JP2000178790A - 耐熱割れ性及び耐食性に優れた陽極酸化皮膜被覆部材 - Google Patents

耐熱割れ性及び耐食性に優れた陽極酸化皮膜被覆部材

Info

Publication number
JP2000178790A
JP2000178790A JP35352798A JP35352798A JP2000178790A JP 2000178790 A JP2000178790 A JP 2000178790A JP 35352798 A JP35352798 A JP 35352798A JP 35352798 A JP35352798 A JP 35352798A JP 2000178790 A JP2000178790 A JP 2000178790A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
anodic oxide
oxide film
surface roughness
measured
corrosion resistance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP35352798A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4068742B2 (ja
Inventor
Toshiyuki Tanaka
敏行 田中
Atsushi Hisamoto
淳 久本
Hidehito Okamoto
秀仁 岡本
Hirokazu Kurita
浩和 栗田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP35352798A priority Critical patent/JP4068742B2/ja
Publication of JP2000178790A publication Critical patent/JP2000178790A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4068742B2 publication Critical patent/JP4068742B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)
  • Chemical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱割れ性に優れ、しかも耐食性が良好な陽
極酸化皮膜被覆部材を提供する。 【解決手段】 AlまたはAl合金基材上に陽極酸化皮
膜を有する材料において、陽極酸化処理前の前記基材表
面を下記(i),(ii)の方法により測定した表面粗さで0.
1〜5μmとする。 (i) 基材表面で任意に選択した長さ25μmの線分上で
3か所以上の表面粗さを測定し、得られた測定値の中か
ら、最大値と最小値を除いた1か所以上の表面粗さの測
定値(2か所以上の場合は平均値)を測定値Aとする。 (ii)この作業を3回以上繰り返し、上記測定値Aの平均
を表面粗さとする。上記陽極酸化皮膜の表面について
も、前記基材を用いれば前記(i),(ii)の方法により測定
した表面粗さは0.1〜5μmとなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱割れ性及び耐
食性に優れた陽極酸化皮膜被覆部材に関し、詳細には半
導体製造装置や液晶製造装置のチャンバやチャンバ内部
材料、または高温摺動部材などとして好適なアルミニウ
ム合金製部材であって温度変化の大きい環境下で用いら
れても優れた耐熱割れ性を発揮すると共に、耐食性が良
好な陽極酸化皮膜被覆部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば半導体製造装置用真空チャンバに
は主にアルミニウム合金が採用されているが、チャンバ
内部は前処理工程や製造工程において室温〜200℃以
上の環境下で様々な種類の腐食性ガス及びプラズマに曝
されることから、無垢のアルミニウム合金のままでは耐
食性や耐摩耗性を維持することが難しい。そこで、アル
ミニウム合金の耐食性及び耐摩耗性を向上させることを
目的としてチャンバ内部に陽極酸化皮膜を形成する処理
が一般的に行われている。この様に、アルミニウムまた
はアルミニウム合金(以下、単にアルミニウム合金とい
う)の耐食性及び耐摩耗性の向上を目的として、陽極酸
化処理を行い、アルミニウム合金表面に陽極酸化皮膜を
形成することは、通常採用されている技術であり、従来
から種々の方法が提案されている。
【0003】例えば、特開平9−217197号公報に
は、機械加工によって得られたアルミニウム合金表面の
表面粗さRaが0.1μm以上の場合には、陽極酸化処
理の際にアルミナが様々な方向に成長してストレスが大
きくなり、陽極酸化皮膜中に欠陥(割れ)が生じてしま
い、これが耐食性を著しく劣化させているとの観点か
ら、基材表面に機械研磨を行うことによって表面平坦性
を平均表面粗さRaを0.1μm以下(好ましくは0.
01μm以下)にすることで、皮膜成長時のストレスを
緩和させ耐食性を向上させる技術が開示されている。
【0004】但し、この方法により得られた陽極酸化皮
膜被覆部材であっても、チャンバ部材に用いた場合、使
用中の大幅な温度変化により皮膜が割れたり剥離してし
まい、皮膜内部へ腐食性物質が侵入することにより基材
が腐食してしまうことが指摘されていた。
【0005】上述の様に、従来の陽極酸化皮膜では必ず
しも高温腐食環境と室温の熱サイクルを想定したもので
はなく、温度変化の大きい条件下で使用すると、基材と
皮膜の熱膨張率の違いもあって皮膜の割れや剥離が生
じ、腐食性物質が侵入することにより基材が腐食してし
まうものであった。即ち、耐熱割れ性に優れた陽極酸化
皮膜は存在しないのが実情である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に着
目してなされたものであって、耐熱割れ性に優れ、しか
も耐食性が良好な陽極酸化皮膜被覆部材を提供しようと
するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決した本発
明に係る耐熱割れ性及び耐食性に優れた陽極酸化皮膜被
覆部材とは、AlまたはAl合金基材上に陽極酸化皮膜
を有する材料であって、陽極酸化処理前の前記基材表面
を下記(i),(ii)の方法により測定した表面粗さが0.1
〜5μmであることを要旨とするものである。
【0008】(i) 基材表面で任意に選択した長さ25μ
mの線分上で3か所以上の表面粗さを測定し、得られた
測定値の中から、最大値と最小値を除いた1か所以上の
表面粗さの測定値(2か所以上の場合は平均値)を測定
値Aとする。 (ii)この作業を3回以上繰り返し、上記測定値Aの平均
を表面粗さとする。
【0009】上記陽極酸化皮膜の表面についても、前記
基材を用いれば前記(i),(ii)の方法により測定した表面
粗さは0.1〜5μmとなる。
【0010】更に、陽極酸化皮膜において複数のセルが
結合したセル結合部が均一に分散させれば、耐熱割れ性
及び耐食性に優れた陽極酸化皮膜被覆部材を得ることが
できる。
【0011】また、陽極酸化皮膜の成長のプロセスにお
いて両隣りのセルが合体して基材に至るか、或いは単独
のセルが途中で分かれて基材に至っている陽極酸化皮膜
を形成すれば耐熱割れ性及び耐食性に優れた陽極酸化皮
膜被覆部材を得ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明者らは、従来の陽極酸化皮
膜被覆部材に発生する割れを防止すべく、種々検討した
結果、皮膜中の割れの現象が発生するのは、図1に示す
様に、セル3の成長方向が1か所に集中してしまいスト
レスが非常に高くなる部分が皮膜2中に存在することが
原因であるとの結論に達した。
【0013】更に前記先行技術(特開平9−21719
7号公報)の様に、基材の平均表面粗さRaが0.1μ
m以下の陽極酸化皮膜に関しては、図2に示す様にセル
3が基材に対して真っ直ぐ成長しているおり、セル3と
セル3’の間のストレスは非常に小さいのであるが、高
温(200℃以上)と室温の熱サイクルが与えられる真
空チャンバ部材等の様な環境において使用すると、基材
1と皮膜2との熱膨張率差を吸収できず、皮膜中の最も
弱い部分であるセル3とセル3’との間で皮膜が割れて
しまい、かえって耐食性を損なうものであることを突き
止めた。
【0014】そこで本発明者らは、皮膜割れの原因の一
つである皮膜中のストレス集中部が局所的に存在するこ
とを避け、かつ基材と皮膜との熱膨張率差を吸収するた
め、セル結合部(陽極酸化処理におけるセルの成長過程
で複数のセル同士が結合した部分)を皮膜中に一様に設
ければ、皮膜中の弱い部分であるセル間を補強し、耐熱
割れ性及び耐食性(特に耐ガス腐食性)に優れた皮膜を
形成できることを見出し、本発明に想到した。
【0015】即ち、本発明に係る陽極酸化皮膜被覆部材
は、セル結合部を陽極酸化皮膜中に均一に分散させるこ
とでストレスを集中させることなく皮膜中に一様に分散
させ、陽極酸化皮膜の耐熱割れ性及び耐食性を飛躍的に
向上させるものである。
【0016】上記の様な皮膜は、陽極酸化処理前の前記
基材表面を下記(i),(ii)の方法により測定した表面粗さ
で0.1〜5μmとすることにより形成できる。
【0017】(i) 基材表面で任意に選択した長さ25μ
mの線分上で3か所以上の表面粗さを測定し、得られた
測定値の中から、最大値と最小値を除いた1か所以上の
表面粗さの測定値(2か所以上の場合は平均値)を測定
値Aとする。 (ii)この作業を3回以上繰り返し、上記測定値Aの平均
を表面粗さとする。
【0018】尚、図1に示すような従来品は、本発明で
規定した方法で測定すると、たとえJIS規格(B06
01)で測定したRa値では大きな値(特開平9−21
7197では従来技術としてRa0.1〜0.8μmの
ものが挙げられている)が得られているものであって
も、0.1μm以下の値(平滑な表面の値)が得られ
る。JISで定義するRaにおいて値が大きくなる理由
は、長さ数mmの区間を測定することで機械加工目のよ
うな大きな幅をもつ粗さまで併せて平均してしまうから
である。本発明で規定する表面粗さは、長さ25μmの
区間で平均粗さを測定し、かつ最大値及び最小値を除い
て平均するという測定方法に基づくものであり、上記R
a値で表現されるようなマクロな表面形状ではなく、ミ
クロな表面形状を規定している。換言すれば、本発明
は、耐熱割れ性に優れた皮膜を形成するには、Raで表
現されるようなマクロな表面形状ではなく、もっとミク
ロな表面形状を制御することが非常に有効であるとの知
見に基づいてなされたものである。
【0019】本発明で規定する表面粗さが0.1μm未
満であると、表面は平滑な状態に近くなり、セルが真っ
直ぐ成長して耐熱割れ性が劣化するので、0.1μm以
上にすることが必要であり、0.2μm以上であれば望
ましい。一方、本発明で規定する表面粗さが5μm以上
を超えると、基材が過度にあれた状態となり、陽極酸化
皮膜中に欠陥が多く発生し、やはり耐熱割れ性及び耐食
性が劣化するので5μm以下とすることが必要であり、
3μm以下であれば望ましい。
【0020】本発明で規定する表面粗さを得るには、A
l合金の種類や、部材の種類や使用環境等によって適切
な方法を選択すればよく、例えば、ショットブラスト,
機械研磨,圧延といった物理的手法や、エッチング等の
化学的手法に基づいて基材表面を処理すればよい。
【0021】本発明に係る陽極酸化皮膜被覆部材は、ま
ずAl合金基材表面に本発明で規定する表面粗さで0.
1〜5μmに粗面化し[図3(a)参照」、次いで常法
に従い陽極酸化皮膜を形成すれば図3(b)に示す様
に、皮膜内部にセル結合部が分散した皮膜を得ることが
できる。上記陽極酸化皮膜は、セルの成長プロセスにお
いて両隣りのセルが合体して基材に至るか、或いは単独
のセルが途中で分かれて基材に至っているものである。
尚、陽極酸化皮膜表面は、陽極酸化処理前における基材
表面の形状とほぼ同じであるが、図3(c)に示す様
に、この表面を研磨して平滑化しても差し支えない。ま
た、本発明で規定する表面粗さは、あくまでも陽極酸化
処理前の基材表面で制御することが不可欠であり、例え
ば図4に示す様に、0.1μm未満の表面粗さの基材を
陽極酸化して、その陽極酸化皮膜の表面を本発明で規定
する表面粗さで0.1〜5μmに形成したとしても熱割
れは発生するものである。
【0022】陽極酸化皮膜の膜厚は、薄過ぎると耐食性
の向上効果が十分に発揮されないので0.1μm以上と
するのが適当であり、0.5μm以上が好ましく、1μ
m以上であればより好ましい。また陽極酸化皮膜が厚過
ぎると、皮膜が剥離し易くなるので200μm以下が適
当であり、70μm以下が好ましく、50μm以下であ
ればより好ましい。
【0023】本発明が好適に用いられるチャンバ内部材
とは、AlまたはAl合金製真空チャンバの構造材だけ
ではなく、該真空チャンバ内に配設されるガス拡散プレ
ート(GDP),クランパー,シャワーヘッド,サセプ
ター,クランプリング,静電チャックなどの部材であっ
て、AlまたはAl合金で製作されるものには全て適用
可能である。
【0024】本発明は基材となるAl合金を限定する訳
ではないが、例えばチャンバ材料としては機械的強度,
熱伝導率,電気伝導率,耐食性の観点で優れている10
00系合金や5000系合金,6000系合金が望まし
い。1000系合金は純アルミニウム系であるが、50
00系合金の場合には、少なくとも合金成分としてS
i:0.5重量%以下,Mg:0.5〜6.0重量%を
含有していることが好ましく、また6000系合金の場
合には、少なくとも合金成分としてSi:0.2〜1.
2重量%、Mg:0.4〜1.5重量%を含有している
ことが好ましい。尚、チャンバ内部材の場合には、50
00系合金や6000系合金の他に、2000系合金や
7000系合金などを用いることもできる。また、Al
合金の合金成分として、Mg,Si,Cu,Fe等を含
有することにより、高周波や高温(熱サイクル)に対す
る陽極酸化皮膜の耐割れ性向上、酸化膜内部応力の低減
にも効果を発揮することが分かっている。特に6000
系合金の成分元素であるMg,Siがあると効果的であ
り、材料の最終熱処理条件によってその効果が影響を受
ける場合がある。
【0025】尚、本発明において陽極酸化処理を行う際
の電解電圧は一定であってもよいが、上記終期電圧を初
期電圧より高く設定して、基材側ポア径を表面側ポア径
より大きくすることが推奨される。その理由は、表面側
におけるポア径は、優れた耐プラズマ性を得る上で小さ
い程好ましく、一方ポーラス層の基材側の内部構造は、
耐ガス腐食性を向上させるという観点からポア径及びセ
ル径の大きな構造が望ましいからである。具体的には、
陽極酸化の初期電圧は50V以下が好ましく、30V以
下であればより好ましい。一方、陽極酸化処理の終期電
圧は初期電圧よりも高く設定することが望ましいが、具
体的には30V以上が好ましく、50V以上がより望ま
しく、70V以上であれば更に好ましい。
【0026】陽極酸化処理における終期電圧を初期電圧
より高く設定するにあたっては、陽極酸化電圧を全工程
に亘って連続的に変化させる方法と段階的に変化させる
方法が挙げられる。換言すれば、陽極酸化電圧を全工程
の任意の区間で連続的に及び/又は非連続的に変化させ
てもよく、或いは全工程の任意の区間において前記変化
部分を含みながら他の任意の区間で電圧を一定に保って
もよい。この様に、陽極酸化皮膜を形成する際の陽極酸
化電圧を全工程の任意の区間で変化させて異なった内部
構造を有する層を複合又は積層することにより、プロセ
ス中で陽極酸化皮膜とガス又はプラズマが接触した場合
に生ずる応力や体積変化を緩和することができ、その結
果、腐食や損傷の起点となる皮膜の割れや剥離を抑制し
て耐ガス腐食性および耐プラズマ性の向上に効果を発揮
することが期待できる。
【0027】また本発明においてAl合金製基材に陽極
酸化皮膜を形成するにあたっては、C,S,N,P,
F,Bよりなる群から選ばれる1種以上の元素を含有さ
せた溶液で電解を行うことが推奨され、例えば、しゅう
酸,りん酸,ほう酸またはその化合物、フタル酸または
その化合物よりなる群から選ばれる1種以上を含む水溶
液を用いて電解を行うことが望ましい。
【0028】更には、まずポーラス型陽極酸化処理を施
し、次いで非ポーラス型陽極酸化処理を行うことをが推
奨される。尚、上記ポーラス型陽極酸化処理とは、JIS
H 0201のアルミニウム表面処理用語における陽極酸化皮
膜細胞を形成する通常の陽極酸化処理を言い、電解溶液
として硫酸,りん酸,しゅう酸,クロム酸のいずれかを
用いるか、或はこれらの混合溶液を用いて、5〜200
Vの電解電圧で陽極酸化処理を施せばよい。また上記非
ポーラス型陽極酸化処理とは、ポアを形成することなく
バリア層を成長させる陽極酸化処理をいい、具体的に
は、ほう酸系溶液,りん酸系溶液,フタル酸系溶液,ア
ジピン酸系溶液,炭酸系溶液,クエン酸溶液,酒石酸溶
液,クロム酸ナトリウム溶液などのいずれかを用いる
か、或はこれらの混合溶液を用いて、60〜500Vの
電解電圧で陽極酸化処理する方法等が例示できる。
【0029】Al合金製基材としては、晶出物及び析出
物の平均粒径が10μm以下であるか、或は上記晶出物
及び析出物が、部材表面中最大面積を有する部材表面に
対して平行に配列される様に調整されたAl合金材料を
用いることによって、陽極酸化皮膜の耐食性に加えて基
材自体の耐食性も期待できる。また、晶出物及び析出物
の平均粒径が10μm以下であり、且つ晶出物及び析出
物の配列方向が最大面積を有する部材表面に対して平行
であることが好ましい。上記晶出物及び析出物の体積分
率としては、2%以下であることが推奨される。
【0030】以下、本発明を実施例によって更に詳細に
説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもの
ではなく、前・後記の主旨に徴して設計変更することは
いずれも本発明の技術的範囲内に含まれるものである。
【0031】
【実施例】実施例1 5000系または6000系のAl合金からなる基材表
面に、ショットブラストを施すことにより、表1に示す
表面粗さとし、表1に併記する各種の電解溶液を用いて
陽極酸化処理を行い、各種試験片を作製した。得られた
試験片に下記の試験を行い、耐熱割れ性と耐ガス腐食性
を評価した。
【0032】[耐熱割れ試験]450℃で1時間加熱
後、大気中に24時間暴露する熱サイクルを3セット繰
り返し、任意の10cm2 の領域における割れの長さを
測定して、以下の様に評価した。 ◎:割れなし ○:割れ長さ80mm未満 △:割れ長さ80mm以上160mm未満 ×:割れ長さ160mm以上
【0033】[耐ガス腐食試験]400℃で4時間加熱
後、大気中に24時間暴露する熱サイクルを2セット繰
り返し、腐食の発生した面積率を測定して、以下の様に
評価した。 ◎:腐食発生なし ○:腐食発生面積率 10%未満 △:腐食発生面積率 10%以上 20%未満 ×:腐食発生面積率 20%以上 結果は、表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】No.1〜7は本発明に係る陽極酸化皮膜
被覆部材であり、いずれも耐熱割れ性及び耐ガス腐食性
に優れている。一方、No.8〜11は、本発明で規定
する表面粗さが大き過ぎるか、小さ過ぎる場合の比較例
であり、いずれも耐熱割れ性及び耐ガス腐食性に劣るこ
とが分かる。
【0036】実施例2 陽極酸化処理後の表面において、本発明で規定する表面
粗さを測定したこと以外は、実施例1と同様にして表2
に示す各種試験片を作製し、耐熱割れ性と耐ガス腐食性
を評価した。結果は表2に併記する。
【0037】
【表2】
【0038】No.1〜4は本発明に係る陽極酸化皮膜
被覆部材であり、いずれも耐熱割れ性及び耐ガス腐食性
に優れている。一方、No.5〜8は、本発明で規定す
る表面粗さが大き過ぎるか、小さ過ぎる場合の比較例で
あり、いずれも耐熱割れ性及び耐ガス腐食性に劣ること
が分かる。
【0039】尚、No.9は、図4で示した様に、本発
明範囲外の平滑な表面を有する基材に陽極酸化皮膜を形
成した後、ブラスト処理で表面を粗くしたものであり、
この場合も、耐熱割れ性及び耐ガス腐食性に劣ることが
分かる。
【0040】実施例3 6000系のAl合金からなる基材表面に、ショットブ
ラストまたは表面研磨を施すことにより、表3に示す図
1〜図4の内部構造を有する陽極酸化皮膜を形成した。
得られた試験片に実施例1と同じ試験を行い、耐熱割れ
性と耐ガス腐食性を評価した。結果は表3に示す。
【0041】
【表3】
【0042】No.1,2は本発明に係る陽極酸化皮膜
被覆部材であり、いずれも耐熱割れ性及び耐ガス腐食性
に優れている。一方、No.3〜5は、陽極酸化皮膜に
おいてセル結合部が均一に分散していない比較例であ
り、いずれも耐熱割れ性及び耐ガス腐食性に劣ることが
分かる。
【0043】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されているの
で、耐熱割れ性に優れ、しかも耐食性が良好な陽極酸化
皮膜被覆部材が提供できることとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の陽極酸化皮膜の構造を示す概略説明図で
ある。
【図2】従来の陽極酸化皮膜の構造を示す概略説明図で
ある。
【図3】本発明に係る陽極酸化皮膜の構造を示す概略説
明図である。
【図4】比較例の陽極酸化皮膜の構造を示す概略説明図
である。
【符号の説明】
1 基材 2 皮膜 3 セル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡本 秀仁 三重県員弁郡大安町大字梅戸字東山1100番 株式会社神戸製鋼所大安工場内 (72)発明者 栗田 浩和 三重県員弁郡大安町大字梅戸字東山1100番 株式会社神戸製鋼所大安工場内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 AlまたはAl合金基材上に陽極酸化皮
    膜を有する材料であって、 陽極酸化処理前の前記基材表面を下記(i),(ii)の方法に
    より測定した表面粗さが0.1〜5μmであることを特
    徴とする耐熱割れ性及び耐食性に優れた陽極酸化皮膜被
    覆部材。 (i) 基材表面で任意に選択した長さ25μmの線分上で
    3か所以上の表面粗さを測定し、得られた測定値の中か
    ら、最大値と最小値を除いた1か所以上の表面粗さの測
    定値(2か所以上の場合は平均値)を測定値Aとする。 (ii)この作業を3回以上繰り返し、上記測定値Aの平均
    を表面粗さとする。
  2. 【請求項2】 陽極酸化皮膜の表面について、前記(i),
    (ii)の方法により測定した表面粗さが0.1〜5μmで
    ある請求項1に記載の陽極酸化皮膜被覆部材。
  3. 【請求項3】 陽極酸化皮膜において複数のセルが結合
    したセル結合部が均一に分散してなることを特徴とする
    耐熱割れ性及び耐食性に優れた陽極酸化皮膜被覆部材。
  4. 【請求項4】 陽極酸化皮膜の成長のプロセスにおいて
    両隣りのセルが合体して基材に至るか、或いは単独のセ
    ルが途中で分かれて基材に至っている陽極酸化皮膜を有
    することを特徴とする耐熱割れ性及び耐食性に優れた陽
    極酸化皮膜被覆部材。
JP35352798A 1998-12-11 1998-12-11 耐熱割れ性及び耐食性に優れた半導体製造装置用陽極酸化皮膜被覆部材の製造方法 Expired - Lifetime JP4068742B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35352798A JP4068742B2 (ja) 1998-12-11 1998-12-11 耐熱割れ性及び耐食性に優れた半導体製造装置用陽極酸化皮膜被覆部材の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35352798A JP4068742B2 (ja) 1998-12-11 1998-12-11 耐熱割れ性及び耐食性に優れた半導体製造装置用陽極酸化皮膜被覆部材の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000178790A true JP2000178790A (ja) 2000-06-27
JP4068742B2 JP4068742B2 (ja) 2008-03-26

Family

ID=18431449

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP35352798A Expired - Lifetime JP4068742B2 (ja) 1998-12-11 1998-12-11 耐熱割れ性及び耐食性に優れた半導体製造装置用陽極酸化皮膜被覆部材の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4068742B2 (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6521046B2 (en) 2000-02-04 2003-02-18 Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho Chamber material made of Al alloy and heater block
EP1432015A2 (en) 2002-12-16 2004-06-23 Hoya advanced Semiconductor Technologies Co., Ltd. Semiconductor and semiconductor substrate, method of manufacturing the same, and semiconductor device
KR100749924B1 (ko) 2006-08-29 2007-08-21 에스티주식회사 기판의 수직 연속 동 도금방법에 있어서, 기판 고정용행거의 이송장치
KR100754879B1 (ko) 2006-08-31 2007-09-04 에스티주식회사 기판의 수직 연속 동 도금방법에 있어서, 기판 고정용행거의 이송장치
CN103189963A (zh) * 2010-10-28 2013-07-03 应用材料公司 高纯度铝涂层硬阳极化
JP2016514213A (ja) * 2013-03-14 2016-05-19 アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドApplied Materials,Incorporated 基板上の高純度アルミニウムトップコート
JP2016099277A (ja) * 2014-11-25 2016-05-30 東京電力株式会社 原子炉格納容器内に用いる軽量金属製グレーチング
US10260160B2 (en) 2013-11-13 2019-04-16 Applied Materials, Inc. High purity metallic top coat for semiconductor manufacturing components

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6521046B2 (en) 2000-02-04 2003-02-18 Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho Chamber material made of Al alloy and heater block
EP1432015A2 (en) 2002-12-16 2004-06-23 Hoya advanced Semiconductor Technologies Co., Ltd. Semiconductor and semiconductor substrate, method of manufacturing the same, and semiconductor device
KR100749924B1 (ko) 2006-08-29 2007-08-21 에스티주식회사 기판의 수직 연속 동 도금방법에 있어서, 기판 고정용행거의 이송장치
KR100754879B1 (ko) 2006-08-31 2007-09-04 에스티주식회사 기판의 수직 연속 동 도금방법에 있어서, 기판 고정용행거의 이송장치
CN103189963A (zh) * 2010-10-28 2013-07-03 应用材料公司 高纯度铝涂层硬阳极化
JP2013542612A (ja) * 2010-10-28 2013-11-21 アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド 高純度アルミニウムコーティングの硬質陽極酸化処理
CN107731648A (zh) * 2010-10-28 2018-02-23 应用材料公司 高纯度铝涂层硬阳极化
CN107731648B (zh) * 2010-10-28 2020-02-14 应用材料公司 高纯度铝涂层硬阳极化
JP2016514213A (ja) * 2013-03-14 2016-05-19 アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドApplied Materials,Incorporated 基板上の高純度アルミニウムトップコート
US10260160B2 (en) 2013-11-13 2019-04-16 Applied Materials, Inc. High purity metallic top coat for semiconductor manufacturing components
JP2016099277A (ja) * 2014-11-25 2016-05-30 東京電力株式会社 原子炉格納容器内に用いる軽量金属製グレーチング

Also Published As

Publication number Publication date
JP4068742B2 (ja) 2008-03-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100473691B1 (ko) Al또는Al합금제진공챔버부재
TWI673392B (zh) 用於電鍍黏附之陽極氧化架構
US7033447B2 (en) Halogen-resistant, anodized aluminum for use in semiconductor processing apparatus
US7048814B2 (en) Halogen-resistant, anodized aluminum for use in semiconductor processing apparatus
JP2020007643A (ja) 半導体製造コンポーネント用高純度金属トップコート
JP3881461B2 (ja) アルミニウム又はアルミニウム合金材の多層コーティング、アルミニウム又はアルミニウム合金材及びそれを使用した台所用器具
EP2455949A1 (en) Metal laminated substrate for use as an oxide superconducting wire material, and manufacturing method therefor
US7764355B2 (en) Substrate stage and heat treatment apparatus
JP5065772B2 (ja) プラズマ処理装置用部材およびその製造方法
JPH11229185A (ja) 耐熱割れ性および耐食性に優れたAl材料
JP2000178790A (ja) 耐熱割れ性及び耐食性に優れた陽極酸化皮膜被覆部材
JPH08144088A (ja) AlまたはAl合金製真空チャンバ部材の表面処理方法
JP2900822B2 (ja) AlまたはAl合金製真空チャンバ部材
JP3746878B2 (ja) ガス耐食性とプラズマ耐食性に優れるアルマイト皮膜形成性および耐熱性に優れた半導体製造装置用Al合金および半導体製造装置用材料
JP2900820B2 (ja) AlまたはAl合金製真空チャンバ部材の表面処理方法
JP3608707B2 (ja) 真空チャンバ部材及びその製造方法
KR101293434B1 (ko) 플라즈마 처리 장치용 부재 및 그의 제조방법
KR100664900B1 (ko) 내열균열성이 우수한 양극산화된 알루미늄 혹은 알루미늄 합금 부재의 제조방법과 알루미늄 혹은 알루미늄 합금 부재
JP2008266701A (ja) 真空用冷却部材の製造方法、真空用冷却部材および真空用機器
JP4751198B2 (ja) プラズマ処理装置用部材
US20240271310A1 (en) Reaction chamber component, preparation method, and reaction chamber
TWI847151B (zh) 正形氧化釔塗層
CN114717626A (zh) 一种通过预制氧化膜延长高温合金服役寿命的方法
JPH03277780A (ja) セラミックス皮膜を有するアルミニウム基体の表面被覆方法
JP2010059450A (ja) 真空機器用アルミニウム材料およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040604

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040803

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050419

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050620

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060627

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060823

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20060823

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20071023

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071128

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071217

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080108

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110118

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120118

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130118

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130118

Year of fee payment: 5

EXPY Cancellation because of completion of term