JP2900822B2 - AlまたはAl合金製真空チャンバ部材 - Google Patents

AlまたはAl合金製真空チャンバ部材

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JP2900822B2
JP2900822B2 JP6823295A JP6823295A JP2900822B2 JP 2900822 B2 JP2900822 B2 JP 2900822B2 JP 6823295 A JP6823295 A JP 6823295A JP 6823295 A JP6823295 A JP 6823295A JP 2900822 B2 JP2900822 B2 JP 2900822B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、CVD装置,PVD装
置,ドライエッチング装置などに用いられるAlまたは
Al合金製真空チャンバ部材であって、真空チャンバ内
に導入される腐食性のガスやプラズマに対して優れた耐
食性を発揮するAlまたはAl合金製真空チャンバ部材
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】CVD装置,PVD装置,ドライエッチ
ング装置などに用いられる真空チャンバの内部には、反
応ガスやエッチングガスとしてClやF等のハロゲン元
素を含む腐食性のガスが導入されることから、腐食性ガ
スに対する耐食性(以下、耐ガス腐食性という)が要求
されている。また熱プラズマCVD装置等の場合には、
上記腐食性ガスに加えて、ハロゲン系のプラズマも発生
するので、プラズマに対する耐食性(以下、耐プラズマ
性という)も重要である。
【0003】その為、上記真空チャンバ用材料としては
従来主にステンレス鋼材が用いられていた。しかしなが
ら、ステンレス鋼製の真空チャンバは重量が大きく土台
に大掛かりな工事が必要であり、また熱伝導性が十分で
なく作動時のベーキングに時間がかかるという問題があ
った。更に、ステンレス鋼の合金成分であるCrなどの
重金属が、何らかの要因でプロセス中に放出されて汚染
源となることもあった。そこで、ステンレス鋼より軽量
で、熱伝導性に優れ、しかも重金属汚染のおそれのない
AlまたはAl合金製の真空チャンバの開発が検討され
ている。
【0004】しかしながら、AlまたはAl合金の地金
表面は耐ガス腐食性および耐プラズマ性が必ずしも良い
訳ではなく、何らかの表面処理を施すことが必要と考え
られ、種々検討されている。例えば、特公平5−538
70号公報には、AlまたはAl合金製真空チャンバ部
材の表面に陽極酸化処理を施し、陽極酸化皮膜を形成す
ることによりAlまたはAl合金の耐ガス腐食性を向上
させて真空チャンバ部材とする発明が開示されている。
しかしながら上記陽極酸化皮膜は、前記腐食性ガスやプ
ラズマとの反応を全く起こさないというものではなく、
使用中に腐食されると反応生成物が微粒子として発生
し、例えば半導体製造に用いられると不良品の原因とな
ることがあり、改善が望まれていた。
【0005】また特公平5−53871号公報には、イ
オンプレーティング法を採用しAlまたはAl合金製真
空チャンバ部材の表面に、耐食性に優れた皮膜(例え
ば、TiN、TiC等)を形成する技術が開示されてい
る。但し、上記皮膜をイオンプレーティング等の気相合
成法により作成すると、かなりの処理コストがかかると
いう問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に着
目してなされたものであって、コスト的に有利な陽極酸
化処理法を採用することを前提として、耐ガス腐食性及
び耐プラズマ性に優れたAlまたはAl合金製真空チャ
ンバ部材を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成した本発
明に係るAlまたはAl合金製真空チャンバ部材とは、
表面に開口したポアを多数有するポーラス層とポアのな
いバリア層からなる陽極酸化皮膜を有し、上記ポーラス
層のポア径を表面側で小さく、基材側で大きくしてなる
ことを要旨とするものである。
【0008】尚、上記ポーラス層のポア径を表面側で小
さく、基材側で大きく形成された陽極酸化皮膜は、ポー
ラス層のポア径が深さ方向の任意区間で連続的変化部を
有していてもよく、また非連続的変化部を有していても
よい。さらにポーラス層のポア径が深さ方向の任意区間
で非変化部を有しているものであってもよい。さらに、
C,S,N,P,F,Bよりなる群から選ばれる2種以
上の元素を、陽極酸化皮膜に含有させることによってよ
り優れた耐食性が得られる。
【0009】上記真空チャンバ部材に用いるAl合金製
基材としては、晶出物及び析出物の平均粒径が10μm
以下であるか、或は上記晶出物及び析出物が、部材表面
中最大面積を有する部材表面に対して平行に配列される
様に調整されたAl合金材料を用いることによって、陽
極酸化皮膜の耐食性に加えて基材自体の耐食性も期待で
きる。また、晶出物及び析出物の平均粒径が10μm以
下であり、且つ晶出物及び析出物の配列方向が最大面積
を有する部材表面に対して平行であることが好ましい。
【0010】本発明において真空チャンバ部材とは、真
空チャンバの構造材だけではなく、該真空チャンバ内に
配設されるガス拡散プレート(GDP),クランパー,
シャワーヘッド,サセプター,クランプリング,静電チ
ャックなどの部材であって、Al合金で製作されるもの
には全て適用され、以下の説明では、これらの部材をす
べて包含して真空チャンバ部材と総称する。但し現実に
製作するチャンバとしては、その部材の全てを本発明の
改良品で構成しなければならないという訳ではなく、他
の改良を加えたAl合金や従来公知のステンレス鋼,セ
ラミックス・プラスチック複合材料などと組み合わせ
て、製作したものであっても差支えない場合がある。
【0011】
【作用】本発明者らは、AlまたはAl合金製真空チャ
ンバ部材は、前述の腐食性ガスやプラズマに対する耐食
性が悪いので、これを改善すべく種々の表面改質技術に
ついて鋭意研究を重ねてきた。その結果、AlまたはA
l合金製真空チャンバ部材に陽極酸化処理を行う場合に
は、その陽極酸化皮膜の内部構造や成分組成を制御する
ことが可能であり、これによって耐ガス腐食性及び耐プ
ラズマ性の向上に非常に優れた成果が得られることを見
出した。
【0012】尚、従来技術(例えば、上記特公平5ー5
3870号公報)においても、陽極酸化処理を行うに際
して陽極酸化皮膜の膜厚を制御する技術が含まれてい
る。また、電解条件を変えることで陽極酸化皮膜の構造
が変化することも知られている。しかしながら、陽極酸
化皮膜の内部構造や成分組成を制御することによって腐
食性ガスやプラズマとの腐食反応を抑制しようとする試
みは行われておらず、またこの観点から検討を行った事
例の報告はない。
【0013】図1は、陽極酸化処理によりAl又はAl
合金製真空チャンバ部材の表面に形成される陽極酸化皮
膜の概略構造を概念的に示す一部断面説明図である。上
記陽極酸化皮膜は、電解が開始されると共に基材1にポ
ア3と呼ばれる凹部を穿孔しながら、上記ポア3を中心
位置に有するセル2を深さ方向に成長せしめる。
【0014】図2は、陽極酸化皮膜の断面図であり、本
発明ではポア3が形成された部分をポーラス層4、該ポ
ーラス層4と基材1との間に介在してポアのない層をバ
リア層5と呼ぶ。該バリア層5はガス透過性を有しない
から、ガスやプラズマがAlやAl合金と接触するのを
防ぐ。
【0015】尚、上記の様にポーラス層とバリア層を有
する陽極酸化皮膜の場合には、ポーラス層のポア径、セ
ル径およびバリア層の厚さは、夫々の間に正の相関関係
があることが分かっている。そこでまず、本発明者らが
陽極酸化皮膜の内部構造と耐ガス腐食性および耐プラズ
マ性との関係について調べたところ、以下の様な知見を
得た。
【0016】第1に、ポーラス層の表面におけるポア径
およびセル径が小さい程、優れた耐プラズマ性を発揮す
ることを見出した。これは、ポアの開口部面積が小さい
程ポーラス層表面の均一性が向上することから、ポア径
およびセル径が大きい場合においてポアの表面側縁部に
発生し易いプラズマの局部的集中を抑制して、ポーラス
層の表面近傍においてプラズマ濃度が不均一となること
を抑制できるからであると考えられる。
【0017】第2に、ポーラス層の基材側の内部構造と
しては、ポア径およびセル径の大きな構造であること
が、耐ガス腐食性の向上に対して有効に作用することが
分かった。その理由としては、ポア径およびセル径の大
きな構造とすることによってポア内の表面積を含む実質
表面積が小さくなり、腐食性ガスとの反応可能面積が減
少することにより、反応生成物による体積変化が内部構
造に及ぼす悪影響を減少させるからであると考えられ
る。
【0018】第3に、バリア層は厚い程、耐ガス腐食性
が良くなることを見出した。上述の通り、バリア層の存
在により、腐食性ガスはAlまたはAl合金基材と容易
に接触することはできない。但し、腐食性ガス雰囲気下
に長時間おかれると、ガスの種類によっては徐々にバリ
ア層内に侵入していくことがある。従って、腐食性ガス
から遮断するだけではなく、更には腐食性ガスに長時間
曝された場合であっても優れた耐ガス腐食性を発揮する
上で、バリア層は厚い方が望ましいのである。
【0019】以上の知見から、ポーラス層の表面側のポ
ア径はできるだけ小さく形成し、一方、基材側のポア径
はできるだけ大きく形成してバリア層を厚くする様な構
造が望ましいとの結論を得た。
【0020】但し、本発明はポア径を限定するものでは
なく、少なくともポーラス層の基材側ポア径を表面側ポ
ア径より大きくすることによって耐食性の向上を図るも
のであるが、優れた耐プラズマ性を得るには、表面側ポ
ア径を80nm以下とすることが好ましく、50nm以
下であればより好ましく、さらに好ましくは30nm以
下である。また、耐ガス腐食性を十分発揮する上で、バ
リア層の厚さは50nm以上が好ましく、80nm以上
であればより好ましい。
【0021】また本発明では、少なくとも上記ポーラス
層の基材側ポア径を表面側ポア径より大きくしていれば
よく、上記ポーラス層のポアの基材側と表面側の中間部
におけるポア径を限定するものではない。従って該中間
部は任意区間において連続的変化部,非連続的変化部,
非変化部が任意に混在可能であり、またポア径が基材側
から表面側に向かう途中で一旦小さくなっても良く、或
いは途中で中断されたものを含んでいても差しつかえな
い。
【0022】例えばポア径が深さ方向に連続的に変化し
ていてもよく、この場合には、表面側から基材側に向け
て順次ポア径の大きくなっているものや、表面側から基
材側に向けて順次ポア径が大きくなった後に再びポア径
を小さくし、さらに再度ポア径を大きくしてポア径を連
続的に変化させたものなど種々のものが可能である。
【0023】またポア径の異なるポーラス層が2層以上
積層されてポア径が段階的に変化する様な構造であって
もよい。この場合には、ポア径の変化はできるだけ小さ
いことが好ましく、中間層としてポア径が連続的に変化
する傾斜層を設けて積層することが望ましい。この様な
ポーラス層の構造の選択は、それぞれの部材の適用部位
によって適宜選定すればよい。
【0024】尚、以上の説明では、陽極酸化皮膜のポア
径に代表される内部構造が深さ方向に変化している場合
について述べてきた。しかし、ポア径を変化させるべく
電解条件を変えた場合には、表面のポア径が全表面に亘
って均一になるとは限らず、表面の形状や位置によって
は平面的に見て変化することが多い。従って特に高い耐
プラズマ性が要求される部分を選んで特にその部位の表
面側ポア径を可及的に小さくする様にしてもよい。従っ
て局部的に見れば、ポア径についての本発明条件を満足
しない部分もあり得るが、全体的傾向として本発明条件
を満足しておれば良いのである。
【0025】本発明では、優れた耐食性を発揮させる上
で、陽極酸化皮膜の厚さを0.05μm以上形成するこ
とが必要であり、0.1μm以上であれば好ましい。但
し、皮膜厚さが厚過ぎると、皮膜自身によって応力を緩
和することが困難になる場合もあり、割れを生じて表面
の被覆が不充分になったり、更には皮膜が剥離し、逆に
不良発生の問題を引き起こすことがあるので、陽極酸化
皮膜の厚さは50μm以下にすることが必要である。
【0026】本発明は電解に用いる溶液の種類を限定す
るものではなく、硫酸,りん酸,クロム酸などの無機
酸、或いはギ酸やしゅう酸などの有機酸が使用できる
が、陽極酸化の電解電圧を広い範囲で任意に制御できる
面から、しゅう酸を1g/リットル以上含有する電解液
を用いることが推奨される。例えば図3は、硫酸,しゅ
う酸,りん酸の3種の陽極酸化処理溶液を用いて、種々
の電解条件で陽極酸化皮膜を形成した場合の電解電圧と
電流密度の関係を示すグラフである。硫酸の場合は、電
解電圧の変化によって電流密度が大きく変化することか
ら、成膜速度が大きい。一方りん酸の場合は電解電圧を
比較的大きく変化させても電流密度の変化が小さく、ま
た成膜速度が小さい。従って、硫酸は成膜速度が大き過
ぎて膜厚の制御が難しく、一方りん酸は成膜速度が小さ
過ぎて生産効率が悪いということが言える。これに対し
てしゅう酸は電解電圧の変化に対する電流密度の変化が
硫酸とりん酸の中間程度であり、生産効率をりん酸ほど
損なうことなく、内部構造を制御することが容易であ
る。
【0027】以上は、陽極酸化皮膜の内部構造を制御す
ることによって、耐ガス腐食性および耐プラズマ性を向
上させた陽極酸化皮膜を説明したが、更に本発明者らが
鋭意研究を重ねた結果、陽極酸化皮膜の成分組成を調整
することによって、より一層の耐食性改善効果が得られ
ることをつきとめた。即ち、C,S,N,P,F,B
(以下、本発明に係る元素ということがある)よりなる
群から選ばれる2種以上の元素を、陽極酸化皮膜中に含
有させることによって、ガスやプラズマに対する耐食性
が一層向上することを見出したのである。
【0028】尚、陽極酸化処理溶液として例えばしゅう
酸やギ酸などの有機酸を用いると、Al43 ,Al2
6 ,HCOOH,(COOH)2 等のCを含む化合物
[その他、−CO3 ,−C24 ,−COOHなどのC
xyz 基(x≧1、y,z≧0の整数)を含有する
化合物]が陽極酸化皮膜中に含有される。従って、しゅ
う酸などの有機酸を陽極酸化処理溶液に用いる場合に
は、C以外のS,N,P,F,Bより1種以上の元素を
含有させて2種以上とすればよく、具体的な方法として
は、以下に例示する化合物を陽極酸化処理溶液に添加す
ればよい。
【0029】 Sの場合:H2 SO4 ,Al2 (SO
43 等を陽極酸化処理溶液に添加することにより、H
2 SO4 ,H2 SO3 ,Al2 (SO43 ,Al(H
SO 43 等のSを含む化合物[その他、−SO4 ,−
SO3 ,−HSO4 などのS xyz 基(x≧1、
y,z≧0の整数)を含有する化合物]が陽極酸化皮膜
中に含有される。
【0030】 Nの場合:HNO3 ,Al(NO3
3 等を陽極酸化処理溶液に添加することにより、HNO
3 ,HNO2 ,Al(NO33 等のNを含む化合物
[その他、−NO3 ,−NO2 などのNxyz
(x≧1、y,z≧0の整数)を含有する化合物]が陽
極酸化皮膜中に含有される。
【0031】 Pの場合:H3 PO4 ,H3 PO3
AlPO4 等を陽極酸化処理溶液に添加することによ
り、H3 PO4 ,H2 PHO3 ,AlPO4 等のPを含
む化合物[その他、−PO4 ,−HPO4 ,−H2 PO
4 ,−HPHO3 などのPx yz 基(x≧1、y,
z≧0の整数)を含有する化合物]が陽極酸化皮膜中に
含有される。
【0032】 Fの場合:HF等を陽極酸化処理溶液
に添加することにより、Fを含む化合物が陽極酸化M皮
膜膜中に含有される。 Bの場合:(NH4247 ,H3 BO3 等を
陽極酸化処理溶液に添加することにより、B23
(NH4247 等のBを含む化合物[その他、−
BO3 ,−B47 などBxyz 基(x≧1、y,
z≧0の整数)を含有する化合物]が陽極酸化皮膜中に
含有される。
【0033】尚、陽極酸化処理溶液に添加する上記化合
物の量は、S,N,P,F,Bという夫々の元素量に換
算して0.1g/リットル以上が好ましく、0.1g/
リットル未満の場合には顕著な効果を発揮することは難
しい。
【0034】上述の通り、しゅう酸を陽極酸化処理溶液
として用いると、しゅう酸に由来するC含有化合物が陽
極酸化皮膜に含有されるので、C以外の本発明に係る元
素(S,N,P,F,B)を1種以上含有させれば良
く、また硫酸を陽極酸化処理溶液として用いる場合に
は、硫酸に由来するS含有化合物が陽極酸化皮膜に含有
されるので、S以外の本発明に係る元素(C,N,P,
F,B)を1種以上含有させれば良い。この様に、陽極
酸化処理溶液に含有される元素の種類に応じて、該含有
元素以外の本発明に係る元素を含む化合物を、上記陽極
酸化処理溶液に添加し、結果として2種以上の本発明に
係る元素を陽極酸化皮膜に含有させれば良い。
【0035】また、陽極酸化処理液に上記化合物を添加
する方法以外にも、基材のAl合金に、合金化元素とし
て本発明に係る元素を含有したものを用いてもよく、ま
たイオン注入等の表面改質法により基材の表面層だけに
上記元素を含有させた後陽極酸化処理する方法を採用し
てもよい。いずれの方法を用いる場合であっても、最終
的に本発明に係る元素を2種以上含有させることによ
り、陽極酸化皮膜の耐ガス腐食性および耐プラズマ性を
向上できる。
【0036】上記元素を陽極酸化皮膜に含有させる量
(重量%にて)としては、耐ガス腐食性および耐プラズ
マ性の向上を図る上で、Cは0.01%以上が好まし
く、0.5%以上であるとより望ましい。Sは0.02
%以上が好ましく、2%以上であるとより望ましい。N
は0.01%以上が好ましく、0.7以上であるとより
望ましい。Pは0.015%以上が好ましく、1%以上
であるとより望ましい。Fは0.01%以上が好まし
く、0.5%以上であるとより望ましい。Bは0.01
5%以上が好ましく、0.3%以上であるとより望まし
い。
【0037】本発明は基材となるAl合金を限定する訳
ではないが、例えばチャンバ材料としては機械的強度,
熱伝導率,電気伝導率,耐食性の観点で優れている10
00系合金や5000系合金,6000系合金が望まし
い。1000系合金は純アルミニウム系であるが、50
00系合金の場合には、少なくとも合金成分としてS
i:0.5重量%以下,Mg:0.5〜6.0重量%を
含有していることが好ましく、また6000系合金の場
合には、少なくとも合金成分としてSi:0.2〜1.
2重量%、Mg:0.4〜1.5重量%を含有している
ことが好ましい。尚、チャンバ内部品の場合には、50
00系合金や6000系合金の他に、2000系合金や
7000系合金などを用いることもできる。また、Al
合金の合金成分として、Mg,Si,Cu,Fe等を含
有することにより、高周波や高温(熱サイクル)に対す
る陽極酸化皮膜の耐割れ性向上、酸化膜内部応力の低減
にも効果を発揮することが分かっている。特に6000
系合金の成分元素であるMg,Siがあると効果的であ
り、材料の最終熱処理条件によってその効果が影響を受
ける場合がある。
【0038】尚、Al合金を基材として用いる場合に
は、Al合金中に含まれる合金化元素や不可避不純物に
起因する晶出物及び析出物が含有される場合が多い。晶
出物及び析出物が存在すると、腐食性の高いClやF等
のハロゲン元素等が、マトリックスであるAlとの界面
に侵入しやすく、耐食性に悪影響を及ぼすことがある。
従って、Al合金中の晶出物及び析出物が微細に分散し
ている材料を選択するか、晶出物又は析出物が腐食性元
素の侵入方向に対して連続的に存在しない様に構成する
ことが推奨される。具体的には、晶出物及び析出物の平
均粒径が10μm以下の材料を用いることが好ましい。
また晶出物及び析出物の平均粒径が10μmを超える場
合には、熱間加工により配列した晶出物及び析出物の配
列方向が部材表面に対して、特にプラズマやガスに暴露
される最大表面積を有する面に対して、平行である様に
配慮して用いることが望ましい。さらに、晶出物及び析
出物の粒径と配列方向を同時に上述の様に制御すればよ
り好ましい。
【0039】上記晶出物及び析出物の平均粒径が10μ
m以下であることが耐食性向上に有効である理由として
は、晶出物及び析出物が微細に形成されている場合には
晶出物及び析出物の連続性がなくなって相互の間隔も適
切に保ち易く、耐食性を向上させることができるもので
あると考えられる。晶出物の場合では、その平均粒径が
6μm以下であることが好ましく、3μm以下であれば
より好ましい。析出物の場合では、その平均粒径が2μ
m以下であることが好ましく、1μm以下であればより
好ましい。尚、晶出物及び析出物の平均粒径が本発明の
範囲を満足する場合であっても、最大の粒径を有する晶
出物または析出物が大き過ぎる場合には、耐食性に悪影
響を与える場合がある。従って晶出物及び析出物の最大
粒径は15μm以下が好ましく、10μm以下がより好
ましい。
【0040】また本発明による部材を使用する環境によ
っては、使用中に析出物が成長し、その粒径が増大する
場合がある。粒径が大きくなった場合でも最大の粒径が
上記の範囲内にあることが好ましいが、それが難しい環
境で用いる場合には、析出物の粒径が可及的に小さい材
料(具体的には、析出物の平均粒径が2μm以下,好ま
しくは1μm以下の材料)を選択することが望ましい。
【0041】Al合金において晶出物及び析出物を微細
に分散形成させる要因としては、合金組成における合金
化元素や不可避不純物の含有量を少なくすること以外
に、鋳造速度を制御することが挙げられる。即ち、鋳造
時の冷却速度を可及的に大きくすることにより、晶出物
及び析出物の平均粒径及び体積分率を小さく制御するこ
とが可能である。具体的には、鋳造時の冷却速度は1℃
/sec以上が好ましく、10℃/sec以上がより好
ましい。
【0042】更に、析出物については、最終的に施され
る熱処理(例えば、T4,T6等と称されるもの)によ
って、粒径や形状,分布状態等を制御することができ
る。その方法としては、溶体化処理温度をできるだけ高
く設定して(例えば、固相高温ぎりぎりまで上昇させ
て)、過飽和の固溶体を形成し、その後2段,3段等の
多段時効処理を行なうことが有効である。この様に鋳造
後であっても、上記の熱処理を施すことによって析出物
の粒径を一層小さく制御することが可能である。
【0043】また、晶出物及び析出物は鋳造後の熱間押
出や熱間圧延等に際して押出方向や圧延方向に配列され
がちである。このように晶出物及び析出物が特定方向に
配列している場合であっても、真空チャンバ部材として
用いる際に、その配列方向を考慮して、真空チャンバ部
材の形状ごとに最大面積を有する面と晶出物及び析出物
の配列方向が平行となる様にすることによって、耐食性
向上に寄与する。
【0044】尚、真空チャンバ部材の種類によっては、
その部材の形状に由来する制約から、最大面積を有する
面と晶出物及び析出物の配列方向とが垂直となることが
ある。例としては、部材形状が円盤状であるサセプタ
ー,ガス拡散プレート,静電チャックの誘電体プレート
等が挙げられる。例えば上記サセプターは円柱状の押出
材を輪切りにすることにより円盤状に製造される場合が
多く、熱間押出方向に配列した晶出物及び析出物の配列
方向と、上記サセプターの上面及び底面とが直交するこ
とが一般的である。従って、このようなサセプターの様
な真空チャンバ部材の場合には、晶出物及び析出物の配
列方向に配慮するのではなく、むしろ晶出物及び析出物
の平均粒径を前述の通り可及的に小さく制御することに
より、耐食性の向上を図れば良い。
【0045】更に、晶出物及び析出物の平均粒径及び/
又は配列方向を制御することに加えて、晶出物及び析出
物の体積分率を可及的に小さく制御することにより、よ
り一層耐食性を向上させることが可能である。具体的に
は、晶出物及び析出物の体積分率は4%以下であること
が推奨され、より好ましくは2%以下であり、1%以下
であると更に望ましい。
【0046】尚、晶出物及び析出物の平均粒径と体積分
率の組合わせにおいて望ましい範囲は以下の通りであ
る。即ち、晶出物の場合では、平均粒径が6μm以下で
且つ体積分率が4%以下(望ましくは2%以下)である
ことが好ましく、平均粒径が3μm以下で且つ体積分率
が2%以下(望ましくは1%以下)であればより好まし
い。一方析出物の場合では、平均粒径が2μm以下で且
つ体積分率が4%以下(望ましくは2%以下)であるこ
とが好ましく、平均粒径が1μm以下で且つ体積分率が
2%以下(望ましくは1%以下)であればより好まし
い。
【0047】本発明において、晶出物とは液相から形成
される化合物を言い、析出物とは固相から形成される化
合物をいう。晶出物や析出物の種類は、Al合金の組成
に応じて変化するものであり、その種類により限定され
るものではないが、例示すれば以下の通りである。
【0048】1000系Al合金の晶出物(以下、10
00系晶出物という)には、Al3Fe,Al6 Fe等
のAl−Fe系晶出物と、α−AlFeSi,β−Al
FeSi等のAl−Fe−Si系晶出物がある。200
0系Al合金の晶出物は上記1000系晶出物と同様で
あり、析出物としては、Al2 Cu,Al2 CuMg,
Al6 CuMg4 などが挙げられる。
【0049】3000系Al合金の晶出物は上記100
0系晶出物に加えて、Al6 Mn,Al4 Mn,AlM
n,Al12Mn,Al12Fe3 Si,Al12Mn3
i,Al9 Mn2 Si等があり、析出物は主としてAl
6 Mnである。
【0050】5000系Al合金の晶出物は上記100
0系晶出物に加えて、Al3 Mg2,Al12Mg17,A
7 Cr,Al18Mg3 Cr2 ,Al18Mg3 Mn2
があり、析出物としてはAl3 Mg2 ,Al2 CuMg
等が挙げられる。
【0051】6000系Al合金の晶出物は上記100
0系晶出物に加えて、Mg2 Si,Si,Al8 Mg5
等があり、析出物としては主としてMg2 Si,Al2
CuMg等がある。
【0052】7000系Al合金の晶出物は上記100
0系晶出物に加えて、Al8 Mg5,AlZn,Mg2
Zn11,MgZn2 等があり、析出物としてはMg2
11,MgZn2 ,Al2 Mg3 Zn3 ,Al2 CuM
g等がある。
【0053】以下本発明を実施例によって更に詳細に説
明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもので
はなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはい
ずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0054】
【実施例】実施例1 表1に示す各種Al合金板を用いて、表1に併記する種
々の構造を有する陽極酸化皮膜を形成して試験片とし
た。尚、ポーラス層のポア径はいずれも深さ方向に連続
的に変化している。ポーラス層の層数、各ポーラス層の
表面側および基材側ポア径、陽極酸化処理に用いた電解
液種類と上記陽極酸化皮膜の厚さを表1に示す。
【0055】上記試験片のハロゲン系ガスに対する耐食
性を評価することを目的として、5%Cl2 −Ar混合
ガスにより、300℃で4時間のガス腐食試験を行い、
試験後の外観を調べて以下の基準で評価した。 [ガス腐食試験] ○: 腐食発生なし △: 腐食発生面積率 5%未満 ×: 腐食発生面積率 5%以上
【0056】また、前記試験片の耐プラズマ性を評価す
るため、低バイアス条件下で90分間の塩素プラズマ照
射試験を行い、その被エッチング量を測定して、以下の
様に評価した。 [プラズマ照射試験] ○: 被エッチング量 2μm未満 △: 被エッチング量 2μm以上5μm未満 ×: 被エッチング量 5μm以上 上記ガス腐食試験およびプラズマ照射試験の結果は表1
に示す。
【0057】
【表1】
【0058】表1の結果から明らかな様に、本発明に係
る条件を満足するNo.1〜5は、優れた耐ガス腐食性
および耐プラズマ性を示した。一方No.6〜9は、本
発明に係る条件のいずれかを満足しない比較例であり、
耐ガス腐食性または耐プラズマ性の少なくとも一方が不
充分である。
【0059】実施例2 しゅう酸溶液を電解液とし表2に示す各種Al合金板を
用いて、表2に併記する種々の構造を有する陽極酸化皮
膜を形成して試験片とした。尚、ポーラス層のポア径は
いずれも深さ方向に連続的に変化している。ポーラス層
の層数、各ポーラス層の表面側および基材側のポア径と
上記陽極酸化皮膜の厚さを表2に示す。上記試験片を用
いて実施例1と同様の方法によりガス腐食試験およびプ
ラズマ照射試験を行い耐ガス腐食性および耐プラズマ性
を調べた。結果は表2に示す。
【0060】
【表2】
【0061】表2の結果から明らかな様に、本発明に係
る条件を満足するNo.1〜5は、優れた耐ガス腐食性
および耐プラズマ性を示した。一方No.6〜9は、本
発明に係る条件のいずれかを満足しない比較例であり、
耐ガス腐食性または耐プラズマ性の少なくとも一方が不
充分である。
【0062】実施例3 表3に示す各種Al合金板を用いて、表3に併記する種
々の構造を有する陽極酸化皮膜を形成して試験片とし
た。尚、ポーラス層が2層以上積層されている陽極酸化
皮膜はポア径が段階的に変化している。但し、No.4
は中間層としてポア径が連続的に変化する傾斜層を設け
た。ポーラス層の構造と、陽極酸化処理に用いた電解液
種類および上記陽極酸化皮膜の厚さを表3に示す。上記
試験片を用いて実施例1と同様の方法によりガス腐食試
験およびプラズマ照射試験を行い耐ガス腐食性および耐
プラズマ性を調べた。結果は表3に示す。
【0063】
【表3】
【0064】表3の結果から明らかな様に、本発明に係
る条件を満足するNo.1〜8は、優れた耐ガス腐食性
および耐プラズマ性を示した。一方No.9〜12は、
本発明に係る条件のいずれかを満足しない比較例であ
り、耐ガス腐食性または耐プラズマ性の少なくとも一方
が不充分である。
【0065】実施例4 しゅう酸溶液を電解液とし表4に示す各種Al合金板を
用いて、表4に併記する種々の構造を有する陽極酸化皮
膜を形成して試験片とした。尚、ポーラス層が2層以上
積層されている陽極酸化皮膜はポア径が段階的に変化し
ている。但し、No.2およびNo.8は中間層として
ポア径が連続的に変化する傾斜層を設けた。ポーラス層
の構造と上記陽極酸化皮膜の厚さを表4に示す。
【0066】上記試験片を用いて、ガス腐食試験の条件
を300℃で4時間とし、また塩素プラズマ照射試験の
照射時間を120分間とした以外は、実施例1と同様に
してガス腐食試験およびプラズマ照射試験を行い耐ガス
腐食性および耐プラズマ性を調べた。結果は表4に示
す。
【0067】
【表4】
【0068】表4の結果から明らかな様に、本発明に係
る条件を満足するNo.1〜9は、優れた耐ガス腐食性
および耐プラズマ性を示した。一方No.10〜14
は、本発明に係る条件のいずれかを満足しない比較例で
あり、耐ガス腐食性または耐プラズマ性の少なくとも一
方が不充分である。
【0069】実施例5 表5に示す各種Al合金板を用いて、表5に併記する種
々の構造を有する陽極酸化皮膜を形成して試験片とし
た。尚、ポーラス層の構造の変化をポア径で表すと共
に、陽極酸化処理に用いた電解液種類と上記陽極酸化皮
膜の厚さを表5に示す。上記試験片を用いて実施例1と
同様の方法によりガス腐食試験およびプラズマ照射試験
を行い耐ガス腐食性および耐プラズマ性を調べた。結果
は表5に示す。
【0070】
【表5】
【0071】本発明例No.1〜5は、ポーラス層が2
層以上積層されており、しかも各ポーラス層のポア径は
連続的に変化している。表5の結果から明らかな様に、
いずれも優れた耐ガス腐食性および耐プラズマ性を示し
た。一方No.6〜8は、本発明に係る条件のいずれか
を満足しない比較例であり、耐ガス腐食性または耐プラ
ズマ性の少なくとも一方が不充分である。
【0072】実施例6 しゅう酸溶液を電解液とし表6に示す各種Al合金板を
用いて、表6に併記する種々の構造を有する陽極酸化皮
膜を形成して試験片とした。尚、ポーラス層の構造の変
化をポア径で表すと共に、上記陽極酸化皮膜の厚さを表
6に示す。上記試験片を用いて、実施例4と同様にして
ガス腐食試験およびプラズマ照射試験を行い耐ガス腐食
性および耐プラズマ性を調べた。結果は表6に示す。
【0073】
【表6】
【0074】本発明例No.1〜5は、ポーラス層が2
層以上積層され、しかも各ポーラス層のポア径は連続的
に変化している。表6の結果から明らかな様に、いずれ
も優れた耐ガス腐食性および耐プラズマ性を示した。一
方No.6〜9は、本発明に係る条件のいずれかを満足
しない比較例であり、耐ガス腐食性または耐プラズマ性
の少なくとも一方が不充分である。
【0075】実施例7 表7に示す各種Al合金板を用いて、表7に併記する種
々の構造を有する陽極酸化皮膜を形成して試験片とし
た。尚、陽極酸化皮膜の構造としてポーラス層の層数、
各ポーラス層の表面側および基材側のポア径、陽極酸化
処理に用いた電解液種類と上記陽極酸化皮膜の厚さを表
7に示す。
【0076】上記試験片のハロゲン系ガスに対する耐食
性を評価することを目的として、10%Cl2 −Ar混
合ガスにより、350℃で4時間のガス腐食試験を行
い、試験後の外観を調べて以下の基準で評価した。 [ガス腐食試験] ◎: 腐食発生なし ○: 腐食発生面積率 5%未満 △: 腐食発生面積率 5%以上 10%未満 ×: 腐食発生面積率 10%以上
【0077】また、前記試験片の耐プラズマ性を評価す
るため、低バイアス条件下で120分間の塩素プラズマ
照射試験を行い、その被エッチング量を測定して、以下
の様に評価した。 [プラズマ照射試験] ◎: 被エッチング量 1.5μm未満 ○: 被エッチング量 1.5μm以上 2μm未満 △: 被エッチング量 2μm以上 5μm未満 ×: 被エッチング量 5μm以上 上記ガス腐食試験およびプラズマ照射試験の結果は表7
に示す。
【0078】
【表7】
【0079】表7の結果から明らかな様に、本発明に係
る条件を満足するNo.1〜9は、優れた耐ガス腐食性
および耐プラズマ性を示した。一方No.10〜13
は、本発明に係る条件のいずれかを満足しない比較例で
あり、耐ガス腐食性または耐プラズマ性の少なくとも一
方が不充分である。
【0080】実施例8 表8に示す各種Al合金板を用いて、表8に併記する種
々の構造を有する陽極酸化皮膜を形成して試験片とし
た。尚、陽極酸化皮膜の構造の変化はポア径で表すと共
に、陽極酸化処理に用いた電解液種類と上記陽極酸化皮
膜の厚さを表8に示す。
【0081】上記試験片を用いて、ガス腐食試験の条件
を350℃で5時間とし、また塩素プラズマ照射試験の
照射時間を150分間とした以外は、実施例7と同様に
してガス腐食試験およびプラズマ照射試験を行い耐ガス
腐食性および耐プラズマ性を調べた。結果は表8に示
す。
【0082】
【表8】
【0083】表8の結果から明らかな様に、本発明に係
る条件を満足するNo.1〜7は、優れた耐ガス腐食性
および耐プラズマ性を示した。一方No.8〜11は、
本発明に係る条件のいずれかを満足しない比較例であ
り、耐ガス腐食性または耐プラズマ性の少なくとも一方
が不充分である。
【0084】実施例9 表9に示す各種Al合金板を用いて、表9に併記する種
々の構造を有する陽極酸化皮膜を形成して試験片とし
た。尚、陽極酸化皮膜の構造の変化はポア径で表すと共
に、陽極酸化処理に用いた電解液種類と上記陽極酸化皮
膜の厚さを表9に示す。
【0085】上記試験片を用いて、ガス腐食試験の条件
を370℃で5時間とし、また塩素プラズマ照射試験の
照射時間を180分間とした以外は、実施例7と同様に
してガス腐食試験およびプラズマ照射試験を行い耐ガス
腐食性および耐プラズマ性を調べた。結果は表9に示
す。
【0086】
【表9】
【0087】表9の結果から明らかな様に、本発明に係
る条件を満足するNo.1〜6は、優れた耐ガス腐食性
および耐プラズマ性を示した。一方No.7〜9は、本
発明に係る条件のいずれかを満足しない比較例であり、
耐ガス腐食性または耐プラズマ性の少なくとも一方が不
充分である。
【0088】実施例10 表10に示す各種Al合金板を用いて試験片とした。各
種Al合金はJIS規格に定められた組成範囲にあり、
大気中で溶解し、凝固速度1℃/秒で鋳造した。その
後、480℃で4時間の均質化焼鈍を施した後、熱間圧
延加工または押出し加工を施した。加工温度は圧延,押
出し共に450℃であり、圧延加工の圧下率は80%、
押出し加工の押出比は4であった。
【0089】材料組織は断面から走査電子顕微鏡(SE
M)を用いて観察し、晶出物及び析出物の平均粒径を求
めた。また、一部の試験片については、画像解析処理に
よって体積分率を算出した。晶出物及び析出物の平均粒
径と体積分率及びその配列方向は表10に併記する。
尚、配列方向とは、上記試験片について以下の耐ガス腐
食性評価試験及び耐プラズマ性評価試験を行った最大面
積表面に対する配列方向である。
【0090】耐ガス腐食性 上記試験片のハロゲン系ガスに対する耐ガス腐食性を評
価することを目的として、5%Cl2 −Ar混合ガスに
より、400℃で2時間のガス腐食試験を行い、外観状
態を調べて以下の基準で評価した。 ◎: 腐食発生 なし ○: 腐食発生 面積率10%未満 △: 腐食発生 面積率10%以上20%未満 ×: 腐食発生 面積率20%以上 耐プラズマ性 前記試験片の耐プラズマ性を評価するため、低バイアス
条件下で15分間の塩素プラズマ照射を5分間隔で6回
繰り返すプラズマ照射試験を行ない、耐ガス腐食性と同
じ基準で評価した。上記ガス腐食試験およびプラズマ照
射試験の結果は表10に示す。
【0091】
【表10】
【0092】表10の結果から明らかな様に、本発明に
係る条件を満足するNo.1〜16は、優れた耐ガス腐食
性および耐プラズマ性を示した。一方No.17〜27
は、本発明に係る条件のいずれかを満足しない比較例で
あり、耐ガス腐食性または耐プラズマ性の少なくとも一
方が不充分である。
【0093】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されているの
で、耐ガス腐食性および耐プラズマ性に優れたAlまた
はAl合金製真空チャンバ部材が提供できることとなっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】陽極酸化皮膜の概略構造を示す一部断面説明図
である。
【図2】ポーラス層およびバリア層を有する陽極酸化皮
膜の断面説明図である。
【図3】3種の陽極酸化処理溶液による電解電圧と電流
密度の関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 和田 浩司 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所 神戸総合技術研 究所内 (72)発明者 池田 貢基 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所 神戸総合技術研 究所内 (56)参考文献 特開 平5−114582(JP,A) 特開 平4−206619(JP,A) 特開 昭60−197896(JP,A) 特開 平8−260196(JP,A) 特公 平5−53870(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C25D 11/04 - 11/24 C23C 14/00 - 16/56 C23F 4/00 H01L 21/302

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に開口したポアを多数有するポーラ
    ス層とポアのないバリア層からなる陽極酸化皮膜を有
    し、上記ポーラス層のポア径を表面側で小さく、基材側
    で大きくしてなると共に、上記陽極酸化皮膜の膜厚が
    0.05〜50μmであることを特徴とするAlまたは
    Al合金製真空チャンバ部材。
  2. 【請求項2】 ポーラス層のポア径が深さ方向の任意区
    間で連続的変化部を有している請求項1に記載のAlま
    たはAl合金製真空チャンバ部材。
  3. 【請求項3】 ポーラス層のポア径が深さ方向の任意区
    間で非連続的変化部を有している請求項1または2に記
    載のAlまたはAl合金製真空チャンバ部材。
  4. 【請求項4】 ポーラス層のポア径が深さ方向の任意区
    間で非変化部を有している請求項2または3に記載のA
    lまたはAl合金製真空チャンバ部材。
  5. 【請求項5】 C,S,N,P,F,Bよりなる群から
    選ばれる2種以上の元素を、陽極酸化皮膜に含有する請
    求項1〜4のいずれかに記載のAlまたはAl合金製真
    空チャンバ部材。
  6. 【請求項6】 基材中の晶出物及び析出物の平均粒径が
    10μm以下である請求項1〜5のいずれかに記載のA
    l合金製真空チャンバ部材。
  7. 【請求項7】 基材中の晶出物及び析出物が、部材表面
    中最大面積を有する部材表面に対して平行に配列されて
    なる請求項1〜6のいずれかに記載のAl合金製真空チ
    ャンバ部材。
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