JP2899994B2 - 炭酸ガスを主ガスとするガスシールドアーク溶接用鋼ワイヤ - Google Patents

炭酸ガスを主ガスとするガスシールドアーク溶接用鋼ワイヤ

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は炭酸ガスを主ガスとする
溶接において、アークが安定で、かつ生産性に優れた鋼
ワイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、溶接用ロボットの普及に代表され
るように、溶接の自動化、省力化、無人化が一段と推進
されている。この場合のワイヤは、例えば100kg以
上の単位重量に巻装された、通常ペールパック(以下パ
ックと呼ぶ)と呼ばれる巻形態のワイヤが使用されてい
る。この大重量単位巻形態ワイヤは、従来の数10kg
単位巻に比べてワイヤ交換に必要な回数減少が図られ、
長時間の連続溶接が可能となることから、今後益々の適
用拡大が予想される。このような使用条件環境で要求さ
れるワイヤの性能は、長時間使用に際して安定かつ高精
度の溶接が保持できることである。即ちワイヤの送給性
およびアークが安定し、溶接部材へのワイヤ狙い初期設
定に対して常に精度良く連続して再現できることが必須
となっている。
【0003】ワイヤ狙い精度及び安定性を高めるため
に、通常はワイヤに曲がりを付与しない直線のままでパ
ックに充填する方式が採られている。しかしパックに装
填されたワイヤは溶接部材からかなり距離の離れた箇所
に置かれて使用される場合が多い。従って、ワイヤは時
として6mを超える長いコンジットケーブルを経て使用
され、この間幾多の方向性の異なった曲線部を通過する
ため、この曲線部で付与された小さな曲がりによってチ
ップ先端に達した時のワイヤには方向及び曲率の異なっ
た様々なうねりを生ずる。このうねりは溶接時のワイヤ
狙いの安定性を阻害することから、ワイヤには曲がり難
い性能が求められる。
【0004】この対策手段として、ワイヤ剛性を高める
方法が一般的に採られ、効果をあげている。しかし、ワ
イヤの剛性を高めることにより、ワイヤの直線性が改良
されるが、一方では溶接トーチの給電チップとワイヤ間
の接触点が不安定となって通電性が不安定となり易くな
る。また他方、剛性の高いワイヤは、製造時に断線を起
こしやすく、生産性を著しく阻害する。
【0005】この様に、溶接ワイヤにはまだ様々な課題
が残されており、現状ではまだ十分満足することができ
ないことから、改良の要求は強いものがあった。これら
の課題に対する検討は従来から行われており、例えば特
開昭55−114496号公報では、Arまたは粗製A
rを主ガスとして使用し、ワイヤの酸可溶Ti量を制限
することにより、スパッタ発生量の低減と線くせの緩和
を図る技術が検討されている。また特開昭57−978
90号公報には、ワイヤ中の酸不可溶Al量制限と非金
属介在物のサイズ及び個数を制限することによって、ワ
イヤの生産性とアーク安定性の向上を意図した技術が開
示されている。
【0006】また、さらに特開昭58−3797号公報
には、ワイヤ表面にリチウム,ナトリウム,カリウム,
バリウム等の小電離電圧元素を付着せしめることで、C
2 溶接のスパッタ量を低減する技術が示されている。
炭酸ガス溶接のスパッタ量の低減に関しては、特開昭5
7−58994号公報により、セレン,テルル,アンチ
モン等の添加ワイヤが提案され、またワイヤ送給性につ
いては、特開昭61−242785号公報により、ワイ
ヤ表面の粒界酸化層厚さと結晶粒径との比を特定する技
術が開示されている。
【0007】このように、種々の技術の開示や提案があ
るものの、依然として前述のような連続溶接においての
課題解決の要求は残されているのが現状である。これは
溶接のロボット化の進展に伴い、より高電流域の使用
と、より精密化への移行の要請が急速に高まった結果に
よるものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術で
は解決し得なかった、ワイヤ通電性の飛躍的な向上とス
パッタの減少およびワイヤ生産性の向上を同時に解決し
たものである。即ち、すでに本発明者の一人が提案して
いるワイヤ表面のCa量がワイヤ−チップ間の通電性を
損なうとの知見を基に、さらに検討を加えた結果、ワイ
ヤ内部に存在するCaとその表面に付着したCaとでは
全く別の作用効果を奏することを確かめ、さらに伸線性
の向上には、Nの制限が有効なことを見出し、これらC
aおよびNを適正な制限においた時、極めて良好な通電
性と低スパッタの溶接が可能なワイヤを提供することに
成功した。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述のような従来技術の
問題点を解決するため種々検討した結果、ワイヤ中のC
aとワイヤ表面付着のCa量とを別個に抑制し、かつワ
イヤのN量を低減することにより、極めて良好な通電性
と低スパッタの溶接が可能でかつ伸線性の良好なワイヤ
を提供し得るという知見に基づいて、本発明を構成した
ものである。
【0010】即ち、本発明の要旨は下記のとおりであ
る。 (1) 通常の成分組成の溶接用鋼ワイヤにおいて、重
量%で、Ca:0.0005〜0.0030%、N:
0.0050%以下を含み、かつワイヤ表面付着Ca量
が0.0010%以下であることを特徴とする炭酸ガス
を主ガスとするガスシールドアーク溶接用鋼ワイヤ。
【0011】(2) 重量%で、C:0.12%以下,
Si:0.60〜1.40%,Mn:1.0〜1.90
%,P:0.030%以下,S:0.009〜0.03
5%,Al:0.0050%以下,O:0.0020〜
0.0150%,TiまたはZrの1種または2種:
0.10〜0.35%含有し、残部実質的にFeからなる
溶接用鋼ワイヤにおいて、Ca:0.0005〜0.0
030%、N:0.0050%以下を含み、かつワイヤ
表面付着Ca量が0.0010%以下であることを特徴
とする炭酸ガスを主ガスとするガスシールドアーク溶接
用鋼ワイヤ。
【0012】
【作用】長時間溶接や高速ワイヤ送給条件において発生
するアーク不安定あるいはアーク切れ現象に着目し、通
電性を検討した結果、ワイヤ中のCa量と表面付着のC
aの双方を同時に規制する技術を見出した。先ず、ワイ
ヤ表面のCaに関しては、ワイヤめっき層とワイヤ素地
に介在するCaの作用について、本発明者らの一人によ
り特開平1−249291号公報、あるいは特願平1−
258553号で既に明らかされているように、Ca
イオンの介在によりチップ内壁とワイヤ表面間にスパー
クが発生し、このスパークがチップを損傷して、アーク
切れ起こすものであることが分かっている。
【0013】しかし、その後さらに検討を加えた結果、
ワイヤ表面のCa量低減のみでは、さらに長時間の溶接
におけるアーク切れ防止には不十分であり、ワイヤ中の
Ca微量でもスパーク現象に影響することを突き止め
た。図1は、ワイヤ中のCa量と短絡回数との関係を示
したものである。これは炭酸ガス溶接時の電流値と電圧
値をデータレコーダに記録し、その電圧波形から、電圧
の瞬間値が10V以下になる電圧変化を短絡時間として
計数して、この時間の2msec以下の極めて短時間の
短絡をコンピュータにより1秒間当りの回数(n/se
c)として求めたものである。ワイヤ中のCa含有量が
増加するにつれて短時間の短絡回数は増加しており、特
にCa量が0.0030%を超えると短絡回数の増加程
度が著しくなっている。この短時間短絡の他に5mse
c以上の比較的長時間の短絡回数もCa量と共に増加し
ており、中には15msec以上にも達する極めて長時
間の短絡も認められた。
【0014】このようなワイヤ中のCaによるアークの
影響は、Caが存在すると、溶接金属中でCa酸化物を
形成し、このCa酸化物を求めてアークが移動するた
め、アーク長さの変動が大きくなる。その結果、常にア
ーク力を受けているワイヤ先端の溶滴の振動は不規則と
なり、溶融プールとの距離変動も激しく且つ不規則とな
る。この不規則な溶滴の挙動が前述の短時間の短絡増加
として観察されたものである。一方、Caは前述のよう
にアークを持続する作用もあり、適量の存在はアークを
安定化させる。0.0005%未満ではアークが不安定
となって、特に比較的大電流条件ではスパッタが多発
し、溶接速度の大きい条件ではビード幅が不揃いになっ
たり、ハンピングビードになり易いなど良好なビード形
状が得られない。
【0015】アーク電圧が極めて短くなる場合や短絡期
間中は、溶接電流が瞬間的に高くなる、いわゆる短絡電
流が流れる。この短絡電流はアーク安定時電流値の1.
5〜3倍程度にも達することが確かめられた。この電流
変動回数の増加と高い電流値は、ワイヤ表面とチップ内
壁面でのスパーク発生頻度を増加すると共に、そのスパ
ークによるワイヤ及びチップの損傷程度を拡大して、ア
ーク切れを増加する。
【0016】図2は、ワイヤ中のCa量とアーク切れ回
数との関係を平均電流値別に求めたもので、Ca量の増
加と平均電流の増加と共にアーク切れ回数が増加する
が、特にCa量が0.003%を越えるとその影響が極
めて大きくなることが明らかである。尚、これらの実験
条件は、JISZ3312のYGW11該当のワイヤを
ベースにCa量を変化させたワイヤを溶解し、ワイヤ表
面の付着Ca量を5ppm以下に調整した径1.2mm
φのワイヤを製造して使用した。溶接条件は電流:25
0〜400A、炭酸ガス流量:25l/min、下向き
ビードオンプレート溶接で行なった。溶接時間は連続2
5分として、その間の電流・電圧の変化はアーク発生後
5分毎に30秒間データレコーダに記録すると共に、全
溶接期間中の記録はペンレコーダに記録して、アークの
安定状態及びアーク切れ回数判定に用いた。また、アー
ク切れが生じた場合は、新品のチップと交換した後、溶
接試験を続行した。
【0017】尚、ワイヤ中のCaの定量は、原線からの
化学分析で行った。またワイヤ表面のCa量は、100
gのワイヤをエチルアルコールで洗浄し、5〜10cm
の長さに切断した後、7%の希塩酸中で10分間沸騰さ
せてCaを溶解濾過し、原子吸光光度計でCa定量した
値から、原線分析により求めたワイヤ中のCa分析値を
差し引いて求めた。
【0018】次に、ワイヤの伸線性について検討を行っ
た。前述のようにロボット溶接使用環境等に適合するに
は、直線性の観点から、コンジットケーブルによって曲
がりくせの付きにくい剛性の高いワイヤが適している。
このため、ワイヤ引張強度を高めたワイヤを製造する必
要がある。しかし、高強度ワイヤの伸線は引き抜きダイ
スの荒れや伸線中の断線等を惹起し、その生産性を極度
に低下させるという問題がある。特に、コスト低減か
ら、より高速伸線を行う場合には致命的な問題となる。
従来から、伸線性向上にはCの低減が有効とされていた
が、C低減だけでは限界があり、さらに伸線性を向上す
る手段についてワイヤ成分の面から検討した。
【0019】ワイヤはJISZ3312YGW12系の
0.05%C−0.5%Si−0.9%Mn−0.00
5%S−0.01%Ti−0.0020%Nをベースと
して、C,Si,Mn,Ti,Zr,S,Nの各元素の
添加量を変え、50kg溶解した鋼塊を鍛造・熱延を経
て、5.5mmφの原線に仕上げた。この原線を各々伸
線、めっき、仕上げ伸線の後、1.2mmφのワイヤに
した。5.5mmφから1.2mmφまでの伸線に用い
たダイスは合計15段で、各段のダイス共に減面率が約
20%とほぼ均等となるように設置した。ワイヤは原
線、2.4mmφ、1.2mmφの各線径で引張試験を
行い、引張強度、伸び率の測定及び破断状態を観察し
た。また、1.2mmφに仕上げた各ワイヤは溶接性試
験を行いアーク状態及びスパッタ量等を測定した。
【0020】伸線性の評価は、1.2mmφでのワイヤ
引張強度と原線の引張強度差(ΔT.S)、即ち伸線加
工によるワイヤ強度上昇度を用い、元素毎の添加量との
比(α=ΔT.S/%)により元素の効果を求めた。
尚、伸線中に断線を生じたものについては、断線の生じ
た径より一段上の径でのワイヤ強度を測定して参考にし
た。その結果、αへの影響の最も大きい元素はNであ
り、以下C,Mn,S,Si,Ti(≒Zr)の順であ
った。またTiまたはZrは添加によってαがマイナス
(−)を示した。この結果から伸線性向上には特にNの
低減が有効であり、さらに0.0050%以下で効果が
顕著で、さらに望ましくは0.0030%以下が有効で
あった。
【0021】伸線性での知見と溶接性試験の結果、さら
には通電性評価から得られた本発明ワイヤの構成は、請
求項1および2に記載されたとおりである。以下に、ワ
イヤ中及びワイヤ表面付着Ca量とN以外のワイヤ成分
を請求項2において規定した理由について説明する。 C:0.12%以下 Cは前述のように伸線性に影響が大きい元素であるか
ら、この観点からは低いほど好ましい。しかし他の元素
の添加量から実用上は0.12%以下であれば伸線性は
良好に保たれる。
【0022】Si:0.60〜1.40% Siは伸線性を向上させる元素で、この点からは多いほ
ど好ましい。しかし1.40%超の添加は溶接金属の靱
性を劣化させる。従って、上限を1.40%とし、下限
は伸線性確保の上から、0.60%とする。 Mn:1.0〜1.90% Mnは溶接金属の強度を確保し、靱性を向上させる元素
である反面、伸線性には悪影響を及ぼす。従って、この
両者の性能上のバランスと他の元素添加量とを考慮して
適正範囲が決められる。1.0〜1.90%が適当であ
る。
【0023】P:0.030%以下 Pは伸線性への影響は殆どないが、溶接性へは悪影響が
あり、低いほど好ましい。実用上は0.030%以下で
あれば実害がない。 S:0.009〜0.035% SもPと同様に多量の添加は溶接割れ、靱性の低下など
の悪影響がある。しかし、伸線性からは添加が好まし
く、また溶接ビードの形状向上に効果がある。これらを
勘案して0.009〜0.035%に定めた。
【0024】Al:0.0050%以下 Alは伸線性を低下し、溶接でのスパツタ発生量を増加
させるため低く制限する必要のある元素である。0.0
050%以下であれば、伸線性と溶接性への影響はな
い。
【0025】TiまたはZrの1種または2種:0.1
0〜0.35% Tiは前述のように添加によって伸線性を向上させる。
特に伸線加工によるワイヤ強度の上昇を抑えて、ダイス
の摩耗の低下と伸線速度の高速化に効果が高い。しか
し、溶接上は使用電流域によって添加量の使いわけが必
要な元素である。即ち、溶滴移行が細粒移行となる高電
流域ではアークを安定化し、スパッタ発生量減少に効果
が高いため多量の添加が許容される。この効果は0.1
0%以上で顕著に発揮される。しかし、0.35%超で
は溶接金属の衝撃靱性が急激に劣化する。またZrはT
iとほぼ同様の作用・効果を示すために、特にTiと区
別して扱う必要はない。従って、Zrの量はTiと同じ
範囲が許容される。また、Tiと複合して添加する場合
も合計で0.10〜0.35%が許容される。
【0026】O:0.0020〜0.0150% 酸素は、溶接作業性の点から、0.0020〜0.01
50%の添加でアークを安定させ、スパッタ発生を抑制
する効果がある。酸素はワイヤ中に添加してもよいし、
またワイヤ表面に酸化層として添加してもよい。しか
し、0.0150%超ではワイヤ溶解時添加の場合はコ
ストが高くなりすぎて実用的でなく、酸化層として添加
の場合は、ワイヤの通電性およびめっき付着性を劣化さ
せる。また0.0020%未満では、酸素の添加効果が
ない。
【0027】以上のように、ワイヤ中のCa量範囲及び
ワイヤ表面付着Ca量を制限し、且つN量を制限したワ
イヤは、伸線性、長時間溶接時のアーク切れがなく、ロ
ボット等の自動溶接の使用環境に充分使用できる性能を
有する。また溶接電流条件に応じた元素の特定によっ
て、溶接性の優れたワイヤを提供可能となった。以下に
実施例により本発明の効果を具体的に説明する。
【0028】
【実施例】成分を変化して溶解を行い、得られた鋼塊を
鍛造・圧延して5.5mmφの原線にした。この原線を
メカニカルデスケーリングにより熱延スケールを除去
後、酸洗し、伸線・めっき・巻取りの各工程を経て、
1.2mmφのワイヤに仕上げ、表1の成分ワイヤを製
造した。伸線においては、断線の回数及び伸線後の使用
ダイスの荒れの状態を観察して、伸線性を評価した。断
線が1回でも発生した場合は不可とした。尚、伸線条件
は前述と同じダイススケージュールで行った。
【0029】ワイヤ表面のCa量は伸線に石灰石鹸を使
用した後、めっき前処理の電解脱脂条件と陰極電解酸洗
条件を変えることにより、除去の程度を変化して調整し
た。これらワイヤを送給性試験、アーク状態観察を行
い、性能を評価した。また一部のワイヤについては、ス
パッタ発生量を測定した。測定条件を表3に、測定方法
を図3に示す。スパッタ量の判定は、3.0g/min
を超えた場合を不可とした。全ての測定結果は表2に示
す。
【0030】表1において、ワイヤNo.1〜No.7
は比較例を、ワイヤNo.8〜No.12は本発明ワイ
ヤである。ワイヤNo.1はワイヤ中のCa量が本発明
の範囲未満で、アーク切れの発生はないが、アークが不
安定である。ワイヤNo.6はワイヤ中のCa量が本発
明の範囲を超えており、送給性試験においてアーク切れ
が発生している。同様に、ワイヤNo.2及びNo.5
は表面付着Ca量が範囲を超えるためにやはり送給性試
験においてアーク切れが認められる。特にワイヤ中と表
面共にCa量が多いワイヤNo.3ではアーク切れが著
しく、そのほかの溶接試験を行えなかった。しかしCa
量が本発明の範囲にあるその他の比較ワイヤにおいては
アーク切れは認めらない。N量が本発明の範囲を超える
No.4は、伸線中に断線が多発した。またC量の高い
No.5、Siの低いNo.6では、断線の多発はない
ものの1回程度の断線を生じた。No.7は酸素、Ti
が高く、Mnが低すぎるため、ワイヤ表面状態が悪く、
送給が不安定であった。
【0031】これに対して、本発明ワイヤNo.8〜N
o.12はすべての試験において、良好な成績が得られ
ている。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
【発明の効果】以上のように本発明によって、伸線中の
断線も発生せず伸線性が良好に保たれると共に、長時間
の溶接においてもアーク切れが発生せず、しかもアーク
が安定したスパッタ発生量の少ないワイヤを得ることが
可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】ワイヤ中のCa量と短絡回数との関係を示す図
である。
【図2】ワイヤ中のCa量とアーク切れ回数との関係を
示す図である。
【図3】スパッタ発生量測定方法を示す図で、aは正面
図、bは側面図である。
【符号の説明】
1 試験板 2 溶接トーチ 3 銅製スパッタ捕集容器 4 ワイヤ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−37988(JP,A) 特開 平2−80196(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23K 35/02 B23K 35/30

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 通常の成分組成の溶接用鋼ワイヤにおい
    て、重量%で、Ca:0.0005〜0.0030%、
    N:0.0050%以下を含み、かつワイヤ表面付着C
    a量が0.0010%以下であることを特徴とする炭酸
    ガスを主ガスとするガスシールドアーク溶接用鋼ワイ
    ヤ。
  2. 【請求項2】 重量%で、C:0.12%以下,Si:
    0.60〜1.40%,Mn:1.0〜1.90%,
    P:0.030%以下,S:0.009〜0.035
    %,Al:0.0050%以下,O:0.0020〜
    0.0150%,TiまたはZrの1種または2種:
    0.10〜0.35%含有し、残部実質的にFeからなる
    溶接用鋼ワイヤにおいて、Ca:0.0005〜0.0
    030%、N:0.0050%以下を含み、かつワイヤ
    表面付着Ca量が0.0010%以下であることを特徴
    とする炭酸ガスを主ガスとするガスシールドアーク溶接
    用鋼ワイヤ。
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