JP2904378B2 - フイルタプレスの脱水乾燥方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、上水道等の処理場で
発生する汚泥のフイルタプレスを用いた脱水方法の改良
に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、汚泥を脱水するには、より水分を
切るために脱水処理中に加熱したり、高圧の空気をケー
キ中に吹き込んだりすることはよく知られている。脱水
処理中にケーキを加熱することは、ベルトプレスや真空
脱水機のロール内に加熱源を内装することがよく知られ
ており、フイルタプレスの場合でもろ板内に加熱源を設
けることが知られている。（例えば、実公昭３４−６５
８９号）さらに、乾燥のためにろ過室内のケーキを加熱
する具体例として特公平４−２９４０５号がある。この
発明では、加熱膜でスラリーを加熱し、加熱で発生した
蒸気を真空吸引して除去するようにしている。また、ケ
ーキ内に高圧空気を吹き込む先行技術の具体的例として
は、特公昭６４−８５号発明がある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】然しながら、従来の加
熱技術は、スラリーのろ過性を保つためのものであった
り、加熱手段としてもろ板や膜を加熱するものであっ
て、その構造が複雑である。また、特公昭６４−８５号
は、ケーキ内に高圧空気を吹き込むのみで比較的簡単な
操作でケーキの水分を低減し得るが、常温空気であり、
その脱水効果は従来のダイヤフラムによる圧搾の効果程
度のものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】この発明は、密封ろ過室
に発生したケーキに対して高圧高温のガスを吹き込むこ
とによって、上述のような従来の課題を解消したもので
あって、その要旨とするところは、一対のガイドレール
上に複数のろ板を移動自在に並列し、これらのろ板間に
一対のろ布を吊設して閉板したろ板間のろ布でろ過室を
形成し、これらのろ過室に上水道等の汚泥を圧入して脱
水するフイルタプレスにおいて、上記閉板したろ板間の
ろ過室にろ板に設けた給液路から汚泥を圧入してろ布で
脱水した後、ろ板のろ液取出路から高温高圧ガスを吹き
込んで、密閉したろ過室でケーキを加熱し、加熱ガスと
ケーキから蒸発した水分をろ板の給液路から排出した
後、ろ板を開板してケーキを取り出すようにしたもので
ある。

【０００５】

【作用】上述のように、この発明では、フイルタプレス
のろ過室に高温高圧のガスが直接ケーキ中に吹き込まれ
るので、ケーキが加熱され、その水分が蒸発して室外に
取り出される。すなわち、ケーキ中の水分は気体状でガ
スに伴われて室外に取り出されるもので、従来の加熱膜
やろ板の加熱による蒸発水分を室外に取り出すものに比
較して特別に取り出す手段を必要としない。また、ケー
キ中に吹き込むガスは、高温（ケーキを８０℃以上に加
熱できる温度）であるので、ろ過室から取り出されたケ
ーキは高温であり、ろ過室外に放置するだけでさらに水
分が蒸発し、乾燥することができる。また、この発明で
は、ケーキを高温（８０℃以上）に加熱するので、ケー
キ中に含まれる雑菌、雑草の種子を死滅させることがで
き、従来、これら雑菌、雑草の種子のため、田畠等に直
接還元できなかった汚泥を即還元できるものである。す
なわち、この発明に係る方法によれば、雑菌、雑草の種
子のないケーキが自動的に得られるもので、この発明を
上水および下水等の汚泥に適用すると従来必要とした雑
菌や雑草の種子の処理装置を必要としないものである。
以下、図面に基づいてこの発明を具体的に説明する。

【０００６】

【実施例】図１および図２は、この発明を実施するに用
いるフイルタプレスの全体の側面図およびそのろ板の一
部を取り出して示す縦断側面図であり、図１において、
符号１はフレーム、２はフレーム１，１間に橋架したガ
イドレール、３はガイドレール２上に移動自在に配列し
たろ板であり、リンクチェーン４で互いに連結されてい
て、チェーン５によって同時に開閉するようにしてあ
る。そして、各ろ板間には、ろ布が吊設してあって各ろ
板を閉板したときには、そのろ布によって密閉されたろ
過室が構成されるようにしてある。

【０００７】次に、ろ板間に構成されるろ過室を図２に
基づいて説明する。図２において、符号６はろ布であ
り、耐熱性の材料で構成されて左右のろ板３のろ過床３
ａを覆うように設けられており、その上部は合着されて
その合着部に給液板７が取り付けられている。合着した
ろ布６の上縁には上部支持バー８が取り付けられて、こ
の上部支持バー８には、駆動スプロケット９に巻き掛け
たチェーン１０に連結されている。一方、ろ布６の下端
部は、ろ板３の下部に設けたリターンロール１１に巻き
回した上で隣接するろ板間に同じく設けたろ布６の下端
部と合着され、その合着部に下部支持バー１２を設け、
この下部支持バー１２が前述のチェーン１０の下端に連
結されている。

【０００８】次に、図２において、符号１３は、ろ板３
を厚み方向に貫く給液路であり、ろ板３を閉板したとき
には、前述の給液板７の給液路７ａとパイプ状に繋がっ
て、ろ板間においてろ布６，６で形成されるろ過室に連
通するようにしてある。また、符号１４は、その始端が
ろ板３のろ過床３ａに開口するろ液の取出路である。
尚、図示のものではダイヤフラムを取り付けていない
が、ダイヤフラムを用いてケーキを圧搾する場合には、
ダイヤフラムはろ過床に取り付けられるものである。ま
た、図示のものでは、ろ過床３ａの詳細構造を省略して
いるが、普通ろ過床３ａは突条あるいは突起を配設して
ろ液の流下溝が形成されているものである。さらに、図
示のものでは、ろ材としてろ布６を用いているが、メタ
ルメッシュ等を用いてもよく、要するに、耐熱性及び耐
圧性を有するろ材ならば広く適用できるものである。こ
の場合、ろ材は固定され、給液板７も必要としないもの
である。

【０００９】この発明に係るフイルタプレスは上述のよ
うに構成されており、これを用いて汚泥を脱水乾燥する
には、各ろ板３を閉板して各ろ板間にろ布６，６でろ過
室を形成し、このろ過室に汚泥を圧入して脱水したの
ち、ろ過室に生じたケーキに対して、ろ液取出路１４か
ら高温高圧のガスを吹き込めばよい。すなわち、圧入脱
水されたケーキは、高圧高温ガスによって加熱されてそ
の水分が蒸発し、蒸発した水分はガスとともに給液路１
３を通って機外に排出され、乾燥されるものである。こ
のケーキを加熱乾燥するに当って、この発明では、ケー
キを密閉したろ過室内で加熱するので、加熱ガスの熱が
他に逃げることなく、有効に使われるとともに、蒸発し
た水分はガスと共に機外に排出され、ケーキから完全に
分離することができる。また、この発明では、ケーキが
高温に加熱されているので、高圧高温ガスのブローを終
わったのち、ろ板３を開板してケーキを取り出したのち
もケーキは高温を保ち、水分の蒸発が継続して乾燥を進
行せしめることができる。

【００１０】

【発明の効果】このように、この発明は、高温高圧のガ
スをフイルタプレスの密閉したろ過室に吹き込むことに
よって、ろ過室のケーキを加熱昇温して水分を蒸発分離
するとともに、分離した水分を直ちにろ過室外に排出で
きるものであって、密閉室内での加熱であるので熱を逃
すことがなく、効率がよい上、分離した水分をケーキ内
に復帰させることもなく、脱水機から直ちに乾燥ケーキ
を得ることができる。さらに、ケーキは高圧下で高温に
加熱されているので殺菌、殺虫されているはもとより、
ろ過室から取り出した段階の低圧下ではさらに、水分が
蒸発して、乾燥が一層進行し、高脱水された乾燥ケーキ
を得ることができるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この発明に係るフイルタプレスの概略の側面
図である。

【図２】 図１のろ板の一部を取り出して示す縦断側面
図である。

【符号の説明】

２ ガイドレール ３ ろ板 ６ ろ布 １３ 給液路 １４ ろ液取出路

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一対のガイドレール２．２上に複数のろ
   板３・・・を移動自在に並列し、これらのろ板３．３間
   に一対のろ布６．６を吊設して閉板したろ板３．３間の
   ろ布６．６でろ過室を形成し、これらのろ過室に上水道
   等の汚泥を圧入して脱水するフイルタプレスにおいて、
   上記閉板したろ板３．３間のろ過室にろ板３に設けた給
   液路１３から汚泥を圧入してろ布６で脱水した後、ろ板
   ３のろ液取出路１４から高温高圧ガスを吹き込んで、密
   閉したろ過室でケーキを加熱し、加熱ガスとケーキから
   蒸発した水分をろ板３の給液路１３から排出した後、ろ
   板３．３を開板してケーキを取り出すことを特徴とする
   フイルタプレスの脱水乾燥方法。