が小さくなるように改善させること
により、発生サージを低減させることができるため、高
周波電流放電の続弧特性の改良・安定化を計る必要があ
る。
【0012】WCとAgとを複合化した合金の接点(特
願昭42-68447号、米国特許第3683138 号)では、さい断
電流値自体が不十分であるのみならず、高周波消弧特性
の改善に対して何等の配慮がなされていない。
【0013】10wt%のBiとCuとを複合化した合金
(特公昭35-14974号、米国特許第2975256 号)では、開
閉回数の増大と共に電極間空間への金属供給量が減少
し、低さい断電流特性の劣化が現れ、高蒸気圧元素量に
依存して耐電圧特性の劣化も指摘されている。しかも、
高周波消弧特性を十分に満足していない。0.5wt%の
BiとCuとを複合化した合金(特公昭41-12131号、米
国特許第3246979 号)では、低さい断電流特性が不十分
である。
【0014】また、AgとCuとの重量比率をほぼ7:
3としたAg−Cu−WC合金(特願昭57-39851号)お
よび耐弧性材料の粒径を 0.2〜1μmとする合金(特願
昭60-216648 号)では、高周波消弧特性を十分に満足し
ていない。
【0015】本発明は上述の背景に基づきなされたもの
であり、その目的とするところは、低さい断電流特性お
よび高周波消弧特性に優れた真空バルブを提供すること
である。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
解決のために研究開発を進めた結果、1Ag−Cu−W
C系接点材料を使用すること、2この接点材料の特性を
充分引出すために、該接点と導電軸との接合に特定の接
合材料を使用することで示される両構成要素1,2を組
合せることによって、この発明の目的達成に有効である
ことの知見を得て、この発明を完成するに至った。
【0017】すなわち、この真空バルブでは、その接点
材料としてAg及びCuの高導電性成分と、WCの耐弧
性成分とを含むAg−Cu−WC系合金であって、好ま
しくは、(1)耐弧性成分の含有量は、35〜75wt%で
あり、
【0018】(2)高導電性成分の含有量は、AgとC
uとの総計量(Ag+Cu)が25〜65wt%であり、A
gとCuとは、 779℃の溶融温度を持つAgCu共晶組
織を呈し
【0019】(3)かつ高導電性成分は、第1の高導電
性成分領域と、必要により存在する第2の高導電性成分
とから構成され前者は、厚さないし幅が5μm以下の第
1の不連続相と、これをとり囲む第1のマトリックスと
からなり、一方、必要により存在する後者は厚さないし
幅が5μm以上の第2の不連続相とこれをとり囲む第2
のマトリックスとからなり、さらに
【0020】(4)前記第1の高導電性成分領域中の第
1の不連続相は第1のマトリックス中において5μm以
下の間隔で微細かつ均一に分散され、しかも全高導電性
成分中に占める前記必要により存在する第2の高導電性
成分領域の量、すなわち、 が60wt%以下(ゼロ含む)であること更に、この真空
バルブでは、前記接点と導電軸とを接合する接合材料と
して (1)Sn又は/及びInを含有し、残部がAg又はA
sCu合金よりなる。 (2)前記合金は、溶融温度を 500〜750 ℃の範囲とな
るようその組成を調整すること、上記した接点材料と接
合材料とを構成要素として組合せた真空バルブである。
【0021】また上記真空バルブを製造するに於て、上
記接点と導電軸との間に前記接合材料を介挿し不活性雰
囲気中で 550℃以上 770℃以下の温度で接合し真空バル
ブを組立てる製造方法である。
【0022】
【作用】電流さい断特性の改善には、電流さい断値自体
をより低い値に維持すること以外に、そのばらつき幅を
縮めることも極めて重要である。前述の電流さい断現象
は、接点間の蒸気量(材料物性としては蒸気圧、熱伝
導)、接点材料からの放出電子などと関係が深いとさ
れ、発明者らの実験によれば、前者の方が寄与が大きい
ことが判明した。従って、蒸気を供給し易くするか、あ
るいは供給し易い材料で接点を作成すれば電流さい断現
象が緩和できることが判明した。上述のCu−Bi系合
金はこうした観点に立つもので、低いさい断値を有す
る。しかしながら、致命的な欠点として、Biが持つ低
融点(271 ℃)のために通常真空バルブで行われる 600
℃近傍のベーキング或いは 800℃の銀ろう付け作業時
に、Biの溶融による移動・凝集の結果、電流さい断特
性を維持すべきBiの存在が不均一になってしまう。こ
のため、電流さい断値のばらつき幅が増大する現象が見
られる。
【0023】一方、Ag−WC合金では、耐弧性材料
(この場合WC)の沸点におけるAgの蒸気量に左右さ
れるものの他方、前記Cu−Bi系におけるBiの蒸気
圧よりAgの蒸気圧は著しく低いために接点のどの位置
に(AgかWCか)にアークの足が固着するかによっ
て、温度不足すなわち蒸気不足を招くことがある。結果
的には、電流さい断値のばらつき幅が現れることが確認
された。このように電流さい断終期の接点面の急激な温
度低下をAgと耐弧性材料との組合せのみによる合金に
よって阻止しアークを維持させることは既に限界である
と考えられた。更に、高性能化するためには、何等かの
補助技術を付与する必要があるとの結論に至った。この
改良の1つの考えとして前記特願昭57-39851号明細書で
は、高導電性成分をAgとCuとの合金にすることによ
って結晶粒を細かく分布させる技術を示唆している。こ
の技術により飛躍的に特性の安定化が図られた。アーク
が主として固着する位置が、耐弧性成分の場合とAg−
Cu系合金との場合があり、いずれの場合もAg−Cu
蒸気の供給による電流さい断現象の緩和(改良)が行わ
れるが、耐弧性成分に固着した場合には、若干のばらつ
きが発生した。
【0024】一方、WCをより微細化することで、ばら
つき幅の改善が見られる。従って、耐弧性成分の粒径が
電流さい断現象に重要な役割を果たすことを示唆すると
共に、耐弧性成分が初期粒径のほぼ10〜20倍程の大きさ
に偏析が見られた接点材料では著しいばらつきを示した
観察結果を併せて考慮すると、粒径に特定の範囲がある
ことを示唆している。
【0025】しかしながら、特願昭57-39851号明細書の
ように、AgとCuとの量およびWCの粒径を所定の値
に制御して、さい断電流特性の改善に対しては、重要な
技術的進展が見られたものの、これらの技術から、より
一層の低さい断電流特性の向上および高周波消弧特性の
確保、特に高周波消弧特性の改善は得られなかった。
【0026】前述の様に、繰返し高周波再発弧によるサ
ージは、電流さい断後、電極間で絶縁破壊が発生した時
に回路条件により流れる高周波電流をしゃ断すること
で、回復電圧値が増大し、更に、電極間での絶縁破壊が
発生する過程の繰返しによって回復電圧値が増大し、過
大なサージ電圧を発生させるものである。過大なサージ
電圧を抑制するためには、微小電極間ギャップでの絶縁
破壊時に流れる高周波電流放電を消弧させることなく、
商用周波数の負荷電流が立ち上がってくるまで、続弧さ
せるのが望ましい。
【0027】この商用周波数の負荷電流が立ち上がれ
ば、次の電流ゼロ点を向かえる時までには、しゃ断器は
充分な電極間ギャップ長に開離しているため、この電流
ゼロ点後に電極間で絶縁破壊を生じることなくまた繰返
すことなくしゃ断が完了する。このために前述したよう
な過大なサージ電圧の発生はない。また、続弧には至ら
なくとも、高周波消弧能力を小さくすれば、高周波再発
弧によるサージが小さくなる。すなわち、微小電極間ギ
ャップでの高周波電流放電の続弧特性を改善すればよ
い。
【0028】この続弧特性の改善の為に、この発明で
は、まず第1に、高導電性成分のAgとCuとを共存さ
せる。しかも、1Cuを溶解したAg固溶体および2A
gを溶解したCu固溶体の、マトリックスおよび不連続
相(層状組織、または棒状組織)を形成し、この不連続
相の幅または厚みを5μm以下とし、かつこの不連続相
をマトリックス中で5 μm 以下の間隔で微細にかつ均一
に分散させることによって、アークスポット径の大きさ
に比べて同等若しくは好ましくはそれ以下となるように
設計される。その結果、アークを維持・接続させる機能
を主として分担しているAgとCu成分(以下、アーク
維持材)の融点を低下させると同時に蒸気圧を上昇させ
る。
【0029】次いで、第2に、WC粒の平均粒径を1μ
m以下、好ましくは 0.8μm、より好ましくは 0.6μm
以下に設定される。この要件により、アーク維持材の分
散を、より一層高度微細分散状態にするのを促進する。
すなわち、ただアーク維持材(AgとCu)の含有量お
よびその比率を所定の範囲に選択しても、後述する実施
例・比較例に示すように、低さい断特性と高周波消弧特
性との両立が得られない。この発明により、WC粒の平
均粒径を所定の値と組合せて初めてアーク維持材(Ag
とCu)の組織を高度に微細化した効果を一層引出し、
かつ安定化させる。
【0030】一般に蒸気圧の高い材料の真空アーク中で
のイオンの電荷は低くなる傾向にある(参照、C.W.Kimb
lin 著「Errosion and Ionization in the Cathode Spo
t Regiovs of Vacuum Arcs」、Journal of Applied Phy
sics、Vol.44,No.7.p3074,1973)。すなわち、蒸発量が
増加するだけではなく、イオン価数の低いイオンがアー
ク中に多く存在することとなる。従って、微小電極間ギ
ャップでの高周波電流放電の際、電流ゼロ点を抑えると
き、微小電極間ギャップ中に存在する残留プラズマ量
は、アーク維持材がAgのみ、或いはCuのみの場合よ
りも、AgとCuとが所定の条件で存在する場合の方が
多いことになる。これは、この発明の目的である低さい
断特性と高周波消弧特性との同時確保に好ましい。
【0031】更に、AgよりもCuのイオンの方が質量
が軽いが電流ゼロ点時のイオンドリフト速度(Cuでは
930 m/sec、Agでは630m/sec)が大きい為に(前記
文献)、電極に衝突する時のエネルギーでは、Cuのエ
ネルギーの方が大きい。このイオンインパクトにより電
極が局部的に加熱され、先に述べた残留プラズマ量の効
果と相乗して高周波小電流放電時に、電流ゼロ点時を迎
えても、新たにカソードとなる電極表面では、新たなカ
ソードスポットを生成し易くなり、高周波小電流放電時
での続弧特性を改善する。
【0032】この様な改善された続弧特性を有するため
に、微小電極間ギャップ時、絶縁破壊が発生しても商用
周波数の負荷電流が立ち上がり易くなり、結果的に 0.5
サイクルアーク時間を延長することになり、電極が充分
に開極した後に電流ゼロ点時を迎えるために、過大なサ
ージ電圧の発生を抑えることができる。この様に、本願
発明のAgとCuとの含有量、その比率および存在状
態、更に、耐弧性成分のWCの粒径を一層微細化するこ
とにより、低さい断特性と高周波消弧特性とを同時に改
良することができる。
【0033】しかし、このように最適化した接点材料を
使用してもさい断特性並びに高周波消弧特性に好ましく
ないばらつきが見られる場合がある。
【0034】このばらつき現象を解析したところ接点と
通電軸(又は/及び電極)との接点時の加熱処理による
接点表面層のAgCu組成の変化によることに起因して
いる可能性が高いことを明らかにした。
【0035】すなわち、既述したように充分最適化接点
状態であっても真空バルブとして組立てたとき次のよう
なばらつき要因が存在している。(1)真空バルブの該
接合部分に使用する接合材料は、Ag(72%)−Cu合
金でありこの溶融温度が 779℃、この材料を使ったとき
の通常の接合作業温度は一般に 820〜830 ℃であるこ
と、(2)これに対し前記した充分最適化した接点は真
空バルブが要求する諸機能を満たすためにAgとCuと
を存在させているので、AgとCuとの共晶組織を持つ
ことによりこの部分が、やはり 779℃の溶融温度すなわ
ち、上記した接合作業温度 820〜830 ℃より低いこと、
これによって接合作業時に該接点は溶融し、その最表面
層は状態を変化させる。すなわち、幾何学的な表面凹凸
のみならず表面組成比を真空バルブ毎に変化させる結
果、前記した特性のばらつきの原因となっている。
【0036】このような考察の結果、本発明真空バルブ
では真空バルブの組立時の接合作業温度を該接点の導電
成分の溶融温度より充分低い温度とすることが必要であ
り、そのためには現在総ての真空バルブの組立時に用い
られる前述したAg(72)−Cu接合材料では好ましく
ない。従って、本発明の真空バルブに於ては、接合作業
温度は 550〜770 ℃の範囲が好適であってそのための接
合材料はSu又は/及びIuを含有するAgCu合金を
組合せることが重要である。
【0037】さて、従来から、使用する雰囲気を問わず
安定して適用できる接合材料としては、銀(以下、Ag
と称する)に、銅(以下Cuと称する)を28重量パーセ
ント(以下、wt%と称する)添加したAg−Cu共晶
合金(JIS,BAg−8)が主に用いられている。
【0038】しかし乍ら、上記Ag−Cu共晶合金は、
その溶融温度が 779℃と高いため、実際の接合作業温度
は 800℃を越える高温を選択しなければならず、AgC
uWC接点を接合するには、前述した問題点を生ずる。
そして、この接合作業温度を750 ℃以下とするために
は、接合合金の溶融温度は更に数十℃低い750 ℃以下、
好ましくは700 ℃以下である必要がある。
【0039】そこで、かかる接合材料の低溶融点化の技
術の一つとしては、例えばJIS規格のBAg−2(35
%Ag−26%Cu−21%Zn−18%Cd,液相温度約70
0 ℃)が知られている。
【0040】しかし乍ら、上記接合材料は、低溶融温度
化には有効であるが、亜鉛,ガトミウム(以下、夫々Z
n,Cdと称する)等の高蒸気圧元素を含有するため、
接合炉内壁の汚染、被接合物の汚染、人体への影響も指
摘されている。
【0041】また、接合材料の低溶融点化を図るその他
の技術としては、人体へのCdの影響をなくするために
インジウム,錫(以下、夫々In,Snと称する)を活
用する方法が知られている。
【0042】例えば、特開昭50-74551号公報(Ag=45
〜60,Cu=15〜25,Zn=19〜29,Sn=0.5 〜4,
In=0.5 〜5)、特開昭51-62164号公報(Ag=25〜
37,Cu=35〜72,P(リン)=1〜7、またはこれに
In=1〜7,Zn=1〜27の1種又は2種)、特開昭
51-117148 号公報(Ag=18〜48,Cu=15〜40,Zn
=20〜35,Sn=0.5 〜7またはこれにIn=0.5 〜
7,Mn(マンガン)=0.15〜2,Li(リチウム)=
0.15〜5の少なくとも2種)、特開昭51-128664 号公報
(Ag=30〜50,Cu=10〜25,Zn=10〜25,Cd=
15〜30にIn,Sn,Ga(ガリウム),Ge(ゲルマ
ニウム)の1種のときには1〜12%,2種のときには1
〜15%)等が知られている。
【0043】しかし乍ら、これらの接合材料は、In,
Snは低い蒸気圧特性を有するものの、いずれもZn等
高蒸気圧元素を含有する点において上記接合材料BAg
−2と同様の欠点がある。
【0044】さらに、接合材料の低溶融点化を図るその
他の技術としては、AgとCuとをベースとし、Snと
Inとを共同添加したAg−Cu−Sn−In4元素
が、接合材料として特開昭51-13214号、特公昭44-11009
号にて開示されている。すなわち、まず前者はAg−70
〜47wt%,Cu=25〜40wt%,Sn=2〜6wt
%,In=3〜7wt%からなり、雰囲気ガス中または
真空中での接合が可能で、加工性良好な銀ロウ合金であ
ることを主旨としている。
【0045】しかし乍ら、この合金組成の範囲では、低
溶融点化に対して最も期待てきる可能性の高いSn=6
wt%,In=7wt%の合金においてさえ接合作業温
度が750 ℃以上となり、或る程度の接合強度は得られる
ものの被接合物への熱ストレスが著しくなる等、実質的
に好ましい接合結果を得ることが困難であるばかりでな
く、Sn=6wt%,In=7wt%より多いSn,I
nでは同公報でも述べているように加工性が低下すると
いう欠点を有している。
【0046】一方、後者はAgとCu共晶合金にSn+
In=30〜60wt%,Sn=15〜30wt%,In=15〜
30wt%でかつSn/In=1/1からなり、Ag−C
dO系接点合金に対する濡れ性を改善するためにSn−
In合金を従来の共晶接合合金に添加することを主旨と
している。
【0047】しかし乍ら、この接合材料では、濡れ性の
劣るCdOに対してSn,Inを大量に使用しているの
で、合金を線材や薄板状に加工するのが非常に困難であ
るという欠点を有している。
【0048】そこで本発明は、電流さい断特性および高
周波消弧特性の改良に好適したAgCuWC接点と、接
合・加熱時に該接点AgCuWCの劣化を抑制するのに
好適のSn又は/及びInを含有するAg又はAgCu
合金よりなる接合材料とを組合せている。
【0049】
【実施例】図面を参照しつつ、この発明をより具体的に
説明する。図1は真空バルブの断面図、図2は真空バル
ブの電極部の拡大断面図である。
【0050】図2に於いて、しゃ断室1は、絶縁材料に
よりほぼ円筒状に形成された絶縁容器2と、この両端に
封止金具3a,3bを介して設けた金属性の蓋体4a,
4bとで真空密に構成されている。
【0051】しゃ断室1内には、導電棒5,6の対向す
る端部に取付けられた1対の電極7,8が配設され、上
部の電極7を固定電極、下部の電極8を可動電極として
いる。またこの電極8の電極棒6には、ベローズ9が取
付けられしゃ断室1内を真空密に保持しながら電極8の
軸方向の移動を可能にしている。またこのベローズ9上
部には金属性のアークシールド10が設けられ、ベローズ
9がアーク蒸気で覆われることを防止している。又、電
極7,8を覆うようにしゃ断室1内に金属性のアークシ
ールド11が設けられ、これにより絶縁容器2がアーク蒸
気で覆われることを防止している。更に電極8は、図2
に拡大して示す如く導電棒6にろう付部12によって固定
されるか、又はかしめによって圧着接続されている。接
点13aは電極8にろう付14によってろう付で取付けられ
る。なお、接点13bは電極7にろう付により取付けられ
る。
【0052】次に、この接点材料の製造方法の一例につ
き説明する。製造に先立って、必要粒径別に耐弧性成分
および補助成分を分類する。分類作業は例えば篩分けと
沈降法とを併用して行うことで容易に所定粒径の粉末を
得る。まず所定粒径のWCと必要により添加する補助成
分、例えばCoを所定量および、所定粒径のAg又はA
gCuを所定量の一部用意し、必要によりこれらを混合
し、その後加圧成型して粉末成形体を得る。
【0053】ついで、この粉末成形体を露点が−50℃以
下の水素雰囲気或いは真空度が、1.3 ×10-1Pa以下
で、所定温度、例えば1150℃×1時間にて仮焼結し、仮
焼結体を得る。
【0054】ついで、この仮焼結体の残存空孔中に所定
量および所定比率のAg−Cuを1150℃×1時間で溶浸
しAg−Cu−Co−WC合金を得る。溶浸は主として
真空中で行うが、水素中でも可能である。
【0055】Coを配合しないAg−Cu−WCについ
ても同様でありカーボンは、WC或いはAg−Cuとい
ずれか又は双方に、あらかじめ混合させておき、仮焼結
体を得る。
【0056】尚、合金中の導電成分の比率Ag/(Ag
+Cu)の制御は、次の様にして行った。例えばあらか
じめ所定比率Ag/(Ag+Cu)を有するインゴット
を、温度1200℃、真空度 1.3×10-2Paで真空溶解を行
ない、切断し溶浸用素材として用いた。導電成分の比率
Ag/(Ag+Cu)の制御の他の方法は仮焼結体を作
る際、あらかじめ、所定量の一部をWC中に混合させて
おき後から残余のAg又はAg+Cuを溶浸させること
でも、所望組成の接点合金を得ることが出来る。次に、
この接合材料の製造方法の一例につき説明する。
【0057】評価に使用したAg−In系合金、Ag−
Sn系合金、Ag−Cu−In系合金、Ag−Cu−S
n系合金、Ag−Cu−In−Sn系合金の製造の概要
を示す。
【0058】即ち、表1〜表4に示した各組成を有する
夫々の試料を秤量し、約850 〜900℃の耐火るつぼ中で
真空溶解した後鋳造し、直径20mm、長さ200mm の素材を
得る。つぎに、この素材を450 〜700 ℃で熱間鋳造した
後に、冷間圧延、熱間圧延と熱処理を組合せながら、最
終的に厚さ85μm,幅50mmの薄板を製作する。次に、本
発明実施例データを得た評価方法、および評価条件につ
き述べる。 (1)電流さい断特性
【0059】各接点を取付けて10-3Pa以下に排気した
組立て式真空バルブを製作し、この装置を 0.8m/秒の
開極速度で開極させ遅れ小電流をしゃ断した時のさい断
電流を測定した。しゃ断電流は20A(実効値)、50Hzと
した。開極位相はランダムに行い 500回しゃ断されたと
きのさい断電流を接点数3個につき測定しその平均値お
よび最大値を第1〜6表に示した。尚、数値は、実施例
2のさい断電流値の平均値を 1.0とした場合の相対値で
示した。 (2)高周波消弧特性
【0060】遅れ力率の小電流を開閉したとき、電流さ
い断によって負荷側に過電圧が発生すると、真空バルブ
の極間にはその過電圧と電源電圧の差が加わる。もし極
間の電圧が接点間隙の耐電圧値を超えると絶縁破壊して
放電し、接点には過渡的な高周波電流が流れる。この高
周波電流がしゃ断されると再び最初の段階に戻って過電
圧が現われ、それがまた接点間隙の放電を起こさせると
いうくり返しになる。このようなくり返しの現象は多重
再発弧現象としてよく知られている。真空しゃ断器のよ
うに高周波消弧能力の高いしゃ断器では、回路条件によ
っては多重再発弧により大きなサージ電圧が発生し、負
荷機器(電動機や変圧器)の絶縁をおびやかすことがあ
る。一般に高周波消弧能力が小さいほど、再発弧をくり
返し難く、発生するサージは小さくなると言われてい
る。
【0061】この高周波消弧特性を各接点について調べ
るために、各接点を取付けて10-3Pa以下に排気した真
空バルブを製作し、この真空バルブを組込んだしゃ断器
で6.6kV 、150kVAの単相変圧器の負荷電流しゃ断試験を
行った。しゃ断器と変圧器間は長さ100 mの6.6kV 単心
CVケーブル(導体断面積 200mm2 )で接続した。負荷
電流は10A(実効値)、しゃ断器の開極速度は 0.8m/
秒(平均)とし、しゃ断器の開極位相を制御し、多重再
発弧が発生する位相でしゃ断させた。多重再発弧時に接
点に流れる過渡的な高周波電流はしゃ断器廻りのインダ
クタンスと電源側、負荷側の浮遊キャパシタンスにより
決まる周波数をもち、今回の試験では過渡的な高周波電
流の周波数は約100kHzであった。高周波消弧能力の測定
は各接点につき20回のしゃ断試験を行い、開極後1ms経
過時の高周波消弧能力の平均値を求めた。
【0062】表1〜表4の値は、実施例2の高周波消弧
能力(上記条件で電流しゃ断した電流零点時の電流減少
率di/dt〔A/μ秒〕を100 とした場合の相対値を
示す。 供試接点の内容 表1〜表4に供試接点と、接合材料との材料内容とその
対応する特性データを示す。
【0063】表1のようにAg−Cu−WC合金中のA
g+Cu量を15.3wt%〜85.3wt%、AgとCuとの
比率Ag/(Ag+Cu)を0〜100 wt%の範囲で変
化させ、かつ全高導電性成分中に占める第2の高導電性
成分領域の量を多くの接点から顕微鏡的な評価によっ
て、前記量を0%、10〜30%、30〜40%、40〜60%、60
〜90%の夫々を選出した。これらの接点は、前述したよ
うにスケルトンの焼結加熱中に飛散する物質の混合量、
焼結温度、成形圧力などの制御によって得る。これらの
条件と対応する結果を表1〜表4に示した。 実施例1〜7,比較例1〜3
【0064】平均粒径0.76μmのWC粉末及び平均粒径
5μmのAg及びCu粉末を用意する。これらを所定比
率混合後、焼結後の残存空隙量を調整するよう成形圧を
ゼロ〜8トン/cm2 の範囲で適宜選択しながら成形す
る。この場合、合金中のAg+Cu量及びAg+Cu中
に占めるAgの量及びAg+Cu中に占める第2の高導
電性成分の量の夫々を一定とするため実施例1〜7、比
較例1〜3では、同一ロットから取出した素材から接点
を加工した。
【0065】一方、接点を導電軸に銀ロウづけする接合
材料の組成をAgCuIn系としInをゼロ〜20%ま
で、(実施例1〜4、比較例1〜2)、変化させ、各接
合材料に好適な接合温度(表2、表4に記載)を選定し
接合した。表1〜表4のように同じ組成の接点を用いて
いるにもかかわらず、電流さい断特性、高周波消弧特性
共に、変動した。すなわち、AgCuInに於てInが
7.5%(実施例1)以上含有した各合金(実施例1〜
4)では上記両特性が安定している。これに対しInの
量の少ない試料では接合作業温度を表示のように 800℃
以上の温度を選択せねば、接点表面に接合材料が充分流
れず、このような高い温度の選択の結果、接点最表面層
の導電性成分にばらつきが発生し、その影響によって電
流さい断特性は著しくばらつくと共にその値も劣った。
すなわち、AgCuWC接点の機能を充分生かすために
は接合材料は 7.5%以上のInを含むAgCu合金すな
わち接合作業温度が約770 ℃以下(実施例2)に制限す
る必要がある。接合温度が 770℃以下ならAgCuIn
に限ることなくAgCuSnであっても問題ない(実施
例1〜16)。すなわち、接合温度は 770℃より低いこと
が必要である。
【0066】一方、接合作業温度が 770℃以下である場
合には、前記した実施例1〜4のAgCuInに限るこ
となくAgCuSnであっても(実施例5〜6)、Ag
CuInSnであっても(実施例7)、両特性は安定し
た好ましい値を示している。AgCuInSnであって
も接合作業温度が 840℃と著しく高い温度を選択せねば
ならないときには、表1のように両特性は好ましくない
(比較例3)。
【0067】すなわち、実施例1〜7、比較例1〜3に
よって同一接点合金であっても接合作業温度すなわち接
合材料の選択によって電流さい断値が1〜2.2 (平均
値)、1.2 〜4.5 (最大値)の如く変動した。好ましい
特性を得る限界は実施例1に示される接合材料の溶融温
度が 747℃(約750 ℃)、作業温度の限界は 770℃であ
ることが判った。また比較例1〜2の如く接合作業温度
が高いと、電流さい断値自体が劣るのみならずそのばら
つき幅も大きくなった。このように好ましい真空バルブ
を得るためには機能的に好適な接点合金の選択と共に、
この材料を 770℃以下の作業温度で導電軸(又は/及び
電極)と接合するための接合材料の選択組合せが不可欠
となった。 実施例8〜10、比較例4
【0068】Ag−Cu−WC合金中の高導電性成分中
に占める第2の高導電性成分の領域の量を、前述したよ
うにWCに付着させたパラフィン量と焼結温度の調節で
Ag+Cuを45〜47wt%近傍、Ag/(Ag+Cu)
を71〜73wt%近傍に揃えた所定の空隙大きさを有する
WCスケルトンに対し、再加工の圧力、溶浸温度等の調
整によって、第2の高導電性成分領域の量を0%、10〜
30%、40〜60%、60〜90%(比較例4、実施例8〜10)
とした接点を選び出し共試片とした。
【0069】表1〜表4のように、前記第2の高導電性
成分領域の量が10〜30%、40〜60%(実施例9〜10)で
は、安定したさい断特性の範囲にある上に、高周波消弧
特性も開閉初期(1〜100 回開閉)、多数回開閉後(9,
900 〜10,000回開閉)ともに、大きな差がなく安定した
良好値を示しているのに対し、この第2の高導電性成分
領域の量が多い比較例4では、さい断特性についてはさ
い断値の最大値が大となること及び高周波消弧特性も劣
化するなど安定性に欠ける傾向を示した。この状態の接
点表面を観察すると、導電性成分(Ag,Cu,又はA
g)の欠乏部分が見られた。なお第2の高導電性成分領
域の量が多い場合(比較例4)では、局部的な表面溶融
(第2の高導電性成分領域)や蒸発による荒れのために
ばらつきが出現している。従って、AgとCuとの存在
状態の第2の高導電性成分領域の量は60%以下(ゼロ含
む)の範囲とする必要がある。
【0070】以上のように実施例1〜7、比較例1〜3
からの知見に基づき電流さい断特性、高周波消弧特性の
両特性を満足する接合材料を選択した上で、接点合金中
のAg+Cu量、Ag/Ag+Cu量をほぼ一定にした
場合、第2の高導電性成分の量がゼロ〜60%の範囲、す
なわちAgCu共晶組織の量が所定範囲以内から(実施
例8〜10)両特性は安定しているが、前記第2の高導電
性成分の量60%以上では両特性は劣化する傾向にある
(比較例4)。すなわち高導電性成分中に所定範囲の量
のAgCu共晶組織を呈する材料であることが必要であ
る。 実施例11〜13、比較例5〜6
【0071】平均粒径0.76μmのWC粉末及び平均粒径
5μmのAg及びCu粉末を用意する。これらを所定比
率混合後、焼結後の残存空隙量を調整するよう成形圧を
ゼロ〜8トン/cm2 の範囲で適宜選択しながら成形す
る。この場合、合金中のAg+Cu量の多い実施例13
(Ag+Cu=65.1wt%)比較例6(Ag+Cu=8
5.3wt%)では、成形圧を特に、低くするか、若し
くはあらかじめAg+Cuの一部をWC、と共に混合し
た混合粉を得て、これを成形する方法を採る。第2の高
導電性成分の量を制御するために、このWC粉の成形に
際しては、全WC粉の一部例えば40%の粉末に対し
て、例えばパラフィンをWC粉の表面に、付着させ、こ
れとパラフィン付着のない残量のWC粉とを混合、成
形、焼結した。
【0072】実施例11、比較例5では、例えば1100〜13
00℃で焼結し、WC焼結体を得る。実施例12〜13、比較
例6ではこれより低い焼結温度で焼結し焼結体を得る。
このようにして空隙量の調節を行いAg+Cu量を制御
すると共に、同時に空隙の大きさの調節を行い、第1と
第2導電性成分領域の量を制御した。
【0073】このような空隙状態の異なるWCスケルト
ンの空隙中にAg+Cuを1000〜1100℃で溶浸し(又は
必要によりCuはあらかじめ別に供給し、Agのみを溶
浸することもある)最終的にAg−Cu−WC合金中の
(Ag+Cu)量が、15.3〜85.3wt%(実施例11〜1
3、比較例5〜6)の合金を得る。これらの接点素材を
所定の形状に加工後、前述した評価方法、条件にてさい
断特性及び接触抵抗特性を評価した。
【0074】前記したように、さい断特性の評価は、50
0 回しゃ断させたときの特性で比較した。表1〜表4に
示すように合金中の(Ag+Cu)量でのさい断値の平
均値は実施例2(Ag+Cu=44.4wt%、Ag/(A
g+Cu)=71.3%)を1.0とした相対値で比較した場
合、(2.0 倍以下の上昇;特性の劣化)になっている
が、Ag+Cu=15.3wt%(比較例5)及びAg+C
u=85.3wt%(比較例6)では、最大値が、上昇して
いるのに対しAg+Cuが25〜65wt%(実施例11〜1
3)では、比較値が2.0 倍以下に安定(特性良好)して
いる。特にAg+Cu=15.3wt%(比較例1)のよう
にAg+Cu量が少ない接点のさい断特性は、さらに多
数回のしゃ断を行うと約2000回開閉前後より、さい断特
性が劣化するのが見られる。
【0075】一方、高周波消弧特性の評価を行うと、同
様に実施例2の特性を標準とした相対値で検討すると、
Ag+Cu量が25〜65wt%(実施例11〜13)では安定
した特性を示すが、Ag+Cu量が15.3wt%(比較例
5)及び85.3wt%(比較例6)では、前記測定値が増
加(特性の劣化)の傾向にあり、接触抵抗特性の劣化が
認められる。特に比較例5では、多数回開閉後(9900〜
10,000回後の値)では、高導電性成分の総量の不足によ
り高周波消弧特性はばらつきの傾向にある。さらに別の
テストによれば溶着の発生も見られる。従ってAg−C
u−WC合金中のAg+Cu量は、さい断特性及び高周
波消弧特性の両観点から25〜65wt%の範囲の接点を前
記した所定範囲の接合材料と組合せるべきである。 実施例14〜16、比較例7〜9
【0076】前述したようにAg+Cu量が好ましい範
囲、すなわち25〜65wt%の範囲であってもAg−Cu
−WC合金中のAgとCuとの比率が適切でないとさい
断特性、及び特性劣化することが判った。すなわち、A
g/(Ag+Cu)の値が30〜90wt%(実施例14〜1
6)では、好ましいさい断特性(相対値が2.0 以下)
と、好ましい高周波消弧特性が得られた。
【0077】なお、Ag/(Ag+Cu)の値が 100w
t%(比較値7)では高い熱伝導性が、またAg/(A
g+Cu)の値が21.2wt%〜ゼロ(比較例8〜9)で
は、主として蒸気源となるAgの量的不足によってさい
断特性の低下が見られている。従って、Ag/Ag+C
u量が30〜90%の範囲としたAgCuWC接点と、前記
所定範囲の接合材料とを組合せるべきである。
【0078】なお、耐弧性成分の大部分は、第1の高導
電性成分に、とり囲まれるようにして存在する。第2の
高導電性成分中に耐弧性成分の多くが存在すると、この
第2の高導電性成分からのAg,Cuの補給時に残った
耐弧性成分が脱落、飛散し耐電圧特性の低下の誘因とも
なるため、極力耐弧性成分の第2の高導電性成分領域中
での存在は阻止することが好ましい。
【0079】以上述べた実施例から明らかなように、真
空バルブの製造に於て、1溶融温度が 750℃以下のIn
又は/及びSnを含有するAgCu合金よりなる接合材
料を接点と導電軸の接合に使うこと、2Ag及びCuと
からなる高導電材料の総計量(Ag+Cu)と、Agと
Cuとの比率Ag/(Ag+Cu)比とを所定値に制御
し、さらに高導電性成分中の第2の高導電性成分領域の
量を所定値に制御した接点材料を使用すること、すなわ
ちこれらの接合材料と接点材料とを組合せて真空バルブ
を組立ることによって及び組立るときの接合温度を 770
℃以下の温度を選択することによって電流さい断特性を
低く維持でき、かつ、ばらつきも少なく管理することが
でき、さらに、高周波消弧特性も同時に充分低く維持す
ることができる。なお、本合金に対し1%未満のCo
(コバルト)の添加は焼結性の改善に有効である。
【0080】
【表1】
【0081】
【表2】
【0082】
【表3】
【0083】
【表4】
【0084】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、電流さい
断特性を低く維持でき、しかもばらつきも少なくするこ
とができるとともに、高周波消弧特性も同時に充分低く
維持できる真空バルブを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の真空バルブの断面図。
【図2】[図1]の電極部分の拡大断面図。
【符号の説明】
5,6…通電棒、7,8…電極、13a,13b…接点
フロントページの続き (72)発明者 大川 幹夫 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中工場内 (72)発明者 本間 三孝 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中工場内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空容器と、この真空容器の内部から外
    部に導出される一対の通電軸と、この一対の通電棒の先
    端部にそれぞれ接合され、且つ前記真空容器内で接離自
    在な一対の接点部とを有する真空バルブにおいて、前記
    接点部の接点材料は、耐弧成分がWCで、導電成分の一
    部又は全部がAgCu共晶組成領域を含むAgCuであ
    るAg−Cu−WC系系合金であり、この接点部と前記
    通電軸との接合材料は、 500℃以上 750℃以下の溶融温
    度をもつInまたはSnの少なくとも1つを含むAgま
    たはAgCu合金であることを特徴とする真空バルブ。
  2. 【請求項2】 前記接点部と前記通電軸とを、不活性雰
    囲気中で 550℃以上 770℃以下の温度で前記接合材料に
    より接合したことを特徴とする請求項1記載の真空バル
    ブ。
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