JPH07223087A - ワイヤ送給性良好なガスシールドアーク溶接用ワイヤ及び溶接作業性良好なガスシールドアーク溶接用ワイヤ並びにその製造方法 - Google Patents
ワイヤ送給性良好なガスシールドアーク溶接用ワイヤ及び溶接作業性良好なガスシールドアーク溶接用ワイヤ並びにその製造方法Info
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- JPH07223087A JPH07223087A JP13875894A JP13875894A JPH07223087A JP H07223087 A JPH07223087 A JP H07223087A JP 13875894 A JP13875894 A JP 13875894A JP 13875894 A JP13875894 A JP 13875894A JP H07223087 A JPH07223087 A JP H07223087A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】送給性が優れたガスシールドアーク溶接用ワイ
ヤを提供する。 【構成】1.2mmφまで伸線したワイヤ外周面に溝深
さhが1μm以上、100μm以下でその表面開口部幅
wがw/h≦0.5である溝を付与し、この溝内に送給
潤滑剤を含ませる。
ヤを提供する。 【構成】1.2mmφまで伸線したワイヤ外周面に溝深
さhが1μm以上、100μm以下でその表面開口部幅
wがw/h≦0.5である溝を付与し、この溝内に送給
潤滑剤を含ませる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はガスシールドアーク溶接
用ワイヤに係り、特にワイヤ送給性が良好な溶接用ワイ
ヤ及び溶接作業性の良好な溶接用ワイヤ、並びにそれら
の溶接用ワイヤの製造方法に関する。
用ワイヤに係り、特にワイヤ送給性が良好な溶接用ワイ
ヤ及び溶接作業性の良好な溶接用ワイヤ、並びにそれら
の溶接用ワイヤの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ガスシールドアーク溶接法は、高溶着で
母材への溶け込みが良好で溶接姿勢の自由度も高く、信
頼性の高い溶接継手が得られる。また溶接設備も比較的
安価である等の多くの長所を有している。このため、ガ
スシールドアーク溶接は建築、橋梁を主体とする大型鋼
構造物や自動車等の輸送機器の薄板鋼構造物の製造に幅
広く用いられている。
母材への溶け込みが良好で溶接姿勢の自由度も高く、信
頼性の高い溶接継手が得られる。また溶接設備も比較的
安価である等の多くの長所を有している。このため、ガ
スシールドアーク溶接は建築、橋梁を主体とする大型鋼
構造物や自動車等の輸送機器の薄板鋼構造物の製造に幅
広く用いられている。
【0003】このガスシールドアーク溶接には、使用さ
れるシールドガスの種類とワイヤにより種々の方式があ
るが、シールドガスとして炭酸ガス、アルゴンガス又は
アルゴンガスと炭酸ガスとの混合ガスが多用されてい
る。ワイヤとしてソリッドワイヤを使用するいわゆるガ
スシールドアーク溶接法が経済性の点で、多く採用され
ている。
れるシールドガスの種類とワイヤにより種々の方式があ
るが、シールドガスとして炭酸ガス、アルゴンガス又は
アルゴンガスと炭酸ガスとの混合ガスが多用されてい
る。ワイヤとしてソリッドワイヤを使用するいわゆるガ
スシールドアーク溶接法が経済性の点で、多く採用され
ている。
【0004】近年、溶接工の高齢化等に伴う労働力不足
と人件費の高騰が深刻化し、溶接ロボットの導入が急速
に進展している。溶接ロボットにおいては、その稼働率
を高めることが納期短縮、コストの低減に大きく寄与す
ることから溶接に伴うトラブル発生が少ないことが要求
される。特に、溶接材料であるソリッドワイヤについて
は、スプール、ボビン又はペイルパックより払い出され
たワイヤが、溶接機の送給装置を経てコンジットチュー
ブを通り、溶接トーチまで安定して送られてくることが
極めて重要である。これは一般にワイヤ送給性と呼ばれ
ているが、この特性が劣ると、極端な場合はコンジット
チューブ内での詰りとなり送給停止を招くが、軽度の場
合でも溶接アーク不安定、ビード形状の不良、アンダー
カット発生、融合不良など種々の問題を誘発し、溶接作
業効率を低下させると共に溶接品質の信頼性を低下させ
る。
と人件費の高騰が深刻化し、溶接ロボットの導入が急速
に進展している。溶接ロボットにおいては、その稼働率
を高めることが納期短縮、コストの低減に大きく寄与す
ることから溶接に伴うトラブル発生が少ないことが要求
される。特に、溶接材料であるソリッドワイヤについて
は、スプール、ボビン又はペイルパックより払い出され
たワイヤが、溶接機の送給装置を経てコンジットチュー
ブを通り、溶接トーチまで安定して送られてくることが
極めて重要である。これは一般にワイヤ送給性と呼ばれ
ているが、この特性が劣ると、極端な場合はコンジット
チューブ内での詰りとなり送給停止を招くが、軽度の場
合でも溶接アーク不安定、ビード形状の不良、アンダー
カット発生、融合不良など種々の問題を誘発し、溶接作
業効率を低下させると共に溶接品質の信頼性を低下させ
る。
【0005】また、溶接ワイヤの送給性が良好な場合に
おいても溶接作業効率を低下させる別の大きな要因とし
てスパッタの発生が挙げられる。スパッタの発生はノズ
ルに付着しシールドガスの効果を低減させたり、母材表
面に溶着し表面外観を劣化させるため除去のために多大
な工数が必要となる。また、溶着金属の減少により溶着
率の低下が起こり長期的にはコストの上昇を招く。さら
に、溶接作業者にとっては火傷等の安全上及び健康上の
危険もあるなど、種々の弊害がある。
おいても溶接作業効率を低下させる別の大きな要因とし
てスパッタの発生が挙げられる。スパッタの発生はノズ
ルに付着しシールドガスの効果を低減させたり、母材表
面に溶着し表面外観を劣化させるため除去のために多大
な工数が必要となる。また、溶着金属の減少により溶着
率の低下が起こり長期的にはコストの上昇を招く。さら
に、溶接作業者にとっては火傷等の安全上及び健康上の
危険もあるなど、種々の弊害がある。
【0006】ワイヤ送給性の向上に対してワイヤを改善
する技術として、特開昭54−141349号公報で
は、伸線時に得られるワイヤ表面の平坦度を80%未満
とし、その製法として、ワイヤの降伏応力の15〜80
%の潤滑剤圧力で強制潤滑しながら伸線加工することが
示されている。特開昭56−144892号公報ではワ
イヤ長手方向に対して30〜150°の角度を有する横
溝を保有するワイヤが優れた送給性を示すことを開示し
ている。
する技術として、特開昭54−141349号公報で
は、伸線時に得られるワイヤ表面の平坦度を80%未満
とし、その製法として、ワイヤの降伏応力の15〜80
%の潤滑剤圧力で強制潤滑しながら伸線加工することが
示されている。特開昭56−144892号公報ではワ
イヤ長手方向に対して30〜150°の角度を有する横
溝を保有するワイヤが優れた送給性を示すことを開示し
ている。
【0007】特開昭58−128294号公報、特開昭
58−187298号公報、特開昭59−61592号
公報では、ワイヤ表層部酸素濃度を特定範囲に規制する
ことにより表面に微小な亀裂を生じせしめた後、銅めっ
きを施し、前記亀裂を起点に拡大した亀甲状の亀裂を発
生させ、この亀裂中に潤滑油を保持させることによりワ
イヤの送給性を高める方法が提案されている。
58−187298号公報、特開昭59−61592号
公報では、ワイヤ表層部酸素濃度を特定範囲に規制する
ことにより表面に微小な亀裂を生じせしめた後、銅めっ
きを施し、前記亀裂を起点に拡大した亀甲状の亀裂を発
生させ、この亀裂中に潤滑油を保持させることによりワ
イヤの送給性を高める方法が提案されている。
【0008】スパッタ発生量の低減については、特公昭
50−3256号公報、特開昭63−252692号公
報に示されるようにTi添加などワイヤ化学組成の調整
により溶接アークの安定性を向上させ、スパッタの発生
を防止している。しかしながら、このワイヤでも、スパ
ッタの発生量低減は未だに満足できるレベルには達して
いない。
50−3256号公報、特開昭63−252692号公
報に示されるようにTi添加などワイヤ化学組成の調整
により溶接アークの安定性を向上させ、スパッタの発生
を防止している。しかしながら、このワイヤでも、スパ
ッタの発生量低減は未だに満足できるレベルには達して
いない。
【0009】特公昭58−187298号公報、特開昭
59−104292号公報、特開昭60−162595
号公報、特開昭60−40685号公報及び特開昭63
−149093号公報等のようにワイヤ表面に粒界酸化
により亀甲状の亀裂を生じさせ、酸素やアルカリ金属化
合物特にK元素を付加することによりアーク安定化と溶
滴の溶融池への安定移行を図りスパッタ発生を低減しよ
うとする方法が開示されている。
59−104292号公報、特開昭60−162595
号公報、特開昭60−40685号公報及び特開昭63
−149093号公報等のようにワイヤ表面に粒界酸化
により亀甲状の亀裂を生じさせ、酸素やアルカリ金属化
合物特にK元素を付加することによりアーク安定化と溶
滴の溶融池への安定移行を図りスパッタ発生を低減しよ
うとする方法が開示されている。
【0010】また、特開昭61−126995号公報で
はカリ分を油中に混ぜ、ワイヤ表面に塗布する方法が提
案されている。更に、特開昭63−108996号公報
では、ワイヤ表面の溝幅の円周表面での存在率を規定し
K化合物を付着させることが提案されている。
はカリ分を油中に混ぜ、ワイヤ表面に塗布する方法が提
案されている。更に、特開昭63−108996号公報
では、ワイヤ表面の溝幅の円周表面での存在率を規定し
K化合物を付着させることが提案されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ワイヤ送給性の向上に
対して前述のように数多くの提案がなされてはいるもの
の、これら技術のうちワイヤ表層部酸素濃度を特定範囲
に規制することにより表面に微小な亀裂を生じさせる技
術は、その亀裂発生の手段としていずれもアルカリ化合
物、特に、K成分を塗布した後、焼鈍を施すものが多
い。また、スパッタ発生量の低減についても前述のよう
に、数多くの提案がなされてはいるものの、これらの方
法はいずれもアルカリ化合物特に、K成分を含有させた
ものが多い。
対して前述のように数多くの提案がなされてはいるもの
の、これら技術のうちワイヤ表層部酸素濃度を特定範囲
に規制することにより表面に微小な亀裂を生じさせる技
術は、その亀裂発生の手段としていずれもアルカリ化合
物、特に、K成分を塗布した後、焼鈍を施すものが多
い。また、スパッタ発生量の低減についても前述のよう
に、数多くの提案がなされてはいるものの、これらの方
法はいずれもアルカリ化合物特に、K成分を含有させた
ものが多い。
【0012】これらの方法で、Kを表面に付着させると
ワイヤは極めて吸湿されやすく、ワイヤ表面の銅めっき
を酸化変色させ易く、溶接時に給電不良や送線性を低下
させる原因となりワイヤの梱包や保管に特別な配慮が要
求される等の問題がある。一方、ワイヤの需要家では、
一旦ワイヤを使用し始めるとワイヤの酸化変色を常に防
止できる環境で使用されるとは限らず、経時変化による
性能劣化が大きな問題となっている。
ワイヤは極めて吸湿されやすく、ワイヤ表面の銅めっき
を酸化変色させ易く、溶接時に給電不良や送線性を低下
させる原因となりワイヤの梱包や保管に特別な配慮が要
求される等の問題がある。一方、ワイヤの需要家では、
一旦ワイヤを使用し始めるとワイヤの酸化変色を常に防
止できる環境で使用されるとは限らず、経時変化による
性能劣化が大きな問題となっている。
【0013】また、粒界酸化を生じさせる製法では焼鈍
設備や特別な露点制御のための設備が必要となり、生産
性の低下や製造コストの上昇を招きやすいなどの問題が
ある。これらの問題点に関し、溶接器電源波形の制御、
シールドガスの検討、及びワイヤの研究3種類の方向か
らの改善が検討されてきたが、本発明はワイヤ側から改
善する方法を提供するものである。
設備や特別な露点制御のための設備が必要となり、生産
性の低下や製造コストの上昇を招きやすいなどの問題が
ある。これらの問題点に関し、溶接器電源波形の制御、
シールドガスの検討、及びワイヤの研究3種類の方向か
らの改善が検討されてきたが、本発明はワイヤ側から改
善する方法を提供するものである。
【0014】更に、特開昭63−215395号では、
ソリッドワイヤの代わりに、アルカリ金属化合物、特に
K元素を付加することによりアーク安定化と溶滴の溶融
池への安定化する考え方を金属粉とアーク安定剤として
アルカリ金属と、金属弗化物を含有させたメタル系フラ
ックス入り複合ワイヤ(メタルコアードワイヤ)が開示
されている。このワイヤによりシールドガスとして安価
な炭酸ガスを用いてもアークの安定性に優れスパッタの
発生量低減に大きな効果を示す。しかしながら、ソリッ
ドワイヤと比較して、その価格がかなり高価であるのが
欠点で、広く普及するに至っていない。
ソリッドワイヤの代わりに、アルカリ金属化合物、特に
K元素を付加することによりアーク安定化と溶滴の溶融
池への安定化する考え方を金属粉とアーク安定剤として
アルカリ金属と、金属弗化物を含有させたメタル系フラ
ックス入り複合ワイヤ(メタルコアードワイヤ)が開示
されている。このワイヤによりシールドガスとして安価
な炭酸ガスを用いてもアークの安定性に優れスパッタの
発生量低減に大きな効果を示す。しかしながら、ソリッ
ドワイヤと比較して、その価格がかなり高価であるのが
欠点で、広く普及するに至っていない。
【0015】以上の問題点に関し、 (a)溶接機電源波形の制御 (b)シールドガス (c)ワイヤの種類 の3方向からの改善が検討されて来た。本発明はワイヤ
の改善により問題点の解決を図ることを目的とする。
の改善により問題点の解決を図ることを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは従来技術の
問題点に対し広範な研究を行い、本発明を完成すること
ができた。即ち、本発明はソリッドワイヤのガスシール
ドアーク溶接法におけるワイヤの送給性、アーク特性と
スパッタの発生機構並びにその具体的な製造技術につい
て広範な研究を行った。その結果、ワイヤの送給性に著
しい影響を及ぼす因子として、各種の製造法で導入され
るワイヤ表面に存在する溝の内、特定の範囲内にある溝
深さ、溝の開口部の存在が極めて大きな影響を及ぼすこ
とを見出した。更に、この溝に従来塗布されているより
少ない量の送給潤滑剤を保持させることにより、優れた
ワイヤ送給性が得られることを見出したのである。そし
て、このために、送給潤滑剤に起因する拡散性水素量や
ブローホールの発生が著しく抑えられるために溶融金属
部の機械的性質も向上することも見出した。これらの新
しい知見を用いることにより、従来技術では克服できな
かった各種の問題点を解消することが可能となった。
問題点に対し広範な研究を行い、本発明を完成すること
ができた。即ち、本発明はソリッドワイヤのガスシール
ドアーク溶接法におけるワイヤの送給性、アーク特性と
スパッタの発生機構並びにその具体的な製造技術につい
て広範な研究を行った。その結果、ワイヤの送給性に著
しい影響を及ぼす因子として、各種の製造法で導入され
るワイヤ表面に存在する溝の内、特定の範囲内にある溝
深さ、溝の開口部の存在が極めて大きな影響を及ぼすこ
とを見出した。更に、この溝に従来塗布されているより
少ない量の送給潤滑剤を保持させることにより、優れた
ワイヤ送給性が得られることを見出したのである。そし
て、このために、送給潤滑剤に起因する拡散性水素量や
ブローホールの発生が著しく抑えられるために溶融金属
部の機械的性質も向上することも見出した。これらの新
しい知見を用いることにより、従来技術では克服できな
かった各種の問題点を解消することが可能となった。
【0017】更に、この溝に特定範囲内のK化合物を保
持させることにより、アーク安定性とスパッタの発生が
著しく抑えられることを見出したのである。そして特定
の深さ範囲の溝に存在するK化合物は表層部に付着させ
たK化合物と異なり吸湿性が著しく抑えられるためにワ
イヤ表面の銅めっき層を酸化変色させることが極めて少
ないことも見出した。これらの新しい知見を用いること
により、従来技術では克服できなかった各種の問題点を
解消することが可能となった。
持させることにより、アーク安定性とスパッタの発生が
著しく抑えられることを見出したのである。そして特定
の深さ範囲の溝に存在するK化合物は表層部に付着させ
たK化合物と異なり吸湿性が著しく抑えられるためにワ
イヤ表面の銅めっき層を酸化変色させることが極めて少
ないことも見出した。これらの新しい知見を用いること
により、従来技術では克服できなかった各種の問題点を
解消することが可能となった。
【0018】本発明の第1の発明は、溶接用ワイヤ外周
面に、溝深さhが1μm〜100μm、その溝の表面開
口部の溝幅wがw/h≦0.5の溝を備え、該溝内に送
給潤滑剤を保持してなることを特徴とするワイヤ送給性
良好なガスシールドアーク溶接用ワイヤである。この場
合、溝の方向はワイヤ長手方向に対して0〜30°であ
ることが好ましく、また、前記ワイヤ外周面に備える溝
数nはワイヤ径をdとすると10dπ/h≧n≧0.1
dπ/hであると適切である。
面に、溝深さhが1μm〜100μm、その溝の表面開
口部の溝幅wがw/h≦0.5の溝を備え、該溝内に送
給潤滑剤を保持してなることを特徴とするワイヤ送給性
良好なガスシールドアーク溶接用ワイヤである。この場
合、溝の方向はワイヤ長手方向に対して0〜30°であ
ることが好ましく、また、前記ワイヤ外周面に備える溝
数nはワイヤ径をdとすると10dπ/h≧n≧0.1
dπ/hであると適切である。
【0019】本発明の第2の発明は、溶接用ワイヤ外周
面に、溝深さhが1μm〜100μm、その溝の表面開
口部の溝幅wがw/h≦0.5の溝を備え、この溝内に
K化合物を含む送給潤滑剤をワイヤ重量に対してK換算
値で1〜50ppm保持したことを特徴とする溶接作業
性良好なガスシールドアーク溶接用ワイヤである。この
ワイヤの溝の方向がワイヤ長手方向に対して0〜30°
であると好適であり、さらにこのワイヤの外周面に備え
る溝nは、ワイヤ径をdとすると10dπ/h≧n≧
0.1dπ/hの範囲内にあると好適である。
面に、溝深さhが1μm〜100μm、その溝の表面開
口部の溝幅wがw/h≦0.5の溝を備え、この溝内に
K化合物を含む送給潤滑剤をワイヤ重量に対してK換算
値で1〜50ppm保持したことを特徴とする溶接作業
性良好なガスシールドアーク溶接用ワイヤである。この
ワイヤの溝の方向がワイヤ長手方向に対して0〜30°
であると好適であり、さらにこのワイヤの外周面に備え
る溝nは、ワイヤ径をdとすると10dπ/h≧n≧
0.1dπ/hの範囲内にあると好適である。
【0020】本発明の第3の発明は上記第1、第2の発
明の溶接用ワイヤの製造方法であって、溶接用ワイヤ外
周面に溝を付与するに当り、冷間圧延、ダイス伸線、ブ
ラッシング、ショットブラスト又はローラダイス加工を
行うことを特徴とするワイヤ送給性良好なガスシールド
アーク溶接用ワイヤ又は溶接作業性良好なガスシールド
アーク溶接用ワイヤの製造方法である。
明の溶接用ワイヤの製造方法であって、溶接用ワイヤ外
周面に溝を付与するに当り、冷間圧延、ダイス伸線、ブ
ラッシング、ショットブラスト又はローラダイス加工を
行うことを特徴とするワイヤ送給性良好なガスシールド
アーク溶接用ワイヤ又は溶接作業性良好なガスシールド
アーク溶接用ワイヤの製造方法である。
【0021】以上の第3の発明により、本発明の目的で
ある送給性良好なガスシールドアーク溶接用ワイヤ又は
溶接作業性良好なワイヤを生産性高く、かつ、低コスト
で製造することができる。
ある送給性良好なガスシールドアーク溶接用ワイヤ又は
溶接作業性良好なワイヤを生産性高く、かつ、低コスト
で製造することができる。
【0022】
【作用】本発明では、ワイヤ表面に存在する溝の形態及
びその溝内に付与する物質とワイヤ送給性、溶接作業性
への影響について調査を行った。ワイヤ表面にはその製
造過程でさまざまな溝が形成される。この溝の形態は製
造方法に著しく依存する。ワイヤの送給性はその表面状
況に大きく影響されることは特開昭54−141349
号公報で示されている。しかし本来、コンジットチュー
ブ内壁とワイヤ表面との摩擦抵抗が少ないほど、溶接ワ
イヤの送給性が良好になることは周知のことである。こ
の摩擦抵抗を低減するために、コンジットチューブ内壁
とワイヤ表面との直接接触を避け、界面に摩擦抵抗の低
減効果の大きな固体潤滑剤または液体潤滑油が塗布され
る。この塗布される潤滑剤はワイヤ表面が平坦であると
付着量を多くすることが困難になるため、潤滑剤の保持
場所が必要となる。この保持場所としてワイヤ表面に人
工的に凹部を付与し、この部分に潤滑剤が塗布されるの
が従来から提案されている方法である。従ってワイヤ送
給性を向上させるためには、この凹部を増加させる必要
があり、結果的に表面粗度を大きくすることが必要にな
る。このために、表面光沢の低下、ワイヤもつれ、コン
ジットチューブ内での詰りの発生などが多くなる欠点が
ある。また、この増加した凹部に送給潤滑剤を保持させ
るので、その保持量が多くなり、溶接中にブローホール
などの欠陥が発生したり拡散水素量が増大する。このた
め、溶接金属部の機械的性質を劣化せしめるなど、溶接
継手の性能にまで悪影響を及ぼしていた。
びその溝内に付与する物質とワイヤ送給性、溶接作業性
への影響について調査を行った。ワイヤ表面にはその製
造過程でさまざまな溝が形成される。この溝の形態は製
造方法に著しく依存する。ワイヤの送給性はその表面状
況に大きく影響されることは特開昭54−141349
号公報で示されている。しかし本来、コンジットチュー
ブ内壁とワイヤ表面との摩擦抵抗が少ないほど、溶接ワ
イヤの送給性が良好になることは周知のことである。こ
の摩擦抵抗を低減するために、コンジットチューブ内壁
とワイヤ表面との直接接触を避け、界面に摩擦抵抗の低
減効果の大きな固体潤滑剤または液体潤滑油が塗布され
る。この塗布される潤滑剤はワイヤ表面が平坦であると
付着量を多くすることが困難になるため、潤滑剤の保持
場所が必要となる。この保持場所としてワイヤ表面に人
工的に凹部を付与し、この部分に潤滑剤が塗布されるの
が従来から提案されている方法である。従ってワイヤ送
給性を向上させるためには、この凹部を増加させる必要
があり、結果的に表面粗度を大きくすることが必要にな
る。このために、表面光沢の低下、ワイヤもつれ、コン
ジットチューブ内での詰りの発生などが多くなる欠点が
ある。また、この増加した凹部に送給潤滑剤を保持させ
るので、その保持量が多くなり、溶接中にブローホール
などの欠陥が発生したり拡散水素量が増大する。このた
め、溶接金属部の機械的性質を劣化せしめるなど、溶接
継手の性能にまで悪影響を及ぼしていた。
【0023】本発明者等は溝の深さを従来提案されてい
るより深い範囲に設定し、溝幅を特定範囲内に規制する
ことによって、表面の平坦度即ち粗度を大きく劣化させ
ることなく所期の目的を達成できることを見出した。更
に、アーク安定化及びスパッタ発生の低減を行うため
に、この凹部に潤滑剤の他にK化合物などを塗布する場
合では、ワイヤは極めて吸湿されやすく、ワイヤ表面の
銅メッキを酸化変色させる問題が生じる。本発明者らは
溝の深さを従来提案されている以上の範囲に設定し、溝
幅を特定範囲内に規定し、溝の付与方向を長さ方向に0
〜30°の範囲内で配置させると表面の平坦度すなわち
粗度を大きく劣化させることなく所期の目的を達成でき
ることを見出した。
るより深い範囲に設定し、溝幅を特定範囲内に規制する
ことによって、表面の平坦度即ち粗度を大きく劣化させ
ることなく所期の目的を達成できることを見出した。更
に、アーク安定化及びスパッタ発生の低減を行うため
に、この凹部に潤滑剤の他にK化合物などを塗布する場
合では、ワイヤは極めて吸湿されやすく、ワイヤ表面の
銅メッキを酸化変色させる問題が生じる。本発明者らは
溝の深さを従来提案されている以上の範囲に設定し、溝
幅を特定範囲内に規定し、溝の付与方向を長さ方向に0
〜30°の範囲内で配置させると表面の平坦度すなわち
粗度を大きく劣化させることなく所期の目的を達成でき
ることを見出した。
【0024】この理由は明らかでないが、溝の深さを従
来提案されているよりも深くし、溝幅を特定範囲内に規
制すると、送給潤滑剤の供給が円滑になるためと考えら
れる。すなわち、コンジットチューブ内ではワイヤは著
しく屈曲され、ワイヤ表面には圧縮及び引張歪みが加え
られる。この歪みにより溝内部に保持されている送給潤
滑剤が送り出されたり、表面部に過度に付着している送
給潤滑剤を吸い込む、いわゆる自己調整機能を持つため
と考えられる。この効果は溝幅に比較して溝が深くなる
時に顕著になり、特に溝の形状が特定の範囲内にある
時、最も発揮されることが見出されたのである。すなわ
ち、ワイヤ表面に、溝深さhが1μm以上、100μm
以下で、その溝の表面開口部の溝幅wがw/h≦0.
5、を満足する溝を長さ方向に対して0〜30°の範囲
内に配置することによって、本発明の目的を最大限に発
揮することができる。
来提案されているよりも深くし、溝幅を特定範囲内に規
制すると、送給潤滑剤の供給が円滑になるためと考えら
れる。すなわち、コンジットチューブ内ではワイヤは著
しく屈曲され、ワイヤ表面には圧縮及び引張歪みが加え
られる。この歪みにより溝内部に保持されている送給潤
滑剤が送り出されたり、表面部に過度に付着している送
給潤滑剤を吸い込む、いわゆる自己調整機能を持つため
と考えられる。この効果は溝幅に比較して溝が深くなる
時に顕著になり、特に溝の形状が特定の範囲内にある
時、最も発揮されることが見出されたのである。すなわ
ち、ワイヤ表面に、溝深さhが1μm以上、100μm
以下で、その溝の表面開口部の溝幅wがw/h≦0.
5、を満足する溝を長さ方向に対して0〜30°の範囲
内に配置することによって、本発明の目的を最大限に発
揮することができる。
【0025】溝深さhが1μm未満では溝に保持する送
給潤滑剤の量が微量になるため効果を発揮することが困
難である。また、溝深さhが100μmを越えてもその
効果は落ちることはないが、溝深さが100μmを越え
ると屈曲の開口が大きくなり過ぎる等、商品としての表
面性状が低下して好ましくないことから100μmを上
限とした。
給潤滑剤の量が微量になるため効果を発揮することが困
難である。また、溝深さhが100μmを越えてもその
効果は落ちることはないが、溝深さが100μmを越え
ると屈曲の開口が大きくなり過ぎる等、商品としての表
面性状が低下して好ましくないことから100μmを上
限とした。
【0026】ワイヤの外周面に備える溝数nの好ましい
範囲は、ワイヤ径をdとする時、10dπ/h≧n≧
0.1dπ/hとなる。すなわち、深さhの溝数nの合
計の溝深さがワイヤの周囲長さの10〜1000%の範
囲にあるとき送給潤滑剤の自己調整作用を最大限に発揮
することができる。ここで言う溝深さ及び溝幅はワイヤ
の長さ方向に直交する断面で測定されるものを指す。
範囲は、ワイヤ径をdとする時、10dπ/h≧n≧
0.1dπ/hとなる。すなわち、深さhの溝数nの合
計の溝深さがワイヤの周囲長さの10〜1000%の範
囲にあるとき送給潤滑剤の自己調整作用を最大限に発揮
することができる。ここで言う溝深さ及び溝幅はワイヤ
の長さ方向に直交する断面で測定されるものを指す。
【0027】また、これらの溝にアーク安定剤として広
く知られているK化合物をワイヤ重量に対してK換算値
で1〜50ppm保持させた場合においても、その効果
を十分に発揮させることが可能である。すなわち、従来
技術ではワイヤ表面部にのみK化合物を保持することし
かできなかったため、溶接チップ部から溶接アーク部に
到達する段階で加熱、蒸発する。このため、アークの安
定化に有効に利用されるK化合物は微小であり十分な効
果を挙げるには至っていなかった。効果を強めるために
表面に塗布するK化合物の量を増大することはワイヤの
銅めっきを酸化変色させる危険性を増大させるばかりで
なく、送給中にコンジットチューブ内等で除去堆積し、
ワイヤ送給の障害となる。また、製造コストを上昇させ
る要因にもなっていた。本発明では、これらの問題点を
解決するには溝の深さを従来提案されているより深い範
囲に設定し、溝幅を特定範囲内に規定した上でK化合物
をこれらの溝内に保持させる。この技術によりK化合物
をアーク部まで損失なく供給することができること及び
アーク柱のより内部に添加することができるため、アー
ク安定化に極めて有効であることを見出したのである。
く知られているK化合物をワイヤ重量に対してK換算値
で1〜50ppm保持させた場合においても、その効果
を十分に発揮させることが可能である。すなわち、従来
技術ではワイヤ表面部にのみK化合物を保持することし
かできなかったため、溶接チップ部から溶接アーク部に
到達する段階で加熱、蒸発する。このため、アークの安
定化に有効に利用されるK化合物は微小であり十分な効
果を挙げるには至っていなかった。効果を強めるために
表面に塗布するK化合物の量を増大することはワイヤの
銅めっきを酸化変色させる危険性を増大させるばかりで
なく、送給中にコンジットチューブ内等で除去堆積し、
ワイヤ送給の障害となる。また、製造コストを上昇させ
る要因にもなっていた。本発明では、これらの問題点を
解決するには溝の深さを従来提案されているより深い範
囲に設定し、溝幅を特定範囲内に規定した上でK化合物
をこれらの溝内に保持させる。この技術によりK化合物
をアーク部まで損失なく供給することができること及び
アーク柱のより内部に添加することができるため、アー
ク安定化に極めて有効であることを見出したのである。
【0028】この結果、過度の量のK化合物を塗布する
必要がないため、ワイヤの銅めっきを酸化変色させた
り、コンジットチューブ内での堆積によってワイヤ送給
に障害を与えたりすることも解消される。さらに、アー
ク安定性が飛躍的に向上するため、スパッタ発生量を著
しく抑えることができる。なお、これらの溝は種々の表
面形態が考えられる。長さ方向に平行な縦溝や結晶粒界
に沿った亀甲状や格子状や円周方向に配置された横溝
状、独立した点状配置等のいずれの形態でも有効であ
る。しかし、これらを付与する具体的な方法としては、
長さ方向に0〜30°の範囲内で配置させることが工業
的に最も経済性が高く、冷間圧延、ダイス伸線、ブラッ
シング、ショットブラスト又はローラダイス加工を行う
ことにより容易に実現することができる。
必要がないため、ワイヤの銅めっきを酸化変色させた
り、コンジットチューブ内での堆積によってワイヤ送給
に障害を与えたりすることも解消される。さらに、アー
ク安定性が飛躍的に向上するため、スパッタ発生量を著
しく抑えることができる。なお、これらの溝は種々の表
面形態が考えられる。長さ方向に平行な縦溝や結晶粒界
に沿った亀甲状や格子状や円周方向に配置された横溝
状、独立した点状配置等のいずれの形態でも有効であ
る。しかし、これらを付与する具体的な方法としては、
長さ方向に0〜30°の範囲内で配置させることが工業
的に最も経済性が高く、冷間圧延、ダイス伸線、ブラッ
シング、ショットブラスト又はローラダイス加工を行う
ことにより容易に実現することができる。
【0029】また、ワイヤの化学成分についても特に限
定はなく、炭素鋼、特殊鋼又はステンレス鋼用のシール
ドアーク溶接用ワイヤについて適用しても十分な効果を
上げることができる更に、溝に保持されるK化合物も特
に限定されるものではなくKを含有する物質であれば広
く利用できる。製造工程、コスト及び生産性などの観点
から選択すればよい。
定はなく、炭素鋼、特殊鋼又はステンレス鋼用のシール
ドアーク溶接用ワイヤについて適用しても十分な効果を
上げることができる更に、溝に保持されるK化合物も特
に限定されるものではなくKを含有する物質であれば広
く利用できる。製造工程、コスト及び生産性などの観点
から選択すればよい。
【0030】以下実施例を以って詳細に説明する。
【0031】
実施例1 請求項1及び2に関する実施例を以下に述べる。表1に
示すJISZ3312規格YGW−11の化学組成を有
する鋼Aを熱間圧延により5.5mmφとした。この鋼
線を2.8mmφに伸線するまでに通過するダイス表面
を粗面化することによりワイヤ表面に溝を付与した。こ
れら2.8mmφ鋼線をさらに窒素雰囲気で焼成した
後、酸洗、銅めっきを施し、ダイスによる仕上伸線によ
り1.2mmφの溶接用ワイヤとした。このようにして
製造した溶接ワイヤ表面の溝の評価はワイヤの長さ方向
に直交する断面で光学顕微鏡を用いて観察測定した。更
にこれらのワイヤを用いてワイヤ送給性評価のための試
験を行った。
示すJISZ3312規格YGW−11の化学組成を有
する鋼Aを熱間圧延により5.5mmφとした。この鋼
線を2.8mmφに伸線するまでに通過するダイス表面
を粗面化することによりワイヤ表面に溝を付与した。こ
れら2.8mmφ鋼線をさらに窒素雰囲気で焼成した
後、酸洗、銅めっきを施し、ダイスによる仕上伸線によ
り1.2mmφの溶接用ワイヤとした。このようにして
製造した溶接ワイヤ表面の溝の評価はワイヤの長さ方向
に直交する断面で光学顕微鏡を用いて観察測定した。更
にこれらのワイヤを用いてワイヤ送給性評価のための試
験を行った。
【0032】ワイヤ送給性は6mコンジットチューブの
巻径を300mmφとしたループを3巻させた場合の送
給ワイヤにゴムローラを押し付けて測定したワイヤの送
り速度の変化を接触式の回転速度計にて測定し、速度の
変化を観察することにより評価した。評価は、送給速度
変動幅1%以下を◎、1〜3%を〇、3〜5%を△、5
%を超えるものを×とした。なお、溝の方向については
0〜30°の範囲内にあるものを〇、はずれるものを×
とした。
巻径を300mmφとしたループを3巻させた場合の送
給ワイヤにゴムローラを押し付けて測定したワイヤの送
り速度の変化を接触式の回転速度計にて測定し、速度の
変化を観察することにより評価した。評価は、送給速度
変動幅1%以下を◎、1〜3%を〇、3〜5%を△、5
%を超えるものを×とした。なお、溝の方向については
0〜30°の範囲内にあるものを〇、はずれるものを×
とした。
【0033】結果を表2に示す。ここで備考欄の「実施
例」は請求項1の構成要件を満足するものであることを
示し、「比較例」は満足しないものであることを示す。
ワイヤ表面の溝深さ及び幅が本発明範囲を満たす供試N
o.4、6、8、10、12は、本発明の範囲を満たさ
ないものに比べてワイヤ送給性が向上している。なお、
請求項2で規定した溝の方向が0〜30°を外れる供試
No.15、16は規定を満たしたものに比べてワイヤ
送給性は若干劣っている。 実施例2 請求項4に関する実施例を以下に述べる。表1に示すJ
ISZ3312規格YGW−11の化学組成を有する鋼
Aを熱間圧延により5.5mmφとした。この鋼線を
2.8mmφに伸線するまでに通過するダイス表面を粗
面化することによりワイヤ表面に溝を付与した。これら
2.8mmφ鋼線をさらに窒素雰囲気で焼鈍した後、酸
洗、銅めっきを施し、ダイスによる仕上芯線により1.
2mmφの溶接用ワイヤとした。Kを含む伸線潤滑剤を
仕上げ伸線時にワイヤに塗布することによりワイヤにK
を付与した。
例」は請求項1の構成要件を満足するものであることを
示し、「比較例」は満足しないものであることを示す。
ワイヤ表面の溝深さ及び幅が本発明範囲を満たす供試N
o.4、6、8、10、12は、本発明の範囲を満たさ
ないものに比べてワイヤ送給性が向上している。なお、
請求項2で規定した溝の方向が0〜30°を外れる供試
No.15、16は規定を満たしたものに比べてワイヤ
送給性は若干劣っている。 実施例2 請求項4に関する実施例を以下に述べる。表1に示すJ
ISZ3312規格YGW−11の化学組成を有する鋼
Aを熱間圧延により5.5mmφとした。この鋼線を
2.8mmφに伸線するまでに通過するダイス表面を粗
面化することによりワイヤ表面に溝を付与した。これら
2.8mmφ鋼線をさらに窒素雰囲気で焼鈍した後、酸
洗、銅めっきを施し、ダイスによる仕上芯線により1.
2mmφの溶接用ワイヤとした。Kを含む伸線潤滑剤を
仕上げ伸線時にワイヤに塗布することによりワイヤにK
を付与した。
【0034】ワイヤ表面の溝の評価方法及びワイヤ送給
性の評価方法は実施例1と同様とした。また、溶接試験
は、炭酸ガス量20リットル/min、電流300A、
電圧33V、溶接速度300mm/min、ワイヤ突き
出し25mm、電源電極直流、ビードオンプレート自動
溶接法で実施し、アーク安定性とスパッタ量について評
価を行った。アーク安定性は目視観察により評価し、
◎:極めて安定、〇:安定、△:一部不安定、×:不安
定とした。スパッタ発生量の測定は溶接部を覆う捕集板
の回りに飛散付着するスパッタを捕集し、その重量を測
定することによって行った。測定時間は2分とし、単位
時間あたりの重量(g/min)で評価した。
性の評価方法は実施例1と同様とした。また、溶接試験
は、炭酸ガス量20リットル/min、電流300A、
電圧33V、溶接速度300mm/min、ワイヤ突き
出し25mm、電源電極直流、ビードオンプレート自動
溶接法で実施し、アーク安定性とスパッタ量について評
価を行った。アーク安定性は目視観察により評価し、
◎:極めて安定、〇:安定、△:一部不安定、×:不安
定とした。スパッタ発生量の測定は溶接部を覆う捕集板
の回りに飛散付着するスパッタを捕集し、その重量を測
定することによって行った。測定時間は2分とし、単位
時間あたりの重量(g/min)で評価した。
【0035】結果を表3に示す。ここで備考欄の「実施
例」は請求項4の構成要件を満足するものであることを
示し、「比較例」は満足しないものであることを示す。
ワイヤ表面の溝の深さ及び幅、さらにKの含有量が本発
明範囲にある供試No.2、4、7〜10は送給性が優
れるばかりでなく、アーク安定性も優れ、スパッタ発生
量も少ない。 実施例3 請求項5に関する実施例を以下に述べる。表1に示すJ
ISZ3312規格YGW−16の化学組成を有する鋼
Bを熱間圧延により5.5mmφとした。この鋼線を
2.8mmφに伸線するまでに通過するダイス表面を粗
面化することによりワイヤ表面に溝を付与した。これら
2.8mmφの鋼線をさらに窒素雰囲気で焼鈍した後、
酸洗、銅めっきを施し、ダイスによる仕上伸線により
1.2mmφの溶接用ワイヤとした。Kを含む伸線潤滑
剤を仕上げ伸線時にワイヤに塗布することによりワイヤ
のKを付与した。
例」は請求項4の構成要件を満足するものであることを
示し、「比較例」は満足しないものであることを示す。
ワイヤ表面の溝の深さ及び幅、さらにKの含有量が本発
明範囲にある供試No.2、4、7〜10は送給性が優
れるばかりでなく、アーク安定性も優れ、スパッタ発生
量も少ない。 実施例3 請求項5に関する実施例を以下に述べる。表1に示すJ
ISZ3312規格YGW−16の化学組成を有する鋼
Bを熱間圧延により5.5mmφとした。この鋼線を
2.8mmφに伸線するまでに通過するダイス表面を粗
面化することによりワイヤ表面に溝を付与した。これら
2.8mmφの鋼線をさらに窒素雰囲気で焼鈍した後、
酸洗、銅めっきを施し、ダイスによる仕上伸線により
1.2mmφの溶接用ワイヤとした。Kを含む伸線潤滑
剤を仕上げ伸線時にワイヤに塗布することによりワイヤ
のKを付与した。
【0036】ワイヤ表面の溝の評価方法及びワイヤ送給
性の評価方法は実施例1と同様とした。また、溶接試験
は、炭酸ガス量20%−アルゴンガス80量%の混合ガ
スを20リットル/min、電流210A、電圧22
V、溶接速度1500mm/min、ワイヤ突き出し2
0mm、電源電極直流、ビードオンプレート自動溶接法
で実施した。アーク安定性とスパッタ量についての評価
は実施例2と同様にして行った。
性の評価方法は実施例1と同様とした。また、溶接試験
は、炭酸ガス量20%−アルゴンガス80量%の混合ガ
スを20リットル/min、電流210A、電圧22
V、溶接速度1500mm/min、ワイヤ突き出し2
0mm、電源電極直流、ビードオンプレート自動溶接法
で実施した。アーク安定性とスパッタ量についての評価
は実施例2と同様にして行った。
【0037】なお、溝の方向については0〜30°の範
囲内にあるものを〇、はずれるものを×とした。結果を
表4に示す。ここで備考欄の「実施例」は請求項5の構
成要件を満足するもの、「対照例」は請求項5の構成要
件は満足しないが請求項4のそれは満足するもの、「比
較例」は請求項4、5のいずれも満足しないものである
ことを示す。ワイヤ鋼種がYGW−11の実施例2の場
合と同様に、ワイヤ表面の溝の深さ及び幅、さらにKの
含有量が本発明にある供試No.2、4、7〜10は送
給性、アーク安定性が優れ、スパッタ発生量も少ない。
さらに溝の方向が本発明範囲にあるNo.2、4、9、
10は特に優れている。 実施例4 請求項6に関する実施例を以下に述べる。表1に示すJ
ISZ3312規格YGW−16の化学組成を有する鋼
Bを熱間圧延により5.5mmφとした。この鋼線を
2.8mmφに伸線するまでに通過するダイス表面を粗
面化することによりワイヤ表面に溝を付与した。これら
2.8mmφの鋼線をさらに窒素雰囲気で焼鈍した後、
酸洗、銅めっきを施し、ダイスによる仕上伸線により
1.2mmφの溶接用ワイヤとした。Kを含む伸線潤滑
剤を仕上げ伸線時にワイヤに塗布することによりワイヤ
にKを付与した。
囲内にあるものを〇、はずれるものを×とした。結果を
表4に示す。ここで備考欄の「実施例」は請求項5の構
成要件を満足するもの、「対照例」は請求項5の構成要
件は満足しないが請求項4のそれは満足するもの、「比
較例」は請求項4、5のいずれも満足しないものである
ことを示す。ワイヤ鋼種がYGW−11の実施例2の場
合と同様に、ワイヤ表面の溝の深さ及び幅、さらにKの
含有量が本発明にある供試No.2、4、7〜10は送
給性、アーク安定性が優れ、スパッタ発生量も少ない。
さらに溝の方向が本発明範囲にあるNo.2、4、9、
10は特に優れている。 実施例4 請求項6に関する実施例を以下に述べる。表1に示すJ
ISZ3312規格YGW−16の化学組成を有する鋼
Bを熱間圧延により5.5mmφとした。この鋼線を
2.8mmφに伸線するまでに通過するダイス表面を粗
面化することによりワイヤ表面に溝を付与した。これら
2.8mmφの鋼線をさらに窒素雰囲気で焼鈍した後、
酸洗、銅めっきを施し、ダイスによる仕上伸線により
1.2mmφの溶接用ワイヤとした。Kを含む伸線潤滑
剤を仕上げ伸線時にワイヤに塗布することによりワイヤ
にKを付与した。
【0038】ワイヤ表面の溝の評価方法、ワイヤ送給性
の評価方法、溶接試験によるアーク安定性とスパッタ量
についての評価は実施例3と同様にして行った。結果を
表5、表6に示す。ここで備考欄の「実施例」は請求項
6の構成要件を満足するもの、「対照例」は請求項6の
構成要件は満足しないが請求項4のそれは満足するも
の、「比較例」は請求項4、6のいずれも満足しないも
のであることを示す。ワイヤ表面の溝深さ及び幅、Kの
含有量に加えて、さらに溝の本数が本発明範囲にある供
試No.8、9、20、21、23〜26は、溝の本数
が本発明の範囲を外れるものに比べ送給性、アーク安定
性がさらに優れ、スパッタ発生量も少ない。 実施例5 請求項3に関する実施例を以下に述べる。表1に示すJ
ISZ3312規格YGW−11の化学組成を有する鋼
Aを熱間圧延により5.5mmφとした。次いでレーザ
ダル、ショットブラスト、もしくは機械加工により表面
に凹凸加工を施した超硬ロールにより構成される3ロー
ル方式7スタンド圧延機により冷間加工し、表面に溝を
有する2.4mmφの鋼線に伸線した。これら2.4m
mφ鋼線をさらに窒素雰囲気で焼鈍した後、酸洗、銅め
っきを施し、ダイスによる仕上伸線により、1.2mm
φの溶接用ワイヤとした。
の評価方法、溶接試験によるアーク安定性とスパッタ量
についての評価は実施例3と同様にして行った。結果を
表5、表6に示す。ここで備考欄の「実施例」は請求項
6の構成要件を満足するもの、「対照例」は請求項6の
構成要件は満足しないが請求項4のそれは満足するも
の、「比較例」は請求項4、6のいずれも満足しないも
のであることを示す。ワイヤ表面の溝深さ及び幅、Kの
含有量に加えて、さらに溝の本数が本発明範囲にある供
試No.8、9、20、21、23〜26は、溝の本数
が本発明の範囲を外れるものに比べ送給性、アーク安定
性がさらに優れ、スパッタ発生量も少ない。 実施例5 請求項3に関する実施例を以下に述べる。表1に示すJ
ISZ3312規格YGW−11の化学組成を有する鋼
Aを熱間圧延により5.5mmφとした。次いでレーザ
ダル、ショットブラスト、もしくは機械加工により表面
に凹凸加工を施した超硬ロールにより構成される3ロー
ル方式7スタンド圧延機により冷間加工し、表面に溝を
有する2.4mmφの鋼線に伸線した。これら2.4m
mφ鋼線をさらに窒素雰囲気で焼鈍した後、酸洗、銅め
っきを施し、ダイスによる仕上伸線により、1.2mm
φの溶接用ワイヤとした。
【0039】ワイヤ表面の溝の評価方法及びワイヤ送給
性の評価方法については実施例2と同様にして行った。
結果を表7、表8に示す。ここで参考欄の「実施例」は
請求項3の構成要件を満足するもの、「対照例」は請求
項3の構成要件は満足しないが請求項1のそれは満足す
るもの、「比較例」は請求項1、3のいずれも満足しな
いものであることを示す。ワイヤ表面の溝の深さ、幅及
び方向に加えて、さらに溝の本数が本発明範囲にある供
試No.4、11、18は送給性が優れている。 実施例6 請求項7に関する実施例を以下に述べる。表1に示すJ
ISZ3312規格YGW−16の化学組成を有する鋼
Bを熱間圧延により7.0mmφとした。次いでショッ
トブラスト、レーザダルもしくは機械加工により表面に
凹凸加工を施した超硬ロールにより構成される3ロール
方式7スタンド圧延機により冷間加工し、表面に溝を有
する2.8mmφの鋼線に伸線した。これら2.8mm
φ鋼線をさらに窒素雰囲気で焼鈍した後、酸洗、銅めっ
きを施し、ダイスによる仕上伸線により1.2mmφの
溶接用ワイヤとした。Kを含む伸線潤滑剤を仕上げ伸線
時にワイヤに塗布することによりワイヤにKを付与し
た。
性の評価方法については実施例2と同様にして行った。
結果を表7、表8に示す。ここで参考欄の「実施例」は
請求項3の構成要件を満足するもの、「対照例」は請求
項3の構成要件は満足しないが請求項1のそれは満足す
るもの、「比較例」は請求項1、3のいずれも満足しな
いものであることを示す。ワイヤ表面の溝の深さ、幅及
び方向に加えて、さらに溝の本数が本発明範囲にある供
試No.4、11、18は送給性が優れている。 実施例6 請求項7に関する実施例を以下に述べる。表1に示すJ
ISZ3312規格YGW−16の化学組成を有する鋼
Bを熱間圧延により7.0mmφとした。次いでショッ
トブラスト、レーザダルもしくは機械加工により表面に
凹凸加工を施した超硬ロールにより構成される3ロール
方式7スタンド圧延機により冷間加工し、表面に溝を有
する2.8mmφの鋼線に伸線した。これら2.8mm
φ鋼線をさらに窒素雰囲気で焼鈍した後、酸洗、銅めっ
きを施し、ダイスによる仕上伸線により1.2mmφの
溶接用ワイヤとした。Kを含む伸線潤滑剤を仕上げ伸線
時にワイヤに塗布することによりワイヤにKを付与し
た。
【0040】ワイヤ表面の溝の評価方法、ワイヤ送給性
の評価方法、溶接試験によるアーク安定性とスパッタ量
についての評価は実施例3と同様にして行った。結果を
表9に示す。ショットブラスト、レーザダルもしくは機
械加工により表面に凹凸加工を施した超硬ロールにより
ワイヤ表面に施された溝の深さ、幅、方向、本数及びK
の含有量が本発明範囲内にあるものはさらにアーク安定
性が優れ、スパッタ発生量も少ない。 実施例7 請求項7に関する実施例を以下に述べる。表1に示すJ
ISZ3312規格YGW−11の化学組成を有する鋼
Aを熱間圧延により5.5mmφとした。次いで5.5
mmφの線材の表面にショットブラスト処理を施し、ダ
イス伸線加工により2.8mmφとした。また5.5m
mφの鋼線を2.8mmφに伸線後、ショットブラスト
処理を施した。これら2.8mmφ鋼線をさらに窒素雰
囲気で焼鈍した後、酸洗、銅めっきを施し、ダイスによ
る芯線仕上により1.2mmφの溶接用ワイヤとした。
Kを含む芯線潤滑剤を仕上伸線時にワイヤに塗布するこ
とによりワイヤにKを付与した。
の評価方法、溶接試験によるアーク安定性とスパッタ量
についての評価は実施例3と同様にして行った。結果を
表9に示す。ショットブラスト、レーザダルもしくは機
械加工により表面に凹凸加工を施した超硬ロールにより
ワイヤ表面に施された溝の深さ、幅、方向、本数及びK
の含有量が本発明範囲内にあるものはさらにアーク安定
性が優れ、スパッタ発生量も少ない。 実施例7 請求項7に関する実施例を以下に述べる。表1に示すJ
ISZ3312規格YGW−11の化学組成を有する鋼
Aを熱間圧延により5.5mmφとした。次いで5.5
mmφの線材の表面にショットブラスト処理を施し、ダ
イス伸線加工により2.8mmφとした。また5.5m
mφの鋼線を2.8mmφに伸線後、ショットブラスト
処理を施した。これら2.8mmφ鋼線をさらに窒素雰
囲気で焼鈍した後、酸洗、銅めっきを施し、ダイスによ
る芯線仕上により1.2mmφの溶接用ワイヤとした。
Kを含む芯線潤滑剤を仕上伸線時にワイヤに塗布するこ
とによりワイヤにKを付与した。
【0041】ワイヤ表面の溝の評価方法、ワイヤ送給性
の評価方法、溶接試験によるアーク安定性とスパッタ量
についての評価は実施例2と同様にして行った。結果を
表10に示す。ショットブラストの処理によりワイヤ表
面に施された溝の深さ、幅及び本数、さらにはKの含有
量が本発明範囲内にあれば、ワイヤ送給性が優れ、さら
にはアーク安定性が優れ、スパッタ発生量も少ない。 実施例8 請求項7に関する実施例を以下に述べる。表1に示すJ
ISZ3312規格YGW−16の化学組成を有する鋼
Bを熱間圧延により5.5mmφとした。次いで5.5
mmφの線材の表面にワイヤブラシもしくは砥粒を含ん
だアラミド樹脂製ブラシによりブラッシング加工をした
後、ダイス伸線加工により2.8mmφとした。また、
5.5mmφ鋼線を2.8mmφに伸線後に表面にワイ
ヤブラシもしくは砥粒を含んだアラミド樹脂製ブラシに
よりブラッシング加工をした。これら2.8mmφ鋼線
をさらに窒素雰囲気で焼鈍した後、酸洗、銅めっきを施
し、ダイスによる仕上伸線により1.2mmφの溶接用
ワイヤとした。Kを含む伸線潤滑剤を仕上げ伸線時にワ
イヤに塗布することによりワイヤにKを付与した。
の評価方法、溶接試験によるアーク安定性とスパッタ量
についての評価は実施例2と同様にして行った。結果を
表10に示す。ショットブラストの処理によりワイヤ表
面に施された溝の深さ、幅及び本数、さらにはKの含有
量が本発明範囲内にあれば、ワイヤ送給性が優れ、さら
にはアーク安定性が優れ、スパッタ発生量も少ない。 実施例8 請求項7に関する実施例を以下に述べる。表1に示すJ
ISZ3312規格YGW−16の化学組成を有する鋼
Bを熱間圧延により5.5mmφとした。次いで5.5
mmφの線材の表面にワイヤブラシもしくは砥粒を含ん
だアラミド樹脂製ブラシによりブラッシング加工をした
後、ダイス伸線加工により2.8mmφとした。また、
5.5mmφ鋼線を2.8mmφに伸線後に表面にワイ
ヤブラシもしくは砥粒を含んだアラミド樹脂製ブラシに
よりブラッシング加工をした。これら2.8mmφ鋼線
をさらに窒素雰囲気で焼鈍した後、酸洗、銅めっきを施
し、ダイスによる仕上伸線により1.2mmφの溶接用
ワイヤとした。Kを含む伸線潤滑剤を仕上げ伸線時にワ
イヤに塗布することによりワイヤにKを付与した。
【0042】ワイヤ表面の溝の評価方法、ワイヤ送給性
の評価方法、溶接試験によるアーク安定性とスパッタ量
についての評価は実施例3と同様にして行った。結果を
表11に示す。ブラッシング加工によりワイヤ表面に施
された溝の深さ、幅及び本数、さらにはKの含有量が本
発明範囲内にあれば、ワイヤ送給性が優れ、さらにはア
ーク安定性が優れ、スパッタ発生量も少ない。
の評価方法、溶接試験によるアーク安定性とスパッタ量
についての評価は実施例3と同様にして行った。結果を
表11に示す。ブラッシング加工によりワイヤ表面に施
された溝の深さ、幅及び本数、さらにはKの含有量が本
発明範囲内にあれば、ワイヤ送給性が優れ、さらにはア
ーク安定性が優れ、スパッタ発生量も少ない。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】
【表5】
【0048】
【表6】
【0049】
【表7】
【0050】
【表8】
【0051】
【表9】
【0052】
【表10】
【0053】
【表11】
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、特定の範囲にある溝深
さ、開孔幅の溝に従来塗布されているより少ない量の送
給潤滑剤を保持させることにより、優れたワイヤ送給性
が得られる。このために、送給潤滑剤に起因する拡散性
水素量やブローホールの発生が著しく抑えられ、溶接金
属部の機械的性質も向上する。
さ、開孔幅の溝に従来塗布されているより少ない量の送
給潤滑剤を保持させることにより、優れたワイヤ送給性
が得られる。このために、送給潤滑剤に起因する拡散性
水素量やブローホールの発生が著しく抑えられ、溶接金
属部の機械的性質も向上する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 片岡 時彦 千葉市中央区川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社技術研究本部内 (72)発明者 中野 善文 千葉市中央区川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社技術研究本部内
Claims (7)
- 【請求項1】 溶接用ワイヤ外周面に、溝深さhが1μ
m〜100μm、その溝の表面開口部の溝幅wがw/h
≦0.5の溝を備え、該溝内に送給潤滑剤を保持してな
ることを特徴とするワイヤ送給性良好なガスシールドア
ーク溶接用ワイヤ。 - 【請求項2】 溝の方向がワイヤ長手方向に対して0〜
30°である請求項1記載のワイヤ送給性良好なガスシ
ールドアーク溶接用ワイヤ。 - 【請求項3】 前記ワイヤ外周面に備える溝数nはワイ
ヤ径をdとすると10dπ/h≧n≧0.1dπ/hで
あることを特徴とする請求項1又は2記載のワイヤ送給
性良好なガスシールドアーク溶接用ワイヤ。 - 【請求項4】 溶接用ワイヤ外周面に、溝深さhが1μ
m〜100μm、その溝の表面開口部の溝幅wがw/h
≦0.5の溝を備え、該溝内にK化合物を含む送給潤滑
剤をワイヤ重量に対してK換算値で1〜50ppm保持
したことを特徴とする溶接作業性良好なガスシールドア
ーク溶接用ワイヤ。 - 【請求項5】 前記溝の方向がワイヤ長手方向に対して
0〜30°である請求項4記載の溶接作業性良好なガス
シールドアーク溶接用ワイヤ。 - 【請求項6】 前記ワイヤ外周面に備える溝数nはワイ
ヤ径をdとすると10dπ/h≧n≧0.1dπ/hで
あることを特徴とする請求項4又は5記載の溶接作業性
良好なガスシールドアーク溶接用ワイヤ。 - 【請求項7】 溶接用ワイヤ外周面に溝を付与するに当
り、冷間圧延、ダイス伸線、ブラッシング、ショットブ
ラスト又はローラダイス加工を行うことを特徴とする請
求項1〜6のいずれかに記載のワイヤ送給性良好なガス
シールドアーク溶接用ワイヤ又は溶接作業性良好なガス
シールドアーク溶接用ワイヤの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13875894A JPH07223087A (ja) | 1993-06-23 | 1994-06-21 | ワイヤ送給性良好なガスシールドアーク溶接用ワイヤ及び溶接作業性良好なガスシールドアーク溶接用ワイヤ並びにその製造方法 |
Applications Claiming Priority (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15233193 | 1993-06-23 | ||
JP31227693 | 1993-12-13 | ||
JP5-312276 | 1993-12-13 | ||
JP5-152331 | 1993-12-13 | ||
JP13875894A JPH07223087A (ja) | 1993-06-23 | 1994-06-21 | ワイヤ送給性良好なガスシールドアーク溶接用ワイヤ及び溶接作業性良好なガスシールドアーク溶接用ワイヤ並びにその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07223087A true JPH07223087A (ja) | 1995-08-22 |
Family
ID=27317736
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13875894A Pending JPH07223087A (ja) | 1993-06-23 | 1994-06-21 | ワイヤ送給性良好なガスシールドアーク溶接用ワイヤ及び溶接作業性良好なガスシールドアーク溶接用ワイヤ並びにその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07223087A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6906286B2 (en) | 2002-09-12 | 2005-06-14 | Kiswel Ltd. | Solid wire for arc welding |
US6989510B2 (en) | 2002-03-04 | 2006-01-24 | Kiswel Ltd. | Non-copper-plated solid wire for carbon dioxide gas shielded arc welding |
JP2006315059A (ja) * | 2005-05-13 | 2006-11-24 | Kobe Steel Ltd | 銅めっき付きアーク溶接用ソリッドワイヤ |
-
1994
- 1994-06-21 JP JP13875894A patent/JPH07223087A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6989510B2 (en) | 2002-03-04 | 2006-01-24 | Kiswel Ltd. | Non-copper-plated solid wire for carbon dioxide gas shielded arc welding |
US6906286B2 (en) | 2002-09-12 | 2005-06-14 | Kiswel Ltd. | Solid wire for arc welding |
JP2006315059A (ja) * | 2005-05-13 | 2006-11-24 | Kobe Steel Ltd | 銅めっき付きアーク溶接用ソリッドワイヤ |
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Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20010925 |