JP2723793B2 - ガスシールドアーク溶接用ワイヤ - Google Patents
ガスシールドアーク溶接用ワイヤInfo
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Description
用ワイヤの改良に関するものである。
械、自動車或いは鉄骨などの製造に当たって行われるガ
スシールドアーク溶接は、年々性能向上の要求が厳しく
なっており、高速・高品質・高能率とするための改良が
行われている。改良の一つの方法として、シールドガス
成分の検討や溶接電源のインバータ制御化などが行われ
ている。
率良く得るためには、溶接アークの不安定さに起因する
欠陥を防ぎ、安定した溶接アークを長時間維持すること
が最も重要である。ここで言う溶接アークの不安定さと
は、肉眼で分かるアーク長さの変動は勿論、肉眼では認
めることのできない短時間のアーク切れや、ワイヤと溶
融プール間の短時間の短絡(以下、短絡と記す)などを含
めたものである。
の形状が不規則に変動し、アンダカットやオーバラップ
などのビード形状の欠陥を発生し易くなる。また、多層
盛り溶接では、スラグ巻き込み欠陥を発生し易くなる。
また、不安定なアークは作業者の疲労を招き、溶接能率
の低下を引き起こす。
提案がなされてきた。例えば、特公平3−77035号
では、残存潤滑剤を除去した後にワイヤ表面にカルボン
酸カリウム塩を固着させ、その固着量と固着過程で発生
する遊離鉄粉或いは遊離銅粉の量を規制することにより
アーク放電現象を安定化させることが述べられている。
また、特開昭61−3696号では、銅メッキを有する
ワイヤの表面に残留する銅粉の量を規制することによ
り、通電銅チップの摩耗とワイヤ送給用のフレキシブル
コンジットチューブの閉塞を防止することが述べられて
いる。
肉眼では認めることのできない短時間のアーク切れや短
絡などの発生を充分に減少させることができておらず、
溶接欠陥の発生や作業者の無用の疲労を招いていた。
消して、溶接欠陥や作業者の疲労につながるような、ワ
イヤと溶融プール間の短時間の短絡やアーク切れを充分
に減少させ得るガスシールドアーク溶接用ワイヤを提供
することにある。
の手段として、本発明は、ガスシールドアーク溶接用ワ
イヤの不純物を、該ワイヤを石油エーテル等の有機溶媒
中で超音波洗浄し、ワイヤ本体を除去した後に、孔径
0.2μmのろ紙(メンブレンフィルタ)を用いてろ過し、
ろ紙上の残査を不純物とする方法で抽出した不純物の質
量を、ワイヤ見掛け表面積を(ワイヤ見掛け表面積)=
(ワイヤ径の平均値)×(円周率)×(ワイヤの長さ)とする
とき、ワイヤ見掛け表面積1平方cm当たり5μg以下に
したことを特徴とするガスシールドアーク溶接用ワイヤ
を要旨としている。
のろ紙(メンブレンフィルタ)を通過しない不純物の質量
を、前記抽出された不純物質量の40%以下にしたこと
を特徴としている。
た不純物の銅成分量(銅化合物の場合は銅に換算した量)
を30%以上としたことを特徴としている。
オやデータレコーダーを用いて観察した結果と、ワイヤ
及びワイヤ表面の分析結果から、ワイヤ表面付着してい
る物質が、通電チップとワイヤとの電気的な接触を妨
げ、アークを不安定にさせることを見つけた。ここで言
う物質とは、ほこりや残留した伸線潤滑剤、それらが変
質したもの、銅粉や鉄粉、アーク安定剤として付着させ
たアルカリ或いはアルカリ土類化合物などである。
接触を考えるならば、ワイヤ表面に付着している物質は
すべて悪い影響を与えることが分かった。但し、物質に
より影響の大小があり、寸法が大きい物質は成分の違い
以上に大きな悪影響を与え、また、金属系の不純物は非
金属系の不純物と比較して悪影響が小さい傾向が認めら
れた。
方法は種々考えられるが、本発明者らが諸々の試験を行
った結果、ワイヤを石油エーテル等の有機溶媒中で超音
波洗浄する方法が最も有効であった。この方法は、ワイ
ヤを石油エーテル等の有機溶媒中中で超音波洗浄し、ワ
イヤ本体を除去した後に、孔径0.2μmのろ紙(メンブ
レンフィルタ)を用いてろ過し、ろ紙上の残査を不純物
(以下、不純物と記す)とする方法である。この方法によ
れば、数kg以上のワイヤを容易に分析することができ
るので微量の不純物を精度良く捕らえることができる。
このときの超音波洗浄の程度であるが、健全なワイヤ表
面が傷ついて銅粉や鉄粉を生じるようでは強すぎる。洗
浄時間については、洗浄時間を増加させていき、不純物
量が安定した時点を終点とする。
触の観点から、ワイヤ見掛け表面積当たりの不純物の量
で規定した。ここでワイヤ見掛け表面積は、 (ワイヤ見掛け表面積)=(ワイヤ径の平均値)×(円周率)
×(ワイヤの長さ) で表わされる。
る。
見掛け表面積1平方cm当たり5μg以下にしたことを特
徴としている。不純物が5μg/cm2を超えるとアークが
不安定となり、アーク切れ及び短絡が著しく増大するの
でアンダカットやオーバラップなどの溶接欠陥を生じ易
くなると共に、作業者が疲労を感じ易くなる。不純物量
を更に減少させ2μg以下にすると、溶接欠陥数が急減
するので、より良い結果が得られる。
μmのろ紙(メンブレンフィルタ)を通過しない不純物の
質量が、抽出された不純物質量の40%以下ならばより
好ましい。40%を超えると比較的に長い時間のアーク
不安定が急増し、大きめの溶接欠陥が発生し易くなる。
更に20%以下にするのが好ましく、大きめの溶接欠陥
が急減するので品質が向上する。
の場合は銅に換算した量)が30%以上ならば、より一
層好ましい。不純物量が同じならば、銅成分量の増加に
従い、アーク不安定現象が減少する傾向が認められ、3
0%以上になると顕著であり、50%以上では急減す
る。
ては、JIS Z3312に規定されている範囲内であ
れば、いずれのものであっても良く、本発明の効果を充
分に発揮できる。例えば、C:0.001〜0.15%、
Si:0.30〜1.10%、Mn:0.85〜2.60%、
P:0.001〜0.030%、S:0.001〜0.03
0%、Cu:0.01〜0.50%を含み、残部が鉄及び
不可避不純物からなる組成が望ましい。各成分の規制理
由は以下のとおりである。
分であるが、0.001%未満では脱酸と強度が共に不
十分であり、また、0.15%を超えると溶接金属に高
温割れが発生し易くなるため、0.001〜0.15%が
望ましい。
30%未満では脱酸不足であり、また1.10%を超え
ると溶接金属の靭性が低下し易くなるため、0.30〜
1.10%が望ましい。
成分であるが、0.85%未満では脱酸と強度共に不十
分であり、また2.60%を超えると溶接金属に低温割
れが発生し易くなるため、0.85〜2.60%が望まし
い。
要不可欠の成分であるが、0.001%未満ではその効
果が不十分であり、また、0.030%を超えると溶接
金属に高温割れが発生し易くなるため、0.001〜0.
030%が望ましい。
要不可欠の成分であるが、0.001%未満ではその効
果が不十分であり、また、0.030%を超えると溶接
金属に高温割れが発生し易くなるため、0.001〜0.
030%が望ましい。
要不可欠の成分であるが、0.01%未満では通電性と
強度共に不十分であり、また0.50%を超えると溶接
金属に高温割れが発生し易くなるため、0.01〜0.5
0%が望ましい。Cuはワイヤ表面のメッキの形でも、
固溶した形でも、ワイヤ結晶粒界析出物の形のいずれで
あってもかまわないが、ワイヤの通電性をより良くする
ためには、ワイヤ表面のメッキの形が0.10〜0.40
%であることが望ましい。
Ca、V、Co、Zn、As、Se、Sr、Y、Nb、Cd、I
n、Sn、Sb、Te、Ba、W、Hg、Tl、Pb、Biなど
を、それぞれ0.05%以下、合計で0.50%以下を含
有してもよい。不純物は少ないほうが望ましいが、いた
ずらに不純物を取り除くことは製造費用の急増につなが
る。上記の元素のいずれの一つでも0.05%を超える
とアーク不安定の増加や割れ感受性の上昇などの悪影響
を与えるので、それぞれ0.05%以下が望ましい。ま
た、それらの元素の合計で0.50%を超えても同様な
悪影響を与えるので、合計で0.50%以下が望まし
い。
分の1種又は2種以上を適量にて含有させることができ
る。
分であるが、0.01%未満では低温靭性と強度共に不
十分であり、また、1.80%を超えると溶接金属の高
温割れが発生し易くなるため、0.01〜1.80%が望
ましい。
0.01%未満では不十分であり、また、0.70%を超
えると溶接金属の伸びが不足し易く、また低温割れが発
生し易くなるため、0.01〜0.70%が望ましい。
分であるが、0.01%未満では低温靭性と強度共に不
十分であり、また0.65%を超えると溶接金属に高温
割れが発生し易く、また溶接金属の伸びが不足し易くな
るため、0.01〜0.65%が望ましい。
効な成分であるが、0.01%未満では脱酸とビード整
形性共に不十分であり、また0.50%を超えると溶接
金属に高温割れが発生し易くなるため、0.01〜0.5
0%が望ましい。
な成分であるが、0.01%未満では脱酸とスパッタの
減少共に不十分であり、また0.30%を超えると溶接
金属に高温割れが発生し易くなるため、0.01〜0.3
0%が望ましい。また、ZrよりもTiの方がスパッタの
減少にはより有効であり、Ti>Zrの範囲がより望まし
い。
浄→銅メッキ→洗浄→仕上げ伸線→洗浄→送給用又は防
錆用の油付与→スプール巻き替え或いは大容量パック製
造の各工程条件を適宜変更することにより作成した直径
1.2mmの溶接ワイヤについて、不純物とアーク切れ、
短絡、溶接欠陥及び作業者の疲労度を調べたところ、表
1に示すような結果を得た。
与が相対的に大きく、潤滑剤や伸線ダイスの適切な管理
を行わなければ、後続の洗浄工程で不純物を充分に取り
除くことが難しかった。また、各洗浄工程においてワイ
ヤ表面を傷めることを最少に抑えなければ、ワイヤが使
用される時にワイヤ表面がフレキシブルコンジットチュ
ーブとの接触で剥離し易くなり、送給を阻害することに
つながった。また、洗浄方法は、除去すべき不純物の種
類と量によって適切に選択されねばならないので留意し
た。
ある。表中、「不純物の総量」は、孔径0.2μmのろ紙
に捕らえられた不純物の質量を、ワイヤ見かけ表面積当
りで表した。「10μm以上の物の割合」は、孔径10
μmのろ紙で捕らえられた物が不純物総量に占める割合
である。「不純物中の銅の割合」は、不純物中の銅(銅
化合物は銅に換算)が不純物総量に占める割合である。
P、220A−30V−60cm/min、シールドガスC
O2の溶接条件で、アーク電圧が20V以下を短絡、4
0V以上をアーク切れとし、1秒当りのこれらの発生回
数を調べた。溶接欠陥については、各ワイヤについて溶
接長さで20m程度ずつ溶接し、1m当りのアンダカット
及びオーギラップ数を調べた。
は、C:0.04%、Si:0.75%、Mn:1.70
%、P:0.015%、S:0.010%、Cu:0.25
%、Ni:0.02%、Cr:0.04%、Mo<0.005
%、Al:0.008%、残部が96.5%以上のFeと不
可避的不純物である。
すように、不純物量をワイヤ表面積1平方cm当たり5μ
g以下にすることにより、溶接欠陥につながるようなア
ーク不安定を充分に減少させることができることが分か
る。不純物量は少ないほうが良く、同2μg以下にでき
れば更にアークを安定化できる。
に、10μm以上の大粒の不純物を40%以下に減少さ
せれば、アーク不安定を更に減少できることが分かる。
在し、それは非金属系の不純物と比較して悪影響が小さ
い傾向が認められた。これは、銅粉の密度が大きいので
体積が相対的に小さいこと、銅の電気伝導度が高いこと
が原因と推定される。本発明例No.20〜25に示すよ
うに、抽出された不純物の銅成分量(銅化合物は、銅に
換算する)が30%以上でこの傾向が顕著であった。
ワイヤに限られず、他の直径及び化学成分のワイヤでも
同様な結果が得られた。また、銅メッキを施したフラッ
クス入りワイヤでも同様な結果が得られた。
ワイヤ表面の不純物量を限界内に管理したガスシールド
アーク溶接用ワイヤを提供できるので、溶接アークの安
定性に優れ、高速溶接でもアーク不安定による溶接欠陥
が発生し難く、また作業者の疲労が減少して品質及び能
率が向上する等、産業界に寄与する効果は極めて顕著で
ある。
Claims (5)
- 【請求項1】 ガスシールドアーク溶接用ワイヤの不純
物を、該ワイヤを石油エーテル等の有機溶媒中で超音波
洗浄し、ワイヤ本体を除去した後に、孔径0.2μmのろ
紙(メンブレンフィルタ)を用いてろ過し、ろ紙上の残査
を不純物とする方法で抽出した不純物の質量を、ワイヤ
見掛け表面積を(ワイヤ見掛け表面積)=(ワイヤ径の平
均値)×(円周率)×(ワイヤの長さ)とするとき、ワイヤ
見掛け表面積1平方cm当たり5μg以下にしたことを特
徴とするガスシールドアーク溶接用ワイヤ。 - 【請求項2】 更に、孔径10μmのろ紙(メンブレンフ
ィルタ)を通過しない不純物の質量を、前記抽出された
不純物質量の40%以下にしたことを特徴とする請求項
1に記載のガスシールドアーク溶接用ワイヤ。 - 【請求項3】 更に、前記抽出された不純物の銅成分量
(銅化合物の場合は銅に換算した量)を30%以上とした
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のガスシールド
アーク溶接用ワイヤ。 - 【請求項4】 ソリッドワイヤの組成が、重量%で(以
下同じ)、C:0.001〜0.15%、Si:0.30〜
1.10%、Mn:0.85〜2.60%、P:0.001
〜0.030%、S:0.001〜0.030%、Cu:
0.01〜0.50%を含み、残部が鉄及び不可避不純物
からなる請求項1、2又は3に記載のガスシールドアー
ク溶接用ワイヤ。 - 【請求項5】 更にNi:0.01〜1.80%、Cr:
0.01〜0.70%、Mo:0.01〜0.65%、Al:
0.01〜0.50%、Ti+Zr:0.01〜0.30%以
下、の1種又は2種以上を含有する請求項4に記載のガ
スシールドアーク溶接用ワイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5341517A JP2723793B2 (ja) | 1993-12-10 | 1993-12-10 | ガスシールドアーク溶接用ワイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5341517A JP2723793B2 (ja) | 1993-12-10 | 1993-12-10 | ガスシールドアーク溶接用ワイヤ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07164185A JPH07164185A (ja) | 1995-06-27 |
JP2723793B2 true JP2723793B2 (ja) | 1998-03-09 |
Family
ID=18346682
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5341517A Expired - Fee Related JP2723793B2 (ja) | 1993-12-10 | 1993-12-10 | ガスシールドアーク溶接用ワイヤ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2723793B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102905844A (zh) * | 2010-05-31 | 2013-01-30 | 株式会社神户制钢所 | 焊接用镀铜实芯焊丝 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS62248594A (ja) * | 1986-04-21 | 1987-10-29 | Daido Steel Co Ltd | ガスシールドアーク溶接ワイヤ |
JPH0246994A (ja) * | 1988-08-04 | 1990-02-16 | Daido Steel Co Ltd | ガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤ |
-
1993
- 1993-12-10 JP JP5341517A patent/JP2723793B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
小林実編「JIS使い方シリーズ 新版 溶接材料選択のポイント」(平成4−5−20)、財団法人日本規格協会、第213−215頁 |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102905844A (zh) * | 2010-05-31 | 2013-01-30 | 株式会社神户制钢所 | 焊接用镀铜实芯焊丝 |
CN102905844B (zh) * | 2010-05-31 | 2017-04-05 | 株式会社神户制钢所 | 焊接用镀铜实芯焊丝 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07164185A (ja) | 1995-06-27 |
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